JP3213512B2 - 過負荷防止装置 - Google Patents

過負荷防止装置

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JP3213512B2 JP14354995A JP14354995A JP3213512B2 JP 3213512 B2 JP3213512 B2 JP 3213512B2 JP 14354995 A JP14354995 A JP 14354995A JP 14354995 A JP14354995 A JP 14354995A JP 3213512 B2 JP3213512 B2 JP 3213512B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、回転運動をする動力
源と被動側機器との間に設けられる過負荷防止装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、モータあるいはエンジン等の
動力源と、この動力源によって回転駆動される被動側機
器とを有する動力伝達機構において、被動側機器に異常
が生じるなどして過大なトルクが作用した時に、被動側
機器あるいは動力源が破壊することを防ぐために、過負
荷防止装置(トルクリミッタ)が採用されている。
【0003】従来の過負荷防止装置は、例えば、駆動側
回転体と被動側回転体との間に一対の摩擦板を対向して
配置し、各摩擦板をばねの弾性によって互いに圧接さ
せ、摩擦板に所定値を越えるトルクが作用した時に摩擦
板を滑らせることによって、それ以後のトルクの伝達を
断つようにしている。
【0004】また、従来の過負荷防止装置の他の例とし
て、駆動側回転体と被動側回転体のいずれか一方に、ば
ねによって押圧されるボールを設けるとともに、他方に
上記ボールが嵌合する凹部を設け、所定値を越えるトル
クが作用した時に、ボールを凹部から離脱させることに
よって、駆動側回転体を空転させるものも知られてい
る。
【0005】あるいは、駆動側回転体と被動側回転体の
いずれか一方に剪断可能なピンを設け、このピンを他方
の回転体の孔に嵌合させることにより、所定値を越える
トルクが作用した時にピンを破断させ、それ以後のトル
クの伝達を断つものも知られている。
【0006】また実開昭63−53062号公報(先行
技術1)や特開平5−321943号公報(先行技術
2)に記載されているように、巻きばねを用いた過負荷
防止装置も提案されている。これらの先行技術1,2
は、いずれも、巻きばねを用いてトルクを伝達するよう
にしている。そして過負荷が生じた時に巻きばねを滑ら
せることにより、異常が生じた機器を動力源から切り離
し、一定値以上のトルクが生じることを回避している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記摩擦板を利用する
従来の過負荷防止装置の場合、所定値を越えるトルクが
作用した時に、摩擦板同志が接したまま強制的に摩擦板
同志が滑るために、動力源が回転している間は著しく大
きな摩擦熱が発生する。このため、被動側機器が回復の
見込みのない過負荷状態に陥っている場合に、過負荷防
止装置自身が発熱により損傷して再使用不能になった
り、過負荷防止装置の近傍に設けられている周辺機器が
熱によって損傷を受ける可能性がある。
【0008】また、前記従来例のうち、ばねにより押圧
されるボールと凹部とを用いた過負荷防止装置の場合に
は、過負荷発生時にボールが凹部から離脱することで駆
動側回転体が空転できるため、トルク切断後(トルクリ
ミッタ作動時)の発熱は比較的少ない。しかしながら、
駆動側回転体の回転が続く限りボールと凹部の嵌合・離
脱が繰り返されるため、騒音や振動が発生するという問
題がある。
【0009】前記従来例のうち、ピンの剪断を利用する
過負荷防止装置は、ピンの剪断荷重のばらつきが大き
く、かつ、ピンが疲労破壊することも考慮に入れなけれ
ばならない。このため、安全率を考慮すると、常用のト
ルクに対して相当程度過負荷が大きくなった時点でピン
が破断するように設計せざるを得ず、過負荷発生時に速
やかにトルクを断つことができないという問題がある。
【0010】また、前記先行技術1および先行技術2の
