JP3215177B2 - 超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Description
いられる{110}〈001〉方位即ちゴス方位を高度
に発達させた高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法に
関する。
主にトランスその他の電気機器の鉄心材料に使用されて
いるもので、磁気特性としては励磁特性と鉄損特性が良
好でなくてはならない。
度B8 (磁場の強さ800A/m における磁束密度)やB
10が用いられ、鉄損特性を表す指標としてW17/50 (5
0Hzで1.7Tまで磁化させたときの単位重量あたりの
鉄損)やW13/60 等が用いられている。
900℃以上の温度での仕上げ焼鈍工程で2次再結晶を
起こさせ、鋼板面に{110}面、圧延方向に〈00
1〉軸をもったいわゆるゴス組織を発達させることによ
って得られている。そのなかでも磁束密度B8 が1.8
8T以上の優れた励磁特性をもつものは高磁束密度一方
向性電磁鋼板と呼ばれている。
方法としては特公昭40−15644号公報、特公昭5
1−13469号公報があげられる。現在世界的規模で
生産されている高磁束密度一方向性電磁鋼板は上記2特
許を基本として生産されていると云える。然るに上記特
許に基づく製品の磁束密度B8 は1.88乃至高々1.
95T程度であり、3%Si鋼の飽和磁束密度2.03
Tの95%程度の値を示しているに過ぎない。
6号公報で従来の1350℃以上もの高温スラブ加熱を
回避する方法を開示した。しかしこの方法で製造される
製品も磁束密度は高磁束密度一方向性電磁鋼板と呼ばれ
る1.93T程度の磁束密度しか示していないのが実状
である。
的要求は益々厳しくなり、一方向性電磁鋼板の鉄損低
減、磁化特性改善への要求も熾烈になってきている。一
方技術的には鉄損低減化の手法としてレーザー照射等の
磁区制御技術が特公昭58−5968号公報、特公昭5
7−2252号公報等により確立され、この方法では更
なる高磁束密度材への要求が鉄損低減への手段として強
くなっている。
の磁束密度B8 を更に理想方位に近づける手段の出現が
待たれているのが現状である。この目標達成のための手
段として本発明者は特公昭57−1565号公報で従来
のAl入り高磁束密度一方向性電磁鋼板の溶鋼に炭酸塩
含有物を添加する方法を提案した。しかしこの方法は実
験室的には実現性があるが、工業規模では実施されてい
ないのが実状である。
公報で温度勾配焼鈍法を提案した。この方法で初めて安
定して磁束密度B8 が1.95T以上の製品が得られる
ようになった。しかしこの方法は工場サイズのコイルフ
ォームで実施する場合、コイル一端から加熱し、反対端
部は温度勾配をつけるため冷却するという非常に熱エネ
ルギー的損失を伴うため工業生産としては問題点を大き
くはらんでいた。
点を回避し極めて磁束密度の高い超高磁束密度一方向性
電磁鋼板の製造を可能にすることを目的とする。
ろは、次の通りである。 1)重量で、C:0.03〜0.15%、Si:2.5
〜4.0%、Mn:0.10〜0.80%、S:0.0
10%以下、酸可溶性Al:0.010〜0.065
%、N:0.0030〜0.0150%を基本成分とす
る一方向性電磁鋼板用素材の製造において、溶鋼中にB
iを100〜5000g/(溶鋼T)添加すると共に、
以後の工程でスラブ加熱温度を1270℃以下とし、1
次再結晶後の鋼板に窒化処理を施すことを特徴とする超
高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
Si:2.5〜4.0%、Mn:0.10〜0.80
%、S:0.010%以下、酸可溶性Al:0.010
〜0.065%、N:0.0030〜0.0150%、
Sn:0.05〜0.50%を基本成分とする一方向性
電磁鋼板用素材の製造において、溶鋼中にBiを100
〜5000g/(溶鋼T)添加すると共に、以後の工程
でスラブ加熱温度を1270℃以下とし、1次再結晶後
の鋼板に窒化処理を施すことを特徴とする超高磁束密度
電磁鋼板の製造方法。
明者はいわゆる高磁束密度一方向性電磁鋼板の磁束密度
を更に高めるべく種々の研究を重ねているが、窒化アル
ミニウムを主インヒビターとする一方向性電磁鋼板用の
素材にBiを添加することにより現在市販されている高
磁束密度一方向性電磁鋼板の磁束密度B8 =1.93T
程度をはるかに超える1.95T以上、2Tにもおよぶ
超高磁束密度一方向性電磁鋼板を製造することに成功し
た。本発明の成分組成の限定理由を説明する。Cは0.
