JPH09213513A - 六方晶系フェライト磁性粉 - Google Patents

六方晶系フェライト磁性粉

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JPH09213513A
JPH09213513A JP8019543A JP1954396A JPH09213513A JP H09213513 A JPH09213513 A JP H09213513A JP 8019543 A JP8019543 A JP 8019543A JP 1954396 A JP1954396 A JP 1954396A JP H09213513 A JPH09213513 A JP H09213513A
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JP
Japan
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magnetic
magnetic powder
group
hexagonal ferrite
present
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JP8019543A
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Hajime Takeuchi
肇 竹内
Osamu Kubo
修 久保
Kazufumi Nakano
和史 中野
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AGC Techno Glass Co Ltd
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Toshiba Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光透過型サーボ方式の磁気記録媒体に適する
ように光透過率を向上させた磁性体を提供する。 【解決手段】 光吸収係数が1×103 /cm以下の六
方晶系フェライト磁性粉であって、構成元素であるFe
の一部が、III a族元素およびIII b族元素の中から選
ばれる少なくとも1種の元素により置換されるようにす
る。磁性粉の表面積1m2 あたりに存在する酸吸着サイ
ト数は、1×1017〜5×1017個の範囲が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布型の磁気記録媒
体に用いられる磁性粉に係わり、さらに詳しくは、光透
過型サーボ方式の磁気記録媒体に適した六方晶系フェラ
イト磁性粉に関する。
【0002】
【従来の技術】一軸磁気異方性を有する六方晶系フェラ
イト磁性粉を樹脂バインダとともに基体上に塗布して成
る塗布型磁気記録媒体は、高密度な磁気記録に適し、環
境安定性、走行耐久性や生産性にもすぐれた磁気記録媒
体として知られている。このような磁性粉として用いら
れる六方晶系フェライトは、通常、鉄原子の一部を適当
な金属元素で置換することにより、磁気記録に適するよ
うに保磁力を低減化されて使用される。
【0003】このような六方晶系フェライトのなかで
も、M型(Magnetoplumbite type)の六方晶系フェライ
ト微粒子は、飽和磁化量が55〜60emu/g程度と
比較的低いのにもかかわらず、それを用いて作製した磁
気記録媒体は、線記録密度向上が容易であるだけでな
く、出力、とりわけ0.7μm以下の短波長出力がすぐ
れていることが知られている。このことは、以下の理由
に因ると考えられる。すなわち、M型六方晶系フェライ
ト微粒子においては、磁化反転分布(SFD)や粒度分
布の幅が狭く急峻であること、また、微粒子表面にはア
ルカリイオンであるBa2+、Sr2+、あるいはPb2+
どが酸吸着サイトとして存在するため、通常の磁気記録
媒体で多用される酸性系樹脂バインダとの相互作用が大
きく、したがって磁性塗料調製時に分散状態が良好とな
り、その結果、磁性体が高度に充填され表面性の良好な
磁性層を備えた磁気記録媒体が得られることなどに、起
因している。なお、SFDは磁性粉の保磁力分布を表す
もので、高密度記録達成のためには、これをできるだけ
小さくすることが求められている。
【0004】このような特長を有するM型六方晶系フェ
ライトは、元来、結晶構造上自由電子が存在しないの
で、他の磁性微粒子よりも光透過係数が大きい材料であ
