JPH05189749A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05189749A
JPH05189749A JP4159547A JP15954792A JPH05189749A JP H05189749 A JPH05189749 A JP H05189749A JP 4159547 A JP4159547 A JP 4159547A JP 15954792 A JP15954792 A JP 15954792A JP H05189749 A JPH05189749 A JP H05189749A
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JP
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magnetic
recording medium
magnetic recording
coercive force
ferrite powder
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JP4159547A
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English (en)
Inventor
Minoru Hashimoto
稔 橋本
Tatsumi Maeda
辰巳 前田
Masahiro Fukazawa
昌広 深沢
Kazutaka Akiyama
和隆 秋山
Tsutomu Tanaka
田中  勉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 温度変動に因る保磁力の変化、異常環境下の
保磁力の経時変化が小さく保磁力が安定してすぐれた出
力とS/N比の磁気記録媒体。 【構成】 樹脂バインダ中に分散した磁性層で形成する
磁気記録媒体の六方晶系フェライト粉末が、下記の一般
式 AO・2(M1 O)・Fe16-x2 x 24 (AはBa,Sr,Ca,Pb中の1種以上の元素、M
1 はZnおよび/またはNiを表し、M2 はCo,Ti
の2種の元素、Ti,Znの2種の元素、あるいは、C
o,Ti,Znの3種の元素の組み合わせのいずれかを
表す。xは 0.6〜3.0の数を表す。)で示され、平均板
状比2.0 〜5.0 の六方晶系フェライト粉末である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気記録媒体に係り、と
くに様々な使用環境条件下においても安定した磁気特性
を示す、高密度記録に最適な磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は、オーディオ、ビ
デオ、コンピュータなどの様々な分野において、大量の
情報を記録する記録する記録媒体として多用されるよう
になってきている。多用化に伴って、さらに磁気記録媒
体の記録密度の向上が要求されている。
【0003】このような記録密度向上の要求に応じる方
法の一つとして、磁化容易軸が粒子板面に対して垂直で
ある超微粒子状の磁性粉末を用いて磁気記録媒体を製造
することが試みられている。粒子板面に対して垂直な磁
化容易軸を有する磁性粉末としては、たとえばBaフェ
ライトに代表される六方晶系フェライト粉末などがあげ
られる。
【0004】この六方晶系フェライト粉末は、磁化容易
軸が粒子板面に対して垂直であるため、従来の針状磁性
粉などに比べて垂直方向に配向させ易い。さらに超微粒
子状の六方晶系フェライト粉末は、磁性層における磁性
粉末の充填率を向上させることができる。このようなこ
とから、六方晶系フェライト粉末は、高密度記録用磁性
粉に最適である。
【0005】一方、記録容量の増大につれて、たとえば
フロッピーディスクなどの磁気記録媒体は利用分野がさ
らに拡大し、記録される情報の重要性や価値も高まって
きている。また、従来、常温・常湿の環境下で使用され
る場合がほとんどであった磁気記録媒体は、パーソナル
ワードプロセッサやパーソナルコンピュータなどの機器
の普及に伴い、近年ではさまざまな環境条件下において
も使用されるようになっている。そのため、磁気記録媒
体の耐久性やデータの保存信頼性に対する要求も一層厳
しくなってきている。そして、磁気記録媒体の磁気特性
の安定性が要求されるようになっている。とくにその主
