JP6388695B1 - コイルばねを備えたスプリングクラッチの構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転体に装着したコイルばねの締め付けトルクを出力部材に伝達するスプリングクラッチにおいて、回転体と出力部材の軸のずれや傾きを防止する。【解決手段】スプリングクラッチの回転体1の外周には、線材を卷回したコイルばね2が装着され、コイルばね2の一端のフック部21が出力部材3のスリット31に挿入されている。回転体1の内部には断面円形の中空部が形成され、この中空部には、出力部材3に一体形成した案内部33が密着して嵌め込まれる。案内部33は、コイルばね2の全長に亘って軸方向に延びており、トルク伝達の際に、回転体1と出力部材3の間に中心軸のずれや傾きが生じるのを防止する。また、フック部21は、その直線部がスリット31の壁面から傾斜して離れるよう形成されていて、フック部21の根元には曲げモーメントが作用せず、フック部21の耐久性の低下を防止することができる。【選択図】図1

Description

本発明は、回転体の外周にコイルばねを装着して、回転体の回転によりコイルばねが締め付けられる場合はその回転を出力側に伝達し、コイルばねが緩められる場合は回転伝達を遮断するスプリングクラッチに関するものである。
スプリングクラッチは、回転体とその外周に巻き付けたコイルばねとの間に働く摩擦力が、コイルばねの締め付け又は緩みにより相違することを利用して回転伝達を断・接するクラッチである。このクラッチは、比較的簡易な構造であって作動が確実であり、小型化も容易であるので、複写機、プリンタ等の事務用機器に多く用いられている。
スプリングクラッチのコイルばねは、通常、自由状態の内径が回転体の外径よりわずかに小さく、弾性的に拡径した状態で回転体に密着して巻き付けられる。このようなコイルばねを用いたスプリングクラッチの一例について、図5により説明する。
図5のスプリングクラッチは、モーター等の駆動源に連なる駆動軸(入力軸)ISと作業機器等の負荷側に連なる従動軸(出力軸)OSとを同芯状態で突合せ、両方の軸に亘ってコイルばねCSを巻き付けたものである。この図において駆動軸ISを矢印方向に回転させると、コイルばねCSの内径側と両方の軸との間に摩擦力が発生してばねは巻き込まれ、駆動軸ISから従動軸OSに大きなトルク(締め付けトルク)を伝達することができる。矢印と逆方向に回転すると、コイルばねCSは緩んで小さなトルク(緩みトルク)しか伝達できず、実質的に回転伝達は遮断される。このように、図5に示すスプリングクラッチは、駆動軸ISの回転方向に応じて回転伝達が断・接される一方向クラッチとして作動する。
図5のスプリングクラッチでは、同芯状態で設置された駆動軸と従動軸との2軸に亘って、軸より内径の小さいコイルばねを装着するため、部品点数が増加するとともに組立が困難になるという問題がある。これに対し、単一の駆動軸にコイルばねを装着し、コイルばねのフック部を介して外方の出力部材に回転を伝達するようにしたスプリングクラッチも知られており、例えば、特許文献1に開示されている。
特許文献1のスプリングクラッチは、小型プリンタの活字ドラム回転機構と紙送り機構に用いられるもので、図6(a)に示すように、モーターに連なる駆動軸IS(回転体)には、単一のコイルばねCSが装着されている。コイルばねCSの両端には、ばねの線材を径方向外方に曲げたフック部F1、F2が形成してあり、フック部F1は、活字ドラム回転機構用の歯車G1に結合された円筒のスリットS1に挿入され、フック部F2は、紙送り機構用の歯車G2のスリットS2に挿入される。駆動軸ISが矢印方向に回転すると、歯車G2にはフック部F2を介して締め付けトルクが作用し、歯車G2は大トルクにより回転駆動される。一方、歯車G1にはフック部F1を介して緩みトルクが作用して、歯車G1は小トルクで回転駆動される。
そして、歯車G1にはストッパ係合用の切欠きRSが設けてある。図示は省略するが、ここにストッパを係合したときは、歯車G1の負荷トルクが増大するためコイルばねCSと駆動軸ISとの間にスリップが発生し、歯車G1が停止したまま駆動軸ISが空転して回転伝達が遮断される。
