JP2562257B2 - 磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造方法

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JP2562257B2 JP4184200A JP18420092A JP2562257B2 JP 2562257 B2 JP2562257 B2 JP 2562257B2 JP 4184200 A JP4184200 A JP 4184200A JP 18420092 A JP18420092 A JP 18420092A JP 2562257 B2 JP2562257 B2 JP 2562257B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トランス等の鉄心とし
て使用される磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一方向性電磁鋼板は、主にトランスその
他の電気機器の鉄心材料として使用されており、励磁特
性、鉄損特性等の磁気特性に優れていることが要求され
る。励磁特性を表す数値としては、磁場の強さ800A
/mにおける磁束密度B8 が通常使用される。また、鉄
損特性を表す数値としては、周波数50Hzで1.7テス
ラー(T)まで磁化したときの1kg当りの鉄損W17/50
を使用している。
【0003】磁束密度は、鉄損特性の最大支配因子であ
り、一般的にいって磁束密度が高いほど鉄損特性が良好
になる。なお、一般的に磁束密度を高くすると二次再結
晶粒が大きくなり、鉄損特性が不良となる場合がある。
これに対しては、磁区制御により、二次再結晶粒の粒径
に拘らず、鉄損特性を改善することができる。
【0004】この一方向性電磁鋼板は、最終仕上焼鈍工
程で二次再結晶を起こさせ、鋼板面に{110}、圧延
方向に〈001〉軸を持った、いわゆるゴス組織を発達
させることにより製造されている。良好な磁気特性を得
るためには、磁化容易軸である〈001〉を圧延方向に
高度に揃えることが必要である。
【0005】このような高磁束密度一方向性電磁鋼板の
製造技術として代表的なものに田口悟等による特公昭4
0−15644号公報及び今中拓一等による特公昭51
−13469号公報記載の方法がある。前者においては
MnS及びAlNを、後者ではMnS,MnSe,Sb
等を主なインヒビターとして用いている。従って現在の
技術においてはこれらインヒビターとして機能する析出
物の大きさ、形態及び分散状態を適正に制御することが
不可欠である。
【0006】一方向性電磁鋼板は機能材料であり、磁気
特性を向上させることに技術開発の主眼があるが、工業
的には安定的に製造する技術が備わっていることが必要
である。こういった観点から本発明者らは、中間製品で
最終製品の特性を予測し、制御する技術の開発(特願平
1−1778号等)を行ってきた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、製鋼段階か
ら熱延、焼鈍、冷延等の一連の工程を過て、長期間を要
して、製品となる一方向性電磁鋼板の製造工程におい
て、中間製品から最終製品の特性が予測し難く、その制
御も容易でないという課題に対する定量的評価基準を与
えるものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは下記のとおりである。 (1)重量%でSi:2.5〜4.0%、C:0.03
〜0.10%、酸可溶性Al:0.010〜0.065
%、N:0.0010〜0.0150%、Mn:0.0
2〜0.30%、S:0.005〜0.040%、残部
がFe及び不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを13
00℃以上の温度で加熱し、熱延を施し、次いで熱延板
に、必要に応じて熱延板焼鈍を行い、次いで圧下率80
%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍を挟む
1回以上の冷延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍
