JP3236820B2 - プラズマ反応器及びそれを利用した廃水処理装置並びにその方法 - Google Patents

プラズマ反応器及びそれを利用した廃水処理装置並びにその方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ反応器及
びそれを利用した廃水処理装置並びにその方法に係るも
ので、詳しくは、プラズマ反応器に30KV〜150KVの
高電圧を印加して形成したプラズマ及び微生物処理反応
器を利用して、廃水の難分解性の汚染物質を迅速且つ経
済的に除去し得るプラズマ反応器及びそれを利用した廃
水処理装置並びにその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近来、生活環境を守るための環境運動の
主な対象は、大気汚染防止分野、水質汚染防止分野、廃
棄物処理分野及び洗浄技術分野に大別され、本発明は、
その中の水質汚染防止分野に関するものである。
【0003】水質汚染防止分野において廃水に包含され
た汚染物質の処理及び水道水を生産するための上水処理
工程は多くの研究者によって研究開発されてきたが、効
率的で且つ経済的な工程及び設備の開発には至っていな
いのが現状である。即ち、廃水を処理するとき、廃水内
に包含された有機物質(主に、炭化水素)を除去して単
に生化学的酸素要求量(BOD)だけを低下させた状態
を廃水の処理を完了したと判断して川等に放流してい
る。
【0004】即ち、産業の発達及び人口の都市集中化に
より、過去は予測もしなかった多様な性状の汚染物質が
排出されているが、このような汚染物質の毒性及び環境
に及ぼす影響などが把握されないまま、廃水の処理を行
っているのが現在の状況である。
【0005】一例として、上水源の消毒剤として一般に
用いられている塩素は、発ガン物質のTHM(トリハロ
メタン)を形成する物質であることが、塩素消毒された
水道水を長期間に亘って飲用してきた住民を対象とした
調査で分かった。且つ、人口の増加と共に生活下水が増
加され、その中に包含された窒素(N)及びリン(P)
成分が川、湖などを富栄養化させる直接的な原因となっ
ている緑藻現象または赤藻現象を誘発している。
【0006】従来の廃水処理過程においては、図8に示
したように、1次貯留槽及び濃縮装置を順次通過した廃
水は固形汚染物であるスラッジ及び流体廃水である上等
水に分離され、前記スラッジは乾燥装置に流入され、上
等水はエアストリッパにそれぞれ流入される。次いで、
前記乾燥装置を通過したスラッジは焼却装置を経て焼却
後処理装置に移動されるが、一方、前記エアストリッパ
に流入された上等水は2次貯留槽に流入され、該2次貯
留槽の底面に沈澱されるスラッジはスラッジ回収装置に
流入された後、前記乾燥装置に再び流入される。
【0007】また、前記2次貯留槽を通過した上等水
は、曝気槽を通過しながら再びスラッジ及び上等水に分
離され、該スラッジは活性スラッジ反応槽に流入され、
上等水は悪臭除去装置に流入される。次いで、前記スラ
ッジ活性反応槽に流入されたスラッジの一部は前記スラ
ッジ回収装置に流入され、その他は前記曝気槽を経由し
た他の上等水と共に前記悪臭除去装置に流入され、その
他は廃水として放流されるようになっていた。
【0008】然るに、上記のような従来の廃水処理方法
においては、廃水内に包含された窒素、リン及びその他
の塩素を包含する毒性物質を効果的に除去することはで
きず、特に、塩素成分を含む汚染物質であるPCE(過
塩化エチレン)、PCBs (ポリ塩化ビフェニール)及
びDCP(ジクロロフェノール)等の包含された工場廃
水は、それら自体だけでも有害であるが、特に、塩素成
分による2次毒性が強いため、上記の物質を含有した廃
水が川、湖等に流入されたときには、周囲環境の破壊さ
れる程度が他の廃水よりも一層深刻となる。
【0009】且つ、前記塩素を含有した汚染物質は、自
然状態で分解され難く自然浄化も不可能であるため、い
わゆる難分解性汚染物質として分類され、効率的な除去
方法が未だ分かっていない。前記難分解性汚染物質の1
例として、混濁した状態で排出される染色廃水の場合、
廃水内に前記塩素含有汚染物質だけではなく窒素成分も
多量に含まれているため毒性が強く、廃水の発生量及び
廃水の特性面からでも韓国の代表的な汚染源として知ら
