JP3211698B2 - 圧電磁器の製造方法 - Google Patents
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Description
方法に関するもので、特に、Pb、Zr、TiおよびO
を含む圧電磁器の製造方法に関するものである。
器材料としては、たとえば、PbZrO3 −PbTiO
3 系材料などの2成分系材料や、Pb(Sb0.5 Sn
0.5 )O3 −PbZrO3 −PbTiO3 系材料などの
3成分系材料、あるいはこのような材料系に種々の微量
添加物を添加した材料などが知られている。
加工性や量産性に優れていることから、フィルタ、アク
チュエータ、圧電トランス、圧電センサなど、その応用
範囲が多岐にわたっている。
積層体を用いるものが数多く開発されている。圧電積層
体は、複数の圧電磁器層とこれら圧電磁器層間に形成さ
れる電極とを備える積層構造を有しているため、このよ
うな圧電積層体を得るためには、圧電磁器材料と電極材
料とを共焼成する必要がある。
通常、その焼結温度が1200℃前後と高温のため、圧
電積層体に用いる電極材料としては、たとえばPtなど
の高価な材料を用いなければならず、あるいは、たとえ
ばAgPd電極などの安価な電極材料を用いようとする
場合には、PbOやSiO2 などの焼結助剤を添加する
ことにより、焼結温度を低下させなければならない。
電極材料を用いることは、圧電応用装置の材料費が高く
なり、好ましくない。
用いた場合、圧電特性が低下するため、好ましくない。
また、このような圧電特性の低下を抑制するために、た
とえば、その圧電磁器組成を最適化したり、圧電特性を
向上させるための添加物の添加量を最適化したりしよう
とする場合には、圧電積層体専用の圧電磁器材料を改め
て開発しなければならないことになり、この開発のた
め、さらには量産化のための期間やコストなどの点で不
利である、という問題がある。
器材料、たとえば量産中の材料などを用いながらも、そ
の特性をほとんど変化させることなく、その焼結温度の
みを低下させ得る、圧電磁器の製造方法を提供しようと
することである。
の製造方法は、次のようにして、実施されることを特徴
としている。
む主成分を仮焼することにより、まず主成分のみの磁器
粉末を合成する。次いで、Moを含む副成分が、この主
成分に対して、MoをMoO3 に換算して0.06重量
%以上5.0重量%以下含有するように、上述の主成分
のみの磁器粉末に副成分を添加する。この得られた混合
物を粉砕して微粉末とする。そして、この微粉末を焼成
する。
主成分に対する副成分の添加量は、MoO 3 に換算して
0.1重量%以上2.0重量%以下に選ばれることがよ
り好ましい。
b3 O4 、ZrO2 、TiO2 、Sb2 O3 、Sn
O2 、およびCrO3 を用意した。
式で表される圧電磁器組成物Aおよび圧電磁器組成物B
がそれぞれ得られるように、上記原料を秤量し、各混合
物をそれぞれ4〜32時間湿式混合した。 圧電磁器組成物A:Pb1.0 (Zr0.52Ti0.48)
O3 ; 圧電磁器組成物B:Pb1.0 {(Sn0.5 Sb0.5 )
0.05Zr0.45Ti0.50}O3 +0.2重量%Cr2 O3 次いで、上述の各混合物を、それぞれ、脱水、乾燥し
て、800〜900℃の温度で2時間、仮焼することに
より、上述の圧電磁器組成物AおよびBとなる、主成分
のみの磁器粉末をそれぞれ合成した。
の圧電磁器組成物Aとなる磁器粉末に対しては、以下の
表1に示すように、また、圧電磁器組成物Bとなる磁器
粉末に対しては、以下の表2に示すように、それぞれ、
0.0〜8.0重量%の範囲で添加した。
る表3、表4、図1ないし図3において、*印を付した
試料は、この発明の範囲外の比較例である。
に副成分としてのMoO3 を添加した後、ポリビニルア
ルコール系バインダを2〜5重量%加えて、8〜32時
間、湿式混合および湿式粉砕を行ない、平均粒径0.6
〜0.8μmの微粉末を得た。
m3 の圧力でプレス成形して、直径12mm、厚み1.