を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法において、脱
炭焼鈍後の鋼板の一次再結晶粒の平均直径を6〜11μ
mとし、一次再結晶粒の直径の変動係数を0.5以下と
し、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始直前までに、一次再
結晶粒の平均直径を脱炭焼鈍後の鋼板での平均直径に対
して5〜30%大きくすることを特徴とする一方向性電
磁鋼板の製造方法。
【0009】(2)スラブに、0.4%以下のSn,C
u,Sb,Seの1種又は2種以上を含有することを特
徴とする(1)記載の一方向性電磁鋼板の製造方法。
【0010】
【作用】本発明が対象としている一方向性電磁鋼板は、
従来用いられている製鋼法で得られた溶鋼を連続鋳造法
或いは造塊法で鋳造し、必要に応じて分塊工程を挟んで
スラブとし、引き続き熱間圧延して熱延板とし、次いで
この熱延板に必要に応じて焼鈍を施し、次いで圧下率8
0%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍を挟
む1回以上の冷延、脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を順次行う
ことによって製造される。
【0011】本発明者らは、一方向性電磁鋼板の製造工
程において、中間製品から最終製品の特性を予測し、制
御する方法を広範にわたって研究したところ、脱炭焼鈍
後最終仕上焼鈍前の材料の結晶組織及び、最終仕上焼鈍
中の二次再結晶開始までの間の結晶組織変化が製品の磁
気特性に大きく影響するという新知見を得た。
【0012】以下実験結果を基に詳細に説明する。図1
に、光学顕微鏡で観察した脱炭焼鈍後の鋼板(以下、脱
炭焼鈍板と称す)の結晶組織(板厚方向全域)を画像解
析することによって求めた一次再結晶板の平均直径AG
S(各結晶の円相当直径の平均値を表わす。以下AGS
と略す。)及び直径の変動係数σ(一次再結晶粒の平
均直径AGSで規格化した分布の標準偏差)が製品の磁
束密度(B8 値)に与える影響を示す。
【0013】この場合、重量%でSi:3.2〜3.3
%、C:0.035〜0.091%、酸可溶性Al:
0.021〜0.039%、N:0.0041〜0.0
097%、Mn:0.061〜0.088%、S:0.
021〜0.035%、残部がFe及び不可避的不純物
からなる珪素鋼スラブを1300〜1400℃に1時間
加熱し、熱延して、2.3mm厚の熱延板とした。
【0014】次いで、(1)この熱延板に、1000℃
の熱延板焼鈍を施した後1.55mm厚に冷延し、次いで
1100℃の中間焼鈍を施した後、圧下率約86%で冷
延し、0.22mm厚の冷延板とする、(2)この熱延板
を、1.55mm厚に冷延し、次いで1100℃の中間焼
鈍を施した後圧下率約86%で冷延して、0.22mm厚
の冷延板とする、(3)この熱延板に、1100℃の熱
延板焼鈍を施した後、圧下率約90%で冷延して、0.
22mm厚の冷延板とする、なる3種類のプロセスで、
0.22mm厚の最終冷延板とした。
【0015】かかる冷延板を810〜1000℃の温度
域で脱炭焼鈍(25%N2 +75%H2 、露点55〜6
8℃)を施した。この脱炭焼鈍板の一次再結晶粒の平均
直径と直径の変動係数を光学顕微鏡と画像解析を用いて
測定した。
【0016】次いで、MgOを主成分とする焼鈍分離剤
を鋼板に塗布し、N2 を0〜100%(残部H2 )含む
焼鈍雰囲気中で、15℃/hrの昇温速度で1200℃ま
で昇温し、H2 焼鈍雰囲気中で、1200℃に20時間
保持する最終仕上焼鈍を施した。
【0017】図1から明らかなように、一次再結晶粒
(脱炭焼鈍板)の平均直径AGS=6〜11μm、一次
再結晶粒の直径の変動係数を0.5以下とした範囲内で
のみ、B8 ≧1.88Tと良好な磁気特性をもつ製品が
得られた。但し、この範囲内でもB8 <1.88Tとな
る場合も生じたので、この原因を詳細に検討した。この
検討結果について以下説明する。
【0018】図2に、図1に示した実験において、脱炭
焼鈍板の一次再結晶粒径の平均直径AGSが6〜11μ
mで、かつ、一次再結晶粒の直径の変動係数σが0.
