JP3229542B2 - 熱間スラブの連続幅プレス方法 - Google Patents

熱間スラブの連続幅プレス方法

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JP3229542B2 JP06824796A JP6824796A JP3229542B2 JP 3229542 B2 JP3229542 B2 JP 3229542B2 JP 06824796 A JP06824796 A JP 06824796A JP 6824796 A JP6824796 A JP 6824796A JP 3229542 B2 JP3229542 B2 JP 3229542B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱間スラブの連続
幅プレス方法に関し、詳しくは鋼の熱間スラブの連続幅
プレス装置によるプレス時の長手方向のスベリを防止す
る熱間スラブの連続幅プレス方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鉄鋼業界では、省エネルギーのた
めに連続鋳造設備と連続熱間圧延設備の同期化が進めら
れており、それに伴い製品幅変更を圧延ライン側で受け
持つべく、熱間粗圧延機入側に熱間スラブの幅プレス装
置が設置されるようになってきている。
【0003】かかる熱間スラブの連続幅プレス装置を用
いての連続幅プレスは、図6の手順図に示すように、ス
ラブ1を長手方向に間歇的に送りながら停止のたびに一
度、長手方向手前側に一様な傾斜面を有するテーパ部2
A、奥側に平行部2Bを有するプレス金型(以下適宜単
に金型という)2で、幅方向にプレスするという手順で
行われ、この方法により、同一幅のスラブから多様な幅
の圧延製品を製造できるようになった。尚図6におい
て、3は幅プレス(幅圧下ともいう)による減肉部、P
は送りピッチ、ΔWは幅圧下量、αは金型傾斜部をなす
テーパ部2Aのテーパ角度である。
【0004】しかし、幅圧下量が拡大するにつれて、幅
プレス時に長手方向にスベリが発生するようになり、幅
プレス効率の低下や幅端面の擦疵発生などの問題が生
じた。かかる長手方向のスベリを防ぐための従来技術と
しては、特開昭60−121001号公報に開示されるように、
幅プレス装置の入出側にピンチロールを設けるとともに
幅プレス時にピンチロールにブレーキをかけるという方
法が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金型の
熱負荷の軽減のために幅プレス速度が高速化されるよう
になると、熱間スラブに対する金型表面の摩擦係数が低
下するようになった。その結果、幅プレス時の長手方向
の分力が増加するようになり、ピンチロールによるブレ
ーキに頼る従来技術では、スベリ防止の効果が不十分で
あるという問題点が新たに生じた。
【0006】本発明は、前記問題点を解決するためのも
のであり、金型表面の摩擦係数に関係なく、幅プレス時
の長手方向のスベリを防止することにより、幅圧下効率
を維持し、板幅端部の疵発生を防止できる技術を提供す
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1発明は、熱間スラブ
を長手方向に間歇的に送りながら、複数の平行部とそれ
に続くテーパ部とを有する金型を用いて幅方向にプレス
する熱間スラブの連続幅プレス方法において、前記金型
は、第1の平行部とそれに続くテーパ部との境界から長
手方向に送りピッチだけ離れた位置を含む区間に、第2
の平行部を介在してなるものとすると共に、幅プレスの
際に、前記熱間スラブを前記送りピッチだけ送り、前記
金型の第2の平行部で幅プレスされて形成された前記熱
間スラブの平行部と前記第1の平行部とを当接させてプ
レスすることを特徴とする熱間スラブの連続幅プレス方
法である。
【0008】第発明は、熱間スラブを長手方向に間歇
的に送りながら、平行部とそれに続くテーパ部とを有す
る金型を用いて幅方向にプレスする熱間スラブの連続幅
