JP3212294B2 - 電位法による漏水検知装置及び漏水検知方法 - Google Patents

電位法による漏水検知装置及び漏水検知方法

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JP3212294B2 JP22583399A JP22583399A JP3212294B2 JP 3212294 B2 JP3212294 B2 JP 3212294B2 JP 22583399 A JP22583399 A JP 22583399A JP 22583399 A JP22583399 A JP 22583399A JP 3212294 B2 JP3212294 B2 JP 3212294B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電位法による漏水
検知に関し、より詳細には廃棄物処分場や一般廃棄物処
分場等の凹所に堆積された廃棄物によって汚染された水
の地中又は周辺環境への侵入を検知するための漏水検知
装置及び漏水検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】地面に大きな凹所が設けられ、この凹所
に産業廃棄物が投棄される廃棄物処分場においては、廃
棄物中に浸透した雨水が廃棄物により汚染されて生じた
汚水が地中に侵入して、地下水や周辺環境を著しく汚染
することを防止するべく、凹所の底面や壁面に種々の遮
水構造が施工されている。
【0003】この遮水構造としては、例えば遮水シート
を底面及び壁面に設けるものや、底面及び壁面に粘性土
層を設けるもの、底面及び壁面を遮水性のあるコンクリ
ートで構築するものが知られている。特に管理型産業廃
棄物処分場や、一般廃棄物処分場においては、二重遮水
シートを用いたり、遮水シートと粘性土層又は遮水シー
トとアスファルトコンクリートの併用により防水性をよ
り確実にすることが行われている。
【0004】ところで上述した廃棄物処分場では、遮水
構造が施されているものの汚水が地中に侵入して環境を
汚染しないように、万一の場合に備えて絶えず漏水して
いないかについて調査・監視が行われている。このよう
な廃棄物処分場等における漏水検知方法としては従来で
は、例えば水質分析法や真空吸引法、又は電気的検知方
法等が知られている。
【0005】上述した方法のうち水質検査方法は、例え
ば廃棄物処分場の湧水や地下水を遮水構造下部に設けた
地下水集排水管により集めて、地下水ピット内に流入さ
せ、この地下水ピット内の地下水の水質をサンプリング
して調査することにより遮水シートの損傷による漏水を
検知する方法である。この方法は、従来の廃棄物処分場
等の構造を大きく変更することなく適用できること、サ
ンプリング調査により漏水の成分を特定できるという利
点を有している。
【0006】また、上述した真空吸引法は、二重遮水シ
ートの間を袋状に区画し、その袋状となった各ブロック
毎にブロック内部を真空吸引して真空圧の変化を測定す
ることによって遮水シートの破損の有無を検知する方法
である。この方法は、破損した場所をブロック単位で特
定できるという利点を有している。
【0007】上述した電気的検知方法は、遮水シートの
破損により生じた電位分布のひずみから、遮水シート破
損の有無とその位置を検知する電位法や、遮水シートの
破損により生じた電流の流れやすさからシートの破損の
有無と位置とを検知する電流法、電位、比抵抗分布を測
定し、所定の演算により算出した垂直方向の電流からシ
ートの破損の有無と位置を検知する電位・比抵抗法があ
る。
【0008】このような従来用いられている電気的検知
方法を図11に示す。図11に示す従来の電位法は、遮
水シート100の電気絶縁性を利用したものであり、遮
水シート100の上下、すなわち埋立地の内と外にそれ
ぞれ電極101、102を設置し、遮水シート100の
上側面に、電位測定電極103と、その基準電極104
とが配置されている。遮水シート100に損傷が生じた
場合には、電極101と電極102の間に損傷部105
を通じて電流が流れ、電気回路が形成される。この際に
電位測定電極103と基準電極104との間の電位とを
測定することにより遮水シート面上の電位分布を求め、
その電位分布の形状から損傷部105の位置を特定する
ようにされている。電位測定電極103と基準電極10
4とは、遮水シート100の下面に設置することも可能
であり、上述した原理にしたがって、電位測定電極10
3及び基準電極104の電位を測定することで、損傷部
105の位置を特定するようにされている。
【0009】しかしながら、上述したような従来の電位
法を用いた電気式検知法は、漏水の検知は迅速で、かつ
漏水個所の特定も可能であるが、遮水シートの損傷部の
位置を特定する精度が、電位測定時の電気的雑音や電位
測定電極を設置した周辺物質の比抵抗値の変化に影響さ
れるという問題点があった。例えば、電位測定電極が、
遮水シートの上面、すなわち、埋立地の内側に設置され
ている場合には、埋立の進行や埋立層内部の水位が変化
することにより電位分布の形状が変化し、遮水シートの
損傷部の位置を特定する精度が影響を受けることにな
る。また、電位測定電極が、遮水シートの下側面、すな
わち、埋立地の外側に設置されている場合には凹所に廃
棄物処分場を構築することにより、地下水位等の環境が
変化し、これにより電位分布の形状が変化してしまう場
合がある。
【0010】一方、電位・比抵抗法では、電位測定電極
周辺の比抵抗の変化をとらえることができるので、電位
分布の形状の変化により遮水シートの損傷部位置の特定
に影響を与えることはないが、比抵抗の測定と解析に時
間と技術を要するという問題点がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述の問題点に鑑み、
本発明は廃棄物処分場において、投棄された廃棄物によ
って汚染された汚水の地中への浸入を速やかに検知し
て、漏水を検知すると共に漏水位置を精度良く決定する
ことを可能とする漏水検知装置及び漏水検知方法を提供
することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、本
