JPH11263668A - セラミックス基繊維複合材料部品とその製造方法 - Google Patents

セラミックス基繊維複合材料部品とその製造方法

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JPH11263668A
JPH11263668A JP10068139A JP6813998A JPH11263668A JP H11263668 A JPH11263668 A JP H11263668A JP 10068139 A JP10068139 A JP 10068139A JP 6813998 A JP6813998 A JP 6813998A JP H11263668 A JPH11263668 A JP H11263668A
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composite material
ceramic
fiber composite
matrix
based fiber
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JP10068139A
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English (en)
Inventor
Tsuneji Kameda
常治 亀田
Isao Ikeda
功 池田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】機械加工によることなく高い寸法精度と表面粗
さを持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合材料部品を
提供すること。 【解決手段】セラミックスからなるマトリックス中に繊
維構造体を複合化したセラミックス基繊維複合材料部品
において、マトリックスの主成分が炭化ケイ素とケイ素
からなり、部品表面が機械加工によることなく、25S
以下の表面粗さを持つ箇所を含むセラミックス基繊維複
合材料部品が得られるので、仕上げ加工の必要がない箇
所ができるため、製造コストが大巾に削減される。ま
た、機械加工の困難な箇所も可能となり、セラミックス
基繊維複合材料部品の製造のみならず設計も容易とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミックス基繊維
複合材料部品とその製造方法に係わり、特にその部品表
面の無加工箇所の形状寸法精度を改善したセラミックス
基繊維複合材料部品とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、セラミックス焼結体は、高温ま
で強度の低下が少なく、硬度、電気特性、耐摩耗性、耐
腐食性、軽量等の諸特性にすぐれた特徴を持つ材料であ
るため、重電設備品、航空機部品、自動車部品、精密機
械部品、半導体製造装置部品、電子機器などの電子用材
料や構造用材料として広い分野において使用されてい
る。
【0003】しかし、セラミックス焼結体は、圧縮応力
に比較して引張応力に弱く、特にこの引張応力下では破
壊が一気に進行する、いわゆる脆性という欠点を有して
いる。したがって、高信頼性が要求される部位へのセラ
ミックス部品の適用を可能にするために、セラミックス
焼結体の高靭性化や破壊エネルギーの増大を図ることが
強く求められている。
【0004】すなわち、ガスタービン部品、航空機部
品、自動車部品に使用されるセラミックス構造部品に
は、耐熱性および高温強度に加えて高い信頼性が要求さ
れる。この要求に応えるために、無機物質や金属から成
る繊維、ウィスカー、プレート、粒子等の強化素材をマ
トリックス焼結体に分散複合化させて破壊靭性値や破壊
エネルギー値、耐熱衝撃性等を高めたセラミックス基複
合材料(CMC:CeramicMatrix Composites )部品の
実用化研究が内外の研究機関等において進められてい
る。
【0005】このようなセラミックス基複合材料(CM
C)において、特に繊維を強化素材として用いたもの
は、破壊靭性や破壊エネルギーの増大効果に優れ、信頼
性の向上に対しては大きな効果を示している。このセラ
ミックス基複合材料(CMC)用の強化素材としては、
ガラス繊維、炭素繊維、セラミックス繊維等の連続繊維
や短繊維が主として使用されている。
【0006】ところで、繊維強化したセラミックス基複
合材料の中でも、特に炭化ケイ素(SiC)をマトリッ
クスとする複合材料は、高い耐熱特性および耐酸化性を
有することから高温用構造部品を構成する材料として有
望である。
【0007】従来、上記のようなセラミックス基複合材
料における強化素材の複合方法として下記のような方法
