JP3213780B2 - 光学活性化合物、これを含有する液晶組成物、該液晶組成物を用いた液晶素子並びにこれらを用いた表示方法、表示装置 - Google Patents

光学活性化合物、これを含有する液晶組成物、該液晶組成物を用いた液晶素子並びにこれらを用いた表示方法、表示装置

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JP3213780B2 JP34473993A JP34473993A JP3213780B2 JP 3213780 B2 JP3213780 B2 JP 3213780B2 JP 34473993 A JP34473993 A JP 34473993A JP 34473993 A JP34473993 A JP 34473993A JP 3213780 B2 JP3213780 B2 JP 3213780B2
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規な光学活性化合
物、これを含有する液晶組成物及びこれを使用した液晶
素子並びに表示装置に関し、更に詳しくは電界に対する
応答特性が改善された新規な液晶組成物、及びこれを使
用した液晶表示素子や液晶−光シャッター等に利用され
る液晶素子並びに該液晶素子を表示に使用した表示装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、液晶は電気光学素子として種
々の分野で応用されている。現在実用化されている液晶
素子はほとんどが、例えばエム・シャット(M.Sch
adt)とダブリュ・ヘルフリッヒ(W.Helfri
ch)著“アプライド フィジックス レターズ(Ap
plied Physics Letters)”Vo
l.18,No.4(1971.2.15)P.127
〜128の“Voltage Dependent O
ptical Activity of a Twis
ted Nematic Liquid Crysta
l”に示されたTN(Twisted Nemati
c)型の液晶を用いたものである。これらは、液晶の誘
電的配列効果に基づいており、液晶分子の誘電異方性の
ために平均分子軸方向が加えられた電場により特定の方
向に向く効果を利用している。これらの素子の光学的な
応答速度の限界はミリ秒であるといわれ、多くの応用の
ためには遅すぎる。
【0003】一方、大型平面ディスプレイへの応用で
は、価格、生産性などを考え合わせると単純マトリクス
方式による駆動が最も有力である。単純マトリクス方式
においては走査電極群と信号電極群をマトリクス状に構
成した電極構成が採用され、その駆動のためには走査電
極群に順次周期的にアドレス信号を選択印加し、信号電
極群には所定の情報信号をアドレス信号と同期させて並
列的に選択印加する時分割駆動方式が採用されている。
【0004】しかし、この様な駆動方式の素子に前述し
たTN型の液晶を採用すると、走査電極が選択され信号
電極が選択されない領域、或いは走査電極が選択され
ず、信号電極が選択される領域(所謂“半選択点”)に
も有限に電界がかかってしまう。選択点にかかる電圧
と、半選択点にかかる電圧の差が十分に大きく、液晶分
子を電界に垂直に配列させるのに要する電圧閾値がこの
中間の電圧値に設定されるならば、表示素子は正常に動
作するわけであるが、走査線数(N)を増加していった
場合、画面全体(1フレーム)を走査する間に一つの選
択点に有効な電界がかかっている時間(duty比)が
1/Nの割合で減少してしまう。このために、繰り返し
走査を行った場合の選択点を非選択点にかかる実効値と
しての電圧差は、走査線数が増えれば増える程小さくな
り、結果的には画像コントラストの低下やクロストーク
が避け難い欠点となっている。
【0005】この様な現象は、双安定性を有さない液晶
(電極面に対し、液晶分子が水平に配向しているのが安
定状態であり、電界が有効に印加されている間のみ垂直
に配向する)を時間的蓄積効果を利用して駆動する(即
ち、繰り返し走査する)時に生ずる本質的には避け難い
問題点である。
【0006】この点を改良するために、電圧平均化法、
2周波駆動法、多重マトリクス法等が既に提案されてい
るが、いずれの方法でも不十分であり、表示素子の大画
面化や高密度化は、走査線数が十分に増やせないことに
よって頭打ちになっているのが現状である。
【0007】この様な従来型の液晶素子の欠点を改善す
るものとして、双安定性を有する液晶素子の使用がクラ
ーク(Clark)及びラガウェル(Lagerwal
l)により提案されている(特開昭56−107216
号公報、米国特許第4367924号明細書等)。
【0008】双安定性液晶としては、一般にカイラルス
メクティックC相(SmC*相)又はH相(SmH*相)
を有する強誘電性液晶が用いられる。このカイラルスメ
クティック液晶は電界に対して第1の光学的安定状態と
第2の光学的安定状態からなる双安定状態を有し、従っ
て前述のTN型の液晶で用いられた光学変調素子とは異
なり、例えば、一方の電界ベクトルに対して第1の光学
的安定状態に液晶が配向し、他方の電界ベクトルに対し
ては第2の光学的安定状態に液晶が配向されている。ま
た、この型の液晶は、加えられる電界に応答して、上記
2つの安定状態のいずれかを取り、且つ電界の印加のな
いときはその状態を維持する性質(双安定性)を有す
る。
【0009】以上の様な双安定性を有する特徴に加え
て、カイラルスメクティック液晶は高速応答性であると
いう優れた特徴を持つ。それは強誘電性液晶の持つ自発
分極と印加電場が直接作用して配向状態の転移を誘起す
るためであり、誘電率異方性と電場の作用により応答速
度より3〜4オーダー速い。
【0010】この様にカイラルスメクティック液晶は極
めて優れた特性を潜在的に有しており、この様な性質を
利用することにより、上述した従来のTN型素子の問題
点の多くに対して、かなり本質的な改善が得られる。特
に、高速光学光シャッターや高密度・大画面ディスプレ
イへの応用が期待される。このため強誘電性を持つ液晶
材料に関しては広く研究がなされているが、現在までに
開発されたカイラルスメクティック液晶材料は低温作動
特性、高速応答性、コントラスト等を含めて液晶素子に
用いる十分な特性を備えているとは言い難い。
【0011】応答時間τと自発分極の大きさPs及び粘
度ηの間には下記の式(1)
【0012】
【数1】 の関係が存在する。従って、応答速度を速くするには、 (ア)自発分極の大きさPsを大きくする (イ)粘度ηを小さくする (ウ)印加電界Eを大きくする 方法がある。しかし、印加電界はIC等で駆動するため
上限があり、できるだけ低い方が望ましい。よって、実
際には粘度ηを小さくするか、自発分極の大きさPsの
値を大きくする必要がある。
【0013】一般的に自発分極の大きい強誘電性カイラ
ルスメクティック液晶化合物においては、自発分極のも
たらすセルの内部電界も大きく、双安定状態をとりうる
素子構成への制約が多くなる傾向にある。また、いたず
らに自発分極を大きくしても、それにつれて粘度も大き
くなる傾向にあり、結果的には応答速度はあまり速くな
らないことが考えられる。
【0014】また、実際のディスプレイとしての使用温
度範囲が例えば5〜40℃程度とした場合、応答速度の
変化が一般に20程度もあり、駆動電圧及び周波数によ
る調節の限界を越えているのが現状である。
【0015】また一般に、液晶の屈折率を利用した液晶
素子の場合、直交ニコル下における透過率は下記(2)
式で表わされる。
【0016】
【数2】
【0017】(2)式中、Ioは入射光強度、Iは透過
光強度、θ aは以下で定義される見かけのティルト角、
Δnは屈折率異方性、dは液晶層の膜厚、そしてλは入
射光の波長である。前述の非らせん構造における見かけ
のティルト角θaは、第1と第2の配向状態でのねじれ
配列した液晶分子の平均分子軸方向の角度として現われ
ることになる。(2)式によれば、見かけのティルト角
θaが22.5°の角度の時最大の透過率となり、双安
定性を実現する非らせん構造での見かけのティルト角θ
aは22.5°にできる限り近いことが必要である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
クラークとラガウェルによって発表された双安定性を示
す非らせん構造のカイラルスメクティック液晶に対して
適用した場合には下述の如き問題点を有し、コントラス
ト低下の原因となっている。
【0019】第1に従来のラビング処理したポリイミド
膜によって配向させて得られた非らせん構造のカイラル
スメクティック液晶での見かけのティルト角θa(2つ
の安定状態の分子軸のなす角度の1/2)がカイラルス
メクティック液晶でのティルト角(後述の図4に示す三
角錐の頂角の1/2の角度Θ)と比べて小さくなってい
るために透過率が低い。
【0020】第2に電界を印加しないスタティック状態
におけるコントラストは高くても、電圧を印加して駆動
表示を行なった場合にマトリックス駆動における非選択
期間の微小電界により液晶分子が揺らぐために黒が淡く
なる。
【0021】以上述べたように、カイラルスメクティッ
ク液晶素子を実用化するためには高速応答性を有し、応
答速度の温度依存性が小さく、且つ、コントラストの高
