JP2018179109A - トルクリミッタ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型でコンパクトな構造でありながら大トルクを伝達することができると共に、入力部材と出力部材との間において回転ガタが十分小さく且つ両者の間で応力集中が生じないトルクリミッタを提供すること。
【解決手段】外側リング3の内周に円錐面32を形成すると共に、内側リング4の外周に、円錐面32と当接してこれを軸方向に押圧する対向円錐面42を形成し、且つ外側リング3及び内側リング4の一方を内輪2に、他方をハウジング1にそれぞれ相対回転不能に係合させる。そして、外側リング3及び内側リング4の少なくとも一方を、インボリュートスプラインにより相手方に相対回転不能に係合させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転伝達装置の入力部材と出力部材を構成する軸状の内輪とハウジングとを備え、内輪とハウジンとの間に所定値以上の回転トルクが作用したとき、両者が相対的に回転するトルクリミッタに関するものである。
近時においては、各種の部品をモーターで自動的に操作する生活用品、例えば、便座や便蓋が自動的に開閉する便器が広く普及している。このような便器においては、通常、便座や便蓋はモーター駆動によって開閉動させられるが、かかる開閉動の最中に人の手等による外力によっても便座や便蓋が開閉動させられることがある。この場合には、モーターに過負荷がかかってしまうため、これを回避するために、便座や便蓋を駆動する駆動装置には、通常トルクリミッタが装着されている。
便座や便蓋を自動的に開閉動させるための駆動装置の一例として、特許文献1に開示されたものを図13に、この駆動装置に装着されたトルクリミッタの単体図を図14に示す。駆動装置DSは、駆動源であるモーターM、従動装置である便座や便蓋を開閉動させるための従動歯車体JB、及びモーターMと従動歯車体JBとの間に設けられたトルクリミッタTLから構成される。
トルクリミッタTLは、回転中心となるシャフト部材SM、このシャフト部材SMに挿通されると共にこれと同軸に設けられる入力部材IM、出力部材OM、摩擦部材FM、及び軸方向ばね力付与部材AMを備える。入力部材IMはシャフト部材SMに固定され、円板状の部分と、この外周縁から軸方向片側に延びる入力円筒壁ICとを備えている。入力円筒壁ICの外周には、モーターMからの回転駆動を受ける入力歯車IGが形成されている。出力部材OMはシャフト部材SMに対して回転可能であり、円板状の部分と、その中央部において入力部材IMとは反対方向に向かって軸方向片側に延びる出力円筒壁OCとを備えている。出力円筒壁OCの外周には、従動歯車体JBに接続される出力歯車OGが形成されている。
摩擦部材FMは入力円筒壁ICの内側に画成される円環状空間に配設され、何れも環状である複数の入力プレートIP及び出力プレートOPから構成される。入力プレートIP及び出力プレートOPは軸方向に交互に積層して配設され、これらは溝と突起の嵌め合いにより、入力部材IM及び出力部材OMにそれぞれ相対回転不能に係合される。軸方向ばね力付与部材AMは、出力部材OMと当接する円板状の座金Wと、この座金Wに軸方向ばね力を付与するコイルばねSPと、このコイルばねSPのばね力を調整するナットNとを備える。座金Wによって出力部材OMが軸方向に押圧されると、入力プレートIPと出力プレートOPとの間には所定の摩擦力が生じる。
通常の場合、即ち、便座や便蓋が所定値以下の回転トルクでモーター駆動によって開閉動する場合においては、モーターMから伝達された回転駆動によって、入力部材IMが回転すると共に入力部材IMと回転不能に係合された入力プレートIPが回転する。このとき、入力プレートIPは出力プレートOPと所定の摩擦力によって接続されているため、出力プレートOP及びこれと回転不能に係合された出力部材OMも一体となって回転する。従って、出力部材OMに接続された従動歯車体JBも入力部材IMと一体となって回転し、従動歯車体JBに接続された便座や便蓋が自動的に開閉動する。
