JP3218887B2 - 陰極線管表示装置 - Google Patents
陰極線管表示装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は陰極線管を用いた画像表
示装置に係り、特に、陰極線管の表示面から正面に放射
される交番電界を抑制する機構を有する陰極線管表示装
置に関する。
示装置に係り、特に、陰極線管の表示面から正面に放射
される交番電界を抑制する機構を有する陰極線管表示装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】陰極線管表示装置は高周波信号処理回
路、電子ビームの偏向磁界発生回路、高電圧発生回路な
どから構成されている。このため、不要な電波、磁界、
電界などが放射され可能性があるため、これらの不要輻
射を抑制する各種の規制が世界各国で加えられている。
画像表示装置から放射される交番電界(不要輻射電界)
は、周波数帯によって2種類に分類されており、周波数
が2kHzから400kHzの交番電界はVLEF(Very L
ow Frequency Electric Field)、周波数が5Hzから
2kHzの交番電界はELEF(Extremely Low Frequency
Electric Field)と呼ばれている。
路、電子ビームの偏向磁界発生回路、高電圧発生回路な
どから構成されている。このため、不要な電波、磁界、
電界などが放射され可能性があるため、これらの不要輻
射を抑制する各種の規制が世界各国で加えられている。
画像表示装置から放射される交番電界(不要輻射電界)
は、周波数帯によって2種類に分類されており、周波数
が2kHzから400kHzの交番電界はVLEF(Very L
ow Frequency Electric Field)、周波数が5Hzから
2kHzの交番電界はELEF(Extremely Low Frequency
Electric Field)と呼ばれている。
【0003】画像表示装置からの不要輻射電界に関する
規格として、例えば、1990年にスウェーデンで制定
されたMPRー2が広く知られている。その後、MPR
−2規格を厳しく強化したTCOガイドラインが制定さ
れ、交番電界の抑制効果を今以上に改善する必要性が増
大している。TCOガイドラインでは2kHzから40
0kHz帯のVLEFに関して電界値1.0[V/m]以下
(表示装置の正面30cm及び周囲50cm)、5Hz
から2kHz帯のELEFに関して電界値10[V/m]以
下(表示装置の正面30cmのみ)となっている。
規格として、例えば、1990年にスウェーデンで制定
されたMPRー2が広く知られている。その後、MPR
−2規格を厳しく強化したTCOガイドラインが制定さ
れ、交番電界の抑制効果を今以上に改善する必要性が増
大している。TCOガイドラインでは2kHzから40
0kHz帯のVLEFに関して電界値1.0[V/m]以下
(表示装置の正面30cm及び周囲50cm)、5Hz
から2kHz帯のELEFに関して電界値10[V/m]以
下(表示装置の正面30cmのみ)となっている。
【0004】陰極線管表示装置の場合には画像表示面
(正面)を除いた部分は、金属板等による静電シールド
により、比較的簡単に交番電界値を規制値以下に抑制で
きる。しかし、陰極線管の正面は画像を表示するため、
不透明な金属板を用いてシールドすることはできない。
そこで、特開平5ー283020号公報に記載されてい
るように、陰極線管のファンネル部からネック部に導電
性膜を形成し、導電性膜を電気的に接地することにより
偏向ヨークから放出される交番電界をシールドして、陰
極線管表示装置から放射される交番電界VLEFを抑制する
ものがある。
(正面)を除いた部分は、金属板等による静電シールド
により、比較的簡単に交番電界値を規制値以下に抑制で
きる。しかし、陰極線管の正面は画像を表示するため、
不透明な金属板を用いてシールドすることはできない。
そこで、特開平5ー283020号公報に記載されてい
るように、陰極線管のファンネル部からネック部に導電
性膜を形成し、導電性膜を電気的に接地することにより
偏向ヨークから放出される交番電界をシールドして、陰
極線管表示装置から放射される交番電界VLEFを抑制する
ものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来技術は交
番電界VLEFの抑制が十分ではなく、発生原因が異なる交
番電界ELEFを効果的に抑制できない問題があった。すな
わち、交番電界ELEFは高圧回路から陰極線管に供給され
る直流の高電圧が再生する画像内容によりビーム電流が
変化し、動的な電圧変動を生じることが原因となって発
生する交番電界であり、従来技術の対策は十分でなかっ
た。
番電界VLEFの抑制が十分ではなく、発生原因が異なる交
番電界ELEFを効果的に抑制できない問題があった。すな
わち、交番電界ELEFは高圧回路から陰極線管に供給され
る直流の高電圧が再生する画像内容によりビーム電流が
変化し、動的な電圧変動を生じることが原因となって発
生する交番電界であり、従来技術の対策は十分でなかっ
た。
【0006】本発明の目的は陰極線管表示装置の正面か
ら放出されている二種類の交番電界VLEF、ELEFを効果的
に抑制した陰極線管表示装置を提供することにある。
ら放出されている二種類の交番電界VLEF、ELEFを効果的
に抑制した陰極線管表示装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の、本発明に係る陰極線管表示装置は、高圧及び水平周
期のパルス電圧を出力する高圧−偏向回路(20)と、該高
圧−偏向回路(20)からの高圧が供給される内層導電膜(1
3)が内面に形成され、かつ接地のための外装黒鉛膜(5)
が外壁面に形成された陰極線管(1)と、該陰極線管(1)の
ネック部(7)に設けられた電子銃により発生する電子ビ
ームを、前記高圧−偏向回路(20)からのパルス電圧を用
いて偏向する水平偏向コイルを含む偏向ヨーク(6)とを
具備する陰極線管表示装置において、前記陰極線管(1)
の外壁面に、前記外装黒鉛膜(5)と電気的に分離された
キャンセル電極(8)を設け、該キャンセル電極(8)に、前
記高圧−偏向回路(20)から出力される前記パルス電圧と
逆極性の逆パルス電圧を供給し、かつ前記パルス電圧の