ることが知られている。したがって、M型六方晶系フェ
ライト微粒子を用いた塗膜は、メタル微粒子あるいはマ
グネタイト微粒子を塗布して得られる磁性膜に比べて良
好な光透過性を示す。このため、M型六方晶系フェライ
トを用いた磁気記録媒体は、線記録密度向上が可能なだ
けでなく、光サーボ技術とくに光透過型サーボ技術を導
入することによってトラック・ピッチも狭化可能になる
ため、高い面密度での情報の記録再生が可能になると期
待されている。
【0005】ところで、磁気記録媒体において十分な耐
久性や信頼性を示すようにするためには、磁性層表面が
適度の電気伝導性を有していることが必要である。磁性
面の電導性が低い場合には、媒体が走行・回転時などに
摩擦により帯電し、電荷を保持し続けるため、周囲のゴ
ミを静電的に吸いよせてしまう。このため、ヘッド・媒
体間隔が広がり十分な信号の書き込みができない、再生
信号が欠落するといった不具合が発生するばかりか、ゴ
ミの種類によっては、ヘッドクラッシュや媒体損傷など
の事故の原因になる。このような現象を防止するため、
磁性層には酸化錫、酸化チタン、カーボンブラックなど
の半導体微粒子を添加して、適度の導電性を与えてい
る。媒体の線記録密度が高くなればなるほどこの機構に
よる信号消失率が増大するので、高密度記録を指向する
場合、磁性面に導電性をいかにして与え電荷を速やかに
緩和させるかということは、重要な課題となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、磁性面に導
電性を付与するために添加されるこれらの半導体微粒子
は、一般に、自由電子をもつため光吸収性が高いことが
知られている。したがって、上記したM型六方晶系フェ
ライトを用いた磁気記録媒体において、添加されたこれ
らの半導体微粒子は、磁性膜の光透過性を阻害すること
になる。たとえば、磁性材料として光吸収係数の小さい
公知のM型六方晶系フェライト微粒子を用いた磁性層の
場合、信頼性確保のため半導体微粒子を添加すると、媒
体の光透過性が損なわれサーボS/N比が極端に低下し
てしまう。そこで、半導体微粒子を添加しても媒体の光
透過性が確保されるようにと、磁性層をできるだけ薄く
するという試みもなされている。しかしながら、磁性膜
厚が薄くなると、膜の擦過性が悪くなりヘッドとの摺動
で磁性層が傷つきやすくなってしまう。
【0007】したがって、M型六方晶系フェライトを磁
性体として用いた光透過型サーボ方式による磁気記録媒
体において、信頼性を維持し記録密度を向上させるため
に、磁性膜厚を薄くすることなく光透過率をさらに向上
させ得る磁性体、いいかえれば光吸収率のより小さい磁
性体が求められていた。
【0008】本発明は上記の事情を鑑みてなされたもの
であり、光透過率を向上させた磁性体を提供すること
を、その目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の六方晶系フェラ
イト磁性粉は、光吸収係数が1×103 /cm以下であ
ることを、その第1の特徴としている。光吸収係数が1
×103 /cmを越える場合には、媒体中を光が十分透
過することができなくなり、光サーボ方式には適さなく
なる。また、本発明の六方晶系フェライト磁性粉におい
て、光吸収係数は1×103 /cm以下で小さいほど好
ましいが、M型構造では、通常、フォノン吸収の寄与も
あり200/cmより小さい値をとることは難しい。し
たがって、本発明の磁性粉において、光吸収係数は20
0/cm〜1×103 /cmの範囲にあることがより好
ましい。
【0010】本発明において磁性粉を特徴づける光吸収
係数は、以下のように定義される。まず、当該磁性粉と
同組成の六方晶系フェライト単結晶をフラックス法で育
成し、その単結晶に対して、波長850nmの光の透過
率を室温において測定する。そして、その測定値と試料
厚みから、光吸収係数を算出する。ここで、光吸収係数
の数値を波長850nmの光に対するもので代表させて
いるのは、この波長はLD発振波長であって実用ドライ
ブに用いられるという理由に因る。また、多結晶粉末で
ある磁性粉そのものを用いず、あえて単結晶を用いて光
吸収係数を求めるようにしたのは、磁性粉の場合には、
組成が同一であっても、粒子のサイズや配列状態など組
成以外の複合的因子によって透過率の測定値が影響を受
けるため、組成と吸収との間に明確な相関がみられなく
なるからである。
【0011】本発明の磁性粉においては、光吸収係数を
