JP2845684B2 - 易裂性ラミネートフィルム及びこれを使用した易裂性袋 - Google Patents

易裂性ラミネートフィルム及びこれを使用した易裂性袋

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JP2845684B2
JP2845684B2 JP4253117A JP25311792A JP2845684B2 JP 2845684 B2 JP2845684 B2 JP 2845684B2 JP 4253117 A JP4253117 A JP 4253117A JP 25311792 A JP25311792 A JP 25311792A JP 2845684 B2 JP2845684 B2 JP 2845684B2
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真男 高重
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、引裂きが容易な易裂性
ラミネートフィルム及びこれを使用した易裂性袋に関
し、例えば食品、薬品、工業製品等の包装袋として使用
することができる。
【0002】
【背景技術】近年、食品、薬品等の包装袋のシール基材
(シーラント)フィルムとして直鎖状低密度ポリエチレ
ン(L-LDPE)等のフィルムが多用されている。しかし、こ
のL-LDPEフィルムは、シール強度が優れているため安全
であるが、引裂き抵抗が大きいため使用時に切れ目に沿
って真っ直ぐに切れず、開封の際に問題があった。そこ
で、従来、フィルムに易裂性や直線カット性を付与する
ための種々の提案がなされている。
【0003】例えば、(a) 一軸延伸フィルムを中間層と
して有するラミネートフィルムとした構成(特公昭58-3
8320号公報、特公昭55-31725号公報)、(b) 表基材フィ
ルムの表面に微細な傷を付けて開封し易くした構成、
(c) フィルムの開封部に開封用テープを装着するように
した構成、等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した(a) に係る構
成では、中間層が一つ増えて材料費やラミネートのため
の加工代が高くなる。また、中間層に一軸延伸フィルム
を介在させているが、この一軸延伸フィルムは、強度面
で余り寄与するものとはなっていない。前記(b) に係る
構成では、表基材フィルムに微細な傷を付けて開封し易
くしても直線カット性は基材の特性に支配される。ま
た、微細であっても表面に傷を付けるので、強度面での
不安がある。
【0005】前記(c) に係る構成では、開封用テープに
よりコスト高となり、また生産性も不良となる。一方、
通常のナイロン系の基材フィルムは、吸湿するとラミネ
ート相手のシーラントフィルムより伸びやすいため、従
来のラミネートフィルムは、カールし易くなっている。
【0006】袋製品では、口元(開口部)に特にこの現
象が起きやすく、例えば自動充填機で食品等を充填する
際、このような口元カールを有する袋製品があると、シ
ール不良のトラブルが発生する確率が高くなって、製造
効率の低下を招くという問題点があった。そこで、本発
明は、優れた易裂性と直線カット性を有すると共に、充
分な強度も備えた易裂性ラミネートフィルム及びこれを
使用した口元カールの小さな易裂性袋を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、手で
直線状に引き裂くために用いる易裂性ラミネートフィル
ムであって、ナイロン6(Ny6)を40〜85重量部及び
メタキシリレンアジパミド(MXD6)を15〜60重量部
(但し、Ny6+MXD6=100 重量部)含有し、同時
二軸延伸時におけるMD方向(フィルムの移動方向)及
びTD方向(フィルムの幅方向)の倍率を共に2.8倍以
上として直線カット性を有し、MD方向及びTD方向の
いずれの方向についても引裂き強度が7.0kg/cm以下の易
裂性フィルムを構成し、この易裂性フィルムが複数層の
一層として形成されていることを特徴とする。
【0008】本発明に係る易裂性袋は、前記易裂性ラミ
ネートフィルムを使用して構成したことを特徴とする。
具体的には、前記複数層中に易裂性フィルムと共に、シ
ーラントフィルムも含めて複数層形成することにより、
口元カールの小さな易裂性袋を構成することができる。
前記Ny6の化学式を下記の化1に示し、またMXD6
の化学式を下記の化2に示す。
【0009】
【化1】
【0010】
【化2】
【0011】前記Ny6及びMXD6の含有割合は、N