振幅をV0、前記逆パルス電圧の振幅をV1、前記偏向
ヨーク(6)の水平偏向コイルと前記内層導電膜(13)との
間の静電容量をC0、前記キャンセル電極(8)と前記内
層導電膜(13)との間の静電容量をC1としたとき、V0
×C0>V1×C1を満足するように構成したことを特
徴とするものである。
の、本発明に係る陰極線管表示装置は、高圧及び水平周
期のパルス電圧を出力する高圧−偏向回路(20)と、該高
圧−偏向回路(20)からの高圧が供給される内層導電膜(1
3)が内面に形成され、かつ接地のための外装黒鉛膜(5)
が外壁面に形成された陰極線管(1)と、該陰極線管(1)の
ネック部(7)に設けられた電子銃により発生する電子ビ
ームを、前記高圧−偏向回路(20)からのパルス電圧を用
いて偏向する水平偏向コイルを含む偏向ヨーク(6)とを
具備する陰極線管表示装置において、前記陰極線管(1)
の外壁面に、前記外装黒鉛膜(5)と電気的に分離された
キャンセル電極(8)を設け、該キャンセル電極(8)に、前
記高圧−偏向回路(20)から出力される前記パルス電圧と
逆極性の逆パルス電圧を供給し、かつ前記パルス電圧の
振幅をV0、前記逆パルス電圧の振幅をV1、前記偏向
ヨーク(6)の水平偏向コイルと前記内層導電膜(13)との
間の静電容量をC0、前記キャンセル電極(8)と前記内
層導電膜(13)との間の静電容量をC1としたとき、V0
×C0>V1×C1を満足するように構成したことを特
徴とするものである。
【0008】更にフェースプレートの外表面に、単位面
積当たりの抵抗値が1.2×106[Ω/□]以下の透
明導電膜を形成して接地してもよい。
積当たりの抵抗値が1.2×106[Ω/□]以下の透
明導電膜を形成して接地してもよい。
【0009】
【作用】この構成によれば、偏向ヨークに供給されるパ
ルス電圧に起因し、静電結合により陰極線管の内部導電
膜に生じていた交番電圧を、キャンセル電極に印加した
逆パルス電圧によって内装導電膜に発生させたパルス電
圧により互いに打消し合い、内装導電膜に生じていた交
番電圧の振幅を低減させる。従って、内装導電膜に生じ
た動的な電圧変動(交番電圧)に起因した交番電界VLEF
を低減できる。更にフェースプレートの外表面に形成
し、接地した透明導電膜により交番電界ELEFをシールド
することにより、陰極線管表示装置の正面から放出され
ていた二種類の交番電界VLEF及びELEFを効果的に抑制す
る。
ルス電圧に起因し、静電結合により陰極線管の内部導電
膜に生じていた交番電圧を、キャンセル電極に印加した
逆パルス電圧によって内装導電膜に発生させたパルス電
圧により互いに打消し合い、内装導電膜に生じていた交
番電圧の振幅を低減させる。従って、内装導電膜に生じ
た動的な電圧変動(交番電圧)に起因した交番電界VLEF
を低減できる。更にフェースプレートの外表面に形成
し、接地した透明導電膜により交番電界ELEFをシールド
することにより、陰極線管表示装置の正面から放出され
ていた二種類の交番電界VLEF及びELEFを効果的に抑制す
る。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図1は本発明の第1の実施例の陰極線管表示装置
の主要部を側面から示した説明図、図2は陰極線管を後
方から示した説明図、図3は陰極線管装置から放射され
る交番電界の断面図である。
する。図1は本発明の第1の実施例の陰極線管表示装置
の主要部を側面から示した説明図、図2は陰極線管を後
方から示した説明図、図3は陰極線管装置から放射され
る交番電界の断面図である。
【0011】図1において、陰極線管1は大きく分けて
三つのガラス容器からなり、フェースプレート部3、フ
ァンネル部2、ネック部7から構成される。少なくとも
フェースプレート3は透明ガラスの内面に蛍光体(図示
せず)を塗布した蛍光面を具備する。ファンネル部2は
略コーン状のガラス容器であり、少なくとも高圧ー偏向
回路20からの高電圧(以下、高圧またはH.V.と略記す
る)を印加するアノードボタン9、外装黒鉛膜5、キャ
ンセル電極8を具備する。外装黒鉛膜5はファンネル2
のガラス容器外壁の一部に電気的な導電体である黒鉛の
水溶液を塗布、乾燥させたもので、外装黒鉛膜5を電気
的に接地して陰極線管1の陽極に静電容量を付加する。
ネック部7には電子ビームを発生する電子銃(図示せ
ず)を封止しており、少なくとも偏向ヨーク6が外部よ
り装着される。ネック部7に装着した偏向ヨーク6は電
子ビームを水平及び垂直方向に偏向してラスターを得る
ための偏向磁界を発生する水平偏向コイルと垂直偏向コ
イルからなる。なお、フェースプレート3の側面部の周
囲には陰極線管のガラス容器が破損した場合の安全性を
高める金属製バンド(防爆バンド)4を巻き付け、電気
的に接地して使用する。
三つのガラス容器からなり、フェースプレート部3、フ
ァンネル部2、ネック部7から構成される。少なくとも
フェースプレート3は透明ガラスの内面に蛍光体(図示
せず)を塗布した蛍光面を具備する。ファンネル部2は
略コーン状のガラス容器であり、少なくとも高圧ー偏向
回路20からの高電圧(以下、高圧またはH.V.と略記す
る)を印加するアノードボタン9、外装黒鉛膜5、キャ
ンセル電極8を具備する。外装黒鉛膜5はファンネル2
のガラス容器外壁の一部に電気的な導電体である黒鉛の
水溶液を塗布、乾燥させたもので、外装黒鉛膜5を電気
的に接地して陰極線管1の陽極に静電容量を付加する。
ネック部7には電子ビームを発生する電子銃(図示せ
ず)を封止しており、少なくとも偏向ヨーク6が外部よ
り装着される。ネック部7に装着した偏向ヨーク6は電
子ビームを水平及び垂直方向に偏向してラスターを得る
ための偏向磁界を発生する水平偏向コイルと垂直偏向コ
イルからなる。なお、フェースプレート3の側面部の周
囲には陰極線管のガラス容器が破損した場合の安全性を
高める金属製バンド(防爆バンド)4を巻き付け、電気
的に接地して使用する。
【0012】図3(a)に示したように、ファンネル2
の内面には導電性の黒鉛を塗布した内層導電膜13が形
成されており、アノードボタン9を介して高圧‐偏向回
路20の端子T4からの数万[V]の直流電圧が供給さ
る。一方、フェースプレート3の内面には電子ビーム照
射により発光する蛍光体を塗布して蛍光膜11を形成
し、蛍光膜11と内装導電膜13とが同電位となるよう
にアルミニウムを蒸着したメタルバック膜12により電
