JP3216912B2 - 2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造法 - Google Patents

2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造法

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JP3216912B2 JP16015892A JP16015892A JP3216912B2 JP 3216912 B2 JP3216912 B2 JP 3216912B2 JP 16015892 A JP16015892 A JP 16015892A JP 16015892 A JP16015892 A JP 16015892A JP 3216912 B2 JP3216912 B2 JP 3216912B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、抗ウイルス剤など医薬と
して有用なカルボサイクリックヌクレオシド類を合成す
るための中間体である2−アザビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−3−オンの製造法に関する。
【0002】
【産業上の利用分野】カルボサイクリックヌクレオシド
はヌクレオシドのフラノース環を構成する酸素原子をメ
チレン基で置換した構造を持ち、その構造が天然のヌク
レオシドと良く似ているため、生体内の各種の酵素の基
質や阻害剤として働き得る。さらにグリコシド結合を持
たないため、ヌクレオシドホスホリラーゼやヒドラーゼ
等による開裂を受けず、代謝経路も天然のヌクレオシド
とは異なるため多彩な生理活性を示し、例えば菌代謝物
であるカルボサイクリックアデノシンはアリステロマイ
シン(Aristeromycin)として知られてお
り、強い細胞毒性を示すことで注目されている。
【0003】また最近では、カルボサイクリック−2,
3−ジデオキシ−2,3−ジデヒドログアノシンが抗H
IV剤として開発されつつある[R.Vinceら、
B.B.R.C.156,1046(1988)]。
【0004】2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エン−3−オンは、これらのカルボサイクリックヌ
クレオシドのカルボサイクリック部分である2α,3α
−ジヒドロキシ−4β−アミノシクロペンタン−1β−
メタノールあるいはシス−4−アミノシクロペント−2
−エン−1β−メタノール等を純化学的に合成するため
の中間体として、最も利用される化合物である[R.V
inceら、J.Org.Chem.,43,2311
(1978);B.L.Kammら、J.Org.Ch
em.,46,3268(1981);W.C.Fai
thら、J.Org.Chem.,50,1983(1
985);R.C.Cermakら、Tetrahed
ron Letters 1981,2331;R.V
ince、J.Med.Chem.,33,17(19
90);R.Vinceら、Tetrahedron
Letters 1976,3005;M.D.Enn
is,Nucleosides & Nucleoti
des 9,875(1990)]。
【0005】
【従来の技術】2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト
−5−エン−3−オンの合成法は2種類知られている。
【0006】第一の方法はシクロペンタジエンとp−ト
ルエンスルホニルシアニドを環化付加し、3−トシル−
2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエ
ンとし、酢酸を用いて3位のトシル基を除去する方法
[J.C.Jagtら、J.Org.Chem.,3
9,564(1974);R.Vinceら、J.Or
g.Chem.,43,2311(1978);B.
L.Kammら、J.Org.Chem.,46,32
68(1981)]であり、第二の方法は、シクロペン
タジエンとクロロスルホニルイソシアナートを環化付加
し、亜硫酸ナトリウムを用いてクロロスルホニル基を除
去する方法(J.R.Malpassら、J.Che
m.Soc.,Perkin I,1977,874)
である。
【0007】第一の方法は、p−トルエンスルホニルシ
アニドに対し化学量論的には等モルでよいシクロペンタ
ジエンを15〜35倍モルと大過剰に使用しなければな
らないこと、得られた中間体である3−トシル−2−ア
ザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンを濃
縮して取り出し、粉末に粉砕する工程を必要とするこ
と。得られた中間体の3位のトシル基を除去するため
に、用いたp−トルエンスルホニルシアニドに対して、
酢酸を5〜23倍モルと大過剰に使用し、一気に添加し
なければならないこと、さらに、その際の急激な発熱反
応をコントロールし、所定の温度以下で反応させるため