実開平5−7455号公報
コイルばねを駆動軸と従動軸の2軸に亘って装着する図5のスプリングクラッチは、組立てが困難であり部品点数も増加する。単一の軸に装着したコイルばねのフック部を介してトルク伝達を行う図6(a)のスプリングクラッチでは、こうした組立性等の問題はないものの、回転伝達の円滑性やフック部の耐久性等について次のような問題が生じる。
コイルばねのフック部を介して大きなトルク伝達を行うときは、図6(b)に示すとおり、コイルばねCSの一端に形成したフック部F2から、従動側(出力側)部材である歯車G2に対し、コイルばねCSの締め付けによるトルクを加える。フック部F2にはトルク伝達に伴い反力CFが作用するが、この反力CFは、コイルばねCSを装着する駆動軸ISにも伝達され、駆動軸ISの中心には横方向の力(図の破線矢印)が作用することとなる。これにより、駆動軸ISの中心軸と従動側の歯車G2の中心軸との間に、相対的なずれ又は軸の傾き等が生じて振動が起こるなど、円滑な回転伝達が阻害される。
また、フック部F2に働く反力CFは、回転伝達時にフック部F2の側面がスリットS2の壁面を押すことにより発生するものであって、図6(c)の拡大図に示すとおり、フック部F2の直線部に沿ってほぼ均等に分布する荷重となる。そのため、フック部F2の根元の曲げ部Bには、大きな曲げモーメントが作用して曲げ応力が生じ、このような曲げ応力が繰り返し生じると、フック部F2の耐久性の低下を招くこととなる。
スプリングクラッチでは、締め付けトルクにより回転伝達を行うときにフック部に大きな曲げ応力が生じ、緩みトルクの場合には、所定のトルクに達すると滑りが発生してそれ以上のトルクが作用しないため、曲げ応力は実質上問題にならない。なお、フック部の直線部を短くすると曲げモーメント及び曲げ応力は小さくなるけれども、スリットへの挿入長さが減少し、トルク伝達の際にスリットから外れる恐れがある。
本発明は、径方向外方にフック部を有するコイルばねを用いて、大容量のトルク伝達を円滑に行うことが可能で、しかも耐久性の優れたスプリングクラッチを構成し、上述の問題の解決を図ることを課題とする。
上記の課題に鑑み、本発明は、回転体に装着したコイルばねが締め付けられるときのトルクを、フック部を介して出力部材に伝達するスプリングクラッチにおいて、回転体の内部に断面円形の中空部を設けるとともに、出力部材には、回転体の中空部に密着して嵌め込まれる案内部を設けることにより、回転体と出力部材との間における中心軸の相対的なずれ又は傾きなどを防止し、円滑な回転伝達を行うようにしたものである。すなわち、本発明は、
「回転体の外周に単一のコイルばねを装着し、前記回転体の回転により前記コイルばねが締め付けられるときは、前記回転体の回転を出力部材に伝達し、前記コイルばねが緩められるときは、前記出力部材への回転伝達が遮断されるスプリングクラッチであって、
前記コイルばねの一端には、径方向外方に曲げられたフック部が形成されるとともに、前記出力部材には、前記フック部の挿入されるスリットが形成され、さらに、
前記回転体の内部には断面円形の中空部が設けられ、かつ、前記出力部材には、前記コイルばねを取り囲み前記スリットの形成された外側円筒部と、前記コイルばねの長さ以上に亘って軸方向に延び、前記回転体の中空部に嵌め込まれる案内部とが設けられており、
前記回転体は、前記案内部の外周に密着しながら摺動可能に設置され、前記回転体の回転を前記出力部材に伝達するときは、前記フック部が前記スリットの壁面に当接して、トルクの伝達が行われる」
ことを特徴とするスプリングクラッチとなっている。
前記出力部材には環状凹所を形成し、ここに前記回転体の端部を嵌め込むようにすることができる。また、各構成部品の材料については、前記回転体及び前記コイルばねを金属製とし、前記出力部材を合成樹脂製とすることが好ましい。
