JPH08277847A - 過負荷防止装置 - Google Patents

過負荷防止装置

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JPH08277847A
JPH08277847A JP8020395A JP8020395A JPH08277847A JP H08277847 A JPH08277847 A JP H08277847A JP 8020395 A JP8020395 A JP 8020395A JP 8020395 A JP8020395 A JP 8020395A JP H08277847 A JPH08277847 A JP H08277847A
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JP
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rotating body
spring
control member
torque
friction control
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Application number
JP8020395A
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English (en)
Inventor
Masahiro Kawaguchi
真広 川口
Masahiko Okada
昌彦 岡田
Takeshi Mizufuji
健 水藤
Koji Yusa
幸治 遊佐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Industries Corp
NHK Spring Co Ltd
Original Assignee
NHK Spring Co Ltd
Toyoda Automatic Loom Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 トルク切断後の発熱が少なくかつ、騒音や振
動を発生しないような過負荷防止装置を提供することが
主たる目的である。 【構成】 回転可能に設けられた第1の回転体21と、
第1の回転体21に対し同一軸線上で相対回転可能な第
2の回転体22と、一端側が第1の回転体21に係止さ
れかつ他端側が第2の回転体22の外周部に巻かれた巻
きばね50を備えている。第2の回転体22は、円柱状
の軸部30と、軸部30の外周に設けられた摩擦制御部
材40とを有しており、摩擦制御部材40の外周面が巻
きばね50の内面と接するようにしている。摩擦制御部
材40は、伝達すべきトルクが所定値を越えた時に巻き
ばね50が滑ることにより発生する摩擦熱等によって、
巻きばね50との接触部が軟化あるいは変質を生じて接
触部の外径が減ることのできる樹脂等の材料からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、回転運動をする動力
源と被動側機器との間に設けられる過負荷防止装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、モータあるいはエンジン等の
動力源と、この動力源によって回転駆動される被動側機
器とを有する動力伝達機構において、被動側機器に異常
が生じるなどして過大なトルクが作用した時に、被動側
機器あるいは動力源が破壊することを防ぐために、過負
荷防止装置(トルクリミッタ)が採用されている。
【0003】従来の過負荷防止装置は、例えば、駆動側
回転体と被動側回転体との間に一対の摩擦板を対向して
配置し、各摩擦板をばねの弾性によって互いに圧接さ
せ、摩擦板に所定値を越えるトルクが作用した時に摩擦
板を滑らせることによって、それ以後のトルクの伝達を
断つようにしている。
【0004】また、従来の過負荷防止装置の他の例とし
て、駆動側回転体と被動側回転体のいずれか一方に、ば
ねによって押圧されるボールを設けるとともに、他方に
上記ボールが嵌合する凹部を設け、所定値を越えるトル