発明の漏水検知装置及び漏水検知方法を提供することに
より達成される。
【0013】すなわち、本発明の請求項1の発明によれ
ば、地盤の凹所と、該凹所に沿った該地盤上に敷設され
遮水処理が施された遮水部とを備えた遮水構造物の上記
凹所から上記地盤への漏水を検出するための漏水検出装
置であって、上記遮水部に沿って上記地盤に配置された
複数の基準電極と上記地盤に配置された基準電位測定用
地盤電極と基準電位発生用電源とから構成される基準電
位発生電流経路と、上記凹所に配置されたプローブ電極
と上記遮水部を挟んで上記地盤に配設された漏水プロー
ブ用地盤電極とプローブ用電源とから構成される漏水プ
ローブ電流経路と、基準電極電位を測定するための電位
測定手段と、上記漏水プローブ電流経路に流れる電流を
測定するための電流測定手段と、上記漏水プローブ電流
経路に流れる電流レベルにより漏水を判断すると共に上
記電位測定手段により測定された上記基準電極電位の変
化から漏水位置を判断するための判断手段とを備えるこ
とを特徴とする漏水検知装置が提供される。
【0014】本発明の請求項2の発明によれば、上記基
準電位発生電流経路は、上記基準電位測定用地盤電極と
複数の上記基準電極の間で選択切換可能とされており、
上記判断手段は、複数の上記基準電位発生電流経路を用
いて測定された上記基準電極電位の変化により漏水位置
を検知することを特徴とする漏水検知装置が提供され
る。
【0015】本発明の請求項3の発明によれば、上記判
断手段は、上記電流測定手段により測定された漏水プロ
ーブ電流経路に流れる漏水プローブ電流が所定レベル以
下の場合の基準電極電位を参照基準電極電位として記憶
するための記憶手段と、上記漏水プローブ電流が所定レ
ベルより高い場合に測定された基準電極電位と上記参照
基準電極電位との電位差を算出させるための手段と、複
数の上記基準電極検出経路について得られた上記電位差
を積算するための手段とを備える漏水検知装置が提供さ
れる。
【0016】本発明の請求項4の発明によれば、上記基
準電位発生用電源及び上記プローブ用電源とがそれぞれ
独立して電流強度を変化可能とされ、上記電位測定手段
は、上記基準電極の電位を複数同時測定可能とされてい
ることを特徴とする漏水検知装置が提供される。
【0017】本発明の請求項5の発明によれば、地盤の
凹所と該凹所に沿った該地盤上に敷設され遮水処理が施
された遮水部とを備えた遮水構造物の上記凹所から上記
地盤への漏水を検出するための漏水検出装置であって、
上記遮水部に沿って上記地盤に配置された複数の基準電
極と基準電位発生用電源とから構成される基準電位発生
電流経路と、上記凹所に配置されたプローブ電極と上記
遮水部を挟んで上記基準電極の間の上記地盤に配置され
た漏水プローブ用地盤電極とプローブ用電源とから構成
される漏水プローブ電流経路と、上記基準電位発生経路
と上記漏水プローブ電流経路とを対として移動させつつ
基準電極電位を測定するための制御手段とを備えること
を特徴とする漏水検知装置が提供される。
【0018】本発明の請求項6の発明によれば、地盤の
凹所と該凹所に沿った該地盤上に敷設され遮水処理が施
された遮水部とを備えた遮水構造物の上記凹所から上記
地盤への漏水を検出するための漏水検出方法であって、
上記遮水部に沿って上記地盤に配置された複数の基準電
極と上記地盤に配置された基準電位測定用地盤電極とか
ら構成される基準電位発生電流経路に基準電位発生用電
源から電流を通じると共に上記凹所に配置されたプロー
ブ用電極と上記遮水部を挟んで上記地盤に配設された漏
水プローブ用地盤電極とから構成される漏水プローブ電
流経路にプローブ用電源から電流を通じて複数の基準電
極電位を測定し、上記漏水プローブ電流経路に流れる電
流により漏水を検知すると共に上記電流により生じた上
記基準電極電位の変化から漏水位置を検知することを特
徴とする漏水検知方法が提供される。
【0019】本発明の請求項7の発明によれば、上記漏
水位置の検知は、上記漏水プローブ電流経路に流れる電
流が所定レベル以下の場合の上記基準電極電位を参照基
準電極電位として記憶させ、上記漏水プローブ電流が所
定レベルより高い場合の基準電極電位と上記参照基準電
極電位との電位差を算出し、上記基準電位発生電流経路
を、上記基準電位測定用地盤電極と複数の上記基準電極
の間で切換選択して複数形成し、複数の上記電位差を積
算することによりなされることを特徴とする漏水検知方
法が提供される。
【0020】本発明の請求項8の発明によれば、地盤の
凹所と該凹所に沿った該地盤上に敷設され遮水処理が施
された遮水部とを備えた遮水構造物の上記凹所から上記
地盤への漏水を検出するための漏水検出方法であって、
上記遮水部に沿って上記地盤に配置された複数の基準電
極と基準電位発生用電源とから構成される基準電位発生
電流経路に沿って電流を通じ、上記凹所に配置されたプ
ローブ電極と上記遮水部を挟んで上記基準電極の間の上
記地盤に配置された漏水プローブ用地盤電極とプローブ
用電源とから構成される漏水プローブ電流経路に電流を
通じ、上記基準電位発生電流経路と上記漏水プローブ電
流経路とを対として移動させつつ前記基準電極の電位を
測定することを特徴とする漏水検知方法が提供される。
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の漏
水検知装置及び漏水検知方法を詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明の漏水検知装置が設置され
た廃棄物処分場の概略的な断面を示した図である。本発
明が適用される廃棄物処分場は、地盤の凹所と、この凹
所に沿った地盤1上に配設された遮水部2とから構成さ
れている。地盤1の凹所は、地表から基礎地盤に向かっ
て掘込んで人工的に形成されていても良く、また、山間
部等の沢や谷間を用いる場合にはその地形を用いること
もできる。このような凹所内には、廃棄物3が投棄さ
れ、雨水等により発生する汚水が遮水部2により漏れ出
さないようにされている。
【0022】この遮水部2は、図1では、廃棄物3に隣
接する砂層又は覆土4と、この砂層又は覆土4に隣接す