y6を40〜85重量部、MXD6を15〜60重量部(但し、
Ny6+MXD6=100 重量部)とするが、好ましくは
Ny6を50〜80重量部、MXD6を20〜50重量部とす
る。前記MXD6が15重量部より少ない場合には、易裂
性と直線カット性が劣るようになる。また、前記MXD
6が60重量部より多い場合には、衝撃強度が大幅に低下
して実用性に乏しくなる。
【0012】前記易裂性フィルムは、Ny6を40〜85重
量部及びMXD6を15〜60重量部(但し、Ny6+MX
D6=100 重量部)含有する原料を混合し、混合物を溶
融押出しした後、冷却した原反フィルムをMD方向及び
TD方向共に 2.8倍以上の倍率で延伸することにより製
造できる。
【0013】前記原反フィルムの延伸倍率は、MD方向
及びTD方向共に 2.8倍以上とするが、好ましくは3.0
倍以上とする。延伸倍率が 2.8倍より小さい場合には、
易裂性と直線カット性が劣るようになる。また、衝撃強
度が低下して実用性に問題が生ずる。前記延伸は、チュ
ーブラー法による同時二軸延伸により行うのがよい。
【0014】なお、前記易裂性フィルムには、必要な添
加剤を適宜添加することができる。このような添加剤と
して、例えばアンチブロッキング剤(無機フィラー
等)、はっ水剤(エチレンビスステアリン酸エステル
等)、滑剤(ステアリン酸カルシウム等)を挙げること
ができる。
【0015】本発明に係る易裂性ラミネートフィルム
は、前記易裂性フィルムを少なくとも一層として含み、
2層、3層等何層であってもよい。例えば、図1に示す
ように、第1層を前記易裂性フィルム31、第2層を各種
シーラントフィルム32とした2層構造、図2に示すよう
に、第1層を各種基材フィルム33、第2層を前記易裂性
フィルム31、第3層を各種シーラントフィルム32とした
3層構造、図3に示すように、第1層を前記易裂性フィ
ルム31、第2層を各種基材フィルム33、第3層を各種
ーラントフィルム32とした3層構造等として構成するこ
とができる。
【0016】前記基材フィルムの材料としては、例えば
PET(ポリエチレンテレフタレート)、EVOH(エ
チレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物)、PVA(ポリ
ビニルアルコール)、PP(ポリプロピレン)、PVD
C(ポリ塩化ビニリデン)、HDPE(高密度ポリエチ
レン)、PS(ポリスチレン)等の二軸若しくは一軸延
伸フィルム又は無延伸フィルムを使用できる。なお、こ
のような樹脂系フィルムの他、アルミニウム箔のような
金属フィルムを使用してもよい。
【0017】前記シーラントフィルムの材料としては、
L−LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE
(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレ
ン)、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、PB
(ポリブテン−1)、CPP(未延伸ポリプロピレ
ン)、アイオノマー、PMMA(ポリメチルメタクリレ
ート)等及びこれらの混合物を使用できる。前記易裂性
ラミネートフィルムのラミネート方式としては、例えば
エクストルージョンラミネート、ホットメルトラミネー
ト、ドライラミネート、ウエットラミネート等がある。
【0018】
【実施例】実施例1 ナイロン6(Ny6)及びメタキシリレンアジパミド
(MXD6)をそれぞれ80重量部及び20重量部の割合で
混合したものを押出機中、 270℃で溶融混練した後、溶
融物を直径90mmのダイスから円筒状のフィルムとして押
出し、引き続き水で急冷して原反フィルムを作製した。
【0019】前記Ny6として使用したものは、宇部興
産(株)製ナイロン6〔UBEナイロン 1023 FD(商品
名)、相対粘度ηr =3.6 〕であり、MXD6として使
用したものは、三菱ガス化学(株)製メタキシリレンア
ジパミド〔MXナイロン 6007(商品名)、相対粘度η
r =2.7 〕である。
【0020】次に、図1に示すように、この原反フィル
ム11を一対のニップロール12間に挿通した後、中に気体
を圧入しながらヒータ13で加熱すると共に、延伸開始点
にエアーリング14よりエアー15を吹き付けてバブル16に
膨張させ、下流側の一対のニップロール17で引き取るこ
とにより、チューブラー法によるMD方向及びTD方向
の同時二軸延伸を行った。この延伸の際の倍率は、MD
方向及びTD方向共に3.0 倍であった。
