JP6688235B2 - コイルばねを利用したロックタイプ双方向クラッチ - Google Patents

コイルばねを利用したロックタイプ双方向クラッチ Download PDF

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本発明は、入力軸と出力軸との間の動力伝達状態を変更するクラッチ装置、特に、入力軸(駆動側)からの正・逆回転の動力を伝達するとともに、出力軸(従動側)からの動力伝達は出力軸を回転不能として遮断する、コイルばねを用いたロックタイプ双方向クラッチに関する。
モーターなどの駆動源から作業機器等を駆動する動力伝達系、例えば、モーターにより物品を上下に移送する昇降装置では、物品が所定の位置に達したとき、モーターを停止すると物品が自動的にその位置を保持する作動が求められる場合がある。そのため、入力軸と出力軸を備えたロックタイプの双方向クラッチを用いて、入力軸を正・逆回転可能なモーターに連結するとともに、出力軸の回転により物品を昇降させる装置が知られている。例えば、本出願人の創案に係る特許文献1に記載の装置は、ローラの噛み込み及び噛み込み解除を利用してロックタイプ双方向クラッチとして機能させるものである。
ロックタイプの双方向クラッチは、例えば、複写機のフィニッシャーにおいて、用紙を載せた用紙テーブルを移送する昇降装置、あるいは、建築物の窓のブラインドを昇降する昇降装置に適用される。そして、これを利用すると簡易な装置による自動的な動力伝達の制御が可能となって、例えば、ブレーキ機構を設けて電気的に制御する場合のような、電力等の使用が不必要となるとともに、出力軸側から不測の逆入力があった場合に、駆動源のモーターを保護することも可能となる。
ところで、コイルばねを利用して動力伝達を断続する装置も知られている。例えば、コイルばねを備えた周知のトルクリミッタは、軸に巻き付けたコイルばねの摩擦力よりも大きいトルクが作用したときに、コイルばねを軸に対して空転させて動力の伝達を遮断する。また、コイルばねを利用したクラッチ装置として、例えば、本出願人の創案に係る特許文献2に記載された装置が公知であり、これについて、図8を参照して説明する。図8は、クラッチ装置の全体的な構造を示す図である。
図8のクラッチ装置は、断面円形の内部空間が設けられた固定のハウジングHと、ハウジングHの内側に設置され共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸I及び出力軸Oと、ハウジングHに固着された円筒軸状の内輪Nと、内輪Nの外周面に装着される1個のコイルばねSとを備えている。入力軸I及び出力軸Oには、軸方向に延びる断面円弧状の入力係止片IE及び出力係止片OEが夫々形成されている。入力軸Iと出力軸Oとは、相互に対向すると共に、入力係止片IEと出力係止片OEとが周方向に2個の間隙が存在するようにして組み合わされている。コイルばねSは線材を巻回して形成され、軸方向両端には外方に曲げられたフック部Fが周方向の異なる位置に形成されている。コイルばねSの内周面は内輪Nの外周面と接触している。フック部Fの各々は入力係止片IEと出力係止片OEとによって画成される上記2個の間隙の各々に挿入されている。
入力軸Iが回転すると、その回転方向に応じ、入力係止片IEがコイルばねSの2個のフック部Fのいずれか(回転方向の前方にあるフック部F)に当接してこれを押す。この際には、押す力はばねの緩め方向(コイルばねSと内輪Nとの間の摩擦力が減少する方向)に作用する。そして、入力係止片IEによる上記押す力によって、コイルばねSの内輪Nに対する締め付け力が所定程度緩められると、入力係止片IEはコイルばねSと共に内輪Nに対して幾分回転し、フック部Fが出力係止片OEと当接する。このとき、出力軸Oは自由に回転可能であるため、結果として、入力係止片IEは、コイルばねS、及び出力係止片OEと一体となってハウジングH及び内輪Nに対して回転する。即ち、入力軸Iの回転は、出力軸Oに伝達される。
一方、出力軸Oが回転しようとした際には、その回転方向に応じ、出力係止片OEがコイルばねSの2個のフック部Fのいずれか(回転方向の前方にあるフック部F)に当接してこれを押す。この際には、押す力はばねの締め方向(コイルばねSと内輪Nとの間の摩擦力が増大する方向)に作用し、また、コイルばねSが装着された内輪NはハウジングHに固定されているため、出力係止片OEが回転することはない。即ち、出力軸Oの回転は入力軸Iに伝達されず遮断される。