る遮水シート5と、遮水シート5の下側に設けられた低
透水性構造6とにより構成されている。遮水シート5
は、合成ゴム又はプラスチック製のシート、具体的には
高密度ポリエチレン(HDPE)等から形成される遮水
シートを挙げることができ、その厚さ材質等は、必要な
遮水性・耐久性が得られるものであればいかなるもので
も用いることができる。
【0023】上述した低透水性構造6には、粘性土、ア
スファルトコンクリートといった透水性の低い材料が用
いられ、これらを適宜組み合わせて用いることも可能で
ある。また、上述した遮水シート5は、一重の構造を有
するものとして説明を行ってきたが、二重の遮水シート
を用いることも可能である。
【0024】図1には、本発明の漏水検知装置に用いら
れる各電極の深さ方向の配置が詳細に示されている。本
発明の漏水検知装置は、遮水部2に沿って地盤1に配置
された複数の基準電極7と地盤1中に遮水部2から離間
して配置された基準電位測定用地盤電極8a,8bと、
基準電位発生用電源9とを備えており、これらの電極
7,8a又は8b及び基準電位発生用電源9は、基準電
位発生電流経路として用いられる基準電位発生用電流経
路Iを構成している。基準電位測定用地盤電極8a,
8bは、本発明の第1の実施例の漏水検知装置では、図
1に示されているように、遮水部2から離間して設けら
れており、地盤1中に埋設されているのが示されている
が、地表に設けられていても良い。また、本発明の漏水
検知装置は、凹所に配置されたプローブ電極10と、遮
水部2を挟んで遮水部2から離間して地盤1に配設され
た漏水プローブ用地盤電極11と、プローブ用電源12
とを備えており、これらの電極10,11及びプローブ
用電源12とは、漏水プローブ電流経路Iを形成して
いる。
【0025】漏水プローブ用電極10は、図1に示すよ
うに廃棄物3内部に設置され、漏水プローブ用地盤電極
11が遮水部2から離間して設置されている。図1に
は、漏水プローブ用電極10と、漏水プローブ用地盤電
極11が互いに1つずつ配置されているのが示されてい
るが、本発明の実施例1の漏水検知装置においては、こ
れらの電極はそれぞれ複数用いることも可能である。
【0026】図2は、本発明の第1の実施例の漏水検知
装置の電極配置及び各電源を示した平面図である。上述
した基準電極7はそれぞれ、電気ケーブル13及び電極
切換部14を介して基準電位測定用地盤電極8a,8b
の一方と選択的に切換接続されるように構成されてい
る。また、基準電極7には、それぞれの電気ケーブル1
3を介して基準電位発生用電源9と電位計15とが接続
されており、基準電位発生用電流経路Iを1つの基準
電極7と基準電極用地盤電極8a,8bのうちの一方と
の間で形成させると共に、この電流により発生した基準
電極7の間の電位差を測定できるようにされている。ま
た、この電位計15は、基準電極間、例えば7a,7b
の間の電位差を測定できるようにされていても良く、ま
た、基準電極7と例えば基準電極用地盤電極8a,8b
いずれかとの間の電位を測定することにより、基準電極
用地盤電極8a,8bを基準とした各基準電極7の電位
を測定するようにされていても良い。
【0027】本発明の実施例1の漏水検知装置において
は、電気的絶縁性の遮水部2が健全である場合には、遮
水部2の内側に設けられたプローブ用電極10と漏水プ
ローブ用地盤電極11の間には漏水による局在化した電
気回路が構成されず、基準電位発生電流経路Iへと基
準電位発生用電源9から流された電流は、遮水部2の底
面に沿って地盤1側に設けられた基準電極7へと流れ、
この結果基準電極7の電位は、遮水部2の底面に沿って
流れた電流に起因するバイアス電位が印加され、比較的
均一な電位分布となる。この状態において遮水部2が健
全な状態にある場合に予め基準電極7の電位分布を定期
的に測定しておくことにより、漏水時の基準電極7の電
位変化が周囲環境等の変動により影響を受けず、またよ
り雑音等の影響を受けずに確実に検出できることにな
る。
【0028】さらに図2には、基準電位発生用電源9
と、漏水プローブ用電源12と、電位計15とには、コ
ンピュータ手段といった制御手段16が接続されている
のが示されている。この制御手段16は、測定された漏
水プローブ電流経路Iの電流と測定された基準電極7
の電位差とからそれぞれ漏水を検出すると共に、漏水位
置を判断し、かつ各電源9,12及び電極切換部14を
制御している。電位計15には、測定した電位をディジ
タル化し、制御手段16にデータを転送するための機能
が備えられている。
【0029】上述した電極7,8a,8b,10,11
は、例えば鉛、ステンレス鋼といった金属を用いること
ができるが、本発明において必要な測定が行えるように
導電性であればこれらに限られるものではない。また、
図2には、基準電極7が、遮水部2の底面に所定の間隔
aで設置されているのが示されている。この間隔を小さ
くすることにより漏水位置の検知精度が向上できる。一
般的には、遮水部2を構成する低透水性構造6には、粘
性土層やアスファルト層が用いられる。本発明において
は、低透水性構造6の厚さが60cm程度以上の場合に
この所定間隔aを5m以上とすることで、低透水性構造
6の厚さが漏水位置の検知精度に与える影響を考慮する
程にはならないことが見出された。
【0030】図2に示された電極切換部14は、遮水部
2の底面に配設された複数の基準電極7の間及び基準電
極用地盤電極8a,8bの間で基準電位発生用電源9を
介して基準電位発生用電流経路Iを形成するように切
換選択可能とされていて、電極切換部14の動作に応じ
て電位計15により基準電極7の電位を測定するように
されている。この基準電極7の電位は、電極切換部14
の切換により基準電極間7の電位差を測定するか、又は
基準電極用地盤電極8a,8bのいずれかを基準とした
基準電極7の電位を測定するように構成されている。ま
た、必要に応じて、漏水プローブ電極10と漏水プロー
ブ用地盤電極12の間の切換を行うようにされていても
良い。このような電極切換部14の動作は、手動又はコ
ンピュータといった制御手段16により自動制御される
ようにされている。上述した基準電位発生用電源9と漏