場合には、動力源の回転が持続する限り、巻きばねと相
手面との摩擦による発熱が続き、周辺の機器に対して高
温による損傷を与えるおそれがある。また、不要な摩擦
による発熱はエネルギーの損失につながる。このような
先行技術1,2は、短時間で過負荷が解消されるような
機器に使用できるが、一度生じた過負荷が永久的に解消
できない機器に使用するのは問題である。
【0011】従ってこの発明の目的は、被駆動側機器に
異常が生じるなどして過負荷が発生した時点で、速やか
にトルクの伝達を断つことができ、作動トルク値が正確
であり、しかも作動後の発熱が小さく、騒音が少なく、
エネルギーの損失も少ない過負荷防止装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を果たすため
に開発された本発明は、動力源と被動側機器との間に設
けられる過負荷防止装置であって、上記動力源または被
動側機器のいずれか一方側に設けられかつ軸線回りに回
転可能な第1の回転体と、上記動力源または被動側機器
の他方側に設けられかつ上記第1の回転体に対し同一軸
線上で相対回転可能な軸部を有する第2の回転体と、上
記第2の回転体の軸部に巻付けられていてその一端側が
上記第1の回転体のばね受け部に係止されかつ第1の回
転体と第2の回転体との間の伝達すべきトルクが所定値
を越えた時に上記軸部との間で相対回転を生じるトルク
伝達用の巻きばねとを具備し、上記ばね受け部は、上記
巻きばねの一端を第1の回転体の軸線方向に移動可能に
支持するとともにこの巻きばねの一端が上記軸線方向に
所定量移動した時にこのばね受け部から巻きばねの一端
が抜け出ることのできる形状としてあり、かつ、上記第
1の回転体または第2の回転体に、上記巻きばねが上記
軸部を周方向に滑りながら相対回転する際にこの巻きば
ねの一端を上記ばね受け部から押し出す方向に上記巻き
ばねを移動させる係止解除手段を設けている。
【0013】上記係止解除手段は、例えば、上記第2の
回転体の軸部に設けられた雄ねじ部と、この雄ねじ部に
螺合しかつ上記巻きばねの他端が係止されるナット状の
駆動部材とを具備し、上記雄ねじ部と駆動部材のねじ山
は、上記巻きばねが上記軸部を周方向に滑りながら相対
回転する際にこの巻きばねの一端を上記ばね受け部から
押し出す方向に上記駆動部材を螺進させるねじ山の向き
としたものである。この場合、上記雄ねじ部のねじ山の
螺旋方向を、上記巻きばねの巻き方向とは逆にするとよ
い。
【0014】あるいは上記係止解除手段は、上記第1の
回転体のばね受け部において上記巻きばねの一端が接す
る箇所に設けた傾斜面であり、この傾斜面は、上記巻き
ばねが上記軸部を周方向に滑りながら相対回転する際に
この巻きばねの一端を上記ばね受け部から押し出す方向
に滑らせる傾斜面が採用される。
【0015】更に上記係止解除手段は、上記第2の回転
体の上記巻きばねの他端が接する箇所に設けた傾斜面で
あり、この傾斜面は、上記巻きばねが上記軸部を周方向
に滑りながら相対回転する際にこの巻きばねの一端を上
記ばね受け部から押し出す方向に巻きばねの他端を滑ら
せる傾斜面でもよい。
【0016】
【作用】第1の回転体と第2の回転体のうちの一方がモ
ータやエンジン等の動力源側に設けられ、他方が被動側
機器に接続される。例えば第1の回転体が動力源に接続
された場合、動力源の回転によって第1の回転体が回転
することにより、巻きばねが第1の回転体と同じ方向に
回転する。その伝達すべきトルクは、巻きばねと第2の
回転体の軸部との接触部を介して第2の回転体に伝わ
り、第2の回転体が第1の回転体と同じ方向に回転す
る。こうして、動力源の回転を被動側機器に伝えること
ができる。
【0017】被動側機器に何らかのトラブルが生じ、被
動側機器の回転が拘束されたり、あるいは被動側機器を
回転させるのに要する力が過大になって、第1の回転体
と第2の回転体との間の伝達すべきトルクが所定値を越
えると、巻きばねと第2の回転体の軸部との接触部にお
いて両者が互いに周方向に滑りながら回転することによ
り、係止解除手段が上記巻きばねの一端を上記ばね受け
部から抜け出させる方向に巻きばねを移動させる。
【0018】こうして巻きばねと第1の回転体との係合
が外れると、巻きばねと軸部との滑りが解消し、第1の
