JP3230476B2 - アーク溶接におけるルートギャップの検出方法 - Google Patents

アーク溶接におけるルートギャップの検出方法

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JP3230476B2 JP34602097A JP34602097A JP3230476B2 JP 3230476 B2 JP3230476 B2 JP 3230476B2 JP 34602097 A JP34602097 A JP 34602097A JP 34602097 A JP34602097 A JP 34602097A JP 3230476 B2 JP3230476 B2 JP 3230476B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速回転アーク溶
接法、揺動アーク溶接法およびタンデムアーク溶接法に
適用されるアーク溶接におけるルートギャップの検出方
法に係り、特に溶接条件適応制御において溶接条件を選
定するために必要な開先のルートギャップの変化を、ア
ーク溶接法におけるアークセンサ技術を用いてインプロ
セスで検出するルートギャップ検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アーク溶接における開先のルート
ギャップの検出は溶接施工以前に、または溶接中にアー
クのかなり前方位置において開先状態を検出するレーザ
センサや画像撮像センサを用いて行われているが、溶接
中のアーク直下におけるギャップ検出技術は確立されて
いない。一方、溶接ロボットなどを用いた自動機器によ
る溶接施工の場合には、溶接施工以前にオフラインプロ
グラム手法により動作プログラムが作成される。しか
し、オフラインプログラミングでは、CADデータがベ
ースとなるため、ワークの加工精度、取付精度、および
溶接中の動的な熱変形などにより実ワークとの差異が発
生する。この差異であるギャップの存在により、所望の
脚長を得ることができないなどの溶接品質の低下を招く
問題点が存在している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この問題点を解決する
ためには、ギャップの変動をインプロセスでセンシング
することにより、適正な溶接条件を選定し溶接を施工す
る技術の開発が強く望まれてきている。本発明は、この
ような要請に応えるために、溶接中のアーク直下におけ
るギャップ検出をインプロセスで可能にすることを課題
としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、隅肉溶接、V
形状の突き合わせ溶接などにおいて、開先のルートギャ
ップGの変動によって変化するアーク直下の溶融池表面
形状の変化を、高速回転アークまたは揺動アークもしく
はタンデム溶接アークの溶接電圧VT または溶接電流I
の波形によって認識するルートギャップ検出方法であ
る。この場合、溶接トーチの位置が開先の中心に対しず
れが生じると、検出波形にギャップ変動以外の影響を与
えるので、何らかのセンサによって開先幅方向の位置と
溶接トーチ高さ方向の位置を正確に制御する。
【0005】本発明に係る第1のアーク溶接におけるル
ートギャップの検出方法は、高速回転アーク溶接法によ
って、アークセンサ方式により溶接線ならいと溶接トー
チ高さ(電極チップ−母材間距離)の制御を行いながら
溶接をしているときに、開先のルートギャップGの変化
によって変化する、アーク直下の溶融池表面形状の変化
を、高速回転アークの溶接電圧または溶接電流の波形に
よって認識する方法において、基準となるギャップGre
f に対する適正溶接条件における前記溶接電圧または前
記溶接電流の波形を基準波形として記憶しておき、前記
基準波形に対する現波形の偏差部分の面積|ΔSG |を
アークの1回転分について求め、さらにアーク回転位置
の後方部における偏差部分の積分の符号から波形差ΔS
G の正負を判定してΔSG を求め、このΔSG の値とル
ートギャップGの関係を予め実験により求めておき、現
在のΔSG の値から現在のルートギャップGを認識する
ことを特徴とするものである。
【0006】第2のアーク溶接におけるルートギャップ
の検出方法は、溶接線ならいと溶接トーチ高さの制御を
行いながら溶接トーチを溶接方向に揺動させる揺動アー
ク溶接をしているときに、開先のルートギャップGの変
化によって変化する、アーク直下の溶融池表面形状の変
化を、揺動アークの溶接電圧または溶接電流の波形によ