【0021】次に、この延伸フィルム18をテンター式熱
処理炉に入れ、 210℃で熱固定を施して本実施例に係る
易裂性フィルム18を得た。次に、この易裂性フィルム
(厚さ15μm)を表基材フィルム、またL−LDPEフ
ィルム〔ユニラックス LS-722C (商品名)、出光石油
化学(株)製、厚さ50μm〕をシーラントフィルムとし
て、両者をドライラミネートして本実施例に係る易裂性
ラミネートフィルムを得た。次に、製袋機によりこの易
裂性ラミネートフィルムを使用して本実施例に係る易裂
性袋を製造した。
【0022】前記易裂性フィルムについて、引裂き強度
及び衝撃強度(フィルム・インパクト)を測定し、また
易裂性及び直線カット性を評価した。その結果を下記の
表1に示す。前記引裂き強度の測定は、フィルムのMD
方向とTD方向についてJIS-Z1702に準じてエレメンド
ルフ引裂き強度(kg/cm )を測定することにより行っ
た。
【0023】前記衝撃強度の測定は、東洋精機(株)製
のフィルム・インパクト・テスターを使用し、固定され
たリング状のフィルムに半円球状の振り子(直径1/2 イ
ンチ、重量30kg-cm )を打ち付けて、フィルムの打ち抜
きに要した衝撃強度を測定することにより行った。そし
て、衝撃強度が4500kg・cm/cm 以上を○、4500kg・cm/c
m 未満を×として評価した。この衝撃強度が4500kg・cm
/cm より小さくなると、表基材としての性能が低下して
ゆき、液体包装用基材としての実用性が乏しくなる。
【0024】前記易裂性は、エレメンドルフ引裂き強度
の値Eについて、E≦7kg/cm を○、7kg/cm <E<9
kg/cm を△、E≧9kg/cm を×として評価した。Eが9
kg/cm 以上になると、裂け易さが顕著に低下してゆき、
特に直線カット性が急激に落ちてゆく。
【0025】前記直線カット性は、次のようにして評価
した。即ち、図2に示すように、20cm幅のフィルム18に
所定間隔Ws 例えば2cm間隔で切れ目21を入れ、これら
の切れ目21に沿ってフィルム18を引き裂いた後、フィル
ム片18A の他端22の幅We を測定し、元の間隔Ws との
偏差αを下記の通り求める。 α=〔(Ws −We )/Ws 〕×100
【0026】この測定を10枚のフィルム片18A に対して
行い、その平均値のα(%)が±10%未満のものを◎
(直線カット性が非常に良好)、±10%≦α≦±30%の
ものを○(直線カット性が良好)、α(%)が±30%を
越えるものを×(直線カット性が不良)として評価し
た。α(%)が±30%を越えるとフィルム18を真っ直ぐ
に切ることが困難になる。前記易裂性ラミネートフィル
ムについて、同様に易裂性と直線カット性を評価し、ま
た実用適性を評価するための落下強度の試験及び酸素バ
リアー性を評価するための酸素透過率の測定を行った。
その結果を下記の表2に示す。
【0027】前記落下強度の試験は、水と不凍液の等量
混合液体150cc の入った前記易裂性袋(130mm×150mm)を
高さ2mから袋を横向きにして、即ち袋の表面と裏面が
落下点と平行となるようにして1袋につき20回落とし、
破袋するかどうかを調べることにより行った。なお、試
験温度は、−20℃であった。この落下試験を10袋につい
て行い、破袋無しを◎(実用に好適)、1,2袋の破袋
有りを○(実用に耐える)、3袋以上の破袋有りを×
(実用に耐えない)、として評価した。
【0028】また、前記酸素透過率の測定は、25℃、相
対湿度(RH)0%及び60%の各条件下、24時間で易裂
性ラミネートフィルム1m2 当たりに透過する酸素量を
測定することにより行った。なお、表1,2の総合評価
の欄で、◎は非常に良好、○は良好、×は不良をそれぞ
れ示す。
【0029】実施例2〜13 上記実施例1において、Ny6とMXD6の混合割合及
び延伸倍率を表1に示すように変えて、実施例1と同様
の製造工程により実施例2〜13に係る易裂性フィルム18
を得た。次に、この易裂性フィルム(厚さ15μm)を表
基材フィルム、また表2に示す各フィルムをシーラント
フィルムとして、両者をドライラミネートして各実施例
に係る易裂性ラミネートフィルムを得た。
【0030】なお、実施例2〜10で使用したシーラント
フィルムは厚さ50μmのL−LDPEフィルム、実施例
11で使用したシーラントフィルムは厚さ80μmのL−L
DPEフィルム、実施例12で使用したシーラントフィル
ムは厚さ60μmのL−LDPEフィルムにPEを厚さ20
μmで押出しラミネートしたフィルム(PE側に易裂性
フィルムがラミネートされる)、実施例13で使用したシ
