JP3174679B2 - 電気的漏水検出方法 - Google Patents

電気的漏水検出方法

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JP3174679B2
JP3174679B2 JP31894293A JP31894293A JP3174679B2 JP 3174679 B2 JP3174679 B2 JP 3174679B2 JP 31894293 A JP31894293 A JP 31894293A JP 31894293 A JP31894293 A JP 31894293A JP 3174679 B2 JP3174679 B2 JP 3174679B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、底部に遮水シートを布
設して造成した廃棄物最終処分場や廃液貯留池などにお
ける漏水検出方法に関し、更に詳しく述べると、それら
遮水構造物内の平面電界分布及び比抵抗分布から漏水の
有無、漏水箇所、漏水の相対規模を検出・評価する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、廃棄物最終処分場や廃液貯留池な
どの遮水構造物は、地面を掘り下げたり、周囲に堤を築
造し、その内側に電気絶縁性の遮水シートを布設して造
成することが多くなっている。この場合、万一遮水シー
トが損傷を受けると、そこから浸出液や廃液が漏れ出
し、周囲環境への影響が懸念される。このため、漏水の
発生を早急に検出し、漏水箇所の補修を行わねばならな
い。貯液池における遮水シートの漏水位置を電気的に検
出する技術に関しては、1980年代中頃より、アメリ
カ環境保護局(EPA)からの委託を受けてSwRI
(サウスウエスト・リサーチ・インスティテュート)が
積極的に実施している。
【0003】ところで遮水シート内の導通箇所を検出し
ようとする場合、まず鉱体流電電位法の応用が考えられ
る。鉱体流電電位法は、鉱体の一端から通電し、鉱体に
より発生する電位分布の歪みを地表面やボーリング孔に
面的あるいは線的に配置した電位電極で検出する方法で
ある。この方法を漏水検出に適用し、遮水シートの内側
と外側との間で通電してその電位分布を測定すれば、遮
水シートと導通箇所との比抵抗差が自然地盤と鉱床のそ
れよりも大きいため、より大きな電位異常が生じる。従
って、原理的には、この現象を利用することで、漏水検
出が可能と考えられる。
【0004】一方、国内においても、このような電位分
布の歪みを利用して漏水位置を検出する方法について様
々な改良が試みられている。例えば特開平1−1788
43号公報に記載された方法では、測定用電位電極を地
中あるいは水中の遮水シート付近に設置することによ
り、正確に電位差を測定しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし従来技術は、電
位分布(処分場内あるいは処分場外に設置した基準点の
電位に対する各測定用電位電極での測定電位の分布)の
歪みで漏水位置を検出する方法であり、このような方法
には、次のような問題点がある。 もし遮水シートに漏水箇所が無ければ処分場の内側は
比較的等電位になるが、一旦漏水が発生すれば、電位分
布は電流源との距離に影響される一次電位の影響を大き
く受け、これが漏水位置決定の精度を低下させる。 一旦、処分場内に電位差が発生すれば、電位分布は処
分場内の複雑な比抵抗構造の影響を受けるため、やはり
精度低下をまねく。例えば廃棄物として局部的に導電性
の高い焼却灰などがあると、電位分布が乱れてしまう。 処分場内あるいは処分場外に設置した基準電極からの
距離が遠くなるほどノイズをひろいやすくなり、電位測
定の精度が低下する。
【0006】漏水位置を検出する目的は、速やかに漏水
箇所を補修するためである。この補修は、現状では掘削
工事によらなければならない。堆積した廃棄物の表面か
ら、擁壁で保護しながら鉛直方向に掘削していくことに
なるが、特に廃棄物が焼却灰のような場合は、雨水が混
ざってヘドロ状になっているため、掘削は通常の地盤の