プレス方法において、前記金型は、前記平行部とそれに
続くテーパ部との境界から長手方向に送りピッチより小
さい区間におけるテーパ部のテーパ角度を、前記区間を
除くテーパ部のテーパ角度よりも大きくしてなるものと
すると共に、幅プレスの際に、前記熱間スラブを前記送
りピッチだけ送り、前記金型の小さいテーパ角度をもつ
テーパ部で幅プレスされて形成された前記熱間スラブの
テーパ部に、それより大きいテーパ角度のテーパ部を有
する前記金型の境界部分を当接させてプレスすることを
特徴とする熱間スラブの連続幅プレス方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】前記目的達成のために、本発明者
らは、まず金型とスラブとのスベリ発生状況を調査し
た。以下この調査により得られた知見について説明す
る。図7は、幅圧下量ΔW(mm)と送りピッチP(mm)
とを変数としてスベリ発生領域を示したグラフである。
図7のマーク○はスベリ発生なし、×はスベリ発生あり
を夫々示す。
【0010】図7から、スベリを発生させないための条
件は、幅圧下量ΔW(mm)と送りピッチP(mm)を変数
として以下の式(1) で与えられる。 P>a・ΔW ……………(1) すなわちスベリの発生なく幅大圧下しようとすると、送
りピッチPを大きくする必要があることがわかる。
【0011】かかるスベリ発生の現象論的傾向把握から
一歩進めて、スベリ発生のメカニズムを調べるために、
同一送りピッチで幅圧下量の小さい場合と大きい場合、
同一幅圧下量で送りピッチの小さい場合と大きい場合に
ついて、幅プレス開始状態を子細に観察した。例えば図
1は、金型傾斜部の角度がαである幅プレス開始時のス
ラブと金型との相互位置関係を示す概略平面図である。
図1において、Lt は前パスの幅プレスによってスラブ
に形成されたテーパ部の長手方向成分長である。尚前掲
図6と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0012】図1に示すように、幅圧下量が小さい場合
(a,b)と幅圧下量が大きく且つ送りピッチが大きい
場合(c)とは、スラブ1幅端部の未圧下平行部と金型
2の平行部2Bとが最初に当接して幅プレスが開始さ
れ、その結果、当接面には長手方向の分力が全く発生し
ないためスベリが発生しない。これに対し、幅圧下量が
大きく且つ送りピッチが小さい場合(d)には、スラブ
1幅端部の既圧下傾斜部と金型2のテーパ部2Aとが最
初に当接して幅プレスが開始され、その結果、当接面に
は長手方向に分力が発生してスベリが発生する。
【0013】このことは、スラブ幅端部の未圧下平行部
と金型平行部とが当接する状態から幅プレスを開始すれ
ば、スラブ/金型界面の摩擦係数の大小にかかわらず、
長手方向のスベリが発生しないことを意味する。それゆ
えスラブ1を現パス圧下位置にセットするための送りピ
ッチPを、前パスの幅プレスによってスラブ幅端部に生
じた既圧下傾斜部の長手方向成分長Ltよりも大きくす
れば長手方向のスベリは発生しない。
【0014】例えば金型傾斜部の角度が一定であるとき
は、図1よりLt は以下の式(2) で示されるので、幅プ
レス開始時にスラブ幅端部と金型とが互いの平行部でも
って当接する条件は、式(3) で与えられる。 Lt =ΔW/(2・tanα) ……………(2) P>ΔW/(2・tanα) ……………(3) 金型傾斜部の角度が一定であるとき、具体的に幅プレス
を実行するには2つの方法がある。
【0015】一つは、幅圧下量を大きくするに当たり、
テーパ角度がαである一つの金型を用いて、種々の幅圧
下量ΔWに対し、送りピッチPを上記の式(3) を満たす
ように設定して熱間スラブを連続的に幅プレスする方法
である。但し、送りピッチPは、金型の平行部の長手方
向長さを超えないように設定されねばならないことは勿
論である。
【0016】もう一つは、幅圧下量を大きくするに当た
り、テーパ部のテーパ角度の異なる金型を複数用意して
おき、いくつかの適当な送りピッチPおよび/または幅
