JP3229744B2 - 移動式クレーンのカウンターウエイトの着脱装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、移動式クレーンのカウ
ンターウエイトの着脱装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】移動式クレーンは図２〜図５に示す如
く、車輌１のフレーム２上に起伏自在な伸縮ブーム３を
備えた旋回台４を旋回自在に取り付けると共に、この旋
回台４の後端部のウエイト取付枠４ａに着脱装置Ａを介
してカウンターウエイト５を着脱自在に取りつけてい
る。

【０００３】そして、移動式クレーンの走行移動時に
は、着脱装置Ａによりカウンターウエイト５を旋回台４
後端部から取り外すようにしている。取り外したカウン
ターウエイト５は、これを車輌１の運転室と旋回台４間
のフレーム２上に降下載置して移動式クレーンの走行移
動時の重量バランスをとるようにするか、あるいは前記
位置に降下載置した後適宜の手段で別の運搬車輌に乗せ
るようにして移動式クレーンの走行移動時の重量軽減を
図るようにしている。

【０００４】前記カウンターウエイト着脱装置Ａは、こ
の例の場合、図３に示す如く旋回台の左右位置にそれぞ
れ取りつけられている。各カウンターウエイト着脱装置
Ａは、ウエイト昇降用の複動油圧シリンダ６、捻転駆動
装置７、係合手段８、およびウエイト取付枠にカウンタ
ーウエイトを固定する固定手段９とで以て構成されてい
る。

【０００５】カウンターウエイト着脱装置Ａにおける前
記ウエイト昇降用の複動油圧シリンダ６は、前記カウン
ターウエイト取付枠４ａに垂設して取りつけられたシリ
ンダ６ａ、シリンダ６ａに油密摺動自在に嵌挿したピス
トン６ｂ、およびピストン６ｂからシリンダ６ａの下端
壁を油密摺動自在に貫通して下方に伸びるピストンロッ
ド（下側ピストンロッド）６ｃとから構成している。

【０００６】また、カウンターウエイト着脱装置Ａにお
ける前記捻転駆動装置７は、その出力軸７ｂが下方に位
置するようにして複動油圧シリンダ６のシリンダ６ａ上
端部に取りつけた駆動手段７ａと、ピストン６ｂに伸縮
自在で且つ捻転不能に係合しシリンダの上端壁を油密回
転可能に貫通して上方に伸びその上端部を前記駆動手段
７ａの出力軸７ｂに連結した連結手段７ｃとで以て構成
している。この例では、回転型の油圧アクチュエータで
構成している。

【０００７】更に、カウンターウエイト着脱装置Ａにお
ける前記係合手段８は、図５に示す如く、複動油圧シリ
ンダ６のピストンロッド６ｃの下端部に配置したロッド
側係合具８ａと、カウンターウエイト５に配置したウエ
イト側係合具８ｂとで以て構成されている。ロッド側係
合具８ａは、ピストンロッド６ｃの下端部に１８０度の
間隔をもって水平方向に突設した一対の係合爪８ａ１，
８ａ２を備えている。また、ウエイト側係合具８ｂは、
前記ロッド側係合具８ａの所定の回転位置でのみ当該ロ
ッド側係合具８ａを突入並びに抜き取りでき、且つロッ
ド側係合具８ａの突入状態でピストンロッド６ｃと共に
ロッド側係合具８ａを前記所定の回転以外の回転位置に
捻転させた時にはロッド側係合具８ａが抜き取り不能と
なるように構成した係合孔８ｂ１を備えている。

【０００８】また、左右のウエイト取付枠４ａにカウン
タウエイト５を固定する上記固定手段９は、左右のウエ
イト取付枠４ａの側部に突出して設けたブラケット９
ａ、カウンターウエイト５の左右側端部に上方に突出し
て設けたブラケット９ｂ、および、前記ブラケット９ａ
と９ｂを連結しカウンターウエイト５をウエイト取付枠
４ａに固定する固定ピン９ｃで以て構成している。

【０００９】上記従来のカウンターウエイト着脱装置
は、着脱装置Ａ，Ａによりカウンターウエイト５を旋回
台４の後端部へ取りつけた状態（図２〜４の状態）にあ
るカウンターウエイト５を外す場合には、カウンターウ
エイト５が車輌１の運転室と旋回台４間のフレーム上方
に位置するよう、旋回台４を図２の状態から１８０度旋
回させる。次いで、固定ピン９ｃを抜き左右の固定手段
による固定を解除すると共に、各着脱装置Ａの複動油圧
シリンダ６を伸長駆動してカウンターウエイト５を降下
させ車輌１のフレーム２上へ載置する。そして、各着脱
装置Ａの捻転駆動装置７によりピストンロッド６ｃを捻
転駆動し、ピストンロッド６ｃ下端部とカウンターウエ
イト５を連結する係合手段８の連結を解除する。この解
除は、ピストンロッド６ｃ，６ｃの下橋部に配置してい
るロッド側係合具８ａの係合爪８ａ１，８ａ２が、ウエ
イト側係合具８ｂの係合孔８ｂ１に突入並びに抜き取り
できる前記所定の回転位置にすることで行われる。次
に、各複動油圧シリンダ６を縮小駆動して、旋回台４を
図２の状態に旋回させ、移動式クレーンを走行移動状態
にするのである。