気的な接続がされる。なお、図には示していないが、カ
ラー陰極線管の場合には蛍光膜11のごく近くに三原色
の色蛍光体を選別するためのシャドウマスク等の色選別
電極が内装導電膜13と同電位となるように具備され
る。端子T4から供給される高圧の変動(リップル)を
低減するために、外装黒鉛膜5は接地され、ファンネル
ガラスを介して内装導電膜13との間に約数千[pF]
の静電容量C5を形成し、高圧回路20の平滑容量とし
て用いる。接地した外装黒鉛膜5と偏向ヨーク6の間に
は本発明の主要部をなすキャンセル電極8を具備してい
る。キャンセル電極8は導電性コーティング膜をファン
ネル2のガラス面の表面に形成したもの、又は粘着剤付
の金属箔(例えば、厚さ35μm程度の銅箔)をガラス
外壁に貼付けたもの、又は水溶性黒鉛を塗布し乾燥させ
たもの等が使用でき、ファンネル部ガラス容器外壁に接
して電極を具備したものである。
の内面には導電性の黒鉛を塗布した内層導電膜13が形
成されており、アノードボタン9を介して高圧‐偏向回
路20の端子T4からの数万[V]の直流電圧が供給さ
る。一方、フェースプレート3の内面には電子ビーム照
射により発光する蛍光体を塗布して蛍光膜11を形成
し、蛍光膜11と内装導電膜13とが同電位となるよう
にアルミニウムを蒸着したメタルバック膜12により電
気的な接続がされる。なお、図には示していないが、カ
ラー陰極線管の場合には蛍光膜11のごく近くに三原色
の色蛍光体を選別するためのシャドウマスク等の色選別
電極が内装導電膜13と同電位となるように具備され
る。端子T4から供給される高圧の変動(リップル)を
低減するために、外装黒鉛膜5は接地され、ファンネル
ガラスを介して内装導電膜13との間に約数千[pF]
の静電容量C5を形成し、高圧回路20の平滑容量とし
て用いる。接地した外装黒鉛膜5と偏向ヨーク6の間に
は本発明の主要部をなすキャンセル電極8を具備してい
る。キャンセル電極8は導電性コーティング膜をファン
ネル2のガラス面の表面に形成したもの、又は粘着剤付
の金属箔(例えば、厚さ35μm程度の銅箔)をガラス
外壁に貼付けたもの、又は水溶性黒鉛を塗布し乾燥させ
たもの等が使用でき、ファンネル部ガラス容器外壁に接
して電極を具備したものである。
【0013】偏向ヨーク6の水平偏向コイルは高圧‐偏
向回路20の端子T1、T2に接続されており、T2か
ら図3(b)に示したような水平周期(以下、H周期と
略記する。その周期は水平偏向周波数fHの逆数)で繰
り返す約一千[Vp-p]のパルス電圧V0が供給されてい
る。パルス電圧V0により水平偏向コイルに水平周期の
鋸歯状電流が生じ、電子ビームを左右に偏向する水平偏
向磁界を発生する。一方、高圧‐偏向回路20の端子T
3には端子T2のパルス電圧V0と相似形かつ、極性が
v0と反転した逆パルス電圧V1を発生させており、電
圧V1をキャンセル電極8に供給する。
向回路20の端子T1、T2に接続されており、T2か
ら図3(b)に示したような水平周期(以下、H周期と
略記する。その周期は水平偏向周波数fHの逆数)で繰
り返す約一千[Vp-p]のパルス電圧V0が供給されてい
る。パルス電圧V0により水平偏向コイルに水平周期の
鋸歯状電流が生じ、電子ビームを左右に偏向する水平偏
向磁界を発生する。一方、高圧‐偏向回路20の端子T
3には端子T2のパルス電圧V0と相似形かつ、極性が
v0と反転した逆パルス電圧V1を発生させており、電
圧V1をキャンセル電極8に供給する。
【0014】ここで、陰極線管装置1が動作している時
に放射される交番電界を解析し、その発生機構を明らか
にしたので、そのメカニズムを説明する。交番電界の発
生原因の主なものは、陰極線管の内層導電膜13に生じ
た動的な電圧変動(交番電圧)に起因しており、陰極線
管装置1が動作している時には二種類の交番電界VLEF1
00とELEF200がフェースプレート3のガラス面を介
して前方に放射されている。更に、図3、図4を用い
て、交番電界VLEF100とELEF200の発生要因と本発
明の対策方法を詳細に説明する。
に放射される交番電界を解析し、その発生機構を明らか
にしたので、そのメカニズムを説明する。交番電界の発
生原因の主なものは、陰極線管の内層導電膜13に生じ
た動的な電圧変動(交番電圧)に起因しており、陰極線
管装置1が動作している時には二種類の交番電界VLEF1
00とELEF200がフェースプレート3のガラス面を介
して前方に放射されている。更に、図3、図4を用い
て、交番電界VLEF100とELEF200の発生要因と本発
明の対策方法を詳細に説明する。
【0015】周波数帯域が2kHzから400kHz帯
のVLEF100は偏向ヨーク6に供給したパルス電圧V0
に起因して生じるH周期の交番電界である。一方、周波
数帯域が5Hzから2kHz帯のELEF200は映像信号
の内容に応じて陰極線管1の電子銃から放射される電子
ビーム量が変化し、陰極線管1の陽極に供給するH.V.が
垂直周期(以下、V周期と略記する。その周期は垂直偏
向周波数fvの逆数)の動的な電圧変動(ΔHVと略記す
る)を生じることに起因して生じる交番電界である。
のVLEF100は偏向ヨーク6に供給したパルス電圧V0
に起因して生じるH周期の交番電界である。一方、周波
数帯域が5Hzから2kHz帯のELEF200は映像信号
の内容に応じて陰極線管1の電子銃から放射される電子
ビーム量が変化し、陰極線管1の陽極に供給するH.V.が
垂直周期(以下、V周期と略記する。その周期は垂直偏
向周波数fvの逆数)の動的な電圧変動(ΔHVと略記す
る)を生じることに起因して生じる交番電界である。
【0016】はじめに、VLEF100がフェースプレート
3から放射されるメカニズムと交番電界VLEF100を抑
制する原理を詳しく説明する。偏向ヨーク6の水平偏向
コイルと内装導電膜13間の静電結合(図3(a)には
分布容量を等価的な静電容量C0と表した)により、端
子T2から供給されたパルス電圧V0と相似なパルス電
圧v01が内装導電膜13に発生する。
3から放射されるメカニズムと交番電界VLEF100を抑
制する原理を詳しく説明する。偏向ヨーク6の水平偏向
コイルと内装導電膜13間の静電結合(図3(a)には
分布容量を等価的な静電容量C0と表した)により、端
子T2から供給されたパルス電圧V0と相似なパルス電
圧v01が内装導電膜13に発生する。