ーラントフィルムは厚さ50μmのEVAフィルムであ
る。次に、製袋機によりこの易裂性ラミネートフィルム
を使用して各実施例に係る易裂性袋を製造した。
【0031】各実施例に係るフィルム18についても、実
施例1と同様に各種特性の測定及び評価を行った。その
結果を表1に示す。また、各実施例の易裂性ラミネート
フィルムについても、実施例1と同様に易裂性と直線カ
ット性を評価し、また袋についての落下強度の試験を行
った。その結果を下記の表2に示す。なお、実施例4に
係る易裂性ラミネートフィルムについては、実施例1と
同様に酸素バリアー性に係る酸素透過率も測定した。
【0032】比較例1〜10 上記実施例1において、Ny6とMXD6の混合割合及
び延伸倍率を表3に示すように変えて、実施例1と同様
の製造工程により比較例1〜8に係る二軸延伸フィルム
を得た。次に、比較例1〜8に係る二軸延伸フィルム
(厚さ15μm)を表基材フィルム、またL−LDPEフ
ィルム(厚さ50μm)をシーラントフィルムとして、両
者をドライラミネートして比較例1〜8に係るラミネー
トフィルムを得た。
【0033】また、比較例9では表基材フィルムとして
塩化ビニリデン樹脂を塗布した二軸延伸ナイロンフィル
ム〔KONy、KコートナイロンDCK(商品名)、ユ
ニチカ(株)製、厚さ18μm〕、シーラントフィルムと
してL−LDPEフィルム(厚さ50μm)、比較例10で
は表基材フィルムとして二軸延伸ナイロンフィルム〔O
SM、N1501(商品名)、東洋紡績(株)製、厚さ
15μm〕、シーラントフィルムとしてL−LDPEフィ
ルム(厚さ50μm)を使用し、両者をドライラミネート
して比較例9,10に係るラミネートフィルムを得た。次
に、製袋機により各ラミネートフィルムを使用して各比
較例に係る袋を製造した。
【0034】各比較例に係るフィルムについても、実施
例1と同様に各種特性の測定及び評価を行った。その結
果を表3に示す。また、各比較例のラミネートフィルム
についても、実施例1と同様に易裂性と直線カット性を
評価し、また袋についての落下強度の試験を行った。そ
の結果を下記の表4に示す。なお、比較例1に係るラミ
ネートフィルムについては、実施例1と同様に酸素バリ
アー性に係る酸素透過率も測定した。その結果を表4に
示す。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】実施例及び比較例の考察 表1より、本実施例に係る易裂性フィルム18は、Ny6
及びMXD6を含有し、Ny6の含有割合が40〜85重量
部、MXD6の含有割合が15〜60重量部であって、二軸
延伸時におけるフィルムの延伸倍率がMD方向及びTD
方向共に 2.8倍以上であるため、いずれも引裂き強度が
7.0kg/cm以下で易裂性に優れ、直線カット性も良好か非
常に良好であることがわかる。また、衝撃強度がいずれ
も5500kg・cm/cm以上で高い衝撃強度を有している。
【0040】そして、表2より、易裂性フィルム18を表
基材フィルム、また表2に示す各フィルムをシーラント
フィルムとして、両者をドライラミネートして得られた
本実施例に係る易裂性ラミネートフィルムは、易裂性に
優れ、直線カット性も良好か非常に良好であり、また製
袋した場合における落下試験での破袋が殆どか全くな
く、充分な実用強度を有していることがわかる。更に、
表2の実施例1と4に係るラミネートフィルムの酸素透
過率の測定結果より、実施例に係る易裂性ラミネートフ
ィルムは、比較例に係るラミネートフィルムと比べて、
酸素透過率が低く、良好なガスバリアー性を有している
ことがわかる。
【0041】一方、表3より、比較例1,2,3に係る
フィルムは、延伸倍率は本発明に係る範囲内であるが、
Ny6の含有割合が85重量部より多く、一方MXD6の
含有割合が15重量部より少ない(0も含む)ので、衝撃
強度は充分であっても、直線カット性に劣っている。そ
して、表4より、比較例1,2,3に係るフィルムを表
基材フィルム、また表4に示す各フィルムをシーラント
フィルムとして、両者をドライラミネートして得られた
比較例1,2,3に係るラミネートフィルムは、落下試
験での破袋がなく、実用強度は充分であっても、直線カ
ット性に劣っている。
【0042】また、表4の比較例1に係るラミネートフ
ィルムの酸素透過率の測定結果より、比較例に係るラミ
ネートフィルムは、実施例に係るラミネートフィルムと
比べて、酸素透過率が大きくガスバリアー性が不良であ
る。比較例4,5に係るフィルムは、延伸倍率は本発明
に係る範囲内であるが、Ny6の含有割合が40重量部よ