れている。
【0010】参考に、このような深刻な汚染を誘発する
染色工業関連会社は総廃水排出会社の約6%を占め、廃
水排出量は総廃水量の約4.5%を占めているため環境
汚染に及ぼす影響は少ないと思われがちだが、汚染負荷
量(処理前のBDP濃度)は全体の約24%程度を占め
て、公共水域の汚染に及ぼす影響は非常に大きいと言え
る。
【0011】このような廃水を処理するための従来方法
としては、(1)物理化学的処理法、(2)生物学的処
理法、(3)凝集処理法、(4)フェントン酸化法、
(5)オゾン処理法、(6)電子ビームによる処理法、
(7)活性炭の吸着による処理法、(8)膜分離により
処理法及び(9)プラズマによる処理法などがあり、以
下、それらの内容及び効果について簡単に説明する。
【0012】(1)前記物理化学的処理法は、廃水の処
理に先だって前処理を行うという意味で適用される技術
であって、実際に必要な汚染物質の除去は不可能であ
る。 (2)前記生物学的処理法としては、活性化された好気
性微生物により有機物を吸着、分解する活性スラッジ工
程が一般化されているが、スラッジの発生量が多く、特
に、染色廃水内の染料は殆ど分解されず、もし分解され
るとしても、毒性物質を生成する憂いがあるため、処理
効率は低い。そこで、嫌気性微生物を用いて廃水を処理
する方法が開発されたが、難分解性汚染物質を処理する
ためには長い時間(数十日)を必要とするため、非経済
的である。
【0013】(3)前記凝集処理法は、廃水に包含され
た広範囲な汚染物質の除去は可能であるが、水溶性飲料
のような可溶性物質の除去は不可能である。 (4)前記フェントン酸化法(19世紀末、英国のFent
onにより開発される)は、H2 2 (過酸化水素)と鉄
イオンとを反応させると強力な酸化反応が発生する原理
を利用して廃水を処理する方法であるが、投入される薬
剤が高価であるという短所がある。
【0014】(5)前記オゾン処理法は、強力な酸化力
を有するオゾンを利用するものであって、廃水内に包含
された難分解性汚染物質の分解、臭いの除去及び色度の
除去に優れた効果を有するが、オゾン発生装置が高価
で、オゾンの発生効率が5%程度しかないため、稼働に
よる電力の消費量が甚だしくなるという不都合な点があ
る。
【0015】(6)前記電子ビームによる処理法は、上
述した各方法によっては処理できない物質を処理するの
に適するというメリットはあるが、電子ビームの発生及
び加速に必要な設備が複雑で、前記オゾン処理法と同様
に維持コストが高い。且つ、電子ビームが通過できる水
の深さが数mmに過ぎないため、廃水を広い面積に薄く、
迅速に流すべきであるため、電子ビームの発生設備が大
型化、高出力化され、稼働時に人体に有害なX線が発生
されるという不都合な点がある。
【0016】(7)前記活性炭の吸着による処理法は、
細孔構造の活性炭を用いて汚染物質を吸着、除去するた
め、活性炭をリサイクルして利用し得るというメリット
はあるが、汚染物質の処理効率が低いため他の方法と並
行して使用しなければならない。 (8)前記膜の分離による処理法は、膜素材の物理、化
学的機能によって粒子の大きさ及び化学的親和性により
分離するため、特定物質の分離が可能になるというメリ
ットはあるが、初期投資費が高額で、前処理工程が複雑
で、もし、前処理を誤ったときは高価な設備全体を使用
できなくなるという不都合な点がある。
【0017】(9)プラズマによりラジカルを発生して
廃水を処理する方法においては、(a)水中で電気的な
絶縁破壊を行うためには高電気場(2〜3×105 V/
cm以上)を必要とし、(b)水中では放電によるストリ
ーマの伝達が急速に行われるため、ストリーマ放電が持
続されずアークまたはスパークに進行されてしまうこと
がしばしばで、(c)もし、ストリーマ放電が持続的に
行われたとしても該ストリーマにより発生されたラジカ
ルの反応領域が極めて狭いため、水中に広く分布する汚
染物質を完全に除去することはできない。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の問題点に鑑みてなされたもので、30KV〜150
KVの高電圧を印加してX線を発生せずプラズマを生成し
て、廃水内の汚染物質を処理し得るプラズマ反応器及び
それを利用した廃水処理装置並びにその方法を提供しよ
