JPH09213228A - 陰極線管装置からの漏洩電場調整方法および陰極線管装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極線管装置の前方および側方の漏洩電場を
比較的簡単に抑制することができる漏洩電場調整方法お
よび陰極線管装置を構成することにある。 【解決手段】 陰極線管8 に偏向ヨーク10が装着されて
なる陰極線管装置からの漏洩電場を抑制する漏洩電場調
整方法において、陰極線管のフェース部3 の側壁2 周縁
近傍に電極15を配置し、この電極に陰極線管装置からの
漏洩電場よりも過剰の逆極性電場を発生させる電位を付
与し、この電極の少なくとも一部を接地された導電性テ
ープ16などにより電極と絶縁状態で覆って過剰の逆極性
電場を調整することにより漏洩電場を打消すようにし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、陰極線管に偏向
ヨークが装着された陰極線管装置からの漏洩電場調整方
法およびその陰極線管装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ＯＡ機器の発展がめざましく、オ
フィスばかりでなく、家庭でも利用されるほど身近なも
のとなっている。このＯＡ機器の普及にともなって、電
子機器のノイズ防止や、電磁波の人体に及ぼす影響防止
などの面から、電子機器から発生する比較的低周波の電
場を遮蔽する技術が重要度を増している。特に北欧にお
いては、交流磁場および交流電場の人体に対する影響を
懸念して、その許容値が示され、その規格が広がりつつ
ある。

【０００３】ＯＡ機器には、電子銃から放出される電子
ビームを偏向ヨークの発生する磁界により偏向して蛍光
体スクリーンを走査することにより画像を表示する陰極
線管装置を用いた画像表示装置が広く用いられている。

【０００４】一般に陰極線管装置は、フェース部および
ファンネル部からなる外囲器を有し、そのフェース部の
内面に蛍光体スクリーンが形成され、ファンネル部のネ
ック内に電子銃が配置された陰極線管と、そのファンネ
ル部の外側に装着され、上記電子銃から放出される電子
ビームを水平および垂直方向に偏向する水平、垂直偏向
磁界を発生する偏向ヨークとからなり、その水平、垂直
偏向磁界により上記電子銃から放出された電子ビームを
偏向して、蛍光体スクリーンを水平、垂直走査すること
により、画像を表示するものとなっている。その偏向ヨ
ークは、水平偏向磁界を発生する水平偏向コイルと、垂
直偏向磁界を発生する垂直偏向コイルとを有する。

【０００５】このような陰極線管装置からは、比較的低
周波の漏洩電場が発生し、これら漏洩電場や漏洩磁場を
遮蔽することが望まれる。

【０００６】このような陰極線管装置が組込まれた画像
表示装置から発生する漏洩電場や漏洩磁場は、５Ｈｚ〜
２ kＨｚのバンドＩと、２〜４０ kＨｚのバンドIIに区
分される。そのバンドＩの漏洩電場は、主として陰極線
管装置に供給する高圧を発生するフライバックトランス
（ＦＢＴ）の電位変動により発生する。このＦＢＴから
発生する漏洩電場の抑制については、電位変動を抑えた
ＦＢＴを用いたり、このＦＢＴの電位変動を抑える出力
回路を付加することで、対策されている。

【０００７】これに対して、バンドIIの漏洩電場は、主
として偏向ヨークの水平偏向コイルから発生する。この
水平偏向コイルから発生する漏洩電場の比較的簡単な遮
蔽手段として、陰極線管装置の前方に、真空蒸着法など
によりＩＴＯ（Indium Tin Oxide）や酸化錫（Ｓｎ
Ｏ₂ ）などからなる透明導電性酸化物の膜が形成された
透明電磁遮蔽板を配置して、この透明導電性酸化物の膜
を接地するか、あるいは陰極線管のフェース部の外表面
に直接上記透明導電性酸化物の膜を形成してこれを接地
することで遮蔽できる。しかしこのような手段は、画像
表示装置のコストが高くなるという問題がある。

【０００８】またこのような手段のほかに、電気的に漏
洩電場を遮蔽する手段がある。その一例として、特開平
４−３１５７４１号公報には、陰極線管のフェース部の
側壁周縁近傍に電極を配置し、この電極に偏向ヨークか
らの漏洩電場とは逆極性の電場を発生する電位を付与し
て、漏洩電場を打消す方法が示されている。しかしこの
方法は、陰極線管装置の前方に漏洩する漏洩電場に対し
ては有効であるが、電極の位置によっては、陰極線管装
置の側方の漏洩電場が電極から発生する電場によって助
長されることがある。

【０００９】一方、陰極線管装置の側方や後方に漏洩す
る漏洩電場を遮蔽する手段として、その側方および後方
に金属板を配置したり、画像表示装置の裏側に導電塗料
を塗布するなどの方法がある。