特許第4850653号公報 特許第5993512号公報
特許文献1のロックタイプ双方向クラッチは、ローラの噛み込み及び噛み込み解除を利用して入力軸及び出力軸間の動力伝達を制御するものであり、ローラを楔形空間に設置することから、その製造・組み立てが困難である。また、ローラの噛み込み等に起因して作動中に振動や異音を生じる問題がある。
特許文献2のクラッチ装置、即ち図8に示すコイルばねを用いたクラッチ装置は、組み立てが容易であること、製造コストを安価にできること等の利点がある。そして、簡単な構造で動力伝達を制御可能にすることができるけれども、次のような点に未だ改善の余地が残されている。
コイルばねを内輪に巻き付けたクラッチ装置においては、入力軸側から回転した際に、コイルばねが内輪の外周面を摺動するが、このときに、コイルばねに所謂ビビリ振動が生じることがある。このビビリ振動は一種の自励振動であって、コイルばねの内周面と内輪の外周面との間で生じる、比較的大きい静摩擦力と比較的小さい動摩擦力との差によって生じるものと考えられている。入力軸から出力軸への回転動力の伝達中に、上記のビビリ振動が発生すると、異音が生じたり、コイルばねに振動による繰り返し荷重がかかり破損につながる虞がある。
また、出力軸が回転しようとした際には、出力係止片によりばねの締め方向の力を作用させ、コイルばねと内輪との間に強大な摩擦力を発生させて出力軸をロックする。このとき、出力係止片が係合するコイルばねのフック部には大きな力がかかるため、出力軸に過大なトルクが作用した場合には、フック部が破断することがある。
本発明の課題は、コイルばねを利用したロックタイプ双方向クラッチにおいて生じる上述のような問題点を解決することにある。
上記の課題に鑑み、本発明では、図8のクラッチ装置と同様に、入力軸と出力軸に夫々入力係止片と出力係止片とを形成し、これらを周方向に2個の間隙が存在するよう組み合わせて設置する。そして、固定のハウジングに対して周方向に固定された内輪の外周面に複数個のコイルばねを軸方向に並列して装着させ、複数個のコイルばねの夫々の両端のフック部を2個の間隙の夫々に挿入した。即ち、本発明は、
「共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されると共に、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸を回転不能として遮断されるロックタイプ双方向クラッチであって、
断面円形の内部空間が設けられた固定のハウジングと、前記ハウジングに固定された軸状の内輪と、前記内輪に軸方向に並列して装着された複数個のコイルばねとを備え、
前記複数個のコイルばねの夫々は、線材を巻回して形成され、夫々の軸方向の両端には外方に曲げられたフック部が周方向の異なる位置に形成され、夫々の内周面は前記内輪の外周面と接触し、
前記入力軸及び出力軸には、軸方向に延びる断面円弧状の入力係止片及び出力係止片が夫々形成され、前記入力係止片及び出力係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、
前記2個の間隙の夫々には、前記複数個のコイルばねの夫々の両端のフック部が挿入され、
前記出力係止片の周方向両端の断面は円弧状に形成されると共に、前記出力係止片と当接する前記複数個のコイルばねのフック部は対応する円弧状に形成されており、
前記入力軸が回転したときは、前記入力係止片が前記複数個のコイルばねの夫々のフック部をばねの緩み方向に押して、前記複数個のコイルばねの夫々のフック部が前記入力係止片及び前記出力係止片によって挟持された状態で、前記複数個のコイルばねと共に前記出力軸を回転させ、前記出力軸に回転力を加えたときは、前記出力係止片が前記複数個のコイルばねの夫々のフック部をばねの締め方向に押して、前記出力軸が回転不能となる」
ことを特徴とするロックタイプ双方向クラッチとなっている。
前記複数個のコイルばねは何れも同一のものであるのが好ましい。