【0017】同様に、キャンセル電極8と内装導電膜間
13間の静電結合(図3(a)には等価的な静電容量を
C1と表した)により、内装導電膜間13には端子T3
からキャンセル電極8に供給した逆パルス電圧V1と相
似なパルス電圧v11を生じる。図4は静電容量C0、
C1などの接続状態を説明する等価回路であり、C5は
外装黒鉛膜5と内装導電膜13間の静電容量、R5は外
装黒鉛膜5の抵抗、C10はフェースプレート3の表面
に形成した透明導電膜10と内装導電膜13間の静電容
量、R10は透明導電膜10の抵抗である。なお、C2
0、R20は高圧ー偏向回路20のFBT(フライバッ
ク・トランス)の内部容量と保護抵抗を表す。
13間の静電結合(図3(a)には等価的な静電容量を
C1と表した)により、内装導電膜間13には端子T3
からキャンセル電極8に供給した逆パルス電圧V1と相
似なパルス電圧v11を生じる。図4は静電容量C0、
C1などの接続状態を説明する等価回路であり、C5は
外装黒鉛膜5と内装導電膜13間の静電容量、R5は外
装黒鉛膜5の抵抗、C10はフェースプレート3の表面
に形成した透明導電膜10と内装導電膜13間の静電容
量、R10は透明導電膜10の抵抗である。なお、C2
0、R20は高圧ー偏向回路20のFBT(フライバッ
ク・トランス)の内部容量と保護抵抗を表す。
【0018】内装導電膜13(図4に示した等価回路の
P点)に動的な電圧変化(交番電圧)を生じると、交番
電圧は容量C10を介してフェースプレート3の表面に
形成した透明導電膜10(図4のQ点)に生じる。Q点
に生じる交番電圧は静電容量C10と抵抗R10のイン
ピーダンス分割の比率に応じた電圧振幅を透明導電膜1
0に発生し、フェースプレート3の前方に交番電界VLEF
100、ELEF200を放射する。従って、もしも透明導
電膜10の抵抗値R10を十分に小さくでき、シ−ルド
効果を大きくできければ、Q点に発生する交番電圧が小
さくなり、交番電界を小さな値に抑制できる。
P点)に動的な電圧変化(交番電圧)を生じると、交番
電圧は容量C10を介してフェースプレート3の表面に
形成した透明導電膜10(図4のQ点)に生じる。Q点
に生じる交番電圧は静電容量C10と抵抗R10のイン
ピーダンス分割の比率に応じた電圧振幅を透明導電膜1
0に発生し、フェースプレート3の前方に交番電界VLEF
100、ELEF200を放射する。従って、もしも透明導
電膜10の抵抗値R10を十分に小さくでき、シ−ルド
効果を大きくできければ、Q点に発生する交番電圧が小
さくなり、交番電界を小さな値に抑制できる。
【0019】ところで前述のように、交番電界VLEF10
0の発生原因は静電容量C0の存在により端子T2に供
給されたパルス電圧V0と相似な交番電圧v01が内装
導電膜13に発生するためである。図5(a)に示すよ
うに交番電圧v01は図4のP点においてP点とアース
間の合成インピーダンスをZ00、C0のインピーダン
スをZ0とすると、P点の電圧は下式で示され、z00
≪z0であるから数1で近似される。
0の発生原因は静電容量C0の存在により端子T2に供
給されたパルス電圧V0と相似な交番電圧v01が内装
導電膜13に発生するためである。図5(a)に示すよ
うに交番電圧v01は図4のP点においてP点とアース
間の合成インピーダンスをZ00、C0のインピーダン
スをZ0とすると、P点の電圧は下式で示され、z00
≪z0であるから数1で近似される。
【0020】〔数1〕 v01=(Z00×V0)/(Z00+Z0) ≒(Z00×V0)/Z0 ∝(C0×V0) (数1) 数1から、発生電圧v01の振幅は水平偏向コイルの静
電容量C0と水平偏向コイルに供給するパルス電圧V0
の積(C0×V0)に比例することがわかる。
電容量C0と水平偏向コイルに供給するパルス電圧V0
の積(C0×V0)に比例することがわかる。
【0021】同様にキャンセル電極8の静電容量C1に
より、電極に印加した逆パルス電圧V1と相似な交番電
圧v11が内装導電膜13に発生する。図5(b)に示
すように交番電圧v11は図4のP点においてP点とア
ース間の合成インピーダンスをZ11、C1のインピー
ダンスをZ1とすると、P点の電圧はz11≪z1であ
るから数2で近似される。
より、電極に印加した逆パルス電圧V1と相似な交番電
圧v11が内装導電膜13に発生する。図5(b)に示
すように交番電圧v11は図4のP点においてP点とア
ース間の合成インピーダンスをZ11、C1のインピー
ダンスをZ1とすると、P点の電圧はz11≪z1であ
るから数2で近似される。
【0022】〔数2〕 v11=(Z11×V1)/(Z11+Z1) ≒(Z11×V1)/Z1 ∝(C1×V1) (数2) 数2から、発生した電圧v11の振幅はキャンセル電極
の静電容量C1と逆パルス電圧V1の積(C1×V1)
に比例することがわかる。
の静電容量C1と逆パルス電圧V1の積(C1×V1)
に比例することがわかる。
【0023】逆パルス電圧V1と相似なパルス電圧v1
1を内装導電膜13に誘起することにより、内装導電膜
13に生じていた交番電圧v01は極性が反転した交番
電圧v11と互いに打消し合う。図6はキャンセル電極
8の面積を変え、電極の静電容量C1をパラメータにし
て逆パルス電圧を変化させた時の内装導電膜13の交番
電圧Δv13(=v01−v11)の振幅を測定したも
のである。各キャンセル電極8の静電容量値に応じて逆
パルス電圧値を最適に設定することにより、VLEF100
の発生源となる交番電圧Δv13を零にできる。図7は
陰極線管装置1の正面、管面から30cmの距離に交番
電界測定器(例えば、スウェーデンのCombinova社EFM20
0)を設置してVLEFを測定した結果である。管面から放
射される交番電界VLEFと内装導電膜13における交番電
圧Δv13は一対一の対応があり、交番電圧Δv13を
ほぼ零とすることにより交番電界VLEF100を対策前の
4.3[V/m]から対策後の0.8〜0.5[V/
m]に低減できることを実験により確認している。すな
わち、本発明により、キャンセル電極8の静電容量c1
と逆パルス電圧V1を適宜設定することによりVLEFの交
番電界値をTCOガイドライン(≦1[V/m])以下
にでき、不要輻射電界の人体への影響が問題とならない
レベルに改善できる。
1を内装導電膜13に誘起することにより、内装導電膜
