JP3214719B2 - 走行車両 - Google Patents

走行車両

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JP3214719B2
JP3214719B2 JP00031292A JP31292A JP3214719B2 JP 3214719 B2 JP3214719 B2 JP 3214719B2 JP 00031292 A JP00031292 A JP 00031292A JP 31292 A JP31292 A JP 31292A JP 3214719 B2 JP3214719 B2 JP 3214719B2
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東一郎 引地
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,車体前部に操舵可
能な単一の前輪を備えるとともに,車体後部に走行用駆
動源に接続された左右一対の後輪を備え,車体を左右に
揺動させて旋回走行できるようにした走行車両に関す
る。
【0002】
【従来の技術】前輪と左右一対の後輪とを有し,車体を
左右に揺動させて走行する走行車両は,一般に前輪を支
持する前車体と後輪を支持する後車体とが車体前後方向
に延びる揺動軸を中心に相対回転自在に連結されてお
り,後車体に対して前車体を揺動軸まわりに左右に揺動
させて旋回を行っている。かかる走行車両において車体
を停車時に自立させるべく,揺動ロック機構で前車体と
後車体とを揺動不能にロックするものが,特公昭63−
2834号公報により公知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで,上記従来の
車体を左右に揺動させて走行する走行車両は,前車体と
後車体を揺動自在に連結する揺動軸を備えているので,
車体を停車時に自立させるために揺動軸のロック機構が
必要であり,そのロック機構を解除すると車体の自立機
能が得られないという不都合があった。
【0004】本発明は前述の事情に鑑みてなされたもの
で,揺動軸のロック機構等の規制手段を操作することな
く自立性能と旋回性能を発揮させることが可能な走行車
両を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に本発明は,車体前部に操舵可能な単一の前輪を備える
とともに,車体後部に走行用駆動源に接続された左右一
対の後輪を備え,車体を左右に揺動させて旋回走行でき
るようにした走行車両において,車体にリヤフォークの
前部を,車体左右方向に延びる軸線回りに上下揺動自在
に枢支し,そのリヤフォークの後部に支持した左右一対
の後輪に,旋回走行時に車体を左右に揺動し得るように
プラスのキャンバを持たせたことを第1の特徴とする。
【0006】また本発明は前述の第1の特徴に加えて,
前記左右一対の後輪にトーインを持たせたことを第2の
特徴とする。
【0007】また本発明は前述の第1の特徴に加えて,
前記後輪支持部材に前記左右一対の後輪を操舵可能に支
持したことを第3の特徴とする。
【0008】また本発明は前述の第の特徴に加えて,
前記左右一対の後輪にトレールを持たせて路面からの横
力により操舵可能としたことを第4の特徴とする。
【0009】また本発明は前述の第の特徴に加えて,
前記左右一対の後輪をアクチュエータに接続して操舵可
能としたことを第5の特徴とする。
【0010】また本発明は前述の第3の特徴に加えて,
前記左右一対の後輪にトレールを持たせて路面からの横
力により操舵可能とし,かつ前記後輪をアクチュエータ
に接続して操舵可能としたことを第6の特徴とする。
た本発明は前述の第1の特徴に加えて,前記リヤフォー
ク後部の左右両側面の各上部と各下部にはナックルホル
ダー部がそれぞれ設けられ,その左側の上,下ナックル
ホルダー部にそれぞれ着脱可能に設けたボールジョイン
トには左後輪を支持するナックルが,またその右側の
上,下ナックルホルダー部にそれぞれ着脱可能に設けた
ボールジョイントには右後輪を支持するナックルがそれ
ぞれ左右首振り自在に支持されることを第7の特徴とす
る。 また本発明は前述の第7の特徴に加えて,前記ナッ
クルには,車体前方側に延びるナックルアームが設けら
れ,このナックルアームと前記リヤフォークとの間が,
長さ調整可能なタイロッドで接続されることを第8の特
