JP3221946B2 - 真空成形用プレート - Google Patents

真空成形用プレート

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広宣 明楽
博志 加計
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、曲げ弾性率、表面平滑
性の優れた真空成形用プレートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塩化ビニル系樹脂の真空成形
用プレートは、真空成形性能に優れているばかりでな
く、耐衝撃性、耐候性、耐水性等多くの優れた特徴を有
していることにより、幅広い用途に使用されている。
【0003】上記真空成形用プレートとしては、塩化ビ
ニル樹脂、アクリルゴム系強化剤及びアクリルゴム系加
工助剤からなる組成物(特開昭60−161449号公
報)が開示されている。
【0004】しかしながら、上記組成物から真空成形性
に優れたプレートを得るには、組成物に多量のアクリル
系強化剤及びアクリル系加工助剤を添加する必要があ
り、得られたプレートは曲げ弾性率が低くなるという問
題点があった。
【0005】また、多量の添加により組成物は溶融状態
で高粘度となり、成形性が悪くなるので、押出成形され
たプレートの表面平滑性が阻害されるという問題点があ
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みてなされたものであり、その目的は、曲げ弾性
率、耐衝撃性、真空成形性及び表面平滑性が優れた真空
成形用プレートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明で使用されるアル
キル(メタ)アクリレート重合体は、単独重合体の二次
転移点が−20℃以下のアルキル(メタ)アクリレート
モノマーを主体とし、架橋率が50〜95重量%の重合
体である。
【0008】上記アルキル(メタ)アクリレートモノマ
ーは、二次転移点が−20℃以下であれば特に制限がな
く、このようなアルキル(メタ)アクリレートモノマー
としては、例えば、エチルアクリレート、n−プロピル
アクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルア
クリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オ
クチルメタクリレート、n−デシルメタクリレート、n
−ドデシルメタクリレート等が挙げられ、これらの1種
もしくは2種以上が使用される。
【0009】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
は、必要に応じて、上記アルキル(メタ)アクリレート
モノマーに、該アルキル(メタ)アクリレートモノマー
と共重合可能な他のモノマーが共重合されてもよい。
【0010】上記アルキル(メタ)アクリレートと共重
合可能な他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α
−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;アクリロニ
トリル;二次転移点が−20℃より高いアルキル(メ
タ)アクリレートモノマー等が挙げられ、これらモノマ
ーの1種もしくは2種以上が使用される。
【0011】上記二次転移点が−20℃より高いアルキ
ル(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、メ
チルアクリレート、イソプロピルアクリレート、t−ブ
チルアクリレート、n−テトラデシルアクリレート、n
−ヘキサデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、
エチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、
n−テトラデシルメタクリレート、n−ブチルアクリレ
ート等が挙げられる。
【0012】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
中における他のモノマーの含有量は、多くなると耐衝撃
性が低下するので、10重量%以下が好ましい。
【0013】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
の架橋率は、小さくなると真空成形用プレートの衝撃強
度が不十分となり、大きくなるとプレートの加工性が低
下し表面平滑性が悪くなるので、架橋率は50〜95重
量%に限定される。
【0014】上記架橋率は、アルキル(メタ)アクリレ
ート重合体1gを、30℃のTHF100mlに7時間
溶解し、不溶部分の重量比率を測定することにより求め
られる。
【0015】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
を架橋するには、多官能モノマーを反応させるのが好ま
しく、このような多官能モノマーとしては、例えば、エ
チレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコー
ルジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレ
ート、エチレングリコールジメタクリレート、ジアリル
フタレート、ジアリルマレート等が挙げられる。
【0016】本発明において、架橋されたアルキル(メ
タ)アクリレート重合体を得る方法としては、特に限定
されるものではなく、例えば、乳化重合法、懸濁重合法