圧下量ΔWの範囲に対して、テーパ角度αが以下の式
(4) を満たすような金型を選択的に切替えて使用して、
熱間スラブを連続的に幅プレスする方法である。 tanα>ΔW/(2・P)…………(4) なお、金型のテーパ角度αが20°を超えると幅圧下効率
が低下して好ましくないから、テーパ角度αは20°以下
とするのがよい。
【0017】以上では、金型のテーパ部の角度が一定と
して説明したが、テーパ部がテーパ角度の異なる複数の
テーパ部から形成された金型、連続的にスラブの側面に
対してテーパ角度が変化する金型、またはテーパ部に平
行部が介在している金型であっても、送りピッチPを、
幅プレスによって金型のテーパ部で形成されるスラブの
テーパ部の長手方向成分長Lt よりも大きくすること
で、スベリは発生しない。
【0018】また、例えば上記したテーパ部の形状の異
なる複数の金型を用意しておき、幅プレスによって金型
のテーパ部で形成されるスラブのテーパ部の長手方向成
分長Lt が送りピッチPよりも小さくなる金型でプレス
しても、スベリは発生しない。尚、熱間スラブの連続幅
プレス装置で使用できる金型の個数が限られている状況
下で、幅圧下量の小さい領域と大きい領域とで互いに異
なるテーパ角度を有する金型を使用し、且つ、各々の領
域内では幅圧下量に対応して送りピッチ量を変更すると
いう方法もある
【0019】次に、以上の知見に基づく、の本発明
について説明する。前記したように、スラブ幅端部の未
圧下平行部と金型平行部とが当接する状態から幅プレス
を開始すれば、スラブ/金型界面の摩擦係数の大小にか
かわらず、長手方向のスベリが発生しないのであった。
そうするためには、スラブ幅端部に新たに平行部を形成
し、その部分を金型の平行部で幅プレスするようにする
ことも有効である。それには金型のテーパ部2A内に新
たに平行部を設けるようにすればよい。
【0020】第の本発明は、この考えに基づき完成さ
れたものであり、以下に実施の形態を説明する。図2
は、第発明の実施の形態を示す概略平面図である。図
2において、4は第1の(従来の)平行部2Bとテーパ
部2Aとの境界、2BBはテーパ部2Aの間に介在させ
た第2の平行部、L1は境界4から第2の平行部2BB
開始点までの長手方向距離、L2は境界4から第2の平
行部2BB終了点までの長手方向距離である。尚前掲図
6と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。
【0021】図2に示すように、第発明は、熱間スラ
ブ1を長手方向に間歇的に送りながら該熱間スラブ1の
幅両端にテーパ部2Aと平行部2Bとを有する金型2を
当接させて幅方向にプレスする熱間スラブの連続幅プレ
ス方法において、テーパ部2Aが、平行部2Bとの境界
4から、長手方向に送りピッチP分だけ離れた位置を含
む区間(L1〜L2)に第2の平行部2BBを介在して
なることを特徴とする熱間スラブの連続幅プレス方法で
ある。
【0022】すなわち、テーパ部2Aの間に、テーパ部
2Aと平行部2Bの境界4から送りピッチP(mm)分だ
け離れた位置を含むように新たに第2の平行部2BBを
介在させることにより、大幅圧下時においてもスラブ幅
端部に新たに平行部を形成することが可能となり、送り
ピッチP(mm)だけ送ってプレスする時には、第2の平
行部2BBによって新たに形成されたスラブの平行部と
金型の従来の平行部2Bとを当接させてプレスを開始す
ることが可能となる。よって、かかる当接面には前述の
ように長手方向分力が生じないからスベリが生じない。
【0023】なお、第発明の要点は、例えば図6に示
す従来型の金型のテーパ部2Aに、図2に示すような第
2の平行部2BBを新たに介在させ、該第2の平行部2
BBでもってスラブ幅端部に従来にない平行部を成形
し、該平行部を金型の第1の平行部2Bでプレスするこ
とであるから、従来型の金型のテーパ部2Aに介在させ
る第2の平行部2BBは1つに限定されず複数あっても
よい。
【0024】次に、第本発明について説明する。図8