徴とする。 また本発明は前述の第7の特徴に加えて,前
記ナックルには,それと対応する後輪に連結した外軸が
回転自在に支持されることを第9の特徴とする。 また本
発明は前述の第9の特徴に加えて,前記リヤフォーク
は,前部と後部がそれぞれ二股状に形成されて全体とし
て平面視X状に構成され,そのリヤフォーク後部の二股
に分かれた左右の後端部間には,その両後端部間に回転
自在に支持され前記外軸を連動回転させる内軸と,この
内軸に連結され前記走行用駆動源からの回転駆動力を受
けるスプロケットとが設けられることを第10の特徴と
している。 また本発明は前述の第10の特徴に加えて,
前記外軸と内軸の各内周面にはスプラインがそれぞれ形
成され,その両スプラインにそれぞれ係合する一対の球
状スプラインを両端に有する中間軸によって,前記内軸
から前記外軸へ駆動力が伝達されるようにしたことを第
11の特徴とする。
【0011】
【実施例】以下,図面に基づいて本発明の実施例を説明
する。
【0012】図1〜図8は本発明の第1実施例を示すも
ので,図1はその自動三輪車の全体側面図,図2は図1
の2方向矢視図,図3は図1の3方向矢視図,図4は図
1の4−4線断面図,図5は図4の5−5線断面図,図
6は図1の要部拡大図,図7はリヤフォークの斜視図,
図8は作用の説明図である。
【0013】図1〜図3に示すように,自動三輪車Vは
鋼管を溶接して成る車体フレーム1と,その車体フレー
ム1を覆う合成樹脂製のボディ2を備える。車体フレー
ム1の前部にはフロントフォーク3が左右回転自在に支
持され,そのフロントフォーク3の上端および下端には
ハンドル4および前輪Wfがそれぞれ設けられる。車体
フレーム1の中央部には,複数のバッテリ5をエネルギ
ー源とする走行用のモータ6とベルト式無段変速機7と
を一体化して成るパワーユニット8が搭載され,また車
体フレーム1の後部には後端に左右一対の後輪Wrを支
持した平面視X状のリヤフォーク9の前端が,左右一対
のピボット10を介して上下揺動自在に枢支される。そ
してリヤフォーク9の中間部と前記車体フレーム1と
は,リヤクッション11により接続される。ベルト式無
段変速機7のドライブスプロケット12と後輪Wrのド
リブンスプロケット13とはドライブチェン14を介し
て接続され,これによりパワーユニット8の出力が後輪
Wrに伝達される。
【0014】次に,図4〜図7に基づいて後輪Wrをリ
ヤフォーク9に操舵可能に支持するための構造を詳述す
る。
【0015】リヤフォーク9の二股状に形成された後部
には,中央の内軸21,左右一対の外軸22,および前
記内軸21と外軸22を接続する左右一対の中間軸23
から構成される後輪Wrの車軸が支持される。すなわ
ち,リヤフォーク9の後部には左右一対の偏心ブロック
24が嵌合保持され,それら左右の偏心ブロック24に
ボールベアリング25およびローラベアリング26を介
して前記内軸21が支持される。内軸21の中央部には
ホイールダンパー27を介して前記ドリブンスプロケッ
ト13が支持され,パワーユニット8の出力はホイール
ダンパー27を介して先ず内軸21に伝達される。
【0016】リヤフォーク9の後部両側面には2個のナ
ックルホルダー部91 ,92 が上下に突設され,各ナッ
クルホルダー部91 ,92 の先端にボールジョイント2
8の軸部281 が外向きに植設される。ボールジョイン
ト28には左右のナックル29が左右首振り自在に支持
され,そのナックル29から車体前方に突出するナック
ルアーム291 にタイロッド30が接続される。各ナッ
クル29にはボールベアリング31を介して前記外軸
が回転自在に支持される。そして前記内軸21の内面
に形成したスプラインと前記外軸22の内面に形成した
スプラインとに前記中間軸23の両端に形成した一対の
球状スプライン231 ,232 がそれぞれ係合する。そ
の結果,前記偏心ブロック24によって発生する内軸2
1と外軸の22の偏心量δ(図6参照),および後輪W
rの操舵による外軸22の角変位を吸収しながら内軸2
1から外軸22へ駆動力を伝達することができる。尚,
リヤフォーク7に対する偏心ブロック24の回転位置を
調整して前記偏心量δを車体前後方向に発生させれば,
ドライブチェン14の張力調整を容易に行うことができ
る。
【0017】各外軸22には後輪Wrのハブ32とブレ
ーキディスク33が共締めされ,前記ナックル29には
ブレーキディスク33を挟圧するブレーキキャリパ34
