JP3234498B2 - 皮膜を有する鉄管類 - Google Patents

皮膜を有する鉄管類

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JP3234498B2
JP3234498B2 JP15983596A JP15983596A JP3234498B2 JP 3234498 B2 JP3234498 B2 JP 3234498B2 JP 15983596 A JP15983596 A JP 15983596A JP 15983596 A JP15983596 A JP 15983596A JP 3234498 B2 JP3234498 B2 JP 3234498B2
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monomer
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眞好 喜多川
康博 重松
哲夫 河崎
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Kurimoto Ltd
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L58/00Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation
    • F16L58/02Protection of pipes or pipe fittings against corrosion or incrustation by means of internal or external coatings
    • F16L58/04Coatings characterised by the materials used

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コア部が硬く、シ
ェル部が柔らかい特定のコア−シェル型共重合体の水性
分散液からの皮膜を有する防食性能にすぐれた鉄管類を
製造し、使用する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】鉄管類は、大部分が地中に埋設して上下
水道用やガス用の管路などを形成するが、該鉄管類の外
面は、通常、土壌内の腐食性雰囲気にさらされ、内面は
通水による腐食作用を受ける。また、腐蝕が進行しても
取替作業は交通事情もあり、困難なケースが多く、ま
た、鉄管類の運搬時および埋設時などにおける傷つきも
多い。このため、耐久性にすぐれ、かつ埋設時などにも
傷つきにくい被覆材が求められている。
【0003】特開昭52−148826号公報には、共
役ジオレフィンを必須成分とし、これにアクリル酸アル
キルエステル、メタクリル酸アルキルエステルのいずれ
かの単量体を加え、さらに、エチレン性不飽和芳香族単
量体およびエチレン性不飽和カルボン酸単量体などを加
えた単量体組成物の共重合体の水性分散液からの皮膜を
有する鉄管類が記載されている。
【0004】前記共重合体の水性分散液からの皮膜は、
良好な耐衝撃性を有してはいるが、鉄管の運搬時や埋設
の際に傷がつきやすく、傷がついた場所から錆が発生す
るトラブルがおこりやすい。また、長時間経過した鉄管
には錆が発生しやすい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記共重合体の水性分
散液を用いて鉄管類を被覆しても、傷つき防止性を高め
るためにポリマーを硬くすると、金属に対する密着性が
わるくなり、衝撃や曲げ加工により皮膜が鉄管から脱落
してその部分から錆が発生する欠点があり、傷つき防止
性および防食性能の高いレベルでの両立が困難である。
また、長期間経過後に乳化剤が水に溶け出し、皮膜の欠
陥部分が生じる欠点がある。そのため長期間にわたって
良好な防食性能を発現させることができていない。
【0006】本発明は、すぐれた傷つき防止性と耐衝撃
性を有し、金属との密着性にすぐれ、長期間経過後にも
良好な防食性能を発揮しうる水分散液からの皮膜を有す
る鉄管類を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記共重
合体の水性分散液を用いて被覆した鉄管類の塗膜の傷つ
き防止性を向上させるために共重合体の硬さを硬くする
と、金属との密着性がわるくなり、衝撃や曲げ加工によ
り被覆が鉄管から脱離してその部分から錆が発生する欠
点があり、また、長期間にわたって良好な防食性能を維
持することができないという欠点を改良するため鋭意研
究を重ねた結果、特定の共重合体の水性分散液を用いて
鉄管類の内面と外面または外面のみを被覆することによ
ってすぐれた傷つき防止性を有し、長期間にわたって良
好な防食性能を発現させることができることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、水性媒体中で、炭素
数4〜6の共役ジオレフィン0〜30%(重量%、以下
同様)と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体0〜7%
と、エチレン性不飽和芳香族単量体、炭素数1〜6のア
ルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび炭
素数1〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル
エステルの中から選ばれた少なくとも1種の単量体65
〜100%とからなる単量体組成物(a)を共重合させ
てえられた、ガラス転移温度が15〜50℃のコア部と
なる共重合体(A)の存在下に、炭素数4〜6の共役ジ
オレフィン15〜25%と、エチレン性不飽和カルボン
酸単量体3〜7%と、エチレン性不飽和芳香族単量体、
炭素数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸アルキル
エステルおよび炭素数1〜6のアルキル基を有するメタ
クリル酸アルキルエステルの中から選ばれた少なくとも
1種の単量体70〜82%とからなる単量体組成物
(b)を共重合させてえられた、ガラス転移温度が10
℃以下のシェル部となる共重合体(B)からなるコア−
シェル型共重合体の水性分散液からの皮膜を有する鉄管