に特別に除熱効率のよい熱交換器を必要とすること、発
熱反応をコントロールできた場合、60〜70%程度の
収率で2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エ
ン−3−オンを合成できるが、発熱反応をコントロール
できない場合、生成物を全く単離できないか、あるい
は、非常に低収率でしか得られないこと。また、2−ア
ザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン
を単離するためには大過剰に用いた酢酸を中和するため
大量のアルカリ性物質を必要とし、その際の発熱反応を
コントロールし所定の温度以下で反応させる必要もある
こと、さらに、得られた結晶の品質も不十分である等数
多くの問題があり、経済的にかつ安全上も、工業的に満
足しうる製法とはいえない。
【0008】第二の方法は本来副生成物である6−アザ
ビシクロ[3.2.0]ヘプト−3−エン−7−オンの
合成に適した方法であり、2−アザビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−3−オンを単離するためにはカ
ラムクロマトグラフィー等により、繰りかえし精製を必
要とし、最高27.5%の単離収率で結晶の2−アザビ
シクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを合
成しうることを報告しているにすぎず、また、得られた
結晶の品質も不十分であり、工業的製法としてとても満
足できるものではない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来技術の一つであるスルホニルシアニドとシク
ロペンタジエンとの反応により、2−アザビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンを合成する
際に見られる欠点を改善し、シクロペンタジエンを出発
原料として、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エン−3−オンを、高純度でしかも高収率で経済的
にかつ安全に製造する方法を提供せんとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的は、下記一般式
(1)で表される置換スルホニルシアニドとシクロペン
タジエンとを炭化水素系溶媒(ただし、塩素系炭化水素
溶媒を除く)中で反応させる第一工程と、そののち水で
処理する第二工程を経由することを特徴とする2−アザ
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの
製造方法により達成される。
【0011】
【化2】 (ただし、R1 ,R2 は水素原子、アルキル基、ハロゲ
ン原子である)以下、本発明の方法をさらに詳細に説明
する。
【0012】本発明において使用される下記一般式
(1)で表される置換スルホニルシアニドとしては、好
ましくは、フェニル、p−メチルフェニル(p−トリ
ル、p−トルエン)、m−メチルフェニル、o−メチル
フェニル、3,4−ジメチルフェニル、m−クロロフェ
ニル、p−クロロフェニル誘導体、3,4−ジクロロフ
ェニル、特に好ましくは、フェニル、p−メチルフェニ
ル、p−クロロフェニル誘導体の場合である。
【0013】
【化3】 (ただし、R1 ,R2 は水素原子、アルキル基、ハロゲ
ン原子である)本発明において使用される置換スルホニ
ルシアニドは、M.S.A.Vrijlandの方法
[Organic Syntheses 57,88]
を用いて、相当する置換スルフィン酸金属塩を塩化シア
ンまたは臭化シアンでシアノ化して合成することがで
き、合成直後の状態の物を乾燥して液体もしくは結晶と
して単離するか、本発明の方法に利用する炭化水素系溶
媒の溶液またはスラリー液として、利用することが望ま
しい。
【0014】本発明において使用されるシクロペンタジ
エンは、ジシクロペンタジエンの解重合により、受器を
冷媒または寒剤で冷却した状態で分留調整したものをた
だちに全量使用するのが望ましい。
【0015】やむをえず貯蔵したシクロペンタジエンを
本発明の方法に利用する場合には、シクロペンタジエン
は常温で速やかに二量化してジシクロペンタジエンにな
るため、調整後24時間以内に、反応直前まで少なくと
も−20℃以下に保たせた状態のものを使用するのが望
ましい。
【0016】シクロペンタジエンの使用量は、置換スル
ホニルシアニドに対して、1倍モル以上、好ましくは1
〜2倍モルである。すなわち、2倍モルを越えて反応さ
せても差し支えないが、過剰に用いたシクロペンタジエ
を回収するための設備対応が必要であったり、過剰に
用いることにより発生するシクロペンタジエンの二量化
を始めとする多量化反応により、副生成物の形成が多く
なり、収率及び純度ともに低下する。
【0017】本発明において適切に使用される炭化水素
系溶媒は、炭素数5〜10の非環式、環式脂肪族炭化水
素及び/または芳香族炭化水素であり、好ましくはヘキ