場合よりも難しく時間がかかる。コストを考慮すると、
保護する擁壁の径は小さい方がよい。現在多用されてい
る擁壁は半径2m程度であり、従って漏水箇所をこの精
度で検出する必要があるが、従来の方法では検出精度は
必ずしも十分とはいえない。もし掘削位置が漏水箇所か
らずれると再度掘削し直さねばならず、補修に要する時
間がかかり、コストも上昇するし、周囲環境に対する悪
影響も増大する。
【0007】また実際には複数の漏水箇所が同時に存在
する可能性があり、その場合には、その漏水規模に応じ
て補修工事の優先順位を決定することが緊急の課題とな
る。そのためには、漏水の規模を比較・評価するための
何らかの指標が必要になる。従来技術では、漏水箇所検
出の精度が十分でない場合があり、また漏水規模の評価
が困難である。
【0008】本発明の目的は、上記のような従来技術の
欠点を解消し、漏水に対して敏感であり、遮水構造物内
に設置した電流源が形成する電位(一次電位)の影響を
受けず、また遮水構造物内の比抵抗構造に影響されず、
検出精度並びに信頼性の高い電気的漏水検出方法を提供
することである。また本発明の他の目的は、漏水箇所の
規模の相対的な評価が可能な電気的漏水検出方法を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、電気絶縁性の
遮水シートを地面に布設して造成した遮水構造物からの
漏水を検出する方法である。遮水構造物内外にそれぞれ
電流電極を設けると共に、遮水構造物内に多数の電極を
面的に分散配置する。そして前記電流電極間に通電して
各電極で電位を測定し、それをポールダイポール配置見
掛け比抵抗に変換する。他方、多数の電極を用いて四極
法配置により比抵抗分布を測定し、該比抵抗分布を用い
てポールダイポール配置見掛け比抵抗における比抵抗構
造の影響を補正し、微分処理を施して求めた極値をもっ
て漏水箇所とする。この場合、四極法配置による比抵抗
分布の測定にスクエア配置を採用し、ポールダイポール
配置見掛け比抵抗とスクエア配置比抵抗との相対残差に
よってポールダイポール配置見掛け比抵抗における比抵
抗構造の影響を補正するのが好ましい。
【0010】本発明による他の方法としては、上記と同
様に電位と比抵抗分布を測定し、式δi=▽σ▽φ+σ
2 φにより電流密度の総増量δiを求め(但し、σは
比抵抗の逆数の導電率)、その電流密度の総増量δiが
有意な値を示したとき、その位置をもって漏水箇所とす
る方法がある。また、電流密度の総増量δiの大きさと
漏水発生箇所近傍の比抵抗値から漏水規模を評価する。
その場合、電流密度の総増量δiの大きさは、遮水構造
物内で異なる位置に設けた複数の電流電極による測定結
果を平均化して求めるのが好ましい。
【0011】
【作用】遮水構造物内外の電流電極間で通電し、面的に
配置した多数の電極で電位を測定する。もし漏水箇所が
あると、発生する電位は、内部電流源からの距離の増大
に伴い減衰する一次電位と、遮水構造物内の比抵抗変化
や漏水箇所からの漏洩電流に起因する二次電位との和と
なる。電位分布を、内部電流電極の影響のみを考慮して
電位分布をポールダイポール配置見掛け比抵抗に変換す
ると、遮水構造物内の比抵抗分布と漏洩電流の影響を反
映したデータが得られる。他方、多数の電極を用いて四
極法配置により比抵抗分布を測定し、それを用いてポー
ルダイポール配置見掛け比抵抗における比抵抗構造の影
響を補正すると、主に漏洩電流の影響のみを反映した結
果が得られる。この結果に微分処理を施すと極値が出現
し、それが漏洩箇所を表すことになる。
【0012】また上記と同様にして電位と比抵抗の分布
を求めると、電流密度の総増量δiは、式δi=▽σ▽
φ+σ▽2 φから求めることができる。ここで、右辺第
1項は比抵抗境界での電流密度の増量であり、右辺第2
項は電界変化点での電流密度の増量である。もし水平面
内で計算されるδiが有意な値を示せば、それは、その
近傍における電流源の存在か、鉛直方向の電流密度の増
減を意味する。通常、遮水構造物内には測定用に設置し
た内部電流電極以外に電流源は存在せず、また遮水シー
トのため鉛直方向の電流の流れは小さい。従ってδiの
存在は、とりもなおさず漏洩電流の存在を意味すること