5以下であった材料における、脱炭焼鈍後から最終仕上
焼鈍の二次再結晶開始直前までの粒成長割合ΔAGS/
AGS((二次再結晶直前と脱炭焼鈍板での一次再結晶粒
の平均直径の差)/(脱炭焼鈍板での一次再結晶粒の平
均直径))(%)と磁束密度(B8 )の関係を示す。
【0019】この場合、最終仕上焼鈍の昇温過程の85
0℃から1200℃の間の25℃おきに、試料の一部を
焼鈍炉から引き出し急冷した。この試料の結晶組織を観
察し、板厚を貫通した粒(二次再結晶粒)が発生した引
き出し温度より25℃低い温度で引き出した試料を二次
再結晶開始直前の試料と呼ぶ。
【0020】図2から明らかなように、脱炭焼鈍から最
終仕上焼鈍の二次再結晶開始直前までの粒成長割合ΔA
GS/AGSが5〜30%の場合にいずれも、B8
1.88Tなる良好な磁気特性が得られた。
【0021】図1及び図2に示した関係が成立する理由
については、必ずしも明らかではないが、本発明者ら
は、次のように推察している。
【0022】一次再結晶粒の平均直径は、粒界面積の総
和(単位体積あたり)に逆比例する量であり、これらの
粒界エネルギーが二次再結晶粒の粒成長の駆動力とな
る。この駆動力が低いと、二次再結晶が低温から生じ、
この駆動力が高いと、二次再結晶が生じる温度が高温と
なり、極端な場合には、二次再結晶が生じなくなる。
【0023】一方、直径の変動係数は、大きい程混粒状
態にあることを示し、混粒状態にあるものは、粒成長に
伴い、その混粒状態がより顕著となる(直径の変動係数
がより大きくなる)傾向がある。
【0024】一次再結晶組織が混粒状態にある場合、
{110}〈001〉方位粒に他の方位の粗大粒が隣接
する確率が増加し、{110}〈001〉方位粒が粒成
長し、二次再結晶粒化するのを防げる可能性が増すこと
となる。従って、混粒状態(直径の変動係数が大きい状
態)は、二次再結晶粒の発生にとって不利である。
【0025】一方、本発明の如き高温スラブ加熱でAl
N,MnSを完全固溶させ、熱延、熱延板焼鈍等でAl
N,MnSを微細析出させる製造プロセスにおいては、
二次再結晶進行時のインヒビター強度を高くすること
で、粒界移動の粒界性格依存性を高め、{110}〈0
01〉方位に高度に集積した方位粒だけを二次再結晶さ
せるためには、不可避的に、脱炭焼鈍時のインヒビター
が強くなり、一次再結晶粒径の調整が短時間焼鈍である
脱炭焼鈍だけでは不十分となる。
【0026】従って、この一次再結晶粒径の調整を長時
間焼鈍である仕上焼鈍で施すことが必要となる。この一
次再結晶粒径の調整を行う場合、脱炭焼鈍板で既に混粒
組織(直径の変動係数が大きい状態)になっていると、
粒成長に伴って、混粒傾向が増し、二次再結晶が生じ難
くなり好ましくない。
【0027】そして、直径の変動係数が本発明の如く低
い値に制御された状態で、最終仕上焼鈍中の粒成長を生
ぜしめ、平均直径を二次再結晶直前で所定の範囲にする
ことにより、二次再結晶温度及び二次再結晶粒の粒成長
の駆動力を好ましい範囲に制御することが可能となる。
【0028】従って、脱炭焼鈍板の平均直径、直径の変
動係数及び脱炭焼鈍後から最終仕上焼鈍での二次再結晶
開始直前までの平均直径の変化率と二次再結晶方位の
{110}〈001〉集積度(製品の磁束密度B8 )が
強い相関があるものと推察される。
【0029】次に本発明の構成要件の限定理由について
述べる。本発明の出発素材であるスラブの成分について
は、重量%でSi:2.5〜4.0%、C:0.03〜
0.10%、酸可溶性Al:0.010〜0.065
%、N:0.0010〜0.0150%、Mn:0.0
