JP3228193B2 - ネガ型フォトレジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

ネガ型フォトレジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子製造に
おけるフォトリソグラフィー工程における改良に関し、
特にArFエキシマレーザ光を露光光とするリソグラフ
ィーに好適なネガ型フォトレジスト組成物及び該組成物
を用いたパターン形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体デバイスに代表されるハーフミク
ロンオーダーの微細加工を必要とする各種電子デバイス
製造の分野では、デバイスのより一層の高密度化、高集
積化の要求が高まっている。そのため、微細パターン形
成のためのフォトリソグラフィー技術に対する要求がま
すます厳しくなっている。
【0003】パターンの微細化を図る手段の一つとし
て、フォトレジストを用いてパターンを形成する際に使
用する露光光の短波長化が挙げられる。そこで、256
Mビット(加工寸法が0.25μm以下)DRAMの量
産プロセスには、露光光源として、これまでのi線(波
長=365nm)に代わり、より短波長のKrFエキシ
マレーザ(波長=248nm)の利用が現在積極的に検
討されている。しかし、更に微細な加工技術を必要とす
る1Gビット(加工寸法が0.18μm以下)以上の集
積度を有するDRAMの製造には、更に短波長の光源が
必要とされており、その要求を満たすべく最近、ArF
エキシマレーザ(193nm)を用いたフォトリソグラ
フィーの利用が考えられている。
【0004】エキシマレーザを利用したリソグラフィー
は、レーザ発振の原料であるガスの寿命が短いこと、レ
ーザ装置自体が高価であることなどから、レーザのコス
トパフォーマンスの向上を満たす必要がある。このた
め、加工寸法の微細化に対応する高解像性に加え、高感
度化への要求も高い。
【0005】そのような高感度なフォトレジストとし
て、感光剤である光酸発生剤を利用する化学増幅型レジ
ストが良く知られている。化学増幅型レジストの特徴
は、光照射により含有成分である光酸発生剤から発生し
たプロトン酸が、露光後の加熱処理によりレジストのベ
ース樹脂等に対し酸触媒反応を誘発することである。こ
のようにして光反応効率(一光子当たりの反応)が1未
満の従来のレジストと比較して、飛躍的な高感度化を達
成している。化学増幅レジストの代表的な例としては、
ポジ型レジストとしては、特開平2−27660号公報
に記載されているトリフェニルスルホニウム・ヘキサフ
ルオロアーセナートとポリ(p−tert−ブトキシカ
ルボニルオキシ−α−メチルスチレン)の組み合わせか
らなるレジストがある。また、ネガ型レジストとして
は、SPIEプロシーディング(Proceeding of SPI
E)、1086巻、34−47頁(1989年)にL.
E.Boganらのポリビニルフェノールとメラミン誘
導体を組み合わせたレジストが記載されている。化学増
幅型レジストは、その高感度及び高解像性のため、現在
KrFエキシマレーザ用レジストに広く用いられてい
る。
【0006】g線、i線、KrFエキシマレーザ用のレ
ジストには、ノボラックやポリビニルフェノールなどの
ベンゼン環を有する樹脂が使用されてきた。しかしなが
ら、ArFエキシマレーザ光等の220nm以下の波長
の光に対し、ベンゼン環を含有する樹脂は光吸収が極め
て強い。そのため、これらのレジストをArFエキシマ
レーザリソグラフィーに用いると、レジスト表面で大部
分の露光光が吸収されてしまい、基板まで透過しなくな
り微細なレジストパターンの形成は不可能である。従っ
て、g線、i線、KrFエキシマレーザ用レジストに用
いられてきた樹脂は、そのままでは220nm以下の短
波長光を用いたフォトリソグラフィーには適用できな
い。
【0007】一方、g線、i線、KrFエキシマレーザ
用レジストにおける、半導体製造用レジストに必要不可
欠な高いエッチング耐性は、そのレジスト材料に含まれ
るベンゼン環により得ていた。
【0008】従って、ArFエキシマレーザ用レジスト
には、ベンゼン環を含まずに、同等以上のエッチング耐
性を有し、かつ、220nm以下の波長の光に対して十
分な透過性を有する材料が必要となる。ArFエキシマ
レーザ(193nm)に対し十分な透過性を有し、なお
かつドライエッチング耐性を有するポジ型レジストは、
ここ数年検討されている。それらのレジスト材料は、脂
環基を有する樹脂がベース樹脂として用いられており、
例えば、アダマンチルメタクリレート単位を有する共重
合体〔武智ら、ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サ
イエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Photopo
lymer Science and Technology)、5巻(3号)、43
9〜446頁(1992年)〕や、イソボルニルメタク
リレート単位を有する共重合体〔R.D.アレン(R.