水プローブ用電源12と電位計15とは、制御手段16
により同期して作動するように構成されており、これら
の電源により流される電流の形態によらず基準電極7の
電位を測定可能とされている。
【0031】上述した電位計15は、一度の測定で1対
の電極間電位差を測定するのではなく、1度の測定で複
数の基準電極7の複数の電位を測定することができるよ
うにされていても良い。このように1度の測定で複数の
基準電極7の電位差を測定することができるようにする
ことにより漏水検知に要する時間を短縮させることが可
能となる。
【0032】上述した制御手段16としては、例えばパ
ーソナルコンピュータを用いることができる。このパー
ソナルコンピュータは、例えば図示しないCPU(Ce
ntral Processing Unit)と、R
AM(Random Access Memory)
と、ROM(Read Only Memory)と、
外部記憶装置と、入出力制御手段等を備えており、漏水
プローブ用電源12と基準電位発生用電源9の動作制
御、電極切換部14の電極選択動作の制御、電位計15
の動作制御及び測定値の読み込み、測定データの記憶等
を行っている。この制御手段16は、測定された基準電
極電位から漏水を検知するためのプログラムを備えてお
り、漏水の発生及び漏水位置の決定を行うようにされて
いる。また、漏水の判定結果を表示して、漏水が検知さ
れた場合には自動的に関係機関に通報することが可能な
機能が設けられていても良い。
【0033】以下に本発明の漏水検知装置に用いられる
漏水プローブ用電流経路Iと基準電位発生電流経路I
の作用について説明する。
【0034】漏水プローブ用電流経路Iには、電気的
に絶縁性を有する遮水シート5が損傷して汚水が漏れ出
すと電気的な回路を形成することにより漏水位置に局在
化した電流が流れる。このようにすることにより、漏水
の検知が確実に行うことができる。この際、本発明の第
1の実施例の漏水検知装置では、漏水プローブ用電源1
2からは交番直流が供給されるが、このように交番直流
ばかりではなく他の形態の電流を用いることもできる。
【0035】基準電位発生電流経路Iは、本発明の第
1の実施例の漏水検知装置では、電極切換部14を介し
て基準電位発生用電源9と基準電極7及び遮水部2とか
ら離間して設けられた基準電位発生用地盤電極8a,8
bのいずれかの間に形成される。この基準電位発生用電
源9から電流を流すことによって地盤1内部に電場が形
成され、遮水部2の底面に設けられた基準電極7の間に
比較的均一に電気的にバイアスされた電位が発生する。
【0036】図3は、本発明の漏水検知装置において漏
水個所17から漏水が生じたところを示した図である。
図3に示されるように、遮水シート5が損傷して漏水位
置に局在化した漏水プローブ用電流経路Iが形成され
ると、新たな電場が地盤1中に形成されるため漏水部付
近での基準電極7のすでに基準電位発生電流経路I
より形成されている電位が変化する。この際に基準電極
7の電位差を測定し、遮水シート5が損傷する前にすで
に測定されて制御手段16内に記憶されている参照基準
電極電位との差を算出することにより、遮水シート5の
漏水の位置を検知することが可能となる。ここで、基準
電位発生用電源9から与えられる電流は、本発明の第1
の実施例の漏水検知装置においては交番直流とされてい
るが、これ以外の形態の電流を供給するようにされてい
ても良い。
【0037】漏水プローブ用電源12と基準電位発生用
電源9とは、制御手段16により同時に電流を流すこと
ができるように同期して制御されており、その電流強度
もまた独立して可変となるように制御されている。すな
わち、本発明の漏水検知装置を廃棄物処分場に適用する
場合、電気的絶縁性の遮水シート5が損傷していなくと
も、遮水シート5の内側に設けられた排水設備等の付帯
設備により、僅かではあるものの漏水プローブ用電流経
路Iに電流経路が形成される場合も想定され、これは
適用される廃棄物処分場の地盤1の環境によっても変動
する。このため上述のように電流電源9,12それぞれ
から流す電流を独立して調節可能とすることで、より容
易に遮水シート5の損傷を判定することが容易となる。
【0038】以下に本発明の第1の実施例の漏水検知方
法を説明する。図4は、本発明の漏水検知装置により得
られる基準電極7の電位分布を概略的に示した図であ
る。図4(A)は、図1に示した廃棄物処分場の遮水シ
ート5に損傷が無い場合に、図1及び図2に示す遮水部
2の底面に沿って基準電極7(正極)と遮水部2から離
間して配置された基準電位測定用地盤電極8b(負極)
の間に電流を流した場合に得られる基準電極7aと基準
電位測定用地盤電極8aの間で測定される電位の分布を
示した図である。縦軸が測定された基準電極7の電位で
あり、横軸が基準電極7aから測定した各基準電極7の
距離である。図4では、説明の便宜のため、平面的に配
置されている基準電極7のうち、図2中矢線A−Aに沿
った電位分布を示している。図4(A)に示した場合で
は、遮水シート5は健全で漏水は無いため、遮水部2の
内側に配設された漏水プローブ用電極10と、漏水プロ
ーブ用地盤電極11の間には所定のしきい値以下の電流
しか流れず、基準電極7の電位分布は、基準電極7aと
基準電位測定用地盤電極8bの間に形成される電界によ
り生じた電位分布とされている。
【0039】図4(B)は、図3に示すように電気的絶
縁性の遮水シート5に損傷が生じて図3に示す損傷箇所
17から汚水が漏れだし、漏水プローブ用電流経路I
に局在化した電流が流れた場合の基準電極7の電位分布
を示した図である。ここで、図2において漏水プローブ
用電極10は、正極とされており、漏水プローブ用地盤
電極11は負極とされている。遮水シート5の漏水箇所
17付近には、漏水プローブ用電流経路Iが回路を形
成したことにより電界が発生し、このため、図4(B)
中漏水位置で示した部分の基準電極7の電位が高められ
ているのが示されている。この電位変化は、漏水プロー
ブ用電極10と漏水プローブ用地盤電極11の間の極性
を変更することにより、漏水箇所17の電位が負側にな
る場合も生じる。このように漏水が発生している場合の