要特性である保磁力(Hc)の安定性が厳しく求められて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ここで、磁気記録媒体
の保磁力(Hc)の安定性の向上を図るにあたり、保磁力
(Hc)の2種類の変化について考察をすすめる必要があ
る。一つは、環境温度の変動によって引き起こされる保
磁力(Hc)の一時的な変化である。もう一つは、高温・
高湿などの異常環境下における長期保管中などに起こる
保磁力(Hc)の永続的な変化である。
【0007】以下本明細書中では、前者の環境温度の変
動に因る保磁力(Hc)の一時的な変化を、保磁力の温度
変化(δHc)、異常環境下における保磁力(Hc)の永続
的な変化を保磁力の環境変化(△Hc)と称する。
【0008】保磁力の温度変化(δHc)は、環境の温度
条件に依存する。磁性粉末のこのような保磁力の温度変
化(δHc)を低減させるための手段としては、これまで
にも、たとえば特開昭63−139017号公報、特開
昭63−144118号公報あるいは特開昭56−60
001号公報記載の技術などが提案されている。これら
のうち、特開昭63−139017号公報あるいは特開
昭63−144118号公報には、スピネル型フェライ
トを板状の六方晶系フェライト表面にコーティングする
技術が開示されている。また、特開昭56−60001
号公報には、W組成で、マグネトプランバイト型結晶構
造相とスピネル型結晶構造相とを含む六方晶系フェライ
ト磁性粉末が開示されている。これらの従来技術を用い
ることにより、磁性粉末の保磁力の温度変化(δHc)を
低減させることができる。
【0009】しかしながら、従来、常温・常湿以外の環
境下に磁気記録媒体を長期間保存させた場合に引き起こ
される保磁力(Hc)の永続的な変化、すなわち環境変化
(△Hc)については何等知られておらず、また論じられ
ることもなかった。このような保磁力(Hc)に生じる環
境変化(△Hc)は、温度条件により引き起こされる一時
的な変化(温度変化(δHc))とはその性質が全く異な
る。保磁力(Hc)に生じた環境変化(△Hc)は永続的で
あり、変化した保磁力(Hc)は元には戻らないのであ
る。そのため、磁気記録媒体を長期間に亘り使用する場
合、保磁力の環境変化(△Hc)の存在は、記録/再生に
際して大きな支障となる。
【0010】本発明は、磁気記録媒体の保磁力(Hc)を
安定化させることをその技術課題としたものである。さ
らに詳しくは、保磁力の温度変化(δHc)の制御は勿論
のこと、その環境変化(△Hc)をも最小限にした、高密
度記録に最適な磁気記録媒体を提供することを目的とし
たものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、非磁性支持体
上に、六方晶系フェライト粉末が樹脂バインダ中に分散
されて成る磁性層が形成された磁気記録媒体において、
前記六方晶系フェライト粉末が、下記の一般式 AO・2(M1 O)・Fe16-x2 x 24 (但し、式中AはBa,Sr,Ca,Pbから選ばれた
少なくとも1種の元素を表し、M1 はZnおよび/また
はNiを表し、M2 はCoおよびTiの2種の元素の組
み合わせ、TiおよびZnの2種の元素の組み合わせ、
あるいは、Co、Ti、およびZnの3種の元素の組み
合わせのいずれかを表す。xは 0.6〜3.0の数を表す)
で示され、平均板状比2.0 〜5.0 の六方晶系フェライト
粉末であることを特徴としている。
【0012】本発明に係わる磁性粉末は、マグネトプラ
ンバイト組成とスピネル組成とを所定の割合で有したW
組成の磁性粉末である。この磁性粉末は、温度条件の変
化によりマグネトプランバイト組成において生じた保磁
力(Hc)の変化が、温度条件の変化によりスピネル組成
において生じた保磁力(Hc)の変化により相殺されるた
め、温度変化(δHc)が安定なものとなっている。
【0013】本発明の磁気記録媒体では、上記した磁性
粉末が用いられているため、温度条件による保磁力(H
c)の変化、すなわち温度変化(δHc)が安定である。
【0014】さらに、本発明に係わる磁性粉末は、磁性
層中へのイオンの溶出がとくに少ないCo、Ti、およ
びZnを置換成分としたものである。所定範囲量のこれ
ら置換成分による置換により、磁性層中への金属イオン
の溶出を抑えることを可能にし、さらに、保磁力(Hc)
あるいは粒子径の制御および飽和磁化の向上をも可能に
している。