D. Allen)ら、ジャーナル・オブ・フォトポリマー・サ
イエンス・アンド・テクノロジー(Journal of Photopo
lymer Science and Technology)、8巻(4号)、62
3〜636頁(1995年)、及び9巻(3号)、46
5〜474頁(1996年)〕、カルボキシル化トリシ
クロデシルメチルメタクリレート単位を有する共重合体
〔前田ら、SPIEプロシーディング(Proceeding of
SPIE)、2724巻、377〜398頁(1996
年)〕等がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、220
nm以下の短波長光を用いたリソグラフィーには、いず
れもポジ型のフォトレジストは知られている。しかしな
がら、ネガ型のフォトレジストは知られておらず、従来
のg線、i線、KrFエキシマレーザ用に用いられてい
るネガ型フォトレジスト組成物は、いずれもベース樹脂
にベンゼン環を含有するものであった。そのため、22
0nm以下の短波長光に対する光吸収が強すぎ、そのま
まの使用は不可能であった。
【0010】そこで本発明では、220nm以下の露光
光、特にArFエキシマレーザ光を露光光として用いた
リソグラフィーに適用可能で、ベンゼン環を含有せずと
も十分なエッチング耐性を有するネガ型のフォトレジス
ト組成物を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記課
題を解決するべく鋭意検討した結果、以下に示す一般式
(4)で表される有橋環式炭化水素基とカルボキシル基
を有する繰り返し単位を含有する重合体、一般式(2)
で表される化合物及び露光により酸を発生する光酸発生
剤を少なくとも含有するネガ型フォトレジスト組成物に
より解決できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0012】
【化13】 (一般式(4)において、R 1 ,R 3 ,R 5 は水素原子あ
るいはメチル基を表し、R 2 ,R 4 は橋かけ環式炭化水素
基を有する炭素数7〜18のアルキレン基、R 6 は水素
原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基を表し、x、
y、zは繰り返し単位の比を表し、x+y+z=1であ
るが、0<x<1、0<y<1、0≦z<1を表す。ま
た、重合体の重量平均分子量は1000〜500000
である。)
【0013】
【化14】 {一般式(2)において、Xは一般式(3)
【0014】
【化15】 で表される基もしくは水素原子、炭素数1〜6の炭化水
素基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は水酸基を表
し、a1,a2,a3は1又は2を、b1,b2,b3は0又
は1を表すが、a1+b1=2,a2+b2=2,a3+b3
=2である。R8は水素原子もしくは炭素数1〜6のア
ルキル基を表す。}
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0016】
【0017】
【表1】
【0018】 本発明のフォトレジスト組成物におい
て、一般式(4)で表される重合体中のカルボン酸基
は、一般式(2)で表される化合物中の下記式(12)
で表される基と、酸触媒存在下で以下の反応式(A)に
示したように結合する性質がある。
【0019】
【化16】 (式(12)において、R8は水素原子もしくは炭素数
1〜6のアルキル基、aは1又は2,bは0又は1であ
るが、a+b=2である。)
【0020】
【化17】 (反応式(A)において、 R8は水素原子もしくは炭素
数1〜6のアルキル基、aは1又は2,bは0又は1で
あるが、a+b=2である。)
【0021】 一般式(2)で表される化合物は、前記
式(12)で表される基を2個以上有している。つま
り、一般式(2)で表される化合物は、カルボン酸と反
応可能な基を2個以上有しており、このため1分子で2
分子以上の重合体と結合することができる。よって、一
般式(2)で表される化合物は、酸存在下で重合体同士
を架橋させる。重合体はカルボン酸基を有しているた
め、アルカリ現像液に可溶であるが、架橋によって三次
元網目構造を形成するとアルカリ現像液に不溶化する。
従って、本発明の一般式(4)で表される重合体、一般
式(2)で表される化合物及び光酸発生剤の組み合わせ
からなるフォトレジスト組成物を薄膜化し、ArFエキ
シマレーザ光などのディープUV光で露光すると、露光
された領域において光酸発生剤から酸が生成し、更に、
加熱を行うと酸が触媒となり、重合体は架橋する。その
結果、露光部は、現像液に対し不溶化し、ネガ型パター