図4(B)に示した基準電極7の電位分布から漏水の発
生していない図4(A)に示した基準電極7の電位分布
の間の差をパーソナルコンピュータ等により算出するこ
とにより、図4(C)に示す漏水に起因した電位分布が
得られる。このようにして得られる電位分布の極大値が
遮水シート5が損傷して生じた漏水箇所を示す。
【0040】これを図4(A)に示した基準電位発生用
電流経路を構成する一方の電極として7aではなく図2
に示すように異なった基準電極7b,7c等に変えて複
数の基準電位発生経路Iを用いて複数の測定を行うこ
とにより図4(C)に示したような電位分布が複数得ら
れることになる。このようにして得られた電位分布を制
御手段16に備えられているコンピュータ手段によりそ
れぞれの基準電極7について積算し、電位分布図を形成
する。このようにして得られた等電位線において最も電
位の高いピーク位置が漏水箇所17として検出される。
図5は、漏水箇所17の基準電極7の位置を基準として
上述した電位分布図を図4(A)〜(C)で示したと同
一の面で切り取った際の電位分布を示した図である。
【0041】図6は、上述した本発明の漏水検知方法を
フローチャートとして示した図である。本発明の漏水検
知方法は、ステップ50から開始する。本発明の漏水検
知方法は、次いでステップ51へと移り、基準電位検出
用電流経路Iを形成する一方の電極である基準電極7
を変えながら遮水部2の底面に沿って配置された基準電
極7の電位分布を測定する。この際、漏水プローブ電極
10及び漏水プローブ用地盤電極11の間にも電流を流
しつつ測定を行うが遮水部2が健全である場合には、こ
れらの電極の間には局在化した電流が流れないので基準
電極7の測定の際には問題が生じない。ステップ52に
おいて所定の基準電極7の測定パターンについて電位測
定が終了したかについて判断を行い、所定のパターンを
測定し終わるまでステップ51の上述の測定を繰り返さ
せる。このような所定のパターンについては漏水の検知
をもれなくかつ精度良く行えるのであればいかなるよう
にして決定することもできる。
【0042】次いで本発明の漏水検知方法は、ステップ
53において漏水プローブ電流経路Iに流れる電流強
度を判断する。この漏水プローブ電流経路Iに流れる
電流は、漏水時には高く、漏水が生じていない場合には
廃棄物処分場の設けられた環境により変動するものの低
い値となる。したがって予め廃棄物処分場の漏水が生じ
ていない場合の電流値を基準としてしきい値を設けてお
き、漏水プローブ電流経路Iに流れた電流が上述のし
きい値を超えた場合には、漏水が生じているものと判断
し、漏水プローブ電流経路Iに流れる電流がしきい値
以下の場合には漏水が生じていないものとして判断を行
う。本発明の漏水検知方法では、漏水プローブ電流経路
に流れる電流が上述のしきい値以下の場合には、ス
テップ54において、上述のステップ51で測定された
基準電極7の電位を参照基準電極電位として制御手段1
6として用いるパーソナルコンピュータへと記憶させス
テップ59で漏水検知を終了させる。
【0043】また、漏水プローブ電流経路Iに流れる
電流がしきい値以上である場合には、遮水シート5に損
傷が生じ、漏水が発生しているものと判断される。そこ
で本発明の第1の実施例の漏水検知方法では、さらに漏
水箇所17の特定のための手順を実行する。これがステ
ップ55〜58に示されたステップである。
【0044】この漏水箇所測定のステップは、まずステ
ップ55から開始する。ステップ55では、予めステッ
プ54で記憶させておいた参照基準電極電位Rと漏水が
発生した時点でステップ51で測定された基準電極電位
Sとの差(S−R)を算出する。この差(S−R)を各
電極7を変えて図4(A)〜(C)について説明したよ
うにしてそれぞれの差(S−R)を算出させ、最終的に
これらの電位測定により得られた差(S−R)を積算す
る。その結果に基づき、ステップ57で廃棄物処分場に
わたる等電位線図を作成し、ステップ58において図5
で説明したようにして漏水位置を電位ピークから判定す
る。
【0045】上述した基準電位発生電流経路Iとして
電極7aと電極8bを用いるものとして説明を行ってき
たが、基準電極7のうち任意の2個に対して基準電位発
生用電源9から電流を通して同時に測定を行うことも可
能であり、又その処理方法についても同様である。
【0046】上述した方法は、予めバイアス電位を加え
た基準電極7の位置を順次変えて複数の測定を行い、得
られた結果を複数積算した電位分布として判断するので
個々の測定結果における測定のバラツキを相殺すること
が可能となり、精度良い測定を可能とする。すなわち、
電極7における測定電位が低く、何らかの雑音により電
位が影響を受けやすい場合であっても、雑音の影響を軽
減でき、遮水シート5の損傷による電流で新たな電位分
布が形成されので、漏水箇所における相対的な基準電極
電位が向上でき正確に漏水箇所17の電位を測定するこ
とが可能となる。
【0047】また、本発明の第1の実施例の漏水検知方
法では、廃棄物処分場を運用している間に図1で示した
地盤1の比抵抗分布に変化が生じても図4(A)に示す
ような遮水部2に隣接した地盤1側に配置された基準電
極7の電位分布が測定の都度、しきい値以上の漏水プロ
ーブ電流が発生しない限り参照電極電位として制御手段
に記憶される。このため、地下水位の変動等の理由によ
り地盤1の比抵抗分布に変化が生じたことを検出できる
と共に、常に漏水が発生する直前の地盤1の状態に応じ
た参照基準電極電位を用いて漏水を判断することが可能
となるのでより高精度の漏水位置の検出が可能となる。
【0048】図7は、本発明の第2の実施例の漏水検知
装置及び漏水検知方法を示した図である。本発明の漏水
検知装置及び漏水検知方法の第2の実施例では、漏水プ
ローブ用地盤電極11を遮水部2の底面に沿って配置さ
れた基準電極7の中間に設定し、基準電位発生電流経路
を任意の2つの基準電極7の間、例えば7g,7
h、又は7i,7jで構成させるようにしている。この
ため、基準電位測定用地盤電極8a,8bを用いる必要
はない。このような構成を用いる場合には、漏水プロー
ブ用地盤電極11を各基準電極7と別途設けることもで