いカイラルスメクティック相を示す液晶組成物が要求さ
れる。更に、ディスプレイの均一なスイッチング、良好
な視角特性、低温保存性、駆動ICへの負荷の軽減等の
ために液晶組成物の自発分極、カイラルスメクティック
C相における層間隔、コレステリックピッチ、液晶相を
とる温度範囲、光学異方性、ティルト角、誘電率異方性
などを適正化する必要がある。
【0022】本発明の目的は、カイラルスメクティック
液晶素子を実用できるようにするために、応答速度を速
く、しかもその温度依存性を軽減させ、またコントラス
トを高くするのに効果的な光学活性化合物、これを含む
液晶組成物、特に強誘電性カイラルスメクティック液晶
組成物、及び該液晶組成物を使用する液晶素子、表示装
置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(I)
【0024】
【化3】
【0025】(式中、R1,R2は炭素原子数2〜30の
直鎖状、分岐状或いは環状のアルキル基であり、該アル
キル基中の1つもしくは隣接しない2つ以上のメチレン
基は−O−,−S−,−CO−,−CO−O−,−O−
CO−,−CH=CH−,−C≡C−によって置き換え
られていても良く、該アルキル基中の水素原子はフッ素
原子に交換されていても良い。
【0026】A1は1,4−フェニレン、1個又は2個
の置換基を有する1,4−フェニレン、ピリミジン−
2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、チオフェ
ン−2,5−ジイル、2,6−ナフチレン、チアゾール
−2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル、
ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイ
ル、ベンゾチアゾール−2,5−ジイル、ベンゾチアゾ
ール−2,6−ジイル、ベンゾオキサゾール−2,5−
ジイル、ベンゾオキサゾール−2,6−ジイル、キノキ
サリン−2,6−ジイル、キノリン−2,6−ジイル、
インダン−2,5−ジイル、2−アルキルインダン−
2,5−ジイル、クマラン−2,5−ジイル、又は2−
アルキルクマラン−2,5−ジイルを示す。
【0027】A2は単結合、A1、1,4−シクロヘキシ
レン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル又は1,3
−ジチアン−2,5−ジイルを示し、Xは単結合、−C
O−O−,−O−CO−,−C≡C−,−CH2CH
2−,−CH2O−又は−OCH2−を示す。ここで*は
光学活性であることを示し、1,4−フェニレンの置換
基はF,Cl,Br,CH3,CF3又はCNであり、2
−アルキルインダン−2,5−ジイル及び2−アルキル
クマラン−2,5−ジイルのアルキル基は炭素原子数1
〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基である。
【0028】但し、R2の1個以上の水素原子は必ずフ
ッ素原子で置換されており、A2が単結合の場合Xは必
ず単結合である。)で表わされる光学活性化合物、該光
学活性化合物の少なくとも1種を含有する液晶組成物、
及び該液晶組成物を1対の電極基板間に配置してなる液
晶素子並びにそれらを用いた表示方法及び表示装置を提
供するものである。
【0029】前記一般式(I)で表わされる光学活性化
合物のうちで液晶相の温度幅、混和性、粘性、配向性等
の観点から好ましい化合物として(Ia)〜(Ic)が
挙げられる。
【0030】(Ia)A1が1,4−フェニレン或いは
1個又は2個の置換基を有する1,4−フェニレンであ
り、A2が単結合、1,4−フェニレン、1個又は2個
の置換基を有する1,4−フェニレン、ピリミジン−
2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、チオフェ
ン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、チ
アジアゾール−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジ
イル、ピリダジン−3,6−ジイル、インダン−2,5
−ジイル、クマラン−2,5−ジイル、1,4−シクロ
ヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル又は
1,3−ジチアン−2,5−ジイルから選ばれる光学活
性化合物。
【0031】(Ib)A1がピリミジン−2,5−ジイ
ル、ピリジン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−
ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、チアジアゾール
−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル又はピリ
ダジン−3,6−ジイルであり、A2が単結合、1,4
−フェニレン、1個又は2個の置換基を有する1,4−
フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−
2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾ
ール−2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイ
ル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−
ジイル、インダン−2,5−ジイル、クマラン−2,5
−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキ
サン−2,5−ジイル又は1,3−ジチアン−2,5−
ジイルから選ばれる光学活性化合物。
【0032】(Ic)A1が2,6−ナフチレン、ベン
ゾチアゾール−2,5−ジイル、ベンゾチアゾール−
2,6−ジイル、ベンゾオキサゾール−2,5−ジイ
ル、ベンゾオキサゾール−2,6−ジイル、キノキサリ
ン−2,6−ジイル、キノリン−2,6−ジイル、イン
ダン−2,5−ジイル、2−アルキルインダン−2,5
−ジイル、クマラン−2,5−ジイル又は2−アルキル
クマラン−2,5−ジイルであり、A2が単結合、1,
4−フェニレン、1個又は2個の置換基を有する1,4
−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン
−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チア
ゾール−2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジ
イル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6
−ジイル、インダン−2,5−ジイル、クマラン−2,
5−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオ
キサン−2,5−ジイル又は1,3−ジチアン−2,5
−ジイルから選ばれる光学活性化合物。
【0033】更に好ましい化合物として(Iaa)〜
(Icb)が挙げられる。
【0034】(Iaa)A1が1,4−フェニレン或い
は1個又は2個の置換基を有する1,4−フェニレンで
あり、A2が単結合である光学活性化合物。
【0035】(Iab)A1が1,4−フェニレン或い
は1個又は2個の置換基を有する1,4−フェニレンで
あり、A2が1,4−フェニレン、1個又は2個の置換
基を有する1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−
ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、1,4−シクロヘ
キシレン又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであ
り、Xが単結合、−CO−O−又は−CH2CH2−であ
る光学活性化合物。
【0036】(Iba)A1がピリミジン−2,5−ジ
イル、ピリジン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5
−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル又はピリダ
ジン−3,6−ジイルであり、A2が単結合である光学
活性化合物。
【0037】(Ibb)A1がピリミジン−2,5−ジ
イル、ピリジン−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−
ジイル又はピリダジン−3,6−ジイルであり、A2
1,4−フェニレン、1個又は2個の置換基を有する
1,4−フェニレン、インダン−2,5−ジイル、クマ
ラン−2,5−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、
1,3−ジオキサン−2,5−ジイル又は1,3−ジチ
アン−2,5−ジイルであり、Xが単結合、−CO−O
