JP2551850B2 - ハイブリッド繊維、その製造方法及びこの繊維で強化された金属の製造方法 - Google Patents

ハイブリッド繊維、その製造方法及びこの繊維で強化された金属の製造方法

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JP2551850B2 JP1284760A JP28476089A JP2551850B2 JP 2551850 B2 JP2551850 B2 JP 2551850B2 JP 1284760 A JP1284760 A JP 1284760A JP 28476089 A JP28476089 A JP 28476089A JP 2551850 B2 JP2551850 B2 JP 2551850B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は繊維強化金属(以下「FRM」と呼ぶことがあ
る。)の素材として好適に使用できる強化繊維及びそれ
で強化されたFAMの製造方法に関する。
(従来の技術) 近年、強化繊維としてアルミナ繊維、シリカ繊維、シ
リコンターバイド繊維、ボロン繊維、窒化珪素、炭素繊
維などを用い、マトリックス金属としてAl、Mg、Ti、Cu
及びそれらの合金を用いたFRMが開発され、例えば各種
機械部品や構造材など多くの産業分野に利用され始めて
いる。
FRMは、複合則で示される機械的性質を与えることが
予想されるが、実際には、連続無機繊維同志の接触や繊
維の片寄りなどのため、所定の機械的性質が得られてい
ない。
これらの問題の解決策として、特開昭61−266666号公
報には、繊維の表面に無機ウィスカ、金属ウィスカ、無
機短繊維あるいはセラミックス、炭素、金属等の粉末な
どの介在物を付着させたハイブリッド繊維が、また、特
開昭61−295346号公報には、そのハイブリッド繊維を用
いたFRMが、それぞれ開示されている。このハイブリッ
ド繊維を使用することによって、繊維が均一に分散され
たFRMを製造することができるという効果が奏される。
(発明が解決しようとする問題点) 上記公報には、ハイブリッド繊維の製法として例えば
第1図に示すような装置を使用して、介在物の懸濁液に
連続無機繊維束を浸漬する方法が記載さている。
連続無機繊維束1はボビン2から巻き戻され、介在物
の懸濁液3が収容されている処理浴4中をプーリー5、
6、7及び8に導かれて通過する。この間に連続無機繊
維束1を構成する繊維の表面に介在物が付着する。
介在物が付着された連続無機繊維束1は圧力ローラ
9、10によって押圧されて連続無機繊維束1中に含有さ
れる液体が絞り出され、ついで乾燥炉11によって乾燥さ
れ、ドラム12に巻き取られる。
上記方法を連続的に実施する場合、介在物がプーリ
6、7及び8及び圧力ローラ9、10に固着する。そのた
め、プーリ及びローラに固着した介在物と連続無機繊維
束1とが接触する際に、両者が擦れ合って、あるいは繊
維の長さ方向に対して横方向に力が加わって、連続無機
繊維束1の損傷あるいは破断が生ずるようになる。この
連続無機繊維の損傷あるいは破断は、得られるハイブリ
ッド繊維の毛羽立ちによって容易に判定することができ
る。損傷あるいは破断したハイブリッド繊維を織物など
の所望形状のプリフォームに成形することは著しく困難
であると共に、このプリフォームを使用して得られるFR
Mは所定の強度を示さない。
一方、特願昭63−59473号公報には、前記問題点を解
決したハイブリッド繊維の製法として、介在物として耐
熱性物質の短繊維、ウィスカ及び粉末からなる群から選
ばれる物質を用い、連続繊維への介在物の付着に際し、
有機バインダーを用いる方法が開示されている。しか
し、この公報には、介在物として、自己潤滑物質は全く
記載されていない。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、 (1)繊維束を構成する連続無機繊維の表面に、自己潤
滑物質からなる群から選択される介在物がバインダーに
より付着されてなるハイブリッド繊維 が提供される。
本発明によれば、 (2)均一に開繊されていることを特徴とする(1)に