【００１０】しかし上記のように電極を配置して電気的
に漏洩電場を遮蔽するようにした陰極線管装置に、さら
にその側方の電場を遮蔽するために、金属板を配置した
り、あるいは導電塗料を塗布すると、画像表示装置のコ
ストアップをまねくことになる。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、陰極線
管装置からの漏洩電場を遮蔽する手段として、陰極線管
のフェース部の側壁周縁近傍に電極を配置し、この電極
に偏向ヨークから発生する漏洩電場とは逆極性の電場を
発生する電位を付与して、漏洩電場を打消す方法が知ら
れている。しかしこの方法は、陰極線管装置の前方に漏
洩する漏洩電場に対しては有効であるが、電極の位置に
よっては、陰極線管装置の側方の漏洩電場が電極から発
生する電場によって助長されることがある。

【００１２】この陰極線管装置の側方の電場を遮蔽する
には、その側方に金属板を配置したり、あるいは画像表
示装置の裏側に導電塗料を塗布すればよいが、このよう
に金属板を配置したり、あるいは導電塗料を塗布する
と、画像表示装置のコストアップをまねくという問題が
ある。

【００１３】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、陰極線管装置の前方および側方に
漏洩する漏洩電場を比較的簡単に抑制することができる
漏洩電場調整方法および陰極線管装置を構成することを
目的とする。

【００１４】

【課題を解決するための手段】陰極線管に偏向ヨークが
装着されてなる陰極線管装置からの漏洩電場調整方法に
おいて、陰極線管の前面部を構成するフェース部の側壁
周縁近傍に電極を配置し、この電極に陰極線管装置から
の漏洩電場よりも過剰の逆極性電場を発生させる電位を
付与し、この電極の少なくとも一部を接地された導電性
テープまたは導電性被覆層により電極と絶縁状態で覆っ
て過剰の逆極性電場を調整することにより漏洩電場を打
消すようにした。

【００１５】また、上記陰極線管装置からの漏洩電場調
整方法において、フェース部の側壁周縁近傍を取巻くよ
うにループ状電極を配置した。

【００１６】さらに、フェース部の側壁周縁近傍を取巻
くように１巻以上のループ状電極を配置し、このループ
状電極を少なくとも１０mmの長さにわたり導電性テープ
または導電性被覆層により覆うようにした。

【００１７】また、前面部が側壁部をもつフェース部に
より構成された陰極線管に偏向ヨークが装着されてなる
陰極線管装置において、フェース部の側壁周縁近傍に陰
極線管装置からの漏洩電場よりも過剰の逆極性電場を発
生させる電位が付与される電極を配置し、この電極の少
なくとも一部が接地された導電性テープまたは導電性被
覆層により電極と絶縁状態で覆われた構造とした。

【００１８】また、上記陰極線管装置において、フェー
ス部の側壁周縁近傍を取巻くようにループ状電極を配置
した。

【００１９】さらに、フェース部の側壁周縁近傍を取巻
くように１巻以上のループ状電極を配置した。

【００２０】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の
実施の形態を説明する。

【００２１】図１にその一形態である陰極線管装置を示
す。この陰極線管装置は、有効部１の周辺部に側壁２が
設けられたほぼ矩形状のフェース部３および漏斗状のフ
ァンネル部４からなる外囲器を有し、そのフェース部３
の有効部１内面に蛍光体スクリーン５が形成され、一
方、ファンネル部４のネック６内に電子銃７が配置され
た陰極線管８と、上記ファンネル部４の径大部９とネッ
ク６との境界部付近の外側に装着された偏向ヨーク１０
とを有する。この偏向ヨーク１０は、上記電子銃７から
放出された電子ビーム１１を水平方向に偏向する水平偏
向磁界を発生する水平偏向コイル１３と、上記電子ビー
ム１１を垂直方向に偏向する垂直偏向磁界を発生する垂
直偏向コイル１３とを有する。

【００２２】さらにこの陰極線管装置においては、上記
陰極線管８のフェース部３の側壁２周縁近傍に、側壁２
を取巻くように１巻以上のループ状に巻かれた金属線か
らなる電極１５が配置されている。そしてこの電極１５
には、偏向ヨーク１０の水平偏向コイル１３に供給され
る電圧と同位相かつ逆極性の電圧が供給され、水平偏向
コイル１３からの漏洩電場とは逆極性の電場を発生する
ものとなっている。そしてこの電極１５は、少なくとも
一部が接地された導電性粘着テープ１６などの導電性テ
ープまたは導電性被覆層などにより絶縁状態で覆われて
いる。

【００２３】上記のように陰極線管装置を構成すると、
電極１５から発生する逆極性の電場の強さを調整するこ
とにより、陰極線管装置の前方および側方に漏洩する水
平偏向コイル１３からの漏洩電場を適正に抑制すること
ができる。