一方、便座や便蓋がモーターによって駆動されている最中に所定の回転トルク以上の外力が加えられ、これによって便座や便蓋が開閉動する場合においては、上記外力による回転トルクが従動歯車体JBを介して出力部材OMに伝達され、出力プレートOPと入力プレートIPとの間の摩擦力に打ち勝ち、出力プレートOPが入力プレートIPに対して滑り、出力プレートOPと入力プレートIPとの間で滑りが生じる。そのため、所定の回転トルク以上の外力、即ち過負荷、がモーターにかかることが回避される。
特開2016−151297号公報
しかしながら、上述したトルクリミッタにおいては、摩擦部材FMに軸方向の押圧力を付与してこれに所定の摩擦力を発生させる軸方向ばね力付与部材AMが、軸方向において出力部材OMとは反対側に位置するため、装置全体をコンパクトにすることができない。そのため、上述したトルクリミッタにあっては、これを例えばパソコンの蓋を駆動モーターで開閉するヒンジ部分など、スペースが狭い場所に設置することができない。
本出願人は、上記した課題を解決するため、本願の出願に先立ち、いわゆる輪ばねのようなばね定数の非常に大きなばねを利用して、小型でコンパクトな構造でありながら、摩擦力を増大し回転トルクの設定値を大きくしたトルクリミッタを提案している(特願2016−17110号及び特願2016−17111号)。これらのトルクリミッタでは、互いに当接する円錐面及び対向円錐面の形成された外側リング及び内側リングが用いられ、外側リング及び内側リングは、回転伝達装置の入力部材と出力部材を構成する内輪又はハウジングにそれぞれ相対回転不能に係合される。そして、外側リングと内側リングとの間に作用する回転トルクが、円錐面と対向円錐面との間で作用する摩擦力を上回ると、両方のリングが相対的に回転を始める。
ここで、本出願人の提案したトルクリミッタにおいては、外側リング及び内側リングを相対回転不能に係合するため、これらのリングに断面が角形の溝を設け、相手方となる内輪又はハウジングには、角形の溝と密着して嵌り合う断面が角形の突起を形成している。こうした係合方法は簡単なものではあるが、以下のような点で未だ改善の余地のあることが判明した。
第1に、角形断面の溝と突起とを互いに密着させるには、接触する面の表面粗さを小さくする必要がある等、こうした溝や突起を精度よく加工するのは困難な面がある。角形断面の溝と突起の寸法精度が低下した場合には、入力部材及び出力部材を構成する内輪とハウジングとの間にもいわゆる回転ガタが生じる結果となり、トルクリミッタを回転伝達系に設置した場合、入力部材を逆転しても出力部材は直ちに逆転しないなど、回転伝達装置として好ましくない現象が起こる。
第2に、入力部材である内輪の回転トルクが角形断面の溝と突起を介して出力部材であるハウジングに伝達される際に、角形断面の隅部に応力が集中しやすい。本出願人の提案のトルクリミッタは、コンパクトで高トルクの伝達が可能であるが、衝撃的な回転トルクが繰り返し作用したときは、角形断面の接触面の面圧の上昇による応力集中に起因して、角形断面の溝と突起にクラックが発生する恐れがある。
本発明は、本出願人が提案した輪ばねを利用するトルクリミッタにおける、上記したような問題点を解決することを課題とする。
上記の課題に鑑み、本発明は、互いに当接する円錐面及び対向円錐面の形成された外側リング及び内側リングを用い、輪ばねの原理を利用して大きな摩擦力を発生させるトルクリミッタにおいて、外側リング及び内側リングを、インボリュートスプラインにより内輪又はハウジングにそれぞれ相対回転不能に係合させたものである。即ち、本発明は、
「軸状の内輪とハウジングとを備え、前記内輪と前記ハウジングとの間に所定値以上の回転トルクが付加されたとき、両者が相対的に回転するトルクリミッタであって、
前記内輪を囲み相互に隣接して配置される外側リング及び内側リングが、共通の中心軸を有するよう前記ハウジング内に設置され、
