JP3226013B2 - サーミスタの製造方法 - Google Patents

サーミスタの製造方法

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JP3226013B2
JP3226013B2 JP03919596A JP3919596A JP3226013B2 JP 3226013 B2 JP3226013 B2 JP 3226013B2 JP 03919596 A JP03919596 A JP 03919596A JP 3919596 A JP3919596 A JP 3919596A JP 3226013 B2 JP3226013 B2 JP 3226013B2
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正己 越村
由浩 樋口
孝二 四元
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種の電子機器の
温度補償用サーミスタや表面温度測定用センサに適する
サーミスタの製造方法に関する。更に詳しくはプリント
回路基板等に表面実装されるチップ型サーミスタの製造
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】本出願人はセラミックグリーンシートか
ら打抜いたセラミック素体を焼結した後に、この素体の
全面に無機物層を形成した導電性チップ型セラミック素
体及びその製造方法を特許出願した(特開平5−251
210)。この導電性チップ型セラミック素体は次の方
法により製造される。先ずセラミックグリーンシートか
ら打抜いたチップ体を焼成して導電性セラミック素体に
した後、セラミック素体の全面に厚さ0.1〜2μmの
絶縁性無機物層を被覆する。次にこのセラミック素体の
両端に金属粉末と無機結合材を含む導電性ペーストを塗
布して、無機物層の融点又は軟化点より低い温度で焼成
する。塗布したペーストの無機結合材に無機物層が反応
溶融して焼付け電極層が形成される。更に焼付け電極層
の表面にめっき層を形成して焼付け電極層とめっき層か
らなる端子電極を形成し、焼付け電極層の接触部分以外
のセラミック素体の表面を無機物層で被覆することによ
り、導電性チップ型セラミック素体を得る。このように
構成された導電性チップ型セラミック素体では、はんだ
耐熱性とはんだ付着性に優れ、電極のめっき処理による
抵抗値の変化がなく信頼性の高い導電性チップ型セラミ
ック素子を容易にかつ安価に製造できるようになってい
る。
【0003】また、サーミスタ素体の相対向する1組の
端面を露出させた状態でサーミスタ素体が無機物よりな
る被覆層で被覆され、このサーミスタ素体の露出端面又
はこの端面及び被覆層の端面寄りの一部に外部取出電極
が形成された負特性サーミスタが開示されている(特開
昭63−177402)。この負特性サーミスタは次の
方法により製造される。先ずマンガンやニッケル等の酸
化物のスラリーにてサーミスタ素体シートを作成し、被
覆層となるアルミナのスラリーにて上記サーミスタ素体
シートより幅広の一対のアルミナシートを作成する。次
にこれらのアルミナシートによりサーミスタ素体シート
の全側面を被覆するように圧着して、グリーンシートを
作成する。更にこのグリーンシートを短冊状に切断後焼
成し、サーミスタ素体が露出している端面及びこの端面
寄りの被覆層の一部に電極ペーストを塗布して乾燥後焼
付けることにより、負特性サーミスタを得る。このよう
に構成された負特性サーミスタでは、サーミスタ素体と
無機物被覆層とを未焼成の段階で積層した後に、同時焼
成して一体化できるので、製造工程が少なく簡単に製造
できる。またサーミスタ素体の全側面が無機物被覆層に
より被覆されているので、十分な強度が得られ、サーミ
スタ素体の特性に悪影響を与える外的要因からサーミス
タ素体を保護できるようになっている。
【0004】更に、本出願人は焼付け電極層が接触する
部分以外のサーミスタ素体の表面を、軟化点がこの電極
層の焼付け温度とほぼ等しいガラス層で被覆し、かつ焼
付け電極層の表面にめっき層を形成したサーミスタを特
許出願した(特開平3−250603)。このサーミス
タは次の方法により製造される。先ずセラミック焼結シ
ートの両面にガラスペーストを印刷して焼成することに
より絶縁性のガラス層を形成する。次いで両面がガラス
層で被覆された焼結シートを短冊状に切出した後、切断
