JP3213184B2 - 易裂性フィルム及びその製造方法 - Google Patents

易裂性フィルム及びその製造方法

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  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、易裂性フィルム及びそ
の製造方法に関し、得られた易裂性フィルムは、例えば
食品、工業材料、医薬品等の包装袋に利用できる。
【0002】
【背景技術及び発明が解決しようとする課題】二軸延伸
ナイロンフィルムを複数層の一層として使用したラミネ
ートフィルムは、比較的強度が優れているため、例えば
液体包装材として使用されている。しかし、このような
ラミネートフィルムを使用した袋は、手で開封する際、
引裂き抵抗が大きいため裂きにくく、しかも真っ直ぐに
切れないという問題があった。そして、近年、この種の
袋は、冷凍食品包装用としての需要も急増しているが、
輸送中の衝撃によってピンホールが発生することもあ
り、強度の一層の向上が望まれている。
【0003】一方、ラミネートフィルムに易裂性を付与
するために、一軸延伸フィルムを中間層として積層した
ものやフィルムの表面に傷を付けて開封しやすくしたも
の等が提案されているが、これらは強度面での不安が残
っている。また、従来の改良された二軸延伸ナイロンフ
ィルムを使用した袋においても、輸送中、ピンホールの
発生が稀に起こることがあり、これに対してフィルムの
厚さを増す(例えば、15μmを25μmにする)等の対策
を採っているが、コストアップにつながったり、必ずし
も強度的に充分ではなかったりしていた。
【0004】そこで、本発明は、優れた衝撃強度を有す
る易裂性フィルム及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の第1発
明に係る易裂性フィルムは、ナイロン6(Ny6)を40
〜85重量部、メタキシリレンアジパミド(MXD6)を
15〜60重量部及びアイオノマー樹脂(IR)を0.5〜3.0
重量部(但し、Ny6+MXD6+IR=100重量部)
含有し、フィルムの移動方向(MD方向)及びフィルム
の幅方向(TD方向)共に2.8倍以上の倍率で延伸され
たことを特徴とする。
【0006】前記アイオノマー樹脂とは、エチレン・メ
タクリル酸共重合体の金属イオン架橋ポリマーのことで
ある。前記Ny6は、40〜85重量部とするが、好ましく
は60〜80重量部とする。前記MXD6は、15〜60重量部
とするが、好ましくは20〜40重量部とする。MXD6が
15重量部より少ない場合には、易裂性と直線カット性が
劣って手で切りにくくなる。一方、MXD6が60重量部
より多い場合には、衝撃強度が大幅に低下して実用性に
乏しくなる。
【0007】また、前記IRは、0.5〜3.0重量部とする
が、IR0.5重量部よりも少ない場合には、耐ピンホ
ール性の改善効果が不十分になる。一方、IRが3.0
量部よりも多い場合には、フィルムの透明性が損なわれ
て商品価値が低下する。また、バブルが不安定になった
りして延伸成形性が低下するため、好ましくない。
【0008】なお、前記易裂性フィルムの中には、必要
な添加剤を適宜添加することができる。このような添加
剤として、例えばアンチブロッキング剤(無機フィラー
等)、はっ水剤(エチレンビスステアリン酸エステル剤
等)、滑剤(ステアリン酸カルシウム等)を挙げること
ができる。また、本発明の易裂性フィルムは、複数層
(例えば、2層、3層等)の一層として易裂性ラミネー
トフィルムを構成することができる。
【0009】本発明の第2発明に係る易裂性フィルムの
製造方法は、ナイロン6(Ny6)を40〜85重量部、メ
タキシリレンアジパミド(MXD6)を15〜60重量部及
びアイオノマー樹脂(IR)を0.5〜3.0重量部(但し、
Ny6+MXD6+IR=100重量部)の割合で混合し
たものを溶融混練してフィルム状に押し出し、フィルム
の移動方向(MD方向)及びフィルムの幅方向(TD方
向)の倍率を共に2.8倍以上として延伸することを特徴
とする。
【0010】前記易裂性を有するフィルムの延伸倍率
は、MD方向及びTD方向共に2.8倍以上とするが、好
ましくは3.0倍以上とする。延伸倍率が2.8倍より小さい
場合には、易裂性と直線カット性が劣るようになり、ま
た衝撃強度が低下して実用性に問題が生じる。このよう
な延伸フィルムは、例えばチューブラー法等により同時