って認識する方法において、基準となるギャップGref
に対する適正溶接条件における前記溶接電圧または前記
溶接電流の波形を基準波形として記憶しておき、前記基
準波形に対する現波形の偏差部分の面積|ΔSG |をア
ークの1揺動周期分について求め、さらに揺動周期の後
方部における偏差部分の積分の符号から波形差ΔSG の
正負を判定してΔSG を求め、このΔSG の値とルート
ギャップGの関係を予め実験により求めておき、現在の
ΔSG の値から現在のルートギャップGを認識すること
を特徴とするものである。
【0007】第3のアーク溶接におけるルートギャップ
の検出方法は、溶接線ならいと溶接トーチ高さの制御を
行いながらタンデムアーク溶接をしているときに、開先
のルートギャップGの変化によって変化する、アーク直
下の溶融池表面形状の変化を、アークの溶接電圧または
溶接電流の波形によって認識する方法において、基準と
なるギャップGref に対する適正溶接条件における前記
溶接電圧または前記溶接電流の波形を基準波形として記
憶しておき、前記基準波形に対する現波形の偏差部分の
面積|ΔSG |をサンプリング周期毎に求め、さらに後
行電極のサンプリング周期における偏差部分の積分の符
号から波形差ΔSG の正負を判定してΔSG を求め、こ
のΔSG の値とルートギャップGの関係を予め実験によ
り求めておき、現在のΔSG の値から現在のルートギャ
ップGを認識することを特徴とするものである。
【0008】まず、本発明の原理について説明する。
【0009】1.高速回転アーク溶接の場合 (1)開先のルートギャップ変動における溶接電圧波形
の変動 図1は、高速回転アーク溶接法による隅肉溶接におい
て、ギャップGの変化によって変化する溶接電圧VT の
波形の一例を示す図である。図中、Cf 、R、Cr 、L
はアークの回転位置を示し(図2参照)、横軸のθは溶
接電圧波形の位相である。図1(a)のVTref波形(実
線で示す波形)は、ギャップGの値が基準値Gref のと
きの適正溶接条件で溶接をしたときの基準溶接電圧波形
であり、VTAV はVTref波形の平均電圧である。また、
Cf 、R、Cr 、Lの位置は、図2に示すように回転ア
ークの1回転において、溶接の進行方向に向かって、θ
=0゜の前方中央位置をCf 、右側90゜の位置をR、
後方中央位置(180゜)をCr 、左側270゜の位置
をLとしている。これらの位置信号は溶接トーチの回転
モータのエンコーダから出力されるパルス信号で定めら
れる。
【0010】溶接電圧波形は溶融池の表面形状に対応し
て変化するアーク長の影響を受けて、Cf とCr の位置
で最も高くなり、RとLの位置で最も低くなる。この溶
接条件において、ギャップGがGref より大となったと
きの溶接電圧波形をVT 波形(破線)として図1(a)
に示している。すなわち、ギャップGがGref より大に
なると、Cr 部における位相θ1 〜θ2 の範囲において
VT >VTrefとなり、その他の部分ではVT <VTrefと
なる。これは、図3に示すように、ギャップが大になる
と脚長(ビード高さ)が減少し、アーク3直下の溶融池
4が後退するためにCr 部のアーク電圧が増加するため
である。平均電圧は溶接トーチ1のトーチ高さ制御によ
り一定になるので、他の部分のアーク電圧が低下する。
逆に、ギャップGがGref より小になると、図1(b)
に示すように、Cr 部でVT <VTrefとなり、その他の
部分ではVT >VTrefとなる。なお、図2、図3におい
て、1は溶接トーチ、2は溶接ワイヤ、3はアーク、4
は溶融池、5は溶接ビード、6は立板、7は下板であ
る。
【0011】(2)波形差ΔSG の検出方法 図1の結果から、溶接中に他の何らの検出器を用いるこ
となく、溶接電圧波形を検出することにより、つまりア
ークセンサ方式によって、アーク直下部のルートギャッ
プの変化を検出できることがわかる。基準溶接電圧波形
VTrefに対する現波形VT の偏差部分(図1の斜線部
8)の面積の回転アークの1回転分の総和は基準ギャッ
プGref に対するギャップ変化量の絶対値として認識す
ることができる。また、位相θ1 〜θ2 (Cr 部)にお
ける電圧波形の偏差部分の積分値の符号が正のときG>
Gref 、負のときG<Gref と判定することができる。
このように電圧波形の瞬時値をとらず積分値とするの
は、電圧波形には溶接アーク現象に起因する高調波ノイ
ズが重畳されるのでその影響を防止するためである。こ
こでは電圧波形を用いているが、アークセンサの周知の
