JP3231989B2 - 六方晶系フェライト磁性粉 - Google Patents
六方晶系フェライト磁性粉Info
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Description
体に用いられる磁性粉に係わり、さらに詳しくは、光透
過型サーボ方式の磁気記録媒体に適した六方晶系フェラ
イト磁性粉に関する。
イト磁性粉を樹脂バインダとともに基体上に塗布して成
る塗布型磁気記録媒体は、高密度な磁気記録に適し、環
境安定性、走行耐久性や生産性にもすぐれた磁気記録媒
体として知られている。このような磁性粉として用いら
れる六方晶系フェライトは、通常、鉄原子の一部を適当
な金属元素で置換することにより、磁気記録に適するよ
うに保磁力を低減化されて使用される。
も、M型(Magnetoplumbite type)の六方晶系フェライ
ト微粒子は、飽和磁化量が55〜60emu/g程度と
比較的低いのにもかかわらず、それを用いて作製した磁
気記録媒体は、線記録密度向上が容易であるだけでな
く、出力、とりわけ0.7μm以下の短波長出力がすぐ
れていることが知られている。このことは、以下の理由
に因ると考えられる。すなわち、M型六方晶系フェライ
ト微粒子においては、磁化反転分布(SFD)や粒度分
布の幅が狭く急峻であること、また、微粒子表面にはア
ルカリイオンであるBa2+、Sr2+、あるいはPb2+な
どが酸吸着サイトとして存在するため、通常の磁気記録
媒体で多用される酸性系樹脂バインダとの相互作用が大
きく、したがって磁性塗料調製時に分散状態が良好とな
り、その結果、磁性体が高度に充填され表面性の良好な
磁性層を備えた磁気記録媒体が得られることなどに、起
因している。なお、SFDは磁性粉の保磁力分布を表す
もので、高密度記録達成のためには、これをできるだけ
小さくすることが求められている。
ライトは、元来、結晶構造上自由電子が存在しないの
で、他の磁性微粒子よりも光透過係数が大きい材料であ
ることが知られている。したがって、M型六方晶系フェ
ライト微粒子を用いた塗膜は、メタル微粒子あるいはマ
グネタイト微粒子を塗布して得られる磁性膜に比べて良
好な光透過性を示す。このため、M型六方晶系フェライ
トを用いた磁気記録媒体は、線記録密度向上が可能なだ
けでなく、光サーボ技術とくに光透過型サーボ技術を導
入することによってトラック・ピッチも狭化可能になる
ため、高い面密度での情報の記録再生が可能になると期
待されている。
久性や信頼性を示すようにするためには、磁性層表面が
適度の電気伝導性を有していることが必要である。磁性
面の電導性が低い場合には、媒体が走行・回転時などに
摩擦により帯電し、電荷を保持し続けるため、周囲のゴ
ミを静電的に吸いよせてしまう。このため、ヘッド・媒
体間隔が広がり十分な信号の書き込みができない、再生
信号が欠落するといった不具合が発生するばかりか、ゴ
ミの種類によっては、ヘッドクラッシュや媒体損傷など
の事故の原因になる。このような現象を防止するため、
磁性層には酸化錫、酸化チタン、カーボンブラックなど
の半導体微粒子を添加して、適度の導電性を与えてい
る。媒体の線記録密度が高くなればなるほどこの機構に
よる信号消失率が増大するので、高密度記録を指向する
場合、磁性面に導電性をいかにして与え電荷を速やかに
緩和させるかということは、重要な課題となっている。
電性を付与するために添加されるこれらの半導体微粒子
は、一般に、自由電子をもつため光吸収性が高いことが
知られている。したがって、上記したM型六方晶系フェ
ライトを用いた磁気記録媒体において、添加されたこれ
らの半導体微粒子は、磁性膜の光透過性を阻害すること
になる。たとえば、磁性材料として光吸収係数の小さい
公知のM型六方晶系フェライト微粒子を用いた磁性層の
場合、信頼性確保のため半導体微粒子を添加すると、媒
体の光透過性が損なわれサーボS/N比が極端に低下し
てしまう。そこで、半導体微粒子を添加しても媒体の光
透過性が確保されるようにと、磁性層をできるだけ薄く
するという試みもなされている。しかしながら、磁性膜
厚が薄くなると、膜の擦過性が悪くなりヘッドとの摺動
で磁性層が傷つきやすくなってしまう。
因の一つとして、磁性体自体の光反射があげられる。磁
性膜に入射させる光の一部分が磁性体によって反射され
ると、媒体に入射する光量は当然のことながら減少す
る。したがって、反射率が高い場合には、透過率そのも
のは高くとも媒体を透過する光量は減少することになる
ので、透過率が低い場合と同じ結果になってしまう。