本発明の範囲内に制御するために、六方晶系フェライト
の組成式において保磁力低減化のために鉄原子を一部置
換するにあたり、置換元素として、III a族元素および
III b族元素の中から選ばれる少なくとも1種の元素を
含むようにしたことを、その第2の特徴としている。本
発明の六方晶系フェライト磁性粉は、次の一般式 MO・Fe12-xM1 x 18 (ただし、MはCa、Sr、Ba、およびPbから選ば
れる少なくともー種の元素を表し、M1 は原子数平均価
数が3価になるように調節された原子群を意味する。)
により、その組成が表せるものである。
【0012】本発明において、磁性粉の保磁力は300
〜3000 Oeの範囲にあることが望ましい。300
Oe以下の場合記録減磁が著しく高密度記録に適さな
くなり、逆に保磁力が3000 Oe以上の場合には、
一般的な磁気ヘッドでは飽和を起こしてしまいこれを十
分に磁化させることができない。
【0013】保磁力を上記範囲に制御するために、上記
フェライトの一般式においてFeの一部が適当な金属元
素で置換される。この際、置換イオンの価数が原子数平
均3価になるようにすることが望ましい。たとえば置換
元素の中に2価金属が含まれる場合には、4価、5価、
6価元素を併用して置換元素の価数が原子数平均3価に
なるように調節する。
【0014】本発明の磁性粉においては、このような置
換元素の中に、III a族元素およびIII b族元素の中か
ら選ばれる少なくとも1種の元素が含まれる。すなわ
ち、本発明の磁性粉は、構成元素であるFeの一部が、
III a族元素およびIII b族元素の中から選ばれる少な
くとも1種の元素により置換されていることを、その第
2の特徴としている。
【0015】周期表III a族元素およびIII b族元素
は、その電子構造上オープンなdシェルをもたないた
め、正4面体位置あるいは正8面体位置に入っても、遷
移元素のように分裂幅が光エネルギーに相当する結晶場
エネルギー分裂(分裂幅10Dq〜20000cm-1
を起こさない。したがって、光学的には透明である。
【0016】さらにいえば、本発明に係わる置換元素は
元々3価のFeを置換するためのものであるから、3価
元素であるIII a族元素およびIII b族元素を置換元素
として導入した場合、置換サイトでは局所的な価数補償
が保たれている。このために置換サイトは光学的には不
活性となる。これに対して、たとえば2価と4価の元素
を導入する場合、各々の原子サイトでの価数補償は破
れ、エキシトンのトラップセンターとなるため、色が着
き透過率は低下する。したがってIII a族、IIIb族元
素の導入量が多くなるにつれ磁性体は透明性を増す。導
入に際しては、その導入量が、磁性粉の保磁力や磁化量
に影響を与えるので、磁気記録に適した保磁力や磁化量
を得るためには、適切な範囲内に導入量を制御すること
が必要である。
【0017】本発明に使用可能なIII a族元素として
は、B、Al、Ga、In、およびTlがあげられ、II
I b族元素としては、Sc、Y、およびランタン系列元
素とアクチニウム系列元素があげられる。置換に際して
は元素種固有の置換サイトが存在する。このことを反映
して、置換元素の違いによってさまざまな磁気特性の粉
末が得られる。たとえばΙnやScはM型マグネトプラ
ンバイトの主要な磁気異方性を決めるR層の4eサイト
に好んではいるため、これらにより置換した場合には、
結晶の異方性を小さくし、保磁力を下げる。一方、Al
やGaなどは異方性を大きくする傾向がある。元素の選
択・組み合わせ・配合比率は無数にあり、導入量の適正
範囲も元素の選択・組み合わせによって、それぞれ異な
ってくる。したがって、必要とされる保磁力や磁化量に
あわせて、置換元素の種類やその導入量を適宜選択する
ことが望ましい。
【0018】本発明においては、磁性粉の室温での磁化
量が40〜75emu/gの範囲にあることが望まし
い。40emu/g以下の磁化量では作製した媒体の長
波長出力が不足をきたす。また、75emu/g以上の
磁化量は、M型構造であって磁気記録に適した粒径であ
るという条件下では、達成できないものである。
【0019】なお、本発明において、3価元素である上
記III a族元素およびIII b族元素と併用可能な置換元
素として、2価元素であるMn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Μg、Cdなどが例示され、3価元素として
