JP4658767B2 - 多層盛り溶接方法及び多層盛り溶接装置 - Google Patents

多層盛り溶接方法及び多層盛り溶接装置 Download PDF

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Description

本発明は、開先のギャップ幅が不均一である被溶接物を多層盛りアーク溶接するのに好適な多層盛り溶接方法及び多層盛り溶接装置に関するものである。
従来、開先にギャップのある被溶接物を自動アーク溶接するに際し、溶接電流、溶接電圧、溶接速度、トーチ後退角及びトーチ倒れ角などの各種溶接条件を、ギャップ幅の関数として予め記憶手段に記憶させておき、溶接に先立ち、溶接ロボットのアーム先端に取り付けられた光学式位置センサにより、被溶接物の開先のギャップ幅を測定し、しかる後、ギャップ幅測定値と前記記憶されている関数とから、ギャップ幅測定値に対応する適正な各種溶接条件を算出・選択して、被溶接物をアーク溶接するようにした自動溶接方法が提案されている(特許文献1:特開平6−246451号公報)。しかしながら、この従来の自動溶接方法は、溶接トーチ移動させるアーク溶接ロボットや溶接電源の出力制御が複雑なものであった。また、従来技術においては、開先のギャップ幅が一定でなく不均一な場合は想定されていない。
一方、ギャップ幅が一定でない場合、前記のようにギャップ幅に応じて最適な溶接条件に変更させるとすれば、途中で溶接電流や溶接速度などを変更することが必要となり、溶接トーチ移動させるアーク溶接ロボットや溶接電源の出力制御が複雑になってしまう。また、余盛高さを一定にするため、ギャップ幅が大きくなるに伴って、溶接パス数を多くするように設定する必要がある。
例えば、図8は同一継手の溶接線途中で開先のギャップ幅が不均一で大きく変化している被溶接物の例を示す平面図である。このように溶接線途中で開先のギャップ幅が大きく変動している被溶接物については、それぞれのギャップ幅に応じて最適な溶接条件で溶接しようとする場合、図7に示すように途中で溶接パス数を変更することが必要となり、ビード継ぎ目で溶け込み不良等の溶接欠陥が発生し易くなってしまう。当然ながら、初層(第1溶接パス)での溶け落ちをなくすため、ギャップ幅が大きくなるに伴って、溶接電流を低くするとともに溶接速度を速くして、入熱量を小さくするように設定される必要があるなど、パス数以外の条件も変更する必要が出てくる。
特開平6−246451号公報(段落[0011]〜[0024]、図1、図2)
そこで本発明の課題は、開先のギャップ幅が不均一な被溶接物を多層盛りアーク溶接するに際し、途中で溶け落ちを防止しつつ第1溶接パス(初層)の溶接を行うことができ、また、溶接部全体にわたって同一溶接パス数の多層盛り溶接を行うことができ、また、同一溶接パスにおいて途中で溶接条件を変更しなくてすむようにした、多層盛り溶接方法及び多層盛り溶接装置を提供することにある。
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
請求項の発明は、第一の被溶接部材と第二の被溶接部材とから構成され、開先のギャップ幅が不均一な被溶接物を多層盛りアーク溶接する多層盛り溶接方法において、前記第一と第二の被溶接部材間に沿って設定される溶接線の方向をX軸とし、該X軸に直交する方向をY軸とした座標系を設定し、前記X軸上の複数の測定位置における開先の端部位置を測定し、前記複数の測定位置のX座標値とその位置における前記第一の被溶接部材の開先端部位置及び前記第二の被溶接部材の開先端部位置をそれぞれY座標値として算出し、前記複数の測定位置のX座標値と前記第一の被溶接部材のY座標値とから第一の被溶接部材端部近似線を、前記複数の測定位置のX座標値と前記第二の被溶接部材のY座標値とから第二の被溶接部材端部近似線を算出し、前記両近似線間距離の最大値を算出し、得られた最大値に対応する多層盛り溶接条件を、予め設定された多層盛り溶接条件対応データより選定し、前記選定された多層盛り溶接条件にて多層盛りアーク溶接を行うことを特徴とする多層盛り溶接方法である。