13に生じていた交番電圧v01は極性が反転した交番
電圧v11と互いに打消し合う。図6はキャンセル電極
8の面積を変え、電極の静電容量C1をパラメータにし
て逆パルス電圧を変化させた時の内装導電膜13の交番
電圧Δv13(=v01−v11)の振幅を測定したも
のである。各キャンセル電極8の静電容量値に応じて逆
パルス電圧値を最適に設定することにより、VLEF100
の発生源となる交番電圧Δv13を零にできる。図7は
陰極線管装置1の正面、管面から30cmの距離に交番
電界測定器(例えば、スウェーデンのCombinova社EFM20
0)を設置してVLEFを測定した結果である。管面から放
射される交番電界VLEFと内装導電膜13における交番電
圧Δv13は一対一の対応があり、交番電圧Δv13を
ほぼ零とすることにより交番電界VLEF100を対策前の
4.3[V/m]から対策後の0.8〜0.5[V/
m]に低減できることを実験により確認している。すな
わち、本発明により、キャンセル電極8の静電容量c1
と逆パルス電圧V1を適宜設定することによりVLEFの交
番電界値をTCOガイドライン(≦1[V/m])以下
にでき、不要輻射電界の人体への影響が問題とならない
レベルに改善できる。
【0024】ところで、C0、V0、C1、V1の関係
を種々な値に設定して実験を行なった結果、(V0×C
0)の電圧値が(V1×C1)の電圧値より必ず大きい
ことが判明した。また、Kを定数として数3に示した関
係式において、 〔数3〕 K×(V0×C0)=(V1×C1) (数3) 定数Kの値は実験に使用した偏向ヨーク6の水平偏向コ
イルの巻線仕様により異なっていた。表1は仕様の異な
る3種類の偏向ヨーク#1、#2及び#3に関して、定
数Kの値を実験結果から算出したもので、Kは0.1か
ら0.9の範囲であった。なお、図6、図7に示したデ
ータの偏向ヨーク#2の定数Kは約0.5であった。
を種々な値に設定して実験を行なった結果、(V0×C
0)の電圧値が(V1×C1)の電圧値より必ず大きい
ことが判明した。また、Kを定数として数3に示した関
係式において、 〔数3〕 K×(V0×C0)=(V1×C1) (数3) 定数Kの値は実験に使用した偏向ヨーク6の水平偏向コ
イルの巻線仕様により異なっていた。表1は仕様の異な
る3種類の偏向ヨーク#1、#2及び#3に関して、定
数Kの値を実験結果から算出したもので、Kは0.1か
ら0.9の範囲であった。なお、図6、図7に示したデ
ータの偏向ヨーク#2の定数Kは約0.5であった。
【0025】
【表1】
【0026】また、キャンセル電極8の静電容量C1は
電極面積の大小によって設定でき、電極形状、電極を設
置する位置には余り関係しない。従って、電極の形状、
設置位置は図1に示したものに限定されるものではな
く、例えば図8に示したように外装黒鉛膜13の無い領
域に任意な形状のキャンセル電極88を配置できる。
電極面積の大小によって設定でき、電極形状、電極を設
置する位置には余り関係しない。従って、電極の形状、
設置位置は図1に示したものに限定されるものではな
く、例えば図8に示したように外装黒鉛膜13の無い領
域に任意な形状のキャンセル電極88を配置できる。
【0027】ところで、外装黒鉛膜5の面積を可能な限
り小さくして、キャンセル電極8の面積を大きく(C1
を大きく)設定すれば、小さな逆パルス電圧で交番電界
VLEFを抑制できる。逆にキャンセル電極6の面積を小さ
く(C1を小さく)設定すれば、交番電界VLEFを抑制す
るには大きな逆パルス電圧を要する。表2は表1に示し
た偏向ヨーク#2を用い、キャンセル電極6の面積を変
えた時に必要な逆パルス電圧V1及び静電容量C0とC
1の比R=C1/C0を実験結果から算出したものであ
る。比Rの値はほぼ0.5から15の間にあることがわ
かる。
り小さくして、キャンセル電極8の面積を大きく(C1
を大きく)設定すれば、小さな逆パルス電圧で交番電界
VLEFを抑制できる。逆にキャンセル電極6の面積を小さ
く(C1を小さく)設定すれば、交番電界VLEFを抑制す
るには大きな逆パルス電圧を要する。表2は表1に示し
た偏向ヨーク#2を用い、キャンセル電極6の面積を変
えた時に必要な逆パルス電圧V1及び静電容量C0とC
1の比R=C1/C0を実験結果から算出したものであ
る。比Rの値はほぼ0.5から15の間にあることがわ
かる。
【0028】
【表2】
【0029】一方、交番電界VLEF100の発生源となる
内装導電膜13の交番電圧v01は数1に示したように
静電容量C0に比例する。従って、C0を低減できれ
ば、VLEFを抑制するのに必要なキャンセル電極容量C
1、又は逆パルス電圧V1を小さくできるので、本発明
を実施する上での利点となる。ところで、平行平板コン
デンサの静電容量Cは数4で表されることが知られてい
る。
内装導電膜13の交番電圧v01は数1に示したように
静電容量C0に比例する。従って、C0を低減できれ
ば、VLEFを抑制するのに必要なキャンセル電極容量C
1、又は逆パルス電圧V1を小さくできるので、本発明
を実施する上での利点となる。ところで、平行平板コン
デンサの静電容量Cは数4で表されることが知られてい
る。
【0030】〔数4〕 C=εS/d (数4) ここに、εは平行平板間の誘電率 Sは平行平板の面積 dは平行平板間の距離 数4から、静電容量Cを低減するにはεとSを小さく、
反対にdを大きくすればよい。これを水平偏向コイルの
静電容量C0に適用し、偏向ヨ−クと対向する部分のガ
ラス容器材として、例えばよく用いられる鉛アルカリガ
ラス(誘電率ε≒8.3)から誘電率εが8以下のホウ
ケイ酸ガラス(誘電率≒5)等を用いる。又は、水平偏
向コイルに対向する内装導電膜13をメッシュ状等に
し、その一部を欠くようにして等価的な面積Sを低減す
る。又は、水平偏向コイルと対向する部分のガラス容器
厚を容器の内面側に大きくすることによりdを増大させ
る。これらを単独又は併用する事により静電容量C0を
90[pF]以下にでき、キャンセル電極の面積、逆パ
ルス電圧値も耐電圧上問題のない実用的な値で交番電界
VLEFを抑制できることを確認している。
反対にdを大きくすればよい。これを水平偏向コイルの
静電容量C0に適用し、偏向ヨ−クと対向する部分のガ
ラス容器材として、例えばよく用いられる鉛アルカリガ
ラス(誘電率ε≒8.3)から誘電率εが8以下のホウ
ケイ酸ガラス(誘電率≒5)等を用いる。又は、水平偏