になる。これによって漏水位置を検出できる。また遮水
構造物の内部に分散配置した電極の間隔を考慮して漏洩
電流量が求まると、それと漏洩箇所近傍の比抵抗値か
ら、電気的等価直径を求めることができ、それを用いる
ことで、損傷規模を相対的に評価することが可能とな
る。
【0013】
【実施例】図1は本発明に係る電気的漏水検出方法の一
実施例を示す説明図であり、(a)は廃棄物処分場の縦断
面を、また(b) はその平面を表している。本実施例は、
地面10を掘り下げて電気絶縁性の遮水シート12を布
設して造成し、内部に2種類の比抵抗値(ρ1 ,ρ2
の廃棄物14を収容した廃棄物処分場からの漏水を検出
する例である。処分場の内部に内部電流電極C1 を、ま
た処分場の外部に外部電流電極(図示せず)を設けると
共に、処分場内に多数の電極Pijを面的に配置する。
【0014】測定解析作業の流れを図2に示す。各電極
を設置することで測定準備は完了する。実際には、シン
グルシートの場合には遮水シートの上面に、ダブルシー
トの場合には下側遮水シートの上面に電極を面的に配置
するのがよい。電極は格子状に配置するのが望ましい
が、比較的等密度になるように配置してあれば格子状で
なくてもよい。処分場の内部に内部電流電極を、外部
(処分場から数十m離れた比較的電気ノイズの小さい箇
所)に外部電流電極を設置し、電気探査装置に接続す
る。内部電流電極と外部電流電極との間で通電し、各電
極で電位を測定して平面電界分布を求める。他方、多数
の電極を用いて四極法配置により比抵抗分布を測定す
る。両方のデータによって電流漏洩位置と漏洩量の解析
を行う。この解析結果から、漏水の有無及び漏水点の位
置を検出でき、また漏水の相対規模の評価を行うことが
できる。
【0015】次に本発明方法の理論的背景について図1
及び図3により説明する。内部電流電極C1 と外部電流
電極との間で通電したとき、もし処分場内に漏水があれ
ば、発生する電位φijは、内部電流電極C1 からの距離
ijの増大に伴い減衰する一次電位と、処分場内の比抵
抗変化や漏水箇所からの漏洩電流に起因する二次電位と
の和であり、A−A′測線沿いでは図3(a) のような分
布となる。これを内部電流電極C1 の影響のみを考慮し
て次式によりポールダイポール配置見掛け比抵抗ρp
変換する。これは実質的には平面電界分布を求めている
ことであり、後でスクエア配置見掛け比抵抗で比抵抗構
造の影響を除去する操作のため、次元を合わせるために
変換している。 ρp =2π〔(1/rij)−(1/rij+1)〕-1(φij−φij+1)/I … 式で求まる見掛け比抵抗は処分場内の比抵抗分布と漏
洩電流の影響を反映して図3(b) のような形となる。一
方、処分場内の比抵抗分布は、面的に配置した電極を用
いて四極法配置により求めることができる。この実施例
では、局所的な比抵抗を精度良く求めることができるス
クエア配置を用いる。それによる見掛け比抵抗ρs は次
式で求まる。 ρs =2π〔(1/r1 )−(1/r2 )〕-1(φ1 −φ2 )/I … ここで、r1 はPijとPij+1間の、r2 はPijとP
i+1j+1間の距離であり、φ1はPijとPij+1の間で通電
した場合のPi+1jの、φ2 はPi+1j+1の電位である。比
抵抗分布は図3(c) のようになる。
【0016】処分場内の比抵抗分布が求まると、これを
用いて図3(b) から処分場内の比抵抗構造の影響を除去
することが可能となる。除去の方法としては、単純に両
者の差や比をとることも考えられるが、ポールダイポー
ル配置の見掛け比抵抗値は全体的に遮水シートや漏洩電
流の影響を受けて、比抵抗値そのものは正しくないの
で、次式で求まる相対残差ρdif を用いる。 ρdif =(ρp −Kρs )/ρs … ここで、Kはρp のρs に対する相対的な大小を補正す
るための常数であり、その都度決定する。こうして得ら
れる相対残差ρdif は、図3(d) に示すように距離減衰
や処分場内の比抵抗構造の影響が補正され、主に漏洩電
流の影響を反映したものになる。これに微分フィルタを
適用すれば、図3(e) に示すようになり、その極小値の