回転体と第2の回転体が互いに抵抗をほとんど生じるこ
となく円滑に空転できる状態となる。このため、動力源
の回転が続いても、実質的に摩擦熱や騒音を生じること
がなく、トルクの伝達が断たれた状態を維持でき、被動
側機器の更なる損傷が防止されるとともに、動力源も保
護される。
【0019】
【実施例】以下に本発明の一実施例について、図1ない
し図5を参照して説明する。図3に示すように、動力源
10と被動側機器11との間に過負荷防止装置(トルク
リミッタ)12が設けられており、動力源10の回転運
動が過負荷防止装置12を介して被動側機器11に伝わ
るようになっている。
【0020】この過負荷防止装置12は、図1に示され
るように、軸線回りに回転可能な第1の回転体21と、
第1の回転体21に対し同一軸線上で相対回転可能な第
2の回転体22を備えており、これら回転体21,22
のいずれか一方が前記動力源10に接続され、他方が被
動側機器11に接続されるようになっている。
【0021】第1の回転体21が動力源10に接続され
る場合、図2において第1の回転体21が動力源10に
よって反時計回り方向に回転させられる。また、第2の
回転体22が動力源10に接続される場合、第2の回転
体22は時計回り方向に回転させられる。
【0022】第1の回転体21は金属などからなるボデ
ィ30を有しており、ボディ30の端面に、金属製の駆
動ディスク31と合成樹脂製の樹脂スペーサ32がボル
ト33によって固定されている。図4中の符号34は、
上記ボルト33を通すための孔を示している。
【0023】樹脂スペーサ32は、駆動ディスク31よ
りも材料強度の低い合成樹脂からなる。この樹脂スペー
サ32はボディ30と駆動ディスク31との間に挟まれ
ている。図4中の符号35は、上記ボルト33を通すた
めの孔を示している。
【0024】第1の回転体21の中心の軸線上にシャフ
ト40が設けられている。このシャフト40はナット4
1によってボディ30に固定され、第2の回転体22に
向って所定長さ突出している。シャフト40の先端にフ
ランジ部42が設けられている。
【0025】第2の回転体22は、第1の回転体21の
方向に延びる中空円柱状の軸部45を備えており、この
軸部45に形成された軸線方向に沿う貫通孔46に、上
記シャフト40が通っている。シャフト40と貫通孔4
6の内面との間に、ベアリング47,48が設けられて
おり、シャフト40の軸線回りに第2の回転体22が円
滑に回転できるようになっている。
【0026】第1の回転体21のボディ30の端面と第
2の回転体22の端面との間に、摩擦係数の小さい材料
からなるスラストワッシャ50が設けられている。第2
の回転体22とシャフト40のフランジ部42との間に
も、摩擦係数の小さい材料からなるスラストワッシャ5
1が設けられている。このように、第2の回転体22の
軸部45が第1の回転体21のボディ30とフランジ部
42との間に挟まれることで、第2の回転体22は、第
1の回転体21に対して回転はできるが、軸線方向には
実質的に移動できないようにしている。
【0027】軸部45の外周面55に、トルク伝達用の
巻きばね60が巻付けられている。この巻きばね60
は、ばね鋼からなる素線60aをコイル状に巻回したも
のであり、外力を与えない無荷重状態(以下、自由状態
と称する)の内径が軸部45の外径よりも小さい。従っ
てこの巻きばね60は、ばねの内面が軸部45の外周面
55に密着することができる。
【0028】巻きばね60の素線60aの材料は、例え
ばSWOSC(シリコンクロムオイルテンパー線)であ
るが、ピアノ線が使われてもよい。素線60aの線径の
一例は6mm、巻きばね60の自由状態での内径の一例
は14.6mm、軸部45の外径の一例は15.0mm
である。従ってこの場合のばね60の締め代は0.4m
mである。
【0029】図示例の巻きばね60は、素線60aが互
いに接触(線間密着)するように隙間無く巻かれてい
る。素線60aの一端(第1端)61は、巻きばね60
の接線方向に突出している。この巻きばね60の他端
(第2端)62はばね60の周方向に沿って巻かれた形
状である。ただしこの第2端は、第1端61と同様にば
ね60の接線方向に突き出ていてもよい。
【0030】上記巻きばね60の第1端61は、第1の