向コイルに対向する内装導電膜13をメッシュ状等に
し、その一部を欠くようにして等価的な面積Sを低減す
る。又は、水平偏向コイルと対向する部分のガラス容器
厚を容器の内面側に大きくすることによりdを増大させ
る。これらを単独又は併用する事により静電容量C0を
90[pF]以下にでき、キャンセル電極の面積、逆パ
ルス電圧値も耐電圧上問題のない実用的な値で交番電界
VLEFを抑制できることを確認している。
【0031】キャンセル電極8に供給する逆パルス電圧
V1の発生手段の1例を図9に示す。図9(a)、
(b)、(c)は各々偏向ヨーク6の側面図、正面図及
び磁性体コアの磁束の説明図である。偏向ヨーク6は磁
性体コア60の内面に垂直偏向コイル61、水平偏向コ
イル62を設ける。更に本発明では水平偏向コイル62
が発生する磁束63を検出する補助巻線64をコア部6
0に具備する。補助巻線64には水平偏向磁界63が鎖
交し、端子T3’には逆パルス電圧V1’が得られる。
逆パルス電圧V1’は端子T2に供給されるパルス電圧
V0と極性が反転したパルス電圧であり、前述の逆パル
ス電圧v1と同様に交番電界VLEFの抑制に使用できるこ
とは説明するまでもない。別の実施例では偏向ヨーク6
にパルス電圧v0を印加する端子T2から検出したパル
ス電圧を所定な振幅に減衰後、反転したパルス電圧を逆
パルス電圧V1”としてキャンセル電極8に供給し、交
番電界VLEFの抑制に使用した。
V1の発生手段の1例を図9に示す。図9(a)、
(b)、(c)は各々偏向ヨーク6の側面図、正面図及
び磁性体コアの磁束の説明図である。偏向ヨーク6は磁
性体コア60の内面に垂直偏向コイル61、水平偏向コ
イル62を設ける。更に本発明では水平偏向コイル62
が発生する磁束63を検出する補助巻線64をコア部6
0に具備する。補助巻線64には水平偏向磁界63が鎖
交し、端子T3’には逆パルス電圧V1’が得られる。
逆パルス電圧V1’は端子T2に供給されるパルス電圧
V0と極性が反転したパルス電圧であり、前述の逆パル
ス電圧v1と同様に交番電界VLEFの抑制に使用できるこ
とは説明するまでもない。別の実施例では偏向ヨーク6
にパルス電圧v0を印加する端子T2から検出したパル
ス電圧を所定な振幅に減衰後、反転したパルス電圧を逆
パルス電圧V1”としてキャンセル電極8に供給し、交
番電界VLEFの抑制に使用した。
【0032】一方、周波数帯が5Hzから2kHzの交
番電界ELEF200は、前述の交番電界VLEFとは異なり、
図3(c)に示した高圧の動的な電圧変動であるΔHVが
発生原因である。本発明では交番電界ELEF200を抑制
するために、陰極線管1のフェースプレート3の表面に
抵抗値を最適に設定した透明導電膜10を具備する。透
明導電膜の材料としては酸化インジウムや酸化スズの微
粒子を分散させたもの等が用いられる。更に透明導電膜
10の表面には酸化珪素の薄膜(図3には図示せず)が
成膜され、反射防止膜としての機能を付加している。図
10は陰極線管表示装置1の正面30[cm]の距離に
おいて、透明導電膜10の単位面積当りの抵抗値(単位
[Ω/□])と交番電界ELEFの関係を測定した結果であ
る。TCOガイドラインのELEFの規制値(≦10[V/
m]、正面30cmの距離)を達成するには透明電極の
抵抗値を2×106[Ω/□]以下にすればよい。図1
1は一般的な透明導電膜の抵抗値の周波数特性を示した
ものである。製造コストが高い透明導電膜は二種類の交
番電界ELEF、VLEFの周波数領域において抵抗値が小さ
く、十分に二種類の交番電界をシールドできる。しか
し、この透明導電膜のコストは高いものとなり、ごく一
部の高級機種のみに使用されていた。ところが、製造コ
ストが安い透明導電膜はELEF帯の周波数領域では抵抗値
が小さいが、周波数が高くなると抵抗値が増大し、交番
電界VLEFのシールド効果が低減する欠点がある。この測
定結果を踏まえ、安価な透明導電膜を用い、ELEFの抑制
は透明導電膜のシールド作用で行い、シールド効果が低
減するVLEF帯はのキャンセル電極に逆パルスを供給して
VLEFを抑制する方式とを併用する方法が経済的にも有利
であることを確認している。
番電界ELEF200は、前述の交番電界VLEFとは異なり、
図3(c)に示した高圧の動的な電圧変動であるΔHVが
発生原因である。本発明では交番電界ELEF200を抑制
するために、陰極線管1のフェースプレート3の表面に
抵抗値を最適に設定した透明導電膜10を具備する。透
明導電膜の材料としては酸化インジウムや酸化スズの微
粒子を分散させたもの等が用いられる。更に透明導電膜
10の表面には酸化珪素の薄膜(図3には図示せず)が
成膜され、反射防止膜としての機能を付加している。図
10は陰極線管表示装置1の正面30[cm]の距離に
おいて、透明導電膜10の単位面積当りの抵抗値(単位
[Ω/□])と交番電界ELEFの関係を測定した結果であ
る。TCOガイドラインのELEFの規制値(≦10[V/
m]、正面30cmの距離)を達成するには透明電極の
抵抗値を2×106[Ω/□]以下にすればよい。図1
1は一般的な透明導電膜の抵抗値の周波数特性を示した
ものである。製造コストが高い透明導電膜は二種類の交
番電界ELEF、VLEFの周波数領域において抵抗値が小さ
く、十分に二種類の交番電界をシールドできる。しか
し、この透明導電膜のコストは高いものとなり、ごく一
部の高級機種のみに使用されていた。ところが、製造コ
ストが安い透明導電膜はELEF帯の周波数領域では抵抗値
が小さいが、周波数が高くなると抵抗値が増大し、交番
電界VLEFのシールド効果が低減する欠点がある。この測
定結果を踏まえ、安価な透明導電膜を用い、ELEFの抑制
は透明導電膜のシールド作用で行い、シールド効果が低
減するVLEF帯はのキャンセル電極に逆パルスを供給して
VLEFを抑制する方式とを併用する方法が経済的にも有利
であることを確認している。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、陰極線管のフェースプ
レートから正面に放出されている二種類の交番電界VLE
F、ELEFのうち、VLEFは陰極線管の外装黒鉛膜のないフ
ァンネル部のガラス容器外壁に接して設けたキャンセル
電極に逆パルス電圧を供給し管内に誘起した交番電圧を
互いに打消し合うことによって抑制し、またELEFは陰極