本発明のスプリングクラッチにおいて、回転伝達を遮断するには、「前記コイルばねの他端に、径方向外方に曲げられた曲げ部と前記曲げ部に連なる直線部とを有する第2フック部を形成するとともに、前記第2フック部の挿入される第2スリットを有する制御部材を、前記回転体と共に回転するように設置し、前記制御部材の回転を停止したときは、前記コイルばねが緩められて、前記出力部材への回転伝達が遮断される」ように構成することができる。
このような構成を採用したときは、「前記出力部材には、前記コイルばねを取り囲み前記フック部の形成された外側円筒部を設けるとともに、前記制御部材には、前記第2スリットの形成された円筒壁部を設け、前記出力部材の外側円筒部と前記制御部材の円筒壁部とを、係合手段により結合する」ことが好ましい。また、前記制御部材を合成樹脂製とするのが好ましい。
スプリングクラッチは、回転体に巻き付けて装着したコイルばねの締め付けトルクを利用して、回転体の回転を出力部材に伝達する伝動部品であるが、本発明のスプリングクラッチでは、コイルばねの径方向外方に延びるフック部を、コイルばねの外方直近に置かれた出力部材のスリットに挿入し、これを介してトルク(及び回転)の伝達を行う。そのため、構造が簡易であって部品点数が少なく、スプリングクラッチを小型化するのも容易である。また、径方向外方に延びるフック部を備えたコイルばねは、トルクリミッタ等の伝動部品にも広く用いられるいわば汎用品であり、特性の安定したコイルばねを低コストで入手可能である。
そして、本発明では、コイルばねを装着した回転体の内部に断面円形の中空部を設け、出力部材には、その中空部に密着して嵌め込まれる案内部を設けている。
回転体から出力部材に回転を伝達するときは、前述したように、トルク伝達に伴ってフック部には反力が作用して回転体の中心軸にも横方向の力が加わる。ここで、本発明のスプリングクラッチは、その回転体が出力部材の案内部に密着して嵌め込まれており、回転伝達時において振動等が起こったとしても、回転体と出力部材の中心軸にずれや傾きの生じることがなく、円滑な回転伝達が達成される。また、回転体と出力部材とが相対的に回転する回転伝達遮断時においては、回転体が出力部材の案内部の外周面を摺動するため、やはり両者の中心軸の間に傾き、芯ぶれ等が起こることはなく、それに起因する部品の破損などを防止することができる。
出力部材に設けられる案内部は、回転体に装着されたコイルばねの長さ以上に亘って軸方向に延びている。このようにすることにより、伝達トルクの反力の作用するコイルばねが案内部により全体的に支持される形となり、回転体と出力部材の中心軸の傾き等が確実に防止される。
本発明の回転体は、内部に断面円形の中空部を有する円筒形状となっているので、出力部材の中心軸の周りに環状の凹所を形成し、この凹所に回転体の端部を嵌め込むようにすることが可能である。このような構成にすると、回転体と出力部材との中心軸は、案内部と環状凹所の両方により同芯の位置に保持されることとなる。
本発明の一実施態様として、「フック部が位置するスリットにおいては、その開口部に傾斜する面取り部が形成され、かつ、フック部の直線部とスリットの壁面とのなす角が、1°以上で15°以下となるように設定されており(後述の図4参照)、回転体の回転を出力部材に伝達するときは、フック部における曲げ部と直線部との接続部分が、スリットにおける面取り部の外方端に当接して、トルクの伝達が行われる」構成とした場合には、回転体の回転を出力部材に伝達するときは、フック部の根元に近接した位置に反力が加わることとなり、先方側の直線部にはそれが作用しない。そして、反力の加わる位置は、回転体と出力部材の案内部との嵌め合いにより、フック部とスリットとの径方向の相対位置が変化しないため、回転伝達中に一定の位置に保持される。
その結果、フック部の根元には曲げモーメントが作用せず、根元に生じる応力は主にせん断応力となり、曲げ応力が加わる場合に比べて耐久性が向上するので、締め付けトルクによる大きなトルク伝達が繰り返されたとしても、フック部の破損を招くことはない。フック部の直線部は、スリットの壁面に対し1°以上傾斜しているため、回転体や出力部材が回転中に振動を起こしたとしても、両者の接触による曲げモーメントの発生を回避することができる。また、その角度を15°以下とすることにより、回転中にフック部がスリットから抜け出る恐れが非常に小さくなる。フック部の直線部とスリットの壁面とのなす角を、3°以上で10°以下の範囲としたときは、より確実にこうした効果を得ることができる。