うとするものである。そして、本発明の他の目的は、少
額の初期設備費を投資して廃水処理装置を具現すると共
に、設備の運転による維持費及び補修費を最小化し得る
プラズマ反応器及びそれを利用した廃水処理装置並びに
その方法を提供しようとする。
【0019】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るため本発明に係るプラズマ反応器においては、廃水流
入口及び廃水排出口と、空気流入孔及び空気排出孔と
形成されたハウジングと、該ハウジングの内部に充填さ
れた複数個の誘電体よりなるビーズと、前記ハウジング
の内部底面及び前記ビーズの最上層面に接触してそれぞ
れ設置された各電極と、電源線により前記各電極に連結
されて30〜150KVのパルスを供給するパルス発振
器と、を具備し、前記空気流入孔より空気を供給しつつ
各電極にパルスを供給してプラズマを発生させることを
特徴とする。
【0020】そして、本発明に係るプラズマ反応器を利
用した廃水処理装置においては、流入される廃水を収集
して保管する廃水収集タンクと、第1連結管により前記
廃水収集タンクに連結されて、流入する廃水内の汚染物
質をプラズマを使用して処理する1個又は複数個のプラ
ズマ反応器と、該プラズマ反応器にプラズマが発生され
るようにパルスを供給するパルス発振器と、前記プラズ
マ反応器により処理された廃水が第2連結管を経由して
流入、貯留される貯蔵タンクと、前記廃水収集タンクと
前記貯蔵タンク間を連結するリターン管と、から構成さ
れている。
【0021】且つ、本発明に係るプラズマ反応器を利用
した廃水処理方法においては、汚染物質の包含された廃
水を廃水収集タンクに貯留する段階と、該貯留された廃
水を1個又は複数個のプラズマ反応器に送達して廃水内
に包含された汚染物質を1次処理する段階と、該1次処
理された廃水を貯蔵タンクに貯留してから放流する段階
と、を順次行うようになっている。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施に形態に対
し、図面を用いて説明する。本発明に係るプラズマ反応
器1においては、図1に示したように、ハウジング2の
下端部に廃水流入口3が形成され、前記ハウジング2の
一方側上部に廃水排出口4が形成されて、その内部は複
数個のビーズ5により緊密に充填されている。ここで、
前記ハウジング2の内部に充填されるビーズ5の大きさ
及び個数は、処理する汚染物質の濃度及び処理量によっ
て決定され、よって、廃水内に包含された汚染物質の濃
度が高いか処理量が多い場合は、小径のビーズ5により
緊密に充填され、反対に、汚染物質の濃度が低いか処理
量が少ない場合は、大径のビーズにより緩く充填され
る。
【0023】そして、前記ビーズ5の大きさは用途によ
って数mm〜数十mmの中から選択することができるし、充
填される量も適切に選択される。且つ、前記ビーズ5の
材質としては、アクリル、強誘電体の物質(例えば、B
aTiO3 )、ポリエチレン、ナイロン、鉛成分を包含
しないガラス、アルミナ系列のセラミックス、光触媒、
光触媒系列物質(例えば、TiO2 )、ニッケルメッキ
されたポリエチレンなどが用いられ、それらの形状とし
ては、空っぽ、または充填されたボール形状、破砕され
た形状及び円形の棒状などが適用されている。
【0024】そして、前記ビーズ5の最下層の下面及び
最上層の上面には所定形状の電極6がそれぞれ接触され
るように設置され、前記ハウジング2の外方側には高電
圧(30KV〜150KV)により数マイクロ秒、またはナ
ノ秒単位のパルスを発生させて該パルスを前記各電極6
に供給するパルス発振器7が設置され、該パルス発振器
7と前記各電極6とは電源線8により連結されている。
ここで、前記各電極6は、廃水が前記ハウジング2の内
部を通過するときの流れを妨害しないように、平板対ワ
イヤー、ワイヤー対ワイヤー及びシリンダー対ワイヤー
の何れか1つの形状を有するようになっている。
【0025】且つ、前記ハウジング2の下面及び上面に
は空気流入孔9及び空気排出孔10がそれぞれ穿孔形成
され、該空気流入孔9にはエアコンプレッサ11のよう
な圧縮空気発生手段が連結されて、廃水の処理時、前記
ハウジング2の内部に空気を流入させ、該空気は前記ビ
ーズ5の隙間を通過するとき衝突して細かく破壊されな