が設けられる。
【0018】図2から明らかなように,タイロッド30
の長さを適宜調整することにより左右の後輪Wrにはト
ーインが与えられ,これにより車両の直進性の向上が図
られる。
【0019】図3から明らかなように,左右の後輪Wr
には上下のボールジョイント28の長さに差を持たせる
ことによりプラスのキャンバが与えられる。すなわち左
右の後輪Wr下端間(両接地部間)の距離Lは上端間の
距離よりも小さく設定され,これにより停車時に車体を
自立させることを可能としながら,旋回時に容易に車体
をバンクさせて自動二輪車の感覚での運転を可能として
いる。
【0020】図6から明らかなように,上下のボールジ
ョイント28を結ぶ直線kは後輪Wrを左右に操舵する
ための車輪転向軸線を与える。車輪転向軸線kは車体に
対して後傾しており,これにより後輪Wrにプラスのキ
ャスタ角αとプラスのトレールTを与えている。また前
記車輪転向軸線kは後輪Wrの中心Oに対して車体後方
にオフセットされている。上述のように後輪Wrがプラ
スのトレールTを持つために後輪Wrの接地点Pは前記
車輪転向軸線kの後方に位置し,その結果旋回時に接地
点Pが路面から受ける横力によって,後輪Wrは車輪転
向軸線kの回りに旋回方向と逆方向の操舵力を受けるこ
とになる。すなわち,例えば前輪Wfを右方向に操舵し
て車体を右方向に旋回させる場合,車体は慣性によって
暫く直進しようとするために,該車体は後輪Wrに対し
て相対的に旋回方向外側(左側)に変位する。その結
果,前記トレールTの作用で接地点Pに旋回方向内側
(右側)への横力が作用し,後輪Wrは車輪転向軸線k
を中心に左向きすなわち前輪Wfと逆位相に操舵され
る。
【0021】ところで,後輪Wrはその接地点Pが路面
から受ける横力によって操舵されるだけでなく,後述の
アクチュエータによっても積極的に操舵される。すなわ
ち,図4に示すように,左右の後輪Wrを支持するナッ
クル29から前方に延びるナックルアーム291 の先端
に接続された左右一対のタイロッド30は,リヤフォー
ク9の中央部に支点ピン35を介して左右揺動自在に枢
支されたベルクランク36に接続される。そして前記ベ
ルクランク36はダンパー機能を有するアクチュエータ
37に接続されて左右に揺動駆動される。その結果,ア
クチュエータ37の駆動力で後輪Wrが積極的に操舵さ
れるとともに,そのアクチュエータ37のダンパー機能
によって後輪Wrに前記横力に伴う操舵力に対する抵抗
力が付与される。
【0022】図5から明らかなように,アクチュエータ
37はリヤフォーク9の内部に設けた上下一対のガイド
部材38に摺動自在に支持された環状のスライダ39を
備える。スライダ39はモータ40により回転する送り
ネジ41に係合して前記ガイド部材38に沿って往復駆
動されるもので,その内周にはシリンダ42の外周に突
設した突起421 が嵌合保持される。油を満たしたシリ
ンダ42の内部に摺動自在に係合するピストン43と一
体のシリンダロッド44の両端部はシリンダ42の端壁
から外部に延出し,その一端が前記ベルクランク36に
ピン45で枢支される。シリンダロッド44の両端に設
けたバネ座46とシリンダ42の端壁との間には,それ
ぞれプリロードスプリング47が縮設される。またピス
トン43にはその反対側の開口部がそれぞればね性を有
する弁板48,49で閉塞される2個のオリフィス43
1 ,432 が穿設される。
【0023】したがって,例えば車速を検出する図示せ
ぬセンサの出力信号が入力される制御装置50によって
モータ40を駆動し,例えばシリンダ42全体を図4お
よび図5において左方向に移動させると,ベルクランク
36が時計方向に揺動して左右の後輪Wrは右向きに操
舵され,逆にシリンダ42全体を図中右方向に移動させ
ると後輪Wrは左向きに操舵される。一方,後輪Wrが
路面の突起に乗り上げた場合等に後輪Wrからナックル
29,タイロッド30およびベルクランク36を介して
伝達された衝撃が例えばシリンダロッド44を図中右方
向に駆動すると,オリフィス431 を閉塞する弁板48
が開いてピストン43の右側の油が左側に流入し,その
際に発生する油の粘性力によって前記衝撃が緩衝され
る。これと同時に一対のプリロードスプリング47が弾
性変形し,その復元力によってピストン43は中立位置
に復元する。また,前記衝撃がシリンダロッド44を図
中左方向に駆動した場合にも,前述と同様の作用によっ