類(請求項1)、共重合体(A)と共重合体(B)との
割合が、重量比で20/80〜70/30である請求項
1記載の鉄管類(請求項2)、単量体組成物(b)を重
合するに際し、反応性乳化剤を用いる請求項1または
記載の鉄管類(請求項、および共重合体(A)のT
g−共重合体(B)のTgが20℃以上で45℃以下で
ある請求項1、2または3記載の鉄管類(請求項4)
関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の皮膜を有する鉄管類は、
鉄管類の内面および外面または外面のみを、水性媒体中
炭素数4〜6の共役ジオレフィン0〜30%と、エチ
レン性不飽和カルボン酸単量体0〜7%と、エチレン性
不飽和芳香族単量体、炭素数1〜6のアルキル基を有す
るアクリル酸アルキルエステルおよび炭素数1〜6のア
ルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルの中か
ら選ばれた少なくとも1種の単量体65〜100%とか
らなる単量体組成物(以下、エチレン性不飽和芳香族単
量体および(または)(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルを主要成分とする単量体組成物(a)ともいう)
共重合してえられた、ガラス転移温度が15〜50℃の
コア部となる共重合体(A)の存在下に、炭素数4〜6
の共役ジオレフィン15〜25%と、エチレン性不飽和
カルボン酸単量体3〜7%と、エチレン性不飽和芳香族
単量体、炭素数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸
アルキルエステルおよび炭素数1〜6のアルキル基を有
するメタクリル酸アルキルエステルの中から選ばれた少
なくとも1種の単量体70〜82%とからなる単量体組
成物(以下、共役ジオレフィンを含有する単量体組成物
ともいう)(b)を共重合させてえられた、ガラス転移
温度が10℃以下のシェル部となる共重合体(B)から
なるコア−シェル型共重合体の水性分散液を用いて被覆
した防食性能にすぐれた鉄管類である。
【0010】前記コア−シェル型共重合体の水性分散液
を用いて被覆する鉄管類は、大部分が地中に埋設して上
下水道用やガス用の管路の形成に使用される鉄管類であ
り、このような用途に使用される鉄管類であるかぎりと
くに限定なく使用しうる。
【0011】前記コア−シェル型共重合体は、前述のご
とく、コア部とシェル部とからなる共重合体である。前
記コア部は、すぐれた傷つき防止性を示し、塗装中およ
び塗装後に傷がつきにくく、その結果、鉄管類の防食性
を向上させることを主目的に使用されるものである。ま
た、前記シェル部は、すぐれた耐衝撃性、耐屈曲性と密
着性とを付与するために使用されるものである。本発明
に使用するコア−シェル型共重合体の水性分散液を用い
て形成した皮膜は、そのコア部による硬さと耐衝撃性、
シェル部による柔軟性を組み合わせた総合としての性能
が向上したことにより、従来品にはなかったすぐれた効
果を奏する。
【0012】前記コア部は、水性媒体中でエチレン性不
飽和芳香族単量体および(または)(メタ)アクリル酸
アルキルエステルを主要成分とする単量体組成物(a)
を共重合してえられた、ガラス転移温度が15〜50℃
の共重合体(A)からなる。
【0013】前記主要成分とは、単量体組成物(a)中
におけるエチレン性不飽和芳香族単量体および(また
は)(メタ)アクリル酸アルキルエステルの使用割合が
65%以上、さらには70%以上のことである。上限は
100%である。単量体組成物(a)中におけるエチレ
ン性不飽和芳香族単量体および(または)(メタ)アク
リル酸アルキル酸エステルが主要成分であるため、えら
れるコア−シェル型共重合体の水性分散液からの塗膜を
硬くすることができ、すぐれた傷つき防止性を有する塗
膜にすることができ、塗装中および塗装後に傷がつきに
くくなる。
【0014】単量体組成物(a)として、エチレン性不
飽和芳香族単量体を使用するばあいには、すぐれた弾性
および強靱性を付与する点および経済性の点から好まし
く、また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを使用
するばあいには、すぐれた傷つき防止性を付与する点、
および重合速度が速くなる点から好ましく、さらに、エ
チレン性不飽和芳香族単量体および(メタ)アクリル酸
アルキルエステルを併用するばあいには、すぐれた傷つ
き防止性を付与する点、コストを低下する点、および重
合速度を速くする点から好ましい。
【0015】前記エチレン性不飽和芳香族単量体は、塗
膜層に耐衝撃性を付与するのに必要な成分であって、鉄
管類の防食性能の向上には寄与しないので、鉄管類の防
食性能を向上させることを主目的とするばあいには、こ
の成分を単量体組成物(a)の成分として用いることは
必ずしも必要ない。
【0016】前記エチレン性不飽和芳香族単量体の具体
例としては、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、
ビニルトルエン、クロロスチレン、2,4−ジブロモス
チレンなどがあげられる。これらのうちではスチレンが
経済性の点から好ましい。
【0017】また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエ
ステルの具体例としては、たとえばアクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル
酸イソプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプ
ロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチ
ル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタク
リル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、アク
リル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシルな
どがあげられる。これらのうちではメタクリル酸メチ
ル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸ブチルが他の単
量体との共重合性および経済性の点から好ましい。
【0018】単量体組成物(a)には、前記主要成分以
外にも共役ジオレフィンおよびエチレン性不飽和カルボ
ン酸単量体が含まれていてもよい。
【0019】単量体組成物(a)に共役ジオレフィンが
含まれているばあいには、共重合体(A)はゴム状弾性
体になる方向にあり、強靭性(耐衝撃性)のさらなる向
上の点から好ましい。また、その使用割合としては、単
量体組成物(a)中にしめる割合が30%以下、さらに
は10〜25%であるのが好ましい。
【0020】また、単量体組成物(a)には、エチレン
性不飽和カルボン酸単量体は必ずしも必要ではないが、
含まれているばあいには、単量体組成物(a)中にしめ
る割合が7%以下、さらには5%以下であるのが好まし
い。エチレン性不飽和カルボン酸単量体の使用割合が7
%をこえると、塗膜の耐水性が低下し、さらに重合終了
後のコア−シェル型共重合体の水性分散液をアルカリ性
物質でpH調整するときに粘度が高くなり、塗料または
塗料ベース組成物として不適当なものとなる傾向にあ
る。
【0021】前記共役ジオレフィンの具体例としては、
たとえばブタジエン−1,3、2−クロロブタジエン−
1,3、2,3−ジメチルブタジエン−1,3などがあ
げられるが、他の単量体との共重合性および経済性を考
慮すれば、ブタジエン−1,3の使用が好ましい。
【0022】また、前記エチレン性不飽和カルボン酸単
量体の具体例としては、たとえばアクリル酸、メタクリ
ル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸
などのエチレン性不飽和モノまたはジカルボン酸、およ
びマレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコ
ン酸モノn−ブチルなどの不飽和ジカルボン酸モノアル
キルエステルなどがあげられる。これらのうちでは、他
の単量体との共重合性および経済性の点からアクリル酸
の使用が好ましい。
【0023】さらに、さしつかえない限り、これらと共
重合可能な他の単量体を弾性と強靭性を補助するなどの
ために1種以上使用してもよい。
【0024】このような単量体の具体例としては、たと
えばアクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽
和ニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バサル
チック酸ビニルなどのビニルエステル、塩化ビニリデ
ン、臭化ビニリデンなどのビニリデンハライド、アクリ
ル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシ
プロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタク
リル酸2−ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和
カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸
グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエチレン性
不飽和カルボン酸のグリシジルエステルおよびアクリル
アミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミ
ド、ヒドロキシメチルジアセトンアクリルアミドなどが
あげられる。
【0025】ところで、共重合体(A)のガラス転移温
度(以下Tgという)は、15〜50℃、さらには25
〜47℃である。Tgが50℃をこえると硬くなりす
ぎ、耐衝撃性が低下することになり、15℃未満では柔
らかくなりすぎ、塗膜の強靭性が低下することになる。
【0026】Tgは、式: 1/Tg = Σ[W(i)/Tg(i)] (式中、W(i)は重合体の単量体(i)の重量分率、
Tg(i)は単量体(i)の単独重合体のTgを絶対温
度で表わした値である)により計算された値である。代
表的な単独重合体のTgを示すと、つぎのとおりであ
る。
【0027】ポリ(1,3−ブタジエン)=−85℃、
ポリスチレン=+100℃、ポリメタクリル酸メチル=
+105℃、ポリメタクリル酸=+144℃、ポリアク
リル酸=+87℃、ポリアクリロニトリル=+105
℃、ポリアクリル酸エチル=−24℃、ポリアクリル酸
ブチル=−56℃、ポリアクリル酸2−エチルヘキシル
=−70℃。
【0028】単量体組成物(a)における各単量体の使
用割合は、エチレン性不飽和芳香族単量体および(また
は)(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主要成分と
し、前記範囲のTgがえられるものであり、好ましい具
体例としては、(1)炭素数4〜6の共役ジオレフィン
を0〜30%と、(2)エチレン性不飽和カルボン酸単
量体を0〜7%と、(3)エチレン性不飽和芳香族単量
体、炭素数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸アル
キルエステルおよび炭素数1〜6のアルキル基を有する
メタクリル酸アルキルエステルの中から選ばれた少なく
とも1種の単量体を65〜100%とを含む単量体組成
物がえられるコア−シェル型共重合体にすぐれた傷つき
防止性を付与する点および重合速度が速くなる点から好
ましい。
【0029】前記シェル部は、前記コア部の存在下に、
共役ジオレフィンを含有する単量体組成物(b)を共重
合させてえられるガラス転移温度が10℃以下の共重合
体(B)からなる。
【0030】前記共役ジオレフィンの割合は、共重合体
(B)のガラス転移温度が10℃以下になるものであ
、ガラス転移温度が10℃以下で強靭性にすぐれる点
から、好ましくは15〜25%である。単量体組成物
(b)には、共役ジオレフィン以外にエチレン性不飽和
カルボン酸単量体、エチレン性不飽和芳香族単量体、
炭素数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸アルキル
エステル、炭素数1〜6のアルキル基を有するメタクリ
ル酸アルキルエステルから選ばれた1種以上が含有され
【0031】単量体組成物(b)に含有される共役ジオ
レフィン以外の成分の単量体組成物(b)にしめる割合
としては、エチレン性不飽和カルボン酸単量体が3〜7