前記外側リングの内周には円錐面が形成されると共に、前記内側リングの外周には、前記円錐面と当接して軸方向に押圧する対向円錐面が形成され、かつ、前記外側リング及び内側リングの一方が前記内輪に、他方が前記ハウジングにそれぞれ相対回転不能に係合され、
前記内輪と前記ハウジングとの間に所定値以上の回転トルクが付加されたときは、前記外側リングの円錐面と前記内側リングの対向円錐面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記ハウジングとが相対的に回転するよう構成されており、さらに、
前記外側リング及び内側リングの少なくとも一方は、インボリュートスプラインにより相手方に相対回転不能に係合されている」
ことを特徴とするトルクリミッタとなっている。
前記インボリュートスプラインを構成する外歯及び内歯の歯形形状は、転位量が互いに異なるものに設定することができる。
前記ハウジングは、前記外側リング及び内側リングが設置されるとともに、軸方向の端部に開口が設けられた収容空間を有し、前記開口には、前記開口をシールドしながら、前記外側リングの円錐面及び前記内側リングの対向円錐面を互いに軸方向に押圧する蓋部材が設置されているのが好ましい。
前記内輪及び前記ハウジングの外周には、軸方向の全長に亘って外歯が形成されているのが好ましい。
前記外側リング及び内側リングが、共に、平面部とこれに接続された円錐部とからなる板状の金属により形成することができる。
本発明のトルクリミッタは、軸状の内輪と、この内輪を囲み相互に隣接して配置される外側リング及び内側リングとが、共通の中心軸を有するようにハウジング内に設置されており、外側リング及び内側リングの一方が内輪に、他方がハウジングにそれぞれ相対回転不能に係合されている。外側リング及び内側リングには、軸方向荷重により摩擦力を発生する円錐面及び対向円錐面が形成してあり、内輪とハウジングとの間に作用する回転トルクがこの摩擦力よりも大きくなると、両者は相対的に回転する。
このように、本発明のトルクリミッタでは、輪ばねの原理を利用して大きな摩擦力を発生させるため、小型のものであったとしても、内輪とハウジングとの間で大きなトルクの伝達が可能となり、例えば、各種の動力伝達系において、駆動モーター保護用のトルクリミッタに要するスペースを小さくすることができる。
そして、本発明のトルクリミッタでは、外側リング及び内側リングは、少なくともその一方がインボリュートスプラインにより相手方(内輪又はハウジング)に相対回転不能に係合される。インボリュートスプラインは、断面がインボリュート形状の多数の外歯と内歯とを嵌め合わせて係合する嵌め合い方法であり、内輪とハウジングとの間の伝達トルクが多数の歯に分散されるため、各々の歯に作用する力は小さくなる。さらに、内歯と外歯の接触部はインボリュートの曲面となるから、角形の溝と突起との嵌め合わせにおいて生じる、隅部のような急激な断面変化を生じる部分はなく、応力集中に起因するクラックの発生を防止することが可能である。
また、インボリュートスプラインを構成する外歯及び内歯は、回転伝達部品として常用されるインボリュート歯車の歯形そのものである。こうした歯車を精度よく加工する加工機は、工場等に常備されるものでもあり、本発明のインボリュートスプライン部分は、こうした加工機を用いて容易に高精度で形成することができる。したがって、断面が角形の突起と溝により係合する係合手段を比較すると、製造コストが低廉なものとなるとともに、係合部分の高精度の加工により回転ガタを小さくすることができる。