はRhなど、4価元素としてはTi、Zr、Hf、S
n、Ge、Te、Ruなど、5価元素としてはV、N
b、Ta、Bi、Sbなど、6価元素としてはMo、W
などが例示される。
【0020】本発明において、磁性粉の平均粒径は20
〜100nmの範囲であることが望ましく、さらに好ま
しくは20〜60nmの範囲である。100nm以上の
粒径では粒度分布が広がり、媒体を作製したときにノイ
ズ成分が増大することが確認されており、本発明の意図
する高密度記録には適さなくなる。20nm以下の粒径
では、個々の粒子体積が小さいため、磁気モーメントの
方向が磁化容易軸から外れて絶えず揺動し、磁性粉群の
見かけ上の磁化が消失するという、いわゆるスーパーパ
ラ的に振る舞うようになり、磁気記録には適さなくな
る。
【0021】本発明の磁性粉は、上記の粒径、形状の範
囲内にあって、かつ、比表面積はBET法による値で2
5〜70m2 /gの範囲にあることが望ましい。好まし
い比表面積がこのように限定されるのは、比表面積が、
媒体製造にあたり磁性塗料を調製する際、磁性粒子が樹
脂バインダと相互作用する度合いに密接に関連する量で
あるためである。すなわち25m2 /g以下では、樹脂
バインダから受ける抵抗が少なくなって磁性粉の配向性
は向上するものの、磁性塗料中の磁性粉の分散安定性の
確保が困難になり、一方、70m2 /g以上では磁性粉
の配向性・充填性が低下し、高密度記録に適さなくな
る。
【0022】塗布型磁気記録媒体にあっては、磁性膜中
での磁性粉の分散状態もまた媒体の光透過率を左右する
重要な因子であると考えられるが、その分散状態を制御
する因子の一つとして、磁性粉の酸吸着サイト数があ
る。本発明の六方晶系フェライト磁性粉において、樹脂
バインダ中で好ましい分散状態となるためには、磁性粉
表面に所定範囲の数の酸吸着サイトが存在することが望
ましい。すなわち、本発明の磁性粉は、磁性粉の表面積
1m2 あたりに存在する酸吸着サイト数が、1×1017
〜5×1017個の範囲であることを、第3の特徴として
いる。
【0023】本発明において酸吸着サイト数とは、磁性
粉の単位表面積あたりに吸着するステアリン酸の分子数
で定義され、ステアリン酸の室温での飽和吸着量とBE
Tによる比表面積とから算出される。ステアリン酸の飽
和吸着量の測定に際しては、10%のステアリン酸のメ
チルエチルケトン溶液50ml中に5gの磁性粉を秤取
り、10分程度激しく撹拌し、室温で1日放置した後の
上澄み液中のステアリン酸濃度より求めた。比表面積は
(株)湯浅アイオニクス社製モノソーブMS8を用いて
測定した。
【0024】酸吸着サイト/表面積比を上記範囲に限定
したのは、次の理由による。1×1017個/m2 未満で
は、通常磁性塗料作製に際用いられる酸性系樹脂バイン
ダとの相互作用が弱く、磁性塗料を作製する際に十分な
分散性が得られなくなる。そのため、作製した媒体の光
透過率が低下するばかりでなく、表面性が低下し配向性
が低下するなどの問題が発生する。また、5×1017
/m2 を越えると酸性系バインダを多く必要とするよう
になり、その結果、媒体中での磁性粉の充填性が低下
し、光透過性は向上するものの磁気的信号のS/Nは低
下してしまうため、好ましくない。
【0025】一般に磁性粉の吸着サイト/表面積比は、
磁性粉表面の組成や界面化学的性質により決められる。
たとえば磁性粉と酸性系樹脂バインダとの相互作用は、
磁性粉表面のアルカリ点すなわちカチオンの発する電場
の強いサイトで起こる。金属酸化物の表面では、通常、
金属−酸素のイオン結合度合いに相関して、表面のカチ
オンの発する電場の強弱が決まる。周期表の左側に位置
する金属元素の酸化物(イオン結合が優勢)ではカチオ
ンサイトは増加し、周期表で金属−非金属の境目の金属
元素の酸化物(共有結合が優勢)ではカチオンサイトは
減少する傾向がある。
【0026】このようなことから、M型マグネトプラン
バイト微粒子では、製法・置換元素種・置換量などの違
いによってさまざまな吸着席/表面積比の磁性粉ができ
る。このとき、適切量のIII 族元素あるいはIV族元素の
酸化物を磁性粉表面に被着させることによって、酸吸着
サイト/表面積比を本発明の範囲1×1017〜5×10
17個に制御することができる。すなわち処理前の磁性粉
の酸吸着サイト/比表面積比が本発明の範囲より小さい
場合には、たとえばAlのようなIII a族元素の酸化物
を磁性粉表面に被着させることが好ましい。処理前の磁