がら廃水を粉砕する役割を行うと共に、プラズマにより
オゾンが容易に発生されるように酸素を供給し、且つ前
記各電極6に電圧を印加するとき前記ビーズ5間にプラ
ズマを伝播する役割を行う。
【0026】また、前記エアコンプレッサ11とハウジ
ング2を連結する空気供給管12には前記ハウジング2
の内部に供給される圧縮空気の量を制御するレギュレー
タ13が装着されている。以下、このように構成された
本発明に係るプラズマ反応器を利用した廃水処理装置に
対し、図面を用いて説明する。
【0027】即ち、図2に示したように、流入される廃
水を収集、保管する廃水収集タンク14と、該廃水収集
タンク14に連結された第1連結管15により流入され
た廃水をプラズマを利用して処理する少なくとも1個以
上のプラズマ反応器1と、パルスを供給して前記プラズ
マ反応器1の内部でプラズマを発生させるパルス発振器
7と、前記プラズマ反応器1より1次処理された廃水が
第2連結管16を経由して流入されて貯留される貯蔵タ
ンク17と、該貯蔵タンク17に貯留された廃水の汚染
度を測定するための汚染測定装置26と、前記貯蔵タン
ク17に貯留された廃水を再度前記廃水収集タンク14
に送達するリターン管21と、から構成されている。
【0028】そして、前記廃水収集タンク14と前記貯
蔵タンク17間を連結するリターン管21の所定部位に
は、1次処理されて貯留された前記貯蔵タンク17内の
廃水の一部を前記廃水収集タンク14側に再流入させる
ためのポンピング力を発生するようにポンプ22が装着
され、前記貯蔵タンク17内の1次処理された廃水の汚
染程度を前記汚染測定装置26により測定したとき、汚
染程度が基準値以上であると前記廃水収集タンク14に
再流入させてプラズマ反応器1により再処理するように
なっている。
【0029】且つ、本発明に係るプラズマ反応器を複数
個設置するときは、直列、並列及び直、並列混用の何れ
か1つの方法により設置することができる。例えば、本
発明に係るプラズマ反応器を利用した廃水処理装置の第
1実施形態においては、図2に示したように、第1、第
2プラズマ反応器1a,1bを第3連結管18により直
列連結し、前記第2プラズマ反応器1bと貯蔵タンク1
7とを連結する第2連結管16には前記第1プラズマ反
応器1aに連結されたバイパス管19を連結する。ここ
で、前記第3連結管18及びバイパス管19にはバルブ
20a,20bがそれぞれ装着されている。
【0030】従って、1個の第1プラズマ反応器1aの
みを利用して汚染物質を処理した後貯蔵タンク17に排
出するときは、前記第3連結管18に装着されたバルブ
20aを閉鎖した後前記バイパス管19に装着されたバ
ルブ20bを開放して稼動させるが、2個のプラズマ反
応器を同時に利用して廃水内の汚染物質を処理するとき
は、前記第3連結管18に装着されたバルブ20aは開
放させて前記バイパス管19に装着されたバルブ20b
を閉鎖させた状態で稼働させるようになっている。
【0031】また、本発明に係るプラズマ反応器を利用
した廃水処理装置の第2実施形態においては、図3に示
したように、廃水内に包含された汚染物質の種類及び設
備の運用コストを節減させて、廃水を選択的に2次処理
するために、貯蔵タンク17に微生物処理反応器23が
第4連結管24により連結されていることを特徴とす
る。
【0032】ここで、前記微生物処理反応器23は、処
理する廃水の種類及び用途によって浮遊式、または内部
に微生物が付着して棲息する構造物を有する固定状式が
適用され、汚染物質の処理効率を増大させるために前記
微生物処理反応器23には、曝気手段として圧縮空気を
発生する前記エアコンプレッサ、またはモータの駆動に
より水流を発生するインペラが連結され、その他にも、
前記プラズマ反応器1の内部に圧縮空気を供給するエア
コンプレッサ11を空気供給管12により前記微生物処
理反応器23に連結して、両方側の曝気手段として用い
られるように構成することもできる。
【0033】このように構成されたプラズマ反応器を利
用した廃水処理装置の廃水処理方法においては、図4に
示したように、プラズマ反応器1による1次処理と、微
生物処理反応器23による2次処理とに大別され、よっ
て、本発明は、必要に応じてそれら反応器1,23を単
独に、または連携して運用して廃水を処理することがで