−又は−CH2CH2−である光学活性化合物。
【0038】(Ica)A1が2,6−ナフチレン、ベ
ンゾチアゾール−2,5−ジイル、ベンゾチアゾール−
2,6−ジイル、ベンゾオキサゾール−2,5−ジイ
ル、ベンゾオキサゾール−2,6−ジイル、キノキサリ
ン−2,6−ジイル、キノリン−2,6−ジイル、イン
ダン−2,5−ジイル、2−アルキルインダン−2,5
−ジイル、クマラン−2,5−ジイル又は2−アルキル
クマラン−2,5−ジイルであり、A2が単結合である
光学活性化合物。
【0039】(Icb)A1が2,6−ナフチレン、ベ
ンゾチアゾール−2,5−ジイル、ベンゾチアゾール−
2,6−ジイル、ベンゾオキサゾール−2,5−ジイ
ル、ベンゾオキサゾール−2,6−ジイル、キノキサリ
ン−2,6−ジイル、キノリン−2,6−ジイル、イン
ダン−2,5−ジイル、2−アルキルインダン−2,5
−ジイル、クマラン−2,5−ジイル又は2−アルキル
クマラン−2,5−ジイルであり、A2が1,4−シク
ロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル又
は1,3−ジチアン−2,5−ジイルであり、Xが単結
合、−CO−O−又は−CH2CH2−である光学活性化
合物。
【0040】前記一般式(I)で表わされる光学活性化
合物のR1は炭素原子数2〜20の直鎖状或いは分岐状
のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好
ましい。
【0041】前記一般式(I)で表わされる光学活性化
合物に1個又は2個の置換基を有する1,4−フェニレ
ンが存在する場合、好ましい置換基はF,Cl,Br,
CF3であり、より好ましくはFである。
【0042】R2は好ましくは下記の(i)〜(vi)
から選ばれる。
【0043】
【化4】
【0044】(式中、a,d,g,i,k,m,n,p
は1から16の整数を示し、b,jは0から10の整数
を示し、eは0から3の整数を示し、fは0から7の整
数を示す。また、q,r,s,tは1から15の整数を
示し、hは0から9の整数を示す。但し、a+b≦1
6,d+e+f≦15,g+h≦15,i+j≦17,
k+m+n+p≦19,q+r+s+t≦18の条件を
満たす。ZはF,CH2F又はCF3を示し、Yは単結
合、−O−,−CO−O−,−O−CO−,−CH2
−又は−OCH2−を示す。)
【0045】現在まで光学活性オキサゾリジノン環を有
する液晶化合物については特開平3−151371号公
報及び特開平4−234378号公報に記載されてい
る。しかしながら本発明の一般式(I)で示される1個
以上の水素原子がフッ素原子で置換されたR2を有する
光学活性化合物についての記載は全くない。
【0046】本発明者らは、一般式(I)で示される光
学活性化合物を検討した結果、大きな自発分極を有し、
本発明の光学活性化合物を含む強誘電性カイラルスメク
ティック液晶組成物、及びそれを使用した液晶素子が良
好な配向性、高速応答性、応答速度の温度依存性の軽
減、高いコントラストなど、諸特性の改良がなされ、良
好な表示特性が得られることを見いだした。
【0047】また本発明の化合物は、他の化合物との相
溶性がよく、液晶混合物としての自発分極、カイラルス
メクティックCピッチ、コレステリックピッチ、液晶相
をとる温度範囲、光学異方性、チルト角、誘電異方性な
どの調整に使用することも可能である。
【0048】前記一般式(I)で表わされる光学活性化
合物の合成法の一例を以下に示す。
【0049】
【化5】
【0050】但し、R1,A1,X,A2,R2は前記定義
の通りである。上の例でアミノ基の存在する環A1に−
X−A2−R2に変換できるような基を存在させ、アミノ
基をオキサゾリジノン環に変換した後に−X−A2−R2
とすることも可能である。
【0051】また、原料となるアミノ化合物は対応する
ニトロ化合物の還元や対応するカルボン誘導体の変換な
どによって得ることができる。
【0052】次に一般式(I)で示される液晶性化合物
の具体的な構造式を表1〜9に示す。以後、本発明中で
用いられる略記は以下の基を示す。
【0053】
【化6】
【0054】
【化7】
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】本発明の液晶組成物は前記一般式(I)で
示される光学活性化合物少なくとも1種と他の液晶性化
合物1種以上とを適当な割合で混合することにより得る
ことができる。併用する他の液晶性化合物の数は1〜5
0、好ましくは1〜30、より好ましくは3〜30の範
囲である。
【0065】また、本発明による液晶組成物はカイラル
スメクティック液晶組成物、特に強誘電性カイラルスメ
クティック液晶組成物が好ましい。
【0066】本発明で用いる他の液晶性化合物として
は、特開平4−272989号公報第23〜39頁記載
の化合物(III)〜(XII)、好ましい化合物(I
IIa)〜(XIId)、更に好ましい化合物(III
aa)〜(XIIdb)が挙げられる。また、化合物
(III)〜(VI)、好ましい化合物(IIIa)〜
(VIf)、更に好ましい化合物(IIIaa)〜(V
Ifa)におけるR’1,R’2の少なくとも一方が、ま
た化合物(VII)、(VIII)、好ましい化合物
(VIIa)〜(VIIIb)、更に好ましい化合物
(VIIIba)、(VIIIbb)におけるR’3
R’4の少なくとも一方、及び化合物(IX)〜(XI
I)、好ましい化合物(IXa)〜(XIId)、更に
好ましい化合物(IXba)、(XIIdb)における
R’5,R’6の少なくとも一方が−(CH2EG
2G+1(E:0〜10,G:1〜15 整数)である化合
物も同様に用いることができる。更に、次の一般式(X
III)〜(XVIII)で示される液晶性化合物も用
いることができる。
【0067】
【化8】
【0068】ここでR’7,R’8は水素原子又は炭素数
1〜18の直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、該ア
ルキル基中の1つもしくは2つ以上の−CH2−はヘテ
ロ原子が隣接しない条件で−O−,−CO−,−CH
(CN)−,−C(CN)(CH3)−,に置き換えら
れていても良い。該アルキル基中の水素原子はフッ素原
子に交換されていても良い。
【0069】さらにR’7,R’8は好ましくはi)〜v
iii)である。
【0070】i)炭素数1〜15の直鎖アルキル基
【0071】
【化9】
【0072】N,Q,R,T:0又は1 Y’7
Y’8,Y’9:H又はF A’4:Ph,Np X’7,X’8:単結合,−COO
−,−OCO−,−CH2O−,−OCH2
【0073】(XIII)の好ましい化合物として(X
IIIa)が挙げられる。
【0074】 R’7−[Py2]−[Ph]−OCO−[Tn]−R’8(XIIIa) (XVI)の好ましい化合物として(XVIa),(X
VIb)が挙げられる。
【0075】 R’7−[Tz1]−[Ph]−R’8 (XVIa) R’7−[PhY’7]−[Tz1]−[PhY’8]−R’8 (XVIb)
【0076】(XVII)の好ましい化合物として(X
VIIa),(XVIIb)が挙げられる。
【0077】 R’7−[Boa2]−[Ph]−O−R’8 (XVIIa) R’7−[Boa2]−[Np]−O−R’8 (XVIIb)
【0078】(XVIII)の好ましい化合物として
(XVIIIa)〜(XVIIIc)が挙げられる。
【0079】 R’7−[Btb2]−[Ph]−R’8 (XVIIIa) R’7−[Btb2]−[Ph]−O−R’8 (XVIIIb) R’7−[Btb2]−[Np]−O−R’8 (XVIIIc)
【0080】(XVIa),(XVIb)の好ましい化
合物として(XVIaa)〜(XVIbc)が挙げられ
る。
【0081】 R’7−[Tz1]−[Ph]−O−R’8 (XVIaa) R’7−[Ph]−[Tz1]−[Ph]−R’8 (XVIba) R’7−[Ph]−[Tz1]−[Ph]−O−R’8 (XVIbb) R’7−[Ph]−[Tz1]−[Ph]−OCO−R’8 (XVIbc)
【0082】Ph,Py2,Tn,Tz1,Cy,N
p,Boa2,Btb2の略記は前記定義に準じ、他の
略記については以下の基を示す。
【0083】
【化10】
【0084】本発明の光学活性化合物と、1種以上の上
述の液晶性化合物、或いは液晶組成物と混合する場合、
混合して得られた液晶組成物中に占める本発明の光学活
性化合物の割合は1重量%〜80重量%、好ましくは1
重量%〜60重量%、更に好ましくは1重量%〜40重
量%とすることが望ましい。
【0085】また、本発明の光学活性化合物を2種以上
用いる場合は、混合して得られた液晶組成物中に占める
本発明の液晶性化合物2種以上の混合物の割合は1重量
%〜80重量%、好ましくは1重量%〜60重量%、さ
らに好ましくは1重量%〜40重量%とすることが望ま
しい。
【0086】更に、本発明の強誘電性液晶素子における
カイラルスメクティック液晶層は、先に示したようにし
て作成したカイラルスメクティック液晶組成物を真空
中、等方性液体温度まで加熱し、素子セル中に封入し、
徐々に冷却して液晶層を形成させ常圧に戻すことが好ま
しい。
【0087】図1はカイラルスメクティック液晶素子の