【0015】なお、上記した置換成分の置換量xが0.6
よりも小さいと、保磁力(Hc)の異常増加があり、磁気
記録媒体に適した磁性粉末が得にくくなる。また、置換
量が3.0 より大きいと、磁性層中への置換成分溶出を招
くおそれがあるとともに、適した保磁力(Hc)を得るこ
とが困難となってしまう。
【0016】したがって、上記した置換成分の置換量x
としては、0.6 〜3.0 の範囲、さらに好ましくは0.8 〜
2.2 の範囲が好適である。上記範囲内においては、高密
度磁気記録に適した保磁力、すなわち600 〜 2000 Oe
に制御することが容易である。とくに保磁力を850 〜 2
000 Oe の範囲に制御することで、一層の高密度記録の
達成が可能となる。
【0017】そして、本発明に係わる六方晶系フェライ
ト粉末の平均粒子径は、0.02〜0.8μm であることが好
ましい。平均粒子径が0.8 μm より大きいと、磁気記録
媒体のS/Nが低下すると共に、高密度記録の達成が困
難となる。また、平均粒子径が0.02μm よりも小さい
と、磁性層中で高度に分散させることが難しいため、か
えって高密度記録の達成が困難となってしまう。
【0018】本発明に係わる磁性粉末は、平均板状比を
2.0 〜5.0 、さらに好ましくは2.8〜4.4 とすることに
より、個々の磁性粒子が3次元的な結合状態で磁性層中
に安定に保持される。そのため、保磁力(Hc)の環境変
化(△Hc)が安定される。
【0019】また、本発明の磁気記録媒体の磁性層の膜
厚は、オーバーライト特性などを考慮して0.3 〜0.7 μ
m の範囲が好ましい。このような薄い磁性層にすること
により、さらに良好な効果が得られる。
【0020】本発明の磁気記録媒体において、一層の高
密度記録を達成するためには、磁性層の膜面に対して垂
直方向の角型比(反磁界補正後)を0.7 以上とすること
が好ましい。垂直方向の角型比を0.7 以上とすることに
より、膜面に対して垂直方向の磁界を一層有効に利用で
きるようになる。そのため、短波長記録領域において高
い再生出力を確保することができる。したがって、垂直
方向の角型比を0.7 以上とすることは、高密度記録の要
求のとくに高いフロッピーディスクなどの磁気記録媒体
には最適である。
【0021】また、本発明の磁気記録媒体は、面内方向
の角型比(反磁界補正後)を0.7 以上としたものであっ
てもよい。面内方向の角型比を0.7 以上とすることによ
り、記録波長が4.0 〜5.0 μm といった長波長域にある
場合の再生出力を高めることができる。したがって、面
内方向の角型比を0.7 以上とすることは、長波長域でカ
ラー信号を記録するような磁気テープには最適である。
【0022】本発明において樹脂バインダとしては、従
来より使用されている各種公知のものを使用することが
可能である。たとえば、ポリウレタン系樹脂、ポリエス
テル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル系
樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、塩化ビニル
系樹脂、酢酸ビニル系樹脂あるいはこれらの混合物もし
くは共重合物などが例示される。
【0023】前述したように垂直方向あるいは面内方向
の角型比を0.7 以上とする場合には、樹脂バインダとし
て、これらの樹脂の中でもソフトなレジンと、ハードな
レジンとを選択して併用することが好ましい。これらの
樹脂の中でソフトなレジンとは、たとえばN−2301
(商品名:日本ポリウレタン社製)のようなポリウレタ
ン系樹脂や、あるいはウレタン変成された樹脂などがあ
げられる。また、ハードなレジンとしては、たとえば、
VAGH(商品名:米国ユニオンカーバイド社製)のよ
うな塩酸ビニル−酢酸ビニル共重合体、あるいはニトロ
セルロースのようなセルロース系の樹脂があげられる。
このようなソフトなレジンとハードなレジンと併用する
ことにより、樹脂バインダが果たすべき、配向性への寄
与という役割と、配向粒子の保持という役割との2つの
役割のバランスがよくなる。また、磁気記録媒体の耐久
性の確保が容易となる。
【0024】本発明の磁気記録媒体において、潤滑剤と
しては、従来より使用されている各種公知のものを使用
することが可能である。たとえば、ラウリン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸などがあげられる。また、必要に