本発明のトルクリミッタの第1実施例の全体的な構造を示す図である。 図1に示すトルクリミッタのハウジングを示す図である。 図1に示すトルクリミッタのシールドを示す図である。 図1に示すトルクリミッタの内輪を示す図である。 図1に示すトルクリミッタの外側リングを示す図である。 図1に示すトルクリミッタの内側リングを示す図である。 本発明のトルクリミッタの第2実施例の全体的な構造を示す図である。 図7に示すトルクリミッタのハウジングを示す図である。 図7に示すトルクリミッタのシールドを示す図である。 図7に示すトルクリミッタの内輪を示す図である。 図7に示すトルクリミッタの外側リングを示す図である。 図7に示すトルクリミッタの内側リングを示す図である。 自動開閉便座及び便蓋に用いられる駆動装置の一例を示す図である。 図13に示す駆動装置のトルクリミッタを示す図である。
以下、図面に基づいて、本発明のトルクリミッタについて説明する。図1には、本発明のトルクリミッタの第1実施例の全体的な構造図を示し、図2乃至図6には、その構成部品の単品図を示す。
図1に示すように、本発明のトルクリミッタの第1実施例のものは、外周に外歯1H6が形成されて歯車形状をなすハウジング1を具備し、このハウジング1内には共通の中心軸oを有する内輪2、外側リング3、及び内側リング4が備えられている。
図1と共に図2及び図3を参照して説明すると、ハウジング1は本体1H及び蓋部材1Sを有する。本体1Hは全体として筒状であって、軸方向の片側には端板1H1が形成されると共に軸方向の他側には円形の開口1H2が設けられ、内部には収容空間1H3が形成されている。端板1H1の中央には円形の孔1H4が設けられている。本体1Hの外周縁部には、周方向に等角度間隔をおいて複数個(本実施例においては6個)のねじ穴1H5が形成されている。ねじ穴1H5は何れも軸方向に貫通しており、軸方向他側は開口1H2に面している。
本体1Hの外周には軸方向の全長に亘って、外歯1H6が形成されており、収容空間1H3の外周には内歯1H7が形成されている。外歯1H6は、従動機器を駆動するための一般的な歯車であるが、内歯1H7は、後述するように、インボリュートスプラインの内歯側をなすものである。外歯1H6及び内歯1H7の歯形形状は共にインボリュートであって、外歯1H6の歯数は43、内歯1H7の歯数は24(ねじ穴1H5が設けられた角度位置においては歯が設けられていない)となっている。
図3を参照することによって明確に理解されるとおり、蓋部材1Sは円環状の板部材であり、外周縁部には本体1Hに設けられたねじ穴1H5に対応する位置に、小孔1S1が夫々形成されている。
図1及び図4を参照して説明すると、内輪2は筒状の軸状部材であり、その外周には、歯形形状がインボリュートの外歯21(歯数は17)が全長に亘って形成されている。つまり、内輪2は軸方向に長い外歯歯車であって、その一部はインボリュートスプラインの外歯側をなすものである。
図1及び図5を参照して説明すると、外側リング3は、内輪2が貫通する孔を有し、外周には外歯31が設けられている。外歯31はインボリュート歯形であって、この外歯31は、ハウジング1の内歯1H6と嵌り合ってインボリュートスプラインを構成するよう、その歯数は24であって周方向の特定位置においては歯が設けられていない。外側リング3の内周には、径方向において内方を向く円錐面32と、この円錐面32の縮径端から軸方向に延びる円筒面33とが形成されている。円錐面32は円筒面33(軸方向)に対して10°乃至40°傾斜しているのが好ましく、図示の実施例においては30°傾斜している。
図1及び図6を参照して説明すると、内側リング4は、内輪2が貫通する孔を有し、内周には内歯41が設けられている。内歯41の歯形形状は、やはりインボリュートであって歯数は17であり、内歯41は、内輪2の外歯21に篏合してインボリュートスプラインを構成する。内側リング4の外周には、径方向において外方を向く対向円錐面42と、この対向円錐面42の拡径端から軸方向に延びる円筒面43とが形成されている。対向円錐面42は円筒面43(軸方向)に対して10°乃至40°傾斜しているのが好ましく、図示の実施例においては30°傾斜している。
主に図1を参照して説明を続けると、内輪2、外側リング3、及び内側リング4は、以下のようにしてハウジング1内に装着される。