回転体21の駆動ディスク31に設けられた凹状のばね
受け部65に入り込ませている。従って第1の回転体2
1が図2において反時計回り方向に回転すると、このば
ね60は、第1の回転体21と一緒に反時計回り方向に
回転することができる。
【0031】上記ばね受け部65は、巻きばね60の第
1端61を支持する支持壁66を有しており、支持壁6
6に対して第1端61を回転体21の軸線方向に移動可
能としている。しかもこのばね受け部65は、巻きばね
60の第1端61が上記軸線方向に所定量移動した時に
ばね受け部65から抜け出ることを許容する形状であ
る。
【0032】第1の回転体21のボディ30には、上記
第1端61がばね受け部65から抜け出た時にこの第1
端61の回転を妨げない広さの空間67が形成されてい
る。なお、樹脂スペーサ32にも上記ばね受け部65と
同様の形状の凹部68が設けられている。
【0033】図示例のばね60はいわゆる左巻きのばね
である。このため第1の回転体21が図2において反時
計回り方向に回転すると、このばね60は、巻きが弛む
方向に力を受けながら、軸部45にトルクを伝達するこ
とになる。
【0034】第2の回転体22の軸部45に雄ねじ部7
0が設けられている。この雄ねじ部70に、雌ねじ部7
1を有するナット状の駆動部材72が螺合している。こ
の駆動部材72には、巻きばね60の第2端62の端面
と対向する位置に、ばね係止部73が設けられている。
雄ねじ部70と雌ねじ部71の各ねじ山の向き(螺旋の
方向)は、巻きばね60の巻き方向と逆である。すなわ
ち、図示例の巻きばね60は左巻きであるから、雄ねじ
部70と雌ねじ部71はいずれも右ねじとしている。
【0035】このため、巻きばね60が軸部45に対し
図2において反時計回りに滑ると、駆動部材72も反時
計回りに回転することにより、この駆動部材72は、巻
きばね60の第1端61をばね受け部65から押し出す
方向に螺進するようになる。すなわちこの実施例の場
合、雄ねじ部70と駆動部材72が係止解除手段75を
構成している。
【0036】次に、上記構成の過負荷防止装置12の作
用について説明する。動力源10の回転運動によって第
1の回転体21が図2において反時計回り方向に回転す
ると、ばね受け部65に係合している巻きばね60の第
1端61が反時計回り方向に回転するため、巻きばね6
0に反時計回りのトルクが働く。
【0037】上記トルクは巻きばね60の巻きが弛む方
向に働くが、このばね60は前記締め代をもって軸部4
5に巻付いているから、弛み始めるまでの初期荷重をも
っている。このため所定のトルクに達するまでは、軸部
45に対するばね60の締付け力による最大静止摩擦力
が、伝達すべきトルクよりも大きい。
【0038】このため、軸部45とばね60との間には
滑りが全く生じることがなく、軸部45とばね60が一
体となって回転することにより、第2の回転体22が第
1の回転体21と一体に回転する。このため、トルクが
所定値を越えるまでは、ばね60は軸部45の外周面5
5に密着した状態を維持でき、ばね60の応力はトルク
の変化にかかわらず一定となる。
【0039】このような理由から、このばね60を設計
する際には、ばね60の繰返し荷重やトルク変動による
応力振幅を考慮する必要がなく、ばね60の静的な特性
のみを考慮してばね60を設計すればよい。このため、
動的な特性を考慮に入れる場合に比べて、ばね60を高
い応力で使用できる。つまり、ばね60を小形化できる
という利点が生じる。
【0040】被動側機器11に何らかのトラブルが生じ
るなどして、被動側機器11の回転が拘束されると、第
1の回転体21と第2の回転体22との間の伝達すべき
トルクが増大することにより、ばね60の巻きが弛む方
向(ばね60の内径が拡大する方向)にばね60が撓む
ようになる。
【0041】そして伝達すべきトルクが所定値を越える
と、このトルクが前述の最大静止摩擦力に打ち勝って、
軸部45とばね60との間に滑りが生じるようになる。
このため、第1の回転体21と第2の回転体22との間
のトルクの伝達が断たれる。軸部45とばね60とが滑
り始めるトルク値(作動トルク値)は、ばね60の素線
60aの断面寸法や、ばね60の自由状態での内径、あ
