JP3211816B2 - 複合部品 - Google Patents

複合部品

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JP3211816B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合部品、特に、
バリスタ素子を有した複合部品に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、IC、LSI等の半導体デバイス
は、高集積化のため、静電気に対して更に弱くなってい
る。この静電気対策として、バリスタ等の電子部品が使
用されている。また、これとは別に、図6に示す回路構
成を有する複合部品60も提案されている。該複合部品
60は、一つのインダクタ53と二つのバリスタからな
るπ型回路を有している。図6において、50は入力電
極、51は出力電極、52はグランド電極である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ハードディ
スク等の装置における高周波でかつ高品位(波形歪みが
ない)の信号を使用する高速信号ラインにおいて、静電
気対策が必要な用途が増えてきている。このような用途
では、静電気が加わっていない通常作動状態では信号周
波数領域で高インピーダンスであり、かつ静電気に対し
ては、装置に対し十分な保護効果を有する部品が必要と
される。しかしながら、バリスタは容量成分をもつた
め、静電気が加わっていない通常作動状態では、高周波
領域でインピーダンスが小さくなり、信号波形を歪ませ
る問題があった。また、容量値を小さくすることで高周
波でのインピーダンスを小さくすることは、バリスタの
サージ耐量を小さくしてしまうという問題があった。ま
た、図6に示した従来の複合部品60は、静電気が加わ
っていない通常作動状態では、高周波でのインピーダン
スが小さくなり、これも信号波形を歪ませる問題があっ
た。
【0004】そこで、本発明の目的は、十分な静電気抑
制効果を有し、かつ、高周波信号の波形の歪みの小さい
小型の複合部品を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
め、本発明に係る複合部品は、(a)第1のバリスタと
インダクタからなる並列回路と、(b)前記並列回路に
電気的に直列に接続された第2のバリスタと、(c)前
記第2のバリスタと前記並列回路との直列回路の両端に
接続された入出力電極及びグランド電極と、を備えたこ
とを特徴とする。
【0006】また、本発明に係る複合部品は、(d)複
数の絶縁層と複数のインダクタパターンと複数のバリス
タパターンとを積み重ねて構成した積層体と、(e)前
記積層体に内蔵された、前記インダクタパターンにより
形成されるインダクタと、(f)前記積層体に内蔵され
た、前記バリスタパターンにより形成される第1のバリ
スタ及び第2のバリスタと、(g)前記積層体の表面に
設けられた入出力電極及びグランド電極とを備え、
(h)前記第1のバリスタと前記インダクタからなる並
列回路に、前記第2のバリスタが電気的に直列に接続さ
れていること、を特徴とする。
【0007】
【作用】以上の構成により、入出力電極とグランド電極
の間に、第1のバリスタと第2のバリスタが直列接続さ
れているため、静電気はこれらバリスタによって吸収、
除去される。インダクタに並列に接続されている第1の
バリスタ及び第2のバリスタは、静電気印加時に低イン
ピーダンスとなり、静電気を吸収する。しかも、一般
に、バリスタはコンデンサ機能も有しているため、第1
のバリスタとインダクタとでLC並列共振回路を形成
し、バンドパスフィルタを構成する。バンドパスフィル
タは高周波領域でのインピーダンスを高くすることが可
能であり、高周波信号の波形の歪みを抑えることができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る複合部品の一
実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0009】図1に示すように、複合部品1は、バリス
タ3とインダクタ4からなる並列回路5に、さらに、バ
リスタ2を電気的に直列に接続した回路構成を有してい
る。バリスタ2と並列回路5との直列回路の両端に、そ
れぞれ入出力電極10とグランド電極11が電気的に接
続されている。
【0010】前記のような回路構成を有する複合部品1
としては、例えば図2〜図4に示すような構成を有する
ものがある。図2に示すように、複合部品1は、インダ
クタパターン31,32,33,34をそれぞれ表面に
設けた絶縁性シート22,23,24,25と、バリス
タパターン35,36をそれぞれ表面に設けた絶縁性シ
