JP3211203B2 - 高強度繊維強化複合材料及びその製造方法 - Google Patents

高強度繊維強化複合材料及びその製造方法

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JP3211203B2 JP08544399A JP8544399A JP3211203B2 JP 3211203 B2 JP3211203 B2 JP 3211203B2 JP 08544399 A JP08544399 A JP 08544399A JP 8544399 A JP8544399 A JP 8544399A JP 3211203 B2 JP3211203 B2 JP 3211203B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック繊維、
炭素繊維、ガラス繊維等を用いた繊維強化複合材料(繊
維強化セラミック複合材料、繊維強化プラスティック複
合材料、繊維強化金属基複合材料、繊維強化ガラス系複
合材料等)に適用されるものであり、強度特性及び熱的
特性に優れ、かつ、製造コストが安く量産にも適した高
強度繊維強化複合材料及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】繊維強化セラミック複合材料(CMC)
は、高い機械的特性や熱的特性等が要求され、複合材料
の強化材としては、一例として、2次元織物の積層体、
3次元織物等が用いられる。従来から、繊維織物自体又
は繊維織物を強化材とする複合材料の機械的特性や熱的
特性等を向上させることを目的として、3次元織り構造
等の織り構造、織り方及び織機が考案されている。例え
ば、特公平4−53832号公報、特開平8−6756
3号公報などには、3次元織物を強化材として使用した
繊維強化セラミック複合材料が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】繊維強化セラミック複
合材料の強化材として、2次元織物の積層体を使用する
場合、製造コスト的には有利であるが、層間強度が著し
く低いため実部品のような複雑形状品に適用した際には
層間剪断破壊により非常に低い負荷で破壊することが多
い。また、2次元織物積層体の場合は、板厚方向の熱伝
導率が低いという問題がある。一方、3次元織物を強化
材として使用したCMCは、機械的特性、熱的特性には
優れるが、3次元織物製造のコストが非常に高く、現時
点では量産に不向きである。また、繊維織物自体又は繊
維織物を強化材とする複合材料の機械的特性及び熱的特
性を向上させるには、3次元織り構造等より複雑な織り
構造が要求されるが、製織機によるこのような織り構造
の製作には技術的限界があり、かつ、高コストである。
【0004】また、2次元織物積層体を強化材とするC
MCの層間強度を向上させる手法として、板厚方向糸を
縫いつけるステッチング(かがり縫い)が用いられるこ
とがある。この場合、平板のような単純形状品に対して
は、機械によるステッチングが可能であるが、複雑形状
品では現在でも手縫いであり、コスト高の要因となって
いる。また、ステッチされる板厚方向糸の密度及び分布
には制限があり、均一に層間強度を向上させることは困
難である。
【0005】本発明は上記の諸点に鑑みなされたもの
で、本発明の目的は、セラミック前駆体ポリマーのいく
つかは無機化の際に特定の熱処理条件によりウィスカ状
セラミックとなる性質を有しており、このセラミックウ
ィスカを積極的に利用し、繊維強化複合材料の複合化の
プロセス中で繊維織物内部の各繊維表面にセラミックウ
ィスカを生成させることにより、繊維強化複合材料の強
度特性及び熱的特性を向上させることができる高強度繊
維強化複合材料及びその製造方法を提供することにあ
る。また、本発明の目的は、繊維強化複合材料の強化材
として、2次元織物積層体を用い、繊維強化複合材料の
複合化のプロセス中で繊維織物内部の各繊維表面にセラ
ミックウィスカを生成させることにより、積層体の層間
強度及び板厚方向の熱伝導率を向上させることができ、
かつ、製造コストが安く量産にも適した高強度繊維強化
複合材料及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の高強度繊維強化複合材料は、耐熱性の高
い繊維又は繊維束からなる繊維織物の内部及び表面にマ
トリックスを形成させてなる繊維強化複合材料におい
て、繊維束又は繊維織物内部の各繊維表面にセラミック
前駆体ポリマーを熱処理してウィスカ状セラミックを成