原理より、電流波形を用いることもできるのは当然であ
り、ここでは省略する。
【0012】(3)波形差ΔSG の求め方 図1の斜線部8の面積の総和を|ΔSG |とすると、
【数1】
【0013】Cr 部における偏差部分の積分値をIcrと
すると、
【数2】 である。従って、Icrの符号からΔSG の正負を定める
ことができる。すなわち、 Icr>0のとき ΔSG >0 Icr<0のとき ΔSG <0 となる。
【0014】故に、
【数3】
【0015】この(3)、(4)式から、波形差ΔSG
の値を求めることができる。しかし、現実の電圧波形に
おいては位相θ1 、θ2 は回転アークの1回転ごと、あ
るいは溶接条件やギャップ値によってかなり変動するの
で、インプロセスで検出するのは容易でない。従って、
実験結果から近似値として与える。このΔSG の算出方
法によれば、θ1 、θ2 のバラツキがΔSG の値に影響
しないため、検出精度は良好となる。
【0016】(4)ルートギャップの認識方法 (3)式より求められるΔSG の値はギャップ変化量に
対応し、図4に示すようにルートギャップGとの間にほ
ぼ直線的な関係があることが実験により確かめられてい
る。ここで得られたΔSG −G特性線は、G=Gref に
おける適正条件で溶接したときに得られる。従って、Δ
SG の値から現在のルートギャップを認識することがで
きる。
【0017】次に、揺動アーク溶接及びタンデムアーク
溶接の場合も原理は高速回転アーク溶接の場合と同様で
ある。 2.揺動アーク溶接の場合 (1)開先のルートギャップ変動における溶接電圧波形
の変動 揺動アーク溶接の場合は、溶接トーチを溶接方向に揺動
させることにより、アークセンサにより検出される電圧
波形は図5のようになり、基本的に高速回転アーク溶接
の場合と同様に取り扱うことができる。図5は、揺動ア
ーク溶接による隅肉溶接において、ギャップGの変化に
よって変化する溶接電圧VT の波形の一例を示す図であ
る。図中、F、C、Rの位置は揺動アークの位置を示し
(図6参照)、横軸のθは溶接電圧波形の位相である。
図5(a)のVTref波形(実線で示す波形)は、ギャッ
プGの値が基準値Gref のときの適正溶接条件で溶接を
したときの基準溶接電圧波形であり、VTAV はVTref波
形の平均電圧である。また、F、C、Rの位置は、図6
に示すように揺動アークの1揺動周期において、溶接の
進行方向に向かって、前方位置をF、中央位置をC、後
方位置をRとしている。これらの位置信号は溶接トーチ
の揺動モータのエンコーダから出力されるパルス信号で
定められる。
【0018】溶接電圧波形は溶融池の表面形状に対応し
て変化するアーク長の影響を受けて、Rの位置で最も高
くなる。この溶接条件において、ギャップGがGref よ
り大となったときの溶接電圧波形をVT 波形(破線)と
して図5(a)に示している。すなわち、ギャップGが
Gref より大になると、R部における位相θ1 〜θ2の
範囲においてVT >VTrefとなり、その他の部分ではV
T <VTrefとなる。これは、図7に示すように、ギャッ
プが大になると脚長(ビード高さ)が減少し、アーク3
直下の溶融池4が後退するためにR部のアーク電圧が増
加するためである。平均電圧は溶接トーチ1のトーチ高
さ制御により一定になるので、他の部分のアーク電圧が
低下する。逆に、ギャップGがGref より小になると、
図5(b)に示すように、R部でVT <VTrefとなり、
その他の部分ではVT >VTrefとなる。
【0019】(2)波形差ΔSG の検出方法 図5の結果から、溶接中に他の何らの検出器を用いるこ
となく、溶接電圧波形を検出することにより、つまりア
ークセンサ方式によって、アーク直下部のルートギャッ
プの変化を検出することができる。基準溶接電圧波形V
Trefに対する現波形VT の偏差部分(図5の斜線部8
a)の面積の揺動アークの1揺動周期分の総和は基準ギ
ャップGref に対するギャップ変化量の絶対値として認
識することができる。また、位相θ1 〜θ2 (R部)に
おける電圧波形の偏差部分の積分値の符号が正のときG
>Gref 、負のときG<Gref と判定することができ
る。このように電圧波形の瞬時値をとらず積分値とする
理由は、前述したとおり、電圧波形には溶接アーク現象
に起因する高調波ノイズが重畳されるのでその影響を防
止するためである。また、ここでも電圧波形を用いてい
るが、アークセンサの周知の原理より、電流波形を用い
ることもできるのはいうまでもない。