本発明のスプリングクラッチの他の実施態様である「コイルばねの他端に、径方向外方に曲げられた曲げ部と前記曲げ部に連なる直線部とを有する第2フック部を形成するとともに、第2フック部の挿入される第2スリットを有する制御部材を、回転体と共に回転するように設置」する構成は、この制御部材の回転・停止を制御して、出力部材への回転伝達と遮断とを切り換えることを目的とするものである。
この実施態様では、回転体に装着したコイルばねの両端にフック部を設け、一端のフック部を出力部材のスリットに挿入するとともに、他端の第2フック部を、制御部材に形成した第2フック部に挿入する。スプリングクラッチの回転伝達時には、制御部材は回転体(及びコイルばね)と共に回転しているが、回転伝達を遮断するときは、例えば、ソレノイドで操作されるストッパを制御部材に係合して制御部材の回転を停止する。
制御部材の回転を停めると、回転中のコイルばねには、他端の第2フック部を経由して回転を阻止する方向の負荷トルクが作用する。この負荷トルクは、コイルばねの巻きつきを緩める緩みトルクとして作用し(回転体の回転により反対側のフック部に作用するトルクが締め付けトルクであるので)、負荷トルクが所定の値に達したときは、回転体とコイルばねとの間に滑りが生じて、回転体から出力部材への回転伝達が不可能となる。つまり、制御部材の回転・停止を制御することにより、回転体から出力部材への回転伝達とその遮断とを切り換えることができる。
制御部材を設置する実施態様においては、「出力部材には、コイルばねを取り囲みフック部の形成された外側円筒部を設けるとともに、制御部材には、第2フック部の形成された円筒壁部を設け、出力部材の外側円筒部と制御部材の円筒壁部とを係合手段により結合する」ことができる。この構成を採用したときは、回転体に装着したコイルばねの外方が、出力部材の外側円筒部と制御部材の円筒壁部とにより覆われることとなり、回転体とコイルばねとの摺動面に異物や埃等が侵入するのを防止できる。
なお、上述の実施態様では、スプリングクラッチの回転伝達・遮断を制御するため、コイルばねの他端に第2フック部を設けるとともに、第2フック部に係合する制御部材を設置し、コイルばねに緩みトルクが作用するように制御部材を操作している。しかし、コイルばねの一端のみに設けたフック部を出力部材に係合させた場合であっても、回転体の回転方向を逆にすると緩みトルクが働くので、本発明のスプリングクラッチを一方向クラッチとして用いるときは、こうした制御部材を設置する必要はない。
本発明のスプリングクラッチの実施例の全体的な構造を示す図である。 図1のスプリングクラッチの回転体とコイルばねを示す単品図である。 図1のスプリングクラッチの出力部材と制御部材を示す単品図である。 図1のスプリングクラッチのフック部の係合状態を示す説明図である。 従来のスプリングクラッチの一例を示す図である。 従来のスプリングクラッチの別の例を示す図である。
以下、図面に基づいて、本発明のスプリングクラッチについて説明する。図1には、本発明のスプリングクラッチの実施例についてその全体的な構造(組立図)を示し、図2には、このスプリングクラッチの構成部品である回転体とコイルばねを、図3には出力部材と制御部材を、それぞれ単品図で示す。また、図4は、コイルばねが装着された回転体を出力部材と組み合わせた状態を表すものであり、スリットに挿入されたフック部を拡大図で示している。
図1に示すように、この実施例のスプリングクラッチは、回転体1、回転体1の外周に巻き付けて装着される単一のコイルばね2、出力部材3及び制御部材4の4個の部品により構成される。回転体1は円筒形をなしていて(図2の単品図も参照)、コイルばね2の装着される外周が断面円形であるとともに、内部には断面円形の中空部11が設けられる。また、図の左側端部には、図示しないモーター等の駆動源に接続するための、断面が四角形形状をなす係合溝12が設けられている。