03%未満では2次再結晶が不安定になり、また2次再
結晶した場合でも磁束密度が極めて劣化するので好まし
くない。一方0.15%超では脱炭焼鈍工程での脱炭が
不完全になりやすく、成品での磁気時効を引き起こすの
で好ましくない。
増大し、また4.0%超では常温での冷延が困難になり
いずれも好ましくない。
させないためには0.010%以下に限定する必要があ
る。
0〜0.80%が必要でその範囲を逸脱すると磁束密度
が劣化するので好ましくない。
板製造のための主要インヒビター構成元素であり、0.
010%未満では量的に不足しインヒビター強度が不足
する。一方0.065%超では析出窒化アルミニウムが
粗大化し、結果としてインヒビター強度を低下させるの
で好ましくない。
成元素であり、上記範囲を逸脱するとインヒビターの最
適状態を壊すので好ましくない。
を安定化させる元素として有効であり、また2次再結晶
粒径を小さくする作用もあり、0.05%以上の添加が
必要であり、0.50%を超えてもその作用効果が飽和
するのでコストアップの点から0.50%以下に限定す
る。
100〜5000g/(溶鋼T)の範囲が有効である。
100g/(溶鋼T)未満では磁束密度の向上がわずか
であり、また5000g/(溶鋼T)超では磁束密度向
上の効果が飽和するとともに熱延板の端部に割れが発生
するので、上限を5000g/(溶鋼T)に限定する。
せしめることは特開昭50−72817号公報、特開昭
51−78733号公報、特開昭53−39922号公
報等に記載されているが、これらの特許は何れも必須の
インヒビターとしてS,Seを含有し、且つSb,As
等と同様の作用効果を持つ元素の一つとしての意味であ
り、Sbの代替元素としての位置づけにしか過ぎない。
ビター元素として含有せず、本発明とはその性格を全く
異にするものと云える。更にBiを含有せしめることは
特開昭51−107499号公報、特開昭63−100
127号公報にも記載されている。
ターとしてAlを含有している点では本発明と同様では
あるが、何れもSb,As等の同一作用元素の位置づけ
で、従ってBi添加含有の実施例の記載もなく、本発明
のようなBiの特異な磁束密度向上作用を窺わせるもの
は全くなく、Bi添加の思想、性格を異にするものと云
える。
記範囲の添加をすれば必ずしも素材中に残存しない場合
でも効果が認められ、上記一連の公知例は何れも含有を
前提にしていることから本発明とは全く性格を異にする
ものと云える。
上記の如く成分を調整し、Biを添加した超高磁束密度
一方向性電磁鋼板製造用の溶鋼は通常の方法で鋳造す
る。特に鋳造法に限定はない。次いで通常の熱間圧延に
より熱延コイルに圧延される。この場合スラブ加熱温度
は1270℃以下のいわゆる低温スラブ加熱を行う。
間焼鈍を含む複数ステージの冷間圧延によって最終板厚
とするが、高磁束密度一方向性電磁鋼板を得ることから
最終冷延の圧延率(1ステージの冷間圧延の場合はその
圧延率)は65〜95%の強圧下が好ましい。最終圧延
以外のステージの圧延率は特に規定しなくてもよい。最
終冷延前には950〜1200℃で30秒〜30分間の
焼鈍を行い、急冷によりAlNの析出制御を行う。最終
成品板厚に圧延した冷延板を続いて通常の方法で脱炭焼
鈍を行う。脱炭焼鈍の条件は特に規定しないが、好まし
くは700〜900℃の温度範囲で30秒〜30分間湿
潤な水素または水素、窒素の混合雰囲気で行うのがよ
い。脱炭焼鈍によって製品に有害な炭素を除去すると同
時に1次再結晶が起こる。
インヒビターを強化するための窒化処理を施す。この方
法は既に公知の方法で行えばよい。その後鋼板表面に2
次再結晶焼鈍における焼き付き防止およびグラス被膜生
成のためMgOを主成分とする通常の組成の焼鈍分離剤