【0020】(3)波形差ΔSG の求め方 図5の斜線部9の面積の総和を|ΔSG |とすると、|
ΔSG |は前記(1)式と同一の式で与えられる。
【0021】
【数4】
【0022】R部における偏差部分の積分値IR も前記
(2)式と同様である。
【数5】
【0023】従って、同様にIR の符号からΔSG の正
負を定めることができる。すなわち、 IR >0のとき ΔSG >0 IR <0のとき ΔSG <0 となる。
【0024】故に、
【数6】
【0025】この(7)、(8)式から、波形差ΔSG
の値を求めることができる。しかし、現実の電圧波形に
おいては位相θ1 、θ2 は揺動アークの1周期ごと、あ
るいは溶接条件やギャップ値によってかなり変動するの
で、インプロセスで検出するのは容易でない。従って、
実験結果から近似値として与える。このΔSG の算出方
法によれば、θ1 、θ2 のバラツキがΔSG の値に影響
しないため、検出精度は良好となる。
【0026】(4)ルートギャップの認識方法 (7)式より求められるΔSG の値はギャップ変化量に
対応し、図8に示すようにルートギャップGとの間にほ
ぼ直線的な関係があることが実験により確かめられてい
る。ここで得られたΔSG −G特性線は、G=Gref に
おける適正条件で溶接したときに得られる。従って、Δ
SG の値から現在のルートギャップを認識することがで
きる。
【0027】3.タンデムアーク溶接の場合 タンデムアーク溶接とは、「縦列電極溶接」の意味であ
り、各電極はそれぞれ独立の溶接電源を有し、電気的に
独立している。溶接対象に応じて各電極の溶接条件(電
流、電圧)、電極間の距離が選定される。また、各電極
は機構的に一体配置され、従って溶接走行が一体(溶接
速度が同じ)となる。通常、2電極溶接の場合が多い
が、3〜6電極の場合もある(造船の片面溶接や隅肉溶
接など)。UOEの造管溶接などでは4〜6電極であ
る。
【0028】図9に2電極のタンデムアーク溶接の場合
を示し、図10にルートギャップGの変化に対する各電
極の溶接電流I、溶接電圧VT の変化を示す。図中、A
は先行電極、Bは後行電極である。ルートギャップが変
化(増加)すると、回転アーク、揺動アークの場合と同
様に、図9に示すように溶融池4が破線のように低くな
って、ビード高さが減少する。従って、A電極とB電極
の電流(電圧)は各々減少(増加)するが、A電極の電
流(電圧)の変化より、溶融金属ヘッドの高いB電極の
電流(電圧)の変化が大きい(図10参照)。そこで、
後行電極のアークセンサにより検出される溶接電流また
は溶接電圧の波形の変化に着目してルートギャップを検
出する。なお、3電極以上の多電極の場合、後行電極と
は、最後尾の電極またはそれに近い後方電極をいう。
【0029】制御的には、回転アーク、揺動アークの場
合と同様に、電流(電圧)波形のサンプリング周期をT
とすれば、この場合Tは回転アーク、揺動アークの1周
期に相当する。従って、図10の特性より、ギャップG
の変化に対して、例えば溶接電圧VT のサンプリングの
波形は図11のようになる。電流Iは電圧の逆になる。
【0030】よって、図11の斜線部8bと8cの面積
の総和|ΔSG |は(9)式で与えられる。
【0031】
【数7】
【0032】B電極における偏差部分の積分値IB は
(10)式となる。
【数8】
【0033】従って、同様にIB の符号からΔSG の正
負を定めることができる。すなわち、 IB >0のとき ΔSG >0 IB <0のとき ΔSG <0 となる。
【0034】故に、
【数9】
【0035】(11)式より求められるΔSG の値も、
図示は省略するが、図4、図8と同様に、ルートギャッ
プGとほぼ直線的な関係となっている。従って、ΔSG
の値から現在のルートギャップを認識することができ
る。
【0036】
【発明の実施の形態】図12は本発明によるルートギャ
ップ検出方法において使用する波形差ΔSGの検出回路
例を示すブロック図である。なお、この検出回路は、高
速回転アーク溶接、揺動アーク溶接、およびタンデムア
ーク溶接の場合において、すべて同一の構成である。従
って、主に高速回転アーク溶接の場合について説明し、
その他のアーク溶接については必要に応じて補足する。
図12において、11はアークセンサにより検出された
現在の溶接電圧VT0と溶接線ならい制御およびトーチ高
さ制御のもとでの平均電圧VTAV との偏差を増幅する差
動増幅器、12は基準溶接電圧波形VTrefのデータが記
憶されている波形メモリ、13は差動増幅器11の出力
VT と波形メモリ12の基準出力VTrefとの偏差を増幅