請求項の発明は、請求項に記載の多層盛り溶接方法において、前記多層盛り溶接条件対応データが、最大ギャップ幅と該最大ギャップ幅に対応する多層盛り溶接条件との関係を予め設定したものであり、該多層盛り溶接条件として少なくとも溶接電流、溶接速度、パス回数を選定可能に構成されていることを特徴とするものである。
請求項の発明は、請求項1又は2に記載の多層盛り溶接方法において、前記選定された多層盛り溶接条件にて、第1溶接パスから最終溶接パスまでの多層盛りアーク溶接を行うことを特徴とするものである。
請求項の発明は、第一の被溶接部材と第二の被溶接部材とから構成され、開先のギャップ幅が不均一な被溶接物を多層盛りアーク溶接する多層盛り溶接装置において、前記第一と第二の被溶接部材間に沿って設定される溶接線の複数箇所における前記開先のギャップ幅情報を測定するためのギャップ幅情報測定センサと、前記ギャップ幅情報測定センサの出力から、前記複数箇所の測定位置の前記第一の被溶接部材の開先端部位置及び前記第二の被溶接部材の開先端部位置を測定するギャップ幅測定部と、前記溶接線の方向をX軸とし、該X軸に直交する方向をY軸とした座標系を設定し、前記複数箇所の測定位置のX座標値と前記第一の被溶接部材の開先端部位置及び前記第二の被溶接部材の開先端部位置をそれぞれY座標値として求める座標算出部と、前記複数の測定位置のX座標値と前記第一の被溶接部材のY座標値とから第一の被溶接部材端部近似線を、前記複数の測定位置のX座標値と前記第二の被溶接部材のY座標値とから第二の被溶接部材端部近似線を算出する近似線算出部と、前記両近似線間距離の最大値を算出し、得られた最大値を最大ギャップ幅測定値として選択する最大ギャップ幅検出部と、前記最大ギャップ幅測定値に対応する多層盛り溶接条件を、予め設定された多層盛り溶接条件対応データより選定する溶接条件選定部とを備え、前記選定された多層盛り溶接条件にて多層盛りアーク溶接を行うことを特徴とする多層盛り溶接装置である。
請求項の発明は、請求項に記載の多層盛り溶接装置において、前記多層盛り溶接条件対応データが、最大ギャップ幅と該最大ギャップ幅に対応する多層盛り溶接条件との関係を予め設定したものであり、該多層盛り溶接条件として少なくとも溶接電流、溶接速度、パス回数を選定可能に構成されていることを特徴とするものである。
本願発明の多層盛り溶接方法又は多層盛り溶接装置は、ギャップ幅が不均一な開先を多層盛りアーク溶接するに際し、ギャップ幅を測定し、その最大ギャップ幅測定値に対応して選定した多層盛り溶接条件にて多層盛りアーク溶接を行うように構成されている。したがって、途中で溶け落ちを防止しつつ第1溶接パス(初層)の溶接を確実に行うことができる。また、溶接部全体(開先全体)にわたって同一溶接パス数の多層盛り溶接を行うことができるので、溶接パス数変更に伴うビード継ぎ目がなくて、良好な溶接品質を得ることができる。さらに、同一溶接パスにおいて途中で溶接条件を変更しなくてすむので、溶接トーチの移動制御や溶接電源の出力制御を簡単なものとすることができる。
また、本願発明の多層盛り溶接方法又は多層盛り溶接装置は、溶接部(開先)が曲線の場合でも、容易に最大ギャップ幅測定値を算出できるため、溶接部が直線の場合と同様に、良好な溶接品質を得ることができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は参考例の多層盛り溶接方法を実施する多層盛り溶接装置の構成説明図である。