線管のフェースプレートの表面に形成した透明導電膜の
抵抗値を最適に設定して抑制することにより、二種類の
交番電界を規制値以下に抑制できる効果がある。
レートから正面に放出されている二種類の交番電界VLE
F、ELEFのうち、VLEFは陰極線管の外装黒鉛膜のないフ
ァンネル部のガラス容器外壁に接して設けたキャンセル
電極に逆パルス電圧を供給し管内に誘起した交番電圧を
互いに打消し合うことによって抑制し、またELEFは陰極
線管のフェースプレートの表面に形成した透明導電膜の
抵抗値を最適に設定して抑制することにより、二種類の
交番電界を規制値以下に抑制できる効果がある。
【図1】本発明の一実施例による陰極線管表示装置の構
成を示す説明図。
成を示す説明図。
【図2】図1の陰極線管をネック側から示した説明図。
【図3】本発明の実施例の動作を説明する断面図。
【図4】等価回路図。
【図5】内装導電膜に生ずる交番電圧の説明図。
【図6】逆パルス電圧と内装導電膜に生じる交番電圧の
関係を示す説明図。
関係を示す説明図。
【図7】逆パルス電圧と交番電界VLEFの関係を示す説明
図。
図。
【図8】ファンネル電極の他の実施例を示す説明図。
【図9】本発明の偏向ヨークの構成を示す説明図。
【図10】透明導電膜の抵抗値と交番電界ELEFの関係を
示す特性図。
示す特性図。
【図11】透明導電膜の抵抗値の周波数の特性図。
1…陰極線管装置、 2…ファンネル、 3…フェースプレート、 4…防爆バンド、 5…外装黒鉛膜、 6…偏向ヨーク、 7…ネック、 8…キャンセル電極、 9…アノードボタン、 20…高圧−偏向回路、 100…交番電界VLEF、 200…交番電界ELEF。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉岡 洋 千葉県茂原市早野3300番地株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 佐藤 佳雄 千葉県茂原市早野3300番地株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内 (56)参考文献 特開 平5−314927(JP,A) 特開 平4−315741(JP,A) 特開 平5−303942(JP,A) 特開 平5−207404(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 29/76
Claims (6)
- 【請求項1】高圧及び水平周期のパルス電圧を出力する
高圧−偏向回路(20)と、該高圧−偏向回路(20)からの高
圧が供給される内装導電膜(13)が内面に形成され、かつ
接地のための外装黒鉛膜(5)が外壁面に形成された陰極
線管(1)と、該陰極線管(1)のネック部(7)に設けられた
電子銃により発生する電子ビームを、前記高圧−偏向回
路(20)からのパルス電圧を用いて偏向する水平偏向コイ
ルを含む偏向ヨーク(6)とを具備する陰極線管表示装置
において、 前記陰極線管(1)の外壁面に、前記外装黒鉛膜(5)と電気
的に分離されたキャンセル電極(8)を設け、該キャンセ
ル電極(8)に、前記高圧−偏向回路(20)から出力される
前記パルス電圧と逆極性の逆パルス電圧を供給し、 かつ前記パルス電圧の振幅をV0、前記逆パルス電圧の
振幅をV1、前記偏向ヨーク(6)の水平偏向コイルと前
記内装導電膜(13)との間の静電容量をC0、前記キャン
セル電極(8)と前記内装導電膜(13)との間の静電容量を
C1としたとき、次の条件を満足するように構成したこ
とを特徴とする陰極線管表示装置。V0×C0>V1×
C1 - 【請求項2】高圧及び水平周期のパルス電圧を出力する
高圧−偏向回路(20)と、該高圧−偏向回路(20)からの高
圧が供給される内装導電膜(13)が内面に形成され、かつ
接地のための外装黒鉛膜(5)が外壁面に形成された陰極
線管(1)と、該陰極線管(1)のネック部(7)に設けられた
電子銃により発生する電子ビームを、前記高圧−偏向回
路(20)からのパルス電圧を用いて偏向する水平偏向コイ
ルを含む偏向ヨーク(6)とを具備する陰極線管表示装置
において、 前記陰極線管(1)の外壁面に、前記外装黒鉛膜(5)と電気
的に分離されたキャンセル電極(8)を設け、該キャンセ
ル電極(8)に、前記高圧−偏向回路(20)から出力される
前記パルス電圧と逆極性の逆パルス電圧を供給し、 かつ前記パルス電圧の振幅をV0、前記逆パルス電圧の
振幅をV1、前記偏向ヨーク(6)の水平偏向コイルと前
記内装導電膜(13)との間の静電容量をC0、前記キャン
セル電極(8)と前記内装導電膜(13)との間の静電容量を
C1としたとき、次の条件を満足するように構成したこ
とを特徴とする陰極線管表示装置。 K×V0×C0=V1×C1 (但し、0.1≦K≦
0.9) - 【請求項3】請求項1または2に記載の陰極線管表示装
置において、前記陰極線管の、前記水平偏向コイルに対
向する部分のガラス肉厚を他の部分より陰極線管の内面
側に厚くすること、又は、水平偏向コイルと対向する部
分の内装導電膜の一部を欠くこと、又は水平偏向コイル
が対向する部分のガラス材の誘電率を8以下とすること
のうちのいずれか一つ以上により、前記水平偏向コイル
と前記内装導電膜との間の静電容量C0を90[pF]
以下としたことを特徴とする陰極線管表示装置。 - 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の陰極線
管表示装置において、前記水平偏向コイルと前記内装導
電膜との間の静電容量C0と、前記キャンセル電極(8)
と前記内装導電膜(13)との間の静電容量C1との比(C
1/C0)が、0.5≦(C1/C0)≦15の範囲である
ことを特徴とする陰極線管表示装置。 - 【請求項5】請求項1乃至4のいずれかに記載の陰極線
管表示装置において、前記陰極線管のパネルガラスの外
表面に単位面積当りの抵抗値が2×106[Ω/□]以
下の透明導電膜を形成し、該透明導電膜を接地したこと
を特徴とする陰極線管表示装置。 - 【請求項6】高圧及び水平周期のパルス電圧を出力する
高圧−偏向回路(20)と、該高圧−偏向回路(20)からの高
圧が供給される内装導電膜(13)が内面に形成され、かつ
接地のための外装黒鉛膜(5)が外壁面に形成された陰極
線管(1)と、該陰極線管(1)のネック部(7)に設けられた
電子銃により発生する電子ビームを、前記高圧−偏向回