2mmの円板成形体を得た。この成形体を、900〜1
300℃の温度で焼成した。
体のかさ密度を、その体積と重量とから求めた。このか
さ密度と焼成温度との関係が、図1および図2に示され
ている。より詳細には、図1は、表1に示したような圧
電磁器組成物Aに対してMoO3 の添加量を変えて得ら
れた種々の微粉末をもってそれぞれ成形された成形体を
焼成した際の焼成温度とかさ密度との関係を示し、ま
た、図2は、表2に示したような圧電磁器組成物Bに対
してMoO3 の添加量を変えて得られた種々の微粉末を
もってそれぞれ成形された成形体を焼成した際の焼成温
度とかさ密度との関係を示している。
度は、焼成温度の上昇に伴って、飽和することが認めら
れる。
O3 添加量が0.06重量%以上5.0重量%以下の試
料A−3ないしA−8、ならびにB−3ないしB−8に
よれば、MoO3 が無添加(添加量0.0重量%)の試
料A−1およびB−1と比較して、かさ密度が飽和値に
達する焼成温度、すなわち焼結温度が100℃〜200
℃程度低下していることがわかる。これは、MoO3 の
融点が約800℃であり、この温度前後でMoO3 が液
相を形成するため、粒界拡散を促進することによる効果
であると考えられる。
量が0.06重量%未満の場合、試料A−2およびB−
2からわかるように、低温焼結化の効果が非常に小さ
い。他方、MoO3 添加量が5.0重量%を超えると、
試料A−9およびB−9からわかるように、かさ密度が
飽和値に達する焼成温度は、100℃程度低下するが、
焼結性が著しく悪化するため好ましくない。
で焼成した円板成形体のうち、かさ密度がほぼ飽和値に
達した焼成温度で焼成した各試料について、その両主面
上に、厚膜Ag電極を形成した後、80〜120℃の絶
縁オイル中で、2.0〜4.0kV/mmの直流電界を
15〜60分間印加して、分極処理を施した。その後、
120〜200℃の空気中で、30〜60分間、エージ
ングして、目的とする圧電素子の試料を得た。
がり振動の電気機械結合係数kp 、および同振動の機械
的品質係数Qmpを、インピーダンスアナライザーでそれ
ぞれ測定した。その測定結果が以下の表3および表4に
示されている。ここで、表3は、表1に示した微粉末を
もって得た圧電素子についての特性を示し、表4は、表
2に示した微粉末をもって得た圧電素子についての特性
を示している。また、表3および表4には、各試料につ
いて実施した焼成温度、すなわち前述したようなかさ密
度がほぼ飽和値に達したときの焼成温度も示されてい
る。
料A−1およびB−1と比較して、MoO3 添加量が
0.06重量%以上5.0重量%以下である試料A−3
ないしA−8、ならびにB−3ないしB−8によれば、
焼成温度が100〜200℃低下しているにも関わら
ず、圧電特性にそれほど大きな変化が見られないことが
わかる。
2.0重量%以下である試料A−4ないしA−7、なら
びにB−4ないしB−7によれば、焼成温度が150〜
200℃も低下しているにも関わらず、圧電特性の変化
は非常に小さい。これに対して、MoO3 添加量が0.
06重量%以上0.1重量%未満である試料A−3およ
びB−3では、MoO3 無添加の試料A−1およびB−
1とほぼ同等の特性が得られるが、焼成温度の低下は1
00℃程度と比較的小さくなる傾向がある。他方、Mo
O3 添加量が2.0重量%を超え5.0重量%以下であ
る試料A−8およびB−8でも、100℃程度焼成温度
を低下させているが、特性変化については、MoO3 添
加量が0.1重量%以上2.0重量%以下である試料A
−4ないしA−7、ならびにB−4ないしB−7と比較
すると、やや大きくなる傾向がある。
量が0.06重量%未満の試料A−2およびB−2の場
合、前述のように、低温焼結化の効果が非常に小さい。
他方、MoO3 添加量が5.0重量%を超える試料A−
9およびB−9の場合、前述のように、かさ密度が飽和
値に達する焼成温度は、100℃程度低下するものの、
焼結性が著しく悪化するため好ましくないばかりでな
く、表3および表4からわかるように、特性の変化も比
較的大きくなり好ましくない。
06重量%以上5.0重量%以下が効果的であり、特に
0.1重量%以上2.0重量%以下がより好ましい。
あるPb、Zr、TiおよびOを含む圧電体粉末の合成
後に添加する場合(仮焼後添加)と、合成前に添加する
場合(仮焼前添加)とで、低温焼結化の効果および圧電
特性に関して、どのような差異があるのかの比較を行な
った。
施例1の表1の試料No.A−4に従った。
め、Pb3 O4 、ZrO2 、TiO2、およびMoO3