図1に示すように、この多層盛り溶接装置は、被溶接物の開先を溶接ワイヤによるガスシールドアーク溶接する記憶・再生型(教示・再生型)のアーク溶接ロボット1と、溶接に先立ち溶接線に沿う複数箇所における開先のギャップ幅情報を測定するためのギャップ幅情報測定センサとしてのレーザ変位計2と、ギャップ幅が不均一な開先を多層盛り自動アーク溶接するに際し、溶接に先立ち、レーザ変位計2の出力に基づいて最大ギャップ幅測定値を求め、最大ギャップ幅測定値に対応して選定した多層盛り溶接条件を出力する多層盛り溶接制御部3と、溶接ロボット制御装置8とを備えている。
前記レーザ変位計2は、アーク溶接ロボット1によって開先に対して走査されるセンサヘッド部2aと、センサヘッド部2aで得られた電気信号を処理して、センサヘッド部2aから被溶接物の開先までの距離情報を出力するセンサコントローラ部(センサアンプユニット)2bとにより構成されている。レーザ変位計2のセンサヘッド部2aは、溶接トーチが取り付けられたアーク溶接ロボット1の手先部に、例えば、溶接に先立って開先のギャップ幅情報を測定するときだけ取り付けられるようになっている。
前記溶接ロボット制御装置8は、アーク溶接ロボットの教示・再生動作の制御及び溶接電源(図示省略)の出力制御などの溶接制御全体を行うものであって、多層盛り溶接制御部3から前記選定した多層盛り溶接条件が与えられて、被溶接物の開先を多層盛り溶接するときのアーク溶接ロボット1及び溶接電源の制御を行ったり、また、溶接に先立ち開先に対してレーザ変位計ヘッド部2aを走査するためのアーク溶接ロボット1の制御を行ったりするものである。
前記多層盛り溶接制御部3は、ギャップ幅測定部4、ギャップ幅情報記憶部5、最大ギャップ幅検出部6及び溶接条件選定部7により構成されており、コンピュータを用いて構成されている。
次に、この多層盛り溶接装置を用いて行う多層盛り溶接方法について説明する。図2は本発明に係る図であって、レーザ変位計により得られるレ型開先断面形状を示す点列データの説明図、図3は本発明に係る図であって、曲線状に延びるレ型開先のギャップ幅の測定を説明するための図である。
図2と図3に示すように、被溶接物を構成する第一の被溶接部材Wa及び第二の被溶接部材Wbにより、ギャップ幅が不均一であって途中で変化しながら曲線状に延びるレ型開先10が形成されている。レーザ変位計2のセンサヘッド部2aは、レーザ光(スポット光)を投光する投光部と、被溶接部材Wa,Wbより反射したレーザ光を受光する受光部とを有している(図2(a)参照)。そして、溶接線WLに沿う第1測定点P1においてアーク溶接ロボット1により、レ型開先10に対してセンサヘッド部2aを溶接線と略直交する方向に走査することにより(図2(b)、図3参照)、センサコントローラ部2bから、第1測定点P1におけるセンサヘッド部2aから被溶接部材Wa,Wbまでの距離情報が電圧信号としてギャップ幅測定部4に与えられる。
ギャップ幅測定部4は、センサコントローラ部2bからの前記距離情報を示す出力(電圧値)をAD変換及び数値化することで、センサヘッド部2aから被溶接部材Wa,Wbまでの距離を求める一方、この距離算出値と溶接ロボット制御装置8から与えられるロボット先端位置情報とを合わせることにより、第1測定点P1におけるレ型開先10の断面形状を示す点列データを得る(図2(c)参照)。この点列データから、第1測定点P1における開先のギャップ右端点R1(第一の被溶接部材Waの開先端部)及びギャップ左端点L1(第二の被溶接部材Wbの開先端部)の位置が測定できるため、その距離を算出することでギャップ幅測定値Gを求めることができる。
同様にして、ギャップ幅測定部4により、溶接線WLに沿う複数箇所におけるレ型開先10のギャップ右端点Ri及びギャップ左端点Liを求めることができる。ここで、iは複数箇所の各測定点を示し、i=1,2,…,n(測定点数)である。図3に示す例では、第1測定点P1におけるレ型開先10のギャップ右端点R1及びギャップ左端点L1、第2測定点P2におけるレ型開先10のギャップ右端点R2及びギャップ左端点L2、及び、第3測定点P3における開先のギャップ右端点R3及びギャップ左端点L3を示してある。