構成の説明のために、本発明のカイラルスメクティック
液晶層を有する液晶素子の一例を示す断面概略図であ
る。図1において符号1はカイラルスメクティック相を
示す液晶層、2はガラス基板、3は透明電極、4は絶縁
性配向制御層、5はスペーサー、6はリード線、7は電
源、8は偏光板、9は光源を示している。
【0088】2枚のガラス基板2には、それぞれIn2
3,SnO2或いはITO(インジウム ティン オキ
サイド;Indium Tin Oxide)等の薄膜
からなる透明電極3が被覆されている。その上にポリイ
ミドの様な高分子の薄膜をガーゼやアセテート植毛布等
でラビングして、液晶をラビング方向に並べる絶縁性配
向制御層4が形成されている。
【0089】また、絶縁物質として、例えばシリコン窒
化物、水素を含有するシリコン炭化物、シリコン酸化
物、ホウ素窒化物、水素を含有するホウ素窒化物、セリ
ウム酸化物、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化
物、チタン酸化物、フッ化マグネシウム等の無機物質絶
縁層を形成し、その上にポリビニルアルコール、ポリイ
ミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリパ
ラキシレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリビ
ニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポ
リアミド、ポリスチレン、セルロース樹脂、メラミン樹
脂、ユリヤ樹脂、アクリル樹脂やフォトレジスト樹脂等
の有機絶縁物質を配向制御層として、2層で絶縁性配向
制御層4が形成されていても良く、また無機物質絶縁性
配向制御層或いは有機物質絶縁性配向制御層単層であっ
ても良い。
【0090】この絶縁性配向制御層が無機系ならば蒸着
法などで形成でき、有機系ならば有機絶縁物質を溶解さ
せた溶液、又はその前駆体溶液(溶剤に0.1〜20重
量%,好ましくは0.2〜10重量%)を用いて、スピ
ナー塗布法、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、スプレー
塗布法、ロール塗布法等で塗布し、所定の硬化条件下
(例えば加熱下)で硬化させ形成させることができる。
【0091】絶縁性配向制御層4の層厚は通常10Å〜
1μm、好ましくは10Å〜3000Å、更に好ましく
は10Å〜1000Åが適している。
【0092】この2枚のガラス基板2はスペーサー5に
よって任意の間隔に保たれている。例えば所定の直径を
持つシリカビーズ、アルミナビーズをスペーサーとして
ガラス基板2枚で挟持し、周囲をシール材、例えばエポ
キシ系接着剤を用いて密封する方法がある。その他スペ
ーサーとして高分子フィルムやガラスファイバーを使用
しても良い。この2枚のガラス基板の間にカイラルスメ
クティック液晶が封入されている。
【0093】カイラルスメクティック液晶が封入された
カイラルスメクティック液晶層1は、一般には0.5〜
20μm、好ましくは1〜5μmである。
【0094】透明電極3からリード線によって外部の電
源7に接続されている。またガラス基板2の外側には偏
光板8が貼り合わせてある。図1は透過型なので光源9
を備えている。
【0095】図2は強誘電性液晶素子の動作説明のため
に、セルの例を模式的に描いたものである。21aと2
1bはそれぞれIn23,SnO2或いはITO(In
dium Tin Oxide)等の薄膜からなる透明
電極で被覆された基板(ガラス板)であり、その間に液
晶分子層22がガラス面に垂直になるよう配向したSm
*相又はSmH*相の液晶が封入されている。太線で示
した線23が液晶分子を表わしており、この液晶分子2
3はその分子に直交した方向に双極子モーメント(P
⊥)24を有している。基板21aと21b上の電極間
に一定の閾値以上の電圧を印加すると、液晶分子23の
らせん構造がほどけ、双極子モーメント(P⊥)24が
全て電界方向に向くよう液晶分子23は配向方向を変え
ることができる。液晶分子23は細長い形状を有してお
り、その長軸方向と短軸方向で屈折率異方性を示し、従
って例えばガラス面の上下に互いにクロスニコルの偏光
子を置けば、電圧印加極性によって光学特性が変わる液
晶光学変調素子となることは容易に理解される。
【0096】本発明における光学変調素子で好ましく用
いられる液晶セルは、その厚さを充分に薄く(例えば1
0μ以下)することができる。このように液晶層が薄く
なるに従い、図3に示すように電界を印加していない状
態でも液晶分子のらせん構造がほどけ、その双極子モー
メントPa又はPbは上向き(34a)又は下向き(3
4b)のどちらかの状態をとる。この様なセルに図3に
示す如く一定の閾値以上の極性の異なる電界Ea又はE
bを電圧印加手段31aと31bにより付与すると、双
極子モーメントは電界Ea又はEbの電界ベクトルに対
応して上向き34a又は下向き34bと向きを変え、そ
れに応じて液晶分子は、第1の安定状態33aか或いは
第2の安定状態33bの何れかの一方に配向する。
【0097】この様なカイラルスメクティック液晶素子
を光学変調素子として用いることの利点は先にも述べた
が2つある。その第1は応答速度が極めて速いことであ
り、第2は液晶分子の配向が双安定性を有することであ
る。第2の点を例えば図3によって更に説明すると、電
界Eaを印加すると液晶分子は第1の安定状態33aに
配向するが、この状態は電界を切っても安定である。ま
た、逆向きの電界Ebを印加すると、液晶分子は第2の
安定状態33bに配向してその分子の向きを変えるが、
やはり電界を切ってもこの状態に留っている。また、与
える電界Ea或いはEbが一定の閾値を越えない限り、
それぞれ前の配向状態にやはり維持されている。
【0098】図5は本発明で用いた駆動波形の一例であ
る。図5(A)中のSSは選択された走査線に印加する
選択走査波形を、SNは選択されていない非選択走査波
形を、ISは選択されたデータ線に印加する選択情報波
形(黒)を、I Nは選択されていないデータ線に印加す
る非選択情報信号(白)を表わしている。また、図中
(IS−SS)と(IN−SS)は選択された走査線上の画
素に印加する電圧波形で、電圧(IS−SS)が印加され
た画素は黒の表示状態をとり、電圧(IN−SS)が印加
された画素は白の表示状態をとる。
【0099】図5(B)は図5(A)に示す駆動波形
で、図6に示す表示を行なった時の時系列波形である。
【0100】図5に示す駆動例では、選択された走査線
上の画素に印加される単一極性電圧の最小印加時間Δt
が書き込み位相t2の時間に相当し、1ラインクリヤt1
位相の時間が2Δtに設定されている。さて、図5に示
した駆動波形の各パラメータVS,V1,Δtの値は使用
する液晶材料のスイッチング特性によって決定される。
ここではバイアス比V1/(V1+VS)=1/3に固定
されている。バイアス比を大きくすることにより駆動適
正電圧の幅を大きくすることは可能であるが、バイアス
比を増すことは情報信号の振幅を大きくすることを意味
し、画質的にはちらつきの増大、コントラストの低下を
招き好ましくない。我々の検討ではバイアス比1/3〜
1/4程度が実用的であった。
【0101】本発明の液晶素子を表示パネル部に使用
し、図7及び図8に示した走査線アドレス情報をもつ画
像情報なるデータフォーマット及びSYNC信号による
通信同期手段をとることにより、液晶表示装置を実現す
る。
【0102】図中、符号はそれぞれ以下の通りである。 101 カイラルスメクティック液晶表示装置 102 グラフィックコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
【0103】画像情報の発生は、本体装置側のグラフィ
ックコントローラ102にて行なわれ、図7及び図8に
示した信号転送手段に従って表示パネル103に転送さ
れる。グラフィックコントローラ102はCPU(中央
演算処理装置、以下GCPU112と略す)及びVRA
M(画像情報格納用メモリ)114を核に、ホストCP
U113と液晶表示装置101間の画像情報の管理や通
信をつかさどっており、本発明の制御方法は主にこのグ
ラフィックコントローラ102上で実現されるものであ
る。尚該表示パネルの裏面には、光源が配置されてい
る。
【0104】
【実施例】以下実施例により本発明について更に詳細に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0105】[実施例1] (例示化合物No.16の合成)p−アニシジン3.5
0g(28.4mmole),(R)−1,2−エポキ
シオクタン4.22g(32.9mmole),イソプ
ロパノール90mlを300mlナスフラスコに入れ、
10時間20分還流攪拌した。反応終了後、イソプロパ
ノールを減圧留去し、残渣にヘキサンを加えて氷冷し、
析出した(2R)−1−(4−メトキシフェニルアミ
ノ)−2−オクタノールの結晶を濾取した。収量3.3
4g(収率46.8%)であった。
【0106】2R−1−(4−メトキシフェニルアミ
ノ)−2−オクタノール3.30g(13.1mmol
e),炭酸ジエチル1.98g(16.8mmol