記載のハイブリッド繊維 が提供される。
本発明によれば、 (3)連続無機繊維束に、自己潤滑物質からなる群から
選択される介在物が懸濁され、かつバインダーが溶解さ
れた懸濁液を浸漬させるか、またはバインダーを溶解し
た溶液と介在物の懸濁液を交互に含浸させることを特徴
とするハイブリッド繊維の製造方法 が提供される。
また、本発明によれば、 (4)介在物が付着した連続無機繊維を開繊することを
特徴とする(3)に記載のハイブリッド繊維の製造方法 が提供される。
さらに、本発明によれば、 (5)上記(1)または(2)のハイブリッド繊維で強
化された金属の製造方法 が提供される。
本発明のハイブリッド繊維における連続無機繊維束1
を構成する繊維としては、例えば炭化ケイ素繊維、窒加
ケイ素繊維、窒化硼素繊維、窒化アルミニウム繊維、シ
リカ繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、ポリ
メタロカルボシランを焼成して得られるSi−Tく又はZr
−C−O系の無機繊維(宇部興産(株)製、チラノ繊
維:登録商標)などが挙げられ、これらの繊維は単独又
は組み合わせて用いることが出来る。
さらに、本発明における連続無機繊維束1として、本
願出願人の出願になる特願平1−206640号及び特願平1
−224511号に添付された明細書の特許請求の範囲に記載
の無機繊維も好適に使用することができる。
特願平1−206640号に添付された明細書に記載された
無機繊維は、 i)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す炭素質、 ii)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び、 iii)Si、C及びOから実質的になる非晶質相及び/又
は粒径が500Å以下の実質的にβ−SiCからなる結晶質超
微粒子と非晶質のSiOx(0<x≦2)からなる集合体で
あり、 構成元素の割合が、Si;30〜70重量%、C;20〜60重量%
及びO;0.5〜10重量%であるSi−C−O物質 であることを特徴とする高強度・高弾性率無機繊維であ
る。
上記繊維は、 i)結合単位(Si−CH2)、または結合単位(Si−CH2
と結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側
鎖に水素原子、低級アルキル基、フェニル基及びシリル
基からなる群から選ばれる側鎖基を有し、結合単位(Si
−CH2)の全数対結合単位(Si−Si)の全数の比が1:0〜
20の範囲にある有機珪素重合体の珪素原子の少なくとも
一部が、石油系又は石炭系のピッチあるいはその熱処理
物の芳香族環と珪素−炭素連結基を介して結合したラン
ダム共重合体100重量部、及び ii)石油系又は石炭系ピッチを熱処理して得られるメソ
フェーズ状態又はメソフェーズと光学的等方相との両相
からなる多環状芳香族化合物5〜50000重量部を、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、珪素含有多環状芳香族重合体を得る第1工程、 上記珪素含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製し
て紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第
3工程、及び 不融化した前記紡糸繊維を真空中あるいは不活性ガス
雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工
程 からなることを特徴とする繊維の製造方法により得られ
る。
また、特願平1−224511号に添付された明細書に記載
の無機繊維は、 a)該重合体を構成するメソフェーズ状態にある多環状
芳香族化合物から導かれるラジアル構造、オニオン構
造、ランダム構造、コアラジアル構造、スキンオニオン
構造及びモザイク構造からなる群から選ばれる少なくと
も一種の結晶配列状態を示す質素質、 b)該重合体を構成する有機溶媒不溶分を含む光学的等
方性の多環状芳香族化合物から導かれる、無配向状態の
結晶質炭素及び/又は非晶質炭素、及び c)Si、M、C及びOから実質的になる非晶質物質、