まず、図3に示すレ型開先10の測定点P1において測定を行い、ギャップ右端点R1と、ギャップ左端点L1の位置を測定し、その結果からギャップ幅測定値G1を算出する。そしてこのギャップ幅測定値G1をギャップ幅情報記憶部5に格納する。続いて、測定点P2において測定を行い、ギャップ右端点R2と、ギャップ左端点L2の位置を測定し、その結果からギャップ幅測定値G2を算出する。そしてこのギャップ幅測定値G2をギャップ幅情報記憶部5に格納する。同様に、測定点P3において測定を行い、ギャップ右端点R3と、ギャップ左端点L3の位置を測定し、その結果からギャップ幅測定値G3を算出する。そしてこのギャップ幅測定値G3をギャップ幅情報記憶部5に格納する。このとき、ギャップ幅測定値Gi(図3に示す例ではG1〜G3)とともに、ロボット位置情報(例えば、ロボット座標系でのX,Y,Z座標値を含むロボット先端位置情報等)もギャップ幅情報記憶部5に格納する。
このようにしてギャップ幅測定部4で測定されたレ型開先10のギャップ幅測定値Gi(図3に示す例ではG1〜G3)は、ギャップ幅情報記憶部5に格納される。
次に、最大ギャップ幅検出部6では、ギャップ幅情報記憶部5に格納されている前記各ギャップ幅測定値Gi(図3に示す例ではG1〜G3)の中から最も大きいものを選択して、この最大ギャップ幅測定値Gmaxを溶接条件選定部7に与える。
溶接条件選定部7では、最大ギャップ幅検出部6から最大ギャップ幅測定値Gmaxが与えられると、この最大ギャップ幅測定値Gmax、及び、ギャップ幅と該ギャップ幅に対応する多層盛り溶接条件との関係を予め設定した多層盛り溶接条件対応データから、最大ギャップ幅測定値Gmaxに対応する多層盛り溶接条件を選定する。例えば、最大ギャップ幅測定値Gmax=4mmの場合、多層盛り溶接パス数は、表1から4パスに選定され、また、第1溶接パス(初層)の溶接電流と溶接速度は、表2から240A、30cm/分に選定される。また、第2溶接パスから第4溶接パスでの溶接電流、溶接速度や、溶接トーチ狙い位置シフト量なども予め設定された溶接条件対応データから選定されるようになっている。溶接条件選定部7は、最大ギャップ幅測定値Gmaxに対応する多層盛り溶接条件を溶接ロボット制御装置8に与える。
Figure 0004658767
Figure 0004658767
溶接ロボット制御装置8は、最大ギャップ幅測定値Gmaxに対応して選定された溶接条件選定部7からの多層盛り溶接条件を受けて、アーク溶接ロボット1及び溶接電源の制御を行う。これにより、最大ギャップ幅測定値Gmaxに対応して選定された多層盛り溶接条件にてレ型開先10の多層盛り溶接が行われる。
その結果、図6に示すように、最大ギャップ幅測定値Gmaxが測定されたギャップ幅大の箇所(図6(c)参照)において溶け落ちを防止しつつ第1溶接パス(初層)の溶接を行うことができる。また、溶接部全体(開先全体)にわたって同一溶接パス数の多層盛り溶接を行うことができるので、溶接パス数変更に伴うビード継ぎ目がなくて、良好な溶接品質を得ることができる。さらに、同一溶接パスにおいて途中で溶接条件を変更しなくてすむので、溶接トーチの移動制御や溶接電源の出力制御を簡単なものとすることができる。
ところで、最大ギャップ幅測定値Gmaxに対応して選定された多層盛り溶接条件にて開先の多層盛り溶接を行うと、図6(a)に示すように、最大ギャップ幅測定値Gmaxに比べてギャップ幅の小さい箇所では、余盛高さが高くなり、ビード外観の点で見劣りすることとなる。しかしながら、溶接継手(開先継手)が製品内部の人目を気にしなくてよい箇所に存在し、ビード外観よりも溶接品質の方がはるかに重要な溶接継手の場合、前記優れた効果を奏する本発明は、特に有効である。このような、溶接継手を有する被溶接物としては、厚み5mm以上の鋼板を用いた製缶加工による建設機械足回り部材があり、より具体的には、パワーショベルのカーボディとクローラフレームとを接合するための溶接継手、また、パワーショベルのスイングフレームとカーボディとを接合するための溶接継手が挙げられる。