て衝撃が緩衝される。
【0024】而して,アクチュエータ37の駆動力によ
り後輪Wrを任意の方向に操舵することが可能となり,
またアクチュエータ37のダンパー機能によって路面か
らの横力に伴う操舵力に対する抵抗力を付与し,かつ路
面からの衝撃を緩衝することが可能となる。
【0025】次に,前述の構成を備えた本発明の第1実
施例の作用について説明する。
【0026】自動三輪車Vの左右一対の後輪Wrを支持
するリヤフォーク9が車体フレーム1に対して上下揺動
のみ可能に枢支されているため,前車体と後車体とを車
体前後方向に延びる揺動軸を介して相対回転自在に連結
した従来の自動三輪車が必要とした揺動ロック機構を用
いることなく,停車時に前輪Wfと左右一対の後輪Wr
とにより車体を安定した状態で自立させることができ
る。また走行時には,左右一対の後輪Wrの接地部間の
距離Lをプラスのキャンバによって小さく設定している
ため,前車体と後車体とを相対回転自在に連結する揺動
軸を用いることなく,車体を容易にバンクさせて自動二
輪車の感覚で旋回させることができる。
【0027】さて,図8(A)に示すように,車体を例
えば右旋回させるべく前輪Wfをハンドル4で右方向に
操舵した場合に,後輪Wrが前輪Wfと逆位相すなわち
左方向に操舵されたとする。後輪Wrの操舵を行わない
場合には重心の移動距離がL0 になるように車体を大き
くバンクさせないと旋回できないのに対し,上述のよう
に後輪Wrを前輪Wfに対して逆位相に操舵すると,重
心の移動距離がL1 になるように車体を小さくバンクさ
せるだけで旋回することが可能になり,その結果自動二
輪車の操舵フィーリングを持つ優れた旋回性能を得るこ
とができる。
【0028】一方,図8(B)に示すように,車体を例
えば右旋回させるべく前輪Wfをハンドル4で右方向に
操舵した場合に,後輪Wrが前輪Wfと同位相すなわち
右方向に操舵されたとする。このように後輪Wrを前輪
Wfに対して同位相に操舵するとバンク無しで車体を横
方向に移動させることができ,車線の変更を行う場合や
駐車時に車体を幅寄せする場合に便利である。
【0029】本実施例では,図6に示すようにナックル
29を支持する上下のボールジョイント28を結ぶ車輪
転向軸線kを車体に対して後傾させているので,後輪W
rにプラスのトレールTが与えられる。その結果,後輪
Wrの接地点Pが前記車輪転向軸線kの後方に位置する
ことになり,前記接地点Pが路面から受ける横力によっ
て後輪Wrは旋回方向と逆方向の操舵力を受けて前記逆
位相の操舵が行われることになる。
【0030】前述の路面からの横力によって行われる後
輪Wrの操舵方向はトレールTの正負によって一義的に
設定されるのに対し(実施例では逆位相),アクチュエ
ータ37による後輪Wrの操舵は逆位相と同位相を任意
に設定することができる。例えば,低車速域から高車速
域までアクチュエータ37で後輪Wrを逆位相に操舵す
れば,前述の横力による後輪Wrの逆位相の操舵を補助
して操舵フィーリングを一層向上させることができる。
しかも,アクチュエータ37による操舵量は任意に設定
することが可能であるため,車速に応じて前記操舵量を
制御することにより,低車速域から高車速域まで適切な
操舵フィーリングを保持することができる。
【0031】また,低車速域においてアクチュエータ3
7で後輪Wrを同位相に操舵することにより横力による
後輪Wrの逆位相の操舵を打ち消せば,低速域での小回
り性能を向上させることができるばかりか,駐車時の幅
寄せを容易に行なえるようになる。
【0032】図9および図10は本発明の第2実施例を
示すものである。
【0033】この第2実施例の自動三輪車Vは内燃機関
51を走行用駆動源とするもので,図中の52はエアク
リーナ,53はキャブレタ,54はマフラーである。こ
の実施例は後輪Wrの断面形状に特徴があり,その最大
直径位置が後輪Wrの厚さ方向中央部よりも車体中心線
側に偏倚している。これにより,左右の後輪Wrの接地
部間の距離L′を図3に示す第1実施例のものに比べて
小さくすることができ,車体のバンクを一層容易にして
旋回性能を向上させることができる。
【0034】以上,本発明の実施例を詳述したが,本発
明は前記実施例に限定されるものではなく,種々の小設
計変更を行うことが可能である。
【0035】例えば,実施例では後輪Wrにプラスのト
レールを与えて旋回時に後輪Wrを前輪Wfと逆位相に