及び/又は 実質的にβ−SiC、MC、β−SiCとMCの固溶体及びMC
1-xからなる粒径が500Å以下の結晶超微粒子と、非晶質
のSiOy及びMOzとの集合体であり 構成元素の割合がSi;5〜70重量%、M;0.5〜45重量%、
C;20〜40重量%及びO;0.01〜30重量%である、Si−M−
C−O物質(上記式中、MはTi、Zr及びHfから選択され
る少なくとも一種の元素であり、0<x<1、0<y≦
2、0<z≦2である。) であることを特徴とする高強度・高弾性率無機繊維であ
る。
上記繊維は、 1)結合単位(Si−CH2)、又は結合単位(Si−CH2)と
結合単位(Si−Si)から主としてなり、珪素原子の側鎖
に水素原子、低級アルキル基、フェニル基あるいはシリ
ル基を有し、上記結合単位からなる主骨格の珪素原子
に、M(Mはチタン、ジルコニウム及びハフニウムから
なる群から選ばれる少なくとも一種類の元素である。)
が、直接又は酸素原子を介して、珪素原子の少なくとも
一部と結合している遷移金属含有有機珪素重合体の珪素
原子の少なくとも一部が、石油系又は石炭系のピッチあ
るいはその熱処理物であって、有機溶媒不溶分を含むピ
ッチより得られた多環状芳香族化合物の芳香族環の炭素
と結合したランダム共重合体及び、 2)石油系又は石炭系のピッチから得られる、メソフェ
ーズ又はメソフェーズと光学的等方相と の両相からなる多環状芳香族化合物とを、 200〜500℃の範囲の温度で加熱反応及び/又は加熱溶融
して、上記M及び珪素を含有する多環状芳香族重合体を
得る第1工程、 上記金属含有多環状芳香族重合体の紡糸原液を調製し
て紡糸する第2工程、 該紡糸原糸を張力下あるいは無張力下で不融化する第
3工程、及び 不融化した前記紡糸繊維を真空中あるいは不活性ガス
雰囲気中で800〜3000℃の範囲の温度で焼成する第4工
程 からなることを特徴とする繊維の製造方法により得られ
る。
なお、前述した特願平1−206640号及び特願平1−22
4511号に添付された明細書の記載は、本明細書の一部と
して援用される。
本発明のハイブリッド繊維を構成する自己潤滑物質と
しては黒鉛、窒化硼素、弗化カルシウ、硫化カドミウ
ム、一酸化鉛、ポリイミド、ポリテトラフルオロエチレ
ン、 ポリアセタール、ナイロンなどのそれ自身潤滑性のある
物質を挙げることができる。
介在物としては、これらの物質を単独又は2種以上を
組み合わせて用いることができる。
このような介在物は、自己潤滑性を有するため、繊維
束との摩擦抵抗が小さく、従って、繊維束と介在物との
間の滑りが良好となり、脆く、破損しやすい繊維の破
損、破断をなくすることが可能となる。
介在物が短繊維の場合、それらの長さ、太さ及び形状
は、繊維との組み合わせを考慮して選択するとよいが、
連続繊維の平均直径の1/3000〜1/5の平均直径及びアス
ペクト比50〜100であるものが望ましく、介在物が粉末
の場合、粉末の粒度等も、繊維との組み合わせを考慮し
て選択するとよいが、連続繊維の平均直径の1/5000〜1/
2の平均直径を有するものが望ましい。
バインダーとしてはそれ自体公知の樹脂を全て使用す
ることができ、その具体例としては、エポキシ樹脂、編
成エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポイミド樹脂、フ
ェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポ
リカーボネート樹脂、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、
ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、炭化水素系
樹脂、含ハロゲン系樹脂、アクリル酸系樹脂及びABS樹
脂が挙げられる。これら以外に、カップリング剤もバイ
ンダーとして用いることができる。
上記カップリング剤は、有機・無機材料の表面改質等
に用いられる通常のカップリング剤であり、一例として
は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン等のシランカップリング剤、トリステアラトチタニウ