図4は本発明の多層盛り溶接方法を実施する多層盛り溶接装置の一実施形態を示す構成説明図である。ここで、前記図1に示す多層盛り溶接装置と同一部分には図1と同一の符号を付してある。
図4に示すように、多層盛り溶接装置は、アーク溶接ロボット1と、ギャップ幅情報測定センサとしてのレーザ変位計2と、多層盛り溶接制御部11と、溶接ロボット制御装置8とを備えており、前記多層盛り溶接制御部11は、ギャップ幅測定部12、座標算出部13、ギャップ幅情報記憶部14、近似線算出部15、最大ギャップ幅検出部16及び溶接条件選定部17により構成されており、コンピュータを用いて構成されている。
この多層盛り溶接装置を用いて行う本発明の多層盛り溶接方法について、図2〜図5を参照して説明する。図5は本発明の多層盛り溶接方法における最大ギャップ幅測定値の求め方を説明するための図である。
ギャップ幅測定部12は、センサコントローラ部2bからの前記の距離情報を示す出力(電圧値)をAD変換及び数値化することで、センサヘッド部2aから被溶接部材Wa,Wbまでの距離を求める一方、この距離算出値と溶接ロボット制御装置8から与えられるロボット先端位置情報を参照することにより、第i番目の測定点Piにおけるレ型開先10の断面形状を示す点列データを得る(図2(c)参照)。この点列データから、第i番目の測定点Piにおける開先10のギャップ右端点Ri(第一の被溶接部材Waの開先端部)及びギャップ左端点Li(第二の被溶接部材Wbの開先端部)の位置が測定することができる。
ここで、図3において、溶接線WLをX軸、このX軸に直交する方向をY軸とするX−Y座標系を設定する。よりわかりやすくは、座標算出部13では、図5に示すように、溶接線WLが直線になるように座標変換した軸がX軸となり、これと直交する方向(ギャップ幅方向)をY軸とするX−Y座標系を設定する。このX−Y座標系において、前記得られている開先10のギャップ右端点Ri(第一の被溶接部材Waの開先端部)及びギャップ左端点Li(第二の被溶接部材Wbの開先端部)の位置を、ロボット先端位置情報を参照し、前記と同様の座標変換をすることにより、ギャップ右端点Riの座標値Ri(xri[X座標値],yri[Y座標値])と、ギャップ左端点Liの座標値Li(xli[X座標値],yli[Y座標値])とを求めることができる。
したがって、第i番目の計測点Piにおけるレ型開先10のギャップ幅測定値Giは、Y座標値の差として、Gi=|yli−yri|にて求めることができる。ここで、iは複数箇所の各測定点を示し、i=1,2,…,n(測定点数)である。図5に示す例では、測定点数は3(n=3)であり、座標算出部13による各座標値は、測定点P1におけるギャップ右端点R1の座標値R1(xr1,yr1)とギャップ左端点L1の座標値L1(xl1,yl1)と、測定点P2におけるギャップ右端点R2の座標値R2(xr2,yr2)とギャップ左端点L2の座標値L2(xl2,yl2)と、及び、測定点P3におけるギャップ右端点R3の座標値R3(xr3,yr3)とギャップ左端点L3の座標値L3(xl3,yl3)とである。
すなわち、図3に示すレ型開先10の測定点P1において測定を行い、ギャップ右端点R1及びギャップ左端点L1の位置について、ロボット先端位置情報を参照し、X−Y座標系への座標変換を行うことにより、ギャップ右端点R1の座標値R1(xr1,yr1)と、ギャップ左端点L1の座標値L1(xl1,yl1)を求める。この座標値R1,L1をギャップ幅情報記憶部14に格納する。続いて、測定点P2において測定を行い、ギャップ右端点R2及びギャップ左端点L2の位置について、ロボット先端位置情報を参照し、X−Y座標系への座標変換を行うことにより、ギャップ右端点R2の座標値R2(xr2,yr2)と、ギャップ左端点L2の座標値L2(xl2,yl2)を求める。