クが作用した時に、ボールを凹部から離脱させることに
よって、駆動側回転体を空転させるものも知られてい
る。
【0005】あるいは、駆動側回転体と被動側回転体の
いずれか一方に剪断可能なピンを設け、このピンを他方
の回転体の孔に嵌合させることにより、所定値を越える
トルクが作用した時にピンを破断させ、それ以後のトル
クの伝達を断つものも知られている。
【0006】また実開昭63−53062号公報(先行
技術1)や特開平5−321943号公報(先行技術
2)に記載されているように、巻ばねを用いた過負荷防
止装置も提案されている。これらの先行技術1,2は、
いずれも、巻ばねを用いてトルクを伝達するようにして
いる。そして過負荷が生じた時に巻ばねを滑らせること
により、異常が生じた機器を動力源から切り離し、一定
値以上のトルクが生じることを回避している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】前記摩擦板を利用する
従来の過負荷防止装置の場合、所定値を越えるトルクが
作用した時に、摩擦板同志が接したまま強制的に摩擦板
同志が滑るために、動力源が回転している間は著しく大
きな摩擦熱が発生する。このため、被動側機器が回復の
見込みのない過負荷状態に陥っている場合に、過負荷防
止装置自身が発熱により損傷して再使用不能になった
り、過負荷防止装置の近傍に設けられている周辺機器が
熱によって損傷を受ける可能性がある。
【0008】また、前記従来例のうち、ばねにより押圧
されるボールと凹部とを用いた過負荷防止装置の場合に
は、過負荷発生時にボールが凹部から離脱することで駆
動側回転体が空転できるため、トルク切断後(トルクリ
ミッタ作動時)の発熱は比較的少ない。しかしながら、
駆動側回転体の回転が続く限りボールと凹部の嵌合・離
脱が繰り返されるため、騒音や振動が発生するという問
題がある。
【0009】前記従来例のうち、ピンの剪断を利用する
過負荷防止装置は、ピンの剪断荷重のばらつきが大き
く、かつ、ピンが疲労破壊することも考慮に入れなけれ
ばならない。このため、安全率を考慮すると、常用のト
ルクに対して相当程度過負荷が大きくなった時点でピン
が破断するように設計せざるを得ず、過負荷発生時に速
やかにトルクを断つことができないという問題がある。
【0010】前記先行技術1および先行技術2の場合に
は、動力源の回転が持続する限り、巻ばねと相手面との
摩擦による発熱が続き、周辺の機器に対して高温による
損傷を与えるおそれがある。また、不要な摩擦による発
熱はエネルギーの損失につながる。このような先行技術
1,2は、短時間で過負荷が解消されるような機器に使
用できるが、一度生じた過負荷が永久的に解消できない
機器に使用するのは問題である。
【0011】従ってこの発明の目的は、被駆動側機器に
異常が生じるなどして過負荷が発生した時点で、速やか
にトルクの伝達を断つことができ、作動トルク値が正確
であり、しかも作動後の発熱が小さく、騒音が少なく、
エネルギーの損失も少ない過負荷防止装置を提供するこ
とにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を果たすため
に開発された本発明は、動力源と被動側機器との間に設
けられる過負荷防止装置であって、上記動力源または被
動側機器のいずれか一方側に設けられかつ軸線回りに回
転可能な第1の回転体と、上記動力源または被動側機器
の他方側に設けられかつ上記第1の回転体に対し同一軸
線上で相対回転可能な第2の回転体と、一端側が上記第
1の回転体に係止されかつ他端側が上記第2の回転体の
外周部に巻かれていて第1の回転体と第2の回転体との
間の伝達すべきトルクが所定値を越えた時に第2の回転
体との間で相対回転を生じるトルク伝達用の巻きばねと
を具備し、上記第2の回転体は、上記第1の回転体に対
し同一軸線上で回転する軸部と、この軸部の外周に設け
られていて上記巻きばねの内面が密接状態で巻付く摩擦
制御部材とを有しており、上記摩擦制御部材は、上記巻
きばねが滑る時に発生する摩擦熱によって上記巻きばね