2〜0.30%、S:0.005〜0.040%を含有
する必要がある。
【0030】Siは4.0%を超すと脆化が激しくなる
ため冷間圧延が困難となり好ましくない。一方2.5%
未満では電気抵抗が低く、良好な鉄損特性が得難い。
【0031】Cは0.03%未満では脱炭焼鈍以前での
γ量が極めて少なくなってしまい脱炭焼鈍後の金属組織
が不適切なものとなる。一方0.10%を超えると脱炭
不良となり好ましくない。
【0032】酸可溶性Al,Nは本発明において高磁束
密度を得るために必須の主インヒビターAlNを得るた
めの基本成分であり、上記範囲を外れると二次再結晶が
不安定となるので酸可溶性Alは0.010〜0.06
5%、Nは0.0010〜0.0150%とする。
【0033】Mn,SはインヒビターMnSを形成する
ために必要な元素であり、上記範囲を外れると二次再結
晶が不安定となるのでMnは0.02〜0.30%、S
は0.005〜0.040%と定める。
【0034】更に、インヒビター構成元素であるSn,
Cu,Sb,Seの1種又は2種以上を各0.4%以下
含有することは、本発明の如き一次再結晶粒成長を制御
する技術においては好ましい。0.4%超では、粒成長
が顕しく抑制されるので好ましくない。
【0035】かかるスラブは1300℃以上の温度で加
熱して熱延を行う。スラブ加熱温度が1300℃未満で
は、AlN,MnSの固溶が不十分となり、二次再結晶
が不安定となり好ましくない。熱延は通常の方法で行わ
れる。
【0036】かかる熱延板は、必要に応じて熱延板焼鈍
を施し、次いで圧下率80%以上の最終冷延を含み、必
要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷延を行い、次い
で脱炭焼鈍、最終仕上焼鈍を順次施す工程を前提として
いる。最終冷延の圧下率が80%未満では高磁束密度が
得難く、好ましくない。
【0037】脱炭焼鈍後の鋼板の一次再結晶粒の平均直
径を6〜11μmとし、一次再結晶粒の直径の変動係数
を0.5以下とし、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始直前
までに、一次再結晶粒の平均直径を脱炭焼鈍後の鋼板の
平均直径に対して5〜30%大きくする必要がある。こ
れは、図1,図2に示した如く、上記の範囲に制御する
ことによりB8 ≧1.88Tなる良好な磁気特性が安定
して得られる。
【0038】上記の如き範囲に脱炭焼鈍板の一次再結晶
粒の平均直径、変動係数及び最終仕上焼鈍中の粒成長挙
動を制御する手段については特に限定するものではな
い。
【0039】インヒビター構成元素の成分範囲、熱延板
焼鈍の熱サイクル、脱炭焼鈍の熱サイクル、雰囲気ガ
ス、焼鈍分離剤への添加物の種類量、最終仕上焼鈍の
熱サイクル、雰囲気ガス等の組合わせにより、上記の値
を必要とする範囲に制御することができる。最終仕上焼
鈍後に、張力を付与するコーティングやレーザー等を用
いた磁区制御を施すと磁気特性が一層向上する。
【0040】
【実施例】実施例1 重量%でSi:3.25%、(A)C:0.079%,
(B)C:0.040%、酸可溶性Al:0.026
%、N:0.0081%、Mn:0.078%、S:
0.024%を含有する250mm厚の2種類のスラブを
1350℃に1時間保持した後熱延し、2.3mm厚の熱
延板とした。
【0041】この熱延板に1100℃に30秒保持した
後900℃に30秒保持して急冷する熱延板焼鈍を施し
た後圧下率約88%で0.285mm厚まで冷延し、85
0℃に150秒保持する脱炭焼鈍(25%N2 +75%