きるし、また、複数配置された基準電極7のうち、この
第2の実施例では基準電位発生電流経路I を構成する
ために用いられている基準電極7及び電位測定を行って
いる基準電極7以外の基準電極は、直接漏水検知には関
与していないので基準電極7を漏水プローブ用地盤電極
11として共用することもできる。図7では、漏水プロ
ーブ用基礎地盤電極11として、例えば基準電極7eと
基準電極7fの間に配置された基準電極7を用いた場合
を示した。
【0049】図7に示されているように、漏水検知時に
は、基準電位発生電流経路Iを基準電極7g,7hの
間で形成させ、漏水検知用電極7eと7fとの間の電位
差を測定している。また、漏水プローブ電流経路I
は、漏水プローブ用電極10と基準電極7eと基準電
極7fの中間に設定された漏水プローブ用地盤電極11
との間において形成されている。本発明の第2の漏水検
知装置及び漏水検知方法では、基準電位発生電流経路I
が基準電極7g,7hの間において形成され、基準電
極7e,7fの間に配置された漏水プローブ用地盤電極
11と基準電位発生経路Iを形成する基準電極7g,
7hとが同時に、図7に示したこれらの電極の相対的位
置関係が保持されるように制御手段16により制御され
た電極切換部14により、例えば図7中矢線の方向へと
対となって移動しながら漏水検知が行われるようにされ
ている。これらの電極の相対的配置は、漏水の検知が良
好に行えるものであれば、どのような間隔及び相対配置
でも用いることができる。
【0050】図8は、本発明の第2の実施例の漏水検知
方法による電位測定の結果を示した図である。図8
(A)は、図1に示す廃棄物処分場の遮水シート5に損
傷が無い場合の図7に示した漏水検知方法により測定さ
れた電位差分布を示した図である。説明の便宜上電位分
布を一次元で示してある。地盤1の比抵抗が一様である
場合、図8(A)に示されたように測定電位は、地盤1
の比抵抗の値や、基準電位発生電流経路Iの電流強度
により変動するものであるが、この本発明の図8に示し
た実施例では例えば、約0.5Vの値の一定の値として
得られた。ここで、遮水シート5には損傷部がないの
で、漏水プローブ電流経路Iには、電流は流れない
か、又は流れても極僅かであるため、図8(A)の測定
電位に対する影響はほとんど生じない。
【0051】図8(B)には、電気的絶縁性の遮水シー
ト5に損傷が生じ、漏水プローブ電流経路Iが漏水プ
ローブ電極10と漏水プローブ用地盤電極11の間に局
在化した電気的回路を形成した場合の基準電極7eと7
fの間の電位差を示す。漏水位置から基準電極7e,7
fが離れている場合には、これらの電極の間の電位差
は、略図8(A)に示した健全時の電位差となり、漏水
位置に近づくにつれて漏水プローブ電極10と漏水プロ
ーブ用地盤電極11の相互の極性により、測定される電
位差は低下(あるいは上昇)し、極小(あるいは極大)
を取り、次いで測定電位は上昇(あるいは下降)して極
大(あるいは極小)となり、順次健全時の測定電位に変
化して行く。ここで、漏水位置は、検知用電極7e,7
fの間の測定電位差が極小と極大を示す中間位置とな
る。
【0052】図8(C)は、図8(B)に示した漏水時
の測定電位差から図8(A)に示した健全時の測定電位
差を引いた結果を示す。漏水位置から基準電極7e,7
fが離れている場合には、差し引きの結果、電位はほぼ
0Vとされ、漏水位置を中心として極大と極小の位置が
現れているのが示されている。また、極大と極小を示す
位置の距離は、基準電極7e,7fの設置された所定距
離aに等しくされることになる。ここで、図8における
距離をx、電位をf(x)とし、bを漏水位置、a,
b,cを定数として、図8(C)に示した電位差分布を
下記式(1)の関数を近似式として最小2乗法を用いて
フィッティングを行うことにより、漏水位置、すなわち
bをより正確に決定することが可能とされる。当然のこ
とながらこの1次元の近似式は、適宜2次元の近似式へ
と拡張でき、フィッティングを行うことにより2次元的
に漏水位置を決定することも可能である。
【0053】
【数1】
【0054】上述した第2の実施例の漏水検知方法を用
いることで、漏水位置から離れた位置では図8(C)に
示したように基準電極7e,7fの間の電位が0とな
り、漏水位置にこれらの電極が近づくにつれて電位が発
生し、漏水地点付近で大きな電位差を生じて極大・極小
値を形成する。このように電位差を測定する基準電極7
e,7fと漏水プローブ用地盤電極11とを同時に対と
して移動させることで、図8(C)に示したように遮水
構造内部からの漏洩電流により生じた一次電位分布の影
響を受けることなくより正確に漏水位置の決定が可能と
なる。
【0055】また、図9は、地盤1の比抵抗分布が不均
質である場合に用いることが可能な補正を取り入れた本
発明の第3の実施例の漏水検知装置及び漏水検知方法を
示した図である。図9に示した電極配置では、本発明の
第2の漏水検知方法で用いたと同様に漏水プローブ用地
盤電極11が基準電極7e,7fの中間に設けられてい
る。しかしながら、比抵抗分布が不均質である場合には
漏水位置が基準電極3e,3fから離れていても基準電
極7e,7fの間の測定電位がこの比抵抗分布の不均一
のために一定とはならない。これを示したのが図10の
□で示した曲線である。一方、図10中、○で示された
測定点で示された曲線は、均一地盤について得られた漏
水時の電位である。このように地盤1の比抵抗分布が不
均質である場合には、遮水部2が健全である際に基準電
極7e,7fの中間、すなわち図7における電極11の
位置を基準電位発生電流経路Iの一方の電極とし、基
準電極測定用地盤電極8a又は8bを7e,7fから離
れた位置に設置して基準電位発生電流経路Iを形成さ
せ、この基準電位発生電流経路Iに電流を通じて7
e,7f間の電位差測定を行って補正電圧を得ておくよ
うにする。本発明の第3の漏水検知方法では、この測定
値により漏水時の補正を行うようにするものである。ま
た、漏水の検出は、本発明の第2の実施例と同様にして
行われる。漏水検知時には、例えば図10□で示される
測定値から漏水のない場合の補正電圧を減算し、さらに