ート27,29と、バリスタパターン37を表面に設け
た絶縁性シート26,28等にて構成されている。
【0011】インダクタパターン31〜34は、シート
22〜24にそれぞれ設けたビアホール40a,40
b,40cを介して電気的に直列に接続され、螺旋状イ
ンダクタ4を構成している。インダクタパターン31の
引出し部31aはシート22の右辺に露出している。
【0012】バリスタパターン35は、シート27,2
9の左寄りの位置にそれぞれ形成され、その一端はシー
ト27,29の左辺に露出している。同様に、バリスタ
パターン36は、シート27,29の右寄りの位置にそ
れぞれ形成され、その一端はシート27,29の右辺に
露出している。バリスタパターン35,36は、絶縁性
シート26〜28を挟んで広面積のバリスタパターン3
7に対向し、それぞれバリスタ2,3を形成する。バリ
スタパターン37は、シート25〜27にそれぞれ設け
たビアホール40d,40e,40fを介してインダク
タ4の一端(具体的には、インダクタパターン34)に
電気的に接続されている。そして、バリスタ3とインダ
クタ4にて並列回路5を構成する。
【0013】絶縁性シート21〜29は、バリスタ特性
を有する半導体セラミック材料(例えば、ZnOセラミ
ックを主成分とした材料)からなる四角形状のシートで
ある。パターン31〜37は、Pt,Ag,Pd,C
u,Au,Ag−Pd等からなり、印刷等の方法により
形成される。
【0014】以上の各シート21〜29を、図2に示す
ように、順に積み重ねて圧着した後、一体的に焼成する
ことにより、図3に示す積層体41を形成する。この積
層体41は、インダクタ4を内蔵したインダクタ部42
を上部に配置し、バリスタ2,3を内蔵したバリスタ部
43を下部に配置している。積層体41の左右の端面に
は、それぞれAg等からなる入出力電極10及びグラン
ド電極11が形成されている。入出力電極10にはバリ
スタパターン35が電気的に接続され、グランド電極1
1にはインダクタパターン31の引出し部31a及びバ
リスタパターン36が電気的に接続されている。
【0015】以上の構成からなる複合部品1は、入出力
電極10とグランド電極11の間にバリスタ2,3が直
列接続されているので、静電気印加時はこれらバリスタ
2,3によって静電気を吸収、除去することができる。
通常、信号ラインとGNDの間にインダクタを有する
と、静電気の抑制効果が不十分となる。しかし、本発明
の場合は、インダクタ4に並列にバリスタ3が接続され
ているので、バリスタ3は静電気印加時に低インピーダ
ンスとなり、静電気による電流はバリスタ3に流れる。
従って、静電気が十分に抑制される。
【0016】しかも、静電気が加わらない通常作動時は
一般に、バリスタはコンデンサ機能も有しているので、
バリスタ3とインダクタ4はLC並列共振回路を形成
し、バンドパスフィルタを構成する。バンドパスフィル
タは高周波領域でのインピーダンスを高くすることが可
能であり、複合部品1は高周波信号の波形の歪みを抑え
ることができる。具体的には、バリスタパターン35〜
37の対向面積や間隔を変えてバリスタ3が有するキャ
パシタンスを変更したり、インダクタパターン31〜3
4の巻回数や形状を変えてインダクタ4が有するインダ
クタンスを変更したりして、信号周波数帯域にLC並列
共振回路の共振周波数を合わせる。因みに、複合部品1
のインピーダンス特性を図5に示す(実線47参照)。
比較のため、バリスタのインピーダンス特性も併せて記
載している(点線48参照)。図5から分かるように、
複合部品1のインピーダンスは高周波領域でアップして
いる。
【0017】さらに、複合部品1は、二つのバリスタ
2,3と一つのインダクタ4を一つの積層体41に内蔵
しているので、実装スペースを小さく、かつ、部品点数
を少なくすることができる。
【0018】なお、本発明に係る複合部品は前記実施形
態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に
変更することができる。
【0019】前記実施形態のインダクタ部42の絶縁性
シート21〜25の材料として、フェライト等の磁性体
材料を使用し、バリスタ部43の絶縁性シート26〜2
9の材料であるバリスタ特性を有する半導体セラミック
材料と共焼成するようにしてもよい。
【0020】また、積層体に内蔵されているインダクタ
とバリスタの電気的接続手段としては、ビアホールの他
に、積層体の表面に中継電極を形成し、この中継電極に
インダクタとバリスタの端部をそれぞれ引き出して電気
的に接続する構造であってもよい。
【0021】さらに、前記実施形態は、それぞれインダ
クタパターンやバリスタパターンが形成された絶縁性シ
ートを積み重ねた後、一体的に焼成するものであるが、