する差動増幅器、14は前記(1)式の右辺の積分をす
る絶対値積分器、15は前記(2)式の右辺の積分をす
る積分器、16は前記(3)、(4)式によりΔSG の
符号の正負を判定する符号判定器である。
【0037】このΔSG 検出回路では、高速回転アーク
溶接のアークセンサによって溶接線ならい制御とトーチ
高さ制御を行いながら(揺動アーク溶接、タンデムアー
ク溶接の場合にはアークセンサによりトーチ高さ制御を
行い、溶接線ならい制御は別のセンサで行う)溶接をし
ているときに、アークセンサにより検出された現在の溶
接電圧VT0と基準ギャップGref に対する適正溶接条件
のときの平均電圧VTAV を差動増幅器11に入力してお
り、差動増幅器11はその偏差VT を出力する。この出
力VT を差動増幅器13に入力する一方、波形メモリ1
2に記憶されている基準ギャップGref に対応する基準
電圧VTrefのデータを取り出し、このデータを差動増幅
器13に入力する。さらに、この差動増幅器13の出力
(VT −VTref)がそれぞれ絶対値積分器14と積分器
15に入力され、絶対値積分器14において差動増幅器
13の出力(VT −VTref)を絶対値化したうえでアー
ク回転の1回転分(揺動アーク溶接の場合はアーク揺動
の1周期分、タンデムアーク溶接の場合は各電極のアー
クの1サンプリング周期分)について波形の面積差の総
和|ΔSG |を求めるべく前記(1)式((5)式もし
くは(9)式)の右辺の積分を行う。一方、積分器15
ではCr 部(R部)の位相θ1 〜θ2 (タンデムアーク
溶接の場合、後行電極のサンプリング周期T)の範囲に
ついてのみ面積差Icr(IR もしくはIB )を求めるべ
く前記(2)式((6)式もしくは((10)式)の右
辺の積分を行う。これらの積分値は符号判定器16に送
られ、前記(3)、(4)式((7)、(8)式もしく
は(11)、(12)式)により符号の正負を判定し、
G>Gref のときは正のΔSG を、G<Gref のときは
負のΔSG をそれぞれ出力する。
【0038】このようにして、波形差ΔSG を検出する
ことができるので、予めルートギャップGとΔSG の関
係を実験により求めておくことにより、ΔSG の符号か
ら、現在のギャップGが基準ギャップGref より大とな
ったか、小となったか、あるいは基準ギャップGref の
ままであるかをインプロセスで認識することができる。
従ってまた、このΔSG の算出結果から、現在のギャッ
プGに対応する適正な溶接条件に変更して溶接すること
ができるため、ルートギャップの変化に対応する溶接条
件適応制御が可能となる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
溶接トーチの近傍に何らの検出器を用いることなく高速
回転アーク溶接法または溶接方向に溶接トーチを揺動さ
せる揺動アーク溶接法もしくはタンデムアーク溶接法の
アークセンサによる溶接電圧または溶接電流の情報のみ
で、溶接中のアーク直下のルートギャップの変化を認識
でき、アーク溶接における溶接品質の維持に重要なルー
トギャップの変化をインプロセスで検出可能であるとい
う効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】高速回転アーク溶接の場合において、基準ギャ
ップに対してルートギャップが変化したときの回転アー
クの溶接電圧の変化を示す波形図である。
【図2】アーク回転位置の定義図である。
【図3】回転アークの後方部においてアーク長が変化し
たとき、溶融池が後退する状況を示す説明図である。
【図4】波形差ΔSG とルートギャップGの関係を示す
ΔSG −G特性線図である。
【図5】揺動アーク溶接の場合において、基準ギャップ
に対してルートギャップが変化したときの揺動アークの
溶接電圧の変化を示す波形図である。
【図6】アーク揺動位置の定義図である。
【図7】揺動アークの後方部においてアーク長が変化し
たとき、溶融池が後退する状況を示す説明図である。
【図8】波形差ΔSG とルートギャップGの関係を示す
ΔSG −G特性線図である。
【図9】タンデムアーク溶接の場合において、ギャップ
の変化により溶融池形状が変化する状況を示す説明図で
ある。
【図10】タンデムアーク溶接の場合において、ギャッ
プが変化したときの各電極の溶接電圧及び溶接電流の変
化を示す波形図である。
【図11】タンデムアーク溶接の場合のサンプリング波
形の面積差を求める方法の説明図である。
【図12】本発明のルートギャップ検出方法における波