【００１０】カウンターウエイト５を旋回台４の後端部
に取りつける場合には、上記操作の逆の操作を行えばよ
い。

【００１１】以上の如く構成し作用する従来のカウンタ
ーウエイトの着脱装置は、油圧力で以て、カウンターウ
エイト５を、旋回台４後端部の取りつけ位置と車輌１の
フレーム２上の取り外し位置との間で移動できるので、
カウンターウエイト５の着脱作業が簡単に行えるもので
あるから、近年大型の移動式クレーンに多用されてい
る。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、上
記した従来のカウンターウエイトの着脱装置は、その捻
転駆動装置７の構造が複雑であるという問題があった。
即ち、従来の捻転駆動装置７は、複動油圧シリンダ６の
ピストンロッド６ｃをシリンダ６ａの上方に位置する駆
動手段７ａで以て捻転駆動するにあたり、ピストン６ｂ
に伸縮自在で且つ捻転不能に係合しシリンダの上端壁を
油密回転可能に貫通して上方に伸びその上端部を前記駆
動手段７ａの出力軸７ｂに連結した連結手段７ｃを必要
とし、そのため、構造が複雑になるという問題があっ
た。更に、ウエイト取付枠４ａとカウンターウエイト５
間に取りつけた固定手段９の構造が複雑であるという問
題があった。

【００１３】この発明に係る移動式クレーンのカウンタ
ウエイトの着脱装置は、上記従来技術の問題を解決し、
捻転駆動装置および固定手段の構造が簡単な着脱装置を
提供することを目的とするものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め本発明の移動式クレーンのカウンターウエイトの着脱
装置は、次の如く構成する。即ち、上記従来の着脱装置
Ａにおける複動油圧シリンダ６、捻転駆動装置７、およ
び固定手段９の構成を以下のように変更する。

【００１５】複動油圧シリンダ６は、そのピストンから
上方に伸びシリンダの上端壁を油密摺動自在に貫通する
上側ピストンロッドを備えた両ロッド型の複動油圧シリ
ンダで構成する。

【００１６】捻転駆動装置７を、上側ピストンロッドの
上端部上方位置のウエイト取付枠４ａにその出力軸を下
方へ向けて配置した駆動手段７ａと、当該駆動手段７ａ
の出力軸７ｂの下端部と前記上側ピストンロッドの上端
部間を連結する連結手段であって回転は伝達するが上下
方向の相対移動を許容する連結手段とで以て構成する。

【００１７】更に、前記固定手段９を、上側ピストンロ
ッドの上端部とウエイト取付枠間に配置する。その他の
構成については、上記した従来の移動式クレーンのカウ
ンターウエイトの着脱装置と同様である。

【００１８】

【作用】上記の如く構成した本発明の移動式クレーンの
カウンターウエイトの着脱装置は、捻転駆動装置７が複
動油圧シリンダ６の上方外部に取りつけられているので
当該捻転駆動装置７の構造が簡単になり、また、固定手
段９が複動油圧シリンダ６の上方ピストンロッドとウエ
イト取付枠４ａ間に取りつけられているので、従来のウ
エイト取付枠４ａとカウンターウエイト５間に配置され
た固定手段を省略することができる。

【００１９】

【実施例】以下本発明のカウンターウエイトの着脱装置
の実施例を図１に基づいて説明する。本発明に係る着脱
装置は、上述したように従来の着脱装置Ａに比較し、複
動油圧シリンダ６、捻転駆動装置７、および固定手段９
の構成を変更したものであるから、以下に説明する構成
を除き他の構成は従来のそれと同じものである。

【００２０】図１に示す如く、複動油圧シリンダ６は、
そのピストン６ｂから上方に伸びシリンダ６ａの上端壁
を油密摺動自在に貫通する上側ピストンロッド６ｄを備
えた両ロッド型の複動油圧シリンダ６で構成している。

【００２１】また、捻転駆動装置７は、両ロッド型の複
動油圧シリンダ６の上側ピストンロッド６ｄの上端部上
方位置のウエイト取付枠４ａに、その出力軸７ｂを下方
に向けて配置した駆動手段７ａ（この例では本駆動手段
７ａは、回転型の油圧アクチュエータで構成したものと
して図示されている）と、当該駆動手段７ａの出力軸７
ｂの下端部と前記上側ピストンロッド６ｄの上端部間を
連結する連結手段７ｄとで以て構成している。