この座標値R2,L2をギャップ幅情報記憶部14に格納する。同様に、測定点P3において測定を行い、ギャップ右端点R3及びギャップ左端点L3の位置について、ロボット先端位置情報を参照し、X−Y座標系への座標変換を行うことにより、ギャップ右端点R3の座標値R3(xr3,yr3)と、ギャップ左端点L3の座標値L3(xl3,yl3)を求める。この座標値R3,L3をギャップ幅情報記憶部14に格納する。このとき、座標値とともに、ロボット位置情報(例えば、ロボット座標系でのX,Y,Z座標値を含むロボット先端位置情報等)もギャップ幅情報記憶部14に格納する。
次に、近似線算出部15では、溶接線WLに沿って延びるギャップのギャップ右端軌跡線を近似するギャップ右端軌跡近似線(第一の被溶接部材端部近似線)Fr(x)を求める。このギャップ右端軌跡近似線は、y=Fr(x)=ar・x+br・x+crと2次式で表し、座標算出部13で得たギャップ右端点Riの座標値Ri(xri,yri)を用いての最小2乗法により、係数ar,br,crを定めることで、得ることができる。同様にして、溶接線WLに沿って延びるギャップのギャップ左端軌跡線を近似するギャップ左端軌跡近似線(第ニの被溶接部材端部近似線)Fl(x)を求める。このギャップ左端軌跡近似線は、y=Fl(x)=al・x+bl・x+clと2次式で表し、座標算出部13で得たギャップ左端点Liの座標値Li(xli,yli)を用いての最小2乗法により、係数al,bl,clを定めることで、得ることができる。
そして、図5に示すように、溶接開始点から溶接終了点xeにわたるレ型開先10のギャップ幅G(x)は、ギャップ左端軌跡近似線Fl(x)とギャップ右端軌跡近似線Fr(x)間の間隔距離として、G(x)=|Fl(x)−Fr(x)|と表される。ここで、0≦x≦xeである。したがって、最大ギャップ幅検出部16において、このギャップ幅G(x)における最大値を求めることで、最大ギャップ幅測定値Gmax’を得ることができる。
溶接条件選定部17では、最大ギャップ幅検出部16から前記最大ギャップ幅測定値Gmax’が与えられると、この最大ギャップ幅測定値Gmax’、及び、ギャップ幅と該ギャップ幅に対応する適正な多層盛り溶接条件との関係を予め設定した多層盛り溶接条件対応データから、最大ギャップ幅測定値Gmax’に対応する適正な多層盛り溶接条件を選定して、溶接ロボット制御装置8に与える。これにより、最大ギャップ幅測定値Gmax’に対応して前記選定された多層盛り溶接条件にてレ型開先10の第1溶接パスから最終溶接パスまでの多層盛りアーク溶接が行われる。
このように、本発明の多層盛り溶接方法は、溶接線に沿う複数箇所における開先のギャップ左右端位置情報に基づいて、溶接線に沿って延びる溶接部全体におけるギャップ幅の真の最大値の近似値を求めるようにしている。したがって、図3に示されるような、ギャップ幅の不均一性が高く曲線状に延びる部分などを有する開先についても、真のギャップ幅最大値に近い値の最大ギャップ幅測定値を得ることができるので、溶け落ちを確実に防止し溶接を行うことができる。
参考例の多層盛り溶接方法を実施する多層盛り溶接装置の構成説明図である。 本発明に係る図であって、レーザ変位計により得られるレ型開先断面形状を示す点列データの説明図である。 本発明に係る図であって、曲線状に延びるレ型開先のギャップ幅の測定を説明するための図である。 本発明の多層盛り溶接方法を実施する多層盛り溶接装置の一実施形態を示す構成説明図である。 本発明の多層盛り溶接方法における最大ギャップ幅測定値の求め方を説明するための図である。 本発明の溶接方法によりギャップ幅が変動しているレ型開先を多層盛り自動アーク溶接した場合の一例を模式的に示す溶接部断面図である。 ギャップ幅の大きさに応じて溶接パス数を変化させる多層盛り溶接の例を示す断面図である。 同一継手の溶接線途中で開先のギャップ幅が不均一で大きく変化している被溶接物の例を示す平面図である。