応じて、レシチンなどの分散剤、各種界面活性剤などが
使用可能である。
【0025】本発明の磁気記録媒体において、研磨剤と
しては、たとえばTiO2 、Cr2 3 、Al2 3
SiC、ZrO2 などのモース硬度5以上の無機粉末が
使用可能である。平均粒径0.1 〜2.0 μm 程度のこれら
無機粉末を、磁性粉末100 重量部に対して0.5 〜10重量
部程度添加配合することが好ましい。
【0026】本発明における六方晶系フェライト粉末を
得る方法としては、従来公知の方法、すなわちガラス結
晶化法、共沈法、水熱合成法などの方法が利用できる。
なかでもガラス結晶化法は、高密度磁気記録に好適な平
均粒子径が0.02〜0.8 μm の六方晶系フェライト粉が得
やすく、好適な方法である。
【0027】
【作用】ここで、磁性粉末あるいは磁気記録媒体の保磁
力(Hc)の変化について詳しく説明する。前述したよう
に、保磁力(Hc)の変化には、温度変化(δHc)と環境
変化(△Hc)とがあると考えられる。
【0028】磁性粉末あるいは磁気記録媒体において、
保磁力の温度変化(δHc)とは、従来より知られている
ように、温度条件によって一時的に変化する保磁力(H
c)の度合いを示すものである。図2は、磁性粉末の保
磁力の温度依存性を示す図である。図2において、異な
った組成の2種の磁性粉末(a)と(b)の保磁力(H
c)が、温度により変化する様子が示されている。図2
中曲線(a)は磁性粉末(a)の保磁力(Hc)を、曲線
(b)は、同様に磁性粉末(b)の保磁力(Hc)を示し
ている。図2から明らかなように、磁性粉末の保磁力の
温度変化(δHc)の度合いは、磁性粉末の組成によって
差が生じる。
【0029】図3は、図2に示した2種の磁性粉末
(a)と(b)を用いて作製した磁気記録媒体の、保磁
力(Hc)の温度依存性を示す図である。
【0030】図2および図3から、磁性粉末の温度変化
(δHc)と磁気記録媒体の温度変化(δHc) とは、ほぼ
一致した傾向にあることが理解できる。したがって、磁
気記録媒体の温度変化(δHc)を低減させるためには、
温度変化(δHc)の安定な磁性粉末を使用すればよいこ
とがわかる。
【0031】一方、磁性粉末あるいは磁気記録媒体にお
いて、このような保磁力の温度変化(δHc)に対し、環
境変化(△Hc)とは、前述したように保管あるいは使用
される環境条件によって引き起こされる保磁力(Hc)の
永続的な変化の度合いを示すものである。
【0032】図4は、磁性粉末(a)の保磁力の環境変
化(△Hc)を示している。図5は磁性粉末(a)を使用
して作製された磁気記録媒体の保磁力の環境変化(△H
c)を示している。図4および図5から、磁性粉末の環
境変化(△Hc)と磁気記録媒体の環境変化(△Hc)との
間には、何等相関関係が存在しないことがわかる。
【0033】このようなことから、保磁力の環境変化
(△Hc)の安定した磁気記録媒体を得るためには、磁性
粉末の組成に着目するのではなく、磁気記録媒体に存在
する要因に着目する必要があると思われる。そこで、磁
気記録媒体に存在する様々な要因について考察を進めた
ところ、磁気記録媒体の保磁力の環境変化(△Hc)の増
大を引き起こす主な原因は、磁性層中への金属イオンや
不純物の溶出および磁性粒子の形状であることが見出だ
された。
【0034】磁気記録媒体の磁性層形成のために使用さ
れる磁性塗料中には、通常、たとえばイソシアネート化
合物のような硬化剤が添加される。このような硬化剤の
反応基は、磁性粉末から磁性層中に溶出される金属イオ
ン量が多い場合に、樹脂バインダと十分に反応せずに、
磁性粉末から溶出される金属イオンと反応してしまう。
このため、樹脂バインダが3次元的に結合することがで
きなくなる。そして、磁性粉末が磁性層中に非常に不安
定な状態で存在することになる。すなわち、磁性層中で
磁性粉末が振動してしまうため、環境条件の変化により
保磁力(Hc)の環境変化(△Hc)が引き起こされること
になる。
【0035】また、磁性粒子の形状についても種々検討
したところによると、とくにその平均板状比が、磁気記
録媒体の保磁力(Hc)の環境変化(△Hc)に影響してい
ることが見出だされた。なお、六方晶系フェライト粉末
における板状比とは、六角板面状の磁性粒子の板面の径
Dと板面の厚さtとの比(D/t)で表される。
【0036】以上の考察に基づき本発明は成されたので
ある。本発明の磁気記録媒体は、磁性粉末として、保磁