形差ΔSG の検出回路のブロック図である。
【符号の説明】
1 溶接トーチ 2 溶接ワイヤ 3 アーク 4 溶融池 5 溶接ビード 6 立板 7 下板 8、8a、8b、8c 斜線部(VT 波形とVTref波形
の偏差部分) 11 差動増幅器 12 波形メモリ 13 差動増幅器 14 絶対値積分器 15 積分器 16 符号判定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村山 雅智 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 後藤 直幸 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 尾座本 大輔 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−24862(JP,A) 特開 昭63−80971(JP,A) 特開 昭63−192562(JP,A) 特開 昭62−158569(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 9/127 B23K 9/095 G01B 7/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶接線ならいと溶接トーチ高さの制御を
    行いながら、高速回転アークによって溶接をしていると
    きに、開先のルートギャップGの変化によって変化す
    る、アーク直下の溶融池表面形状の変化を、高速回転ア
    ークの溶接電圧または溶接電流の波形によって認識する
    方法において、 基準となるギャップGref に対する適正溶接条件におけ
    る前記溶接電圧または前記溶接電流の波形を基準波形と
    して記憶しておき、前記基準波形に対する現波形の偏差
    部分の面積|ΔSG |をアークの1回転分について求
    め、さらにアーク回転位置の後方部における偏差部分の
    積分の符号から波形差ΔSG の正負を判定してΔSG を
    求め、このΔSG の値とルートギャップGの関係を予め
    実験により求めておき、現在のΔSG の値から現在のル
    ートギャップGを認識することを特徴とするアーク溶接
    におけるルートギャップの検出方法。
  2. 【請求項2】 溶接線ならいと溶接トーチ高さの制御を
    行いながら溶接トーチを溶接方向に揺動させる揺動アー
    ク溶接をしているときに、開先のルートギャップGの変
    化によって変化する、アーク直下の溶融池表面形状の変
    化を、揺動アークの溶接電圧または溶接電流の波形によ
    って認識する方法において、 基準となるギャップGref に対する適正溶接条件におけ
    る前記溶接電圧または前記溶接電流の波形を基準波形と
    して記憶しておき、前記基準波形に対する現波形の偏差
    部分の面積|ΔSG |をアークの1揺動周期分について
    求め、さらに揺動周期の後方部における偏差部分の積分
    の符号から波形差ΔSG の正負を判定してΔSG を求
    め、このΔSG の値とルートギャップGの関係を予め実
    験により求めておき、現在のΔSG の値から現在のルー
    トギャップGを認識することを特徴とするアーク溶接に
    おけるルートギャップの検出方法。
  3. 【請求項3】 溶接線ならいと溶接トーチ高さの制御を
    行いながらタンデムアーク溶接をしているときに、開先
    のルートギャップGの変化によって変化する、アーク直
    下の溶融池表面形状の変化を、アークの溶接電圧または
    溶接電流の波形によって認識する方法において、 基準となるギャップGref に対する適正溶接条件におけ
    る前記溶接電圧または前記溶接電流の波形を基準波形と
    して記憶しておき、前記基準波形に対する現波形の偏差
    部分の面積|ΔSG |をサンプリング周期毎に求め、さ
    らに後行電極のサンプリング周期における偏差部分の積
    分の符号から波形差ΔSG の正負を判定してΔSG を求
    め、このΔSG の値とルートギャップGの関係を予め実
    験により求めておき、現在のΔSG の値から現在のルー
    トギャップGを認識することを特徴とするアーク溶接に
    おけるルートギャップの検出方法。
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