ンを得ることができる。
【0022】 本願発明のネガ型フォトレジスト組成物
の重合体には、般式(4)で表されるような、つま
り、有橋環式炭化水素基とカルボキシル基を有する繰り
返し単位と水酸基を有する脂環基単位を組み合わせた重
合体非常に有効である。この理由は、下記反応式
(B)に示すように、水酸基も一般式(2)で表される
化合物と酸触媒存在下において結合可能であるからであ
る。従って、一般式(4)で表される重合体、一般式
(2)で表される化合物及び露光により酸を発生する光
酸発生剤を含有するネガ型フォトレジスト組成物、A
rFエキシマレーザ光等の220nm以下の短波長の光
に対して高い透明性と高いエッチング耐性を兼ね備えて
いる。
【0023】
【化18】
【0024】(一般式(4)において、R1,R3,R5
は水素原子あるいはメチル基を表し、R2,R4は橋かけ
環式炭化水素基を有する炭素数7〜18のアルキレン
基、R6は水素原子あるいは炭素数1〜12のアルキル
基を表し、x、y、zは繰り返し単位の比を表し、x+
y+z=1であるが、0<x<1、0<y<1、0≦z
<1を表す。また、重合体の重量平均分子量は1000
〜500000である。)
【0025】
【化19】 (反応式(B)において、 R8は水素原子もしくは炭素
数1〜6のアルキル基、aは1又は2,bは0又は1で
あるが、a+b=2である。)
【0026】前記式(4)において、R2,R4で表され
る橋かけ環式炭化水素基を有する炭素数7〜18のアル
キレン基としては、前記表1に示されるものが例示され
るが、これに限定されるものではない。又、R6で表さ
れる炭素数1〜12のアルキル基としては、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シ
クロヘキシル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デ
シル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシク
ロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基等が挙げ
られるが、これらだけに限定されるものではない。
【0027】本発明のネガ型フォトレジスト組成物は、
高いドライエッチング耐性が得られることが知られてい
る脂環基を有する重合体をベース樹脂としている。又、
この重合体はベンゼン環を有さないために、ArFエキ
シマレーザ光(193.4nm)等の220nm以下の
短波長の光に対し、透明性が高い。つまり、本発明のフ
ォトレジスト組成物は、化学増幅型のレジストであり、
更にArFエキシマレーザ光等の220nm以下の短波
長光に対する高い透明性と高いドライエッチング耐性を
兼ね備えている。
【0028】本発明の一般式(1)で表される繰り返し
単位を有する重合体は、例えば、特開平8−25962
6号あるいは特願平9−52678号に記載の方法によ
り得ることができる。具体的には、例えば単独重合体の
場合には、所望の有橋環式炭化水素基を介してカルボン
酸基を有するビニルモノマーを合成した後、該モノマー
を乾燥テトラヒドロフラン中、不活性ガス(アルゴン、
窒素など)雰囲気下、適当なラジカル重合開始剤〔例え
ばアゾビスブチロニトリル(AIBN)〕を加えて50
〜70℃で0.5〜12時間加熱攪拌することにより得
ることができる。
【0029】同様に、一般式(4)で表される重合体
は、例えば、カルボン酸基を有するビニルモノマーと水
酸基を有するビニルモノマー、所望によりその他の重合
可能なモノマーとを同様にしてブロック状あるいはラン
ダムに共重合させることにより得ることができる。一般
式(4)で表される重合体の共重合比は、モノマーの仕
込み割合及びその他の重合条件を選定することにより任
意の共重合体を得ることができる。なお、式(4)にお
いて、xは0.2以上であることが好ましい。
【0030】本発明のネガ型フォトレジスト組成物にお
けるこれらの重合体の重量平均分子量は1000〜50
0000であり、より好ましくは5000〜20000
0である。この理由は、分子量が1000未満の場合に
は、重合体のガラス転移温度が低くなりレジストとして
扱いにくくなる場合があり、逆に500000を超える
と基板上に均一な膜を形成し難くなる傾向があるからで
ある。なお、重量平均分子量は、ゲルパーコレーション
クロマトグラフィ(島津製作所製、LC−9A(流出溶
媒:テトラヒドロフラン、カラム:昭和電工製KF−8
0M))を用い、ポリスチレン換算分子量として決定し
た。
【0031】本発明のネガ型フォトレジスト組成物の架
橋剤である一般式(2)で表される化合物は、一般式
(5)で表されるメラミン誘導体、一般式(6)で表さ