性体として用いた光透過型サーボ方式による磁気記録媒
体において、信頼性を維持し記録密度を向上させるため
には、磁性膜厚を薄くすることなく光透過率をさらに向
上させ得る磁性体、いいかえれば光の反射率と吸収率が
共に小さい磁性体が求められていた。
であり、光の反射率と吸収率を共に小さくすることによ
り光透過率を向上させた磁性体を提供することを、その
目的としている。
ト磁性粉は、一般式PbO・Fe12−xM1xO18
(ただし、M1はIIIa族元素およびIIIb族元素の中か
ら選ばれる少なくとも1種の元素を含むとともに、原子
数平均価数が3価になるように調節された保磁力低減化
のための原子群を表す。)で示され、光透過型サーボ方
式による塗布型磁気記録媒体用の六方晶系フェライト磁
性粉であって、この磁性粉の平均粒径が20nm〜10
0nmの範囲であり、比表面積が25m 2 〜70m 2 の
範囲であり、板状比が2〜9の範囲であり、波長850
nmの光の反射率が10%以下、光吸収係数が1.1×
103/cm以下であること特徴としている。
下が望ましく、より好ましくは8%以下である。光の反
射率が10%を越える場合には、十分な光が磁性体中に
入らなくなり光量の不足を招くため、光サーボ方式には
適さなくなる。本発明において、光吸収係数は1.1×
103 /cm以下が望ましく、より好ましくは0.9×
103 /cm以下である。光吸収係数が1.1×103
/cmを越える場合には、媒体中を光が十分透過するこ
とができなくなり、やはり光サーボ方式には適さなくな
るため、好ましくない。また、本発明の六方晶系フェラ
イト磁性粉において、光の反射率は10%以下、光吸収
係数は1.1×103 /cm以下で共に小さいほど好ま
しいが、M型構造では、通常、フォノン吸収の寄与もあ
り、光吸収係数は200/cmより小さい値をとること
が難しい。
射率と吸収係数は、以下のように定義される。まず、当
該磁性粉と同組成の六方晶系フェライト単結晶をフラッ
クス法で育成し、その単結晶に対して、波長850nm
の光の反射率と透過率を室温において測定する。そし
て、その測定値と試料厚みから、光の反射率と吸収係数
を算出する。ここで、光の反射率と吸収係数の数値を波
長850nmの光に対するもので代表させているのは、
この波長が、LD発振波長であり実用ドライブに用いら
れているという理由に因る。また、多結晶粉末である磁
性粉そのものを用いず、あえて単結晶を用いて光の反射
率と吸収係数を求めるようにしたのは、磁性粉の場合に
は、組成が同一であっても、粒子のサイズや配列状態な
ど組成以外の複合的因子によって透過率の測定値が影響
を受けるため、組成と反射や吸収との間に明確な相関が
みられなくなるからである。
〜3000 Oeの範囲にあることが望ましい。300
Oe以下の場合記録減磁が著しく高密度記録に適さな
くなり、逆に保磁力が3000 Oe以上の場合には、
一般的な磁気ヘッドでは飽和を起こしてしまいこれを十
分に磁化させることができない。
フェライトの一般式においてFeの一部は適当な金属元
素で置換されている。この際、置換イオンの価数が原子
数平均3価になるようにすることが望ましい。たとえば
置換元素の中に2価金属が含まれる場合には、4価、5
価、6価元素を併用して置換元素の価数が原子数平均3
価になるように調節する。
換元素の中に、III a族元素およびIII b族元素の中か
ら選ばれる少なくとも1種の元素が含まれる。すなわ
ち、本発明の磁性粉は、構成元素であるFeの一部が、
III a族元素およびIII b族元素の中から選ばれる少な
くとも1種の元素により置換されていることを、その第
2の特徴としている。
は、その電子構造上オープンなdシェルをもたないた
め、正4面体位置あるいは正8面体位置に入っても、遷
移元素のように分裂幅が光エネルギーに相当する結晶場
エネルギー分裂(分裂幅10Dq〜20000cm-1)
を起こさない。したがって、光学的には透明である。
元々3価のFeを置換するためのものであるから、3価
元素であるIII a族元素およびIII b族元素を置換元素
として導入した場合、置換サイトでは局所的な価数補償
が保たれている。このために置換サイトは光学的には不
活性となる。これに対して、たとえば2価と4価の元素
を導入する場合、各々の原子サイトでの価数補償は破
れ、エキシトンのトラップセンターとなるため、色が着
き透過率は低下する。したがってIII a族、IIIb族元
素の導入量が多くなるにつれ磁性体は透明性を増す。導
入に際しては、その導入量が、磁性粉の保磁力や磁化量