サン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンである。
【0018】炭化水素系溶媒が適切である理由は原料中
間体および生成物、副生成物の相互の分離に好都合な溶
解性を示すためであり、さらに、加水分解後に析出する
副生成物であるスルフィニルスルホン化合物を反応器の
器壁に付着させにくくする働きをもはたす。また次工程
の水処理工程での発熱を、特別な冷却装置を用いなくと
もコントロールできるという利点も持つことにもある。
【0019】塩素系炭化水素溶媒、エーテル系等のスル
ホニルシアニドに不活性な溶媒も単なる反応溶媒として
利用できるが、上記で述べた溶解性の問題と副生成物の
器壁への付着の問題から望ましいとはいえない。
【0020】シクロペンタジエンと置換スルホニルシア
ニドの反応を行う時の溶媒の使用量は、置換スルホニル
シアニドに対し、0.5倍モル以上、好ましくは0.5
〜3倍モルの範囲で使用することが望ましい。
【0021】反応は置換スルホニルシアニドを始めに溶
媒中に加え、撹拌下にシクロペンタジエンを滴下する方
法が好ましい。
【0022】シクロペンタジエン滴下時の温度は、0〜
40℃、好ましくは10〜30℃である。
【0023】シクロペンタジエン滴下後、反応系の温度
を20〜30℃とし、0.5〜1時間撹拌した後冷却し
て次工程の加水分解を行うことが望ましく、得られた
成物を単離する必要はない。
【0024】得られた中間体である3−トシル−2−ア
ザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエンの3
位置換基除去のための水処理工程に使用する水の量は、
使用した置換スルホニルシアニドに対し、5〜30倍モ
ル、好ましくは10〜20倍モルである。
【0025】水処理工程時の温度は0〜25℃、好まし
くは5〜10℃である。
【0026】水を添加した後、0〜25℃、好ましくは
5〜10℃で1〜2時間撹拌し、副生成物であるスルフ
ィニルスルフォン化合物をろ過、分液等の通常の有機化
学で用いられる方法により分離する。
【0027】水の添加終了後の反応系を長時間放置する
と副生成物であるスルフィニルスルフォン化合物の分解
反応により、生成物が分解反応を引き起こす恐れがある
ため、24時間以内に副生成物を分離することが望まし
い。
【0028】2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−
5−エン−3−オンの単離には、ろ過した反応液は2相
系であるため、まず分液する。
【0029】分液した水溶液は、副生する微量のスルフ
ィン酸のため酸性を示すため、長時間酸性状態におく
と、生成物の分解反応を引き起こしやすく、収率及び純
度ともに低下するため、水溶液のpHを7〜8に調製す
ることが望ましい。pH調製には無機アルカリ性物質、
特にアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸化物が好
ましい。
【0030】分液した有機溶液には、用いる炭化水素系
溶媒が芳香族系である場合、多少生成物が溶解している
ため、必要に応じて、水で生成物を抽出し、上記と同様
に水溶液のpHを7〜8に調製した後、分液後のpH調
製した水溶液とを混合することが望ましい。pH調製し
た水溶液は必要に応じて、塩化ナトリウムを加えて塩析
し、塩化ナトリウムの飽和溶液とした後、塩素系炭化水
素溶媒、好ましくは、塩化メチレン、ジクロロエタンで
抽出する。
【0031】このようにして得られた抽出液を濃縮する
ことにより生成物を単離できる。
【0032】本発明の方法で得られる濃縮後の生成物
は、次工程の抗ウイルス剤中間体の合成に十分利用可能
な純度を持つものであるが、必要に応じて、蒸留または
再結晶、昇華、等の通常の有機化学的手法により、さら
に精製することができる。
【0033】
【実施例】
合成例1 ベンゼンスルホニルシアニドの合成 温度計、コンデンサー、撹拌器および塩化シアンの導入
管を備えた1000mlのフラスコに、ベンゼンスルフ
ィン酸ナトリウム2水塩268.0g(1.34mo
l)、水470gを入れた。反応系の温度を10℃に保
って、塩化シアン90.6g(純度95.5%,1.4
1mol)を窒素同伴下に100分間かけてフラスコ内
に導入した。塩化シアンの導入終了後、さらに5℃で3
0分撹拌した。下層を分液し、粗ベンゼンスルホニルシ
アニド212.5g(純度97.9%)を得た。これを
蒸留し、86〜88℃/2.5mmHgの留分とし、ベ
ンゼンスルホニルシアニド198.3gを得た。 合成例2 p−トルエンスルホニルシアニドの合成 温度計、コンデンサー、撹拌器および塩化シアンの導入
管を備えた300mlのフラスコに、p−トルエンスル
フィン酸ナトリウム4水塩54.8g(0.215mo
l)、水200gおよびトルエン30mlを仕込んだ。
水浴で反応溶液を10℃に調整してから、塩化シアン1
2ml(純度95.5%,0.225mol)を窒素同
伴下に60分間かけて反応器に導入した。塩化シアンの
導入後さらに10℃で60分間撹拌した。ろ過分液後、
p−トルエンスルホニルシアニドのトルエン溶液56.