り少なく(0も含む)、一方MXD6の含有割合が60重
量部より多いので、易裂性と直線カット性は良好であっ
ても、衝撃強度が不良である。
【0043】そして、比較例4,5に係るフィルムを表
基材フィルム、また表4に示す各フィルムをシーラント
フィルムとして、両者をドライラミネートして得られた
比較例4,5に係るラミネートフィルムは、易裂性と直
線カット性については良好であるが、落下試験での破袋
がかなりあり、実用強度が不良である。比較例6,7,
8に係るフィルムは、Ny6とMXD6の含有割合は本
発明に係る範囲内であるが、延伸倍率がいずれも本発明
に係る範囲より小さいので、易裂性、直線カット性及び
衝撃強度が不良である。
【0044】そして、比較例6,7,8に係るフィルム
を表基材フィルム、また表4に示す各フィルムをシーラ
ントフィルムとして、両者をドライラミネートして得ら
れた比較例6,7,8に係るラミネートフィルムは、易
裂性、直線カット性及び落下強度のうち、少なくとも1
つが不良である。比較例9,10に係るフィルムを表基材
フィルム、また表4に示す各フィルムをシーラントフィ
ルムとして、両者をドライラミネートして得られた比較
例9,10に係るラミネートフィルムは、易裂性、直線カ
ット性及び落下強度のうち、少なくとも2つが不良であ
る。
【0045】実施例14 図6に示すように、製袋する際、易裂性ラミネートフィ
ルム18に対して、袋の開口部の向きがこのラミネートフ
ィルム18のTD方向となる(横取り)ようにして2丁取
りした。図7に、開口部41が易裂性ラミネートフィルム
18のTD方向を向いた本実施例に係る易裂性袋42を示
す。なお、この袋42のサイズは、例えば 150mm(長さ)
× 130mm(幅)〔内寸法130mm × 150mm〕である。次
に、この袋42の口元カール性を下記のように測定して評
価した。
【0046】即ち、図8に示すように、前記袋42を温度
23℃、相対湿度50%の雰囲気に3時間放置して口元カー
ルによる開口部41の厚さLを測定した。そして、10枚の
袋42の開口部41の厚さLの平均値が2mm未満を○、2mm
〜4mm未満を○、4mm以上を△として評価した。その結
果、下記の表5に示すように、開口部41の厚さLは1.8m
m であり、開口部41の部分のフィルム18が内側に巻き込
まれる様子は見られなかった。なお、表5,6の総合評
価の欄で、◎は非常に良好、△は使用可能であるが、充
填時にトラブル発生の虞れがあること、をそれぞれ示
す。
【0047】実施例15〜21 上記実施例14において、Ny6とMXD6の混合割合を
表1に示すように変えて、実施例1と同様の製造工程に
より実施例15〜21に係る易裂性フィルムを得た。次に、
この易裂性フィルム(厚さ15μm)18を表基材フィル
ム、また表5に示す各フィルムをシーラントフィルムと
して、両者をドライラミネートして各実施例に係る易裂
性ラミネートフィルム18を得た。
【0048】なお、実施例15〜17,20,21で使用したシー
ラントフィルムは厚さの異なるL−LDPEフィルム、
実施例18で使用したシーラントフィルムは厚さ50μmの
LDPEフィルム、実施例19で使用したシーラントフィ
ルムは厚さ60μmの無延伸PPフィルムである。次に、
この易裂性ラミネートフィルム18を使用し、実施例14と
同様にして各実施例に係る易裂性袋42を製造した。各実
施例に係る袋42についても、実施例1と同様に口元カー
ル性を測定、評価した。その結果を表5に示す。
【0049】比較例11〜18 上記実施例14において、Ny6とMXD6の混合割合を
表6に示すように変えて、実施例14と同様の製造工程に
より比較例11〜18に係るラミネート用の表基材フィルム
を得た。比較例14,15 で使用したラミネート用の表基材
フィルムは市販の二軸延伸ナイロンフィルム〔0Ny、
厚さ15μm〕、比較例16〜18で使用したラミネート用の
表基材フィルムは市販の塩化ビニリデン樹脂が塗布され
た二軸延伸ナイロンフィルム〔K0Ny、厚さ18μm〕
である。
【0050】次に、比較例11〜18に係る表基材フィルム
と、表6に示すシーラントフィルムとをドライラミネー
トして比較例11〜18に係るラミネートフィルムを得た。
次に、このラミネートフィルムを使用し、実施例14と同
様にして各実施例に係る袋を製造した。各実施例に係る
フィルム18についても、実施例14と同様に口元カール性
を測定、評価した。その結果を表6に示す。
【0051】
【表5】
【0052】
【表6】
【0053】実施例及び比較例の考察 表5より、実施例14〜21に係る袋42は、易裂性ラミネー