は、前記した金型とスラブとのスベリ発生状況の調査結
果を別の観点から整理して得られた幅圧下量とスベリ量
との関係を示すグラフである。尚、このときの送りピッ
チPは 400mmである。図8に示すように、幅圧下量が小
さい範囲では全くスベリが発生していないが、幅圧下量
が大きい範囲では丸々送りピッチ分のスベリが発生して
いる。中間の幅圧下量では少しのスベリ量で幅プレスが
できている。
【0025】そこで、スベリ発生のメカニズムを調べる
ために、幅プレス中のスラブと金型との相互位置関係を
子細に観察した。図9は当該幅プレス中のスラブと金型
との相互位置関係を示す概略平面図である。尚前掲図6
と同一部材には同一符号を付し説明を省略する。図9
(a)に示すように、幅圧下量が中間程度で微小スベリ
発生の場合には、前パスの幅プレスによりテーパ状に成
形されたスラブ1のテーパ部と金型2のテーパ部2Aと
が当接する段階において、その接触長さは短く、金型が
少し近接して圧下がやや進行した段階(b)では、微小
スベリによりスラブ1が少し後退するものの、金型2の
テーパ部2Aと平行部2Bとの境界4部分がくさび状に
スラブ1にくい込んでくる。その後は、(c)に示すよ
うにスベリの発生が全くなく安定して幅圧下が進行す
る。
【0026】これに対し、幅圧下量が大きく、全面スベ
リ発生の場合には、図9(d)に示すように、プレス開
始時のスラブ1のテーパ部と金型2のテーパ部2Aの接
触長さが長く、金型のテーパ部と平行部との接点部分が
スラブにくい込むことがないため、図9(e),(f)
に示すように、スベリが進行し、遂には全面スベリに至
ると解される。
【0027】本発明者らはこのことから、幅圧下量が増
加して、スラブ1のテーパ部と金型2のテーパ部2Aと
が当接する段階からスベリを抑制するためには、金型2
のテーパ部2Aと平行部2Bとの境界4部分をくさび状
にスラブにくい込ませれば良く、そのためにはプレス開
始時の接触長さを短くすれば良いことを知見して、第
発明を完成させた。以下に実施の形態を説明する。
【0028】図3は、第発明の実施の形態を示す概略
平面図である。図3において、2AAはテーパ角度がβ
であるテーパ部、Lは前記テーパ部の長手方向成分長、
βはテーパ角度である。尚前掲図6と同一部材には同一
符号を付し説明を省略する。図3に示すように、第
明は、熱間スラブ1を長手方向に間歇的に送りながら該
熱間スラブの幅両端に、平行部2Bとテーパ部とを有す
る金型2を当接させて幅方向にプレスする熱間スラブの
連続幅プレス方法において、テーパ部2Aと平行部2B
との境界4から長手方向に送りピッチPより小さい距離
Lだけ離れた区間におけるテーパ部2AAのテーパ角度
βを、前記区間を除くテーパ部2Aのテーパ角度αより
も大きくしてプレスすることを特徴とする熱間スラブの
連続幅プレス方法である。
【0029】上記のように、テーパ部2AAの長手方向
成分長Lを、送りピッチPよりも短くすることより、前
パスでテーパ角度αのテーパ部で幅プレスされてテーパ
角度αのテーパ状をなすスラブ幅端部は、現パスにおい
て、αより大きいテーパ角度βをもつテーパ部2AAと
平行部2Bとの境界4部分にまず当接し、その際に、幅
プレス開始時の接触長さを極めて短くできるから、容易
に金型2をスラブ1にくい込ませることができる。
【0030】なお、第発明の要点は、前パスで形成さ
れたスラブのテーパ部を、そのテーパ角度より大きなテ
ーパ角度を有する金型の部分でくさび状にくい込ませる
ことにあるから、送りピッチPよりも短い長手方向成分
長Lの区間におけるテーパ角度を複数とし、それらのテ
ーパ角度を、前記区間を除くテーパ部のテーパ角度αよ
り大きくしても同様の効果が得られる熱間スラブの連続
幅プレス方法も当然本発明の範囲内に含まれる。
【0031】
【実施例】〈実施例1,2〉 熱間スラブの連続幅プレス装置を用いて、厚み 260mm×
幅1500mmの低炭素鋼スラブに、幅圧下量ΔWを 300mmと
して以下の(イ)〜(ハ)に述べる条件で熱間連続幅プ
レスを施した。 (イ)比較例は、大きな幅圧下量ΔW= 300mmで幅圧下