が採用されている。すなわち、セラミックス繊維で形成
した織物などのプリフォーム内にスリップキャスト法な
どの湿式法でセラミックス原料粉末を充填し、許可素材
を含む予備成形体を作製した後、通常の焼結体の作製と
同様に、常圧焼結、雰囲気加圧焼結、ホットプレス、H
IP等で焼結する方法が挙げられる。
【0008】一方、反応焼結によってマトリックスを形
成する場合には、セラミックス繊維から成る織物などの
プリフォーム中に、カーボンおよび炭化ケイ素(Si
C)を含む原料スラリーを含浸させて予備成形体とし、
この予備成形体中に溶融したケイ素(Si)を含浸しな
がら反応焼結を行い、カーボン成分と溶融Siとを反応
させて反応焼結SiC焼結体から成るマトリックスを一
体に形成して複合材料が製造される。
【0009】このように製造された反応焼結SiC焼結
体は、焼結時の寸法収縮が殆どなく、高い寸法精度が得
られ、また焼結温度も1450℃前後と比較的低い加熱
条件で緻密質な焼結体が得られるという利点がある。ま
た複雑形状にも反応でき、さらに製造コストの点におい
ても、他の製造プロセスと比較して大幅に低いという長
所がある。そのため、セラミックス基複合材料のマトリ
ックス構成材として、その実用化が期待されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、反応焼
結SiC焼結体をマトリックスとしたセラミックス基複
合材料においては、溶融Siを含浸するという製造プロ
セスを採用しているため、焼結後の部品表面には過剰S
iの塊が部分的に固着して残り、寸法精度の高い部品と
して使用するには、例えば25S以下の機械加工仕上げ
が必要であった。つまり、本来反応焼結プロセスは焼成
収縮がほぼゼロである長所を持つものの、仕上げ加工を
省くことができず、そのメリットを充分に生かせない状
況にあった。
【0011】本発明(請求項1乃至請求項5対応)は上
記状況に鑑みてなされたものであり、その目的は特に反
応焼結SiC焼結体をマトリックスとする繊維複合材料
部品において、機械加工によることなく高い寸法精度と
表面粗さを持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合材料
部品とその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等はマトリック
スの焼結法として、焼結温度が低く、かつ焼結時に収縮
による変化が少なく寸法精度が良好な反応焼結法を採用
するとともに、焼結体表面に残存する溶融Siの付着を
抑制するコート層を成形体表面に形成した後、溶融Si
を含浸焼結することによって、表面粗さおよび部品寸法
精度に優れたセラミックス基繊維複合材料部品が得られ
るということを見出した。また、機械加工を行わない部
品表面においては、焼結体表面層の構造および繊維層か
らの厚さを制御することによって、機械的性質および耐
環境性に優れることを見出した。本発明はこれら知見に
基づいて完成されたものである。
【0013】すなわち、本発明の請求項1は、セラミッ
クスからなるマトリックス中に繊維構造体を複合化した
セラミックス基繊維複合材料部品において、前記マトリ
ックスの主成分が炭化ケイ素とケイ素からなり、前記部
品表面が機械加工によることなく、25S以下の表面粗
さを持つ箇所を含むことを特徴とする。
【0014】本発明の請求項2は、請求項1記載のセラ
ミックス基繊維複合材料部品において、前記部品表面の
機械加工によらない箇所は、繊維構造体の上にマトリッ
クスと同一成分による表面層またはSi層の少なくとも
一方が形成され、その厚さが20μm以上でかつ対象箇
所の部品厚さの30%以下であることを特徴とする。
【0015】請求項1および請求項2によると、機械加
工によることなく、25S以下の表面粗さを持つ箇所を
含むセラミックス基繊維複合材料部品が得られるので、
仕上げ加工の必要がない箇所ができ、製造工程の一部の
削減が可能であり、その工程の短縮化を図ることができ
る。また、表面層の厚さを20μm以下に設定すると、
部分的Siの含浸焼結が充分に行われない箇所が発生
し、強度特性および耐環境性に劣る結果となる。一方、
優れた破壊抵抗性を保持し高信頼性を確保するために
は、強化繊維が表面層直下まで均質に複合されているこ
とが望ましい。そのためには、対象箇所において表面層
は、部品厚さの30%以内に形成することにより、強化
繊維の複合効果を大きく損なうことがない。
【0016】本発明の請求項3は、セラミックスからな
るマトリックス中に繊維構造体を複合化したセラミック
ス基繊維複合材料部品の製造方法において、セラミック
スからなるマトリックスはSiの溶融含浸による反応焼
結法で行い、機械加工によらない箇所は対応する箇所の
成形体表面に溶融Siの付着を阻害するコート層で覆っ