%であるのが防食性の点から好ましい。また、前記エチ
レン性不飽和芳香族単量体、炭素数1〜6のアルキル基
を有するアクリル酸アルキルエステルおよび炭素数1〜
6のアルキル基を有するメタアクリル酸アルキルエステ
ルの1種以上が70〜82%になるように、エチレン性
不飽和芳香族単量体が20〜70%、さらには25〜6
5%含まれるのが弾性と強靭性の点から好ましく、ま
た、前記アクリル酸アルキルエステルが10〜30%、
さらには15〜25%含まれるのが弾性と強靭性の点か
ら好ましく、さらに、前記メタクリル酸アルキルエステ
ルが20〜70%、さらには25〜55%含まれるのが
弾性と強靱性の点から好ましい。前記共役ジオレフィン
〜メタクリル酸アルキルエステルからなる単量体組成物
(b)には、前記単量体と共重合可能な単量体が含まれ
ていてもよい。
【0032】前記共役ジオレフィン、エチレン性不飽和
カルボン酸単量体、エチレン性不飽和芳香族単量体、炭
素数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエ
ステル、炭素数1〜6のアルキル基を有するメタクリル
酸アルキルエステルおよびこれらと共重合可能な単量体
を使用する理由、それらの具体例などは、前記単量体組
成物(a)のばあいと同一であるため省略する。
【0033】ところで、共重合体(B)のTgは10℃
以下、さらには6℃以下で、通常は0℃以上のものが使
用される。Tgが10℃をこえると鉄管との密着性が低
下し、防食性能がわるくなる。
【0034】なお、Tgの調整方法およびTgの計算方
法は前記共重合体(A)のばあいと同一であるため省略
する。
【0035】前記コア−シェル型共重合体における共重
合体(A)と共重合体(B)との割合は、重量比で20
/80〜70/30、さらには30/70〜60/40
であるのが、弾性と強靭性、密着性および防食性の点か
ら好ましい。
【0036】また、前記コア−シェル型共重合体におけ
る共重合体(A)のTgと共重合体(B)のTgとは、
前記それぞれのTgの範囲にあることに加えて、共重合
体(A)のTg−共重合体(B)のTgが20℃以上で
45℃以下の関係にあることが弾性と強靭性、密着性お
よび防食性の点から好ましい。
【0037】前記コア−シェル型共重合体の水性分散液
の製法にはとくに限定はなく、従来からよく知られてい
るいずれの方法で製造してもよい。たとえば(1)オー
トクレーブに共重合体(A)を仕込み、たとえばブタジ
エン、これと共重合可能なエチレン性不飽和基を有する
単量体組成物(b)、イオン交換水、乳化剤および重合
助剤を仕込み、所定の温度、たとえば70〜80℃に到
達したのち、重合開始剤を添加して乳化重合を行ない、
コア−シェル型共重合体の水性分散液をうる方法、
(2)オートクレーブに予め、イオン交換水、乳化剤、
重合助剤を仕込み、所定の温度たとえば70〜80℃に
到達したのち、単量体組成物(a)ならびに重合開始剤
を仕込んで重合させたのち、たとえばブタジエンおよび
これと共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量体
などの単量体組成物(b)ならびに重合開始剤などを連
続的に添加して乳化重合を行ない、コア−シェル型共重
合体の水性分散液をうる方法などがあげられる。
【0038】前記(1)の方法で使用する共重合体
(A)または(2)の方法で単量体組成物(a)を仕込
んで重合させたものの平均粒子径としては、50〜20
0nm、さらには80〜150nmであるのが、コア−
シェル型としたときの粒子径の点から好ましく、また、
単量体組成物(b)を仕込んで重合させたコア−シェル
型共重合体の平均粒子径としては、60〜300nm、
さらには90〜200nmであるのが、塗料としたとき
の粘度が安定する点から好ましい。
【0039】また、前記水性分散液の濃度としては、4
0〜60%、さらには48〜52%であるのが、塗料と
したときの粘度が安定する点から好ましい。
【0040】なお、前記水性分散液とは、水を媒体と
し、これにコア−シェル型共重合体が分散した液のこと
であるが、媒体として水の他に、コア−シェル型共重合
体の水性分散液を用いて塗膜を形成したときに共重合体
が均一な膜となるためにアルコール類、グリコール類、
セロソルブ類、カルビトール類などの有機溶剤を水に対
して5%未満の範囲で含有するものも含む概念である。
ただし、有機溶剤を含まない方が安全衛生上好ましい。
【0041】前記乳化剤としては、一般にエマルジョン
重合に使用される乳化剤、たとえばスルホン酸型アニオ
ン乳化剤、硫酸エステル型アニオン乳化剤、ノニオン型
乳化剤なども使用することができるが、重合性エチレン
性不飽和基を有する反応性乳化剤を用いると、コア−シ
ェル型共重合体の水性分散液を用いて塗膜を形成し、長
期間使用しても、乳化剤が溶け出しにくく、塗膜に欠陥
が生じにくく、長期間にわたって良好な防食性能をうる
ことができるため好ましい。
【0042】前記重合性エチレン性不飽和基を有する反
応性乳化剤としては、市販の重合性エチレン性不飽和基
を有する反応性乳化剤が広く用いられる。その具体例と
しては、たとえばスチレンスルホン酸塩類、ビニルスル
ホン酸塩類、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート
またはその硫酸エステル塩類(たとえば三洋化成工業
(株)製のエレミノールRS−30)、アリル基を導入
したスルホコハク酸アルキルエステル塩類(たとえば三
洋化成工業(株)製のエレミノールJS−2、花王
(株)製のS−180)、アリル基を導入したポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテルまたはその硫酸エ
ステル塩類(たとえば旭電化工業(株)製のアデカリア
ソープ)、プロペニル基を導入したポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテルまたはその硫酸エステル塩類
(たとえば第一工業製薬(株)製のアクアロン)などが
あげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を
組み合わせて用いてもよい。
【0043】前記反応性乳化剤などの乳化剤量について
もとくに限定はなく、通常使用される量である、単量体
組成物(a)および単量体組成物(b)の合計量に対し