との接触部が軟化あるいは変質を生じて上記接触部の外
径が減るかもしくは摺動摩擦による外径縮小を生じる材
料からなることを特徴とする。
【0013】
【作用】第1の回転体と第2の回転体のうちの一方がモ
ータやエンジン等の動力源側に設けられ、他方が被動側
機器に接続される。例えば第1の回転体が動力源に接続
された場合、動力源の回転によって第1の回転体が回転
することにより、巻きばねが第1の回転体と同じ方向に
回転する。その伝達すべきトルクは、巻きばねと摩擦制
御部材との接触部を介して第2の回転体に伝わり、第2
の回転体が第1の回転体と同じ方向に回転する。こうし
て、動力源の回転を被動側機器に伝えることができる。
【0014】被動側機器に何らかのトラブルが生じ、被
動側機器の回転が拘束されたり、あるいは被動側機器を
回転させるのに要する力が過大になって、第1の回転体
と第2の回転体との間の伝達すべきトルクが所定値を越
えると、巻きばねと摩擦制御部材との接触部において両
者が滑ることにより、接触部に摩擦熱が生じる。
【0015】上記摩擦熱は、摩擦制御部材の変形を促す
作用をなし、巻きばねとの接触部の外径が減る方向に摩
擦制御部材が変形したり、あるいは摩擦制御部材の一部
が巻きばねの回転に伴う摺動摩擦によって外径縮小を生
じることにより、巻きばねと摩擦制御部材は互いに抵抗
をほとんど生じることなく円滑に空転できる状態とな
る。このため、動力源の回転が続いても、実質的に摩擦
熱や騒音を生じることがなく、トルクの伝達が断たれた
状態を維持でき、被動側機器が保護されるとともに、過
負荷防止装置自身も保護される。
【0016】
【実施例】以下に本発明の一実施例について、図1ない
し図3を参照して説明する。図3に示すように、動力源
10と被動側機器11との間に過負荷防止装置(トルク
リミッタ)12が設けられており、動力源10の回転運
動が過負荷防止装置12を介して被動側機器11に伝わ
るようになっている。
【0017】この過負荷防止装置12は、図1に示され
るように、軸線回りに回転可能な第1の回転体21と、
第1の回転体21に対し同一軸線上で相対回転可能な第
2の回転体22を備えており、これら回転体21,22
のいずれか一方が前記動力源10に接続され、他方が被
動側機器11に接続されるようになっている。
【0018】第1の回転体21が動力源10に接続され
る場合、図2において第1の回転体21が動力源10に
よって反時計回り方向に回転させられる。また、第2の
回転体22が動力源10に接続される場合、第2の回転
体22は時計回り方向に回転させられる。
【0019】第1の回転体21の中心の軸線上にシャフ
ト25が設けられている。このシャフト25はナット2
6によって第1の回転体21に固定され、第2の回転体
22に向って所定長さ突出している。シャフト25の先
端にフランジ部27が設けられている。
【0020】第2の回転体22は、第1の回転体21の
方向に延びる中空円柱状の軸部30を備えており、この
軸部30に形成された軸線方向に沿う貫通孔31に、上
記シャフト25が通っている。シャフト25と貫通孔3
1の内面との間に、ベアリング32,33が設けられて
おり、シャフト25の軸線回りに第2の回転体22が回
転できるようになっている。
【0021】第1の回転体21の端面と第2の回転体2
2の端面との間に、摩擦係数の小さい材料からなるスラ
ストワッシャ35が設けられている。第2の回転体22
とシャフト25のフランジ部27との間にも、摩擦係数
の小さい材料からなるスラストワッシャ36が設けられ
ている。このように、第2の回転体22の軸部30が第
1の回転体21とフランジ部27との間に挟まれること
で、第2の回転体22は、第1の回転体21に対して回
転はできるが、軸線方向には実質的に移動できないよう
にしている。
【0022】第2の回転体22は、摩擦制御部材40を
備えている。この摩擦制御部材40は、第2の回転体2
2の軸部30の外周に嵌合する円筒状の部分41と、第
2の回転体22の環状の取付座42にねじ43によって
固定されるフランジ状の基部44を備えている。
【0023】上記摩擦制御部材40は、例えばガラス短