た後、溶融Siの含浸焼結を行うことを特徴とする。
【0017】本発明の請求項4は、請求項3記載のセラ
ミックス基繊維複合材料部品の製造方法において、前記
溶融Siの付着を阻害するコート層は、窒化ホウ素を主
成分とすることを特徴とする。
【0018】本発明の請求項5は、請求項3記載のセラ
ミックス基繊維複合材料部品の製造方法において、前記
溶融Siの付着を阻害するコート層は、非晶質カーボン
を主成分とすることを特徴とする。
【0019】請求項3乃至請求項5によると、セラミッ
クス基繊維複合材料部品は、例えば以下のように製造さ
れる。すなわち炭素(C)および窒化ホウ素(BN)の
少なくとも一方からなる厚さ0.1〜5μmのすべり層
を、フィラメント表面に化学蒸着:CVD(Chemical V
apor Deposition )法等により形成し、このすべり層が
コーティングされたセラミックス繊維の束(ヤーン)を
織って所定の部品形状に近似した繊維予備成形体(プリ
フォーム)を形成する。この予備成形体中にマトリック
スとなるセラミックススラリーを含浸せしめて成形体を
形成し、上記の焼結体において機械加工を行わない箇所
については、対応する箇所の成形体表面を溶融Siの付
着を阻害するコート層で覆った後、溶融Siの含浸焼結
を行い製造される。
【0020】また、上記溶融Siの付着を阻害するコー
ト層は、例えば、窒化ホウ素を主成分とする膜を、粉末
スラリーの塗布法、CVD法、物理蒸着:PVD(Phys
icalVapor Deposition )法あるいはゾンゲル法等で形
成した酸化ホウ素を窒化することで得られる。また、他
の例としては、非晶質カーボンを主成分とする膜を、樹
脂で塗布した後炭化すること等により得られる。さら
に、上記製造法によれば、部品表面に所定箇所を機械加
工することなしに仕上げ面として使用することが可能と
なり、安価に高機能な部品を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て以下の実施例を参照してより具体的に説明する。 実施例1(請求項1乃至請求項5対応) CVD法により表面に厚さ0.4μmの窒化ホウ素(B
N)皮膜を形成した直径14μmのSiC長繊維(商品
名:ハイニカロン、日本カーボン株式会社製)を用意
し、このSiC長繊維を織り上げて平織りクロスを作製
した。
【0022】一方、骨材としてのSiC粉末(平均粒径
1μm)と、SiC粉末量の30重量%に相当するカー
ボン粉末(平均粒径85nm)とを水系溶媒中に分散剤
を添加して分散させ、低粘度原料スラリーを調整した。
【0023】次に、前記のように作製した平織りクロス
を、前記原料スラリーに含浸しながら複数枚積層し、予
備成形体を作製した。なお、繊維含有率(Vf)は28
%になるように、また、型と予備成形体との間隙は約1
50μmになるように作製した。
【0024】前記予備成形体を多孔質の型内にセット
し、前記原料スラリーで加圧成形後、乾燥した。こうし
て得た乾燥成形体の寸法は、40×40×5mmの角板
状である。この片面中央の20×20mmの領域にの
み、マスクを使用してBN粉末の塗布膜を形成した。用
いたBN粉末の平均粒径は0.5μmで、これをエタノ
ール溶媒中に湿式分散させ、刷毛で約100μmの厚み
に塗布した。このように製作された成形体の模式図を図
1に示す。次に、真空中で1450℃に加熱し、前記成
形体に溶融Siに含浸しながら反応焼結を実施すること
により本実施例に係るセラミックス基複合材料部品モデ
ルを作製した。
【0025】このセラミックス基複合材料部品モデルの
焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
ところ、表面層は全体にわたって十分に焼結が進行して
いた。また、成形体でBN膜を塗布しない通常の焼結面
には、約1mm〜3mm径の半球状のSi塊が数多く付
着しているのに対し、成形体でBN膜を塗布した20×
20mmの領域においては、前記のようなSi塊の付着
は全く認められなかった。この20×20mmの領域に
おいて表面粗さを測定すると、17.5Sであった。従
って、機械加工によることなく、25S以下の表面粗さ
を持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合材料部品が得
られるので、仕上げ加工の必要がない箇所ができ、製造
工程の削減等の工程短縮が可能である。
【0026】また、この領域を中央に含むように2×1
0×40mmの曲げ試験片を切り出し加工した。曲げ試
験の引張り面側に、対象の20×20mm領域がセット
されるようにし、この面は無加工とした。得られた3点
曲げ強度特性は、初期マトリックス破壊強度=192M
Pa、最大強度=451MPa、破壊エネルギー=6.