出現位置が漏洩箇所を示すことになる。このようにし
て、極小値の位置から漏水箇所を検出することができ
る。
【0017】他方、処分場内の比抵抗分布がわかれば、
漏水規模と強い相関がある漏洩電流の量を求めることが
できる。水平面内での電流密度の総増量δiは、その平
面内の比抵抗分布及び電位分布を用いて次式のように表
せる。 δi=▽σ▽φ+σ▽2 φ … ここでσは比抵抗の逆数の導電率である。もし水平面内
で計算されるδiが有意な値を示せば、それは、その近
傍における電流源の存在か、鉛直方向の電流密度の増減
を意味する。通常、処分場内には測定用に設置した内部
電流電極C1 以外に電流源は存在せず、遮水シートのた
め鉛直方向の電流の流れは小さい。従ってδiの存在は
とりもなおさず漏洩電流の存在を意味することになる。
式が示すように、比抵抗境界でもδiは発生する。ま
たδiの大きさは周囲の比抵抗に大きく左右される。従
って比抵抗分布の把握は漏洩電流量の評価に不可欠であ
る。図1(a) に示すような処分場に漏水箇所が1箇所あ
る場合の、式の右辺第1項(比抵抗変化に起因する電
流密度の増量)、第2項(電界の発散に起因する電流密
度の増量)、及びその和(電流密度の総増量)の分布
を、それぞれ図4(a) 〜(c) に示す。この場合にも、δ
iのピーク位置から漏水箇所を検出できる。
【0018】ところで漏洩電流量は、電流密度と面積と
の積であり、上記の電流密度の総増量と電極間隔とから
漏洩電流量に換算できる。この電流量は、漏水規模と強
い相関があるので、得られた電流量と漏洩箇所近傍の比
抵抗値から、電気的等価直径を求めることができ、これ
を用いることで、損傷規模を相対的に評価することがで
きる。
【0019】次に数値実験による検討結果について述べ
る。実験データの計算には、2.5次元(構造二次元、
電位三次元)有限要素法を用いた。図5は処分場内の廃
棄物の比抵抗値が一様なモデルである。処分場内の比抵
抗値は50Ωm、周囲の原地盤の比抵抗値は200Ω
m、通電電流は1Aとした。遮水シートの厚さと比抵抗
値及び漏水箇所の遮水シートの厚みに相当する部分の比
抵抗は、実際の処分場を参考に、それぞれ1.5mm、1
10Ωm、50Ωmとした。処分場の大きさは、地表面
での幅52m、底面での幅42m、掘込み深さ5mとし
た。処分場内外の電流電極C1 ,C2 、及び電位電極P
1 ,…,P37の位置を同図中に示す。電位電極は、36
m区間にわたって1m間隔に配置した。電位電極の設置
深度としては、盛土表面の場合(表面配置)と、遮水シ
ートの上面から0.5mの場合(底面配置)の2通りと
した。通常、廃棄物処分場では遮水シートの上面及び下
面に集水施設を設ける。また上面には厚さ0.5m程度
の保護盛土を実施する。従って、これらの設備を利用し
て処分場建設時に電極を埋設しておくことは容易であ
る。
【0020】図6及び図7は遮水シートの中央(電極番
号19の位置)に直径1mの損傷がある場合の計算結果
である。ここで図6は表面配置の場合、図7は底面配置
の場合である。いずれも上段から、測定される電位、ポ
ールダイポール配置見掛け比抵抗、微分フィルタ処理後
の相対残差、及び鉛直方向の電流の増量である。
【0021】表面配置の場合(図6)には、電位を見る
と、電流電極に近い1番から10番付近では一次電位の
影響で電位降下が大きく、19番付近では漏水の影響を
受けてやや電位が下がるが、それ以降は緩やかに回復し
ていくことが分かる。ポールダイポール見掛け比抵抗で
は、一次電位の影響は見られず、漏水箇所の手前で極大
値をとり、その後に極小値をとる。また微分フィルタ処
理後の相対残差は、漏水箇所直上で明瞭な極小値を示
し、電位分布から直接漏水を検出するよりは高精度な検
出が期待できる。電流の増量は観測電極が漏水地点の5
m上方にあることと、計算に用いる電界が1m区間と盛
土層厚に比較して小さいために小さな値となっている
が、その極大値出現位置は漏水箇所と良い一致を示して
いる。
【0022】底面配置の場合(図7)には、最近点で漏
水位置まで0.5mしか離れていないため、微分フィル
タ処理後の相対残差も漏洩電流値も極めて鋭いピークを
示している。また電流増量から、破損箇所の直径が1m