れるグアナミン誘導体が好適である。これらの化合物
は、カルボン酸基及び水酸基に対して反応性が高いため
である。これらは、メラミンあるいはグアナミンをホル
ムアルデヒドにてメチロール化することにより得ること
ができる。
【0032】
【化20】 (一般式(5)において、R8は水素原子もしくは炭素
数1〜6のアルキル基を表し、a1,a2,a3は1又は
2を、b1,b2,b3は0又は1を表すが、a1+b1
2,a2+b2=2,a3+b3=2である。)
【0033】
【化21】 (一般式(6)において、R8は水素原子もしくは炭素
数1〜6のアルキル基を表し、R9は水素原子、炭素数
1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基もし
くは水酸基を表し、a1,a2は1又は2を、b1,b2
0又は1を表すが、a1+b1=2,a2+b2=2であ
る。)
【0034】上記説明において、R8で表される炭素数
1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、直
鎖又は分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基、直
鎖、分岐又は環状のペンチル基、直鎖、分岐又は環状の
ヘキシル基が挙げられる。R 9で表される炭素数1〜4
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、直鎖又は
分岐のプロピル基、直鎖又は分岐のブチル基が挙げられ
る。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ
基、エトキシ基、直鎖又は分岐のプロポキシ基、直鎖又
は分岐のブトキシ基が挙げられる。
【0035】本発明のネガ型フォトレジスト組成物にお
いて、光酸発生剤としては、180nm〜220nmの
波長の光を照射することにより酸を発生する光酸発生剤
であることが望ましく、なおかつ先に示した本発明の組
成物における重合体との混合物が有機溶媒に十分に溶解
し、その溶液がスピンコートなどの簡便な成膜法で均一
な塗布膜が形成可能なものであれば、いかなる光酸発生
剤を用いても良い。又、光酸発生剤は単独でも2種以上
を混合して用いても良い。
【0036】使用可能な光酸発生剤の例としては、下記
一般式(7)で表されるスルホニウム塩化合物、一般式
(9)で表されるヨードニウム化合物、一般式(10)
で表されるスクシンイミド誘導体、一般式(11)で表
されるジアゾ化合物等が挙げられる。
【0037】
【化22】 {式(7)において、R10,R11,R12は各々独立に、
アルキル置換、ハロゲン置換又は無置換の芳香族基、脂
環基、橋かけ環式炭化水素基、2−オキソ脂環基、アル
キル基を表し、Y-はBF4 -、AsF6 -、SbF6 -、又
は式(8)
【0038】
【化23】 (式(8)中、ZはCn2n+1(nは1から6の整
数)、アルキル基、アルキル置換、ハロゲン置換もしく
は無置換の芳香族基を表す)で表される対イオンを表
す。}
【0039】
【化24】 {式(9)において、R13,R14は各々独立に、アルキ
ル置換、ハロゲン置換又は無置換の芳香族基、脂環基、
橋かけ環式炭化水素基、2−オキソ脂環基、アルキル基
を表し、Y-はBF4 -、AsF6 -、SbF6 -、又は前記
式(8)で表される対イオンを表す。}
【0040】
【化25】 (一般式(10)において、R15はハロゲン置換もしく
は無置換のアルキレン基、アルキル置換、ハロゲン置換
もしくは無置換の芳香族基を表し、R16はハロゲン置換
もしくは無置換のアルキル基、アルキル置換、ハロゲン
置換もしくは無置換の芳香族基を表す。)
【0041】
【化26】 (一般式(11)において、R17,R18は各々独立に、
アルキル基、アルキル置換、ハロゲン置換もしくは無置
換の芳香族基、脂環式炭化水素基、又は橋かけ環式炭化
水素基を表す。)
【0042】これらの光酸発生剤は、ジャーナル・オブ
・ジ・オーガニック・ケミストリー(Journal of the O
rganic Chemistry)、43巻、15号、3055〜30
58頁(1978年)に記載されているJ.V.クリベ
ロ(J.V. Crivello)らのトリフェニルスルホニウム塩
誘導体、ジャーナル・オブ・ザ・ポリマー・サイエンス
(Journal of the Polymer Science)、56巻、383
〜395頁(1976年)に記載されているJ.V.ク
リベロ(J.V. Crivello)らのジフェニルヨードニウム
塩誘導体、特開平7−28237号公報に開示されてい
るシクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)