操舵しているが,マイナスのトレールを与えて後輪Wr
を前輪Wfと同位相に操舵することもできる。また,ア
クチュエータ37による後輪Wrの操舵方向は実施例の
ものに限定されず,車速以外にハンドル4の操舵角等の
種々の運転条件に応じて任意に設定することが可能であ
る。
【0036】
【発明の効果】以上のように本発明の第1の特徴によれ
ば,車体前部に操舵可能な単一の前輪を備えるととも
に,車体後部に走行用駆動源に接続された左右一対の後
輪を備え,車体を左右に揺動させて旋回走行できるよう
にした三輪車両において,車体にリヤフォークの前部
を,車体左右方向に延びる軸線回りに上下揺動自在に枢
支し,そのリヤフォークの後部に支持した左右一対の後
輪に,旋回走行時に車体を左右に揺動し得るようにプラ
スのキャンバを持たせたので,駐車時には,前,後車体
を車体前後方向に延びる揺動軸を介して相対揺動可能に
連結した従来の走行車両が必要とした前,後車体間の揺
動ロック機構を用いることなく,前輪と左右一対の後輪
とによって車体を安定した状態で自立させることが可能
となる。しかも走行時には,左右一対の後輪の接地部間
の距離をプラスのキャンバによって小さく設定した関係
で,乗員の単なる重心移動により,上記揺動軸を用いな
くても車体を容易にバンクさせることが可能となるか
ら,車両の旋回性能を向上させることができ,従って後
輪が左右二輪あっても自動二輪車の感覚で容易に旋回走
行することができる。
【0037】また本発明の第2の特徴によれば,左右一
対の後輪にトーインを持たせたことにより,車両の直進
性能を向上させることができる。
【0038】また本発明の第3の特徴によれば,後輪支
持部材に左右一対の後輪を操舵可能に支持したので,走
行時には前後両輪の操舵により優れた旋回性能を発揮さ
せることが可能となる。
【0039】また本発明の第4の特徴によれば,左右一
対の後輪にトレールを持たせたことにより,車両の旋回
時に路面から受ける横力で後輪を自動的に操舵して旋回
性能を向上させることができる。
【0040】また本発明の第5の特徴によれば,左右一
対の後輪をアクチュエータに接続して積極的に操舵可能
としたことにより,後輪を任意の方向に操舵して種々の
旋回特性を与えることができる。
【0041】また本発明の第6の特徴によれば,左右一
対の後輪にトレールを持たせて路面からの横力により操
舵可能とし,かつ前記後輪をアクチュエータに接続して
操舵可能としたことにより,後輪を任意の方向に操舵し
て種々の旋回特性を与えるとともに,二つの操舵手段の
組合せによって旋回特性の設定自由度を大幅に向上させ
ることができる。また本発明の第7の特徴によれば,上
下のボールジョイントの有効長さに差を持たせることに
より,左右の後輪にプラスのキャンバを容易に設定で
き,しかもそれらボールジョイントを,有効長さの異な
る別のボールジョイントに交換することにより,キャン
バ調整も可能である。 また本発明の第8の特徴によれ
ば,左右のタイロッドの有効長さを適宜調整することに
より,左右の後輪にトーインを容易に設定でき,且つそ
の調整が容易である。 また本発明の第10の特徴によれ
ば,リヤフォーク後部の二股に分かれた左右の後端部間
の空間を有効に利用して,走行用駆動源からの回転駆動
力を受けるスプロケットと,このスプロケットに連結し
た内軸とを無理なく配置できる。 また本発明の第11の
特徴によれば,左右後輪のアライメント調整により後輪
の軸線(外軸)とスプロケットの軸線(内軸)とが相対
角変位しても,スプロケットから後輪側への駆動力伝達
を無理なく確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例による自動三輪車の全体側
面図
【図2】図1の2方向矢視図
【図3】図1の3方向矢視図
【図4】図1の4−4線断面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】図1の要部拡大図
【図7】リヤフォークの斜視図
【図8】作用の説明図
【図9】本発明の第2実施例に係る,前記図4に対応す
る図
【図10】本発明の第2実施例に係る,前記図3に対応
する図
【符号の説明】
6 モータ(走行用駆動源) 9 リヤフォー 1 ,9 2 ナックルホルダー部 13 ドリブンスプロケット(スプロケット) 21 内軸 22 外軸 23 中間軸 23 1 ,23 2 球状スプライン 28 ボールジョイント 29 ナックル 29 1 ナックルアーム 30 タイロッド 37 アクチュエータ Wf 前輪 Wr 後輪