の場合には、通電電流のかなり多くの部分がこの漏水箇
所から漏れ出すことが分かる。
【0023】図6に示す表面配置の結果と、図7に示す
底面配置の結果とを比較すると、底面配置の方が検出精
度は良好となり、好ましいことが分かる。従って、処分
場を新設する場合には多数の電極を底面配置するのが好
ましい。しかし既設の処分場についてはそれが困難なた
め表面配置とならざるを得ないが、図6の結果から、表
面配置であっても、ある程度大きな損傷の場合(設置条
件等によっても異なるが、例えば直径1m程度)は、十
分検出することが可能である。図示するを省略するが、
検出感度について同様に実験した結果によれば、底面配
置の場合は、直径0.01mの損傷でも十分検知可能で
あった。
【0024】図8は、11番地点に直径0.2m、19
番地に0.3m、27番地に0.1mの大きさの異なる
3箇所の損傷を想定した場合である。もし、損傷箇所の
遮水シート厚に相当する厚みの部分の比抵抗値が同じで
あれば、漏洩電流は直径の2乗に比例する。試験結果で
は42mA、89mA、9mAと11番側が僅かに予想より大
きくなっているが、これは11番側が電流電極に近いた
めであり、複数の電流電極の結果を平均化することによ
り改善可能である。
【0025】次に、より実際的な条件設定として、処分
場内が複雑な比抵抗構造をもつ場合について検討した。
その条件を図9に示す。処分場内の比抵抗は、左側から
順に50Ωm、100Ωm、200Ωmと変化してお
り、100Ωm区間のほぼ中央部には更に20Ωmの低
比抵抗体を想定した。また実際の処分場の条件に近づけ
るため、遮水シートの上面0.5m区間には保護盛土層
に対応する250Ωm層を設けた。結果の一例を図10
及び図11に示す。図10は表面配置の場合、図11は
底面配置の場合である。いずれの図においても、(a) は
左側内部電流電極C1 から通電した場合、(b) は右側内
部電流電極C1 ′から通電した場合、(c)はそれらを平
均化した結果である。表面配置の場合には中央部に直径
1mの損傷を想定し、また底面配置の場合には漏洩電流
量の評価精度を検討するため、観測点11、19、27
番にそれぞれ直径0.2、0.3、0.1mの損傷を想
定している。
【0026】両図において、各グラフは上段からスクエ
ア配置見掛け比抵抗、微分フィルタ処理後の相対残差、
比抵抗変化に起因する電流増量、電界の発散に起因する
電流増量、及び電流増量の総和を示す。スクエア配置見
掛け比抵抗は三つの大きな比抵抗ブロックの比抵抗値及
びその境界を明瞭に捉えている。表面配置の場合(図1
0)は、盛土内部にある20Ωm体の影響も若干反映し
ており、微分フィルタ処理後の相対残差は漏水箇所で極
小値をとるものの、その他の比抵抗変化の影響も現れて
いる。
【0027】底面配置の場合(図11)は、微分フィル
タ処理後の相対残差は漏水箇所で鋭い極小値を示し、内
部電流電極の位置によらず、漏水位置を正確に検出可能
なことが分かる。この微分フィルタ処理後の相対残差
は、内部電流電極から遠くなるほど実際の損傷規模に比
較して相対残差異常は大きくなるが、これは両者の平均
をとることにより、(c) に示すように、ほぼ正しい相対
値となる。そして電流増量は、比抵抗分布が正しく求ま
ったことから、損傷規模に応じた変化を示している。
【0028】上記の説明においては、簡略化のため、あ
る測線に沿った1次元的なグラフとして示しているが、
実際には電界分布も比抵抗分布も面的な2次元データと
して得られる。従って、漏洩電流量の分布を平面的にプ
ロットすることで、容易に漏水位置や漏水箇所の形状
(例えば円形状の損傷か、あるいは切り裂かれたような
損傷かなど)も検出可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明は上記のように、測定した電位分
布をポールダイポール配置見掛け比抵抗に変換し、別に
求めた比抵抗分布を用いて比抵抗構造の影響を補正し、
微分処理する方法であるから、漏水に対して敏感であ
り、遮水構造物内に設置した電流源が形成する電位(一
次電位)の影響を受けず、また遮水構造物内の比抵抗構