等が挙げられるが、乳化重合法が好ましい。
【0017】上記乳化重合時に用いられる添加剤は、特
に制限がなく、例えば、分散乳化剤、重合開始剤、pH
調整剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0018】上記分散乳化剤としては、例えば、アニオ
ン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポ
リビニルアルコール、セルロース系分散剤、ゼラチン等
が挙げられ、重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリ
ウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素水等の水溶性重
合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド等の油溶性重合開始剤等が挙げられる。
【0019】本発明で用いられるグラフト重合体は、上
記アルキル(メタ)アクリレート重合体に塩化ビニルモ
ノマーがグラフト重合されている重合体である。
【0020】一般に、塩化ビニル単独重合体が真空成形
用に用いられる場合は、その粘度平均重合度は600〜
1400が好ましい。従って、塩化ビニルモノマーをグ
ラフト重合する際には、塩化ビニル単独重合体から作成
した粘度平均重合度の検量線を用い、粘度平均重合が6
00〜1400となるような条件で重合することが好ま
しい。
【0021】上記塩化ビニルモノマーには、塩化ビニル
の特性を損なわない範囲で、塩化ビニルモノマーと共に
塩化ビニル以外の単量体が共重合されていてもよく、こ
のような単量体としては、例えば、エチレン、プロピレ
ン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、ステアリン酸ビ
ニル等のビニルエステル類;N−フェニルマレイミド、
N−シクロヘキシルマレイミド等のN置換マレイミド
類;塩化ビニリデン等が挙げられ、これらの1種又は2
種以上が使用される。
【0022】上記塩化ビニルモノマーと塩化ビニル以外
の単量体との共重合体中、該単量体の含有量は20重量
%以下が好ましい。
【0023】本発明において、前記グラフト重合体中の
アルキル(メタ)アクリレート重合体の量は、少なくな
ると得られたプレートの衝撃強度が不十分となり、多く
なるとプレートの曲げ弾性率が低下するので、アルキル
(メタ)アクリレート重合体は4〜30重量%に限定さ
れ、好ましくは6〜20重量%である。
【0024】上記アルキル(メタ)アクリレート重合体
に塩化ビニルをグラフト重合する重合法としては、例え
ば、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法等いずれも使
用可能であるが、懸濁重合法が好ましい。
【0025】上記懸濁重合法では、分散乳化剤として、
例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性
剤、部分ケン化ポリビニルアルコール、セルロース系分
散剤等が挙げられ、重合開始剤としては、例えば、ベン
ゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2
−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオ
キサイド類;2,2−アゾビスイソブチロニトリル、
2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等
のアゾ化合物等が挙げられる。
【0026】上記懸濁重合法では、さらに必要に応じ
て、pH調整剤、重合度調整剤、酸化防止剤等を添加し
てもよい。
【0027】本発明で用いられるアクリル系加工助剤
は、メタクリル酸メチル単独重合体もしくはメタクリル
酸メチルと他の単量体との共重合体である。上記アクリ
ル系加工助剤の市販品としては、例えば、三菱レーヨン
社製「メタブレンP−551A」、「メタブレンP−5
30A」、「メタブレンP−501A」、ロームアンド
ハース社製「アクリロイドK−175」、「アクリロイ
ドK−120ND」、「アクリロイドK−120N」、
「アクリロイドK−125」等が挙げられる。
【0028】本発明において、上記アクリル系加工助剤
の分子量は小さくなると得られたプレートの真空成形性
が悪くなり、多くなるとプレートの表面平滑性が低下す
るので、分子量は重量平均分子量で100万〜500万
に限定される。
【0029】本発明で使用される樹脂組成物は、前記グ
ラフト重合体と上記アクリル系加工助剤を含有する。上
記樹脂組成物中、アクリル系加工助剤の使用量は少なく
なるとプレートの真空成形性が悪くなり、多くなるとプ
レートの表面平滑性が低下するので、グラフト重合体1
00重量部に対してアクリル系加工助剤は2〜15重量
部に限定され、好ましくは3〜12重量部である。
【0030】上記樹脂組成物には、必要に応じて、熱安
定剤、安定化助剤、滑剤、加工助剤、酸化防止剤、紫外
線吸収剤、光安定剤 充填剤、顔料等が添加されてもよ
い。
【0031】上記熱安定剤としては、例えば、ジブチル
錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メ
ルカプト、ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポ
リマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレート
ポリマー、ジブチル錫ラウレート等の有機錫安定剤;三