ムイソプロピレート[(i−CH3H7O)Ti(OCOC17H35)3
などのチタニウム系カップリング剤などが挙げられる。
ハイブリッド繊維を構成する連続無機繊維及び介在物
へのバインダーの全付着量は、連続無機繊維及びそれに
付着した介在物の総和100重量部当たり0.05重量部〜15
重量部であるのが好ましい。上記バインダーの全付着量
が0.05重量部より少なくとも、また、15重量部より多く
ても所期の目的を達成することができず、均質なFRMを
得ることができない。
本発明を図面を参照して詳しく説明する。
第1図及び第2図は、本発明のハイブリッド繊維の製
造方法において好適に使用される装置の概略図である。
連続無機繊維束1はボビン2から巻き戻される。
連続無機繊維束1がサイジング剤で収束されていない
ときは、第1図に示すように、維束1を直接に処理浴4
に供給することができる。
繊維束1がサイジング剤で収束されているときは、介
在物を均一に連続無機繊維表面に付着させるために、繊
維束1を電気炉15中を通過させてサイジング剤を分解除
去することが好ましい。
連続無機繊維束1は、プーリー5、6、7及び8に導
かれて介在物が懸濁され、バインダーが溶解された懸濁
液3を収容した処理浴4内を通過する。
懸濁液3中の介在物の濃度は、特に制限はなく、0.3
〜300wt%程度とするのが一般的であるが、好ましくは
0.3〜30wt%の範囲である。
バインダーの懸濁液3中の濃度については特に制限は
ないが、通常0.02〜10重量%である。
バインダーの濃度が、0.02重量%より薄くても、ま
た、10重量%より濃くても所期の目的を達成することが
できず、均質なFRMを得ることができない。
本発明における繊維束1への介在物の付着の第1の態
様においては、介在物が懸濁され、さらにバインダーが
溶解された媒体に連続無機繊維束1を浸漬する。
介在物が懸濁され、バインダーが溶解される媒体の具
体例としては、メタノール、エタノールのようなアルコ
ール、ベンゼン、トルエン、キシレンのような有機溶媒
が挙げられる。
なお、処理浴4中で介在物を均一に懸濁させるため
に、マグネティックスターラー13によってスターラーピ
ース14を回転させて懸濁液を攪拌することもできるし、
分散剤を溶解しておくことにより上記目的をより効果的
に達成することもできる。分散剤としては、オレイン酸
ソーダ、樹脂酸ソーダ、ラウリル硫酸ナトリウムなどの
低分子分散剤あるいはナフタリンスルホン酸、ポリカル
ボン酸またはその塩、ポリアクリル酸またはその塩など
の高分子分散剤などが挙げられる。
分散剤の添加量は、溶媒に対して0.1〜30.0重量%の
範囲が好ましい。
本発明における繊維束1への介在物の付着の第2の態
様においては、介在物の懸濁液とバインダーが溶解され
た媒体に連続無機繊維束1を交互に浸漬する。
上記浸漬処理は、複数の処理浴を使用して行うことも
でき、例えば、第1処理浴にバインダーを溶解した媒体
を収容し、第2処理浴に介在物の懸濁液を収容して、第
1処理浴、第2処理浴と順次繊維束1を浸漬することに
より浸漬処理を行うことができる。
本発明の第1の態様及び第2の態様において、介在物
の懸濁液、場合により介在物が懸濁されかつバインダー
が溶解された媒体に連続無機繊維束1を浸漬する方法に
ついては特別の制限はなく、それ自体公知の方法をすべ
て採用することができる。
なお、ハイブリッド繊維を製造する方法として、上記
懸濁浸漬法以外に、繊維束1に、バインダーを溶解し
た、介在物の懸濁液を吹き付ける方法、繊維束1に、バ
インダーを溶解した媒体をまず吹き付け、続いて介在物
の懸濁液を吹き付ける方法等の吹き付け法も採用するこ
とができる。
処理浴4中を通過し、介在物が付着した繊維束1は、
第1図に示すように圧力ローラ9、10によって押圧し媒
体を絞り出した後、あるいは第2図に示すようにそのま
ま乾燥炉11中を通過させて、媒体を蒸発除去する。
こうして得られたハイブリッド繊維は、直接FRM製造
用の強化繊維として使用することができるが、FRM製造
時にハイブリッド繊維へ金属溶湯を迅速かつ均一に含浸
させるためには、FRMの製造に先立って開繊することが
好ましい。
ハイブリッド繊維の繊維束の開繊方法については特別