先ず、インボリュートスプラインをなす内輪2の外歯21と内側リング4の内歯41とを嵌め合わせ、内側リング4をハウジング1の収容空間1H3に位置させる。このとき、内側リング4の軸方向端面及び内輪2の軸方向端面(共に図1において右側)が端板1H1に当接するようにする。次いで、外側リング3を、内輪2に挿通させて円錐面32が内側リング4の対向円錐面42と当接すると共に、インボリュートスプラインをなす外歯31とハウジング1の内歯1H7とを嵌め合わせて、ハウジング1の収容区間1H3に位置させる。そして、ボルト5を用いてハウジング1の本体1Hに蓋部材1Sを固定する。ハウジング1の本体1Hに蓋部材1Sが固定されると、蓋部材1Sにより外側リング3の軸方向端面が押圧され、外側リング3の円錐面32と内側リング4の対向円錐面42とが当接して軸方向に押圧する。
本発明のトルクリミッタでは、外側リング3と内側リング4とは、円錐面同士で当接しいわゆる「輪ばね」として知られるばね装置と類似の構造をなしている。蓋部材1Sにより加えられる軸方向の荷重によって両方のリングは弾性変形し、内側リング3が縮径すると同時に外側リング4が拡径する。この弾性変形に伴い、両方のリングの円錐面の間には摩擦力が作用するが、その摩擦力は、外側リング3と内側リング4の軸方向の相対変位がごく少量であっても非常に大きな値となる。したがって、本発明のトルクリミッタは、小型のものであったとしても、内輪2とハウジング1との間で大きな回転トルクの伝達が可能となる。詳しくは、この回転トルクは、内輪2から内側リング3へと伝達され、円錐面の間の摩擦力により内側リング4から外側リング3へ、さらに、外側リング3からハウジング1へと伝達される。
ここで、本発明のトルクリミッタでは、内側リング4と外側リング3とは、インボリュートスプラインにより相手方である内輪2とハウジング1とにそれぞれ係合されている。つまり、内輪2と内側リング4とは、共にインボリュート歯形形状の外歯21と内側リング4の内歯41とを嵌め合わせることにより相対回転不能に係合され、同様に、外側リング3とハウジング1もやはりインボリュート歯形形状の外歯31と内歯1H7とを嵌め合わせて係合される。
このように、本発明のトルクリミッタでは、多数の歯を有するインボリュート歯形形状同士の当接により内輪2とハウジング1へ回転トルクが伝達されるため、内輪2とハウジング1との間に大きな回転トルクが作用しても、回転トルクはインボリュートスプライン多数の歯に分散され、各々の歯に作用する力は小さくなる。また、曲面であるインボリュート歯形同士の接触部分には、隅部のような急激な断面変化を生じる部分はなく、応力集中を回避してクラックの発生を防止することができる。
さらに、インボリュートスプラインを構成する外歯と内歯は、インボリュート歯車の歯形そのものである(例えば、内輪2は中空となった歯車の形態をなす)。インボリュート歯車は、回転伝達部品としてごく一般的に使用される歯車であり、こうした歯車を精度よく加工する加工機は、いわば汎用の加工装置として工場等に常備されるものでもある。本発明の内側リング4と外側リング3などのインボリュートスプライン部分は、こうした加工機を用いて容易に高精度で形成することができる。そのため、断面が角形の突起と溝により係合する係合手段を比較すると、製造コストが低廉なものとなるとともに、係合部分の回転ガタを解消することができ、回転伝達装置として使い勝手の優れたものとなる。
図1等の第1実施例においては、インボリュートスプラインを構成する外側リング3の外歯31及びハウジング1Hの内歯1H7の歯形形状は、両方ともモジュール:m=1であるけれども、外歯31が転位係数=0の標準歯形であるのに対し、内歯1H7は転位係数=0.2の正転位量を有する歯形であって、転位量が互いに異なるものに設定されていて、自由状態では、内歯と外歯の間にわずかなクリアランスが存在するようにする。