塩基性硫酸鉛、二塩基性亜燐酸鉛、ステアリン酸鉛等の
鉛系安定剤;カルシウム−亜鉛系安定剤;バリウム−亜
鉛系安定剤;バリウム−カドミウム系安定剤等が挙げら
れる。
【0032】上記安定化助剤としては、例えば、エポキ
シ化大豆油、リン酸エステル等が挙げられ、上記滑剤と
しては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワ
ックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ステア
リン酸ブチル等が挙げられる。
【0033】上記加工助剤としては、例えば、重量平均
分子量100万未満のアクリル系加工助剤が挙げられ、
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、タルク
等の充填剤等が挙げられる。
【0034】また、上記樹脂組成物には、プレートの加
工性を向上させるために、少量のジ−2−エチルヘキシ
ルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘ
キシルアジペート等の可塑剤が添加されてもよい。
【0035】上記樹脂組成物を混合する方法としては、
ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方
法等いずれの方法でもよく、プレート成形法としては、
押出成形法、カレンダー成形法、プレス成形法などが挙
げられる。
【0036】
【実施例】次に、この発明の実施例を説明する。 (実施例1〜3、比較例1〜6)表1に示した組成の塩
化ビニルグラフト重合体100重量部に、表1に示した
所定量のアクリル系加工助剤(三菱レーヨン社製「メタ
ブレン」)、添加剤としてジブチル錫マレートポリマー
(三共有機合成社製「BM(N)」)0.5重量部、ジ
ブチル錫メルカプト(三共有機合成社製「JF−10
B」)2.5重量部、ステアリン酸(川研ファインケイ
ミカル社製「F−3」)1.5重量部、ポリエチレンワ
ックス(三井石油化学社製「4202E」)0.5重量
部及びステアリン酸カルシウム(堺化学社製「SC−1
00」)0.5重量部からなる樹脂組成物を均一に混合
した後、50mm二軸押出機にて樹脂温度190℃、押
出量50kg/hrで3mmの厚さの真空成形用プレー
トを押出成形した。この真空成形用プレートを試料とし
て、下記物性を測定しその結果を表1に示した。
【0037】(1)アイゾット衝撃強度 JIS K7110に準拠して測定した。 (2)真空成形性 真空成形機(布施真空社製)を使用して、加工温度21
0℃で500×500×3mmの真空成形用プレートを
高さ90mm、直径180mmの円柱形金型を用いて真
空成形し、得られた成形体を次の基準により評価した。 ○:金型通りの寸法が得られた、△:コーナー部の寸法
が不十分、×:金型通りの形状が得られなかった。 (3)表面平滑性 プレート表面を目視観察により、次の基準に従って評価
した。 ○:表面の荒れがない、△:表面の荒れが少しある、
×:表面の荒れが多くある。 (4)曲げ弾性率 JIS K7203に準拠して測定した。
【0038】(比較例7)粘度平均重合度800の塩化
ビニル単独重合体100重量部に、アクリルゴム系強化
剤(ロームアンドハース社製「KM−334」)12重
量部及び重量平均分子量3.1×106 のアクリル加工
助剤(三菱レーヨン社製「メタブレンP530A」)5
重量部に、実施例1と同様の添加剤を加えた樹脂組成物
より、実施例1と同様にして真空成形用プレートを押出
成形した。得られたプレートにつき、実施例1と同様に
して物性を測定し、その結果を表1に示した。
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明の真空成形用プレートは、以上述
べた通りであり、真空成形性、耐衝撃性、曲げ弾性率、
表面平滑性に優れており、建材部品、車両用部品、オー
ディオ・通信機器及びOA機器等のハウジングに好適に
使用される。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−89243(JP,A) 特開 昭62−132910(JP,A) 特開 平6−157862(JP,A) 特開 昭60−161449(JP,A) 特開 平5−320462(JP,A) 特開 平6−41328(JP,A) 特開 平5−132600(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 51/00 C08J 5/18 B29C 51/10 C08L 33/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単独重合体の二次転移点が−20℃以下で
    あるアルキル(メタ)アクリレートモノマーを主体と
    し、架橋率が50〜95重量%であるアルキル(メタ)
    アクリレート重合体4〜30重量%に、塩化ビニルモノ
    マー96〜70重量%がグラフト重合されているグラフ
    ト重合体100重量部と、重量平均分子量100万〜5
    00万のアクリル系加工助剤2〜15重量部からなる樹
    脂組成物から形成されていることを特徴とする真空成形
    用プレート。
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JP7107756B2 (ja) * 2018-06-05 2022-07-27 ポリプラ・エボニック株式会社 シート及びシートの製造方法

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