面に前述と同様にガラスペーストを印刷焼成してガラス
層を形成する。次に上記切断面と垂直な方向にこの短冊
状物を細かく切断してチップを作る。このチップの切断
面を包むようにチップの両端部に導電性ペーストを塗布
し、焼成して焼付け電極層を形成する。更にこの焼付け
電極層の表面にめっき層を形成して焼付け電極層とめっ
き層からなる端子電極を有するチップ型のサーミスタを
得る。このように構成されたサーミスタでは、めっき電
極を用いているので、はんだ付着性及びはんだ耐熱性を
向上できる。また抵抗値を決定するサーミスタ素体と接
する電極の面積が予め設定されているので、目標抵抗値
の再現性がよく、そのばらつきを少なくできるようにな
っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来の導
電性チップ型セラミック素体や負特性サーミスタでは、
いずれもセラミック素体又はサーミスタ素体を切断後に
焼成するため、焼成収縮による寸法誤差が生じ、上記素
体の抵抗値にばらつきが発生する不具合があった。ま
た、上記従来のサーミスタでは、セラミック焼結シート
にガラス層を形成した状態で短冊状に切出すため、焼結
シート及びガラス層の熱膨張係数の違いに起因する熱応
力(この熱応力は内部に残留する。)により、上記切出
し時に焼結シート又はガラス層にマイクロクラック等が
発生し、サーミスタの機械的強度を十分に得られない問
題点があった。この結果、耐基板曲げ性試験や温度サイ
クル試験等のサーミスタの強度に関する信頼性試験につ
いても十分な性能が得られない問題点もあった。更に、
上記従来のサーミスタでは、ガラス層の形成工程におい
て、このガラス層をシート状態及び短冊状態の2回に分
けて形成する必要があり、またセラミック焼結シートを
短冊状に切出した後この切断面にガラス層を効率的に形
成するためには、多数の短冊状のものをその切断面が同
一方向に向くように整列させる必要があり、製造コスト
を押上げる問題もあった。
【0006】本発明の目的は、サーミスタ素体の抵抗値
のばらつきを抑えることにより精度を向上でき、マイク
ロクラック等の発生を防止することにより十分な機械的
強度を得ることができ、更に安価にかつ大量に生産でき
るサーミスタの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
図1及び図5に示すように、セラミック焼結体よりなる
薄板材16に所定の間隔をあけて互いに平行に多数の長
孔17又は深溝を形成することにより長孔17間又は深
溝間に多数の角柱部18を形成する工程と、薄板材16
のうち少なくとも多数の角柱部18の全側面に絶縁性無
機物層13を形成する工程と、絶縁性無機物層13が形
成された角柱部18をこの角柱部18の長手方向に所定
の間隔をあけかつ角柱部18の長手方向に直交する方向
に切断することによりサーミスタ素体12を形成する工
程と、サーミスタ素体12の両端面を含む両端部に焼付
け電極層19,19を形成する工程と、焼付け電極層1
9,19の表面にめっき層20,20を形成して焼付け
電極層19,19とめっき層20,20からなる端子電
極14,14を形成する工程とを含むサーミスタの製造
方法である。このサーミスタの製造方法では、セラミッ
ク焼結体よりなる薄板材16、即ち焼成された薄板材1
6を機械加工するので、正確な寸法のサーミスタ素体1
2を得ることができ、サーミスタ素体12の抵抗値のば
らつきはない。また絶縁性無機物層13の形成後の角柱
部18の切断はサーミスタ素体12の端面を形成する切
断のみであるため、サーミスタ素体12又は絶縁性無機
物層13にマイクロクラック等が発生することはない。
更に多数の角柱部18をそれぞれ整列するという作業を
要さずに、上記角柱部18への絶縁性無機物層13の形
成が1回の工程で済むので、サーミスタ11を安価で大
量に生産できる。
【0008】請求項2に係る発明は、図1、図2及び図
5に示すように、セラミック焼結体よりなる薄板材16
に所定の間隔をあけて互いに平行に多数の長孔17又は
深溝を形成することにより長孔16間又は深溝間に多数
の角柱部18を形成する工程と、多数の角柱部18のコ
ーナ部18aを丸み付けする工程と、薄板材16のうち
少なくとも多数の角柱部18の全側面に絶縁性無機物層
13を形成する工程と、絶縁性無機物層13が形成され
た角柱部18をこの角柱部18の長手方向に所定の間隔