例えば漏水のない場合の図8(A)で示される測定電圧
を減算して図10の△で示されるような補正された電位
分布を得ることが可能となる。この補正電圧は、基準電
位発生電流経路Iに流される電流の強度に比例した値
となるので、漏水検知時には漏洩電流の強度を考慮して
補正電圧を調整することもできる。このような補正の結
果を示したのが図10である。
【0056】これまで、本発明を説明の便宜上1次元で
の漏水位置決定を用いて説明してきたが、実際の廃棄物
処分場では、図7及び図8に示した装置及び方法を用い
て容易に2次元の等電位線図を作成することにより漏水
位置を決定することができる。
【0057】
【発明の効果】本発明の請求項1の発明によれば、絶縁
性の遮水部と地盤との界面に沿って電流を流す基準電位
発生電流経路と漏水プローブ電流経路といった2系統の
検出経路を用いることが可能となり、基準電極間の電気
的環境を均一とすることができるので、良好な参照電極
電位分布が形成されると共に基準電極が遮水シートの上
面の埋立部分や遮水部内に配設された場合の埋立層内部
の水位変化や遮水部内の環境変化による基準電極間での
電気的環境のバラツキが抑えられ、基準電極間の安定な
電位を提供することを可能とすると共に、比抵抗法に比
較して容易且つ迅速な高感度の漏水検知装置が提供でき
る。
【0058】本発明の請求項2の発明によれば、基準電
位発生電流経路が複数形成可能となるので、基準電極電
位と参照基準電極電位との差を複数得ることを可能と
し、より迅速且つ高感度、高精度の漏水検知装置が提供
できる。
【0059】本発明の請求項3の発明によれば、漏水の
無い場合の基準電極電位を参照基準電極電位として記憶
させることが可能となるので、地盤に凹部を形成させた
ことによる地下水位等の経時的な変動に対応した参照基
準電極電位を得ることを可能とし、得られた電位差を積
算することにより迅速且つ高精度に漏水及び漏水位置の
検知が可能な漏水検知装置が提供できる。
【0060】本発明の請求項4の発明によれば、基準電
位発生用電源及びプローブ用電源とがそれぞれ独立して
電流強度を変化させることができ、基準電極電位の電位
を複数の同時測定可能とされているので、排水設備等の
付帯設備等により形成された漏水時以外にプローブ用電
流経路に電流が流れるような場合であってもその影響を
排除して、効率良い漏水検知を行うことが可能となる漏
水検知装置が提供できる。
【0061】本発明の請求項5の発明によれば、基準電
位発生用電流経路と漏水プローブ電流経路とが同時に対
となって移動できるので、より正確な漏水位置検出を行
うことができる漏水検知装置が提供できる。
【0062】本発明の請求項6の発明によれば、絶縁性
の遮水部と地盤との界面に沿って電流を流す基準電位発
生電流経路と漏水プローブ電流経路といった2系統の検
出経路を用いることが可能となり、基準電極間の電気的
環境を均一とすることができるので、良好な参照電極電
位分布が形成されると共に基準電極が遮水シートの上面
の埋立部分や遮水部内に配設された場合の埋立層内部の
水位変化、遮水部内の環境変化による基準電極間での電
気的環境のバラツキが抑えられ、基準電極間の安定な電
位を提供することを可能とすると共に、比抵抗法に比較
して容易且つ迅速な高感度の漏水検知装置が提供でき
る。
【0063】本発明の請求項7の発明によれば、漏水の
無い場合の基準電極電位を参照基準電極電位として記憶
させ、基準電極電位の電位を複数の同時測定可能とされ
ているので、地盤に凹部を形成させたことによる地下水
位等の経時的な変動に対応した参照基準電極電位を得る
ことを可能とし、排水設備等の付帯設備等により形成さ
れた漏水時以外にプローブ用電流経路に電流が流れるよ
うな場合であってもその影響を排除して、得られた電位
差を積算することにより迅速且つ高精度に漏水及び漏水
位置の検知が可能な漏水検知装置が提供できる。
【0064】本発明の請求項8の発明によれば、基準電
位発生用電流経路と漏水プローブ電流経路とが同時に対
となって移動できるので、より正確な漏水位置検出を行
うことができる漏水検知装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の漏水検知装置を示した縦断面図。
【図2】本発明の漏水検知装置の構成を示した平面図。
【図3】漏水が生じている場合の本発明の2つの電流経
路を示した図。
【図4】本発明の方法により測定された電位分布を示し
た図。
【図5】本発明の方法により積算された電位分布を示し
た図。
【図6】本発明の第1の実施例の漏水検知方法を示した
フローチャート。
【図7】本発明の第2の実施例の漏水検知装置及び漏水
検知方法の電極構成を示した縦断面図。
【図8】本発明の第2の実施例の漏水検知方法により測
定された電位分布。
【図9】本発明の第3の実施例の漏水検知方法に用いる
補正電圧を測定するための電極構成を示した縦断面図。
【図10】本発明の第3の実施例の漏水検知方法により
補正電圧による補正を行った場合の電位分布を示した
図。
【図11】従来の電位法による漏水検知を示した図。
【符号の説明】
1…地盤 2…遮水部 3…廃棄物 4…砂層又は覆土 5…遮水シート 6…低透水性構造 7…基準電極 8a,8b…基準電位測定用地盤電極 9…基準電位発生用電源 10…プローブ電極 11…漏水プローブ用地盤電極 12…プローブ用電源 13…電気ケーブル 14…電極切換部 15…電位計 16…制御手段 17…漏水箇所 I…基準電位検出用電流経路 I…漏水プローブ電流経路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 勉 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 (72)発明者 吉川 聡雄 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 (72)発明者 金丸 信一 東京都港区虎ノ門一丁目20番10号 (72)発明者 酒井 幸雄 東京都千代田区九段北1丁目11番5号 基礎地盤コンサルタンツ株式会社内 (72)発明者 三木 茂 東京都千代田区九段北1丁目11番5号 基礎地盤コンサルタンツ株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−37887(JP,A) 特開 平11−37886(JP,A) 特開 平10−99810(JP,A) 特開 平9−33382(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 3/16