きる。
【0034】即ち、処理する廃水の種類及び量によって
廃水を1次処理するプラズマ反応器1の連結方式を決定
すると共に、廃水を2次処理する微生物処理反応器23
を運用すべきであるか否かを判断する。詳しくは、処理
する廃水の汚染程度が高濃度であると複数個のプラズマ
反応器を直列に連結して廃水の処理時間を最大限に延長
させるが、反対に処理が比較的簡単な低濃度の廃水であ
るとプラズマ反応器を並列に連結して単位時間当たりの
廃水の処理量を増大させる。
【0035】一方、塩素成分の包含された難分解性汚染
物質のPCBs ,PCE及びDCPを一層効率的に除去
するためには、プラズマ反応器のプラズマにより1つの
塩素基が除去されて1次処理された難分解性汚染物質が
微生物により分解されるように微生物処理反応器23を
連携して運用する。以下、本発明に係るプラズマ反応器
を利用した廃水処理装置の動作に対し説明する。
【0036】先ず、廃水の種類及び量によって設備の運
用システムを設定した状態で、廃水が廃水収集タンク1
4に流入されると、第1連結管15を経由してプラズマ
反応器1の内部に流入される。次いで、流入された廃水
によりハウジング2の内部に充填された複数個のビーズ
5の外周面に水膜25がそれぞれ形成される。
【0037】次いで、エアコンプレッサ11の駆動によ
り発生された圧縮空気がレギュレータ13により調整さ
れて前記ハウジング2の内部に供給されると、空気が水
膜を除いたビーズ5とビーズ5の隙間を通過しながら徐
々に破壊されると共に廃水も細かく破壊して、供給され
た酸素がプラズマにより容易にオゾンとなる雰囲気にな
る。
【0038】次いで、前記パルス発振器7の駆動により
前記ビーズ5の最上層及び最下層にそれぞれ接触されて
いる各電極6にパルスを加えると、ハウジング2の内部
にプラズマが発生して前記各ビーズ5の回りに水膜の形
態に存在する廃水がプラズマにより処理される。
【0039】このとき、前記パルス発振器7から各電極
に伝達されてプラズマを生成させるパルスの特性は、前
記プラズマ反応器1内の廃水処理能力に大きな影響を与
える。本発明は、従来のプラズマによる廃水処理装置が
有する150KV以上の高電圧を印加し、X線が発生され
る憂いがあるという問題点を次のような原理に基づいて
解決したものである。
【0040】水の誘電率(ε=81)は、空気の誘電率
(ε=1)に比べて非常に高く、その値はセラミックス
と対等な程度である。よって、図1に示したように、各
ビーズ5の回りに水膜25が形成されるとき、パルス発
振器7から発生されるパルスが前記各電極6にそれぞれ
供給されると、ハウジング2の内部にプラズマが形成さ
れて該ハウジング2を通過する廃水に包含された汚染物
質が破壊される。
【0041】即ち、前記各ビーズ5の間隔はそれらビー
ズ5の外周面に形成された水膜25の厚さと同じである
が、このときの水膜の厚さは数百μm程度であるため、
前記ハウジング2の内部に発生されたプラズマによる汚
染物質の破壊が可能になる。
【0042】詳しくは、数百μmの厚さを有する水膜に
30〜150KVの電圧を印加すると、非常に高い電気場
が形成されて各ビーズ5隙間に蜘蛛の巣のようなプラズ
マが形成され、該プラズマにより前記ハウジング2の内
部には強力なラジカルである酸素原子O、水素原子H、
オゾンO3 、過酸化水素H2 2 、紫外線UV及び水化
電子e-aq 等が発生される。これらのようなラジカル
は、廃水の内部に存在する汚染物質と反応し、特に、酸
素原子は酸素分子よりも千万倍程度の強力な酸化力を有
するため、殆どの汚染物質を酸化することができる。
【0043】且つ、このように汚染物質を除去するため
に必要なラジカルが現場で生産されて使用されるため、
効率が高く非常に経済的である。一方、前記ハウジング
2の内部に形成されたプラズマにより生成される水素原
子H及び水酸基OHは、廃水内に包含された窒素N及び
リンPを還元させる作用を行うため、廃水内の窒素N及
びリンPも容易に除去することができる。
【0044】たとえ、従来のオゾン発生器においてもオ
ゾンを発生するための酸素原子及び紫外線が生産された
が、廃水処理工程には10〜15分程度の比較的長い寿
命を持つオゾンが使用されるのに対し、酸素原子の寿命
が数秒に過ぎないため、酸素原子を包含する他のラジカ