長させることでセラミックウィスカをランダムに形成さ
せてなる構成とされている(図5参照)。また、本発明
の高強度繊維強化複合材料は、耐熱性の高い繊維又は繊
維束からなる2次元織物の積層体を強化材として用い、
2次元織物積層体の内部及び表面にマトリックスを形成
させてなる繊維強化複合材料において、繊維束又は繊維
織物内部の各繊維表面にセラミック前駆体ポリマーを熱
処理してウィスカ状セラミックを成長させることでセラ
ミックウィスカをランダムに形成させ、積層体の層間強
度及び板厚方向の熱伝導率を向上させたことを特徴とし
ている(図5参照)。
【0007】上記の本発明の高強度繊維強化複合材料に
おいて、セラミック繊維、炭素繊維及びガラス繊維のい
ずれかの繊維又は繊維束からなる繊維織物を用い、繊維
織物の内部及び表面にマトリックスとしてセラミック材
料、樹脂材料、金属材料及びガラス材料のいずれかを形
成させたものを用いることができる。このように、本発
明の高強度繊維強化複合材料は、繊維強化セラミック複
合材料(CMC)だけでなく、繊維強化プラスティック
複合材料(PMC)、繊維強化金属基複合材料(MM
C)、繊維強化ガラス系複合材料(GMC)等にも適用
可能である。
【0008】本発明の高強度繊維強化複合材料の製造方
法は、耐熱性の高い繊維又は繊維束からなる繊維織物の
各繊維表面にセラミック前駆体ポリマーを付着させ、セ
ラミック前駆体ポリマーが付着した繊維織物を熱処理し
て、繊維束又は繊維織物内部の各繊維表面にセラミック
前駆体ポリマーが無機化して生成されるウィスカ状セラ
ミックをランダムに成長させ、ついで、繊維織物の内部
及び表面にマトリックスを形成させることを特徴として
いる(図1〜図5参照)。また、本発明の高強度繊維強
化複合材料の製造方法は、セラミック繊維、炭素繊維及
びガラス繊維のいずれかの繊維又は繊維束からなるUD
プリフォーム(UD:Uni Directionもし
くはUni Directional(単一方向)、繊
維を1方向に束ねたもの)、2次元織物、2次元織物積
層体及び3次元織物のいずれかの各繊維表面に、セラミ
ック前駆体ポリマーとして有機珪素ポリマーを付着さ
せ、有機珪素ポリマーが付着したプリフォーム又は繊維
織物を熱処理して、繊維束又は繊維織物内部の各繊維表
面に、有機珪素ポリマーが無機化して生成されるウィス
カ状セラミックをランダムに成長させ、ついで、プリフ
ォーム又は繊維織物の内部及び表面に、セラミック材
料、樹脂材料、金属材料及びガラス材料のいずれかから
なるマトリックスを形成させることを特徴としている
(図1〜図5参照)。
【0009】上記の本発明の製造方法において、2次元
織物積層体の各繊維表面にセラミック前駆体ポリマーを
付着させて、セラミック前駆体ポリマーが付着した2次
元織物積層体を熱処理し、2次元織物積層体の内部の各
繊維表面にウィスカ状セラミックをランダムに成長させ
て、積層体の層間強度及び板厚方向の熱伝導率を向上さ
せることが好ましい。また、これらの本発明の製造方法
において、有機溶剤で希釈したセラミック前駆体ポリマ
ーを繊維織物又はプリフォームに含浸させた後、乾燥さ
せて余分な有機溶剤を除去することにより、繊維織物又
はプリフォームの各繊維表面にセラミック前駆体ポリマ
ーを付着させることができる。また、これらの本発明の
製造方法において、密閉容器の中に固体又は液体状のセ
ラミック前駆体ポリマーと繊維織物又はプリフォームを
配置し、セラミック前駆体ポリマーの蒸気が発生する温
度に昇温して、繊維織物又はプリフォームの各繊維表面
にセラミック前駆体ポリマーを蒸着することができる。
【0010】また、これらの本発明の製造方法におい
て、セラミック前駆体ポリマーが付着した繊維織物又は
プリフォームを、不活性ガス雰囲気で加圧下にて昇温速
度300〜500℃/時間で1200〜1300℃に加
熱して、繊維織物又はプリフォーム内部の各繊維表面に
ウィスカ状セラミックをランダムに成長させることがで
きる。また、これらの本発明の製造方法において、繊維
束又は繊維織物内部の各繊維表面へのウィスカ状セラミ
ックの成長が困難な場合、繊維表面でのウィスカ状セラ
ミックの生成を促進させるために、繊維織物又はプリフ
ォームの各繊維表面にセラミック前駆体ポリマーを付着
させる前に、各繊維表面にウィスカ状セラミックの生成
核となるような炭素層、金属粒子及びセラミック粒子の
少なくともいずれかを付着させることが好ましい。この
場合、レジンの含浸・焼成により繊維表面に炭素層を形
成させるか、CVD(化学気相蒸着)法により繊維表面
に炭素層もしくは炭素粒子を付着させるか、メッキ法に