るいは軸部45の外径などにより、変化させることがで
きる。
【0042】上記のように軸部45の外周面55を巻き
ばね60が周方向に滑りながら回転すると、ばね60の
回転が第2端62とばね係止部73を介して駆動部材7
2に伝わるため、ばね60と同じ方向に駆動部材72が
回転する。駆動部材72がこの方向に回転すると、雄ね
じ部70に螺合している駆動部材72は巻きばね60を
押しながら第1の回転体21の方向に螺進する。この
時、巻きばね60は、既に軸部45に対する締付け力が
低下して軸部45の周方向に滑っている状態であるた
め、軸部45の軸線方向に僅かな力が働いただけで巻き
ばね60が軸線方向に移動することができる。
【0043】こうして、図5に示すように、巻きばね6
0の第1端61が駆動ディスク31のばね受け部65か
ら抜け出る方向に移動する。このため、第1の回転体2
1と第1端61の接触点(荷重点)が駆動ディスク31
から樹脂スペーサ32へと移動する。上記接触点が樹脂
スペーサ32の凹部68の縁に近付くと、樹脂スペーサ
32と巻きばね60との接触面圧が樹脂スペーサ32の
材料強度を越えるために、樹脂スペーサ32の一部が破
損して第1端61の係止が外れる。
【0044】第1端61がばね受け部65から外れた直
後は、巻きばね60は弾性的に樹脂スペーサ32に接触
している。このため、空転する巻きばね60の第1端6
1が凹部68にさしかかった時に、凹部68の縁との接
触により多少の音が生じる。しかしながら、樹脂スペー
サ32は巻きばね60に比べるとはるかに強度が低いの
で、巻きばね60の第1端61の回転により樹脂スペー
サ32が削り取られ、短時間のうちに音の発生がなくな
るとともに、伝達トルクがほぼゼロになる。このことに
より、作動後の過負荷防止装置12が回転を続けた場合
にも、この部分での更なる発熱が回避されるとともに、
動力源10を保護することができる。
【0045】図6ないし図8に、この発明の第2実施例
の過負荷防止装置12が示されている。この第2実施例
は、係止解除手段80が前記第1実施例と異なっている
が、それ以外の構造と作用効果は前記第1実施例と実質
的に共通であるため、第1実施例と共通の箇所に第1実
施例と共通の符号を付して説明は省略する。
【0046】この第2実施例も、第1の回転体21の回
転力が巻きばね60を介して第2の回転体22に伝達さ
れるようになっており、巻きばね60の第1端61が第
1の回転体21のばね受け部65に挿入されている。こ
の巻きばね60は、第1実施例と同様に自由状態におけ
る内径が軸部45の外径よりも小さく、軸部45の外周
面55に密着した状態で巻付いている。この巻きばね6
0の第2端62は、軸部45に拘束されていない。
【0047】このため、第1の回転体21が図7におい
て反時計回りに回転すると、所定の伝達トルクに達する
までは、第1の回転体21の回転力が巻きばね60を介
して第2の回転体22に伝達される。そしてトルクが一
定の限度を越えると、巻きばね60が軸部45を反時計
回りに滑りながら回転するようになる。
【0048】この第2実施例の係止解除手段80は、第
1の回転体21のばね受け部65に設けられた傾斜面8
1を採用している。この傾斜面81は、巻きばね60が
軸部45に対して上記方向に滑りながら回転する際に、
巻きばね60の第1端61をばね受け部65から空間6
7側に押し出すことができる方向に傾斜している。
【0049】従って、第1の回転体21から第2の回転
体22に伝達されるトルクが所定値を越えることによ
り、軸部45の外周面55を巻きばね60が回転しよう
とすると、巻きばね60の第1端61が上記傾斜面81
に沿って図8に矢印で示す方向に移動する。この時、巻
きばね60は、既に軸部45に対する締付け力が低下し
て軸部45の周方向に滑っている状態であるため、軸部
45の軸線方向に僅かな力が働いただけで巻きばね60
が軸線方向に移動することができる。
【0050】このため、巻きばね60の第1端61がば
ね受け部65から抜け出る方向に動くことにより、図9
に示すように第1の回転体21と第1端61との接触点
(荷重点)が駆動ディスク31から樹脂スペーサ32へ
と移動するとともに、第1端61がばね受け部65から
外れるようになる。
【0051】図10および図11は本発明の第3実施例