2 、露点68℃の雰囲気ガス中)を施した。光学顕微
鏡と画像解析機を用い、この脱炭焼鈍板の一次再結晶粒
の平均直径AGSと直径の変動係数σを測定した。
【0042】かかる脱炭焼鈍板にMgOを主成分とする
焼鈍分離剤を塗布し、15℃/hrで1200℃まで昇温
し、1200℃で20時間保持する最終仕上焼鈍を施し
た。かかる最終仕上焼鈍の1200℃での保持中の焼鈍
雰囲気は100%H2 とし、昇温中の雰囲気ガスを
(1)100%H2 、(2)20%N2 +80%H2
(3)90%N2 +10%H2 、の3条件とし、昇温中
の900〜1100℃の温度範囲で25℃間隔で試料の
一部を焼鈍炉から引き出し急冷し、結晶組織を光学顕微
鏡と画像解析機を用いて調査し、一次再結晶粒の平均直
径を測定した。
【0043】表1に、工程条件と磁気特性の関係を示
す。表1に示した如く、脱炭焼鈍板の一次再結晶粒の平
均直径、直径の変動係数、最終仕上焼鈍中の平均直径変
化率が本発明の範囲である条件(1),(2)の場合
に、B8 ≧1.93Tなる良好な磁気特性が得られた。
【0044】
【表1】
【0045】実施例2 重量%でSi:3.20%、C:0.074%、酸可溶
性Al:0.028%、N:0.0084%、Mn:
0.080%、S:0.026%を含有し、更に(A)
Sn:0.12%、Cu:0.07%、(B)Sb:
0.08%、(C)Se:0.03%、Sb:0.05
%を含有する250mm厚の3種類のスラブを1350℃
に1時間保持した後熱延し、2.3mmの熱延板とした。
【0046】次いで、(1)この熱延板に、980℃×
3分(均熱)なる熱延板焼鈍を施した後、1.55mm厚
に冷延し、1100℃に30秒保持し、引き続き900
℃に30秒保持した後急冷する中間焼鈍を施し、次いで
圧下率約86%で冷延し、0.22mm厚の冷延板とす
る、(2)この熱延板を1.55mm厚に冷延し、(1)
と同じ条件で中間焼鈍を施した後、圧下率約86%で冷
延し、0.22mm厚の冷延板とする、(3)1080℃
に30秒保持し、引き続き850℃に30秒保持した後
急冷する熱延板焼鈍を施した後圧下率約90%で冷延
し、0.22mm厚の冷延板とする、なる3種類のプロセ
スで、0.22mm厚の最終冷延板とした。
【0047】かかる冷延板を840℃に150秒保持す
る脱炭焼鈍(25%N2 +75%H2 、露点62℃の雰
囲気ガス中)を施した。光学顕微鏡と画像解析機を用
い、この脱炭焼鈍板の一次再結晶粒の平均直径AGS
直径の変動係数のσを測定した。かかる脱炭焼鈍板に
MgOを主成分とする焼鈍分離剤を塗布し、10℃/hr
で1200℃まで昇温し、1200℃で20時間保持す
る最終仕上焼鈍を施した。かかる最終仕上焼鈍の120
0℃での保持中の焼鈍雰囲気は100%H2 とし、昇温
中の雰囲気ガスを10%N2 +90%H2 とし、昇温中
の900〜1100℃の温度範囲で25℃間隔で、試料
の一部を焼鈍炉から引き出し急冷し、結晶組織を光学顕
微鏡と画像解析機を用いて調査し、一次再結晶粒の平均
直径を測定した。
【0048】表2に、工程条件と磁気特性の関係を示
す。表2に示した条件は、すべて本発明の条件となって
おり、いずれの場合も、B8 ≧1.92Tなる良好な磁
気特性が得られている。
【0049】
【表2】
【0050】実施例3 重量%で、Si:3.20%、C:0.078%、酸可
溶性Al:0.029%、N:0.0078%、Mn:
0.080%、S:0.026%を含有する250mm厚
のスラブ(A)と、(A)に更にSn:0.10%を含
有するスラブ(B)と、スラブ(A)に更にCu:0.