ルは消滅されて、廃水の処理には適用されなかった。
【0045】上記のような動作により廃水内に包含され
た汚染物質をプラズマ反応器1により1次除去した後、
貯蔵タンク17の内部に流入させて、汚染物質の濃度を
測定し、汚染物質が完全に除去されて基準値を満足する
と川等に放流するようになっているが、前記貯蔵タンク
17内の廃水の汚染濃度が基準値以上であると、リター
ン管21に装着されたポンプ22を稼動して1次処理さ
れて前記貯蔵タンク21内に貯留された廃水を前記廃水
収集タンク14に再び移送した後、汚染物質が完全に除
去されるまで前述した処理過程を繰り返して廃水処理を
行う。
【0046】以上、汚染物質を包含する廃水をプラズマ
反応器の内部に流入させて処理する過程について説明し
たが、このようにプラズマ反応器のみを利用して汚染物
質を処理するときは、複数個のプラズマ反応器を直列連
結して使用するため電力消費量が増加して運用コストが
高くなる。
【0047】即ち、プラズマ反応器のみを利用してDC
P(ジクロロフェノール)を除去した図5の実験結果グ
ラフに示したように、廃水内の汚染物質を60%以上除
去するためには7個のプラズマ反応器を直列連結して運
用するか、または1個のプラズマ反応器を利用して7回
程度運用するようになっている。勿論、比較的処理が簡
単な汚染物質を包含する廃水の場合、プラズマ反応器に
よる1回の処理のみで汚染物質を100%除去すること
ができるため、廃水内に包含された汚染物質の種類及び
量によってプラズマ反応器の運用を決定すべきである。
【0048】しかし、工場などで排出される廃水は処理
が難しい汚染物質を多量に包含し、よって、数回の処理
が不可欠になって、システムの運用コストが上昇するた
め、図3に示したように、プラズマ反応器及び微生物処
理反応器を直列連結して汚染物質を処理した方がプラズ
マ反応器の運用時間を低減させると共に、運用コストの
殆どかからない微生物処理反応器23を使用することに
より、システムの運用コストを大幅に節減し得るという
メリットがある。
【0049】例えば、処理すべき廃水内に塩素成分を含
む難分解性汚染物質のPCBs ,PCE及びDCPなど
が包含されていると、それらは非常に安定しているた
め、如何なる微生物を用いても分解することができない
が、プラズマにより塩素基の1つを除去すると、微生物
処理反応器23を利用して容易に分解することができ
る。
【0050】即ち、DCPの1個の塩素基を除去した後
P.Putodu F1微生物により処理したときの図6の実験結
果グラフに示したように、プラズマ反応器1にて廃水に
包含された難分解性汚染物質の1個の塩素基を除去して
微生物処理反応器23に伝送すると、該微生物処理反応
器23内の微生物が前記1個の塩素基の除去された難分
解性汚染物質を48時間以内に100%処理することが
分かる。
【0051】従って、図7に示したように、プラズマ及
び微生物を連携して利用すると、プラズマ反応器のみで
処理を行うときの電力消費量が増大して難分解性汚染物
質の処理が不可能であることが同時に解決される。一
方、本発明のプラズマ反応器を単独に使用して上水の処
理を行うこともできる。
【0052】即ち、前述したようにプラズマ反応器1を
構成するハウジング2の内部には、電極6にパルスが供
給されるときに約10eV以上のエネルギーを有する蜘蛛
の巣のようなプラズマが形成されるが、このとき、理論
的には1eVのエネルギーは約10,000℃に該当する
ため、前記ハウジング2の内部に発生されるプラズマは
約100,000℃以上の温度を有するようになる。
【0053】勿論、電子の質量自体は極めて少ないた
め、上記のような温度を皮膚で感じることはできない
が、マイクロ的には、水中を通過するストリームにより
局部的に加熱された水は瞬間的に膨張されながら全体に
亘って衝撃波を発生させ、よって、水中の大腸菌のよう
な微生物が殺菌される。且つ、プラズマの形成時に発生
されるオゾンによっても大腸菌は死滅される。このよう
に、上水源の処理時には、単位時間当たり多量の水を処
理すべきであるため、複数個のプラズマ反応器を並列に
設置した方が一層好ましい。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のプラズマ
反応器及びそれを利用した廃水処理装置並びにその方法