て0.2〜5%程度であればよい。
【0044】前記重合開始剤としては、通常乳化重合に
用いられるものであればさしつかえなく使用することが
できる。たとえば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム
などの過硫酸塩や、tert−ブチルハイドロパーオキ
サイド、クメンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸
化物などがあげられる。
【0045】前記重合助剤の具体例として、たとえばド
デシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタンのごと
き分子量調整剤、粒子径調整のための電解質、たとえば
エチレンジアミン四酢酸アンモニウムなどの金属イオン
封鎖のためのキレート剤、レドックス反応のための還元
剤などを任意に用いることができる。
【0046】前記の方法で製造されるコア−シェル型共
重合体の水性分散液は、通常ストリッピングにより未反
応のモノマーが除去され、必要によりアンモニア、苛性
ソーダ、苛性カリなどで水性分散液のpHを調整して用
いられる。
【0047】前記コア−シェル型共重合体の水性分散液
は、単量体の重合率がほとんど100%になるまで重合
させることが可能であり、しかも塗料配合においても、
有機溶剤の添加をとくに必要としない完全な水系ビヒク
ルにすることができるため、当然ながら、このばあいに
は安全衛生上の問題は解消される。
【0048】前記水性分散液中の共重合体は、コア−シ
ェル構造を有し、コア部が硬く、シェル部が柔らかい構
造であるため、成膜性、密着性がよく、強靭な皮膜をう
ることができる。このため塗料組成物として使用する
と、強靭で密着性のよい塗膜を成膜性よく形成すること
ができ、従来のものと比較して防食性が一段と向上した
鉄管類がえられる。
【0049】また、コア−シェル型共重合体の共重合成
分としてエチレン性不飽和カルボン酸単量体を使用する
ばあいには、コア−シェル型共重合体が微弱な吸水性を
有し、少量の水を含むため、塗膜に傷がついたときに
も、鉄表面と塗膜表面との電位差が小さくなり、錆の発
生を少なくすることができる。さらに、コア−シェル型
共重合体を製造するとき、とくにシェル部を製造すると
きの乳化剤として、反応性乳化剤、とくにアリル基を導
入したポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルま
たはその硫酸エステル塩類(たとえば旭電化工業(株)
製のアデカリアソープ)を使用するばあいには、塗膜形
成後の長期間の使用によっても乳化剤の溶出が抑制さ
れ、乳化剤の溶出による塗膜欠陥の発生が少なくなり、
防食性能のさらなる向上をはかることができる。
【0050】本発明に使用するコア−シェル型共重合体
の水性分散液を鉄管類に塗布するにあたっては、スプレ
ー塗装、ハケ塗り、ロール塗りなどの方法に対する塗装
適性をあたえるため、必要に応じてこの水性分散液以外
に各種添加剤を配合してもよい。
【0051】前記添加剤としては、塗装に必要な粘度を
付与するために、たとえばメチルセルロース、カルボキ
シメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリ
ドン、アンモニアカゼイン、ポリビニルアルコール、ア
ルカリ可溶性ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸
塩、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイドなど
の水溶性高分子が添加される。
【0052】また、必要に応じて水溶性または水分散性
の熱硬化性樹脂、たとえばメチロール化またはアルコキ
シメチル化された尿素、メラミンなどの多官能性アミノ
化合物とホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド−グ
リオキザール混合物との前縮合物で代表されるアミノホ
ルマリン樹脂やエポキシ樹脂、フェノール樹脂およびキ
シレン樹脂などを添加してもよい。
【0053】さらに、さしつえないかぎり、必要に応じ
てジンククロメートやストロンチウムクロメートなどの
防錆顔料、カーボンブラック、二酸化チタンなどの着色
顔料、炭酸カルシウム、タルク、クレー、水酸化アルミ
ニウムなどの体質顔料やタールエマルジョン、ピッチエ
マルジョンおよびアスファルトエマルジョンなどを添加
してもよい。
【0054】そのほか、塗料配合、貯蔵、塗装作業など
の工程で要求される性状を付与するために、たとえばコ
ロイド安定剤、分散剤、湿潤剤、顔料沈降防止剤、消泡
剤、凍結防止剤、防炎剤、防かび剤、造膜助剤、レベリ
ング剤および垂れ防止剤などとして作用する添加剤を、
必要に応じて配合してもよい。
【0055】本発明の鉄管類は、前記コア−シェル型共
重合体の水性分散液に必要に応じて加えられた添加剤を
含むもの(塗料組成物)をエアーレススプレー、エアー
スプレー、ロール、ハケ塗装などにより鉄管類の表面に
塗膜層の厚さが60μm以上120μm以下となるよう
に塗装したものである。
【0056】前記塗料組成物を塗装するに際しては、鉄
管が予め60〜90℃に加熱されていることが望まし
い。たとえば70℃に加熱されている鉄管類に塗装した
ばあい、鉄管の温度によって塗料が速やかに乾燥し、鉄
管表面との密着性にすぐれた強靭で弾性のある均一な塗
膜層を形成することができる。この塗膜層は錆の発生し
ない防食性能が格段にすぐれたものである。
【0057】
【実施例】つぎに実施例によって本発明の鉄管類をさら
に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも
のではない。なお、以下の実施例中「部」とあるのは
「重量部」を示す。
【0058】実施例1 表1記載の実施例番号1の単量体組成物(a)30部、
反応性乳化剤(アリル基を導入したポリオキシエチレン
アルキルフェニルエーテルまたはその硫酸エステル塩
類、旭電化工業(株)製のアデカリアソープ)0.5
部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム0.05部、
過硫酸アンモニウム0.3部およびイオン交換水150
部をチッ素置換した撹拌翼付オートクレーブに仕込み、