歯型形状をこのように設定することで、本発明のトルクリミッタにおいては、組み立て時には、まず、外側リング3のハウジング1Hへの挿入作業が容易になる。そして、蓋部材1Sが外側リング3を軸方向に押圧してこれが拡径した際に、外側リング3の外歯歯車31とハウジング1の内歯歯車1H7との間に存在していた転位量分のクリアランスが埋まるため、外側リング3とハウジング1との間での回転ガタが解消される。
なお、第1実施例においては、他方のインボリュートスプラインを構成する内側リング4の内歯41及び内輪2の外歯21の歯形形状は、両者ともにモジュール:m=1、転位係数=0の標準歯形である。しかし、所望ならば、内歯41と外歯21についても転位量を異ならせることができる。
次に、主に図1を参照して第1実施例のトルクリミッタの作動について説明する。このトルクリミッタは、例えば、駆動源であるモーターにより従動部材であるパソコンの蓋や便座等を自動的に開閉する回転伝達系において、駆動源のモーターを過負荷から保護するために介在される回転伝達装置であり、内輪2が入力部材としてモーターに接続され、ハウジング1が出力部材としてパソコンの蓋等に接続される。
内輪2とハウジング1とを相対的に回転させるトルクが所定値以下、つまり、従動部材がいわば正常な状態であれば、内輪2に係合された内側リング4の対向円錐面42とハウジング1に係合された外側リング3の円錐面32との間の摩擦力により、内輪2とハウジング1とは一体的に回転し、モーターからの回転駆動によって従動部材を駆動することができる。本発明のトルクリミッタでは、外側リング3と内側リング4とは、いわゆる「輪ばね」として知られるばね装置をなしており、軸方向の荷重により弾性変形して両者の間に非常に大きな摩擦力を発生させる。そのため、本発明のトルクリミッタは、小型のものであったとしても、内輪2とハウジング1との間で大きなトルクの伝達が可能である。
さらに、本発明のトルクリミッタでは、外側リング3及び内側リング4がインボリュートスプラインにより相手方に相対回転不能に係合されているため、入力部材と出力部材との間の回転ガタが回避されると共に、係合部におけるクラックの発生も回避される。
一方、従動部材であるパソコンの蓋を手で押さえた際など、内輪2とハウジング1との間に所定値よりも大きい回転トルクが付加されると、外側リング3の円錐面32と内側リング4の対向円錐面42との間の摩擦力に打ち勝って、外側リング3と内側リング4とが相対的に回転する。つまり、内輪2とハウジング1との間に滑りが生じてモーターと従動部材とが遮断され、モーターが過負荷から保護されることとなる。
次いで図7乃至12に基づき、本発明のトルクリミッタの第2実施例について説明する。図7には、本発明のトルクリミッタの第2実施例の全体的な構造を示す図を示し、図8乃至図12には、その構成部品の単品図を示す。なお、以下の説明において、第1実施例と同様の構成要素については、その説明を省略して第1実施例の構成要素と同一の符号に「´」を示すことのみとする。
図7と共に図8を参照して説明すると、ハウジング1´における収容空間1H3´の外周(即ち本体部1H´の内周)には、径方向内側に比較的小さく突出する断面円弧状の小突出部1H8´及び比較的大きく突出する断面半円形状の大突出部1H9´が夫々形成されている。小突出部1H8´及び大突出部1H9´は共に周方向に等角度間隔をおいて複数個(図示の実施例においては3個)ずつ設けられ、小突出部1H8´と大突出部1H9´とは夫々周方向に等角度間隔をおいて交互に配置されている。夫々の大突出部1H9´には、開口1H2´に面し且つ軸方向に延びるねじ穴1H5´が形成されている。
更に図9を参照して説明すると、蓋部材1S´の外周縁部には、上記ねじ穴1H5´に対応する3個の小孔1S1´と、上記小突出部1H8´と噛み合う3個の切欠き1S3´とが形成されている。そして、蓋部材1S´の径方向略中間部には、夫々の切欠き1S3´と周方向において整合して軸方向他側に突出する3個の弧状突出部1S4´が形成されている。