においては、プラズマ反応器を構成するハウジングの内
部にプラズマを形成させて廃水内の汚染物質を1次処理
した後、微生物処理反応器にて2次処理を行うようにな
っているため、使用が簡便で設備費及び運用コストが低
減されるという効果がある。且つ、廃水の汚染程度及び
処理量によって設備の容量を容易に設計できるため、運
用による副作用が著しく低減されるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプラズマ反応器の実施の形態を示
した縦断面図である。
【図2】本発明に係るプラズマ反応器を利用した廃水処
理装置を示した概略図である。
【図3】本発明に係るプラズマ反応器及び微生物処理反
応器を利用した廃水処理装置を示した概略図である。
【図4】本発明に係るプラズマ反応器を利用した廃水処
理過程を示した一部フローチャートである。
【図5】本発明に係る廃水処理過程中、プラズマ反応器
のみを使用してDCPを除去した場合の実験結果を示し
たグラフである。
【図6】本発明に係る廃水処理過程中、プラズマ反応器
によりDCP内の1個の塩素基を除去した後 P.Putodu
F1微生物で処理した結果を示したグラフである。
【図7】本発明に係る廃水処理過程中、塩素基を有する
難分解性汚染物質の処理過程を示した過程図である。
【図8】従来の廃水処理方法を示したブロック図であ
る。
【符号の説明】
1,1a,1b…プラズマ反応器 2…ハウジング 3…廃水流入口 4…廃水排出口 5…ビーズ 6…電極 7…パルス発振器 9…空気流入孔 10…空気排出孔 11…エアコンプレッサ 13…レギュレータ 14…廃水収集タンク 17…貯蔵タンク 21…リターン管 22…ポンプ 23…微生物処理反応器
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭52−781(JP,A) 特開 昭61−15788(JP,A) 特開 平4−82556(JP,A) 特開 昭63−82666(JP,A) 特開 平2−284689(JP,A) 特開 平7−124567(JP,A) 特開 平1−210100(JP,A) 特開 昭61−25698(JP,A) 特開 平2−245290(JP,A) 特開 昭64−62163(JP,A) 特開 平10−323682(JP,A) 特開 平7−68269(JP,A) 特開 平1−152635(JP,A) 特開 平7−3984(JP,A) 特開 平7−214070(JP,A) 特開 平7−268675(JP,A) 特開 昭55−3812(JP,A) 特開 平10−323674(JP,A) 特開 昭56−37091(JP,A) 特開 昭61−86991(JP,A) 特開 昭63−44990(JP,A) 特開 平7−163984(JP,A) 実開 平1−150942(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 1/00 - 11/20

Claims (19)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 廃水流入口及び廃水排出口と、空気流入
    孔及び空気排出孔とが形成されたハウジングと、 該ハウジングの内部に充填された複数個の誘電体よりな
    ビーズと、 前記ハウジングの内部底面及び前記ビーズの最上層面に
    接触してそれぞれ設置された各電極と、 電源線により前記各電極に連結されて30〜150KV
    パルスを供給するパルス発振器と、を具備し、 前記空気流入孔より空気を供給しつつ各電極にパルスを
    供給してプラズマを発生させる ことを特徴とするプラズ
    マ反応器。
  2. 【請求項2】 前記各ビーズは、強誘電体、光触媒、ア
    クリル、ポリエチレン、ナイロン及びガラスの何れか1
    つにより構成されたことを特徴とする請求項1記載のプ
    ラズマ反応器。
  3. 【請求項3】 前記ガラスは、鉛成分を包含しないこと
    を特徴とする請求項2記載のプラズマ反応器。
  4. 【請求項4】 前記各ビーズの形状は、ボール形状、破
    砕された形状及び円形の棒状の何れか1つであることを
    特徴とする請求項1記載のプラズマ反応器。
  5. 【請求項5】 前記各電極の形状は、平板対ワイヤーで