をあけかつ角柱部18の長手方向に直交する方向に切断
することによりサーミスタ素体12を形成する工程と、
サーミスタ素体12の両端面を含む両端部に焼付け電極
層19,19を形成する工程と、焼付け電極層19,1
9の表面にめっき層20,20を形成して焼付け電極層
19,19とめっき層20,20からなる端子電極1
4,14を形成する工程とを含むサーミスタの製造方法
である。このサーミスタの製造方法では、薄板材16の
角柱部18のコーナ部18aが丸み付けされているた
め、角柱部18の全側面に形成された絶縁性無機物層1
3のうち上記コーナ部18aを被覆する部分に応力集中
が発生せず、サーミスタ11の機械的強度を更に向上で
きる。
【0009】請求項3に係る発明は、請求項1又は2に
係る発明であって、図7に示すように、絶縁性無機物粉
末を含む懸濁液62に薄板材56を陽極とし対向電極6
3,63を陰極として浸漬し、薄板材56と対向電極6
3,63とに所定の電圧を印加して薄板材56の少なく
とも多数の角柱部58の全側面に絶縁性無機物粉末を付
着させて焼付け、少なくとも多数の角柱部58の全側面
に絶縁性無機物層を形成することを特徴とする。このサ
ーミスタの製造方法では、薄板材56の多数の角柱部5
8に均一にかつ同時に絶縁性無機物層を形成できる。
【0010】
【発明の実施の形態】次に本発明の第1の実施の形態を
図面に基づいて詳しく説明する。図1〜図5に示す本発
明のサーミスタ11は次の方法により製造される。 (ア) セラミック焼結体からなる薄板材16の作製 先ずMn,Fe,Co,Ni,Cu,Al等の金属の酸
化物粉末を1種又は2種以上、金属原子比が所定の割合
になるようにそれぞれ秤量し、ボールミル等により5〜
10時間混合して、脱水し乾燥する。次いでこの混合物
を大気圧下500〜1000℃で5〜10時間仮焼き
し、再びボールミル等で粉砕して、脱水し乾燥する。次
にこの粉砕物に有機系結合材等を加え、スプレードライ
ヤ等を用いて上記粉砕物の粒径が30〜200μm程度
になるように造粒し、油圧プレス等により直方体に圧縮
成形する。更にこの成型物を大気圧下1000〜130
0℃で5〜10時間焼成して、所定の寸法のセラミック
焼結ブロックを作製し、このブロックをバンドソー等を
用いて所定の厚さに切断することにより、薄板材16を
作製する(図1(a))。
【0011】(イ) 薄板材16への長孔17の形成 上記薄板材16に所定の間隔をあけて互いに平行にダイ
シングマシン等により多数の長孔17を形成することに
より、上記多数の長孔17間に多数の角柱部18を形成
する(図1(b)及び図2(a))。長孔17の幅及び
角柱部18の幅はそれぞれ0.05〜0.5mm及び
0.4〜1.6mmに形成されることが好ましい。また
角柱部18のコーナ部18aには微粒のアルミナ粉等を
吹き付けるブラスト処理を行った後、上記コーナ部18
aを研磨することにより、コーナ部18aに曲率半径が
0.01〜0.1mmの丸み付けが施される(図2
(b))。 (ウ) 角柱部18の全側面への絶縁性無機物層13の形成 上記薄板材16の角柱部18の全側面に、ガラス粉末等
の絶縁性無機物粉末を含み所定の粘度を有するペースト
を吹付けた後に乾燥する。この薄板材16を大気圧下5
00〜1000℃に1〜20分間保持し、角柱部18の
全側面に厚さ2〜50μmの絶縁性無機物層13を形成
する(図1(c)、図3)。なお、上記ペーストの吹付
けは角柱部のみではなく、薄板材全体に吹付けてもよ
い。
【0012】(エ) 絶縁性無機物層13を形成した薄板材
16の切断 全側面に絶縁性無機物層13が形成された多数の角柱部
18を、角柱部18の長手方向に所定の間隔をあけかつ
角柱部18の長手方向に直交する方向に、ダイシングマ
シン等を用いてチップ状に切断する(図1(d))。こ
の切断により、全側面に絶縁性無機物層13が形成され
たサーミスタ素体12が得られる。このサーミスタ素体
12の長さは0.5〜5mmの範囲に形成されることが
好ましい。 (オ) サーミスタ素体12の両端部への端子電極14,1
4の形成 先ず上記チップ状のサーミスタ素体12の両端面を含む
両端部に貴金属粉末と無機結合材を含む導電性ペースト
を塗布して焼成することにより、焼付け電極層19,1
9を形成する。次に焼付け電極層19,19を下地電極
層としてこの表面にめっき層20,20を形成して、焼
付け電極層19,19とめっき層20,20からなる端
子電極14,14を有するサーミスタ11を得る(図1