スルホニウム トリフルオロメタンスルホナート等のア
ルキルスルホニウム塩誘導体、特開平8−27102号
公報に開示されているβ−オキソシクロヘキシルメチル
(2−ノルボルニル)スルホニウム トリフルオロメタ
ンスルホナート等の橋かけ環式アルキル基を有するスル
ホニウム塩化合物がある。又、その他にも、2,6−ジ
ニトロベンジルエステル類[O.ナラマス(O. Nalamas
u)ら、SPIEプロシーディング、1262巻、32
頁(1990年)]、1,2,3−トリ(メタンスルホ
ニルオキシ)ベンゼン[タクミ ウエノら、プロシーデ
ィング・オブ・PME’89、講談社、413〜424
頁(1990年)]、ジスルホン化合物類等が使用可能
である。
【0043】 本発明のネガ型フォトレジスト組成物に
おける一般式(4)で表される重合体の組成物中の含有
率は、それ自身を含む全構成成分100重量部に対して
通常50〜98重量部、好ましくは70〜95重量部で
ある。この含有率が50重量部未満では、均一な膜の形
成が困難になる傾向にあり、又、98重量部を超える
と、導入できる一般式(2)で表される化合物及び光酸
発生剤の量が必然的に少なくなるため、架橋が十分起こ
らず、所望のパターンが得られない場合がある。又、一
般式(2)で表される化合物の含有率は、それ自身を含
む全構成成分100重量部に対して、通常1〜50重量
部、好ましくは10〜30重量部である。この含有率が
1重量部未満では、重合体の架橋が十分起こらず、所望
のパターンが得られない場合がある。又、50重量部を
超えると、均一な膜の形成が困難であり、薄膜の透明性
も著しく低下する。更に重合体の含有率が不十分となる
ため、十分なエッチング耐性が得られない場合がある。
光酸発生剤の含有率は、それ自身を含む全構成成分10
0重量部に対して通常0.2〜15重量部、好ましくは
0.5〜10重量部である。この含有率が0.2重量部
未満では、本発明のネガ型フォトレジスト組成物の感度
が著しく低下し、パターンの形成が困難になる場合があ
る。又、10重量部を超えると、均一な塗布膜の形成が
困難になり、更に現像後には残渣(スカム)が発生しや
すくなるなどの問題を生ずる場合がある。
【0044】本発明の組成物は、溶剤に溶解して塗布液
を調製し、スピンコート法などの一般的な塗布法により
塗布膜を形成するが、その際、本発明のネガ型フォトレ
ジスト組成物を十分に溶解し、均一な塗布膜を形成でき
る溶剤、特に有機溶剤が用いられる。具体的には、n−
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブ
チルアルコール、tert−ブチルアルコール、メチル
セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、
プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸2−メトキシブチル、酢
酸2−エトキシエチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸
エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキ
シプロピオン酸エチル、N−メチル−2−ピロリジノ
ン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロヘキ
サノール、メチルエチルケトン、1,4−ジオキサン、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリ
コールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコ
ールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソ
プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが
挙げられるが、もちろんこれらだけに限定されるもので
はない。これらの溶剤は単独でも又2種類以上混合して
用いても良い。
【0045】本発明のネガ型フォトレジスト組成物に
は、更に必要に応じて、界面活性剤、色素、安定剤、塗
布性改良剤、染料などの他の成分を、ArFエキシマレ
ーザ光などの220nm以下の光に対する透明性を損な
わない範囲で添加しても構わない。
【0046】又本発明は、上記ネガ型フォトレジスト組
成物を使用して、被加工基板上にフォトレジストのネガ
型パターンを形成する方法も提供する。本発明のネガ型
パターン形成の方法を図1に示す。まず、図1(A)に
示すように、本発明のネガ型フォトレジスト組成物を適
当な溶剤に溶解し、スピンコート法などにより被加工基