記入力軸が前記入力係止片を固着した入力板部材を有すると共に、前記出力軸が前記出力係止片を固着した出力板部材を有し、前記入力板部材と前記出力板部材とが面接触するのが好ましい。この際には、前記入力板部材の中央には嵌合部が形成されていると共に、前記出力板部材の中央には被嵌合部が形成されているのがよい。
本発明のロックタイプ双方向クラッチは、断面円形の内部空間が設けられた固定のハウジングと、ハウジングに対して周方向に固定された軸状の内輪と、内輪に装着されるコイルばねとを備える。入力軸及び出力軸には、軸方向に延びる断面円弧状の入力係止片及び出力係止片が夫々形成されており、入力係止片及び出力係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう組み合わせて設置され、この間隙に、コイルばねの両端のフック部が夫々挿入される。
こうした点は図8のクラッチ装置と同様であるが、本発明のロックタイプ双方向クラッチでは、内輪に複数個のコイルばねが軸方向に並列に装着される点で図8のクラッチ装置とは相違する。つまり、本発明では、複数のコイルばねが独立して内輪上を摺動すると同時に、入力係止片及び出力係止片は、複数のコイルばねの端部と当接することとなる。
入力軸が回転すると、入力係止片が回転方向の前方側にある複数個のコイルばねの夫々のフック部と当接し、これらを押して出力係止片に当接させる。複数個のコイルばねの夫々は、入力係止片が夫々のフック部と当接したときは緩み方向に力が作用するよう内輪に装着されているため、複数個のコイルばねの夫々の締め付け力は弱められ、出力係止片が入力係止片及び複数個のコイルばねの夫々と共に回転して、出力軸に回転が伝達される。
ここで、本発明におけるロックタイプ双方向クラッチにおいては、複数個のコイルばねが並列に内輪に装着されている。そのため、個々のコイルばねは個別にビビリ振動が生じうるものの、これらは相互に相殺し合い、複数個のコイルばね全体としては内輪との間におけるビビリ振動の発生は回避される。これは、複数個のコイルばねの夫々は、微視的にみれば内輪との間では摩擦の状態が異なり、ビビリ振動の位相等がずれて相互に相殺し合うものと考えられる。
一方、出力軸が回転しようとしたときは、出力係止片が回転方向の前方側にある複数個のコイルばねの夫々のフック部と当接してこれを押すが、その方向はばねの締め方向となる。従って、内輪に対する複数個のコイルばねの夫々の締め付け力は強まって出力係止片の回転が阻止される。
この場合に、本発明のロックタイプ双方向クラッチでは、出力係止片がフック部を押す力は複数個のコイルばねのフック部に分散される。そのため、個々のフック部に作用する力は大幅に減少し、出力軸に大きなトルクが作用したとしても、コイルばねのフック部の破損を防止することができる。
本発明のロックタイプ双方向クラッチの実施例を示す図である。 図1の双方向クラッチの作動を説明する図である。 図1の双方向クラッチを構成するハウジングの単品図である。 図1の双方向クラッチを構成する入力軸の単品図である。 図1の双方向クラッチを構成する出力軸の単品図である。 図1の双方向クラッチを構成する内輪の単品図である。 図1の双方向クラッチを構成するコイルばねの単品図である。 コイルばねを用いた従来のクラッチ装置の一例を示す図である。
以下、図面に基づき、本発明のロックタイプ双方向クラッチについて説明する。まず、本発明の双方向クラッチの全体的な構造を図1に示し、その作動の説明図を図2に示す。図3乃至7は、図1の実施例の双方向クラッチの部品を単体で示すものである。
図1の中央の縦断面図に示すように、この実施例の双方向クラッチは、固定のハウジング1の中心部に入力軸2、出力軸3、内輪4、及び複数個(図示の実施例においては2個)のコイルばね5をそれぞれ配置した構造であり、図示は省略するが、入力軸2はモーター等の駆動側に接続され、出力軸3は昇降装置等の従動側に接続される。
図1と共に図3を参照して説明すると、ハウジング1は、略長方形の端板部11と、この端板部11から軸方向片側に延びる周壁部12からなるカップ状部品であり、その内側には断面円形の内部空間13が設けられている。端板部11の中央にはハウジング貫通開口14が形成されている。ハウジング貫通開口14は、全体としては円形であるが、半径方向内側に突出する一対の係合突起15が直径方向に対向して設けられている。端板部11の軸方向片側面(即ち図3の中央図において右側面)には、ハウジング貫通開口14よりも幾分径方向外方に離隔した位置においてこれを囲んで軸方向に僅かに突出する環状突条16が設けられている。ハウジング1の開口端部、即ち軸方向において端板部11と対向する位置には、シールド17が配設され(図1を参照)、シールド17は入力軸2の後述する入力軸部を軸受する。シールド17は止めねじの如き適宜の固定手段によりハウジング1に固定される。