e),ナトリウムメトキシド0.043g(0.80m
mole),乾燥トルエン50mlを200mlナスフ
ラスコに入れ、16時間30分還流攪拌した。反応液を
濃縮し、シリカゲルカラムクロマト(溶離液トルエン/
酢酸エチル:100/1)で精製し、メタノールで再結
晶して(5R)−3−(4−メトキシフェニル)−5−
ヘキシル−2−オキサゾリジノン2.30g(収率6
3.2%)を得た。
【0107】三臭化ホウ素1.50ml(16.2mm
ole)をジクロロメタン16mlに加えて三臭化ホウ
素ジクロロメタン溶液を調製した。
【0108】(5R)−3−(4−メトキシフェニル)
−5−ヘキシル−2−オキサゾリジノン2.20g
(7.93mmole)とジクロロメタン60mlを2
00ml三つ口フラスコに入れて溶かし、ドライアイス
−アセトン浴で−70℃付近に冷却して攪拌しながら先
に調製した三臭化ホウ素ジクロロメタン溶液を30分間
で滴下した。滴下終了後3時間同じ温度で攪拌し、その
後室温で一晩放置した。反応物を氷水約250mlに注
入し、酢酸エチルを加えて室温で攪拌した。有機層を飽
和食塩水で3回洗浄し、芒硝乾燥後減圧乾固し、残渣に
ヘキサンを加えた。析出した結晶を濾取し、メタノール
で再結晶して(5R)−3−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−5−ヘキシル−2−オキサゾリジノン1.38g
(収率66.1%)を得た。
【0109】(5R)−3−(4−ヒドロキシフェニ
ル)−5−ヘキシル−2−オキサゾリジノン0.15g
(0.57mmole),光学活性4−(1−トリフル
オロメチルヘプチルオキシメチル)安息香酸0.20g
(0.63mmole),ジクロロメタン5mlを20
mlナスフラスコに入れ、室温攪拌下N,N’−ジシク
ロヘキシルカルボジイミド0.12g(0.58mmo
le),4−ジメチルアミノピリジン0.02gを順次
加え、室温で2時間攪拌した。室温で一晩放置後、析出
したN,N’−ジシクロヘキシルウレアを濾去し、濾液
を減圧乾固した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロ
マト(溶離液 トルエン/酢酸エチル:50/1)で精
製し、メタノールで再結晶して、No.16の光学活性
化合物0.10g(収率31.1%)を得た。この化合
物の相転移を次に示す。
【0110】
【化11】
【0111】(Sm3はSmA,SmC*以外の高次の
スメクティック相であり、未同定。)
【0112】[実施例2] (例示化合物No.2の合成)20mlナスフラスコに
実施例1で合成した(5R)−3−(4−ヒドロキシフ
ェニル)−5−ヘキシル−2−オキサゾリジノン0.3
0g(1.14mmole)、N,N’−シメチルホル
ムアミド3mlを入れて溶かし、室温攪拌下、水素化ナ
トリウム(60%油性)0.051g(1.28mmo
le)を添加した。発泡が止まった後、光学活性2−フ
ルオロデシルp−トルエンスルホネート0.42g
(1.27mmole)を加え、70℃付近で50分間
加熱攪拌した。
【0113】反応終了後室温まで放冷し、氷水に注入し
析出した結晶を濾取、水洗し、トルエンに溶かした。芒
硝乾燥後溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマ
ト(溶離液 トルエン/酢酸エチル:100/1)で精
製し、メタノールで再結晶してNo.2の光学活性化合
物を0.20g(収率44.6%)を得た。この化合物
の相転移を次に示す。
【0114】
【化12】
【0115】[実施例3] (例示化合物No.7の合成)実施例2と同様にして
(5R)−3−(4−ヒドロキシフェニル)−5−ヘキ
シル−2−オキサゾリジノン0.20g(0.76mm
ole)と1H,1H−パーフルオロブチルトリフルオ
ロメタンスルホネート0.28g(0.84mmol
e)からNo.7の光学活性化合物0.18g(収率5
3.2%)を得た。この化合物の相転移を次に示す。
【0116】
【化13】
【0117】[実施例4]実施例2で製造した例示化合
物No.2を含む下記化合物を下記の重量部で混合し、
液晶組成物Zを作成した。
【0118】
【化14】
【0119】この液晶組成物Zは下記の相転移温度を示
す。
【0120】
【化15】
【0121】[実施例5]2枚の0.7mm厚のガラス
板を用意し、それぞれのガラス板上にITO膜を形成
し、電圧印加電極を作成し、更にこの上にSiO2を蒸
着させ絶縁層とした。ガラス板上にシランカップリング
剤[信越化学(株)製KBM−602]0.2%イソプ
ロピルアルコール溶液を回転数2000r.p.mのス
ピンナーで15秒間塗布し、表面処理を施した。この
後、120℃にて20分間加熱乾燥処理を施した。更に
表面処理を行なったITO膜付きのガラス板上にポリイ
ミド樹脂前駆体[東レ(株)SP−510]1.5%ジ
メチルアセトアミド溶液を回転数2000r.p.mの
スピンナーで15秒間塗布した。成膜後、60分間,3
00℃加熱縮合焼成処理を施した。この時の塗膜の膜厚
は約250Åであった。
【0122】この焼成後の被膜にはアセテート植毛布に
よるラビング処理がなされ、その後イソプロピルアルコ
ール液で洗浄し、平均粒径2μmのシリカビーズを一方
のガラス板上に散布した後、それぞれのラビング処理軸
が互いに平行となるようにし、接着シール剤[チッソ
(株)リクソンボンド]を用いてガラス板を貼り合わ
せ、60分間,100℃にて加熱乾燥しセルを作成し
た。このセルに実施例4で混合した液晶組成物Zを等方
性液体状態で注入し、等方相から20℃/hで25℃ま
で徐冷することにより、カイラルスメクティック液晶素
子を作成した。このセルのセル厚をベレック位相板によ
って測定したところ約2μmであった。
【0123】このカイラルスメクティック液晶素子を使
って自発分極の大きさPsを測定した。その測定結果を
次に示す。
【0124】 10℃ 30℃ 40℃ Ps 11.5nC/cm2 8.3nC/cm2 6.9nC/cm2
【0125】[実施例6]下記化合物を下記の重量部で
混合し、液晶組成物Aを作成した。
【0126】
【化16】
【0127】更にこの液晶組成物Aに対して、以下に示
す例示化合物を各々以下に示す重量部で混合し、液晶組
成物Bを作成した。
【0128】
【0129】液晶組成物Bをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法で液晶素子を作成し、電圧Vp
p=20Vの電圧印加により直交ニコル下での光学的な
応答(透過光量変化0〜90%)を検知して応答速度
(以後、光学応答速度という)を測定し、スイッチング
状態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好で
あり、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次
に示す。
【0130】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 395μsec 207μsec 116μsec
【0131】[比較例1]実施例6で混合した液晶組成
物Aをセル内に注入する以外は全く実施例5と同様の方
法でカイラルスメクティック液晶素子を作成し、光学応
答速度を測定した。
【0132】その測定結果を次に示す。
【0133】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 668μsec 340μsec 182μsec
【0134】[実施例7]実施例6で使用した例示化合
物のかわりに以下に示す例示化合物を各々以下に示す重
量部で混合し、液晶組成物Cを作成した。
【0135】
【0136】液晶組成物Cをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0137】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 428μsec 225μsec 127μsec
【0138】[実施例8]実施例7で混合した例示化合
物の代わりに以下に示す化合物を各々以下に示す重量部
で混合し、液晶組成物Dを作成した。
【0139】
【0140】液晶組成物Dをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0141】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 373μsec 193μsec 108μsec
【0142】[実施例9]下記化合物を下記の重量部で
混合し、液晶組成物Eを作成した。
【0143】
【化17】
【0144】更にこの液晶組成物Eに対して、以下に示
す例示化合物を各々以下に示す重量部で混合し、液晶組
成物Fを作成した。
【0145】
【0146】液晶組成物Fをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0147】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 488μsec 247μsec 143μsec