    あることを特徴とする請求項1記載のプラズマ反応器。
  6. 【請求項6】 前記各電極の形状は、ワイヤー対ワイヤ
    ーであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ反応
    器。
  7. 【請求項7】 前記各電極の形状は、シリンダー対ワイ
    ヤーであることを特徴とする請求項1記載のプラズマ反
    応器。
  8. 【請求項8】 前記ハウジングの上、下部には空気流入
    孔及び空気排出孔がそれぞれ穿孔形成され、該空気流入
    孔には圧縮空気発生手段が連結されたことを特徴とする
    請求項1記載のプラズマ反応器。
  9. 【請求項9】 請求項1記載のプラズマ反応器を用いた
    廃水処理装置であって、流入される廃水を収集して保管
    する廃水収集タンクと、 第1連結管により前記廃水収集タンクに連結されて、流
    入する廃水内の汚染物質を処理する1個又は複数個の
    プラズマ反応器と、 前記プラズマ反応器より処理された廃水が第2連結管を
    経由して流入、貯留される貯蔵タンクと、 前記廃水収集タンクと前記貯蔵タンク間を連結するリタ
    ーン管と、から構成されたプラズマ反応器を利用した廃
    水処理装置。
  10. 【請求項10】 前記複数個のプラズマ反応器は、直
    列、並列及び直、並列混用の何れか1つの方法により連
    結されたことを特徴とする請求項9記載のプラズマ反応
    器を利用した廃水処理装置。
  11. 【請求項11】 前記貯蔵タンクには、微生物処理反応
    器が連結されたことを特徴とする請求項9記載のプラズ
    マ反応器を利用した廃水処理装置。
  12. 【請求項12】 前記微生物処理反応器には、曝気手段
    が連結されたことを特徴とする請求項11記載のプラズ
    マ反応器を利用した廃水処理装置。
  13. 【請求項13】 前記微生物処理反応器は、浮遊式また
    は固定状式であることを特徴とする請求項11記載のプ
    ラズマ反応器を利用した廃水処理装置。
  14. 【請求項14】 請求項1記載のプラズマ反応器を用い
    た廃水処理方法であって、 汚染物質の包含された廃水を廃水収集タンクに貯留する
    段階と、 該貯留された廃水を1個又は複数個の前記プラズマ反応
    器に送達して廃水内に包含された汚染物質を1次処理す
    る段階と、 該1次処理された廃水を貯蔵タンクに貯留してから放流
    する段階と、を順次行うことを特徴とするプラズマ反応
    器を利用した廃水処理方法。
  15. 【請求項15】 前記1個または複数個のプラズマ反応
    器を直列に設置することにより、高濃度廃水の処理時間
    を延長させることを特徴とする請求項14記載のプラズ
    マ反応器を利用した廃水処理方法。
  16. 【請求項16】 前記1個または複数個のプラズマ反応
    器を並列に設置することにより、単位時間当たりの廃水
    の処理量を増大させることを特徴とする請求項14記載
    のプラズマ反応器を利用した廃水処理方法。
  17. 【請求項17】 前記1個または複数個のプラズマ反応
    器により1次処理された廃水が前記貯蔵タンクの内部に
    流入された状態で廃水の処理濃度を測定し、廃水の処理
    濃度が基準値以上であると、前記1次処理された廃水を
    前記廃水収集タンクに再流入させて前記プラズマ反応器
    にて再処理する過程を反復することを特徴とする請求項
    14記載のプラズマ反応器を利用した廃水処理方法。
  18. 【請求項18】 前記1個または複数個のプラズマ反応
    器により汚染物質が処理された後貯蔵タンク内に貯留さ
    れた廃水を微生物処理反応器により2次処理を行って放
    流する段階を追加包含することを特徴とする請求項14
    記載のプラズマ反応器を利用した廃水処理方法。
  19. 【請求項19】 前記微生物処理反応器により廃水の2
    次処理を行うときは、曝気させることを特徴とする請求
    項14記載のプラズマ反応器を利用した廃水処理方法。
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