を塗布する。
5時間以上、水素または窒素またはそれらの混合雰囲気
で行う。引き続き余分の焼鈍分離剤を除去後、コイル巻
ぐせを矯正するための連続焼鈍を行い、同時に絶縁被膜
を塗布、焼き付けする。更に必要に応じてレーザー照射
等の磁区細分化処理を施す。磁区細分化の方法は特に限
定する必要はない。
0.13%、S:0.007%、酸可溶性Al:0.0
28%、N:0.008%を含有する溶鋼にBiを10
0〜5000g/(溶鋼T)添加した。鋼塊を1150
℃で分塊圧延した後1150℃に再加熱し直ちに熱延
し、1.8mmの熱延板とした。熱延板に1100℃の焼
鈍を施し、0.23mmまで冷延した。
でアンモニア含有雰囲気で750℃、30秒間窒化処理
を施した。
材を塗布後1200℃の仕上げ焼鈍を行った。仕上げ焼
鈍後の板に残留する粉を除粉後60×300mmの磁気測
定試料を剪断し、850℃で歪取り焼鈍を行って磁気測
定に供した。Bi添加量と製品磁束密度の関係を表1に
示す。
法では到底得られないようなB8 が1.95T以上のす
ばらしい製品が得られた。
mmピッチでレーザーを照射し、磁区細分化処理を行っ
た。その状態での磁気測定値を表2に示す。
度が極めて高く、従って磁区細分化後の鉄損特性が0.
75W/kg以下の極めて優れた製品が得られ、最良値は
0.6W/kgにも達する。
3%、Mn:0.13%、S:0.006%、酸可溶性
Al:0.027%、N:0.009%、Sn:0.1
5%を含有する溶鋼にBiを1000g/(溶鋼T)添
加した。以後の工程は実施例1と同様に行った。結果を
表3に示す。
度B8 が1.95T以上の極めて優れた特性の製品が得
られた。
ると、極めて磁束密度の高い製品が得られるとともに磁
区細分化処理後の鉄損特性も極めて優れており、本発明
は工業的に非常に価値の高い有益なものと云える。
Claims (2)
- 【請求項1】 重量で、 C :0.03〜0.15%、 Si:2.5〜4.0%、 Mn:0.10〜0.80%、 S :0.010%以下、 酸可溶性Al:0.010〜0.065%、 N :0.0030〜0.0150%、 残部:Feおよび不可避的不純物からなる材料を出発材
として一方向性電磁鋼板を製造するに際し、溶鋼中にB
iを100〜5000g/(溶鋼T)添加すると共に、
以後の工程でスラブ加熱温度を1270℃以下とし、1
次再結晶後の鋼板に窒化処理を施すことを特徴とする超
高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 重量で、 C :0.03〜0.15%、 Si:2.5〜4.0%、 Mn:0.10〜0.80%、 S :0.010%以下、 酸可溶性Al:0.010〜0.065%、 N :0.0030〜0.0150%、 Sn:0.05〜0.50%、 残部:Feおよび不可避的不純物からなる材料を出発材
として一方向性電磁鋼板を製造するに際し、溶鋼中にB
iを100〜5000g/(溶鋼T)添加すると共に、
以後の工程でスラブ加熱温度を1270℃以下とし、1
次再結晶後の鋼板に窒化処理を施すことを特徴とする超
高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP24070092A JP3215177B2 (ja) | 1992-09-09 | 1992-09-09 | 超高磁束密度一方向性電磁鋼板の製造方法 |
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JPH0688172A JPH0688172A (ja) | 1994-03-29 |
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