符号の説明
1…アーク溶接ロボット
2…レーザ変位計
2a…センサヘッド部
2b…センサコントローラ部
3,11…多層盛り溶接制御部
4,12…ギャップ幅測定部
5,14…ギャップ幅情報記憶部
6,16…最大ギャップ幅検出部
7,17…溶接条件選定部
8…溶接ロボット制御装置
10…レ型開先
13…座標算出部
15…近似線算出部

Claims (5)

  1. 第一の被溶接部材と第二の被溶接部材とから構成され、開先のギャップ幅が不均一な被溶接物を多層盛りアーク溶接する多層盛り溶接方法において、前記第一と第二の被溶接部材間に沿って設定される溶接線の方向をX軸とし、該X軸に直交する方向をY軸とした座標系を設定し、前記X軸上の複数の測定位置における開先の端部位置を測定し、前記複数の測定位置のX座標値とその位置における前記第一の被溶接部材の開先端部位置及び前記第二の被溶接部材の開先端部位置をそれぞれY座標値として算出し、前記複数の測定位置のX座標値と前記第一の被溶接部材のY座標値とから第一の被溶接部材端部近似線を、前記複数の測定位置のX座標値と前記第二の被溶接部材のY座標値とから第二の被溶接部材端部近似線を算出し、前記両近似線間距離の最大値を算出し、得られた最大値に対応する多層盛り溶接条件を、予め設定された多層盛り溶接条件対応データより選定し、前記選定された多層盛り溶接条件にて多層盛りアーク溶接を行うことを特徴とする多層盛り溶接方法。
  2. 前記多層盛り溶接条件対応データが、最大ギャップ幅と該最大ギャップ幅に対応する多層盛り溶接条件との関係を予め設定したものであり、該多層盛り溶接条件として少なくとも溶接電流、溶接速度、パス回数を選定可能に構成されていることを特徴とする請求項に記載の多層盛り溶接方法。
  3. 前記選定された多層盛り溶接条件にて、第1溶接パスから最終溶接パスまでの多層盛りアーク溶接を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の多層盛り溶接方法。
  4. 第一の被溶接部材と第二の被溶接部材とから構成され、開先のギャップ幅が不均一な被溶接物を多層盛りアーク溶接する多層盛り溶接装置において、前記第一と第二の被溶接部材間に沿って設定される溶接線の複数箇所における前記開先のギャップ幅情報を測定するためのギャップ幅情報測定センサと、前記ギャップ幅情報計測センサの出力から、前記複数箇所の測定位置の前記第一の被溶接部材の開先端部位置及び前記第二の被溶接部材の開先端部位置を測定するギャップ幅測定部と、前記溶接線の方向をX軸とし、該X軸に直交する方向をY軸とした座標系を設定し、前記複数箇所の測定位置のX座標値と前記第一の被溶接部材の開先端部位置及び前記第二の被溶接部材の開先端部位置をそれぞれY座標値として求める座標算出部と、前記複数の測定位置のX座標値と前記第一の被溶接部材のY座標値とから第一の被溶接部材端部近似線を、前記複数の測定位置のX座標値と前記第二の被溶接部材のY座標値とから第二の被溶接部材端部近似線を算出する近似線算出部と、前記両近似線間距離の最大値を算出し、得られた最大値を最大ギャップ幅測定値として選択する最大ギャップ幅検出部と、前記最大ギャップ幅測定値に対応する多層盛り溶接条件を、予め設定された多層盛り溶接条件対応データより選定する溶接条件選定部とを備え、前記選定された多層盛り溶接条件にて多層盛りアーク溶接を行うことを特徴とする多層盛り溶接装置。
  5. 前記多層盛り溶接条件対応データが、最大ギャップ幅と該最大ギャップ幅に対応する多層盛り溶接条件との関係を予め設定したものであり、該多層盛り溶接条件として少なくとも溶接電流、溶接速度、パス回数を選定可能に構成されていることを特徴とする請求項4に記載の多層盛り溶接装置。
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