を示している。この第3実施例も、係止解除手段90が
前記第1実施例と異なっているが、それ以外の構造と作
用効果は前記第1実施例と実質的に共通であるため、第
1実施例と共通の箇所に第1実施例と共通の符号を付し
て説明は省略する。
【0052】この第3実施例も、第1の回転体21の回
転力が巻きばね60を介して第2の回転体22に伝達さ
れるようになっており、巻きばね60の第1端61が第
1の回転体21のばね受け部65に挿入されている。巻
きばね60の第2端62は、軸部45に設けられた係止
解除手段90としての傾斜面91に接している。この傾
斜面91は、過負荷発生時に巻きばね60が軸部45に
対して前記実施例と同じ方向に滑りながら回転しようと
する際に、巻きばね60の第1端61がばね受け部65
から空間67側に抜け出る方向に巻きばね60の他端6
2を滑らせる。この巻きばね60は、第1実施例と同様
に自由状態における内径が軸部45の外径よりも小さ
く、軸部45の外周面55に密着した状態で巻付いてい
る。
【0053】このため、第1の回転体21が前記実施例
と同様に反時計回りに回転すると、所定の伝達トルクに
達するまでは、第1の回転体21の回転力が巻きばね6
0を介して第2の回転体22に伝達される。そしてトル
クが一定の限度を越えると、巻きばね60が軸部45に
対し反時計回りに滑りながら回転するようになる。
【0054】このため、巻きばね60の第2端62が、
図11に示すように傾斜面91に沿って上昇する。この
時、巻きばね60は、既に軸部45に対する締付け力が
低下して軸部45の周方向に滑っている状態であるた
め、軸部45の軸線方向に僅かな力が働いただけで巻き
ばね60が軸線方向に移動できる。
【0055】こうして、巻きばね60の第1端61がば
ね受け部65から抜け出る方向に動くことにより、第1
の回転体21と第1端61との接触点(荷重点)が駆動
ディスク31から樹脂スペーサ32へと移動するととも
に、第1端61がばね受け部65から外れるようにな
る。
【0056】前記いずれの実施例も、トルク伝達用の巻
きばね60は、トルクを断つ際に巻きが弛む方向に撓む
ため、トルクを断つ時の荷重(トルク切断荷重)が安定
しており、巻きばね60のばらつきの影響がトルク切断
荷重に与える程度が少ない。このため、巻きばね60の
製造上の誤差などを許容できる範囲が大きいという利点
もある。なお、前記いずれの実施例においても、巻きば
ね60の素線60aの断面は円形に限ることはなく、矩
形断面あるいは楕円形などの非円形であってもよい。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、伝達すべきトルクが所
定値を越えた時に確実にトルクを断つことができる。し
かもトルク切断後は巻きばねの一端と第1の回転体との
係合が外れることによって、軸部に対する巻きばねの相
対的な滑りが生じないため、トルク切断後はほとんど発
熱しない。このため、高温になることを避ける必要のあ
る機器に一体化させたり、隣接して設けることができる
など、過負荷防止装置が組込まれる機器全体の小形化を
図ることができる。また、不要な摩擦による発熱が少な
いため、エネルギーの損失も少ないものである。
【0058】また、トルク切断後に動力源側の回転が続
いても実質的に騒音や振動の発生が無く、機器の保護と
静粛性を確保できる。また、巻きばねの巻きが弛む方向
にトルクを伝えるようにした場合には、トルク切断荷重
のばらつきを小さくすることができるとともに、トルク
切断時に係止解除手段によって巻きばねを軸部の軸線方
向に移動させやすくなり、巻きばねの一端をばね受け部
から容易に離脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す過負荷防止装置の軸
線方向に沿う断面図。
【図2】図1中のA−A線に沿う断面図。
【図3】過負荷防止装置の使用態様を示す側面図。
【図4】図1に示された過負荷防止装置の一部の斜視
図。
【図5】図1に示された過負荷防止装置のトルク切断時
の断面図。
【図6】本発明の第2実施例を示す過負荷防止装置の軸
線方向に沿う断面図。
【図7】図6中のB−B線に沿う断面図。
【図8】図6中のC−C線に沿う断面図。