より繊維表面に金属粒子を付着させるか、又は金属及び
セラミックの少なくともいずれかの粉末を懸濁させたス
ラリーを含浸させることにより繊維表面に金属粒子及び
セラミック粒子の少なくともいずれかを付着させること
ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図5を参照しなが
ら、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は
下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜
変更して実施することが可能なものである。セラミック
繊維、炭素繊維、ガラス繊維もしくはこれらの繊維束か
らなる1次元、2次元、2次元積層又は3次元の織物
(繊維プリフォーム)を用意し(図1参照)、ポリカル
ボシラン、ポリシラザン、ポリシラスチレン等の有機珪
素ポリマーをセラミック前駆体ポリマー12として上記
織物の各繊維10の表面に適量付着させる(図2参
照)。セラミック前駆体ポリマーの付着方法としては、
以下の方法が挙げられる。
【0012】(a) 希釈したセラミック前駆体ポリマ
ーの含浸 ポリカルボシラン等の有機珪素ポリマーを、その重量の
5倍から10倍の重量のキシレン等の有機溶剤に溶解
し、有機溶剤で希釈した有機珪素ポリマーを繊維織物に
含浸した後、乾燥させて余分な有機溶剤を揮発除去す
る。例えば、ポリカルボシランをその重量の5倍から1
0倍の重量のキシレンに溶解して、ポリカルボシランの
キシレン溶液を作製し、その溶液中に繊維織物を常温・
常圧で約1日浸漬する。その後、乾燥機を使用し、約2
00℃に加熱してキシレンを揮発除去する。 (b) セラミック前駆体ポリマーの蒸着 密閉容器の中に固体又は液体状のポリカルボシラン等の
有機珪素ポリマーと繊維織物を配置し、有機珪素ポリマ
ーの蒸気が発生する温度に昇温して、繊維織物の各繊維
表面に有機珪素ポリマーを蒸着する。例えば、耐熱容器
の底にポリカルボシラン(常温・常圧では固体)を敷
き、その上部に直接ポリカルボシランと触れないように
繊維織物を配置する。これを窒素等の不活性ガス圧下
(5気圧(ゲージ圧)程度)で加熱し、ポリカルボシラ
ンの融点以上(400〜500℃)で約半日程度保持す
る。
【0013】セラミック前駆体ポリマーの付着した繊維
織物を適当な条件で熱処理し、織物内部の各繊維10表
面にセラミックウィスカ14を成長させる(図3参
照)。例えば、ポリカルボシランの付着した繊維織物
を、窒素等の不活性ガス雰囲気で加圧下(5気圧(ゲー
ジ圧)程度)にて1200〜1300℃に加熱する。こ
のときの昇温速度は300〜500℃/時間が適当であ
る。ポリカルボシラン等をはじめとするセラミック前駆
体ポリマーのいくつかは無機化の際に特定の熱処理条件
によりウィスカ状セラミックとなる性質を有している。
そこで、上記のように、繊維強化複合材料の複合化プロ
セスの条件を制御して、特定の雰囲気熱処理を行うこと
により、ポリカルボシラン等の有機珪素ポリマーが無機
化して炭化珪素や窒化珪素となる(具体的には、ポリカ
ルボシランは無機化によりSiCとなり、ポリシラザン
は無機化によりSi34となる。)際に、各繊維10の
表面にセラミックウィスカ14としてランダムに成長さ
せることができる。繊維プリフォーム内部にセラミック
ウィスカを形成させることにより、プリフォームの層間
剪断強度や板厚方向の熱伝導率の向上が図れる。また、
2次元織物積層体を用いる場合、織物の層間にセラミッ
クウィスカが成長して、層間強度を向上させることがで
き、コスト及び層間強化材分布の均一性の面でステッチ
ングよりも優れている。
【0014】なお、繊維の表面状態等によりウィスカ状
セラミックが成長困難な場合には、繊維10の表面にセ
ラミック前駆体ポリマー12を付着させる前に、予め以
下の方法で、各繊維表面にウィスカ状セラミックの生成
核となるような炭素層、金属粒子、セラミック粒子等を
付着させておく。 (a) 炭素表面にはウィスカ状セラミックが形成され
やすい性質を利用し、炭素を繊維表面に付着させた後、
セラミック前駆体ポリマーの付着、熱処理によるセラミ
ックウィスカの生成の各工程を実施する。具体的には、
繊維織物へのレジン(焼成するとカーボンになる樹脂)
の含浸・焼成による炭素層の形成、CVD(化学気相蒸
着)法による繊維表面への炭素層又は炭素粒子の付着等
が挙げられる。 (b) ガラス繊維や炭素繊維、セラミック繊維の一部
は表面が非常になめらかなため、その表面でウィスカ状