【0148】[比較例2]実施例9で混合した液晶組成
物Eをセル内に注入する以外は全く実施例5と同様の方
法でカイラルスメクティック液晶素子を作成し、光学応
答速度を測定した。その結果を次に示す。
【0149】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 784μsec 373μsec 197μsec
【0150】[実施例10]実施例9で混合した例示化
合物の代わりに以下に示す化合物を各々以下に示す重量
部で混合し、液晶組成物Gを作成した。
【0151】
【0152】液晶組成物Gをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0153】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 471μsec 236μsec 133μsec
【0154】[実施例11]実施例10で混合した例示
化合物の代わりに以下に示す例示化合物を各々以下に示
す重量部で混合し、液晶組成物Hを作成した。
【0155】
【0156】液晶組成物Hをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0157】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 456μsec 228μsec 129μsec
【0158】[実施例12]下記化合物を下記の重量部
で混合し、液晶組成物Iを作成した。
【0159】
【化18】
【0160】更にこの液晶組成物Iに対して、以下に示
す例示化合物を各々以下に示す重量部で混合し、液晶組
成物Jを作成した。
【0161】
【0162】液晶組成物Jをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0163】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 382μsec 243μsec 108μsec
【0164】[比較例3]実施例12で混合した液晶組
成物Iをセル内に注入する以外は全く実施例5と同様の
方法でカイラルスメクティック液晶素子を作成し、光学
応答速度を測定した。その測定結果を次に示す。
【0165】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 653μsec 317μsec 159μsec
【0166】[実施例13]実施例12で使用した例示
化合物の代わりに以下に示す例示化合物を各々以下に示
す重量部で混合し、液晶組成物Kを作成した。
【0167】
【0168】液晶組成物Kをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0169】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 393μsec 250μsec 112μsec
【0170】[実施例14]実施例13で使用した例示
化合物の代わりに以下に示す例示化合物を各々以下に示
す重量部で混合し、液晶組成物Lを作成した。
【0171】
【0172】液晶組成物Lをセル内に注入する以外は全
く実施例5と同様の方法でカイラルスメクティック液晶
素子を作成し、光学応答速度を測定し、スイッチング状
態を観察した。この液晶素子内の均一配向性は良好であ
り、モノドメイン状態が得られた。その測定結果を次に
示す。
【0173】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 368μsec 235μsec 106μsec
【0174】実施例6〜14より明らかな様に、本発明
による液晶組成物B,C,D,F,G,H,J,K及び
Lを含有するカイラルスメクティック液晶素子は、低温
における作動特性、高速応答性が改善され、また光学応
答速度の温度依存性も軽減されたものとなっている。
【0175】[実施例15]実施例7で使用したポリイ
ミド樹脂前駆体1.5%ジメチルアセトアミド溶液に代
えて、ポリビニルアルコール樹脂[クラレ(株)製PU
A−117]2%水溶液を用いた他は全く同様の方法で
カイラルスメクティック液晶素子を作成し、実施例6と
同様の方法で光学応答速度を測定した。
【0176】その測定結果を次に示す。
【0177】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 415μsec 221μsec 126μsec
【0178】[実施例16]実施例7で使用したSiO
2を用いずに、ポリイミド樹脂だけで配向制御層を作成
した以外は全く実施例7と同様の方法でカイラルスメク
ティック液晶素子を作成し、実施例6と同様の方法で光
学応答速度を測定した。
【0179】その測定結果を次に示す。
【0180】 10℃ 25℃ 40℃ 応答速度 398μsec 211μsec 123μsec
【0181】実施例15,16より明らかな様に、素子
構成を変えた場合でも本発明に従う強誘電性液晶組成物
を含有する素子は、実施例7と同様に低温作動特性が非
常に改善され、且つ応答速度の温度依存性が軽減された
ものとなっている。
【0182】[実施例17]下記化合物を下記の重量部
で混合し、液晶組成物Mを作成した。
【0183】
【化19】
【0184】更にこの液晶組成物Mに対して、以下に示
す例示化合物を各々以下に示す重量部で混合し、液晶組
成物Nを作成した。
【0185】
【0186】次にこれらの液晶組成物を以下の手順で作
成したセルを用いて、光学的な応答を観察した。
【0187】2枚の0.7mm厚のガラス板を用意し、
それぞれのガラス板上にITO膜を形成し、電圧印加電
極を作成し、更にこの上にSiO2を蒸着させ絶縁層と
した。ガラス板上にシランカップリング剤[信越化学
(株)製KBM−602]0.2%イソプロピルアルコ
ール溶液を回転数2000r.p.mのスピンナーで1
5秒間塗布し、表面処理を施した。この後、120℃に
て20分間加熱乾燥処理を施した。更に表面処理を行な
ったITO膜付きのガラス板上にポリイミド樹脂前駆体
[東レ(株)SP−510]1.0%ジメチルアセトア
ミド溶液を回転数3000r.p.mのスピンナーで1
5秒間塗布した。成膜後、60分間,300℃加熱縮合
焼成処理を施した。この時の塗膜の膜厚は約120Åで
あった。
【0188】この焼成後の被膜にはアセテート植毛布に
よるラビング処理がなされ、その後イソプロピルアルコ
ール液で洗浄し、平均粒径1.μmのシリカビーズを一
方のガラス板上に散布した後、それぞれのラビング処理
軸が互いに平行となる様にし、接着シール剤[リクソン
ボンド チッソ(株)]を用いてガラス板を貼り合わ
せ、60分間,100℃にて加熱乾燥しセルを作成し
た。
【0189】このセルのセル厚をベレック位相板によっ
て測定したところ約1.5μmであった。このセルに液
晶組成物Nを等方性液体状態で注入し、等方相から20
℃/hで25℃まで徐冷することにより、カイラルスメ
クティック液晶素子を作成した。このカイラルスメクテ
ィック液晶素子を用いて前述した図5に示す駆動波形
(1/3バイアス比)で30℃における駆動時のコント
ラストを測定した結果14.8であった。
【0190】[比較例4]実施例17で混合した液晶組
成物Mをセル内に注入する以外は全く実施例17と同様
の方法で強誘電性液晶素子を作成し、同様の駆動波形を
用い30℃における駆動時のコントラストを測定した。
その結果、コントラストは8.1であった。
【0191】[実施例18]実施例17で使用した例示
化合物の代わりに以下に示す例示化合物を各々以下に示
す重量部で混合し、液晶組成物Oを作成した。
【0192】
【0193】この液晶組成物を用いた以外は全く実施例
17と同様の方法でカイラルスメクティック液晶素子を
作成し、実施例17と同様の駆動波形を用いて30℃に
おける駆動時のコントラストを測定した。その結果、コ
ントラストは18.3であった。
【0194】[実施例19]実施例18で使用した例示
化合物の代わりに以下に示す例示化合物を各々以下に示
す重量部で混合し、液晶組成物Pを作成した。
【0195】
【0196】この液晶組成物を用いた以外は全く実施例
17と同様の方法でカイラルスメクティック液晶素子を
作成し、実施例17と同様の駆動波形を用いて30℃に
おける駆動時のコントラストを測定した。その結果、コ
ントラストは16.7であった。
【0197】[実施例20]実施例19で使用した例示
化合物の代わりに以下に示す例示化合物を各々以下に示
す重量部で混合し、液晶組成物Qを作成した。
【0198】
【0199】この液晶組成物を用いた以外は全く実施例
17と同様の方法でカイラルスメクティック液晶素子を
作成し、実施例17と同様の駆動波形を用いて30℃に
おける駆動時のコントラストを測定した。その結果、コ
ントラストは19.5であった。
【0200】実施例17〜20より明らかな様に、本発
明による液晶組成物N,O,P及びQを含有するカイラ
ルスメクティック液晶素子は、駆動時におけるコントラ
ストが高くなっている。
【0201】[実施例21]実施例19で使用したポリ
イミド樹脂前駆体1.0%ジメチルアセトアミド溶液に
代えて、ポリビニルアルコール樹脂[クラレ(株)製P