70℃で重合率が98%以上となるまで重合を行ない、
室温まで冷却後、表1記載の実施例番号1の単量体組成
物(b)70部、反応性乳化剤(アデカリアソープ)
0.5部、第3級ドデシルメルカプタン1.0部、エチ
レンジアミン四酢酸アンモニウム0.05部、過硫酸カ
リウム0.1部をさらに仕込み、70℃で重合率が98
%以上となるまで重合を行ない、ついでストリッピング
により未反応単量体を除去した。
【0059】えられた共重合体水性分散液の25℃にお
けるB型粘度および下記方法による機械的安定性を評価
した。
【0060】また、えられた共重合体水性分散液を、予
め脱脂されたサンドブラスト軟鋼板(日本テストパネル
(株)製、JIS G 3141、2.0×70×15
0m/m)に10ミルのアプリケーターを用いて塗布
し、80℃で10分間熱風乾燥させて5日間室温で放置
したあと、下記方法による塗膜物性試験(防食性能試
験、耐屈曲性、耐衝撃性、傷つき防止性)に供した。
【0061】共重合体水性分散液の性状および塗膜物性
試験の結果を表1に示す。
【0062】(機械的安定性)共重合体水性分散液50
mlをマーロン機械的安定性試験機を使用して、荷重1
5kgで10分間試験したあとの凝集物発生量の割合を
固形分%で表示した。
【0063】(防食性能試験) 耐酸性:試験片を0.1N硫酸水溶液中に浸漬し、室温
で放置して7日間経過後に取り出したあとの状態を目視
観察し、変化のないものを良好、塗膜にフクレが少し生
じたものを少しフクレと判定した。 耐アルカリ性:試験片を0.1N苛性ソーダ水溶液中に
浸漬し、室温で放置して7日間経過後に取り出したあと
の状態を目視観察し、変化のないものを良好、塗膜にフ
クレが少し生じたものを少しフクレ、塗膜のフクレが大
きいものをフクレ大と判定した。 耐湿性:試験片を50℃、95%RH下に120時間置
いたあとの状態を目視観察し、変化のないものを良好、
赤い錆が少しでも発生したものを赤錆発生と判定した。 耐塩水噴霧性:試験片にJIS K5400に規定され
る条件下に120時間置いたあとの状態を目視観察し、
変化のないものを良好、赤い錆が少しでも発生したもの
を赤錆発生と判定した。
【0064】(耐屈曲性)試験片の塗装していない面側
に10mmφの鉄棒をあて、試験片を180°おり曲げ
たときの塗装面の状態を目視観察し、ワレが発生してい
ないものを合格、少しでもワレが発生しているものをワ
レ発生と判定した。
【0065】(耐衝撃性)試験片の塗装面側にデュポン
耐衝撃試験機の1/2インチ丸型をあて、500gの分
銅を所定の高さから落下させ、塗膜がワレたときの高さ
を測定した。
【0066】(傷つき防止性)予め脱脂されたサンドブ
ラスト軟鋼板(日本テストパネル(株)製、JISG
3141、2.0×70×150m/m)を80℃まで
熱風乾燥炉中で加熱したのち、エアースプレーで塗膜乾
燥膜厚が100±10μmになるように塗料を塗装し、
ただちに厚さ10mm×300mmの80℃に加熱さ
れた鋼板上におき(厚さ2mmの軟鋼板では熱容量が小
さく、すぐ冷却されるので、実際の管の冷却速度にする
ため)、1分間放置したのち、10mmφの鉄棒を塗膜
上で試験板の長手方向(長さ150mm)に1回転が
し、塗膜の傷のつき方を目視観察し、傷のないものを
◎、表面だけの傷のばあいを○、素地まで傷がついてい
るばあいを×と判定した。
【0067】実施例2〜3 表1記載の実施例番号2〜3の単量体組成物(a)40
部、反応性乳化剤(アデカリアソープ)0.5部、エチ
レンジアミン四酢酸アンモニウム0.05部、過硫酸ア
ンモニウム0.3部およびイオン交換水150部をチッ
素置換した撹拌翼付オートクレーブに仕込み、70℃で
重合率が98%以上になるまで重合を行ない、室温まで
冷却後、表1記載の実施例番号2〜3の単量体組成物
(b)60部、反応性乳化剤(アデカリアソープ)0.
5部、第3級ドデシルメルカプタン1.0部、エチレン
ジアミン四酢酸アンモニウム0.05部、過硫酸カリウ
ム0.1部をさらに仕込み、70℃で重合率が98%以
上となるまで重合を行ない、ついでストリッピングによ
り未反応単量体を除去した。
【0068】つぎにアンモニアでpHを7.5に調整
し、固形分40%の共重合体水性分散液を調製した。
【0069】えられた共重合体水性分散液の25℃にお
けるB型粘度および実施例1と同様の方法による機械的
安定性を評価した。
【0070】また、えられた共重合体水性分散液を実施
例1と同様の塗膜物性試験に供した。
【0071】共重合体水性分散液の性状および塗膜物性
試験の結果を表1に示す。
【0072】実施例4 表1記載の実施例番号4の単量体組成物(a)60部、
反応性乳化剤(アデカリアソープ)1.5部、第3級ド
デシルメルカプタン1.0部、エチレンジアミン四酢酸
アンモニウム0.05部、過硫酸アンモニウム0.3部
およびイオン交換水150部をチッ素置換した撹拌翼付
オートクレーブに仕込み、70℃で重合率が98%以上
となるまで重合を行ない、表1記載の実施例番号4の単
量体組成物(b)40部をさらに2時間かけて滴下して
仕込み、70℃で重合率が98%以上となるまで重合を
行ない、ついでストリッピングにより未反応単量体を除
去した。
【0073】つぎにアンモニアでpHを7.5に調整
し、固形分40%の共重合体水性分散液を調製した。
【0074】えられた共重合体水性分散液の25℃にお
けるB型粘度および実施例1と同様の方法による機械的
安定性を評価した。
【0075】また、えられた共重合体水性分散液を実施
例1と同様の塗膜物性試験に供した。
【0076】共重合体水性分散液の性状および塗膜物性
試験の結果を表1に示す。
【0077】実施例5 表1記載の実施例番号5の単量体組成物(a)60部、
アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ(乳化剤)0.5
部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム0.05部、
過硫酸アンモニウム0.3部およびイオン交換水150
部をチッ素置換した撹拌翼付オートクレーブに仕込み、
70℃で重合率が98%以上となるまで重合を行ない、
室温まで冷却後、表1記載の実施例番号5の単量体組成
物(b)40部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ
(乳化剤)0.5部、第3級ドデシルメルカプタン1.