【図9】図6に示された過負荷防止装置のトルク切断時
の断面図。
【図10】本発明の第3実施例を示す過負荷防止装置の
軸線方向に沿う断面図。
【図11】図10に示された過負荷防止装置のトルク切
断時の断面図。
【符号の説明】
10…動力源 11…被動側機器 12…過負荷防止装置 21…第1の回転体 22…第2の回転体 45…軸部 55…軸部の外周面 60…巻きばね 61…ばねの第1端 62…ばねの第2端 65…ばね受け部 70…雄ねじ部 72…駆動部材 75…係止解除手段 80…係止解除手段 81…傾斜面 90…係止解除手段 91…傾斜面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遊佐 幸治 神奈川県愛甲郡愛川町中津字桜台4056 日本発条株式会社内 (56)参考文献 特開 昭53−144097(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16D 7/02 F16H 35/10

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動力源と被動側機器との間に設けられる過
    負荷防止装置であって、 上記動力源または被動側機器のいずれか一方側に設けら
    れかつ軸線回りに回転可能な第1の回転体と、 上記動力源または被動側機器の他方側に設けられかつ上
    記第1の回転体に対し同一軸線上で相対回転可能な軸部
    を有する第2の回転体と、 上記第2の回転体の軸部に巻付けられていてその一端側
    が上記第1の回転体のばね受け部に係止されかつ第1の
    回転体と第2の回転体との間の伝達すべきトルクが所定
    値を越えた時に上記軸部との間で相対回転を生じるトル
    ク伝達用の巻きばねとを具備し、 上記ばね受け部は、上記巻きばねの一端を第1の回転体
    の軸線方向に移動可能に支持するとともにこの巻きばね
    の一端が上記軸線方向に所定量移動した時にこのばね受
    け部から巻きばねの一端が抜け出ることのできる形状と
    してあり、かつ上記第1の回転体または第2の回転体
    に、上記巻きばねが上記軸部を周方向に滑りながら相対
    回転する際にこの巻きばねの一端を上記ばね受け部から
    押し出す方向に上記巻きばねを移動させる係止解除手段
    を設けたことを特徴とする過負荷防止装置。
  2. 【請求項2】上記係止解除手段は、上記第2の回転体の
    軸部に設けられた雄ねじ部と、この雄ねじ部に螺合しか
    つ上記巻きばねの他端が係止されるナット状の駆動部材
    とを具備し、上記雄ねじ部と上記駆動部材のねじ山は、
    上記巻きばねが上記軸部を周方向に滑りながら相対回転
    する際にこの巻きばねの一端を上記ばね受け部から押し
    出す方向に上記駆動部材を螺進させるねじ山の向きとし
    たことを特徴とする請求項1記載の過負荷防止装置。
  3. 【請求項3】上記係止解除手段は、上記第1の回転体の
    ばね受け部において上記巻きばねの一端が接する箇所に
    設けた傾斜面であり、この傾斜面は、上記巻きばねが上
    記軸部を周方向に滑りながら相対回転する際にこの巻き
    ばねの一端を上記ばね受け部から押し出す方向に滑らせ
    る傾斜面であることを特徴とする請求項1記載の過負荷
    防止装置。
  4. 【請求項4】上記係止解除手段は、上記第2の回転体の
    上記巻きばねの他端が接する箇所に設けた傾斜面であ
    り、この傾斜面は、上記巻きばねが上記軸部を周方向に
    滑りながら相対回転する際にこの巻きばねの一端を上記
    ばね受け部から押し出す方向に巻きばねの他端を滑らせ
    る傾斜面であることを特徴とする請求項1記載の過負荷
    防止装置。
  5. 【請求項5】上記ばね受け部が金属製の駆動ディスクに
    設けられており、かつ、上記ばね受け部の外側に、上記
    巻きばねおよび上記駆動ディスクよりも材料強度の低い
    合成樹脂製の樹脂スペーサが設けられていることを特徴
    とする請求項1記載の過負荷防止装置。
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