を行う際に、テーパ角度α=15°の金型を用いて、幅プ
レス時の送りピッチP= 400mmで行った。 (ロ)実施例1は、比較例と同じ大きな幅圧下量ΔW=
300mmで幅圧下を行う際に、比較例と同じテーパ角度α
=15°の金型であるが、幅プレス時の送りピッチPを 6
00mmとした。この送りピッチは (3)式の右辺に幅圧下量
ΔWとテーパ角度αの値を代入して求めた 560mmよりも
大きく、 (3)式を満足する値として設定した。 (ハ)実施例2は、テーパ角度15°とテーパ角度25°の
金型を用意しておき、比較例と同じ大きな幅圧下量ΔW
= 300mm、並びに送りピッチP= 400mmとして幅プレス
を行う際に、 (4)式の右辺に幅圧下量ΔWと送りピッチ
Pの値を代入して求めた値よりも大きく、 (4)式を満足
するテーパ角度25°の金型を用い幅プレスした。
【0032】ここに実施例1は上述した知見に夫々対応
する。図4は、実施例及び比較例夫々についての長手方
向のスラブ移動量及び幅方向のプレス荷重の経時変化図
である。図4に示すように、比較例では、送りピッチ 4
00mmで前方に移動させているものの、幅プレス時にプレ
ス金型とスラブとの間でスベリが発生するため、 100〜
200mm も後退しており、非常に不安定な幅プレス進行形
態である。これに対し実施例1及び実施例2では、幅プ
レス時にスベリが発生しないため、長手方向に全く後退
せず安定した幅プレスが実現できている。
【0033】尚、プレス荷重に関し、実施例1では送り
ピッチが 600mmと大きいため、接触面積が増えプレス荷
重が大幅に増加するが、実施例2ではテーパ角度15°の
金型に代えて、これより大きいテーパ角度20°の金型と
したので、接触面積が逆に減ってプレス荷重が減少する
ことがわかる。それゆえ、複数個のプレス金型の使用が
可能であれば、実施例2に例示されるほによるのが好
ましい。 〈実施例3〉 以下に記す金型以外は前記比較例と同じ条件、即ち、厚
み 260mm×幅1500mmの低炭素鋼スラブに、幅圧下量ΔW
を 300mm、送りピッチPを 400mmとして熱間連続幅プレ
スを施した。
【0034】実施例3に用いたプレス金型は、テーパ角
度15°のテーパ部と平行部とを有し、更に平行部との境
界から長手方向に 300〜500mm の範囲(図2に示すL1
=500mm からL2=300mm の範囲)のテーパ部に新たに
第2の平行部を設けたものである。図5は、実施例3及
び比較例夫々についての長手方向のスラブ移動量及び幅
方向のプレス荷重の経時変化図である。
【0035】図5に示すように、比較例では、送りピッ
チ 400mmで前方に移動させているものの、幅プレス時に
プレス金型とスラブとの間でスベリが発生するため、 1
00〜200mm も後退しており、非常に不安定な幅プレス進
行形態である。これに対し実施例3では、幅プレス時の
スベリの発生がほとんどないため、長手方向に全く後退
せず安定した幅プレスが実現できている。尚、実施例3
と比較例とでは、幅プレス進行時の接触面積が同じであ
るため、プレス荷重の経時変化のパターンに顕著な差は
ない。 〈実施例4〉 以下に記す金型以外は比較例と同じ条件、即ち、厚み 2
60mm×幅1500mmの低炭素鋼スラブに、幅圧下量ΔWを 3
00mm、送りピッチPを 400mmとして熱間連続幅プレスを
施した。
【0036】実施例4に用いたプレス金型は、図3に示
すように、平行部とテーパ角度α=15°のテーパ部とを
有し、更に該テーパ部と平行部との境界からテーパ部側
に送りピッチ 400mmより小さい長手方向成分長L= 200
mmにわたるテーパ部区間に、新たにテーパ角度β=20°
のテーパ部を設けたものである。その結果、実施例4で
も実施例3同様、幅プレス時のスベリの発生がほとんど
なく、長手方向に全く後退せず安定した幅プレスが実現
できることが確認された。
【0037】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、幅プレス