0部、エチレンジアミン四酢酸アンモニウム0.05
部、過硫酸カリウム0.1部をさらに仕込み、70℃で
重合率が98%以上となるまで重合を行ない、ついでス
トリッピングにより未反応単量体を除去した。
【0078】えられた共重合体水性分散液の25℃にお
けるB型粘度および実施例1と同様の方法による機械的
安定性を評価した。
【0079】えられた共重合体水性分散液を実施例1と
同様の塗膜物性試験に供した。
【0080】共重合体水分散物の性状および塗膜物性試
験の結果を表1に示す。
【0081】実施例6 表1記載の実施例番号6の単量体組成物(a)40部、
反応性乳化剤(アデカリアソープ)1.5部、第3級ド
デシルメルカプタン1.0部、エチレンジアミン四酢酸
アンモニウム0.05部、過硫酸アンモニウム0.3部
およびイオン交換水150部をチッ素置換した撹拌翼付
オートクレーブに仕込み、70℃で重合率が98%とな
るまで重合を行ない、表1記載の実施例番号6の単量体
組成物(6)60部をさらに2時間かけて滴下して仕込
み、70℃で重合率が98%以上となるまで重合を行な
い、ついでストリッピングにより未反応単量体を除去し
た。
【0082】つぎにアンモニアでpHを7.5に調整
し、固形分40%の共重合体水性分散液を調製した。
【0083】えられた共重合体水性分散液の25℃にお
けるB型粘度および実施例1と同様の方法による機械的
安定性を評価した。
【0084】また、えられた共重合体水性分散液を実施
例1と同様の塗膜物性試験に供した。
【0085】共重合体水性分散液の性状および塗膜物性
試験の結果を表1に示す。
【0086】比較例1〜2 表1記載の比較例番号1〜2の単量体組成物(a)40
部、反応性乳化剤(アデカリアソープ)0.5部、エチ
レンジアミン四酢酸アンモニウム0.05部、過硫酸ア
ンモニウム0.3部およびイオン交換水150部をチッ
素置換した撹拌翼付オートクレーブに仕込み、70℃で
重合率が98%以上となるまで重合を行ない、室温まで
冷却後、表1記載の比較例番号1〜2の単量体組成物
(b)60部、反応性乳化剤(アデカリアソープ)0.
5部、第3級ドデシルメルカプタン1.0部、エチレン
ジアミン四酢酸アンモニウム0.05部、過硫酸カリウ
ム0.1部をさらに仕込み、70℃で重合率が98%以
上となるまで重合を行ない、ついでストリッピングによ
り未反応単量体を除去した。
【0087】えられた共重合体水性分散液の25℃にお
けるB型粘度および実施例1と同様の方法による機械的
安定性を評価した。
【0088】また、えられた共重合体水性分散液を実施
例1と同様の塗膜物性試験に供した。
【0089】共重合体水分散物の性状および塗膜物性試
験の結果を表1に示す。
【0090】比較例3 表1記載の比較例番号3の単量体組成物(b)100
部、反応性乳化剤(アデカリアソープ)1.5部、第3
級ドデシルメルカプタン1.0部、エチレンジアミン四
酢酸アンモニウム0.05部、過硫酸アンモニウム0.
3部およびイオン交換水150部をチッ素置換した撹拌
翼付オートクレーブに仕込み、70℃で重合率が98%
以上となるまで重合を行ない、室温まで冷却後、ついで
ストリッピングにより未反応単量体を除去した。
【0091】えられた共重合体水性分散液の25℃にお
けるB型粘度および実施例1と同様の方法による機械的
安定性を評価した。
【0092】また、えられた共重合体水性分散液を実施
例1と同様の塗膜物性試験に供した。
【0093】共重合体水分散物の性状および塗膜物性試
験の結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】表1の結果から、比較例の共重合体水性分
散液を塗装するばあいに比べて、実施例の共重合体水性
分散液を塗装したばあい、極めて良好な防食性能を示す
ことがわかる。とくに反応性乳化剤を用いたばあいの防
食性能が良好である。
【0096】実施例7〜12および比較例4〜6 実施例1〜6、比較例1〜3でえられた共重合体の水性
分散液100部に対して、タルク150部および消泡剤
(ノプコNXZ:サンノプコ(株)製)0.5部を混合
し、さらに適量のアンモニア水およびイオン交換水を加
えてpH7.5で固形分60%の混合物をえた。えられ
た混合物をサンドグラスターミルで30分間練肉して塗
料を調製した。
【0097】えられた塗料の貯蔵安定性を下記方法によ
り調べた。また、予め脱脂されたサンドブラスト軟鋼板
(日本テストパネル(株)製、JIS G 3141
2.0×70×150m/m)に亜鉛を溶射して塗装し
たのち、エアースプレーで塗膜乾燥膜厚が100±10
μmになるように該塗料を塗装し、80℃で10分間熱
風乾燥させて7日間室温で放置したのち、塗面の状態を
下記方法により評価するとともに、塗膜物性試験に供し
た。
【0098】結果を表2に示す。
【0099】(貯蔵安定性)塗料300mlをガラス瓶
に入れ、20℃で30日間静置したのちの状態を目視観
察し、沈澱物、浮遊物、分離のないものを良好と判定し
た。
【0100】(塗面の状態)亜鉛を溶射したサンドブラ
スト軟鋼板に塗料をエアースプレー塗装したのち、80
℃で10分間乾燥させ、ついで室温で7日間放置したの
ちの塗面の状態を目視観察し、表面に傷、クラック、フ
クレ、泡などがなくきれいなものを良好と判定した。
【0101】(密着性)試験片の塗面上に1mm×1m
mの升目が100個になるようにカッターナイフにて鉄
板に達する傷をつけ、セロテープを升目上に貼り合せ9
0°方向にひきはがし、100個の升目のうち剥離しな