を、表1の試料No.A−4の組成と同様の組成の圧電
磁器組成物となるように秤量し、その混合物を16時間
湿式混合し、次いで、脱水、乾燥した後、900℃の温
度で2時間仮焼し、さらに、ポリビニルアルコール系バ
インダを5重量%加えて、16時間湿式混合および湿式
粉砕を行ない、それによって、平均粒径約0.7μmの
微粉末を得た。
末と仮焼前添加の微粉末とを用いて、実施例1と同様の
方法にて、成形、焼成、圧電素子作製、および圧電特性
評価の各工程を実施した。
いての焼成温度とかさ密度との関係を、図3に示してい
る。なお、図3には、比較のため、実施例1の試料A−
1についての焼成温度とかさ密度との関係も併せて示さ
れている。
前添加の場合に比べて、低温焼結化の効果が大きいこと
がわかる。なお、仮焼前添加の場合であっても、MoO
3 無添加の実施例1の試料A−1に比べれば、低温焼結
化の効果が十分に得られている。
って、かさ密度が飽和することがわかるが、このよう
に、かさ密度がほぼ飽和値に達した焼成温度で焼成した
焼結体を用いて作製した圧電素子の圧電特性を、その焼
成温度とともに、以下の表5に示している。
の場合とを比較したとき、焼成温度が若干異なるもの
の、圧電特性については、両者間で大きな差がなく、両
者とも満足できる値を示していることがわかる。
からわかるように、仮焼後添加および仮焼前添加のいず
れの場合でも、程度の差こそあれ、低温焼結化の効果が
得られ、また、圧電特性も良好である。しかしながら、
仮焼後添加の場合の方が、仮焼前添加の場合に比べて、
低温焼結化の効果が大きく、しかも、既存の圧電磁器材
料、たとえば量産中の圧電磁器材料を用いながら、その
圧電特性をほとんど変化させることなく、焼結温度のみ
を低下させ得ることがより容易であるため、特に好まし
いと言える。
bZrO3 −PbTiO3 系の2成分材料、あるいは、
Pb(Sb0.5 Sn0.5 )O3 −PbZrO3 −PbT
iO3系の3成分系材料にCr2 O3 を微量添加した材
料を用いたが、この発明において主成分として用いられ
得る圧電磁器材料は、これらの組成系に限定されるもの
ではなく、Pb、Zr、TiおよびOを含むものであれ
ば、他の多成分系材料や、その材料に含まれる元素の一
部を、他の元素、たとえばSr、Mn、Nbなどで置換
したものや、あるいは、たとえばこれらの元素の酸化物
のような他の微量添加物を添加したものなどであっても
よい。
の製造方法によれば、上述した実施例1および2からわ
かるように、副成分としてMoを特定量含有させること
により、既存の圧電磁器材料を用いながら、その特性を
ほとんど変化させることなく、その焼成温度のみを低下
させることができる。
電磁器は、特に、電極材料と共焼成する必要のある圧電
積層体における圧電磁器層を構成する材料として有利に
用いることができ、このように、この発明によって得ら
れた圧電磁器を用いることにより、電極材料として高価
なたとえばPtなどの材料を用いる必要がなくなり、た
とえばAgPdなどの安価な材料を用いることができる
ようになる。
によれば、上述した実施例2からわかるように、Moを
含む副成分の添加を主成分の仮焼後に行なうので、仮焼
前添加の場合に比べて、低温焼結化の効果をより大きく
することができる。
いしA−9を用いて得られた焼結体の焼成温度とかさ密
度との関係を示す図である。
いしB−9を用いて得られた焼結体の焼成温度とかさ密
度との関係を示す図である。
組成に関して、MoO3 を主成分の仮焼後に添加した場
合と仮焼前に添加した場合との各々において得られた焼
結体の焼成温度とかさ密度との関係を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 Pb、Zr、TiおよびOを含む主成分
を仮焼することにより、まず主成分のみの磁器粉末を合
成し、 次いで、Moを含む副成分が、前記主成分に対して、M
oをMoO3 に換算して0.06重量%以上5.0重量
%以下含有するように、前記主成分のみの磁器粉末に副
成分を添加し、 得られた混合物を粉砕して微粉末とし、 前記微粉末を焼成する、 各工程を備えることを特徴とする、圧電磁器の製造方
法。 - 【請求項2】 前記副成分を添加する工程において、前
記主成分に対する前記副成分の添加量は、MoO 3 に換
算して0.1重量%以上2.0重量%以下に選ばれるこ
とを特徴とする、請求項1に記載の圧電磁器の製造方
法。
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