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62K 5/04 B62D 17/00 B62K 21/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体前部に操舵可能な単一の前輪(W
    f)を備えるとともに,車体後部に走行用駆動源(6)
    に接続された左右一対の後輪(Wr)を備え,車体を左
    右に揺動させて旋回走行できるようにした走行車両にお
    いて, 車体にリヤフォーク(9)の前部を,車体左右方向に延
    びる軸線回りに上下揺動自在に枢支し,そのリヤフォー
    (9)の後部に支持させた左右一対の後輪(Wr)
    に,旋回走行時に車体を左右に揺動し得るようにプラス
    のキャンバを持たせたことを特徴とする走行車両。
  2. 【請求項2】 前記左右一対の後輪(Wr)にトーイン
    を持たせたことを特徴とする,請求項1記載の走行車
    両。
  3. 【請求項3】 前記後輪支持部材(9)に前記左右一対
    の後輪(Wr)を操舵可能に支持したことを特徴とす
    る,請求項1記載の走行車両。
  4. 【請求項4】 前記左右一対の後輪(Wr)にトレール
    を持たせて路面からの横力により操舵可能としたことを
    特徴とする,請求項3記載の走行車両。
  5. 【請求項5】 前記左右一対の後輪(Wr)をアクチュ
    エータ(37)に接続して操舵可能としたことを特徴と
    する,請求項3記載の走行車両。
  6. 【請求項6】 前記左右一対の後輪(Wr)にトレール
    を持たせて路面からの横力により操舵可能とし,かつ前
    記後輪(Wr)をアクチュエータ(37)に接続して操
    舵可能としたことを特徴とする,請求項3記載の走行車
    両。
  7. 【請求項7】 前記リヤフォーク(9)後部の左右両側
    面の各上部と各下部にはナックルホルダー部(9 1 ,9
    2 )がそれぞれ設けられ,その左側の上,下ナックルホ
    ルダー部(9 1 ,9 2 )にそれぞれ着脱可能に設けたボ
    ールジョイント(28)には左後輪(Wr)を支持する
    ナックル(29)が,またその右側の上,下ナックルホ
    ルダー部(9 1 ,9 2 )にそれぞれ着脱可能に設けたボ
    ールジョイント(28)には右後輪(Wr)を支持する
    ナックル(29)がそれぞれ左右首振り自在に支持され
    ることを特徴とする,請求項1記載の走行車両。
  8. 【請求項8】 前記ナックル(29)には,車体前方側
    に延びるナックルアーム(29 1 )が設けられ,このナ
    ックルアーム(29 1 )と前記リヤフォーク(9)との
    間が,長さ調整可能なタイロッド(30)で接続される
    ことを特徴と する,請求項7記載の走行車両。
  9. 【請求項9】 前記ナックル(29)には,それと対応
    する後輪(Wr)に連結した外軸(22)が回転自在に
    支持されることを特徴とする,請求項7記載の走行車
    両。
  10. 【請求項10】 前記リヤフォーク(9)は,前部と後
    部がそれぞれ二股状に形成されて全体として平面視X状
    に構成され,そのリヤフォーク(9)後部の二股に分か
    れた左右の後端部間には,その両後端部間に回転自在に
    支持され前記外軸(22)を連動回転させる内軸(2
    1)と,この内軸(21)に連結され前記走行用駆動源
    (6)からの回転駆動力を受けるスプロケット(13)
    とが設けられることを特徴とする,請求項9記載の走行
    車両。
  11. 【請求項11】 前記外軸(22)と内軸(21)の各
    内周面にはスプラインがそれぞれ形成され,その両スプ
    ラインにそれぞれ係合する一対の球状スプライン(23
    1 ,23 2 )を両端に有する中間軸(23)によって,
    前記内軸(21)から前記外軸(22)へ駆動力が伝達
    されるようにしたことを特徴とする,請求項10記載の
    走行車両。
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