UA−117]2%水溶液を用いた他は全く実施例19
と同様の方法でカイラルスメクティック液晶素子を作成
し、実施例17と同様の方法で30℃における駆動時の
コントラストを測定した結果、コントラストは19.2
であった。
【0202】[実施例22]実施例19で使用したSi
2を用いずに、ポリイミド樹脂だけで配向制御層を作
成した以外は全く実施例19と同様の方法で強誘電性液
晶素子を作成し、実施例17と同様の方法で30℃にお
ける駆動時のコントラストを測定した結果、コントラス
トは18.1であった。
【0203】[実施例23]実施例19で使用したポリ
イミド樹脂前駆体1.0%ジメチルアセトアミド溶液に
代えて、ポリアミド酸(日立化成(株)製、LQ180
2)1%NMP溶液を用い、270℃で1時間焼成した
以外は全く実施例19と同様の方法で強誘電性液晶素子
を作成し、実施例17と同様の方法で30℃における駆
動時のコントラストを測定した。その結果コントラスト
は25.3であった。
【0204】実施例21,22及び23より明らかな様
に、素子構成を変えた場合でも本発明に従う強誘電性液
晶組成物を含有する素子は、実施例19と同様に高いコ
ントラストが得られている。また、駆動波形を変えた場
合においても詳細に検討した結果、同様に本発明の強誘
電性液晶組成物を含有する液晶素子の方がより高いコン
トラストが得られることが判明した。
【0205】
【発明の効果】本発明の光学活性化合物を含有する液晶
組成物は、液晶組成物が示す強誘電性を利用して動作さ
せることができる。このようにして利用されうる本発明
の強誘電性液晶素子は、スイッチング特性が良好で、高
速応答性、光学応答速度の温度依存性の軽減、高コント
ラスト等の優れた特性を有する液晶素子とすることがで
きる。
【0206】尚、本発明の液晶素子を表示素子として光
源、駆動回路等と組み合わせた表示装置は良好な装置と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カイラルスメクティック相を示す液晶を用いた
液晶素子の一例の断面概略図である。
【図2】液晶のもつ強誘電性を利用した液晶素子の動作
説明のために素子セルの一例を模式的に表わす斜視図で
ある。
【図3】液晶の持つ強誘電性を利用した液晶素子の動作
説明のために素子セルの一例を模式的に表わす斜視図で
ある。
【図4】ティルト角を示す説明図である。
【図5】本発明で用いる液晶素子の駆動法の波形図であ
る。
【図6】図5(B)に示す時系列駆動波形で実際の駆動
を行ったときの表示パターンの模式図である。
【図7】強誘電性を利用した液晶素子を有する液晶表示
装置とグラフィックスコントローラを示すブロック構成
図である。
【図8】液晶表示装置とグラフィックスコントローラと
の間の画像情報通信タイミングチャート図である。
【符号の説明】
1 カイラルスメクティック相を有する液晶層 2 ガラス基板 3 透明電極 4 絶縁性配向制御層 5 スペーサー 6 リード線 7 電源 8 偏光板 9 光源 I0 入射光 I 透過光 21a 基板 21b 基板 22 カイラルスメクティック相を有する液晶層 23 液晶分子 24 双極子モーメント(P⊥) 31a 電圧印加手段 31b 電圧印加手段 33a 第1の安定状態 33b 第2の安定状態 34a 上向きの双極子モーメント 34b 下向きの双極子モーメント Ea 上向きの電界 Eb 下向きの電界 101 強誘電性液晶表示装置 102 グラフィックスコントローラ 103 表示パネル 104 走査線駆動回路 105 情報線駆動回路 106 デコーダ 107 走査信号発生回路 108 シフトレジスタ 109 ラインメモリ 110 情報信号発生回路 111 駆動制御回路 112 GCPU 113 ホストCPU 114 VRAM
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02F 1/13 500 G02F 1/13 500 (72)発明者 中村 真一 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (72)発明者 山田 容子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キ ヤノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−165375(JP,A) 特開 平3−151371(JP,A) J.Med.Chem.,33(9), 2569−78(1990) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07D 263/22 C07D 413/04 C07D 413/10 C07D 417/04 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (18)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で示される光学活性化
    合物。 【化1】 (式中、R1,R2は炭素原子数2〜30の直鎖状、分岐
    状或いは環状のアルキル基であり、該アルキル基中の1
    つもしくは隣接しない2つ以上のメチレン基は−O−,
    −S−,−CO−,−CO−O−,−O−CO−,−C
    H=CH−,−C≡C−によって置き換えられていても
    良く、該アルキル基中の水素原子はフッ素原子に交換さ
    れていても良い。A1は1,4−フェニレン、1個又は
    2個の置換基を有する1,4−フェニレン、ピリミジン
    −2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、チオフ
    ェン−2,5−ジイル、2,6−ナフチレン、チアゾー
    ル−2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイ
    ル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−
    ジイル、ベンゾチアゾール−2,5−ジイル、ベンゾチ
    アゾール−2,6−ジイル、ベンゾオキサゾール−2,
    5−ジイル、ベンゾオキサゾール−2,6−ジイル、キ
    ノキサリン−2,6−ジイル、キノリン−2,6−ジイ
    ル、インダン−2,5−ジイル、2−アルキルインダン
    −2,5−ジイル、クマラン−2,5−ジイル、又は2
    −アルキルクマラン−2,5−ジイルを示す。A2は単
    結合、A1、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオ
    キサン−2,5−ジイル又は1,3−ジチアン−2,5
    −ジイルを示し、Xは単結合、−CO−O−,−O−C
    O−,−C≡C−,−CH2CH2−,−CH2O−又は
    −OCH2−を示す。ここで*は光学活性であることを
    示し、1,4−フェニレンの置換基はF,Cl,Br,
    CH3,CF3又はCNであり、2−アルキルインダン−
    2,5−ジイル及び2−アルキルクマラン−2,5−ジ
    イルのアルキル基は炭素原子数1〜18の直鎖状又は分
    岐状のアルキル基である。但し、R2の1個以上の水素
    原子は必ずフッ素原子で置換されており、A2が単結合
    の場合Xは必ず単結合である。)
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)で表わされる化合物が
    下記(Ia)〜(Ic)のいずれかであることを特徴と
    する請求項1記載の光学活性化合物。 (Ia)A1が1,4−フェニレン或いは1個又は2個
    の置換基を有する1,4−フェニレンであり、A2が単
    結合、1,4−フェニレン、1個又は2個の置換基を有
    する1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイ
    ル、ピリジン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−
    ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、チアゾアゾール
    −2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル、ピリダ
    ジン−3,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、ク
    マラン−2,5−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、
    1,3−ジオキサン−2,5−ジイル又は1,3−ジチ
    アン−2,5−ジイルから選ばれる光学活性化合物 (Ib)A1がピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン
    −2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チア