力の温度変化(δHc)の安定した磁性粉末であって、磁
性層中への金属イオンの溶出が少なく、かつ所定の平均
板状比を有する磁性粉末を使用している。上記構成によ
り、保磁力(Hc)の温度変化(δHc)と環境変化(△H
c)とが共に安定し、高密度記録に適した磁気記録媒体
を得ることができる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の磁気記録媒体を、実施例に基
づき詳しく説明する 表1は、本発明の磁気記録媒体を得るにあたって用いら
れた六方晶系フェライト粉末の組成および特性について
示したものである。
【0038】
【表1】 表1に示されるこれらの磁性粉はいずれも、ガラス結晶
化法によって以下のようにして製造することができる。
たとえば、磁性粉試料5に示される六方晶系フェライト
粉末を製造するにあたっては、まずB2 3 ・BaOガ
ラスに、BaO、Fe2 3 、CoO、ZnO、NiO
及びTiO2 の各種材料を所望の磁性粉を得るべく所定
量混合した。そしてその混合物を1350℃で加熱・溶融し
た後、双ロール上に落下させ、急冷・圧延することによ
り非晶質体を得た。この非晶質体を800 ℃で4 時間加熱
することにより、マトリックス中に、所望量の置換元素
が置換された六方晶フェライトの結晶を析出させた。こ
のようにして得られた結晶を、稀酢酸、ついで純水で洗
浄し、さらに乾燥させることにより、六方晶系Baフェ
ライト粉末が得られた。
【0039】以下、これら表1に示される磁性粉を用い
て作製した、本発明の実施例である磁気記録媒体につい
て説明する。
【0040】実施例1 本発明の磁気記録媒体を作製するにあたり、まず下記の
材料を均一に混合し、サンドグラインダを用いて分散さ
せ磁性塗料を作製した。
【0041】 [磁性塗料材料] 磁性粉末試料1 100重量部 Al2 3 粉末(平均粒径0.3 μm ) 4 〃 リン酸エステル 1 〃 ポリウレタン樹脂 10 〃 (平均分子量 45000) 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 5 〃 (平均分子量 32000) 脂肪酸エステル 4 〃 メチルエチルケトン 60 〃 シクロヘキサン 60 〃 トルエン 60 〃 得られた塗料をフィルタによって濾過し、不純物あるい
は異常大粒子を除去した。このようにして得られた磁性
塗料に、さらに硬化剤としてイソシアネート化合物を3
重量部添加し、撹拌した。
【0042】その後、図1に示すように、非磁性支持体
として厚さ80μm のポリエステルフィルム(11)を使用
し、その上に上記した磁性塗料を均一に塗布して磁性層
(21)を設けた。塗布に際してはリバースコータを用
い、乾燥・カレンダ処理後の磁性層(21)の厚みが3 μ
m になるように塗布量を調整した。乾燥・カレンダ処理
を行って表面を平滑にした後には、60℃の高温キュア槽
にて塗布膜を十分に硬化させた。
【0043】また、ポリエステルフィルム(11)の、上
記磁性層(21)を設けた反対側の面上にも同様に磁性塗
料を塗布し、乾燥・カレンダー処理を行った。そして、
同様に硬化させて磁性層(31)を形成した。
【0044】上記したように両面に磁性層(21)と(3
1)とが形成されたフィルムを、3.5インチサイズの
円盤状に打ち抜いた。そして、円盤の中心部分に金属製
のセンターコアを設置し、ジャケット内に回転自在に収
納して、3.5インチフロッピーディスクとした。この
ようにしてディスク状の本発明の実施例1である磁気記
録媒体を得た。
【0045】実施例2〜7 磁性粉末として、表1に示される磁性粉末試料2〜7を
用いた他は実施例1と同様にして、磁気記録媒体実施例
2〜7を得た。なお、これら実施例2〜7において、磁
性粉末試料番号と、それを用いて作製した磁気記録媒体
実施例の番号とは対応している。
【0046】実施例8 磁性粉末として磁性粉末試料2を使用し、磁性塗料塗布
後に、S極とN極とが対向する6 kOe の垂直配向磁界
を通過させ配向処理した他は、実施例1と同様にして磁
気記録媒体を作製した。
【0047】実施例9 樹脂バインダとして、ポリウレタン樹脂(平均分子量 2
4000)を9 重量部と、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
樹脂(平均分子量 32000)を4 重量部使用した他は、実