セラミックの成長核生成が困難な場合がある。そこで、
ウィスカ状セラミックの生成核となるような微粒子を繊
維表面に付着させた後、セラミック前駆体ポリマーの付
着、熱処理によるセラミックウィスカの生成の各工程を
実施する。具体的には、電解メッキや無電解メッキ等の
メッキ法による繊維表面へのPt等の金属粒子の付着、
金属やセラミックの粉末を懸濁させたスラリーへの浸漬
による繊維表面への金属粒子やセラミック粒子の付着等
が挙げられる。
【0015】セラミックウィスカ14で強化された繊維
プリフォームにおける繊維10表面及びセラミックウィ
スカ14表面に、各種特性向上を目的とした表面処理を
実施して表面処理層16を形成させる(図4参照)。こ
れは、通常の繊維強化複合材料の複合化プロセスで行わ
れているものである。例えば、繊維強化プラスティック
複合材料では、繊維とマトリックス樹脂との親和性を高
めるための処理を実施する。また、繊維強化セラミック
複合材料では、繊維とマトリックスセラミックとの親和
性、結合力を低下させる処理を実施する。また、繊維強
化金属基複合材料では、金属材料とセラミック繊維とが
反応しないように層を形成させる処理を実施する。
【0016】ウィスカ状セラミックで強化され表面処理
が施された繊維織物の内部及び表面にマトリックス18
を形成させる(図5参照)。具体的には、繊維強化セラ
ミック複合材料(CMC)の場合は、セラミックポリマ
ーの含浸・焼成、CVD法等によりセラミック材料を織
物内部等に形成させる。また、繊維強化プラスティック
複合材料(PMC)の場合は、レジントランスファーモ
ールド等により、例えば、熱硬化性樹脂を流し込んで加
熱し固める。また、繊維強化金属基複合材料(MMC)
の場合は、溶湯鍛造等により、金属材料を加熱して溶か
し、加圧することにより金属材料を織物内部にしみ込ま
せる。また、繊維強化ガラス系複合材料(GMC)の場
合は、ガラス材料を加熱して溶かし、加圧することによ
りガラス材料を織物内部にしみ込ませる。
【0017】
【実施例】本発明の好適な実施例として、2次元織物積
層体を強化材として用いた繊維強化セラミック複合材料
(CMC)を製造する場合について説明する。アモルフ
ァス状炭化ケイ素のセラミック繊維(商品名:チラノ繊
維)からなる2次元織物積層体を用意し、ポリカルボシ
ランを2次元織物積層体の各繊維表面に適量付着させ
た。ポリカルボシランの付着方法は以下の通りである。
ポリカルボシランをその重量の10倍の重量のキシレン
に溶解して、ポリカルボシランのキシレン溶液を作製
し、その溶液中に繊維織物を常温・常圧で約1日浸漬し
た。その後、乾燥機を使用し、約200℃に加熱してキ
シレンを揮発除去した。
【0018】ポリカルボシランの付着した2次元織物積
層体を適当な条件で熱処理し、織物内部の各繊維表面に
セラミックウィスカを成長させた。具体的には、ポリカ
ルボシランの付着した繊維織物を、窒素ガス圧下(約5
気圧(ゲージ圧))にて1250℃に加熱した。このと
きの昇温速度は500℃/時間であった。上記のよう
に、繊維強化セラミック複合材料の複合化プロセスの条
件を制御して、特定の雰囲気熱処理を行うことにより、
ポリカルボシランの無機化の際に、各繊維表面に炭化珪
素からなるウィスカ状セラミックがランダムに成長し
た。2次元織物間にセラミックウィスカが形成されるこ
とにより、通常の2次元織物積層体の場合と比較して、
プリフォームの層間剪断強度及び板厚方向の熱伝導率の
向上が認められた。
【0019】つぎに、セラミックウィスカで強化された
2次元織物積層体の繊維表面及びウィスカ表面に表面処
理を実施した。これは、通常の繊維強化セラミック複合
材料の複合化プロセスで行われているものである。具体
的には、セラミック繊維とマトリックスセラミックとの
親和性、結合力を低下させる処理を実施した。表面処理
が施された2次元織物積層体の内部及び表面にマトリッ
クスを形成させて、繊維強化セラミック複合材料を製造
した。具体的には、マトリックスの前駆体となるポリカ
ルボシラン(有機珪素ポリマー)を同じ重量のキシレン
に溶解し、この溶液中に繊維織物を浸漬して、繊維織物
に有機珪素ポリマーを含浸させた。その後、窒素ガス圧
下(5気圧(ゲージ圧))にて約1000℃に加熱し
た。このときの昇温速度は67℃/時間であった。10
00℃にて1時間の処理後、炭化珪素のマトリックスが
形成された繊維強化セラミック複合材料が得られた。
【0020】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) 繊維強化複合材料の複合化のプロセス中で、繊