5kJ/m2 で、切削加工面において同一条件で評価し
た特性(初期マトリックス破壊強度=200MPa、最
大強度=450MPa、破壊エネルギー=6.8kJ/
2 )と、ほぼ同一の特性を示した。また破面におい
て、繊維層から対象表面までの表面層厚さを測定したと
ころ、平均約155μmであった。以上説明した実施例
1の評価値を表1に纏めている。
【0027】実施例2(請求項1乃至請求項5対応) 実施例1と同様の方法で、セラミックス基繊維複合材料
の乾燥成形体を得た。さらに実施例1と同様に、この乾
燥成形体の片面中央の20×20mmの領域にのみ、C
VD法で約50μmのBN膜を形成した。次に、真空中
で1450℃に加熱し、上記成形体に溶融Siを含浸し
ながら反応焼結を実施することにより本実施例に係るセ
ラミックス基複合材料部品モデルを作製した。
【0028】このセラミックス基複合材料部品モデルの
焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
ところ、表面層は全体にわたって十分に焼結が進行して
いた。また、成形体でBN膜を塗布しない通常の焼結面
には、約1mm〜3mm径の半球状のSi塊が数多く付
着しているのに対し、成形体でBN膜を形成した20×
20mmの領域においては、前記のようなSi塊の付着
は全く認められなかった。この20×20mmの領域に
おいて表面粗さを測定すると、14.0Sであった。従
って、機械加工によることなく、25S以下の表面粗さ
を持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合材料部品が得
られるので、仕上げ加工の必要がない箇所ができ、製造
工程の削減等の工程短縮が可能である。
【0029】また、この領域を中央に含むように2×1
0×40mmの曲げ試験片を切り出し加工した。曲げ試
験の引張り面側に、対象の20×20mm領域がセット
されるようにし、この面は無加工とした。得られた3点
曲げ強度特性は、初期マトリックス破壊強度=201M
Pa、最大強度=445MPa、破壊エネルギー=6.
7k/m2 で、切削加工面において同一条件で評価した
特性(初期マトリックス破壊強度=200MPa、最大
強度=450MPa、破壊エネルギー=6.8kJ/m
2 )と、ほぼ同一の特性を示した。また破面において、
繊維層から対象表面までの表面層厚さを測定したとこ
ろ、平均約152μmであった。以上説明した実施例2
の評価値を表1に纏めている。
【0030】実施例3(請求項1乃至請求項5対応) 実施例1と同様の方法で、セラミックス基繊維複合材料
の乾燥成形体を得た。さらに同様に、この乾燥成形体の
片面中央の20×20mmの領域にのみ、フラン樹脂を
塗布し、窒素ガス中1000℃に加熱・炭化し、約10
0μmの非晶質C膜を形成した。次に、真空中で145
0℃に加熱し、上記成形体に溶融Siを含浸しながら反
応焼結を実施することにより本実施例に係るセラミック
ス基複合材料部品モデルを作製した。
【0031】このセラミックス基複合材料部品モデルの
焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
ところ、表面層は全体にわたって十分に焼結が進行して
いた。また、成形体でBN膜を塗布しない通常の焼結面
には、約1mm〜3mm径の半球状のSi塊が数多く付
着しているのに対し、成形体でBN膜を形成した20×
20mmの領域においては、前記のようなSi塊の付着
は全く認められなかった。この20×20mmの領域に
おいて表面粗さを測定すると、10.2Sであった。従
って、機械加工によることなく、25S以下の表面粗さ
を持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合材料部品が得
られるので、仕上げ加工の必要がない箇所ができ、製造
工程の削減等の工程短縮が可能である。
【0032】また、この領域を中央に含むように2×1
0×40mmの曲げ試験片を切り出し加工した。曲げ試
験の引張り面側に、対象の20×20mm領域がセット
されるようにし、この面は無加工とした。得られた3点
曲げ強度特性は、初期マトリックス破壊強度=189M
Pa、最大強度=438MPa、破壊エネルギー=6.