図7と共に図10を参照して説明すると、内輪2´は筒状の軸状部材であり、その外周には歯形形状がインボリュートの外歯21(歯数は26)が全長に亘って形成されている。つまり、内輪2は軸方向に長い外歯歯車であって、その一部はインボリュートスプラインの外歯側をなすものである。かような内輪2´にはこれをハウジング1´内に配置する際に用いられる適宜の位置決め手段が設けられる。図示の実施例においては、位置決め手段はリング状のカラー26´であり、このカラー26´は、図7を参照することによって明確に理解されるとおり、内輪2´に圧入されその軸方向略中間位置に位置している。上記の位置決め手段はカラーに限定されることなく、ピンやEリング等であってもよい。また、内輪2´をハウジング1´内に配置する際の位置決めを要さない場合には、内輪2´に位置決め手段を設けなくてもよい。
図7と共に図11を参照して説明すると、外側リング3´は、内輪2´の貫通する孔が形成された外側平面部34´と、この外側平面部34´の外周に接続された円錐部35´とを有する板状の金属からなる。外側平面部34´の内周には内歯31´が設けられている。内歯31´の歯形はインボリュートであって、その歯数は26である。円錐部35´は軸方向に対して10乃至40°傾斜しているのが好ましく、図示の実施例においては20°傾斜している。そして、円錐部35´の内周には円錐面32´が設けられている。
図7と共に図12を参照して説明すると、内側リング4´は、内輪2´の貫通する孔が形成された内側平面部44´と、この内側平面部44´の内周に接続された対向円錐部45´とを有する板状の金属からなる。内側平面部44´の外周縁部には、上記ねじ穴1H5´に対応する3個の小孔46´と、上記小突出部1H8´と噛み合う3個の切欠き47´とが形成されている。対向円錐部45´は軸方向に対して10乃至40°傾斜しているのが好ましく、図示の実施例においては20°傾斜している。そして、対向円錐部45´の外周には対向円錐面42´が設けられている。
本実施例のトルクリミッタにおいては、外側リング3´及び内側リング4´は共に板状の金属からプレス成型により製造される。本実施例のように、外側リング3´及び内側リング4´を、共に板状の金属からなるものであって、平面部(34´及び43´)とそれに連なる(対向)円錐部(35´及び44´)とから形成されるようにすることで、外側リング3´及び内側リング4´は、適宜の金属板から加工容易なプレス加工により形成することができるため、トルクリミッタの製造効率を上昇させることができると共に製造コストを低減させることができ、量産化に好都合である。
主に図7を参照して説明を続けると、本実施例においては、外側リング3´はインボリュートスプラインにより内輪2´に相対回転不能に係合される。一方、内側リング4´は、切欠き47´と小突出部1H8´との共働によりハウジング1´に相対回転不能に係合される。内側リング4´とハウジング1´とが相対回転不能に係合されると、内側リング4´の小孔46´とハウジング1´のねじ穴1H5´とが整合する。そして、ねじ5´によって、蓋部材1S´と共に内側リング4´が本体1H´に固定される。所望ならば、本実施例においても、インボリュートスプラインを構成する外歯及び内歯の歯形形状を転位量が互いに異なるものに設定してもよい。また、内側リング4´はインボリュートスプラインによりハウジング1´に相対回転不能に結合されるようにしてもよい。
本実施例のトルクリミッタにおいても、所要通りにして各構成部品が組み合わされると、外側リング3´と内側リング4´とが「輪ばね」として知られるばね装置をなす。そして、モーターのような駆動部材及び機械部品のような従動部材のいずれか一方が内輪2´に接続され、いずれか他方がハウジング1´に接続され、上述した第1実施例のトルクリミッタと同様の作用効果を奏することが可能となる。