12%を含有するスラブ(C)と、スラブ(A)に更に
Sb:0.08%を含有するスラブ(D)と、スラブ
(A)に更にSe:0.03%を含有するスラブ(E)
なる5種類の250mmスラブを実施例1の工程条件でス
ラブ加熱から焼鈍分離剤塗布までの工程を処理した。
【0051】次いで、最終仕上焼鈍を実施例1の(2)
の条件で処理した。脱炭焼鈍板の結晶組織と最終仕上焼
鈍での二次再結晶直前の結晶組織を実施例1と同様に調
査した。
【0052】表3に、工程条件と磁気特性の関係を示
す。表3に示した条件は、すべて本条件となっており、
いずれの場合も、B8 ≧1.92Tなる良好な磁気特性
が得られている。そして、Sn,Cu,Sb,Seが本
発明の条件となっている。(B),(C),(D),
(E)の場合は、B8 ≧1.94Tなるとりわけ良好な
磁気特性が得られている。
【0053】
【表3】
【0054】実施例4 重量%で、Si:3.30%、C:0.074%、酸可
溶性Al:0.026%、N:0.0075%、Mn:
0.081%、S:0.025%、Sn:0.12%、
Cu:0.07%を含有する250mm厚のスラブを13
50℃に1時間30分保持した後、熱延し、2.3mm厚
の熱延板とした。
【0055】この熱延板に、1000℃に2分保持した
後急冷する熱延板焼鈍を施した後、1.2mm厚に冷延
し、1100℃に30秒保持し、引き続き900℃に3
0秒保持した後急冷する中間焼鈍を施した。
【0056】しかる後、この鋼板を圧下率約88%で冷
延して、0.145mmの冷延板とした。かかる冷延板
を、840℃に150秒保持する脱炭焼鈍(25%N2
+75%H2 、露点62℃の雰囲気ガス中)を施した。
【0057】かかる脱炭焼鈍板にMgOを主成分とする
焼鈍分離剤の塗布を行い、実施例1記載の条件(1),
(2),(3)で、最終仕上焼鈍を施した。
【0058】脱炭焼鈍板の結晶組織と最終仕上焼鈍での
二次再結晶直前の結晶組織を実施例1と同様に調査し
た。
【0059】表4に、工程条件と磁気特性の関係を示
す。表4に示した条件の内、(2)は本発明の条件とな
っており、B8 ≧1.92Tなる良好な磁気特性が得ら
れている。
【0060】
【表4】
【0061】
【発明の効果】本発明に従って、脱炭焼鈍後の鋼板の一
次再結晶粒の平均直径、直径の変動係数及び最終仕上焼
鈍の二次再結晶開始直前と脱炭焼鈍後の状態での一次再
結晶粒の平均直径の比率(粒成長割合)を制御すること
により、磁気特性の優れた一方向性電磁鋼板を安定して
製造することができ、更に、Sn,Cu,Sb,Seの
1種又は2種以上を添加することにより、いっそう優れ
た磁気特性を有する一方向性電磁鋼板を安定して製造で
きるので、これらの技術の工業的意義は極めて大であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】脱炭焼鈍板の一次再結晶粒の平均直径及び直径
の変動係数が製品の磁束密度に与える影響を示す図表で
ある。
【図2】脱炭焼鈍後から最終仕上焼鈍の二次再結晶開始
直前までの粒成長割合と製品の磁束密度の関係を示す図
表である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増井 浩昭 北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新日本 製鐵株式会社 八幡製鐵所内 (56)参考文献 特開 平2−182866(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で Si:2.5〜4.0%、 C :0.03〜0.10%、 酸可溶性Al:0.010〜0.065%、 N :0.0010〜0.0150%、 Mn:0.02〜0.30%、 S :0.005〜0.040%、 残部がFe及び不可避的不純物からなる珪素鋼スラブを
    1300℃以上の温度で加熱し、熱延を施し、次いで熱
    延板に必要に応じて熱延板焼鈍を行い、次いで圧下率8
    0%以上の最終冷延を含み、必要に応じて中間焼鈍を挟
    む1回以上の冷延を行い、次いで脱炭焼鈍、最終仕上焼
    鈍を施して一方向性電磁鋼板を製造する方法において、
    脱炭焼鈍後の鋼板の一次再結晶粒の平均直径を6〜11
    μmとし、一次再結晶粒の直径の変動係数を0.5以下
    とし、最終仕上焼鈍の二次再結晶開始直前までに、一次
    再結晶粒の平均直径を脱炭焼鈍後の鋼板での平均直径に
    対して5〜30%大きくすることを特徴とする一方向性
    電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 スラブに、0.4%以下のSn,Cu,
    Sb,Seの1種又は2種以上を含有することを特徴と
    する請求項1記載の一方向性電磁鋼板の製造方法。
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