繊維で強化されたPPS(ポリフェニレンサルファイ
ド)、ナイロン、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を主体と
し、要求仕様に応じて、例えば150℃から200℃以
上で軟化する材料が使われる。PPSの一例は、常温か
ら200℃前後の温度に近付くにつれて再結晶が進んで
硬くなるが、280℃付近に達すると急に軟化する性質
がある。
【0024】摩擦制御部材40の外周側に、トルク伝達
用の巻きばね50が巻付けられている。この巻きばね5
0は、ばね鋼からなる素線50aをコイル状に巻回した
ものであり、外力を与えない無荷重状態(以下、自由状
態と称する)の内径が摩擦制御部材40の円筒状部分4
1の外径よりも小さい。従ってこの巻きばね50は、ば
ねの内面が摩擦制御部材40の円筒状部分41の外周面
に密着することができる。
【0025】巻きばね50の素線50aの材料は、例え
ばSWOSC(シリコンクロムオイルテンパー線)であ
るが、ピアノ線が使われてもよい。素線50aの線径の
一例は6mm、巻きばね50の自由状態での内径の一例
は14.6mm、摩擦制御部材40の円筒状部分41の
外径の一例は15.0mmである。従ってこの場合のば
ね50の締め代は0.4mmである。巻きばね50の内
面および外面には、耐久性の向上を図るために周知のシ
ョットピーニングが施されており、これにより巻きばね
50の内面などに微小な凹凸が形成されている。
【0026】図示例の巻きばね50は、素線50aが互
いに接触(線間密着)するように隙間無く巻かれてい
る。素線50aの第1端51は、巻きばね50の接線方
向に突出している。この第1端51は、第1の回転体2
1に設けられた凹状のばね受け部52に係止されてい
る。
【0027】従って第1の回転体21が図2において反
時計回り方向に回転すると、このばね50は、第1の回
転体21と一緒に反時計回り方向に回転することができ
る。ばね50の第2端53は、第1端51と同様にばね
50の接線方向に突き出ていてもよいが、ばね50の周
方向に沿って巻かれた形状であってもよい。
【0028】図示例のばね50はいわゆる左巻きのばね
である。このため第1の回転体21が図2において反時
計回り方向に回転すると、このばね50は、巻きが弛む
方向に力を受けながら、摩擦制御部材40にトルクを伝
達することになる。
【0029】次に、上記構成の過負荷防止装置12の作
用について説明する。動力源10の回転運動によって第
1の回転体21が図2において反時計回り方向に回転す
ると、ばね受け部52に係合している巻きばね50の第
1端51が反時計回り方向に回転するため、巻きばね5
0に反時計回りのトルクが働く。
【0030】上記トルクは巻きばね50の巻きが弛む方
向に働くが、このばね50は前記締め代をもって摩擦制
御部材40に巻付いており、弛み始めるまでの初期荷重
をもっている。このため所定のトルクに達するまでは、
摩擦制御部材40に対するばね50の締付け力による最
大静止摩擦力が、伝達すべきトルクよりも大きい。
【0031】このため、摩擦制御部材40とばね50と
の間には滑りが全く生じることがなく、摩擦制御部材4
0とばね50が一体となって回転することにより、第2
の回転体22が第1の回転体21と一体に回転する。こ
のためトルクが所定値を越えるまでは、ばね50は摩擦
制御部材40の表面に密着した状態を維持でき、ばね5
0の応力はトルクの変化にかかわらず一定となる。
【0032】このような理由から、このばね50を設計
する際には、ばね50の繰返し荷重やトルク変動による
応力振幅を考慮する必要がなく、ばね50の静的な特性
のみを考慮してばね50を設計すればよい。このため、
動的な特性を考慮に入れる場合に比べて、ばね50を高
い応力で使用できる。つまり、ばね50を小形化できる
という利点が生じる。
【0033】上記巻きばね50の内面には、周知のコイ
ルばねと同様にショットピーニングによって微細な凹凸
が形成されており、摩擦制御部材40との接触部が粗面
となっているため、巻きばね50の内面が平滑なものに
比べて、摩擦制御部材40と巻きばね50との間の摩擦