(e)、図4及び図5)。
【0013】図6及び図7は本発明の第2の実施の形態
を示す。この実施の形態では、薄板材56に所定の間隔
をあけて互いに平行に多数の深溝57を形成することに
より深溝57間に多数の角柱部58を形成し、多数の角
柱部58の全側面に絶縁性無機物層を電着装置61を用
いて形成する。電着装置61は図7に詳しく示すよう
に、ガラス粉末等の絶縁性無機物粉末を所定の割合で含
む懸濁液62が貯留された容器と、この懸濁液62に浸
漬された薄板材56と所定の間隔をあけて浸漬される対
向電極63,63と、薄板材56を陽極とし対向電極6
3,63を陰極として両者に所定の電圧を印加する電源
64とを有する。上記電着装置61を用いて全側面に絶
縁性無機物粉末が電着された薄板材56を大気圧下50
0〜1000℃に1〜20分間保つことにより、厚さ2
〜50μmの絶縁性無機物層を形成する。上記以外の製
造方法は第1の実施の形態のサーミスタの製造方法と略
同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0014】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく
説明する。 <実施例1>図1〜図5に示すように、次の方法で製造
されたサーミスタを実施例1とした。先ず炭酸マンガ
ン、炭酸ニッケル、炭酸コバルトを出発原料とし、これ
らを金属原子比が所定の割合になるようにそれぞれ秤量
し、ボールミルで16時間均一に混合して、脱水し乾燥
した。この混合物を大気圧下900℃で2時間仮焼き
し、再びボールミルで粉砕して、脱水し乾燥した。この
粉砕物に有機系結合材を加え、スプレードライヤにより
粉砕物の粒径が60μm程度になるように造粒し、油圧
プレスにより直方体に圧縮成形した。この成型物を大気
圧下1200℃で4時間焼成し、縦、横及び厚さがそれ
ぞれ35mm,50mm及び10mmのセラミック焼結
ブロックを作製し、このブロックをバンドソーで切断
し、縦、横及び厚さが35mm,50mm及び0.80
mmの薄板材16を作製した(図1(a))。
【0015】次いで上記薄板材16にダイシングマシン
により幅0.1mmの長孔17を幅0.80mmの間隔
をあけて多数形成することにより、上記多数の長孔17
間に幅0.80mmの多数の角柱部18を形成した(図
1(b)及び図2(a))。この角柱部18のコーナ部
18aに微粒のアルミナ粉を吹付けるブラスト処理を行
った後、上記角柱部18のコーナ部18aを研磨し、コ
ーナ部18aに曲率半径0.05mmの丸み付けを施し
た(図2(b))。次に上記薄板材16の角柱部18の
全側面に、ガラス粉末を含み所定の粘度を有するペース
トを吹付けた後に乾燥した。この薄板材16を大気圧下
850℃で約10分間保持することにより、角柱部18
の全側面に厚さ約20μmのガラス層13を形成した
(図1(c)及び図3)。
【0016】上記ガラス層13が形成された角柱部18
をダイシングマシンを用いて長孔17の長手方向に直交
する方向に切断し、長さ1.5mmのチップ状のサーミ
スタ素体12を作製した(図1(d))。更にサーミス
タ素体12の両端面を含む両端部にAgペーストをディ
ッピング法により塗布した後、大気圧下820℃に10
分間保持することにより、サーミスタ素体12の両端部
に焼付け電極層19,19を形成した。上記焼付け電極
層19,19の表面にめっき層20,20を形成した
(図4及び図5)。めっき層20,20は上記焼付け電
極層19,19の表面に電解バレル法により形成された
厚さ2〜5μmのNiめっき層20a,20aと、Ni
めっき層20a,20aの表面に形成された厚さ3〜7
μmのはんだめっき層20b,20bとを有する。この
ようにして図1(e)、図4及び図5に示すサーミスタ
11を得た。
【0017】<実施例2>図6及び図7に示すように、
次の方法で製造されたサーミスタを実施例2とした。実
施例1と同様にして薄板材56を作製し、この薄板材5
6にダイシングマシンにより幅0.1mmの深溝57を
幅0.80mmの間隔をあけて多数形成することによ
り、上記多数の深溝57間に幅0.80mmの多数の角
柱部58を形成した(図6)。この薄板材56のうち深
溝57が形成されていない部分を金属板65,65で挟
み、角柱部58を懸濁液62に浸漬した(図7)。この
懸濁液62はイソプロピルアルコールに水を5体積%転