1gを得た。p−トルエンスルホニルシアニドの濃度は
61.5%で収率は88.6%であった。 合成例3 シクロペンタジエンの合成 50℃に保温された蒸留塔、−20℃に冷却された受器
を備えた1000mlの蒸留フラスコにジシクロペンタ
ジエン504.7gを入れ、160〜180℃に加熱し
て、8時間ジシクロペンタジエンを熱分解し、40〜5
0℃の留分としてシクロペンタジエン307.5gを得
た。ジシクロペンタジエンからの収率は60.9%であ
った。 実施例1 500ml四ツ口フラスコに、ベンゼンスルホニルシア
ニド110.6g(0.66mol)とトルエン74g
を入れ撹拌下に、シクロペンタジエン53.3g(0.
807mol)を加えた。20〜30℃で45分間反応
させた後、反応液を13〜17℃に冷却しながら、氷水
150gを加え30分間撹拌した。この反応液をろ過し
副生成物であるスルフィニルスルフォン化合物を除去
し、水層とトルエン層に分液した。水層を水酸化ナトリ
ウム水溶液でpH8まで中和した。トルエン層を水75
gで抽出し、水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH8ま
で中和した。水層を合わせ、これを塩化メチレン255
gで3回抽出した。抽出液を減圧濃縮し粗生成物80.
5gを得た。粗生成物を蒸留し2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オン49.6g(収率
69%)を得た。
【0034】mp;55.0〜57.0℃,1H−NM
R(CDCl3):2.22ppm(d),2.39p
pm(d)(2H,−CH2 −),3.22ppm
(s,1H,−CH−C=O),4.35ppm(s,
1H,−CH−NH−),6.26ppm(s,1H,
−NH−),6.77ppm(m,1H,=CH−C−
C=O),6.81ppm(m,1H,=CH−C−
N)13 C−NMR(CDCl3 );53.1ppm(−CH
2 −),59.2ppm(CH−C=O),60.2p
pm(CH−NH−),138.0ppm(=CH−C
H−C=O),141.1ppm(=CH−CH−N
H),185.3ppm(−C=O) 実施例2 100ml四ツ口フラスコにp−トルエンスルホニルシ
アニドのトルエン溶液55.3g(濃度61.5%,
0.188mol)およびトルエン6.35gを入れ、
シクロペンタジエン17.9g(0.27mol)を加
えた。20〜30℃で45分間反応させた後、反応液を
5℃に冷却し、水52.3gを加え30℃以下で30分
間撹拌した。この反応液をろ過し副生成物であるスルフ
ィニルスルフォン化合物を除去し、水層とトルエン層に
分液した。水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH8まで
中和した。トルエン層を水25gで抽出し、抽出水層を
水酸化ナトリウム水溶液でpH8まで中和した。両水層
を合わせ、塩化メチレン80gで3回抽出した。塩化メ
チレン抽出液を減圧濃縮し、粗生成物17.8gを得
た。この粗生成物を蒸留し沸点85〜90℃/1mmH
、融点55.0〜57.0℃の2−アザビシクロ
[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オン13.5g
(収率65.8%)を得た。 実施例3 500ml四ツ口フラスコにベンゼンスルホニルシアニ
ド75.0g(0.449mol)とヘキサン50gを
入れ、シクロペンタジエン45.6g(0.690mo
l)を加えて15〜25℃で45分間反応させた。反応