【００２２】 この例では、捻転駆動装置７における
連結手段７ｄは、上部ピストンロッド６ｄの上端部にそ
の基端部を水平ピンで回動自在に連結した第１リンク７
ｄ１と、前記駆動手段７ａの出力軸７ｂにその上端部を
水平ピンで回動自在に連結されその下端部を前記第１リ
ンク７ｄ１の上端部に水平ピンで回動自在に連結した第
２リンク７ｄ２とで以て構成している。第１および第２
リンク７ｄ１，７ｄ２を連結する上記３本の水平ピン
は、互いに平行な関係となるよう構成している。そし
て、この連結手段７ｄは、両ロッド型の複動油圧シリン
ダ６が縮小（ピストンロッド６ｃが上方へ移動、換言す
れば上側ピストンロッド６ｄが上方へ移動）状態で、第
１および第２リンクが屈曲した状態となり、両ロッド型
の複動油圧シリンダ６が伸長した状態で屈曲状態が伸び
た状態となる。そしていずれの状態においても、駆動手
段７ａの出力軸７ｂの回転動を、上側ピストンロッド６
ｄの捻転動ひいてはピストン６並びに下側のピストンロ
ッド６ｃの捻転動として伝達できるようになっている。

【００２３】即ち、この連結手段７ｄは、駆動手段７ａ
の出力軸７ｂと上側ピストンロッドの上端部間を連結す
る連結手段であって回転は伝達するが上下方向の相対移
動を許容する連結手段を構成している。

【００２４】固定手段９は、従来のものではウエイト取
付枠４とカウンターウエイト５との間に取りつけられて
いるが、本発明に係るカウンターウエイトの着脱装置に
おいでは、この固定手段９は、上部ピストンロッド６ｄ
の上端部に水平に穿設したピン孔９ｄ、複動油圧シリン
ダ６でもってカウンターウエイト５を固定位置（旋回台
４への取り付け位置）に上昇させた時に前記ピン孔９ｄ
と重合するような位置関係をもってウエイト取付枠４ａ
に穿設したピン孔９ｅ、およびこれら両ピン孔９ｄ、９
ｅの重合状態で両ピン孔に抜き差しされる固定ピン９ｆ
とでもって構成している。

【００２５】尚、上記実施例では、捻転駆動装置７にお
ける駆動手段を、回転型の油圧アクチュエータで構成し
たものとして示したが、複動油圧シリンダ等の他の駆動
手段で構成しても良いこと勿論である。

【００２６】

【発明の効果】以上の如く構成した本発明の移動式クレ
ーンのカウンターウエイトの着脱装置は、従来のものと
同様にしてカウンターウエイト５の着脱を行うものであ
るが、特に、その捻転駆動装置７が複動油圧シリンダ６
の上方外部に取りつけられているので当該捻転駆動装置
７の構造が簡単になり、また、固定手段９が複動油圧シ
リンダ６の上方ピストンロッドとウエイト取付枠４ａ間
に取りつけられているので、従来のウエイト取付枠４ａ
とカウンターウエイト５間に配置された固定手段を省略
することができるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の移動式クレーンのカウンタ
ーウエイトの着脱装置の要部の説明図。

【図２】 従来の着脱装置を装備した移動式ク
レーンの側面図。

【図３】 図２の右側面図。

【図４】 図３のＸ−Ｘ断面拡大図。

【図５】 連結手段の説明用斜視図。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車輌のフレーム上に起伏自在な伸縮ブ
   ームを備えた旋回台を旋回自在に取り付ると共に、旋回
   台の後端部にウエイト取付枠を取りつけ、当該当該ウエ
   イト取付枠にカウンターウエイトを着脱自在に取りつけ
   てなる移動式クレーンのカウンターウエイトの着脱装置
   であって、 ・前記ウエイト取付枠に垂設したシリンダ、このシリン
   ダに油密摺動自在に嵌挿したピストン、およびピストン
   から下方に伸びシリンダの下端壁を油密摺動自在に貫通
   する下側ピストンロッドを備えてなるウエイト昇降用の
   複動油圧シリンダ、 ・複動油圧シリンダのピストンロッドを捻転駆動する捻
   転駆動装置、 ・前記複動油圧シリンダのピストンロッドの下端部に配
   置したロッド側係合具と前記カウンターウエイトに配置
   したウエイト側係合具とからなりピストンロッドの捻転
   動によって生ずる両係合具の相対的な回転動によって係
   合離脱する係合手段、 ・および、カウンターウエイトを固定する固定手段、 とから構成したものにおいて、 前記複動油圧シリンダを、そのピストンから上方に伸び
   シリンダの上端壁を油密摺動自在に貫通する上側ピスト
   ンロッドを備えた両ロッド型の複動油圧シリンダで構成
   すると共に、前記捻転駆動装置を、上側ピストンロッド
   の上端部上方位置のウエイト取付枠にその出力軸を下方
   へ向けて配置した駆動手段と、当該駆動手段の出力軸の
   下端部と前記上側ピストンロッドの上端部間を連結する
   連結手段であって回転は伝達するが上下方向の相対移動
   を許容する連結手段とで以て構成し、更に、前記固定手
   段を、上側ピストンロッドの上端部とウエイト取付枠間
   に配置したことを特徴とする移動式クレーンのカウンタ
   ーウエイトの着脱装置。