二軸延伸を施すことにより得られる。
【0011】
【実施例】実施例1 ナイロン6(Ny6)、メタキシリレンアジパミド(M
XD6)及びアイオノマー樹脂(IR)をそれぞれ69重
量部、30重量部及び1重量部の割合で混合したものを押
出し機中、270℃で溶融混練した後、溶融物を直径90mm
のダイスから円筒状のフィルムとして押出し、引き続き
水で急冷して原反フィルムを作製した。
【0012】前記Ny6として使用したものは、宇部興
産(株)製ナイロン〔UBEナイロン1023 FD (商品
名)、相対粘度ηr =3.6〕であり、前記MXD6とし
て使用したものは三菱ガス化学(株)製メタキシリレン
アジパミド〔MXナイロン 6007(商品名)、相対粘度
ηr =2.7〕である。また、IRとして使用したもの
は、三井デュポンポリケミカル(株)製のハイミラン16
50(商品名、Zn系、MI=1.5)である。
【0013】次に、この原反フィルムを一対のニップロ
ール間に挿通した後、中に気体を圧入しながらヒータで
加熱すると共に、延伸開始点にエアーリングよりエアー
を吹き付けてバブルに膨張させ、下流側の一対のニップ
ロールで引き取ることにより、チューブラー法によるM
D方向及びTD方向の同時二軸延伸を行った。この延伸
の際の倍率は、MD方向3.5倍、TD方向3.0倍であっ
た。次に、この延伸フィルムをテンター式熱処理炉に入
れ、210℃で熱固定を施して本実施例に係る易裂性フィ
ルムを得た。
【0014】得られた易裂性フィルムについて、引裂き
強度及び衝撃強度(フィルム−インパクト)を測定し、
また易裂性、直線カット性、耐ピンホール性及び光学特
性を評価した。また、二軸延伸時の成形性を判定した。
それらの結果を表1に示す。なお、表中、N6とはNy
6、MXとはMXD6、光学性とは光学特性の略であ
る。前記引裂き強度の測定は、フィルムの延伸方向につ
いてJIS-Z1702 に準じてエレメンドルフ引裂き強度(kg/
cm)を測定することにより行った。
【0015】前記衝撃強度の測定は、フィルム・インパ
クト・テスター〔東洋精機(株)製〕を使用し、固定さ
れたリング状のフィルムに半円球状の振り子(直径1/2
インチ、重量30kg)を打ち付けて、フィルムの打ち抜き
に要した衝撃強度を測定することにより行った。前記易
裂性は、前記エレメンドルフ引裂き強度の値Eについ
て、E≦7kg/cmを○、7kg/cm <E<9kg/cm を△、
E≧9kg/cm を×として評価した。Eが9kg/cm 以上に
なると、裂け易さが顕著に低下してゆき、特に直線カッ
ト性が急激に悪化する。
【0016】前記直線カット性は、次のように評価し
た。即ち、20cm幅のフィルムに所定間隔Ws 、例えば2
cm間隔で切れ目を入れ、これらの切れ目に沿ってフィル
ムを引き裂いた後、フィルム片の他端の幅We を測定
し、元の間隔Ws との偏差αを下記の通り求める。 α=〔(Ws −We )/Ws 〕×100 この測定を10枚のフィルムに対して行い、その平均値の
α(%)が±10%未満のものを◎(直線カット性が非常
に良好)、±10%≦α≦±30%のものを○(直線カット
性が良好)、α(%)が±30%を超えるものを×(直線
カット性が不良)として評価した。また、試験品の8割
以上が±10%≦α≦±30%であるが、2割近くが±30%
≦α≦±40%であるものを△(直線カット性が若干不安
定)として評価した。α(%)が±30%を超えると、フ
ィルムを真っ直ぐに切ることが困難になる。
【0017】前記耐ピンホール性は、MIL規格のゲル
ボテュターを使用し、屈曲耐性を評価した。サンプルと
して、本実施例の易裂性フィルム(15μm)と直鎖状低
密度ポリエチレン( L-LDPE、50μm) とのラミネートフ
ィルムを使用し、これを23℃、50%RHにおいて3000回屈
曲させた後、ピンホールチェッカー液で発生した貫通孔
の数を計測した。そして、評価は、貫通孔の数が5個以
内を○、6〜19個を△、20個以上を×とした。
【0018】前記光学特性の評価は、ASTM-D-1003 に準
じて霞度を測定し、7%以下の場合を○、7%を超える
場合を×とした。前記成形性の判定は、二軸延伸時のバ
ブルの安定性が良好の場合を○、バブルが若干揺れる場
合を△、バブルの安定性が不良の場合を×とした。総合
評価は、特性の全てが○以上のものを○、この総合評価
○の中で特性に一つでも◎を有するものを◎、特性の中
で一つでも△を有するものを△、特性の中で一つでも×