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地盤の凹所と該凹所に沿った該地盤上に
    敷設され遮水処理が施された遮水部とを備えた遮水構造
    物の前記凹所から前記地盤への漏水を検出するための漏
    水検出装置であって、 前記遮水部に沿って前記地盤に配置された複数の基準電
    極と前記地盤に配置された基準電位測定用地盤電極と基
    準電位発生用電源とから構成される基準電位発生電流経
    路と、 前記凹所に配置されたプローブ電極と前記遮水部を挟ん
    で前記地盤に配設された漏水プローブ用地盤電極とプロ
    ーブ用電源とから構成される漏水プローブ電流経路と、 基準電極電位を測定するための電位測定手段と、 前記漏水プローブ電流経路に流れる電流を測定するため
    の電流測定手段と、 前記漏水プローブ電流経路に流れる電流レベルにより漏
    水を判断すると共に前記電位測定手段により測定された
    前記基準電極電位の変化から漏水位置を判断するための
    判断手段とを備えることを特徴とする漏水検知装置。
  2. 【請求項2】 前記基準電位発生電流経路は、前記基準
    電位測定用地盤電極と複数の前記基準電極の間で選択切
    換可能とされており、前記判断手段は、複数の前記基準
    電位発生電流経路を用いて測定された前記基準電極電位
    の変化により漏水位置を検知することを特徴とする請求
    項1に記載の漏水検知装置。
  3. 【請求項3】 前記判断手段は、前記電流測定手段によ
    り測定された漏水プローブ電流経路に流れる漏水プロー
    ブ電流が所定レベル以下の場合の基準電極電位を参照基
    準電極電位として記憶するための記憶手段と、 前記漏水プローブ電流が所定レベルより高い場合に測定
    された基準電極電位と前記参照基準電極電位との電位差
    を算出させるための手段と、 複数の前記基準電極検出経路について得られた前記電位
    差を積算するための手段とを備えることを特徴とする請
    求項2に記載の漏水検知装置。
  4. 【請求項4】 前記基準電位発生用電源及び前記プロー
    ブ用電源とがそれぞれ独立して電流強度を変化可能とさ
    れ、前記電位測定手段は、前記基準電極の電位を複数同
    時測定可能とされていることを特徴とする請求項1、2
    又は3に記載の漏水検知装置。
  5. 【請求項5】 地盤の凹所と該凹所に沿った該地盤上に
    敷設され遮水処理が施された遮水部とを備えた遮水構造
    物の前記凹所から前記地盤への漏水を検出するための漏
    水検出装置であって、 前記遮水部に沿って前記地盤に配置された複数の基準電
    極と基準電位発生用電源とから構成される基準電位発生
    電流経路と、 前記凹所に配置されたプローブ電極と前記遮水部を挟ん
    で前記基準電極の間の前記地盤に配置された漏水プロー
    ブ用地盤電極とプローブ用電源とから構成される漏水プ
    ローブ電流経路と、 前記基準電位発生経路と前記漏水プローブ電流経路とを
    対として移動させつつ基準電極電位を測定するための制
    御手段とを備えることを特徴とする漏水検知装置。
  6. 【請求項6】 地盤の凹所と該凹所に沿った該地盤上に
    敷設され遮水処理が施された遮水部とを備えた遮水構造
    物の前記凹所から前記地盤への漏水を検出するための漏
    水検出方法であって、 前記遮水部に沿って前記地盤に配置された複数の基準電
    極と前記地盤に配置された基準電位測定用地盤電極とか
    ら構成される基準電位発生電流経路に基準電位発生用電
    源から電流を通じると共に前記凹所に配置されたプロー
    ブ用電極と前記遮水部を挟んで前記地盤に配設された漏
    水プローブ用地盤電極とから構成される漏水プローブ電
    流経路にプローブ用電源から電流を通じて複数の基準電
    極電位を測定し、 前記漏水プローブ電流経路に流れる電流により漏水を検
    知すると共に前記電流により生じた前記基準電極電位の
    変化から漏水位置を検知することを特徴とする漏水検知
    方法。
  7. 【請求項7】 前記漏水位置の検知は、前記漏水プロー
    ブ電流経路に流れる電流が所定レベル以下の場合の前記
    基準電極電位を参照基準電極電位として記憶させ、前記
    漏水プローブ電流が所定レベルより高い場合の基準電極
    電位と前記参照基準電極電位との電位差を算出し、前記
    基準電位発生電流経路を前記基準電位測定用地盤電極と
    複数の前記基準電極の間で切換選択して複数形成し、複
    数の前記電位差を積算することによりなされることを特
    徴とする請求項6に記載の漏水検知方法。
  8. 【請求項8】 地盤の凹所と該凹所に沿った該地盤上に
    敷設され遮水処理が施された遮水部とを備えた遮水構造
    物の前記凹所から前記地盤への漏水を検出するための漏
    水検出方法であって、 前記遮水部に沿って前記地盤に配置された複数の基準電
    極と基準電位発生用電源とから構成される基準電位発生
    電流経路に沿って電流を通じ、前記凹所に配置されたプ
    ローブ電極と前記遮水部を挟んで前記基準電極の間の前
    記地盤に配置された漏水プローブ用地盤電極とプローブ
    用電源とから構成される漏水プローブ電流経路に電流を
    通じ、 前記基準電位発生電流経路と前記漏水プローブ電流経路
    とを対として移動させつつ前記基準電極の電位を測定す
    ることを特徴とする漏水検知方法。
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