維束又は繊維織物内部の各繊維表面にウィスカ状セラミ
ックをランダムに成長させることにより、繊維織物自体
あるいは繊維織物を強化材とする複合材料の機械的特性
及び熱的特性を向上させることができる。 (2) 繊維強化複合材料の強化材として、安価な2次
元織物積層体を用い、繊維強化複合材料の複合化のプロ
セス中で繊維束又は繊維織物内部の各繊維表面にウィス
カ状セラミックを成長させる場合は、2次元織物間にセ
ラミックウィスカを形成させて、そのブリッジ効果によ
り層間強度を向上させることができ、また、板厚方向に
成長したセラミックウィスカにより板厚方向の熱伝導率
を向上させることができる。 (3) 3次元織物等よりも機械的強度及び板厚方向の
熱伝導率が低い2次元織物積層体を使用する場合でも、
簡便に層間強度及び板厚方向の熱伝導率を向上させるこ
とができ、高強度の繊維強化複合材料が安価に製造で
き、量産にも適している。また、2次元織物間にセラミ
ックウィスカが成長して、均一に層間強度を向上させる
ことができ、コスト及び層間強化材分布の均一性の面で
ステッチングよりも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による高強度繊維強化複合
材料の製造方法の工程を模式的に示すもので、繊維又は
繊維束からなる織物の概略構成図である。
【図2】本発明の実施の形態による高強度繊維強化複合
材料の製造方法の工程を模式的に示すもので、セラミッ
ク前駆体ポリマーを図1に示す織物の各繊維に付着させ
た状態の概略構成図である。
【図3】本発明の実施の形態による高強度繊維強化複合
材料の製造方法の工程を模式的に示すもので、図2に示
す繊維織物を熱処理してセラミックウィスカを成長させ
た状態の概略構成図である。
【図4】本発明の実施の形態による高強度繊維強化複合
材料の製造方法の工程を模式的に示すもので、図3に示
すウィスカを有する繊維織物の表面に表面処理層を形成
させた状態の概略構成図である。
【図5】本発明の実施の形態による高強度繊維強化複合
材料の製造方法の工程を模式的に示すもので、図4に示
す表面処理された繊維織物の内部及び表面にマトリック
スを形成させた状態の概略断面構成図である。
【符号の説明】 10 繊維 12 セラミック前駆体ポリマー 14 セラミックウィスカ 16 表面処理層 18 マトリックス
フロントページの続き (72)発明者 苧野 兵衛 兵庫県明石市川崎町1番1号 川崎重工 業株式会社 明石工場内 (56)参考文献 特開 平3−119179(JP,A) 特開 平4−288229(JP,A) 特開 平1−258947(JP,A) 特開 昭61−68206(JP,A) 特開 昭50−139881(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 D06M 1/00 - 21/24 C04B 35/00 - 35/84

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐熱性の高い繊維又は繊維束からなる繊
    維織物の内部及び表面にマトリックスを形成させてなる
    繊維強化複合材料において、繊維束又は繊維織物内部の
    各繊維表面にセラミック前駆体ポリマーを熱処理してウ
    ィスカ状セラミックを成長させることでセラミックウィ
    スカをランダムに形成させてなることを特徴とする高強
    度繊維強化複合材料。
  2. 【請求項2】 耐熱性の高い繊維又は繊維束からなる2
    次元織物の積層体を強化材として用い、2次元織物積層
    体の内部及び表面にマトリックスを形成させてなる繊維
    強化複合材料において、繊維束又は繊維織物内部の各繊
    維表面にセラミック前駆体ポリマーを熱処理してウィス
    カ状セラミックを成長させることでセラミックウィスカ
    をランダムに形成させ、積層体の層間強度及び板厚方向
    の熱伝導率を向上させたことを特徴とする高強度繊維強
    化複合材料。
  3. 【請求項3】 繊維強化複合材料が、セラミック繊維、
    炭素繊維及びガラス繊維のいずれかの繊維又は繊維束か
    らなる繊維織物を用い、繊維織物の内部及び表面にマト
    リックスとしてセラミック材料、樹脂材料、金属材料及
    びガラス材料のいずれかを形成させた複合材料である請
    求項1又は2記載の高強度繊維強化複合材料。
  4. 【請求項4】 耐熱性の高い繊維又は繊維束からなる繊
    維織物の各繊維表面にセラミック前駆体ポリマーを付着