に影響を与えるので、磁気記録に適した保磁力や磁化量
を得るためには、適切な範囲内に導入量を制御すること
が必要である。
は、B、Al、Ga、In、およびTlがあげられ、II
I b族元素としては、Sc、Y、およびランタン系列元
素とアクチニウム系列元素があげられる。置換に際して
は元素種固有の置換サイトが存在する。このことを反映
して、置換元素の違いによってさまざまな磁気特性の粉
末が得られる。たとえばΙnやScはM型マグネトプラ
ンバイトの主要な磁気異方性を決めるR層の4eサイト
に好んではいるため、これらにより置換した場合には、
結晶の異方性を小さくし、保磁力を下げる。一方、Al
やGaなどは異方性を大きくする傾向がある。元素の選
択・組み合わせ・配合比率は無数にあり、導入量の適正
範囲も元素の選択・組み合わせによって、それぞれ異な
ってくる。したがって、必要とされる保磁力や磁化量に
あわせて、置換元素の種類やその導入量を適宜選択する
ことが望ましい。
記III a族元素およびIII b族元素と併用可能な置換元
素として、2価元素であるMn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Μg、Cdなどが例示され、3価元素として
はRhなど、4価元素としてはTi、Zr、Hf、S
n、Ge、Te、Ruなど、5価元素としてはV、N
b、Ta、Bi、Sbなど、6価元素としてはMo、W
などが例示される。
量が40〜75emu/gの範囲にあることが望まし
い。40emu/g以下の磁化量では作製した媒体の長
波長出力が不足をきたす。また、75emu/g以上の
磁化量は、M型構造であって磁気記録に適した粒径であ
るという条件下では、達成できないものである。
〜100nmの範囲であることが望ましく、さらに好ま
しくは20〜60nmの範囲である。100nm以上の
粒径では粒度分布が広がり、媒体を作製したときにノイ
ズ成分が増大することが確認されており、本発明の意図
する高密度記録には適さなくなる。20nm以下の粒径
では、個々の粒子体積が小さいため、磁気モーメントの
方向が磁化容易軸から外れて絶えず揺動し、磁性粉群の
見かけ上の磁化が消失するという、いわゆるスーパーパ
ラ的に振る舞うようになり、磁気記録には適さなくな
る。
囲内にあって、かつ、比表面積はBET法による値で2
5〜70m2 /gの範囲にあることが望ましい。好まし
い比表面積がこのように限定されるのは、比表面積が、
媒体製造にあたり磁性塗料を調製する際、磁性粒子が樹
脂バインダと相互作用する度合いに密接に関連する量で
あるためである。すなわち25m2 /g以下では、樹脂
バインダから受ける抵抗が少なくなって磁性粉の配向性
は向上するものの、磁性塗料中の磁性粉の分散安定性の
確保が困難になり、一方、70m2 /g以上では磁性粉
の配向性・充填性が低下し、高密度記録に適さなくな
る。
の充填性、配向性を勘案すると2〜9の範囲内であるこ
とが望ましく、さらに好ましくは3〜6の範囲である。
板状比が大きくなるにしたがい、配向性の向上や磁化反
転分布(SFD)の急峻化が見られるが、充填性は逆に
低下する。再生出力を増大させるには充填性、配向性の
向上,SFDの急峻化のバランスを取ることが重要であ
り、それらを勘案した結果上記範囲が好ましいとされる
に至った。
磁性粉においては、元素の電子構造や置換サイトでの光
学活性度合いを勘案し、アルカリイオンとしてPb2+を
含み、フェライトを構成するFeの一部を置換する置換
元素として、III a族元素、III b族元素から選ばれる
少なくとも1種の元素が含まれるようにすることによっ
て、10%以下という光の反射率と同時に1×103 /
cm以下という光吸収係数を実現させている。
が低いため、作製した媒体の表面反射を抑えるとともに
透過率を高めることができるので、線記録密度をさらに
向上し得る。
法などの六方晶系フェライトの通常の製法によって得る
ことが可能である。
例にしたがって説明する。
から選択される少なくとも1種の元素を表す)で示され
る六方晶系フェライトについて、x=0.70、M2 =
Al、y=1.0として、単結晶と磁性粉とを作製し
た。
てNa2 CO3 を用い、1300℃を上限とし冷却速度
3℃/hとしたフラックス法により行った。
面、厚み1mm程度であった。吸収係数測定に際して
は、(001)面を研磨加工し、(001)面鉛直入射
で波長700〜900nmの範囲で透過率を測定した。
測定は、室温で(株)日立社製分光光度計U3200を
用いて行った。
aO−B2 O3 をガラス母相としたガラス結晶化法を用