の制限はないが、均一に開繊するためには第2図に示す
ように、ローラ群(16、17、18及び19)によって開繊す
るのが好ましい。このローラ群(以下開繊用ローラと呼
ぶ)は巻き取りドラム12直前に設置され、繊維束を上下
にしごき繊維束への張力を変化させることにより繊維束
を偏平化して開繊する。開繊用ローラの個数は使用する
強化繊維の収束本数に応じて使い分ければよく、例えば
200本ならば2個、400本ならば3個、800本ならば4個
と増やすことにより200本束が2〜3mm幅、400本束が4
〜6mm幅、800本束が8〜10mm幅に開繊することができ
る。
以上に述べたようにして、繊維束を構成する連続無機
繊維の表面に、自己潤滑性物質からなる介在物が付着し
たハイブリッド繊維及び、それをさらに均一に開繊した
ハイブリッド繊維が得られる。
上記のようにして、充分に開繊したハイブリッド繊維
を用いFRMを製造すると、マトリックス中に繊維がより
均一に分散し、機械的性質の極めて優れたFRMが得られ
る。
本発明の方法で得られたハイブリッド繊維を用いてFR
Mを製造する方法については特別の制限はないが、特に
高圧鋳造法、溶射法によりプリプレグシートを製造し、
これを用い拡散接合法によりFRMを製造する方法が、機
械的性質の優れたFRMを製造するのに好適に使用でき
る。
前述の方法で開繊され、ドラム12上に一層をなすよう
に螺旋状に巻き取られたハイブリッド繊維に対してマト
リックス金属粒子をプラズマ溶射し、プリプレグシート
を製造し、ドラム軸方向に切り開いて平らなシートと
し、これを複数枚積層し、ホットプレスすることによ
り、優れた機械的性質を有するFRMを製造することがで
きる。
また、ドラム12上に巻き取ることなく、開繊され、ド
ラム12上を通過するハイブリッド繊維に対してマトリッ
クス金属を溶射することによりプリプレグシートを連続
して製造することもできる。
プラズマ溶射によるプリプレグシートの製造につい
て、以下にさらに詳細に説明する。
プリプレグシートの製造に際し、第3図及び第4図に
示すように、ドラム12上のハイブリッド繊維層31とプラ
ズマガン33の間にスリット35を有するマスク36を置き、
プラズマ流で搬送されるマトリックス金属粒子のうち、
中心部にあって完全に溶融している部分のみを穴35を通
して繊維層31に溶射し、プラズマ流34の周縁部にあり外
気で冷却され充分に溶融されていない金属粒子を遮るこ
ともできる。このようにすると、未溶融の金属粒子の衝
突による繊維の破断や損傷を回避することができる。
また、プリプレグシートの製造に際しては、マトリッ
クス金属粒子の溶射前に、繊維層を例えば、予備加熱炉
中を通過させて予熱することも有利である。予熱するこ
とにより、溶射粒子は繊維表面で急激な冷却を受けず、
溶射粒子の粘度が急激に失われないため、マトリックス
層は密になり、繊維表面と溶射粒子との接着性も向上す
る。さらに、溶射粒子の流動性も保持されため、マトリ
ックス金属の繊維間への回り込みも向上する。本発明の
ハイブリッド繊維を用いた場合、繊維が充分に離間され
た状態にあるため予熱によるマトリックス金属の繊維間
隙への回り込み向上の効果が顕著に発現される。
(発明の効果) 本発明によれば、繊維に金属あるいはセラミックスを
付着させて複合材料用ハイブリッド繊維とする際、繊維
束の浸漬処理及び開繊処理中の繊維の損傷、破断が無く
なる。従って本発明で得られるハイブリッド繊維は支障
なく織物にすることができる。また、本発明によれば、
金属あるいはセラミックスによる繊維の損傷、破断を伴
わずに均一に開繊されたハイブリッド繊維が得られるの
で、これにマトリックス金属粒子を溶射しプリプレグシ
ートとし、次いでFRM化することにより、従来より格段
に機械的特性の優れたFRMを連続して製造することがで
きる。
更に、この開繊されたハイブリッド繊維を用い作られ
た繊維成形体は、開繊せずに作られた成形体に比べより
密度むらがないため高圧鋳造法等の液相法によりFRMを
製造する際にも適用され、従来より格段に機械的性質が
優れ、かつ強度むらがないFRMを製造できる。
また、上記開繊されたハイブリッド繊維は支障なく繊
維強化プラスチック複合材料(FRP)の強化繊維として