液を5℃に冷却し、水200gを加え0〜5℃で30分
間撹拌した。この反応液をろ過し副生成物であるスルフ
ィニルスルフォン化合物を除去し、水層とヘキサン層に
分液した。水層を水酸化ナトリウム水溶液でpH8まで
中和し、水層に食塩を80g加え塩化メチレン131g
で6回抽出した。この塩化メチレン抽出液を減圧濃縮し
粗生成物45.2gを得た。この粗生成物を再結晶し、
融点55.0〜57.0℃の2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オン39.3g(収率
80%)を得た。 実施例4 500ml四ツ口フラスコにp−クロロフェニルスルホ
ニルシアニド108.4g(0.538mol)、トル
エン120gを入れ、シクロペンタジエン46.70g
(0.70mol)を加えて反応温度25℃に管理しな
がら45分間反応させた。反応液に水150gを加え、
5℃で50分間反応させた後、反応液をろ過し副生成物
であるスルフィニルスルフォン化合物を除去し、ろ過物
をトルエン30mlで洗浄した。濾液をトルエン層16
0.6gと水層194.9gに分液し、水層を15℃以
下に保ちながら、水酸化ナトリウム溶液でpH=7.9
まで中和した。トルエン層に水75gを加えて抽出し、
この水層も水酸化ナトリウム水溶液でpH=7.5まで
中和した。2つの水層を混合し食塩で飽和した後、塩化
メチレン250gで3回抽出してから、減圧濃縮して、
粗生成物40.6gを得た。減圧蒸留後、融点55.0
〜57.0℃の2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト
−5−エン−3−オン36.4g(収率61.9%)を
得た。 実施例5 500ml四ツ口フラスコにp−トルエンスルホニルシ
アニド120g(0.66mol)、シクロヘキサン1
20gを入れ、シクロペンタジエン46.70g(0.
70mol)を加えて20〜25℃で30分間撹拌し
た。反応液に水150gを加え、5〜10℃で50分間
撹拌した後、反応液をろ過しろ過物を水30mlで洗浄
した。水層を15℃以下に保ちながら、水酸化ナトリウ
ム水溶液でpH=8まで中和した。水層を食塩で飽和し
た後、塩化メチレン300gで3回抽出してから、減圧
濃縮し、粗生成物を得た。蒸留後、融点55.0〜5
7.0℃の2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5
−エン−3−オン50.8g(収率70.6%)を得
た。 比較例1 500ml四ツ口フラスコに粉砕したp−トルエンスル
ホニルシアニド60g(0.33mol)を入れ、−1
8℃のシクロベンタジエン336g(5.1mol)を
加えた。9〜24℃で40分間撹拌してから、反応液を
20℃以下で加熱せずに減圧して濃縮した。濃縮した中
間体を粉砕し、冷却しておいた氷酢酸105ml(1.
77mol)をすばやく入れて撹拌した。この間反応系
の温度を20℃以下になるように冷却した。この反応液
を430mlの氷水に注ぎ、撹拌後セライトを加えてろ
過した。ろ過物を水50mlで洗浄し、ろ過液と洗浄液
を20℃以下に冷却し、撹拌下に水酸化ナトリウム水溶
液を加えpH8に中和した。この溶液に食塩を飽和さ
せ、塩化メチレン450mlで3回抽出した。硫酸マグ
ネシウムで乾燥後濃縮し、褐色の油状物28gを得た。
蒸留後、2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−
エン−3−オン18.8g(収率52%)を得た。単離
物の融点は50〜52℃を示した。 比較例2 粉砕したp−トルエンスルホニルシアニド12g(0.