いた。すなわちBaO−B2 O3 のガラス母相成分とフ
ェライト成分原料とを良く混合した後、溶融し融液を双
ロールにて急冷した。ガラス母相成分/フェライト成分
の重量比は65/35となるようにした。その後熱処理
を施しフェライトをガラス母相中で成長させた。ガラス
母相を除去することによって、本発明の磁性粉であるフ
ェライト微粉末を得た。
は振動試料型磁力計(VSM)を用いて行った。保磁力
および磁化量は10kOeでの値である。磁性粉の粒径
・形状は20万倍の透過電子顕微鏡写真像より無作為に
200個の粒子を選び、その粒径、板厚みを測定して得
られた平均値である。比表面積はBET法により求め
た。これらの測定結果は、後出の表1の上段に示されて
いる。
その置換量yを変えた他は実施例1と同様にして、単結
晶と磁性粉とを作製した。そして、実施例1と同様にし
てその特性を調べた。これらの測定結果を、次の表1の
上段に示した。
いは置換量yが本発明にしたがわない磁性粉を比較例と
して作製し、実施例と同様にその特性を調べた。これら
の測定結果は、後出の表2の上段に示されている。
Oを用いた他は、実施例1と同様にして磁性粉を作製し
た。
Oを用いた他は、実施例1と同様にして磁性粉を作製し
た。
量y=0とした他は、実施例1と同様にして磁性粉を作
製した。
比較例の磁性粉を用いて、下記組成の磁性塗料を調製
し、さらに磁性塗膜を作製してその特性を調べた。<磁
性塗料組成> 磁性粉 100重量部 極性基含有ウレタン樹脂 5重量部 極性基含有塩化ビニル樹脂 5重量部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン/トルエン 混合溶剤 300重量部 この磁性塗料調製にあたっては、分散メデイアを用い充
分に分散した。そして膜厚み1μm程度になるように、
ポリエステルフィルムの上に無磁界で塗布した。得られ
た塗膜試料は、室温で(株)日立社製分光光度計U32
00を用い、波長700〜900nmの範囲で反射率お
よび透過率を測定した。これらの測定結果は、表1およ
び表2の下段に併せて示してある。
発明の磁性粉によって、光の透過率が高く反射率が低い
という光透過性にすぐれた磁気記録媒体が得られた。
明の磁性粉は光の反射率も吸収率も共に低い光透過性に
すぐれた磁性体であって、光透過型サーボ方式に用いる
塗布型磁気記録媒体用磁性粉として好適である。
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式PbO・Fe12−xM1xO
18(ただし、M1はIIIa族元素およびIIIb族元素の
中から選ばれる少なくとも1種の元素を含むとともに、
原子数平均価数が3価になるように調節された保磁力低
減化のための原子群を表す。)で示され、光透過型サー
ボ方式に用いる塗布型磁気記録媒体に使用される六方晶
系フェライト磁性粉であって、この磁性粉の平均粒径が
20nm〜100nmの範囲であり、比表面積が25m
2 〜70m 2 の範囲であり、板状比が2〜9の範囲であ
り、波長850nmの光の反射率が10%以下、光吸収
係数が1.1×103/cm以下であること特徴とする
六方晶系フェライト磁性粉。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP03354896A JP3231989B2 (ja) | 1996-02-21 | 1996-02-21 | 六方晶系フェライト磁性粉 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP03354896A JP3231989B2 (ja) | 1996-02-21 | 1996-02-21 | 六方晶系フェライト磁性粉 |
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ID=12389621
Family Applications (1)
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JP03354896A Expired - Lifetime JP3231989B2 (ja) | 1996-02-21 | 1996-02-21 | 六方晶系フェライト磁性粉 |
Country Status (1)
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1996
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