入力軸2は、図4に示すとおり、入力板部材21と、入力板部材21から軸方向他側に延びる断面円弧状の入力係止片22と、入力板部材21の軸方向片側に固着された入力軸部23とを一体的に成形した部品である。入力板部材21及び入力軸部23は共に略円板形状であり、入力板部材21の直径は入力軸部23のそれに比べて幾分大きく、両者は同一の中心を有している。入力板部材21の他側面の中央には円形凹部である嵌合部24が設けられている。そして、入力板部材21及び入力軸部23の中心にはこれらを貫通する入力貫通開口25が形成されている。入力貫通開口25の断面形状は全体として円形であるが、直径方向において対向する位置には一対の平行な直線状部が設けられている。この入力貫通開口25には図示しないモーター等の駆動源から延びるシャフトが挿入され、駆動源から入力軸2へ回転動力が伝達される。
入力係止片22の断面形状は、周方向に略90度の角度範囲に渡って延在する扇形であり、その周方向両端は周方向に対して直角である。入力係止片22は、その軸方向基端部が入力板部材21に固着されている。
出力軸3は、出力軸本体部31(図5(a))及び、これに接続される出力軸部32(図5(b))の2つの部品から構成される。出力軸本体部31は、図5(a)に示すとおり、出力板部材33と、出力板部材33から軸方向他側に延びる断面円弧状の出力係止片34とを一体に成型した部品である。出力板部材33は略円板形状であり、軸方向他側面の中央には円形の凹部35が、軸方向片側面の中央には軸方向に僅かに突出する円板状の被嵌合部36が夫々形成されている。そして、出力板部材33の中心には出力貫通開口37が形成されている。
出力係止片34の断面形状は、周方向に略150度の角度範囲に渡って延在する扇形であり、その周方向両端の断面は共に円弧状(図示の実施例においては、周方向外側に向かって突出する円弧状)に形成されている。出力係止片34は、その軸方向基端部が出力板部材33の外周面に固着されている。
出力軸部32は、図5(b)に示すとおり、全体として断面円形の中実棒状部材であって、その軸線方向両端部には、直径方向に対向する一対の平面状の切欠き38及び39が設けられている。出力軸本体部31と出力軸部32とは、切欠き38を出力貫通開口37に圧入し、肩部38aを凹部35に突き当てるようにして組み合わされ、出力軸3を構成する。切欠き39が設けられた軸方向他端部は図示しない昇降装置等に接続される。
内輪4は、図6に示すとおり、円筒形状であって、軸方向端部には直径方向に対向して凹状の一対の切欠き41が形成されている。そして、この切欠き41が固定されたハウジング1の係合突起15と係合することで、内輪4はハウジング1に固定される。
複数個のコイルばね5の夫々は線材を巻回することで形成され、図7に示すとおり、軸方向両端には、外方に曲げられたフック部51が周方向の異なる位置に形成されている。フック部51の形状、出力係止片34の周方向両端の断面形状に対応した円弧状である。つまり、フック部51は、出力係止片34の周方向端の断面と同一の曲率で略180度の角度範囲に渡って円弧状に延びている。コイルばね5の両端のフック部51は周方向に見て180度の角度間隔を有している。なお、本実施例における複数個のコイルばね5の夫々は何れも同一のものである。
図1に示す双方向クラッチは以下のように組み立てられる。
まず、複数個のコイルばね5を、夫々の内周面が内輪4の外周面と接触するように、内輪4に軸方向に並列して装着し、複数個のコイルばね5の夫々のフック部51を、周方向に整合した位置におく(図1のA−A断面図を参照)。そして、複数個のコイルばね5が装着された内輪4を、切欠き41をハウジング1の係合突起15に係合させて、ハウジング1に固定する。