時の長手方向スベリの発生を抑制できることから、幅プ
レス量が大きい場合でもプレス時の幅プレス効率の低下
を防止でき、スベリによる擦疵発生を抑制でき、その
結果、同一幅のスラブから多様な幅の圧延製品を効率よ
く製造することが可能になるという格段の効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】幅プレス開始時のスラブと金型との相互位置関
係を示す概略平面図である。
【図2】第発明の実施の形態を示す概略平面図であ
る。
【図3】第発明の実施の形態を示す概略平面図であ
る。
【図4】長手方向のスラブ移動量及び幅方向のプレス荷
重の経時変化図である。
【図5】長手方向のスラブ移動量及び幅方向のプレス荷
重の経時変化図である。
【図6】幅プレスの手順図である。
【図7】幅圧下量ΔW(mm)と送りピッチP(mm)とを
変数としてスベリ発生領域を示したグラフである。
【図8】幅圧下量とスベリ量との関係を示すグラフであ
る。
【図9】幅プレス開始時のスラブと金型との相互位置関
係を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1 スラブ(熱間スラブ) 2 金型(プレス金型) 2A テーパ部 2AA テーパ部 2B 第1の平行部 2BB 第2の平行部 3 減肉部 4 境界 L テーパ部の長手方向成分長 L1 境界から第2の平行部開始点までの長手方向距離 L2 境界から第2の平行部終了点までの長手方向距離 Lt スラブ幅端部に形成されたテーパ部の長手方向成分
長 P 送りピッチ ΔW 幅圧下量 α テーパ角度 β テーパ角度
フロントページの続き (72)発明者 桑子 浩 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社 千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 平4−147701(JP,A) 特開 昭62−212034(JP,A) 特表 平4−500174(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21J 1/04,13/06 B21B 1/02,15/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間スラブを長手方向に間歇的に送りな
    がら、複数の平行部とそれに続くテーパ部とを有する金
    を用いて幅方向にプレスする熱間スラブの連続幅プレ
    ス方法において、前記金型は、第1の平行 部とそれに続くテーパ部との境
    界から長手方向に送りピッチだけ離れた位置を含む区間
    に、第2の平行部を介在してなるものとすると共に、幅
    プレスの際に、前記熱間スラブを前記送りピッチだけ送
    り、前記金型の第2の平行部で幅プレスされて形成され
    た前記熱間スラブの平行部と前記第1の平行部とを当接
    させてプレスすることを特徴とする熱間スラブの連続幅
    プレス方法。
  2. 【請求項2】 熱間スラブを長手方向に間歇的に送りな
    がら、平行部とそれに続くテーパ部とを有する金型を用
    いて幅方向にプレスする熱間スラブの連続幅プレス方法
    において、前記金型は、前記平行 部とそれに続くテーパ部との境界
    から長手方向に送りピッチより小さい区間におけるテー
    パ部のテーパ角度を、前記区間を除くテーパ部のテーパ
    角度よりも大きくしてなるものとすると共に、幅プレス
    の際に、前記熱間スラブを前記送りピッチだけ送り、前
    記金型の小さいテーパ角度をもつテーパ部で幅プレスさ
    れて形成された前記熱間スラブのテーパ部に、それより
    大きいテーパ角度のテーパ部を有する前記金型の境界部
    分を当接させてプレスすることを特徴とする熱間スラブ
    の連続幅プレス方法。
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