板1上に塗布して均一な塗布膜を形成し、60〜170
℃で、30〜240秒間、ホットプレート等の加熱手段
を用いてプリベーク処理することでレジスト膜2を形成
する。次に、図1(B)に示すように、レジスト膜2を
220nm以下、好ましくは180〜220nmの範囲
の光を光源とする露光装置を用いてマスク3を介して選
択的に露光する。そして露光後、レジスト膜2を加熱処
理すると、露光領域4では樹脂の架橋が起こる(図1
(C))。そして最後に図1(D)に示すように、テト
ラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液
等のアルカリ現像剤により、レジスト膜2の未露光部の
みが選択的に溶解除去され、ネガ型パターンが形成され
る。
【0047】本発明のネガ型フォトレジスト組成物は、
ArFエキシマレーザ光などの220nm以下の光に
対する透明性が高く、同時にドライエッチング耐性が高
いために、新規なネガ型フォトレジスト材料として利用
できる。更に本発明のネガ型フォトレジスト組成物をフ
ォトリソグラフィー工程に用いることで、微細なネガ型
パターンの形成が可能となる。
【0048】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限さ
れるものではない。
【0049】 参考例1 下記組成からなるレジストを調製した。以下の実験はイ
エローランプ下で行った。 (a)樹脂A1(下記式A1で示される繰り返し単位か
らなる重合体、重量平均分子量28000) 4.2
g (b)MW30(三和ケミカル社製、下記式B1を主成
分とする) 0.75g (c)ノルボルニル(2−オキソシクロヘキシル)メチ
ルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート(下
記式C1) 0.05g (d)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート 30g
【0050】
【化27】
【0051】
【化28】
【0052】
【化29】
【0053】上記混合物を0.2μmテフロンフィルタ
ーにてろ過し、レジストを調製した。これを3インチ石
英基板上にスピンコート塗布し、100℃で60秒間ホ
ットプレート上で加熱し、膜厚0.5μmのレジスト膜
を形成した。このレジスト膜のArFエキシマレーザ光
の中心波長である193.4nmにおける透過率は58
%であった。これは、単層レジストとして十分な透明性
であった。
【0054】 参考例2 参考例1 の(b)のMW30に代えて、メチル化ジメチ
ロールグアナミン(下記式B2)を用いた以外は実施例
1と同様にレジストを調製し、薄膜化し193.4nm
における透過率を測定した。その結果、透過率は58%
であり、単層レジストとして十分な透明性を示した。
【0055】
【化30】
【0056】 実施例 参考例1 の(a)の樹脂A1に代えて、下記式A2の樹
脂(重量平均分子量21000)を用いた以外は参考例
と同様にレジストを調製し、薄膜化し193.4nm
における透過率を測定した。その結果、透過率は59%
であり、単層レジストとして十分な透明性を示した。
【0057】
【化31】
【0058】 参考例3 参考例1 において、(d)のプロピレングリコールモノ
メチルエーテルアセテートを20g使用した以外は参考
例1と同様の組成からなるレジストを調製し、これを3
インチシリコン基板上にスピンコート塗布し、100
℃、60秒間ホットプレート上でベーキングを行い、膜
厚0.7μmの薄膜を形成した。得られた膜を日電アネ
ルバ製DEM451リアクティブイオンエッチング(R
IE)装置を用いてCF4ガスに対するエッチング速度
を測定した。エッチング条件は、パワー=100W、圧
力=5Pa、ガス流量=30sccmで行った。その結
果を表2に示す。又、比較例としてノボラックレジスト
(住友化学社製、PFI−15A)、KrFレジストの
ベース樹脂として使用されているポリ(p−ビニルフェ
ノール)、及び分子構造に有橋環式炭化水素基を持たな
い樹脂であるポリ(メチルメタクリレート)塗布膜の結
果も示す。なお、エッチング速度はノボラックレジスト
を1とした場合の相対比として示した。
【0059】 実施例 参考例3 と同様にして、樹脂A1の代わりに実施例
示した樹脂A2を用いたレジストについてもエッチング
速度を測定した。結果を表2に示す。なお、表中実施例
4は参考例3であり、実施例5は実施例2である。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示すように、本発明のレジストはC
4ガスに対するエッチング速度が遅く、ドライエッチ
ング耐性に優れていることが示された。