施例8と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0048】実施例10 磁性粉として磁性粉末試料3のものを使用した他は実施
例9と同様にして、磁気記録媒体を得た。
【0049】次いで、このようにして製造された実施例
1〜10の磁気記録媒体の種々の特性について評価し
た。その評価結果を表2に示す。なお、表2に示された
各項目の評価は、以下のようにして行った。
【0050】出力およびS/Nは、ギャップ長0.4 μm
、トラック幅35μm のMIG(Metal-In-Gap)ヘッド
を用い、記録密度35KFRPI での最適出力電流により測定
した。なお、ディスクの回転数は300rpm、評価に使用し
たトラックは最内周である79トラックであった。
【0051】磁気記録媒体の保磁力の環境変化(△Hc)
は、初期の保磁力をHc′とし、温度60℃、湿度90%の高
温・高湿環境下に1週間放置した後の保磁力をHc″とし
たとき、{(Hc″- Hc′)/ Hc′}×100 として求め
たものである。Hc′<Hc″の場合は+を付して、Hc′>
Hc″の場合は−を付して示した。
【0052】耐久性の評価は、低温低湿環境の他に、高
温高湿環境、サイクル環境の3種類の環境にて行った。
低温低湿環境とは温度5 ℃・湿度10%の環境、高温高湿
環境とは温度60℃・湿度90%の環境である。さらに、サ
イクル環境とは、温度5 ℃・湿度10%の環境と温度60℃
・湿度90%の環境とを、24時間周期で交替するようにし
たものである。この3種類の環境にてディスクを走行さ
せた。そして、JISに規定されているトラック12にお
いて、初期出力に対して70%の出力低下が認められたと
き、あるいは目視検査による表面損傷が見られたときを
基準にして、ディスクの耐久性が尽きたと判定した。こ
のようにして判定された結果を、基準時までの走行パス
数(万パス)で示した。
【0053】
【表2】 次に、磁性粉末として、フェライト組成あるいは板状比
が本発明に従わない磁性粉末を使用した他は、実施例1
と同様にして磁気記録媒体の比較例を作製し、上記実施
例と比較した。フェライト組成あるいは板状比が本発明
に従わない磁性粉末の組成および特性は、磁性粉末試料
8,9として、すでに表1に示してある。
【0054】比較例1,2 磁性粉末として磁性粉末試料8、9を使用した他は実施
例1と同様にして、それぞれ磁気記録媒体比較例1、2
を作製した。これら比較例において、磁性粉末試料の番
号と、それを用いて作製した磁気記録媒体比較例の番号
は、上記した順番にそれぞれ対応している。
【0055】次いで、このようにして製造された比較例
1,2の磁気記録媒体の種々の特性について、実施例と
同様にして評価した。その評価結果は実施例の評価結果
と併せて表2に示してある。
【0056】表2から明らかなように、本発明の実施例
であるフロッピーディスクにおいては、出力およびS/
Nがすぐれているのは勿論のこと、保磁力の環境変化
(△Hc)が非常に小さいことがわかる。さらに、耐久性
についても、常温常湿環境はもとより、高温高湿環境、
サイクル環境においても高い耐久性を示していることが
わかる。
【0057】また、表1から明らかなように、実施例に
おいて使用された磁性粉末の保磁力の温度変化(δHc)
の絶対値は、1.0 (Oe/℃)以下の小さい値である。磁
気記録媒体の保磁力の温度変化(δHc)は、磁性粉末の
保磁力の温度変化(δHc)とほぼ一致した傾向にあるた
め、本発明によれば磁気記録媒体の保磁力の温度変化
(δHc)を安定化することができた。
【0058】なお、上記した実施例は、非磁性支持体の
両面それぞれに単層の磁性層を配置した場合を示した
が、本発明はこれに限定されるものではない。勿論、非
磁性支持体の片面に単層の磁性層を配置してもよく、ま
た、他の磁性層との重層構成としてもよい。あるいは、
非磁性支持体と磁性層との間に導電性層、あるいは接着
層などの層を配置させてもよいことは言うまでもない。
【0059】また、上述した実施例では、フロッピーデ
ィスクを例にとり示したが、磁気テープなどであっても
よいことは言うまでもない。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明において
は、六方晶系フェライト粉末として、保磁力の温度依存
性が小さく、かつ磁性層中への金属イオンの溶出が少な
い六方晶系フェライト粉末を選択し、その六方晶系フェ