回転体1の外周に装着されるコイルばね2は、その内径が、外力の作用しない自由状態においては回転体1の外径よりもわずかに小さく設定され、ばねの弾性により回転体1の外周に締付力を加えるように装着される。コイルばね2の一端には、ばねの線材を径方向外方に曲げて形成したフック部21が設けてあり、他端にも、同様に形成した第2フック部22が設けられる。
コイルばね2は、ピアノ線等の弾性を有する金属線材を卷回して製作され、その内径部に嵌め込まれる回転体1は、耐摩耗性を有する鉄鋼材料等の金属材により製作される。また、コイルばね2と回転体1との間には、耐摩耗性、耐久性の向上を目的として、グリース等の潤滑剤が塗布される。潤滑剤としてはフッ素系潤滑剤(パーフルオロポリエーテル)が好ましく、特に、直鎖型パーフルオロポリエーテルと側鎖型パーフルオロポリエーテルとの混合物を基油とするグリースを用いるのが好ましい。このようなグリースは特許第6122191に記載されている。
コイルばね2のフック部21は、図1の断面X−Xに示すとおり、出力部材3に形成された断面が長方形のスリット31に挿入される。出力部材3には、間隙を隔ててコイルばね2の外周側を取り囲む外側円筒部32(図3参照)が形成され、スリット31は、外側円筒部32に軸方向に延びるよう設けられている。
そして、本発明の実施例である図1のスプリングクラッチにおいては、出力部材3の内方には、回転体1の中空部11に密着して嵌め込まれる案内部33が設けられる。案内部33は、内部が中空となった円筒形状をなし、コイルばね2が装着された回転体1の部分の長さ以上に亘って、軸方向に延長されている。スリット31を有する外側円筒部32と案内部33とは端板34により連結され、端板34には、回転体1の一端を嵌め込む環状の凹所35が形成される。
軽量化や製造の容易化を目的として、出力部材3は、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂により製作される。耐摩耗性の向上のため、ガラス繊維などの繊維体を合成樹脂に混入することもできる。
出力部材3の端板34の、凹所35とは反対側の面には係合突起36が立設され、係合突起36は、図示しない紙送り機構等の作業機器側に接続される。なお、「出力部材」とは説明の便宜上用いた用語であり、本発明のスプリングクラッチは、出力部材3をモーター等の駆動側に接続し、回転体1を作業機器等の従動側に接続するようにして使用することができるのは明らかである。
図1の実施例のスプリングクラッチにおいては、回転伝達の断・接を行うため、コイルばね2の他端部には第2フック部22が形成されるとともに、図1の断面Y−Yに示すように、第2フック部22の挿入される第2スリット41を有する制御部材4が、出力部材3と対向するように設置される(図3の単品図も参照)。制御部材4は、第2スリット41の形成された円筒壁部42と、中央孔43の形成された端板44とを有しており、中央孔43が回転体1の端部の外周に嵌め込まれる。
円筒壁部42の先端には、内向きの爪45が周方向に4個形成されており、爪45が出力部材3の外側円筒部32の円周溝に係合することにより、制御部材4と出力部材3が結合される。制御部材4は出力部材3と同様な合成樹脂により製作され、制御部材4の爪45は、弾性を利用して外側円筒部32の円周溝に係合される。
このように、図1の実施例のスプリングクラッチでは、回転体1に装着したコイルばね2の外方が、出力部材3の外側円筒部32と制御部材4の円筒壁部42とにより全面的に覆われることとなる。そのため、回転体1とコイルばね2との間の摺動面に異物や埃等が侵入することがなく、潤滑剤の汚染が防止できると同時に、封入された潤滑剤の外部への漏洩を防ぐことができる。
制御部材4の外周には、図1の左側面図に示すとおり、断面が三角形状の4個のストッパ突起46が形成されている。このストッパ突起46に、2点鎖線で表されたストッパSTが係合すると、制御部材4の回転が阻止されてコイルばね2には第2フック部22を介して緩み方向のトルクが働き、回転体1からの回転伝達が遮断され、出力部材3の回転も停止する。ストッパSTの位置は、図示しない電磁ソレノイドを操作することにより制御可能となっている。