066mol)を200ml四ツ口フラスコにいれ、氷
冷下フラスコ内の温度が6℃になってから、−20℃の
シクロペンタジエン70.8g(1.063mol)を
加え、50分間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、淡黄
色固体17.5gを得た。この固体を粉砕し、氷冷下1
3℃の氷酢酸21.9g(0.365mol)を加え
て、1時間撹拌した。反応液を氷水86g中に注ぎ、3
0分撹拌してからデカンテーションして上澄み液11
0.3gを得た。20℃に冷やし撹拌しながら12規定
水酸化ナトリウム水溶液をpH=7.4になるまで加え
た。水層に食塩21.2gを加えて飽和させ、塩化メチ
レン90mlで3回抽出した。抽出液を硫酸マグネシウ
ムで乾燥し、濃縮後、茶褐色油状物2.91gを得た。
放置後析出物をろ過し、2−アザビシクロ[2.2.
1]ヘプト−5−エン−3−オン1.25g(収率17
%)を得た。単離物の融点は48〜81℃を示した。 比較例3 500ml四ツ口フラスコに、ベンゼンスルホニルシア
ニド110.6g(0.66mol)とイソプロピルエ
ーテル70gを入れ撹拌下に、シクロペンタジエン5
3.3g(0.807mol)を加えた。20〜30℃
で45分間反応させた後、反応液を13〜17℃に冷却
しながら、氷水150gを加え30分間撹拌した。この
反応液をろ過し、分液した水層を水酸化ナトリウム水溶
液でpH8まで中和した。これを塩化メチレン200g
で4回抽出した。抽出液を減圧濃縮し粗生成物19.5
gを得た。粗生成物を蒸留し2−アザビシクロ[2.
2.1]ヘプト−5−エン−3−オン11.6g(収率
16%)を得た。単離物の融点は50〜53℃を示し
た。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、従来法の問題点であっ
た(1)スルホニルシアニドに対し化学量論的には等モ
ルでよいシクロペンタジエンを15〜35倍モルと大過
剰に使用しなければならない(2)得られた中間体であ
るる3−置換スルホニル−2−アザビシクロ[2.2.
1]ヘプタ−2,5−ジエンを濃縮して取り出し、粉末
に粉砕する工程を必要とする(3)このスルホニル基を
除去するために、用いたスルホニルシアニドに対し酢酸
を5〜23倍モルと大過剰に使用してしなければならな
い(4)発熱反応をコントロールする工程の操作のため
に特別に除熱効率のよい熱交換器を必要とし、発熱反応
をコントロールできない場合、生成物を全く単離できな
いか非常に低収率となる(5)大過剰に用いた酢酸を中
和するため大量のアルカリ性物質を必要とする、等の欠
点を解消し、高純度の2−アザビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−3−オンを高収率で、しかも工業的
に極めて簡単な方法で得ることができるという利点があ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 晶 新潟県北蒲原郡中条町倉敷町2番28号 株式会社クラレ内 審査官 冨永 保 (56)参考文献 特開 平5−97804(JP,A) Chem.Ber.,(1983),116 (3),p.1081−96 Chemical Abstract s,vol.118,abstract no.80198(& Rev.−Acad. Galega Cienc., (1991),10,p.60−7) J.Org.Chem.,(1974), 39(4),p.564−6 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 209/52 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される置換スルホ
    ニルシアニドとシクロペンタジエンとを炭化水素系溶媒
    (ただし、塩素系炭化水素溶媒を除く)中で反応させる
    第一工程と、そののち水で処理する第二工程を経由する
    ことを特徴とする2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプ
    ト−5−エン−3−オンの製造方法。 【化1】 (ただし、R,Rは水素原子、アルキル基、ハロゲ
    ン原子である)
  2. 【請求項2】 第一工程を0〜30℃、第二工程を0〜
    25℃の温度条件で行う、請求項1記載の2−アザビシ
    クロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−3−オンの製造
    方法。
  3. 【請求項3】 置換スルホニルシアニドがベンゼンスル
    ホニルシアニド、p−トルエンスルホニルシアニド、p
    −クロロフェニルスルホニルシアニドである請求項1,
    2記載の2−アザビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−
    エン−3−オンの製造方法。
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EP1048650B1 (en) 1999-04-30 2003-02-26 Kuraray Co., Ltd. Process for producing 2-azabicyclo (2.2.1) hept-5-en-3-one

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