化した混合溶液を溶媒とし、この溶媒1リットルに対し
て0.5gのガラス粉末(日本電気硝子(株)製のGA
44)を添加して調整した。また上記懸濁液62には薄
板材56の両面からそれぞれ所定の間隔をあけて薄板材
56を挟むように一対の対向電極63,63を浸漬し
た。薄板材56を陽極とし、一対の対向電極63,63
を陰極として、両者間に直流600Vを10分間印加し
て薄板材56の角柱部58の全側面にガラス粉末を電着
した。このガラス粉末が電着された薄板材56を大気圧
下850℃に約10分間保持して、角柱部58の全側面
に厚さ約30μmのガラス層を形成した。上記以外は第
1の実施の形態と同一の方法で製造してサーミスタを得
た。
【0018】<比較例1>図示しないが次の方法により
製造したサーミスタを比較例1とした。先ず厚さ0.8
0mmのセラミック焼結シートの両面にガラスペースト
を印刷して焼成することにより絶縁性のガラス層を形成
した。次いで両面がガラス層で被覆された焼結シートを
幅0.80mmの短冊状に切出した後、切断面に前述と
同様にガラスペーストを印刷焼成してガラス層を形成し
た。次に上記切断面と垂直な方向にこの短冊状物を細か
く切断して長さ1.5mmのチップ状のサーミスタ素体
を作製した。更にこのチップ状のサーミスタ素体の両端
部に上記実施例1と同様にして端子電極を形成すること
により、チップ型サーミスタを得た。
【0019】<比較試験及び評価>上記実施例1及び比
較例1のサーミスタについて、抗折強度試験及び耐基板
曲げ性試験を行った。その結果を表1に示す。
【0020】
【表1】
【0021】表1から明らかなように、本発明に係る方
法により製造されたサーミスタは、従来の方法により製
造されたサーミスタより、抗折強度及び耐基板曲げ性が
向上していることが判った。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、薄
板材に多数の長孔又は深溝を形成することにより長孔間
又は深溝間に多数の角柱部を形成し、これらの角柱部の
全側面に絶縁性無機物層を形成し、上記角柱部をこの角
柱部の長手方向に直交する方向に切断することによりサ
ーミスタ素体を形成し、このサーミスタ素体の両端面を
含む両端部に焼付け電極層を形成し、更に焼付け電極層
の表面にめっき層を形成したので、セラミック焼結体よ
りなる、即ち焼成された薄板材を機械加工するので、正
確な寸法のサーミスタ素体を得ることができ、サーミス
タ素体の抵抗値のばらつきはなく、サーミスタ本来の機
能精度の向上を図ることができる。また絶縁性無機物層
の形成後の角柱部の切断はサーミスタ素体の端面を形成
する切断のみであるため、サーミスタ素体又は絶縁性無
機物層にマイクロクラック等が発生することはなく、サ
ーミスタの機械的強度を向上できる。またガラス層を2
回に分けて形成し、かつ多数の短冊状物をその切断面が
同一方向に向くように整列させる必要がある従来のサー
ミスタと比較して、本発明のサーミスタの製造方法で
は、多数の角柱部をそれぞれ整列するという作業を要さ
ずに、上記角柱部への絶縁性無機物層の形成が1回で済
むので、サーミスタを安価で大量に生産できる。
【0023】また上記製造方法のうち、薄板材に多数の
長孔又は深溝を形成することにより長孔間又は深溝間に
多数の角柱部を形成する工程と、これらの角柱部の全側
面に絶縁性無機物層を形成する工程との間に、多数の角
柱部のコーナ部を丸み付けする工程を加えれば、角柱部
の全側面に形成された絶縁性無機物層のうち上記コーナ
部を被覆する部分に応力集中が発生せず、サーミスタの
機械的強度を更に向上できる。更に、絶縁性無機物粉末
を含む懸濁液に薄板材を陽極とし対向電極を陰極として
浸漬し、薄板材と対向電極とに所定の電圧を印加して薄
板材の少なくとも多数の角柱部の全側面に絶縁性無機物
粉末を付着させて焼付け、少なくとも多数の角柱部の全
側面に絶縁性無機物層を形成すれば、薄板材の多数の角
柱部に均一にかつ同時に絶縁性無機物層を形成できる。
この結果、サーミスタの製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のサーミスタの製造工程
を説明する図。
【図2】角柱部のコーナ部を丸み付けする前の状態と後
の状態とを示す図1(b)のA−A線断面図。
【図3】図1(c)のB−B線断面図。
【図4】そのサーミスタの要部破断斜視図。
【図5】図4のC−C線断面図。