用いることもできる。
(実施例) 以下の実施例により本発明を更に詳細に説明する。
実施例1 1次粒子径が0.2μの窒化硼素粉末50g、エリノール10
0g、分散剤であるポリカルボン酸アンモニウム塩5gをア
ルミナボール180gの入ったポリ容器に入れ、24時間ボー
ルミルを行い、窒化硼素粉末をエタノール液中に充分分
散させた。その後、この 濃縮液をエタノール2000mlに
対して、窒化硼素粉末が100g含まれるように希釈し、攪
拌を行いながら懸濁させた。次いで、この懸濁液に、バ
インダーとしてポリエチレンオキサイドを0.1重量%の
濃度になるように溶解させた。
本実施例においては、第2図に示す装置を用い、以下
のようにハイブリッド繊維を製造した。
直径が9〜10μmで、引張強度が314Kg/mm2のSi−Ti
−C−O繊維(宇部興産(株)製チラノ繊維:登録商
標)800本よりなる繊維束1をボビン2から送り出し、5
00℃の温度に保持された電気炉15中を通過させ収束剤を
消失させた。次いで、繊維束1を処理浴4に収容された
上記懸濁液3中にプーリ5、6、7及び8によって誘導
しながら、3m/minの速度で浸漬しながら通過させ窒化硼
素を繊維表面に付着させた後、乾燥炉11を通過させ乾燥
させた後、開繊ローラー16、17、18、19へ次々に接触さ
せ繊維束を徐々に開繊し、ドラム12に巻き取った。
ドラム12に巻き取られた繊維束にはほとんど毛羽立ち
の発生は認められなかった。また、繊維強度の低下は認
められなかった。このことから、窒化硼素粉末の潤滑効
果を確認することができた。
比較例1 直径0.2〜0.5μ、平均長さ50〜200μの炭化珪素ウィ
スカ5gを水200mlとエチルアルコール1800mlの混合物の
入った処理槽4中に入れて、攪拌を行いながら懸濁させ
た。
本比較例においては、第1図に示す装置を用い、以下
のようにハイブリッド繊維を製造した。
直径が9〜10μmで、引張強度が314Kg/mm2のSi−Ti
−C−O繊維(宇部興産(株)製チラノ繊維:登録商
標)800本よりなる繊維束1をボビン2から送り出し、
次いで、繊維束1を処理浴4に収容された上記懸濁液3
中に3m/minの速度で浸漬しながら通した。
プーリ5、6、7及び8によって繊維束1を処理浴4
中に浸し、次いで圧力ローラ9、10によって押圧した後
乾燥炉11を通し再びドラム12に巻き取った。
乾燥炉11を出て来た繊維束は多数の枝毛の発生が認め
られ、繊維の破断が起こっているのが認められた。
実施例2 実施例1で得られたハイブリッド繊維から第5図に示
す保形用治具42を用い、以下の手順でFRMを作製した。
使用した治具42はグラファイト製で、本体42aと蓋42bか
らなる。本体42aは、長さ15cmで、巾8cm、深さ1cmの長
さ方向に貫通した溝43を有する。
ボビン12から巻戻し、一定長に切断したハイブリッド
繊維を溝43内に繊維体積率が55%になるように均一に充
填し、ついで本体42aに蓋42bをボルトナットにより固着
した。このようにハイブリッド繊維44を収納したグラフ
ァイト製保形用治具42を大気中で650℃に加熱し、第6
図に示すように金型45の中に750℃のアルミニウム溶湯4
6(JIS規格1070)を注入した後、前記保形用治具42をガ
ス抜き用穴49を設けた蓋42bが上になるように、金型内
に設置した。ついで、第7図に示すように、プランジャ
47により前記アルミニウム溶湯46を1000kg/cm2に加圧
し、両側の開口孔及び本体42aの下面に適当に穿設され
たアルミニウム注入穴50から溶湯を保形用治具内に圧
入、凝固させ、繊維強化金属を製造した。
なお、第5図において繊維保形用治具42のガス抜き用
穴49に対接するプランジャ下面に水平にガス排気溝51を
設けると、一層ガスの排出が良好となる。
この複合材料を取り出し、断面組織観察を行ったとこ
ろ、空孔等の鋳造欠陥、繊維配向の乱れ等は、全く観察
されなかった。さらに、この複合材料について、繊維配
向方向の曲げ強度を測定したところ、180kg/mm2という
高い値が得られた。第8図、第9図及び第10図はこうし
て得られたFRMの繊維方向と直角方向の金属組織の光学
顕微鏡写真であり、第8図は上層部の、第9図は中間部