【0062】 参考例4 下記組成からなるレジストを調製した。以下の実験はイ
エローランプ下で行った。 (a)樹脂A1(参考例1で使用) 4g (b)MW30(参考例1で使用) 1g (c)ノルボルニル(2−オキソシクロヘキシル)メチ
ルスルホニウム トリフルオロメタンスルホナート(前
記式C1) 0.01g (d)プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ
ート 22.7g 上記混合物を0.2μmテフロンフィルターにてろ過
し、レジストを調製した。これを4インチシリコン基板
上にスピンコート塗布し、ホットプレート上で100℃
で60秒間加熱し、膜厚0.5μmの薄膜を形成した。
これを窒素で十分パージされた密着型露光実験機中に静
置した。石英基板上にクロムでパターンを描いたマスク
をレジスト膜上に密着させ、そのマスクを介してArF
エキシマレーザ光を照射した。その後すぐさま140
℃、60秒間ホットプレート上でベークし、液温23℃
の2.38%TMAH水溶液で60秒間浸漬法による現
像を行い、続けて60秒間純水でリンス処理を行った。
この結果、レジスト膜の未露光部分のみが現像液に溶解
除去され、65mJ/cm2の露光量で0.25μmL
/Sのネガ型パターンが得られた。
【0063】 参考例5 MW30に代えて参考例2で用いたメチル化ジメチロー
ルグアナミン(B2)を、またノルボルニル(2−オキ
ソシクロヘキシル)メチルスルホニウム トリフルオロ
メタンスルホナートに代えて下記式C2で示されるトル
エンスルホン酸スクシンイミドエステルを用いレジスト
を調製し、薄膜化し、参考例4と同様にして露光現像を
行った。この結果、97mJ/cm2の露光量で0.3
5μmL/Sのネガ型パターンが得られた。
【0064】
【化32】
【0065】 実施例3 樹脂A1に代えて実施例1で用いた樹脂A2を、またノ
ルボルニル(2−オキソシクロヘキシル)メチルスルホ
ニウム トリフルオロメタンスルホナートに代えて下記
式C3で示される化合物を用いてレジストを調製し、薄
膜化し、参考例4と同様にして露光現像を行った。この
結果、72mJ/cm2の露光量で0.325μmL/
Sのネガ型パターンが得られた。
【0066】
【化33】
【0067】
【発明の効果】以上説明したことから明らかなように、
本発明のネガ型フォトレジスト組成物はドライエッチン
グ耐性、220nm以下の光に対する透明性に優れ、更
に本発明のネガ型フォトレジスト組成物を用いること
で、半導体素子製造に必要な微細パターン形成が可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレジストパターン形成方法の各工程を
示した模式的断面図である。
【符号の説明】
1 被加工基板 2 レジスト膜 3 マスク 4 架橋した領域
フロントページの続き (72)発明者 長谷川 悦雄 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−259626(JP,A) 特開 平7−252324(JP,A) 特開 平7−128859(JP,A) 特開 平8−184965(JP,A) 特開 平8−211598(JP,A) 特開 平9−127691(JP,A) 特開 平9−166868(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03F 7/038 G03F 7/004 G03F 7/033 H04L 21/027

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、一般式(4) 【化4】 (一般式(4)において、R 1 ,R 3 ,R 5 は水素原子あ
    るいはメチル基を表し、R 2 ,R 4 は橋かけ環式炭化水素
    基を有する炭素数7〜18のアルキレン基、R 6 は水素
    原子あるいは炭素数1〜12のアルキル基を表し、x、
    y、zは繰り返し単位の比を表し、x+y+z=1であ
    るが、0<x<1、0<y<1、0≦z<1を表す。ま
    た、重合体の重量平均分子量は1000〜500000
    である。)で表される重合体、架橋剤として一般式
    (2) 【化2】 {一般式(2)において、Xは一般式(3) 【化3】 で表される基もしくは水素原子、炭素数1〜6の炭化水
    素基、炭素数1〜3のアルコキシ基、又は水酸基を表
    し、a1,a2,a3は1又は2を、b1,b2,b3は0又
    は1を表すが、a1+b1=2,a2+b2=2,a3+b3
    =2である。R8は水素原子もしくは炭素数1〜6のア
    ルキル基を表す。}で表される化合物、及び露光により
    酸を発生する光酸発生剤を含有することを特徴とするネ