造に影響されずに漏水箇所の検出を行うことができ、検
出精度並びに信頼性が向上する。
【0030】また本発明は電位分布と比抵抗分布を測定
し、式δi=▽σ▽φ+σ▽2 φにより電流密度の総増
量δiを求める方法であるから、上記と同様の高い検出
精度と信頼性が得られる他、電流密度の総増量δiの大
きさと漏水発生箇所近傍の比抵抗値から漏水規模を評価
することが可能となる。
【0031】これらによって、漏水の有無の把握による
遮水構造物の保守・管理が容易となり、漏水箇所の検出
・規模の評価が行えることによって迅速に且つ低コスト
で修理を行うことができ、周囲環境への影響を最少限度
に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処分場の内部構造と電極配置の説明図。
【図2】測定解析の手順を示す流れ図。
【図3】ポールダイポール配置見掛け比抵抗とスクエア
配置比抵抗を用いる漏水検出の説明図。
【図4】電界分布と比抵抗の測定による漏水検出の説明
図。
【図5】一様な比抵抗構造をもつ処分場モデルの説明
図。
【図6】その表面配置による検出結果を示す説明図。
【図7】その裏面配置による検出結果を示す説明図。
【図8】電極底面配置による損傷評価の説明図。
【図9】不均一な比抵抗構造をもつ処分場モデルの説明
図。
【図10】その表面配置による検出結果を示す説明図。
【図11】その裏面配置による検出結果を示す説明図。
【符号の説明】
10 地面 12 遮水シート 14 廃棄物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 3/40 JICSTファイル(JOIS)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気絶縁性の遮水シートを地面に布設し
    て造成した遮水構造物からの漏水を検出する方法であっ
    て、該遮水構造物内外にそれぞれ電流電極を設けると共
    に、遮水構造物内に多数の電極を面的に分散配置し、前
    記電流電極間に通電して各電極で電位を測定し、それを
    ポールダイポール配置見掛け比抵抗に変換し、他方、前
    記の多数の電極を用いて四極法配置により比抵抗分布
    測定し、該比抵抗分布を用いてポールダイポール配置見
    掛け比抵抗における比抵抗構造の影響を補正し、微分処
    理を施して求めた極値をもって漏水箇所とする電気的漏
    水検出方法。
  2. 【請求項2】 四極法配置による比抵抗分布の測定にス
    クエア配置を採用し、ポールダイポール配置見掛け比抵
    抗とスクエア配置比抵抗との相対残差によってポールダ
    イポール配置見掛け比抵抗における比抵抗構造の影響を
    補正する請求項1記載の電気的漏水検出方法。
  3. 【請求項3】 電気絶縁性の遮水シートを地面に布設し
    て造成した遮水構造物からの漏水を検出する方法であっ
    て、該遮水構造物内外にそれぞれ電流電極を設けると共
    に、遮水構造物内に多数の電極を面的に分散配置し、前
    記電流電極間に通電して各電極で電位を測定し、他方、
    多数の電極を用いて四極法配置により比抵抗分布を測定
    し、式δi=▽σ▽φ+σ▽2 φにより電流密度の総増
    量δiを求め(但し、σは比抵抗の逆数の導電率)、電
    流密度の総増量δiが有意な値を示したとき、その位置
    をもって漏水箇所とする電気的漏水検出方法。
  4. 【請求項4】 電流密度の総増量δiの大きさと漏水発
    生箇所近傍の比抵抗値とから漏水規模を評価する請求項
    3記載の電気的漏水検出方法。
  5. 【請求項5】 遮水構造物内の異なる位置に複数の電流
    電極を設置し、それらの電流電極を用いて通電し電位測
    定を行い、電流密度の総増量δiの大きさを平均化し、
    その平均化した電流密度の総増量δiの大きさと漏水発
    生箇所近傍の比抵抗値とから漏水規模を評価する請求項
    4記載の電気的漏水検出方法。
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