トフィルム18を構成する表基材フィルムがNy6及びM
XD6を所定量含有した易裂性フィルムであるため、口
元カールが小さいことがわかる。従って、自動充填機で
食品等を充填する際、シール不良のトラブルが発生する
虞れが無くなって、製造効率が高まる。
【0054】一方、表6より、比較例11〜13に係る袋
は、ラミネートフィルムを構成する表基材フィルムがN
y6及びMXD6を所定量含有したものとなっていない
ため、口元カールが大きいことがわかる。また、比較例
14〜18に係る袋は、ラミネートフィルムを構成する表基
材フィルムが本発明に係る易裂性フィルムではないた
め、口元カールが大きくなっている。
【0055】
【発明の効果】本発明によれば、優れた易裂性と直線カ
ット性を有すると共に、充分な強度も備えた易裂性ラミ
ネートフィルム及びこれを使用した口元カールの小さな
易裂性袋が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る易裂性ラミネートフィルムの構成
を示す断面図である。
【図2】本発明に係る易裂性ラミネートフィルムの構成
を示す断面図である。
【図3】本発明に係る易裂性ラミネートフィルムの構成
を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例に係る易裂性フィルムの製造方
法において使用する二軸延伸装置の概略図である。
【図5】直線カット性の評価方法を示す図である。
【図6】実施例の袋の製造方法を示す平面図である。
【図7】実施例の袋の正面図である。
【図8】口元カール性の測定方法を示す断面図である。
【符号の説明】
11 原反フィルム 12,17 ニップロール 16 バブル 18 易裂性ラミネートフィルム 41 開口部 42 袋
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 9:00 (56)参考文献 特開 昭53−83892(JP,A) 特開 平4−169231(JP,A) 特開 平6−55710(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 手で直線状に引き裂くために用いる易裂
    性ラミネートフィルムであって、ナイロン6(Ny6)
    を40〜85重量部及びメタキシリレンアジパミド(MXD
    6)を15〜60重量部(但し、Ny6+MXD6=100 重
    量部)含有し、同時二軸延伸時におけるMD方向(フィ
    ルムの移動方向)及びTD方向(フィルムの幅方向)の
    倍率を共に2.8倍以上として直線カット性を有し、MD
    方向及びTD方向のいずれの方向についても引裂き強度
    が7.0kg/cm以下の易裂性フィルムを構成し、この易裂性
    フィルムが複数層の一層として形成されていることを特
    徴とする易裂性ラミネートフィルム。
  2. 【請求項2】 手で直線状に引き裂くために用いる易裂
    性袋であって、ナイロン6(Ny6)を40〜85重量部及
    びメタキシリレンアジパミド(MXD6)を15〜60重量
    部(但し、Ny6+MXD6=100 重量部)含有し、
    時二軸延伸時におけるMD方向(フィルムの移動方向)
    及びTD方向(フィルムの幅方向)の倍率を共に2.8倍
    以上として直線カット性を有し、MD方向及びTD方向
    のいずれの方向についても引裂き強度が7.0kg/cm以下の
    易裂性フィルムを構成し、この易裂性フィルムが複数層
    の一層として形成された易裂性ラミネートフィルムを使
    用したことを特徴とする易裂性袋。
  3. 【請求項3】 手で直線状に引き裂くために用いる易裂
    性袋であって、ナイロン6(Ny6)を40〜85重量部及
    びメタキシリレンアジパミド(MXD6)を15〜60重量
    部(但し、Ny6+MXD6=100 重量部)含有し、
    時二軸延伸時におけるMD方向(フィルムの移動方向)
    及びTD方向(フィルムの幅方向)の倍率を共に2.8倍
    以上として直線カット性を有し、MD方向及びTD方向
    のいずれの方向についても引裂き強度が7.0kg/cm以下の
    易裂性フィルムを構成し、この易裂性フィルムとシーラ
    ントフィルムとを有して複数層形成された易裂性ラミネ
    ートフィルムを使用したことを特徴とする口元カールの
    小さな易裂性袋。
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