抵抗を大きくとることができる。
【0034】被動側機器11に何らかのトラブルが生じ
るなどして、被動側機器11の回転が拘束されると、第
1の回転体21と第2の回転体22との間の伝達すべき
トルクが増大することにより、ばね50の巻きが弛む方
向(ばね50の内径が拡大する方向)にばね50が撓む
ようになる。
【0035】そして伝達すべきトルクが所定値を越える
と、このトルクが前述の最大静止摩擦力に打ち勝って、
摩擦制御部材40とばね50との間に滑りが生じるよう
になる。このため、第1の回転体21と第2の回転体2
2との間のトルクの伝達が断たれる。摩擦制御部材40
とばね50とが滑り始めるトルク値(作動トルク値)
は、ばね50の素線50aの断面寸法や、ばね50の自
由状態での内径、あるいは摩擦制御部材40の円筒状部
分41の外径などにより、変化させることができる。
【0036】上記のように、摩擦制御部材40の表面を
巻きばね50が滑りながら回転すると、摩擦熱が発生す
る。このため樹脂製の摩擦制御部材40は、摩擦熱によ
る高温化によって変形しやすくなり、巻きばね50の締
め代を吸収する方向に変形することにより、摩擦制御部
材40とばね50との接触部において、摩擦制御部材4
0は、ばね50の自由時の内径におおむね等しくなるま
で細くなる。
【0037】このため、ばね50の摩擦制御部材40に
対する締付け力がほぼゼロとなり、摩擦制御部材40と
ばね50との間の摩擦力も激減する。このため、動力源
10が回転し続けても、第1の回転体21はトルク切断
状態でほとんど抵抗を受けることなく空転することがで
き、この部分での更なる発熱が回避されるとともに、被
動側機器11にトルクが伝わらないため被動側機器11
を保護することができる。
【0038】上記実施例の場合、トルク切断時に、摩擦
制御部材40とばね50との接触部において、両者間の
摩擦によって、僅かな時間に限り発熱が避けられない
が、ばね50と第2の回転体22との間には金属に比べ
てはるかに熱伝導率の低い樹脂製の摩擦制御部材40が
存在するので、摩擦熱が第2の回転体22に伝わること
による影響は無視できる程度に小さい。
【0039】また、トルク切断時は樹脂製の摩擦制御部
材40と金属製の巻きばね50との間が滑るので、摩擦
制御部材40と巻きばね50との接触面圧がかなり高い
にもかかわらず、両者はスムーズに滑りながら回転す
る。このためトルク切断時に異音が発生することも回避
される。
【0040】図4および図5に、この発明の第2実施例
の過負荷防止装置12が示されている。なお、前記第1
実施例と共通の箇所には第1実施例と共通の符号を付し
て説明は省略する。図4,5に示された過負荷防止装置
12は、第1の回転体21に設けられた円柱状の延長部
21aに、巻きばね50の第1端51側が複数回巻付け
られている。
【0041】第2の回転体22の軸部30に、前記実施
例と同様の摩擦制御部材40が設けられている。この場
合、第2の回転体22のフランジ状の取付座42に、摩
擦制御部材40の基部44が固定されている。また、摩
擦制御部材40の円筒状部分41の外径は第1の回転体
21の延長部21aの外径と等しく、円筒状部分41に
巻きばね50の第2端53側が複数回巻付けられてい
る。
【0042】巻きばね50の自由状態における内径は、
第1の回転体21の延長部21aの外径よりも小さく、
かつ、摩擦制御部材40の円筒状部分41の外径よりも
小さい。この場合、巻きばね50は、第1の回転体21
と摩擦制御部材40の双方に巻付くが、第1の回転体2
1に対する巻き数の方が摩擦制御部材40に対する巻き
数よりも多いため、巻きばね50は第1の回転体21の
方に強く摩擦係合することになる。このため所定値以上
のトルクが作用した時に、巻きばね50は、摩擦制御部
材40との接触部において滑るようになる。
【0043】図5に示されるように、巻きばね50の第
2端53は摩擦制御部材40に沿うように円弧状に成形
されていて、素線50aの端面の縁55が摩擦制御部材
40に接するようにしている。この場合、過負荷発生時
に巻きばね50と摩擦制御部材40との接触部が滑る