性粉の酸吸着サイト/表面積比が本発明の範囲を越えて
いる場合には、たとえばSiO2 のようなIVa族元素の
酸化物を磁性粉表面に被着させることが好ましい。
【0027】本発明において磁性粉の板状比は、媒体中
の充填性、配向性を勘案すると2〜9の範囲内であるこ
とが望ましく、さらに好ましくは3〜6の範囲である。
板状比が大きくなるにしたがい、配向性の向上や磁化反
転分布(SFD)の急峻化が見られるが、充填性は逆に
低下する。再生出力を増大させるには充填性、配向性の
向上,SFDの急峻化のバランスを取ることが重要であ
り、それらを勘案した結果上記範囲が好ましいとされる
に至った。
【0028】本発明の磁性粉は、たとえばガラス結晶化
法などの六方晶系フェライトの通常の製法によって得ら
れた磁性粉に、必要に応じて適切な酸化物を被着させる
ことによって得ることが可能である。
【0029】このように、本発明の六方晶系フェライト
磁性粉においては、元素の電子構造や置換サイトでの光
学活性度合いを勘案し、フェライトを構成するFeの一
部を置換する置換元素として、III a族元素、III b族
元素から選ばれる少なくとも1種の元素が含まれるよう
にすることによって、1×103 /cm以下という光吸
収係数を実現させている。さらに、磁性粉表面に存在す
る酸吸着サイト数を、磁性粉表面積1m2 あたり1×1
17〜5×1017個の範囲となるように制御することに
より、磁性塗膜を作製する際の分散を容易にして、分散
状態に起因する光散乱を制御し、上記光吸収係数の実現
を助けている。また、この単位表面積あたりの酸吸着サ
イト数は、磁性粉表面に適切な酸化物を被着させること
によって、制御することが可能である。
【0030】本発明の磁性粉は、樹脂バインダへの分散
が容易であるため、作製した媒体の表面性・配向性・充
填性が良好になり、線記録密度をさらに向上し得る。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例にしたがって説明する。
【0032】実施例1 一般式 BaO・Fe12-2x-y Cox Tix M2 y 18 (ただし、M2 はIII a族元素およびIII b族元素の中
から選択される少なくとも1種の元素を表す) で示される六方晶系フェライトについて、x=0.7
0、M2 =Al、y=1.0として、単結晶と磁性粉と
を作製した。
【0033】上記組成の単結晶育成は、フラックスとし
てNa2 CO3 を用い、1300℃を上限とし冷却速度
3℃/hとしたフラックス法により行った。
【0034】得られた試料は、5×5mm2 (001)
面、厚み1mm程度であった。吸収係数測定に際して
は、(001)面を研磨加工し、(001)面鉛直入射
で波長700〜900nmの範囲で透過率を測定した。
測定は、室温で(株)日立社製分光光度計U3200を
用いて行った。
【0035】上記組成の磁性粉の作製にあたっては、B
aO−B2 3 をガラス母相としたガラス結晶化法を用
いた。すなわちBaO−B2 3 のガラス母相成分とフ
ェライト成分原料とを良く混合した後、溶融し融液を双
ロールにて急冷した。ガラス母相成分/フェライト成分
の重量比は65/35となるようにした。その後熱処理
を施しフェライトをガラス母相中で成長させた。ガラス
母相を除去することによって、フェライト微粉末を得
た。
【0036】このようにして得られた磁性粉の表面に、
lwt%のAl2 3 を被着させた。すなわち、磁性粉
を純水中によく分散させて磁性粉濃度10wt%相当の
スラリーを作製し、AlCl3 をAl2 3 換算でlw
t%となるように所定量添加して、よく撹拌した。その
後、苛性ソーダを当量添加し水酸化アルミニウムを磁性
粉表面に沈着させた。その後、水洗いして副生成物Na
Clを除き、150℃で48時間乾燥加熱して、表面に
Al2 3 が被着された本発明の磁性粉を得た。
【0037】得られた磁性粉について、磁気特性の測定
は振動試料型磁力計(VSM)を用いて行った。保磁力
および磁化量は10kOeでの値である。磁性粉の粒径
・形状は20万倍の透過電子顕微鏡写真像より無作為に
200個の粒子を選び、その粒径、板厚みを測定して得
られた平均値である。すでに説明したように、酸吸着サ
イト数はステアリン酸の飽和吸着量から求め、比表面積
はBET法により求めた。これらの測定結果は、後出の
表1の上段に示されている。
【0038】実施例2〜8 上記フェライトの一般式において置換元素M2 の種類と