次いで、出力軸3及び入力軸2を順次ハウジンジング1の周壁部12の開口端からハウジング1の内部空間13内に挿入する。この際には、出力軸3の出力軸部32が内輪4の内側に挿通され、出力板部材33に設けられた凹部35が内輪4の軸方向端部に嵌め込まれる。また、出力軸3及び入力軸2は、図1の中央縦断面図に示すとおり、出力軸3の被嵌合部36が入力軸2の嵌合部24に回転可能な状態で嵌まり込むと共に、出力板部材33と入力板部材21とが面接触するよう組み立てられる。出力軸3及び入力軸2が組み付けられたときは、図1のA−A断面図に示すとおり、入力係止片22及び出力係止片32は、周方向に2個の間隙6が存在するように配置されることとなり、これら2個の間隙6の夫々には、複数個のコイルばね5の両端のフック部51が夫々挿入される。
続いて、図1に示す双方向クラッチの作動について図2を参照して説明する。
図2(a)の左側の縦断面図の矢印に示すように、入力軸2が、例えば、駆動源のモーターにより回転軸oの周りを時計方向(軸方向の右方から見て)に回転すると、入力軸2に形成された入力係止片22も回転軸oの周りを同方向に回転する。回転軸o周りに回転した入力係止片22は、複数個のコイルばね5の夫々の軸方向の一方の端部、即ち回転方向前方にあるコイルばね5のフック部51(図の上側に示されるフック部51)に当接し、フック部51をばねの緩み方向に押して内輪4に対する複数個のコイルばね5の夫々の締付力を弱める。さらに、入力係止片22は、夫々のフック部51を介して出力係止片34を押し、これにより複数個のコイルばね5の夫々のフック部51が入力係止片22及び出力係止片34によって挟持された状態で、夫々のコイルばね5の内輪4に対する締付力を弱めながら出力係止片34をコイルばね5と共に回転させる。
入力軸2が反時計方向に回転すると、入力係止片22は、複数個のコイルばね5の夫々の軸方向の他方の端部にあるフック部51(図の下側に示されるフック部51)に当接して、これを反時計方向に押す。その力の方向は、やはり内輪4に対するコイルばね5の締付力を弱める方向であって、上述の場合と同じく、入力係止片22は、出力係止片34をコイルばね5と共に反時計方向に回転させる。このように、本発明のロックタイプ双方向クラッチでは、入力軸2が正・逆方向に回転すると、出力軸3が同一方向に等速で回転し、動力伝達が行われる。
本発明のロックタイプ双方向クラッチにおいては、複数個のコイルばね5が並列に内輪4に装着されている。個々のコイルばねは、微視的に見た場合には内輪4との間の摩擦等の条件が全く同じではないため、個別にビビリ振動が生じうるもののこれらは相互に相殺し合い、複数個のコイルばね全体としては内輪との間におけるビビリ振動の発生は回避される。これにより、入力軸から出力軸への回転の伝達中において、ビビリ振動による異音の発生や、繰り返し荷重によるフック部の破損の虞が回避される。
また、本実施例においては、内輪4の軸方向端部が出力軸3の出力板部材33に設けられた凹部35に、出力板部材33の被嵌合部36が入力軸2の入力板部材21に設けられた嵌合部24に、夫々嵌合している。そのため、入力軸2及び出力軸3が、ラジアル方向及びスラスト方向に軸受されることとなり、回転の伝達中における入力軸2及び出力軸3の芯ぶれや振動が防止される。
一方、図2(b)の左側の縦断面図における矢印に示すように、出力軸3側からの回転トルクにより、出力軸3を回転軸oの周りに時計方向(軸方向の右方から見て)に回転させようとしても、出力係止片34がコイルばね5のフック部51(図の下側に示されるフック部51)をばねの締め方向に押して、内輪4に対するコイルばね5の締め付け力を強めるため、出力係止片34は内輪4に対して回転しない。この点は、出力軸3を反時計方向(軸方向の右方から見て)に回転させようとした場合も同様である(このときは、出力係止片34が図の上側のフック部51と当接)。従って、出力軸3からの入力軸2への回転の伝達は、出力軸3が回転不能となり遮断される。
本発明のロックタイプ双方向クラッチでは、出力係止片34がフック部51を押す力は複数個のコイルばね5のフック部51に分散される。そのため、個々のフック部51に作用する力は大幅に減少し、出力軸3に大きなトルクが作用したとしても、コイルばね5のフック部51の破損を防止することができる。図示の実施例においては、コイルばね5は内輪4に軸方向に並列して2個装着されているため、個々のフック部51に作用する上記の力は実質上半分に減少することとなる。