の及び第10図は下層部の金属組織の光学顕微鏡写真であ
る。各写真中、黒丸は強化繊維である。これらの写真は
本発明によるFRMにおいては、全体にわたって強化繊維
が均一に分散されていることを示す。
比較例2 実施例1で得られたハイブリッド繊維の代わりに、比
較例1で得られたハイブリッド繊維を用い、実施例2と
同様にして繊維強化金属を製造した。
得られた繊維強化金属の曲げ強度は125kg/mm2であ
た。
第11図、第12図及び第13図は、この比較例によって得
られたFRMの実施例2におけると同様の金属組織の光学
顕微鏡写真である。第13図は、下層において、繊維束の
分散が不充分で、繊維が偏在していることを示してい
る。
実施例3 実施例1で得られたドラム12に巻き取られたハイブリ
ッド繊維(繊維幅200mm)に対して、上記ドラムを回転
させ溶射用アルミニウム粉末を繊維体積率が30%になる
よう溶射しプリプレグシートを製造した。その際、プラ
ズマスプレー装置のノズルは繊維面より140mm離して設
置した。ノズルと繊維の移動速度はハイブリッド繊維の
全幅との兼ね合いで決定した。得られたプリプレグシー
トの厚さは130〜150μであった。
このプリプレグシートより、繊維方向に90mm、繊維と
垂直方向に60mmのシートを切り出し、そのシートを20枚
積層して、一方向積層体とし、これを金型中にセットし
た。
この金型をホットポレス装置内に入れ容器内を5×10
-5Torrに保持し550℃に加熱した後、油圧プレスにて金
型を400kg/cm2の圧力で15分間プレスして、厚さ2.0mmの
繊維強化金属を得た。
得られた繊維強化金属の繊維方向の曲げ強度は100kg/
mm2であった。
比較例3 比較例1で得られたハイブリッド繊維を用いた以外は
実施例3と同様にして繊維強化金属を製造した。
得られた繊維強化金属の繊維方向の曲げ強度は40kg/m
m2であた。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、ハイブリッド繊維の製造に用いる
製造装置の一例の概略図である。 第3図、第4図はプラズマ溶射によるプリプレグシート
の製造を示す概略図である。 第5図、第6図及び第7図は高圧鋳造によるFRMの製造
を示す概略図である。 第8図、第9図及び第10図は実施例2において得られた
FRMの繊維方向と直角方向の金属組織の光学顕微鏡写真
であり、第11図、第12図及び第13図は比較例2において
得られたFRMの繊維方向と直角方向の金属組織の光学顕
微鏡写真である。 1……連続無機繊維、3……処理液 5、6、7、8……プーリ 11……乾燥炉 16、17、18、19……開繊用ローラ 33……プラズマガン、34……プラズマ流 42……保形用治具、45……金型 47……プランジャ、48……接合ボルト穴

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維束を構成する連続無機繊維の表面に、
    自己潤滑物質からなる群から選択される介在物がバイン
    ダーにより付着されてなるハイブリッド繊維。
  2. 【請求項2】均一に開繊されていることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項記載のハイブリッド繊維。
  3. 【請求項3】連続無機繊維束に、自己潤滑物質からなる
    群から選択される介在物が懸濁され、かつバインダーが
    溶解された懸濁液を浸漬させるか、またはバインダーを
    溶解した溶液と介在物の懸濁液を交互に含浸させること
    を特徴とするハイブリッド繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】介在物がバインダーにより付着された連続
    無機繊維を開繊することを特徴とする特許請求の範囲第
    3項記載のハイブリッド繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】特許請求の範囲第1項または第2項記載の
    ハイブリッド繊維で強化された金属の製造方法。
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