    ガ型フォトレジスト組成物。
  2. 【請求項2】 前記架橋剤が一般式(5)で表される
    メラミン誘導体であることを特徴とする請求項に記載
    のネガ型フォトレジスト組成物。 【化5】 (一般式(5)において、R8は水素原子もしくは炭素
    数1〜6のアルキル基を表し、a1,a2,a3は1又は
    2を、b1,b2,b3は0又は1を表すが、a1+b1
    2,a2+b2=2,a3+b3=2である。)
  3. 【請求項3】 前記架橋剤が一般式(6)で表されるグ
    アナミン誘導体であることを特徴とする請求項に記載
    のネガ型フォトレジスト組成物。 【化6】 (一般式(6)において、R8は水素原子もしくは炭素
    数1〜6のアルキル基を表し、R9は水素原子、炭素数
    1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基もし
    くは水酸基を表し、a1,a2は1又は2を、b1,b2
    0又は1を表すが、a1+b1=2,a2+b2=2であ
    る。)
  4. 【請求項4】 前記光酸発生剤が、一般式(7)で表さ
    れるスルホニウム塩化合物であることを特徴とする請求
    項1乃至のいずれか1項に記載のネガ型フォトレジス
    ト組成物。 【化7】 {式(7)において、R10,R11,R12は各々独立に、
    アルキル置換、ハロゲン置換又は無置換の芳香族基、脂
    環基、橋かけ環式炭化水素基、2−オキソ脂環基、アル
    キル基を表し、Y-はBF4 -、AsF6 -、SbF6 -、又
    は式(8) 【化8】 (式(8)中、ZはCn2n+1(nは1から6の整
    数)、アルキル基、アルキル置換、ハロゲン置換もしく
    は無置換の芳香族基を表す)で表される対イオンを表
    す。}
  5. 【請求項5】 前記光酸発生剤が、一般式(9)で表さ
    れるヨードニウム塩化合物であることを特徴とする請求
    項1乃至のいずれか1項に記載のネガ型フォトレジス
    ト組成物。 【化9】 {式(9)において、R13,R14は各々独立に、アルキ
    ル置換、ハロゲン置換又は無置換の芳香族基、脂環基、
    橋かけ環式炭化水素基、2−オキソ脂環基、アルキル基
    を表し、Y-はBF4 -、AsF6 -、SbF6 -、又は式
    (8) 【化10】 (式(8)中、ZはCn2n+1(nは1から6の整
    数)、アルキル基、アルキル置換、ハロゲン置換もしく
    は無置換の芳香族基を表す)で表される対イオンを表
    す。}
  6. 【請求項6】 前記光酸発生剤が、一般式(10)で表
    されるスクシンイミド誘導体であることを特徴とする請
    求項1乃至のいずれか1項に記載のネガ型フォトレジ
    スト組成物。 【化11】 (一般式(10)において、R15はハロゲン置換もしく
    は無置換のアルキレン基、アルキル置換、ハロゲン置換
    もしくは無置換の芳香族基を表し、R16はハロゲン置換
    もしくは無置換のアルキル基、アルキル置換、ハロゲン
    置換もしくは無置換の芳香族基を表す。)
  7. 【請求項7】 前記光酸発生剤が、一般式(11)で表
    されるジアゾメタン誘導体であることを特徴とする請求
    項1乃至のいずれか1項に記載のネガ型フォトレジス
    ト組成物。 【化12】 (一般式(11)において、R17,R18は各々独立に、
    アルキル基、アルキル置換、ハロゲン置換もしくは無置
    換の芳香族基、脂環式炭化水素基、又は橋かけ環式炭化
    水素基を表す。)
  8. 【請求項8】 一般式(4)で表される重合体を50〜
    98重量部、一般式(2)で表される架橋剤を1〜50
    重量部、露光により酸を発生する光酸発生剤を0.2〜
    15重量部含有することを特徴とする請求項に記載の
    ネガ型フォトレジスト組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至のいずれか1項に記載の
    ネガ型フォトレジスト組成物を、被加工基板上に塗布す
    る工程、180nm〜220nmの波長の光で前記ネガ
    型フォトレジスト組成物を露光する工程、ベークを行う
    工程、及び現像を行う工程とを少なくとも有するレジス
    トパターンの形成方法。
  10. 【請求項10】 前記180nm〜220nmの波長
    の光が、ArFエキシマレーザ光であることを特徴とす
    る請求項に記載のレジストパターンの形成方法。
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