    させ、セラミック前駆体ポリマーが付着した繊維織物を
    熱処理して、繊維束又は繊維織物内部の各繊維表面に
    ラミック前駆体ポリマーが無機化して生成されるウィス
    カ状セラミックをランダムに成長させ、ついで、繊維織
    物の内部及び表面にマトリックスを形成させることを特
    徴とする高強度繊維強化複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 セラミック繊維、炭素繊維及びガラス繊
    維のいずれかの繊維又は繊維束からなるUDプリフォー
    ム、2次元織物、2次元織物積層体及び3次元織物のい
    ずれかの各繊維表面に、セラミック前駆体ポリマーとし
    て有機珪素ポリマーを付着させ、有機珪素ポリマーが付
    着したプリフォーム又は繊維織物を熱処理して、繊維束
    又は繊維織物内部の各繊維表面に、有機珪素ポリマーが
    無機化して生成されるウィスカ状セラミックをランダム
    に成長させ、ついで、プリフォーム又は繊維織物の内部
    及び表面に、セラミック材料、樹脂材料、金属材料及び
    ガラス材料のいずれかからなるマトリックスを形成させ
    ることを特徴とする高強度繊維強化複合材料の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 2次元織物積層体の各繊維表面にセラミ
    ック前駆体ポリマーを付着させて、セラミック前駆体ポ
    リマーが付着した2次元織物積層体を熱処理し、2次元
    織物積層体の内部の各繊維表面にウィスカ状セラミック
    をランダムに成長させて、積層体の層間強度及び板厚方
    向の熱伝導率を向上させる請求項4又は5記載の高強度
    繊維強化複合材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機溶剤で希釈したセラミック前駆体ポ
    リマーを繊維織物又はプリフォームに含浸させた後、乾
    燥させて余分な有機溶剤を除去することにより、繊維織
    物又はプリフォームの各繊維表面にセラミック前駆体ポ
    リマーを付着させる請求項4、5又は6記載の高強度繊
    維強化複合材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 密閉容器の中に固体又は液体状のセラミ
    ック前駆体ポリマーと繊維織物又はプリフォームを配置
    し、セラミック前駆体ポリマーの蒸気が発生する温度に
    昇温して、繊維織物又はプリフォームの各繊維表面にセ
    ラミック前駆体ポリマーを蒸着する請求項4、5又は6
    記載の高強度繊維強化複合材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 セラミック前駆体ポリマーが付着した繊
    維織物又はプリフォームを、不活性ガス雰囲気で加圧下
    にて昇温速度300〜500℃/時間で1200〜13
    00℃に加熱して、繊維織物又はプリフォーム内部の各
    繊維表面にウィスカ状セラミックをランダムに成長させ
    る請求項4〜8のいずれかに記載の高強度繊維強化複合
    材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 繊維表面でのウィスカ状セラミックの
    生成を促進させるために、繊維織物又はプリフォームの
    各繊維表面にセラミック前駆体ポリマーを付着させる前
    に、各繊維表面にウィスカ状セラミックの生成核となる
    ような炭素層、金属粒子及びセラミック粒子の少なくと
    もいずれかを付着させる請求項4〜9のいずれかに記載
    の高強度繊維強化複合材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 レジンの含浸・焼成により繊維表面に
    炭素層を形成させるか、CVD法により繊維表面に炭素
    層もしくは炭素粒子を付着させるか、メッキ法により繊
    維表面に金属粒子を付着させるか、又は金属及びセラミ
    ックの少なくともいずれかの粉末を懸濁させたスラリー
    を含浸させることにより繊維表面に金属粒子及びセラミ
    ック粒子の少なくともいずれかを付着させる請求項10
    記載の高強度繊維強化複合材料の製造方法。
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