ライト粉末の平均板状比を所定の範囲内に制御してい
る。その結果、磁気記録媒体の保磁力の温度による変化
(δHc)、および環境による変化(△Hc)ともに小さ
い、磁気特性の安定したすぐれた磁気記録媒体が得られ
る。さらに、本発明の磁気記録媒体は、高い出力、高い
S/Nを有しているため、とくに高密度記録に最適な磁
気記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の一実施例の断面を示す
概略図である。
【図2】磁性粉の保磁力(Hc)の温度依存性を示す図で
ある。これは、磁性粉末の保磁力(Hc)と温度(T)と
の関係を示している。
【図3】磁気記録媒体の保磁力(Hc)の温度依存性を示
す図である。これは、磁気記録媒体の保磁力(Hc)と温
度(T)との関係を示している。
【図4】磁性粉の保磁力(Hc)が時間の経過により変化
する様子を示す図である。
【図5】磁気記録媒体の保磁力(Hc)が時間の経過によ
り変化する様子を示す図である。
【符号の説明】
11……非磁性支持体 21……磁性層 31……磁性層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋山 和隆 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内 (72)発明者 田中 勉 神奈川県川崎市幸区堀川町72 株式会社東 芝堀川町工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体上に、六方晶系フェライト
    粉末が樹脂バインダ中に分散されて成る磁性層が形成さ
    れた磁気記録媒体において、 前記六方晶系フェライト粉末が、下記の一般式 AO・2(M1 O)・Fe16-x2 x 24 (但し、式中AはBa,Sr,Ca,Pbから選ばれた
    少なくとも1種の元素を表し、M1 はZnおよび/また
    はNiを表し、M2 はCoおよびTiの2種の元素の組
    み合わせ、TiおよびZnの2種の元素の組み合わせ、
    あるいは、Co、Ti、およびZnの3種の元素の組み
    合わせのいずれかを表す。xは 0.6〜3.0の数を表
    す。)で示され、平均板状比2.0 〜5.0 の六方晶系フェ
    ライト粉末であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記六方晶系フェライト粉末が、平均板
    状比2.8 〜4.4 の六方晶系フェライト粉末であることを
    特徴とする特許請求の範囲請求項1記載の磁気記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記六方晶系フェライト粉末が、Baフ
    ェライト粉末であることを特徴とする特許請求の範囲請
    求項2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記六方晶系フェライト粉末が、平均粒
    子径0.02〜0.8 μmの六方晶系フェライト粉末であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲請求項1記載の磁気記録
    媒体。
  5. 【請求項5】 前記磁性層が、850 〜 2000 Oe の保磁
    力を有することを特徴とする特許請求の範囲請求項1記
    載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記磁性層が、0.7 以上の垂直方向の角
    形比を有することを特徴とする特許請求の範囲請求項5
    記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記樹脂バインダが、ポリウレタン系樹
    脂、ポリウレタン変成樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
    重合体、ニトロセルロースから選ばれた2種以上の樹脂
    を含む樹脂バインダであることを特徴とする特許請求の
    範囲請求項6記載の磁気記録媒体。
JP4159547A 1991-06-28 1992-06-18 磁気記録媒体 Withdrawn JPH05189749A (ja)

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