本実施例のトルクリミッタにおいては更に、ねじ5の締め代を調整して蓋部材1S´を軸方向に進退させることで外側リング3´の円錐面32´と内側リング4´の対向円錐面42´との間の摩擦力が調整され、これにより上記した回転トルクの所定値を適宜調整することが可能である。この際には、蓋部材1S´に弧状突出部1S4´が設けられているため、蓋部材1S´が内側リング4´を良好に押圧することが可能となる。
一方、本実施例のトルクリミッタにおいては、蓋部材1S´と共に内側リング4´がねじ5´によってハウジング1´の本体1H´に固定されている(換言すると、内側リング4´は蓋部材1S´が存在しなくても本体1Hに固定されている)ため、所望ならば、蓋部材1S´を省略することもできる。蓋部材1S´を省略した場合には、外側リング3´の円錐面32´と内側リング4´の対向円錐面42´との間の摩擦力を調整することはできないものの、部品点数を削減することができ、製造コストの低減及び軽量化に寄与することができる。
以上、本発明のトルクリミッタの好適実施形態について詳述した。上記実施例においては、外側リング及び内側リングは1対設けられていたが、これに限定されることはなく、使用用途に応じて外側リング及び内側リングは複数対設けるようにしてもよい。外側リング及び内側リングの設置数が増大することで、円錐面と対向円錐面との摩擦力が増大し、スリップトルクをより大きな値に設定することが可能となる。外側リング及び内側リングを複数対配設する場合においても、外側リング及び内側リングの少なくとも一方をインボリュートスプラインにより相手方に相対回転不能に係合させる必要がある。また、上記実施例においては、外側リング及び内側リングの少なくとも一方は、内歯と外歯の断面形状が台形状に近似したインボリュートスプラインにより相手方に相対回転不能に結合されていたが、これに替えて断面形状が三角形に近似したインボリュートセレーションにより相手方に相対回転不能に結合されるようにしてもよい。
1:ハウジング
2:内輪
3:外側リング
32:円錐面
4:内側リング
42:対向円錐面
5:ねじ

Claims (5)

  1. 軸状の内輪とハウジングとを備え、前記内輪と前記ハウジングとの間に所定値以上の回転トルクが付加されたとき、両者が相対的に回転するトルクリミッタであって、
    前記内輪を囲み相互に隣接して配置される外側リング及び内側リングが、共通の中心軸を有するよう前記ハウジング内に設置され、
    前記外側リングの内周には円錐面が形成されると共に、前記内側リングの外周には、前記円錐面と当接して軸方向に押圧する対向円錐面が形成され、かつ、前記外側リング及び内側リングの一方が前記内輪に、他方が前記ハウジングにそれぞれ相対回転不能に係合され、
    前記内輪と前記ハウジングとの間に所定値以上の回転トルクが付加されたときは、前記外側リングの円錐面と前記内側リングの対向円錐面との間の摩擦力に抗して、前記内輪と前記ハウジングとが相対的に回転するよう構成されており、さらに、
    前記外側リング及び内側リングの少なくとも一方は、インボリュートスプラインにより相手方に相対回転不能に係合されていることを特徴とするトルクリミッタ。
  2. 前記インボリュートスプラインを構成する外歯及び内歯の歯形形状は、転位量が互いに異なるものに設定された請求項1に記載のトルクリミッタ。
  3. 前記ハウジングは、前記外側リング及び内側リングが設置されるとともに、軸方向の端部に開口が設けられた収容空間を有し、前記開口には、前記開口をシールドしながら、前記外側リングの円錐面及び前記内側リングの対向円錐面を互いに軸方向に押圧する蓋部材が設置された請求項1又は2に記載のトルクリミッタ。
  4. 前記内輪及び前記ハウジングの外周には、軸方向の全長に亘って外歯が形成された請求項1乃至3のいずれかに記載のトルクリミッタ。
  5. 前記外側リング及び内側リングが、共に、平面部とこれに接続された円錐部とからなる板状の金属により形成される請求項1乃至3のいずれかに記載のトルクリミッタ。
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