路(20)からのパルス電圧を用いて偏向する水平偏向コイ
ルを含む偏向ヨーク(6)とを具備する陰極線管表示装置
において、 前記陰極線管(1)の外壁面に、前記外装黒鉛膜(5)と電気
的に分離されたキャンセル電極(8)を設け、該キャンセ
ル電極(8)に、前記高圧−偏向回路(20)から出力さ れる
前記パルス電圧と逆極性の逆パルス電圧を供給し、 かつ前記パルス電圧の振幅と、前記偏向ヨーク(6)の水
平偏向コイルと前記内装導電膜(13)との間の静電容量と
の積に比例して該内装導電膜(13)に発生する交番電圧を
V01、前記逆パルス電圧の振幅と、前記キャンセル電
極(8)と前記内装導電膜(13)との間の静電容量との積に
比例して該内装導電膜(13)に発生する交番電圧をV11
としたとき、次の条件を満足するように構成したことを
特徴とする陰極線管表示装置。 V01−V11≒0
Priority Applications (6)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25320894A JP3218887B2 (ja) | 1994-10-19 | 1994-10-19 | 陰極線管表示装置 |
TW87211602U TW395550U (en) | 1994-10-19 | 1995-10-16 | Cathode-ray tube display unit in which the unwanted radiant electric field from the face plate of cathode-ray tube is decreased |
KR1019950035737A KR100204724B1 (ko) | 1994-10-19 | 1995-10-17 | 음극선관의 페이스플레이트로 부터의 불필요한 복사전계를 저감한 음극선관 표시장치 |
DE1995618713 DE69518713T2 (de) | 1994-10-19 | 1995-10-18 | Kathodenstrahlröhreeinheit in die das vom Bildschirm unerwünschten Strahlungselektrischesfeld des Kathoderstrahlröhre vermindert ist |
EP19950116440 EP0708474B1 (en) | 1994-10-19 | 1995-10-18 | Cathode-ray tube display unit in which unwanted radiant electric field from face plate of cathode-ray tube is decreased |
US08/544,923 US5689157A (en) | 1992-05-08 | 1995-10-18 | Cathode-ray tube display unit in which unwanted radiant electric field from face plate of cathode-ray tube is decreased |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25320894A JP3218887B2 (ja) | 1994-10-19 | 1994-10-19 | 陰極線管表示装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08115685A JPH08115685A (ja) | 1996-05-07 |
JP3218887B2 true JP3218887B2 (ja) | 2001-10-15 |
Family
ID=17248066
Family Applications (1)
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JP25320894A Expired - Fee Related JP3218887B2 (ja) | 1992-05-08 | 1994-10-19 | 陰極線管表示装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP3218887B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8252393B2 (en) | 2007-12-28 | 2012-08-28 | Canon Kabushiki Kaisha | Surface-modified inorganic pigment, colored surface-modified inorganic pigment, recording medium and production processes thereof, and image forming method and recorded image |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPH1092344A (ja) * | 1996-07-25 | 1998-04-10 | Toshiba Corp | 陰極線管及び陰極線管装置 |
-
1994
- 1994-10-19 JP JP25320894A patent/JP3218887B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8252393B2 (en) | 2007-12-28 | 2012-08-28 | Canon Kabushiki Kaisha | Surface-modified inorganic pigment, colored surface-modified inorganic pigment, recording medium and production processes thereof, and image forming method and recorded image |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08115685A (ja) | 1996-05-07 |
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