また、本発明のロックタイプ双方向クラッチでは、出力係止片34の周方向両端の断面が円弧状に形成されると共に、出力係止片34と当接する複数個のコイルばね5のフック部51が対応する円弧状に形成されている。そのため、出力係止片34がフック部51を押した際には、これに係る力は円弧状に形成されたフック部51の内周面全体に分散され、上記の力がフック部51の特定部位に局部的に集中することが回避され、フック部51が耐えうる荷重の上限値を大きくすることができる。換言すると、出力軸3に大きなトルクが作用した場合であっても、フック部51は破断することなく、出力軸3はロック状態を維持し、出力軸3からの入力軸2への回転の伝達を遮断することが可能となる。
以上詳述したように、本発明は、コイルばねを利用して、入力軸の回転時には出力軸を回転させる一方、出力軸を回転させようとしても回転不能にロックするよう構成したロックタイプ双方向クラッチにおいて、固定の内輪に複数個のコイルばねを装着することにより、回転伝達中のビビリ振動の防止などを図るものである。上記の実施例においては、出力軸は出力軸基部及び出力軸部の2つの部品から構成されていたが、出力軸は単一の構成部品であってもよい。また、出力係止片の周方向両端の断面を円弧状とする代わりに、くの字やコの字等適宜の形状に形成し、これに当接するコイルばねのフック部を対応する形状に加工することも可能である。さらに、入力軸及び出力軸とハウジングの内周面との間にベアリングを介在させるなど、上記の実施例に対し各種の変形が可能であるのは明らかである。
1 ハウジング
2 入力軸
22 入力係止片
3 出力軸
34 出力係止片
4 内輪
5 コイルばね
51 フック部
6 間隙

Claims (4)

  1. 共通の回転軸を中心として回転可能な入力軸及び出力軸を備え、前記入力軸からの正・逆方向の回転は前記出力軸に伝達されると共に、前記出力軸からの前記入力軸への回転の伝達は、前記出力軸を回転不能として遮断されるロックタイプ双方向クラッチであって、
    断面円形の内部空間が設けられた固定のハウジングと、前記ハウジングに固定された軸状の内輪と、前記内輪に軸方向に並列して装着された複数個のコイルばねとを備え、
    前記複数個のコイルばねの夫々は、線材を巻回して形成され、夫々の軸方向の両端には外方に曲げられたフック部が周方向の異なる位置に形成され、夫々の内周面は前記内輪の外周面と接触し、
    前記入力軸及び出力軸には、軸方向に延びる断面円弧状の入力係止片及び出力係止片が夫々形成され、前記入力係止片及び出力係止片は、周方向に2個の間隙が存在するよう、組み合わされて設置され、
    前記2個の間隙の夫々には、前記複数個のコイルばねの夫々の両端のフック部が挿入され、
    前記出力係止片の周方向両端の断面は円弧状に形成されると共に、前記出力係止片と当接する前記複数個のコイルばねのフック部は対応する円弧状に形成されており、
    前記入力軸が回転したときは、前記入力係止片が前記複数個のコイルばねの夫々のフック部をばねの緩み方向に押して、前記複数個のコイルばねの夫々のフック部が前記入力係止片及び前記出力係止片によって挟持された状態で、前記複数個のコイルばねと共に前記出力軸を回転させ、前記出力軸に回転力を加えたときは、前記出力係止片が前記複数個のコイルばねの夫々のフック部をばねの締め方向に押して、前記出力軸が回転不能となる、ことを特徴とするロックタイプ双方向クラッチ。
  2. 前記複数個のコイルばねは何れも同一のものである、請求項1に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  3. 前記入力軸が前記入力係止片を固着した入力板部材を有すると共に、前記出力軸が前記出力係止片を固着した出力板部材を有し、前記入力板部材と前記出力板部材とが面接触する、請求項1又は2に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
  4. 前記入力板部材の中央には嵌合部が形成されていると共に、前記出力板部材の中央には被嵌合部が形成されている、請求項に記載のロックタイプ双方向クラッチ。
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