と、素線50aの縁55によって摩擦制御部材40が削
り取られるようになるため、摩擦熱によって摩擦制御部
材40が変形しやすくなっていることとあいまって、摩
擦制御部材40と巻きばね50との摩擦が更に小さくな
り、トルク切断後の発熱が更に効果的に抑制される。
【0044】図6は本発明の第3実施例を示している。
この実施例は、プーリ60に過負荷防止装置12を内蔵
した例である。なお、前記第1実施例と共通の箇所には
第1実施例と共通の符号を付して説明は省略する。プー
リ60は前記実施例の第2の回転体22に相当する。
【0045】図6に示すように第1の回転体21の端部
にシャフト25が設けられており、このシャフト25に
ベアリング32,33を介してプーリ60の軸部30が
回転可能に支持されている。軸部30の外側に前記実施
例と同様の摩擦制御部材40が設けられており、摩擦制
御部材40の外側に、トルク伝達用の巻きばね50が巻
付けられている。巻きばね50は、第1実施例と同様
に、第1端51を第1の回転体21のばね受け部52に
係止させている。巻きばね50の自由状態における内径
は、摩擦制御部材40の円筒状部分41の外径よりも小
さい。
【0046】摩擦制御部材40の基部44は、ねじ43
によってプーリ60に固定されている。プーリ60の外
周部には、図示しない動力伝達用ベルトを巻き掛けるた
めの溝61が設けられている。
【0047】この第3実施例の場合、第1の回転体21
がエンジンやモータ等の動力源によって回転させられる
と、そのトルクが巻きばね50の第1端51を介して巻
きばね50に伝わり、ばね50が第1の回転体21と同
じ方向に回転しようとするため、伝達すべきトルクが所
定値以下であれば摩擦制御部材40がばね50と一体に
回転する。このためプーリ60も同じ方向に一体に回転
する。
【0048】何らかの原因によってプーリ60側に過大
な負荷が発生すると、伝達すべきトルクが増大すること
により、巻きばね50の巻きを弛める方向に加わる力が
大きくなるから、前記実施例と同様に巻きばね50と摩
擦制御部材40との間の摩擦力が減少し、巻きばね50
が摩擦制御部材40の表面を滑るようになってトルクの
伝達が断たれる。
【0049】この場合も、発生する摩擦熱により、摩擦
制御部材40が変質あるいは軟化するなどして変形しや
すい状態となるため、巻きばね50との接触部において
摩擦制御部材40の肉厚が減少し、第1の回転体41が
スムーズに空転することにより、それ以後の発熱が回避
されるとともに、プーリ60側にトルクが伝わることが
回避される。
【0050】前記いずれの実施例も、トルク伝達用の巻
きばね50は、トルクを断つ際に巻きが弛む方向に撓む
ため、トルクを断つ時の荷重(トルク切断荷重)が安定
しており、巻きばね50のばらつきの影響がトルク切断
荷重に与える程度が少ない。このため、巻きばね50の
製造上の誤差などを許容できる範囲が大きいという利点
もある。
【0051】摩擦制御部材40は、前記実施例で述べた
ような繊維強化合成樹脂(FRP)が適しているが、場
合によっては、繊維を含まない合成樹脂が使われてもよ
い。あるいは、合成樹脂以外の素材が適用できることも
ある。要するに摩擦制御部材40は、巻きばね50が滑
る際の摩擦熱によって、軟化や変質など巻きばね50と
の接触部が変形しやすくなる性質をもつもの、もしくは
摺動摩擦による外径縮小を生じる材料が使われていれば
よい。摩擦制御部材40の材料は、使用される環境に応
じて、耐熱性や耐クリープ性などを考慮に入れて選定さ
れる。
【0052】
【発明の効果】本発明によれば、伝達すべきトルクが所
定値を越えた時に確実にトルクを断つことができ、しか
もトルク切断後の発熱が小さいため、高温になることを
避ける必要のある機器に一体化させたり、隣接して設け
ることができる。このため、過負荷防止装置が組込まれ
る機器全体の小形化を図ることができる。また、不要な
摩擦による発熱が少ないため、エネルギーの損失も少な
いものである。
【0053】また、トルク切断後に動力源側の回転が続
いても実質的に騒音や振動の発生が無く、機器の保護と