かった数を調べることにより密着性を評価した。
【0102】(防食性能試験) 耐水性:試験片を水道水中に浸漬し、室温で放置して6
0日間経過後に取り出したあとの状態を目視観察し、変
化のないものを良好、白い錆が少しでも発生したものを
白錆発生と判定した。 耐酸性:試験片を0.1N硫酸水溶液中に浸漬し、室温
で放置して7日間経過後に取り出したあとの状態を目視
観察し、変化のないものを良好、塗膜にフクレが少し生
じたものを少しフクレと判定した。 耐アルカリ性:試験片を0.1N苛性ソーダ水溶液中に
浸漬し、室温で放置して7日間経過後に取り出したあと
の状態を目視観察し、変化のないものを良好、塗膜にフ
クレが少し生じたものを少しフクレ、塗膜のフクレが大
きいものをフクレ大と判定した。 耐湿性:試験片を50℃、95%RH下に120時間置
いたあとの状態を目視観察し、変化のないものを良好、
白い錆が少しでも発生したものを白錆発生と判定した。 耐塩水噴霧性:試験片にJIS K5400に規定され
る条件下に120時間置いたあとの状態を目視観察し、
変化のないものを良好、白い錆が少しでも発生したもの
を白錆発生と判定した。
【0103】(耐屈曲性、耐衝撃性および傷つき防止
性)実施例1と同様の方法により行なった。
【0104】
【表2】
【0105】表2に示すように、比較例の共重合体水性
分散液を用いた塗料に比べて実施例の共重合体水性分散
液を用いた塗料を鉄板に塗布したものは、極めて良好な
密着性および防食性能を示すことがわかる。とくに、反
応性乳化剤を使用したばあいに防食性能がよくなる。
【0106】実施例13〜18および比較例7〜9 実施例7〜12で調製した塗料と比較例4〜6で調製し
た塗料を、それぞれ亜鉛溶射したダクタイル鋳鉄管から
切り出した試験片(150mm×70mm×6mm厚
さ)を60〜70℃に予熱したのち、エアスプレーによ
って乾燥後の膜厚が100±10μmとなるように塗装
し、80℃で10分間熱風乾燥し、7日間室温で放置し
たものを実施例13〜18および比較例7〜9とした。
実施例7〜12と同様にして目視により塗面の状態を調
べたのち、各試験片を防食性能試験に供した。結果を表
3に示す。
【0107】
【表3】
【0108】表3に示すように、比較例の塗料に比べて
実施例の塗料を試験片に塗布したものは、極めて良好な
防食性能を示すことがわかる。とくに、反応性乳化剤を
使用したものの性能がよい。
【0109】
【発明の効果】本発明の鉄管類は、長期間経過後にも塗
膜層に錆が発生せず、防食性能のすぐれたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI F16L 58/04 F16L 58/04 (72)発明者 道浦 吉貞 大阪市西区北堀江一丁目12番19号 株式 会社栗本鐵工所内 (72)発明者 喜多川 眞好 大阪市西区北堀江一丁目12番19号 株式 会社栗本鐵工所内 (72)発明者 重松 康博 千葉県市原市郡本1−227 (72)発明者 河崎 哲夫 千葉県市原市郡本1426−2 (56)参考文献 特開 昭64−51475(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 257/00 - 279/06 C08F 2/44

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水性媒体中で、炭素数4〜6の共役ジオ
    レフィン0〜30重量%と、エチレン性不飽和カルボン
    酸単量体0〜7重量%と、エチレン性不飽和芳香族単量
    体、炭素数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸アル
    キルエステルおよび炭素数1〜6のアルキル基を有する
    メタクリル酸アルキルエステルの中から選ばれた少なく
    とも1種の単量体65〜100重量%とからなる単量体
    組成物(a)を共重合させてえられた、ガラス転移温度
    が15〜50℃のコア部となる共重合体(A)の存在下
    に、炭素数4〜6の共役ジオレフィン15〜25重量%
    と、エチレン性不飽和カルボン酸単量体3〜7重量%
    と、エチレン性不飽和芳香族単量体、炭素数1〜6のア
    ルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび炭
    素数1〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキル
    エステルの中から選ばれた少なくとも1種の単量体70
    〜82重量%とからなる単量体組成物(b)を共重合さ
    せてえられた、ガラス転移温度が10℃以下のシェル部
    となる共重合体(B)からなるコア−シェル型共重合体
    の水性分散液からの皮膜を有する鉄管類。
  2. 【請求項2】 共重合体(A)と共重合体(B)との割
    合が、重量比で20/80〜70/30である請求項1
    記載の鉄管類。
  3. 【請求項3】 単量体組成物(b)を重合するに際し、
    反応性乳化剤を用いる請求項1または記載の鉄管類。
  4. 【請求項4】 共重合体(A)のTg−共重合体(B)
    のTgが20℃以上で45℃以下である請求項1、2ま
    たは3記載の鉄管類。
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