4k/m2 で、切削加工面において同一条件で評価した
特性(初期マトリックス破壊強度=200MPa、最大
強度=450MPa、破壊エネルギー=6.8kJ/m
2 )と、ほど同一の特性を示した。また破面において、
繊維層から対象表面までの表面層厚さを測定したとこ
ろ、平均約160μmであった。以上説明した実施例3
の評価値を表1に纏めている。
【0033】実施例4(請求項1乃至請求項5対応) 実施例1と同様の方法で、セラミックス基繊維複合材料
の乾燥成形体を得た。さらに同様に、この乾燥成形体の
片面中央の20×20mmの領域にのみ、CVD法によ
り、約50μmの非晶質C膜を形成した。次に、真空中
で1450℃に加熱し、上記成形体に溶融Siを含浸し
ながら反応焼結を実施することにより本実施例に係るセ
ラミックス基複合材料部品モデルを作製した。
【0034】このセラミックス基複合材料部品モデルの
焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
ところ、表面層は全体にわたって十分に焼結が進行して
いた。また、成形体でBN膜を塗布しない通常の焼結面
には、約1mm〜3mm径の半球状のSi塊が数多く付
着しているのに対し、成形体でBN膜を形成した20×
20mmの領域においては、前記のようなSi塊の付着
は全く認められなかった。この20×20mmの領域に
おいて表面粗さを測定すると、11.3Sであった。従
って、機械加工によることなく、25S以下の表面粗さ
を持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合材料部品が得
られるので、仕上げ加工の必要がない箇所ができ、製造
工程の削減等の工程短縮が可能である。
【0035】また、この領域を中央に含むように2×1
0×40mmの曲げ試験片を切り出し加工した。曲げ試
験の引張り面側に、対象の20×20mm領域がセット
されるようにし、この面は無加工とした。得られた3点
曲げ強度特性は、初期マトリックス破壊強度=190M
Pa、最大強度=441MPa、破壊エネルギー=6.
5k/m2 で、切削加工面において同一条件で評価した
特性(初期マトリックス破壊強度=200MPa、最大
強度=450MPa、破壊エネルギー=6.8kJ/m
2 )と、ほぼ同一の特性を示した。また破面において、
繊維層から対象表面までの表面層厚さを測定したとこ
ろ、平均約162μmであった。以上説明した実施例4
の評価値を表1に纏めている。
【0036】実施例5(請求項1乃至請求項5対応) 実施例1と同様の方法で、予備成形体を作製した。この
際、繊維含有率(Vf)は28%になるように、また、
型と予備成形体との間隙は約500μmになるように作
製した。この作製した予備成形体を多孔質の型内にセッ
トし、前記原料スラリーで加圧成形後、乾燥した。こう
して得た乾燥成形体(40×40×5mmの角板状)の
片面中央の20×20mmの領域にのみ、実施例1と同
様の方法でBN膜を形成した。次に、真空中で1450
℃に加熱し、上記成形体に溶融Siを含浸しながら反応
焼結を実施することにより本実施例に係るセラミックス
基複合材料部品モデルを作製した。
【0037】このセラミックス基複合材料部品モデルの
焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した
ところ、表面層は全体にわたって十分に焼結が進行して
いた。また成形体でBN膜を塗布しない通常の焼結面に
は、約1mm〜3mm径の半球状のSi塊が数多く付着
しているのに対し、成形体でBN膜を塗布した20×2
0mmの領域においては、前記のようなSi塊の付着は
全く認められなかった。この20×20mmの領域にお
いて表面粗さを測定すると、18.5Sであった。従っ
て、機械加工によることなく、25S以下の表面粗さを
持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合材料部品が得ら
れるので、仕上げ加工の必要がない箇所ができ、製造工
程の削減等の工程短縮が可能である。
【0038】また、この領域を中央に含むように2×1
0×40mmの曲げ試験片を切り出し加工した。曲げ試
験の引張り面側に、対象の20×20mm領域がセット
されるようにし、この面は無加工とした。得られた3点
曲げ強度特性は、初期マトリックス破壊強度=223M
Pa、最大強度=411MPa、破壊エネルギー=4.