必ずしもこれに限定されない。絶縁性シートは予め焼成
されたものを用いてもよい。また、以下に説明する製法
によって複合部品を作成してもよい。印刷等の方法によ
りペースト状の絶縁材料にて絶縁層を形成した後、その
絶縁層の表面にペースト状の導電性材料を塗布して任意
のパターンを形成する。次に、ペースト状の絶縁材料を
前記パターンの上から塗布してパターンが内蔵された絶
縁層とする。同様にして、順に重ね塗りすることにより
積層構造を有する複合部品が得られる。
【0022】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
よれば、入出力電極とグランド電極の間に、第1のバリ
スタと第2のバリスタを直列接続しているため、静電気
はこれらバリスタによって吸収、除去される。インダク
タに並列に接続されている第1のバリスタは、静電気印
加時に低インピーダンスとなり、静電気による電流は第
1のバリスタに流れ、インダクタには殆ど流れない。従
って、静電気が十分に抑制される。しかも、一般に、バ
リスタはコンデンサ機能も有しているため、第1のバリ
スタとインダクタとでLC並列共振回路を形成し、バン
ドパスフィルタを構成する。バンドパスフィルタは高周
波領域でのインピーダンスを高くすることが可能であ
り、高周波信号の波形の歪みを抑えることができる。さ
らに、二つのバリスタと一つのインダクタを一つの積層
体に内蔵することにより、実装スペースが小さく、か
つ、部品点数が少ない複合部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複合部品の一実施形態を示す電気
回路図。
【図2】本発明に係る複合部品の一実施形態の構成を示
す分解斜視図。
【図3】図2に示した複合部品の外観斜視図。
【図4】図2に示した複合部品の模式断面図。
【図5】図2に示した複合部品のインピーダンス特性を
示すグラフ。
【図6】従来の複合部品の電気回路図。
【符号の説明】
1…複合部品 2,3…バリスタ 4…インダクタ 5…並列回路 10…入出力電極 11…グランド電極 21〜29…絶縁性シート 31〜34…インダクタパターン 35〜37…バリスタパターン 41…積層体
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−125479(JP,A) 特開 平8−250309(JP,A) 特開 平8−8672(JP,A) 特開 平10−177882(JP,A) 実開 平6−19314(JP,U) 伝送回路網およびフィルタ,矢崎銀 作,武部幹著,社団法人電子通信学会, p27,p61,昭和52年1月20日第3版発 行 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03H 5/00 - 7/12 H01F 15/00 H03G 4/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1のバリスタとインダクタからなる並
    列回路と、 前記並列回路に電気的に直列に接続された第2のバリス
    タと、 前記第2のバリスタと前記並列回路との直列回路の両端
    に接続された入出力電極及びグランド電極とを備え、 前記第1および第2のバリスタと前記インダクタとが一
    つの部品に内蔵され、電気的に直列に接続された前記第
    1のバリスタと前記第2のバリスタにより、静電気を吸
    収、除去するとともに、前記第1のバリスタと前記イン
    ダクタとでLC並列共振回路を形成してバンドパスフィ
    ルタを構成し、高周波領域でのインピーダンスを高くし
    たこと、 を特徴とする複合部品。
  2. 【請求項2】 複数の絶縁層と複数のインダクタパター
    ンと複数のバリスタパターンとを積み重ねて構成した積
    層体と、 前記積層体に内蔵された、前記インダクタパターンによ
    り形成されるインダクタと、 前記積層体に内蔵された、前記バリスタパターンにより
    形成される第1のバリスタ及び第2のバリスタと、 前記積層体の表面に設けられた入出力電極及びグランド
    電極とを備え、 前記第1のバリスタと前記インダクタからなる並列回路
    に、前記第2のバリスタが電気的に直列に接続され、電
    気的に直列に接続された前記第1のバリスタと前記第2
    のバリスタにより、静電気を吸収、除去するとともに、
    前記第1のバリスタと前記インダクタとでLC並列共振
    回路を形成してバンドパスフィルタを構成し、高周波領
    域でのインピーダンスを高くしたこと、 を特徴とする複合部品。
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