静粛性を確保できる。また、巻きばねの巻きが弛む方向
にトルクを伝えるようにした場合には、トルク切断荷重
のばらつきを小さくすることができる。
【0054】本発明では、トルクが断たれる際にコイル
ばねと摩擦制御部材との接触部が一時的に発熱するが、
金属よりも熱伝導率の低い樹脂製の摩擦制御部材を採用
することにより、熱の影響が被動側機器や周辺機器に伝
わることを回避できる。そしてトルク切断後に金属製の
巻きばねと樹脂製の摩擦制御部材とを滑らせるようにす
れば、駆動側の回転体を円滑に空転させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す過負荷防止装置の軸
線方向に沿う断面図。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図。
【図3】過負荷防止装置の使用態様を示す側面図。
【図4】本発明の第2実施例を示す過負荷防止装置の側
面図。
【図5】図4中のV−V線に沿う断面図。
【図6】本発明の第3実施例を示す過負荷防止装置の軸
線方向に沿う断面図。
【符号の説明】
10…動力源 11…被動側機器 12…過負荷防止装置 21…第1の回転体 22…第2の回転体 30…軸部 40…摩擦制御部材 50…巻きばね 51…ばねの第1端 53…ばねの第2端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水藤 健 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 (72)発明者 遊佐 幸治 神奈川県愛甲郡愛川町中津字桜台4056 日 本発条株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】動力源と被動側機器との間に設けられる過
    負荷防止装置であって、 上記動力源または被動側機器のいずれか一方側に設けら
    れかつ軸線回りに回転可能な第1の回転体と、 上記動力源または被動側機器の他方側に設けられかつ上
    記第1の回転体に対し同一軸線上で相対回転可能な第2
    の回転体と、 一端側が上記第1の回転体に係止されかつ他端側が上記
    第2の回転体の外周部に巻かれていて第1の回転体と第
    2の回転体との間の伝達すべきトルクが所定値を越えた
    時に第2の回転体との間で相対回転を生じるトルク伝達
    用の巻きばねとを具備し、 上記第2の回転体は、上記第1の回転体に対し同一軸線
    上で回転する軸部と、この軸部の外周に設けられていて
    上記巻きばねの内面が密接状態で巻付く摩擦制御部材と
    を有しており、上記摩擦制御部材は、上記巻きばねが滑
    る時に発生する摩擦熱によって上記巻きばねとの接触部
    が軟化あるいは変質を生じて上記接触部の外径が減るか
    もしくは摺動摩擦による外径縮小を生じる材料からなる
    ことを特徴とする過負荷防止装置。
  2. 【請求項2】上記巻きばねは、上記第1の回転体と第2
    の回転体との間の伝達すべきトルクが加わる方向に対し
    て巻きが弛む方向に巻かれていることを特徴とする請求
    項1記載の過負荷防止装置。
  3. 【請求項3】上記摩擦制御部材の材料が、熱可塑性の合
    成樹脂を主体とするものであることを特徴とする請求項
    1記載の過負荷防止装置。
  4. 【請求項4】上記摩擦制御部材が、合成樹脂中にガラス
    短繊維を含有させた繊維強化樹脂からなることを特徴と
    する請求項1記載の過負荷防止装置。
  5. 【請求項5】上記巻きばねの素線の端面の縁が合成樹脂
    製の上記摩擦制御部材に接していることを特徴とする請
    求項1記載の過負荷防止装置。
  6. 【請求項6】上記巻きばねの内面に、ショットピーニン
    グによる微細な凹凸が形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の過負荷防止装置。
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