【００２４】すなわち、あらかじめ電極１５に、フライ
バックトランスまたは水平出力トランス（図示せず）か
ら得られる出力信号を利用し、さらに必要に応じて位相
調整回路および振幅調整回路などを介して、偏向ヨーク
１０の水平偏向コイル１３に供給される電圧１８と同位
相かつ逆極性の電圧１９を供給し、水平偏向コイル１３
からの漏洩電場に対して過剰の逆極性の電場を発生させ
る。この場合、電極１５は、水平偏向コイル１３からの
漏洩電場よりも強い逆極性電場を発生しうる巻数に設計
されているものとする。つぎにこの電極１５から発生す
る逆極性の電場が水平偏向コイル１３からの漏洩電場を
適正に打消すように、電極１５の少なくとも１０mm以上
の長さにわたって接地された導電性粘着テープ１６で覆
って、電極１５からの逆極性の電場を遮蔽する。このよ
うにすることにより、水平偏向コイル１３から陰極線管
装置の前方および側方に漏洩する漏洩電場と電極１５か
らの逆極性の電場との均衡がとれ、水平偏向コイル１３
からの漏洩電場を抑制することができる。

【００２５】一例として、陰極線管のほぼ矩形状のフェ
ース部の側壁周縁近傍に金属線を３回巻いたループ状電
極を配置し、そのフェース部の短側壁上で上記電極を一
部を覆うように金属テープを接着し、この金属テープを
接地した。その結果、陰極線管装置の前方の漏洩電場が
０．３３Ｖ／ｍ、側方の漏洩電場が０．４７Ｖ／ｍｓ
と、スウーデンの中央労働協議会が示している規格（規
格名：ＴＬＯ規格）を十分に満足する陰極線管装置とす
ることができた。

【００２６】

【発明の効果】陰極線管装置からの漏洩電場調整方法に
おいて、陰極線管の前面部を構成するフェース部の側壁
部周縁近傍に電極を配置し、この電極に陰極線管装置か
らの漏洩電場よりも過剰の逆極性電場を発生させる電位
を付与し、この電極の少なくとも一部を接地された導電
性テープまたは導電性被覆層により電極と絶縁状態で覆
うと、この導電性テープまたは導電性被覆層の遮蔽効果
により、陰極線管装置の前方および側方に漏洩する漏洩
電場と電極からの逆極性の電場との均衡をとることかで
き、陰極線管装置からの漏洩電場を比較的容易に調整す
ることができ、陰極線管装置の前方および側方に漏洩す
る漏洩電場を抑制することができる。

【００２７】また、漏洩電場の影響を無視できる陰極線
管装置とすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１（ａ）はこの発明の実施の一形態である陰
極線管装置構成を示す断面図、（ｂ）はその側面図であ
る。

【符号の説明】

２…側壁 ３…フェース部 ８…陰極線管 １０…偏向ヨーク １３…水平偏向コイル １４…垂直偏向コイル １５…電極 １６…導電性テープ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 陰極線管に偏向ヨークが装着されてなる
   陰極線管装置からの漏洩電場調整方法において、 陰極線管の前面部を構成するフェース部の側壁周縁近傍
   に電極を配置し、この電極に上記陰極線管装置からの漏
   洩電場よりも過剰の逆極性電場を発生させる電位を付与
   し、この電極の少なくとも一部を接地された導電性テー
   プまたは導電性被覆層により上記電極と絶縁状態で覆っ
   て上記過剰の逆極性電場を調整することにより上記漏洩
   電場を打消すことを特徴とする陰極線管装置からの漏洩
   電場調整方法。
2. 【請求項２】 フェース部の側壁周縁近傍を取巻くよう
   にループ状電極を配置することを特徴とする請求項１記
   載の陰極線管装置からの漏洩電場調整方法。
3. 【請求項３】 フェース部の側壁周縁近傍を取巻くよう
   に１巻以上のループ状電極を配置し、このループ状電極
   を少なくとも１０mmの長さにわたり導電性テープまたは
   導電性被覆層により覆うことを特徴とする請求項１また
   は２記載の陰極線管装置からの漏洩電場調整方法。
4. 【請求項４】 陰極線管の前面部が側壁をもつフェース
   部により構成され、この陰極線管に偏向ヨークが装着さ
   れてなる陰極線管装置において、 上記フェース部の側壁周縁近傍に上記陰極線管装置から
   の漏洩電場よりも過剰の逆極性電場を発生させる電位が
   付与される電極が配置され、この電極の少なくとも一部
   が接地された導電性テープまたは導電性被覆層により上
   記電極と絶縁状態で覆われていることを特徴とする陰極
   線管装置。
5. 【請求項５】 フェース部の側壁周縁近傍を取巻くよう
   にループ状電極が配置されていることを特徴とする請求
   項４記載の陰極線管装置。
6. 【請求項６】 フェース部の側壁周縁近傍を取巻くよう
   に１巻以上のループ状電極が配置されていることを特徴
   とする請求項４または５記載の陰極線管装置。