次いで、本発明のスプリングクラッチの特徴部分である、回転体1と出力部材3の案内部33との組み合わせ部分、及び、フック部21が挿入されるスリット31の部分の詳細な構造について、主に図4により説明する。図4の下部には、コイルばね2の装着された回転体1と出力部材3とを取り出して示し、図4の上部には、スリット31に挿入されたフック部21の状態を拡大して示す(図1の断面X−XにおけるZ部の拡大図)。
図4の下部に示すように、本発明のスプリングクラッチでは、回転体1には中空部11が設けられるとともに、ここに案内部33が嵌め込まれて回転体1が出力部材3に組み合わされており、回転体1は、案内部33の外周に密着しながら摺動可能となっている。案内部33は、回転体1に装着されたコイルばね2の全長に亘って軸方向に延び(図1も参照)、また、出力部材3には、案内部33の周りに環状の凹所35が形成され、ここに回転体1の端部が嵌め込まれている。
そのため、スプリングクラッチの回転伝達時においては、トルク伝達に伴う反力の作用により、回転体1の中心軸に横方向の力が働いたとしても、回転体1の中心軸が出力部材3の中心軸からずれたり傾いたりするのを防ぐことがきる。さらに、出力部材3のスリット31とコイルばね2のフック部21との相対的位置が振動等で変動するのを防止し、後述するように、フック部21に曲げモーメントが作用しない状態に保持することが可能である。
ところで、スプリングクラッチでは、回転体1に装着されたコイルばね2の内径は、自由状態のときよりも弾性的にわずかに拡径し、径方向外方に曲げられたフック部もわずかに変形する。この実施例においては、出力部材3と係合するフック部21は、回転体1に装着された状態で、その直線部Lがコイルばね2の径方向に対して少量だけ傾斜するように形成されている。そして、出力部材3のスリット31は、その断面がほぼ長方形の形状であって、両側の壁面が、径方向に延びる断面の中心線cと平行になるよう形成されており、かつ、回転体1の回転方向前方となる側(図4では右側)の開口部に、傾斜した面取り部3Cが形成されている。
図4の上部の拡大図に示すとおり、スリット31内にフック部21が挿入されると、フック部21の曲り部Bと直線部Lとの接続部分J、つまり直線部Lの根元部分が、スリット31の面取り部3Cの外方端に当接し、フック部21の直線部Lは、スリット31の壁面に対して先端が離れるようにわずかに傾斜する。その傾斜は、フック部21の直線部Lとスリット31の壁面とのなす角αが1°以上15°以下となるように設定され、図4のものの場合には約6°となっている。
回転部材1は、左側から見て時計方向に回転するように構成してある(図1の断面X−X等)。そのため、回転部材1から出力部材3に回転が伝達するときは、フック部21の接続部分Jがスリット31の面取り部3Cの外方端を押圧しながら、出力部材3を回転部材1と共に回転させる。このとき、コイルばね2には締め付け方向のトルクが作用し、フック部21を経由して出力部材3に伝達されるが、フック部21の直線部Lはスリット31の壁面から離れており、フック部21の根元に大きな曲げモーメントが作用することはない。フック部21の根元に生じる応力は主にせん断応力となり、耐久性低下の原因となる曲げ応力が発生しない。直線部Lはスリット31の壁面に対し1°以上傾斜しているので、回転伝達中に振動などが生じても、両者の接触を防止することができる。
また、フック部21と当接するスリット31の開口部には面取り3Cが施してある。これにより、スリット31の開口部をフック部21の曲げ部Bに接近させて、フック部21とスリット31とのクリアランスを小さくし、コイルばね2の外周と出力部材3とのクリアランスも小さくすることができる。さらに、フック部21の接続部分Jと当接する部分が鈍角となり、トルクが伝達する際の応力の集中を緩和することが可能である。