その置換量yを変えた他は実施例1と同様にして、単結
晶と磁性粉とを作製した。そして、実施例1と同様にし
てその特性を調べた。これらの測定結果を、M2 の種類
とyの値とともに次の表1の上段に示した。
【0039】
【表1】 次いで、上記フェライトの一般式において置換量yある
いは酸吸着サイト数が本発明にしたがわない磁性粉を比
較例として作製し、実施例と同様にその特性を調べた。
これらの測定結果は、後出の表2の上段に示されてい
る。
【0040】比較例1 上記フェライトの一般式において置換量y=0とした他
は、実施例1と同様にして磁性粉を作製した。
【0041】比較例2 表面にAl2 3 を被着させる代わりに2wt%のSi
2 を被着させた他は実施例1と同様にして、磁性粉を
作製した。ただし、SiO2 を被着させるにあたって
は、未表面処理磁性粉を純水中によく分散させて磁性粉
濃度10wt%のスラリーを作製し、これに水ガラスを
所定量添加し、よく撹拌後、塩酸を加えてSiO2 を磁
性粉表面に沈着させるようにした。
【0042】比較例3 表面にAl2 3 を被着させない他は実施例1と同様に
して、磁性粉を作製した。
【0043】比較例4 Al2 3 の被着量を2wt%とした他は実施例1と同
様にして、磁性粉を作製した。
【0044】
【表2】 次いで、このようにして得られた本発明の実施例および
比較例の磁性粉を用いて、下記組成の磁性塗料を調製
し、さらに磁性塗膜を作製してその特性を調べた。<磁
性塗料組成> 磁性粉 100重量部 極性基含有ウレタン樹脂 5重量部 極性基含有塩化ビニル樹脂 5重量部 メチルエチルケトン/シクロヘキサノン/トルエン 混合溶剤 300重量部 この磁性塗料調製にあたっては、分散メデイアを用い充
分に分散した。そして膜厚み1μm程度になるように、
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に無磁界で塗布
した。得られた塗膜試料は、室温で(株)日立社製分光
光度計U3200を用い、波長700〜900nmの範
囲で透過率を測定した。さらに膜中での磁性粉の充填度
合いを調べるため磁化量を測定し、磁性粉磁化量との対
比で磁性粉充填密度(g/cm3 )を求めた。分散性の
指標としては、塗布上がりの面精度(Ra)と配向性を
調べた。配向膜作製にあたっては、塗液が乾ききらない
うちに、6kOeの磁界中に塗膜を磁界に平行になるよ
うに置き、自然に乾燥するまで放置した。得られた膜を
VSMにより残留磁化量/飽和磁化量比を求め配向率と
した。なお、これらの磁性塗膜に関する測定結果は、前
出の表1と表2のそれぞれの下段に、使用した磁性粉の
番号に対応させて示してある。
【0045】表1および表2からも明らかなように、本
発明の磁性粉によって、光透過率が高く、表面性、配向
性にすぐれた磁性塗膜が形成可能であった。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁性粉は
光透過性にすぐれた磁性体であって、光透過型サーボ方
式に用いる塗布型媒体の磁性粉に好適である。
【0047】さらに酸吸着サイトが豊富にあり、樹脂バ
インダと磁性粉との界面での相互作用が大きく分散性に
すぐれている。したがって、これを用いて媒体を作製し
た際、散乱による光透過の低下を防ぐばかりか、表面
性、配向性にすぐれた媒体を作製し得る。
【0048】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光吸収係数が1×103 /cm以下であ
    ることを特徴とする六方晶系フェライト磁性粉。
  2. 【請求項2】 構成元素であるFeの一部が、III a族
    元素およびIII b族元素の中から選ばれる少なくとも1
    種の元素により置換されていることを特徴とする特許請
    求の範囲請求項1記載の六方晶系フェライト磁性粉。
  3. 【請求項3】 表面積1m2 あたりに存在する酸吸着サ
    イト数が、1×1017〜5×1017個の範囲であること
    を特徴とする特許請求の範囲請求項1あるいは2記載の
    六方晶系フェライト磁性粉。
  4. 【請求項4】 III 族元素あるいはIV族元素の酸化物が
    表面に被着されていることを特徴とする特許請求の範囲
    請求項3記載の六方晶系フェライト磁性粉。
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