    ゾール−2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジ
    イル、ピラジン−2,5−ジイル又はピリダジン−3,
    6−ジイルであり、A2が単結合、1,4−フェニレ
    ン、1個又は2個の置換基を有する1,4−フェニレ
    ン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−
    ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−
    2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル、ピ
    ラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイ
    ル、インダン−2,5−ジイル、クマラン−2,5−ジ
    イル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン
    −2,5−ジイル又は1,3−ジチアン−2,5−ジイ
    ルから選ばれる光学活性化合物 (Ic)A1が2,6−ナフチレン、ベンゾチアゾール
    −2,5−ジイル、ベンゾチアゾール−2,6−ジイ
    ル、ベンゾオキサゾール−2,5−ジイル、ベンゾオキ
    サゾール−2,6−ジイル、キノキサリン−2,6−ジ
    イル、キノリン−2,6−ジイル、インダン−2,5−
    ジイル、2−アルキルインダン−2,5−ジイル、クマ
    ラン−2,5−ジイル又は2−アルキルクマラン−2,
    5−ジイルであり、A2が単結合、1,4−フェニレ
    ン、1個又は2個の置換基を有する1,4−フェニレ
    ン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−
    ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、チアゾール−
    2,5−ジイル、チアジアゾール−2,5−ジイル、ピ
    ラジン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイ
    ル、インダン−2,5−ジイル、クマラン−2,5−ジ
    イル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン
    −2,5−ジイル又は1,3−ジチアン−2,5−ジイ
    ルから選ばれる光学活性化合物
  3. 【請求項3】 前記一般式(I)で表わされる化合物が
    下記(Iaa)〜(Icb)のいずれかであることを特
    徴とする請求項1記載の光学活性化合物。 (Iaa)A1が1,4−フェニレン或いは1個又は2
    個の置換基を有する1,4−フェニレンであり、A2
    単結合である光学活性化合物 (Iab)A1が1,4−フェニレン或いは1個又は2
    個の置換基を有する1,4−フェニレンであり、A2
    1,4−フェニレン、1個又は2個の置換基を有する
    1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピ
    リジン−2,5−ジイル、1,4−シクロヘキシレン又
    は1,3−ジオキサン−2,5−ジイルであり、Xが単
    結合、−CO−O−又は−CH2CH2−である光学活性
    化合物 (Iba)A1がピリミジン−2,5−ジイル、ピリジ
    ン−2,5−ジイル、チアゾール−2,5−ジイル、チ
    アジアゾール−2,5−ジイル又はピリダジン−3,6
    −ジイルであり、A2が単結合である光学活性化合物 (Ibb)A1がピリミジン−2,5−ジイル、ピリジ
    ン−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル又はピ
    リダジン−3,6−ジイルであり、A2が1,4−フェ
    ニレン、1個又は2個の置換基を有する1,4−フェニ
    レン、インダン−2,5−ジイル、クマラン−2,5−
    ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサ
    ン−2,5−ジイル又は1,3−ジチアン−2,5−ジ
    イルであり、Xが単結合、−CO−O−又は−CH2
    2−である光学活性化合物 (Ica)A1が2,6−ナフチレン、ベンゾチアゾー
    ル−2,5−ジイル、ベンゾチアゾール−2,6−ジイ
    ル、ベンゾオキサゾール−2,5−ジイル、ベンゾオキ
    サゾール−2,6−ジイル、キノキサリン−2,6−ジ
    イル、キノリン−2,6−ジイル、インダン−2,5−
    ジイル、2−アルキルインダン−2,5−ジイル、クマ
    ラン−2,5−ジイル又は2−アルキルクマラン−2,
    5−ジイルであり、A2が単結合である光学活性化合物 (Icb)A1が2,6−ナフチレン、ベンゾチアゾー
    ル−2,5−ジイル、ベンゾチアゾール−2,6−ジイ
    ル、ベンゾオキサゾール−2,5−ジイル、ベンゾオキ
    サゾール−2,6−ジイル、キノキサリン−2,6−ジ
    イル、キノリン−2,6−ジイル、インダン−2,5−
    ジイル、2−アルキルインダン−2,5−ジイル、クマ
    ラン−2,5−ジイル又は2−アルキルクマラン−2,
    5−ジイルであり、A2が1,4−シクロヘキシレン、
    1,3−ジオキサン−2,5−ジイル又は1,3−ジチ
    アン−2,5−ジイルであり、Xが単結合、−CO−O
    −又は−CH2CH2−である光学活性化合物
  4. 【請求項4】 前記一般式(I)で表わされる光学活性
    化合物のR1が炭素原子数2〜20の直鎖状或いは分岐
    状のアルキル基であることを特徴とする請求項1記載の
    光学活性化合物。
  5. 【請求項5】 前記一般式(I)で表わされる光学活性
    化合物のR2が下記(i)〜(vi)のいずれかである
    ことを特徴とする請求項1記載の光学活性化合物。 【化2】 (式中、a,d,g,i,k,m,n,pは1から16
    の整数を示し、b,jは0から10の整数を示し、eは
    0から3の整数を示し、fは0から7の整数を示す。ま
    た、q,r,s,tは1から15の整数を示し、hは0
    から9の整数を示す。但し、a+b≦16,d+e+f
    ≦15,g+h≦15,i+j≦17,k+m+n+p
    ≦19,q+r+s+t≦18の条件を満たす。Zは
    F,CH2F又はCF3を示し、Yは単結合、−O−,−
    CO−O−,−O−CO−,−CH2O−又は−OCH2
    −を示す。)
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の光学活
    性化合物を少なくとも一種を含有することを特徴とする
    液晶組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の光学活
    性化合物を前記液晶組成物に対し、1〜80重量%含有
    することを特徴とする請求項6記載の液晶組成物。
  8. 【請求項8】 請求項1〜5のいずれかに記載の光学活
    性化合物を前記液晶組成物に対し、1〜60重量%含有
    することを特徴とする請求項6記載の液晶組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜5のいずれかに記載の光学活
    性化合物を前記液晶組成物に対し、1〜40重量%含有
    することを特徴とする請求項6記載の液晶組成物。
  10. 【請求項10】 カイラルスメクティック相を有するこ
    とを特徴とする請求項6記載の液晶組成物。
  11. 【請求項11】 請求項6〜10のいずれかに記載の液
    晶組成物を一対の電極基板間に配置してなることを特徴
    とする液晶素子。
  12. 【請求項12】 前記電極基板上に更に配向制御層が設
    けられていることを特徴とする請求項11記載の液晶素
    子。
  13. 【請求項13】 前記配向制御層がラビング処理された
    層であることを特徴とする請求項12記載の液晶素子。
  14. 【請求項14】 液晶分子の配列によって形成されたら
    せんが解除された膜厚で前記一対の電極基板を配置する
    ことを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の
    液晶素子。
  15. 【請求項15】 請求項11〜14のいずれかに記載の
    液晶素子を有することを特徴とする表示装置。
  16. 【請求項16】 更に液晶素子の駆動回路を有すること
    を特徴とする請求項15記載の表示装置。
  17. 【請求項17】 更に光源を有することを特徴とする請
    求項15記載の表示装置。
  18. 【請求項18】 請求項6〜10のいずれかに記載の液
    晶組成物を用いたことを特徴とする表示方法。
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