この実施例のスプリングクラッチにおいて、回転部材1から出力部材3への回転伝達を遮断するときは、図1の左側面図に示すように、制御部材4の外周のストッパ突起46にストッパSTを突き当て、制御部材4の回転を停止する。これによって、コイルばね2には、図1の断面Y−Yの第2フック部22を介して緩み方向のトルクが作用する結果、回転部材1とコイルばね2との間にスリップが生じ、出力部材3が停止して回転部材1が空転することとなる。
なお、制御部材4の停止に伴い第2フック部22に反力が作用するが、これは締め付けトルクによりフック部21に生じる反力と比べるとはるかに小さく、第2フック部22に大きな曲げ応力が発生することはない。
以上詳述したように、本発明は、回転体の外周に装着したコイルばねが締め付けられるときのトルクを、フック部を介して出力部材に伝達するスプリングクラッチにおいて、回転体の内部に断面円形の中空部を設けるとともに、出力部材には、回転体の中空部に密着して嵌め込まれる案内部を設け、回転体と出力部材との間に相対的なずれ又は中心軸の傾き等を防止して、円滑な回転伝達を行わせるものである。
上記の実施例においては、回転体の内部に嵌め込まれる出力部材の案内部を中空の円筒形状としているが、中実の円柱体とすることもできる。また、回転伝達遮断用の制御部材を停止させるため、ストッパ突起を設けてストッパに係合しているが、これに代え、摩擦式ブレーキを用いて制御部材を停止させるなど、上記の実施例に対して各種の変形が可能であるのは明らかである。
1:回転体
2:コイルばね
21:フック部(B:曲げ部、L:直線部、J:接続部分)
22:第2フック部
3:出力部材
31:スリット
32:外側円筒部
33:案内部
4:制御部材
41:第2スリット
42:円筒壁部

Claims (6)

  1. 回転体の外周に単一のコイルばねを装着し、前記回転体の回転により前記コイルばねが締め付けられるときは、前記回転体の回転を出力部材に伝達し、前記コイルばねが緩められるときは、前記出力部材への回転伝達が遮断されるスプリングクラッチであって、
    前記コイルばねの一端には、径方向外方に曲げられたフック部が形成されるとともに、前記出力部材には、前記フック部の挿入されるスリットが形成され、さらに、
    前記回転体の内部には断面円形の中空部が設けられ、かつ、前記出力部材には、前記コイルばねを取り囲み前記スリットの形成された外側円筒部と、前記コイルばねの長さ以上に亘って軸方向に延び、前記回転体の中空部に嵌め込まれる案内部とが設けられており、
    前記回転体は、前記案内部の外周に密着しながら摺動可能に設置され、前記回転体の回転を前記出力部材に伝達するときは、前記フック部が前記スリットの壁面に当接して、トルクの伝達が行われることを特徴とするスプリングクラッチ。
  2. 前記出力部材には、前記回転体の端部が嵌め込まれる環状の凹所が形成された請求項1に記載のスプリングクラッチ。
  3. 前記回転体及び前記コイルばねが金属製であり、前記出力部材が合成樹脂製である請求項1又は請求項2に記載のスプリングクラッチ。
  4. 前記コイルばねの他端には、径方向外方に曲げられた第2フック部が形成されるとともに、前記第2フック部の挿入される第2スリットを有する制御部材が、前記回転体と共に回転するように設置されており、
    前記制御部材の回転を停止したときは、前記コイルばねが緩められて、前記出力部材への回転伝達が遮断される請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスプリングクラッチ。
  5. 前記出力部材には、前記コイルばねを取り囲み前記フック部の形成された外側円筒部が設けられるとともに、前記制御部材には、前記第2スリットの形成された円筒壁部が設けられており、
    前記出力部材の外側円筒部と前記制御部材の円筒壁部とは、係合手段により結合されている請求項4に記載のスプリングクラッチ。
  6. 前記制御部材が合成樹脂製である請求項4又は請求項5に記載のスプリングクラッチ。
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