【図6】本発明の第2実施形態の多数の深溝を有する薄
板材の斜視図。
【図7】その薄板材を懸濁液に浸漬して電圧を印加した
状態を示す構成図。
【符号の説明】
11 サーミスタ 12 サーミスタ素体 13 ガラス層(絶縁性無機物層) 14 端子電極 16,56 薄板材 17 長孔 18,58 角柱部 18a コーナ部 19 焼付け電極 20 めっき層 57 深溝 62 懸濁液 63 対向電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 四元 孝二 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三菱マテリアル株式会社 電子技術研究 所内 (72)発明者 内田 浩次 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三菱マテリアル株式会社 電子技術研究 所内 (56)参考文献 特開 平4−127401(JP,A) 特開 昭63−177402(JP,A) 特開 平5−283206(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01C 7/02 - 7/22

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック焼結体よりなる薄板材(16,5
    6)に所定の間隔をあけて互いに平行に多数の長孔(17)又
    は深溝(57)を形成することにより前記長孔(17)間又は前
    記深溝(57)間に多数の角柱部(18,58)を形成する工程
    と、 前記薄板材(16,56)のうち少なくとも前記多数の角柱部
    (18,58)の全側面に絶縁性無機物層(13)を形成する工程
    と、 前記絶縁性無機物層(13)が形成された角柱部(18,58)を
    この角柱部(18,58)の長手方向に所定の間隔をあけかつ
    前記角柱部(18,58)の長手方向に直交する方向に切断す
    ることによりサーミスタ素体(12)を形成する工程と、 前記サーミスタ素体(12)の両端面を含む両端部に焼付け
    電極層(19,19)を形成する工程と、 前記焼付け電極層(19,19)の表面にめっき層(20,20)を形
    成して前記焼付け電極層(19,19)と前記めっき層(20,20)
    からなる端子電極(14,14)を形成する工程とを含むサー
    ミスタの製造方法。
  2. 【請求項2】 セラミック焼結体よりなる薄板材(16,5
    6)に所定の間隔をあけて互いに平行に多数の長孔(17)又
    は深溝(57)を形成することにより前記長孔(17)間又は前
    記深溝(57)間に多数の角柱部(18,58)を形成する工程
    と、 前記多数の角柱部(18,58)のコーナ部(18a)を丸み付けす
    る工程と、 前記薄板材(16,56)のうち少なくとも前記多数の角柱部
    (18,58)の全側面に絶縁性無機物層(13)を形成する工程
    と、 前記絶縁性無機物層(13)が形成された角柱部(18,58)を
    この角柱部(18,58)の長手方向に所定の間隔をあけかつ
    前記角柱部(18,58)の長手方向に直交する方向に切断す
    ることによりサーミスタ素体(12)を形成する工程と、 前記サーミスタ素体(12)の両端面を含む両端部に焼付け
    電極層(19,19)を形成する工程と、 前記焼付け電極層(19,19)の表面にめっき層(20,20)を形
    成して前記焼付け電極層(19,19)と前記めっき層(20,20)
    からなる端子電極(14,14)を形成する工程とを含むサー
    ミスタの製造方法。
  3. 【請求項3】 絶縁性無機物粉末を含む懸濁液(62)に薄
    板材(16,56)を陽極とし対向電極(63,63)を陰極として浸
    漬し、前記薄板材(16,56)と前記対向電極(63,63)とに所
    定の電圧を印加して前記薄板材(16,56)の少なくとも多
    数の角柱部(18,58)の全側面に前記絶縁性無機物粉末を
    付着させて焼付け、少なくとも前記多数の角柱部(18,5
    8)の全側面に絶縁性無機物層(13)を形成する請求項1又
    は2記載のサーミスタの製造方法。
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