を有するものを×、とした。
【0019】実施例2〜6 実施例1と同様にして、各実施例に係る易裂性フィルム
を得た。但し、原料の配合割合と延伸倍率については、
表1に示すように、各実施例毎に異ならせた。そして、
これらの実施例の易裂性フィルムについても、実施例1
と同様に、引裂き強度及び衝撃強度を測定し、また易裂
性、直線カット性等を評価した。また、二軸延伸時の成
形性を判定した。それらの結果を表1に示す。
【0020】比較例1〜6 実施例1と同様にして、各比較例に係るフィルムを得
た。但し、原料の配合割合と延伸倍率については、表2
に示すように、各比較例毎に異ならせた。そして、これ
らの比較例の易裂性フィルムについても、実施例1と同
様に、引裂き強度及び衝撃強度を測定し、また易裂性、
直線カット性等を評価した。また、二軸延伸時の成形性
を判定した。それらの結果を表2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】表1より、本実施例に係る易裂性フィルム
は、Ny6を40〜85重量部、MXD6を15〜60重量部及
びIRを0.5〜3.0重量部の割合で混合したものを溶融混
練してフィルム状に押し出し、MD方向及びTD方向の
延伸倍率を共に2.8倍以上として得られたものであるた
め、易裂性、直線カット性、耐ピンホール性及び光学特
性が良好であることがわかる。また、この易裂性フィル
ムの製造時において、バブルが安定していて成形性が良
好である。
【0024】一方、表2より、比較例1によれば、IR
が含まれていないため、耐ピンホール性については余り
良好ではない。比較例2及び3によれば、IRの含有量
が本発明の範囲を超えているため、光学特性が不良であ
り、比較例3については成形性も不良である。比較例4
によれば、MXD6が含まれていないため、直線カット
性に問題がある。比較例5によれば、延伸倍率が2.8倍
より低いため、易裂性、直線カット性及び耐ピンホール
性に問題がある。比較例6によれば、IRが含まれてい
るが、その含有量が本発明の範囲を下回っているため、
耐ピンホール性については余り良好ではない。
【0025】
【発明の効果】本発明に係る易裂性フィルムによれば、
Ny6を40〜85重量部、MXD6を15〜60重量部及びI
Rを0.5〜3.0重量部(但し、Ny6+MXD6+IR=
100重量部)含有し、MD方向及びTD方向共に2.8倍以
上で延伸されたものであるため、易裂性、直線カット
性、耐ピンホール性及び光学特性に優れている。また、
この易裂性フィルムの製造時において、バブルが安定し
ていて成形性が良好である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23:26) C08L 23:26) B29K 77:00 B29K 77:00 B29L 7:00 B29L 7:00 (56)参考文献 特開 平5−220837(JP,A) 特開 昭57−160612(JP,A) 特開 昭56−147847(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 77/00 - 77/12 B29C 55/12 C08J 5/18

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ナイロン6(Ny6)を40〜85重量部、
    メタキシリレンアジパミド(MXD6)を15〜60重量部
    及びアイオノマー樹脂(IR)を0.5〜3.0重量部(但
    し、Ny6+MXD6+IR=100重量部)含有し、フ
    ィルムの移動方向(MD方向)及びフィルムの幅方向
    (TD方向)共に2.8倍以上の倍率で延伸されたことを
    特徴とする易裂性フィルム。
  2. 【請求項2】 ナイロン6(Ny6)を40〜85重量部、
    メタキシリレンアジパミド(MXD6)を15〜60重量部
    及びアイオノマー樹脂(IR)を0.5〜3.0重量部(但
    し、Ny6+MXD6+IR=100重量部)の割合で混
    合したものを溶融混練してフィルム状に押し出し、フィ
    ルムの移動方向(MD方向)及びフィルムの幅方向(T
    D方向)の倍率を共に2.8倍以上として延伸することを
    特徴とする易裂性フィルムの製造方法。
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