5kJ/m2 で、切削加工面において同一条件で評価し
た特性(初期マトリックス破壊強度=200MPa、最
大強度=450MPa、破壊エネルギー=6.8kJ/
2 )と、同様に初期破壊後も変位の増加に伴い、荷重
が上昇していく安定的な破壊挙動を示した。また破面に
おいて、繊維層から対象表面までの表面層厚さを測定し
たところ、平均約520μm(試験片厚みの26%)で
あった。以上説明した実施例5の評価値を表1に纏めて
いる。
【0039】前記実施例1から実施例5の条件によれ
ば、加工によらず表面の面粗度が小さい箇所を含むセラ
ミックス基繊維複合材料部品が得られ、かつ機械特性は
大幅に劣化しないことを確認した。
【0040】(比較例1)実施例1と同様の方法で、セ
ラミックス基繊維複合材料の乾燥成形体を作製した。さ
らに同様に、この乾燥成形体の片面中央の20×20m
mの領域にのみ、平均粒径0.3μmのC粉末スラリー
を塗布し、約100μmのCコート層を形成した。次
に、真空中で1450度に加熱し、上記成形体に溶融S
iを含浸しながら反応焼結を実施することより比較例1
に係るセラミックス基複合材料部品モデルを作製した。
【0041】この比較例1に係るセラミックス基複合材
料部品モデルの焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SE
M)で観察したところ、表面層は全体にわたって十分に
焼結が進行していた。また、成形体でC膜を塗布した領
域を含め、焼結後は約1mm〜3mm径の半球状のSi
塊が数多く付着していた。以上説明した比較例1の評価
値を表1に纏めている。
【0042】(比較例2)実施例1と同様の方法で、予
備成形体を作製した。この際、繊維含有率(Vf)は2
8%になるように、また、型と予備成形体との間隙は約
700μmになるように作製した。この作製した予備成
形体を多孔質の型内にセットし、前記原料スラリーで加
圧成形後、乾燥した。こうして得た乾燥成形体(40×
40×5mmの角板状)の片面中央の20×20mmの
領域にのみ、実施例1と同様の方法でBN膜を形成し
た。次に、真空中で1450℃に加熱し、上記成形体に
溶融Siを含浸しながら反応焼結を実施することにより
比較例2に係るセラミックス基複合材料部品モデルを作
製した。
【0043】この比較例2に係るセラミックス基複合材
料部品モデルの焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SE
M)で観察したところ、表面層は全体にわたって十分に
焼結が進行していた。また、成形体でBN膜を塗布しな
い通常の焼結面には、約1mm〜3mm径の半球状のS
i塊が数多く付着しているのに対し、成形体でBN膜を
塗布した20×20mmの領域においては、前記のよう
なSi塊の付着は全く認められなかった。この20×2
0mmの領域において表面粗さを測定すると、18.4
Sであった。
【0044】また、この領域を中央に含むように2×1
0×40mの曲げ試験片を切り出し加工した。曲げ試験
の引張り面側に、対象の20×20mm領域がセットさ
れるようにし、この面は無加工とした。得られた3点曲
げ強度特性は、初期マトリックス破壊強度=312MP
aで、その後は変位の増大に伴い、荷重が急激に減少す
る不安定な破壊形態を示した。破面において、繊維層か
ら対象表面までの表面層厚さを測定したところ、平均約
720μm(試験片厚みの36%)であった。以上説明
した比較例2の評価値を表1に纏めている。
【0045】(比較例3)実施例1と同様の方法で、予
備成形体を作製した。この際、繊維含有率(Vf)は2
8%になるように、また、型と予備成形体との間隙はほ
ぼ0μmになるように作製した。この作製した予備成形
体を多孔質の型内にセットし、前記原料スラリーで加圧
成形後、乾燥した。こうして得た乾燥成形体(40×4
0×5mmの角板状)の片面中央の20×20mmの領
域にのみ、実施例1と同様の方法でBN膜を形成した。
次に、真空中で1450℃に加熱し、上記成形体に溶融
Siを含浸しながら反応焼結を実施することにより、比
較例3に係るセラミックス基複合材料部品モデルを作製
した。
【0046】この比較例3に係るセラミックス基複合材
料部品モデルの焼結後の表面を走査型電子顕微鏡(SE
M)で観察したところ、成形体でBN膜を形成した領域
において、十分な焼結が進行せず、成形体のままの粉末
層が残っている部分が観察された。一方、成形体でBN
膜を塗布しない通常の焼結面には約1mm〜3mm径の
半球状のSi塊が数多く付着していた。BN膜を塗布し
た20×20mmの領域においては、未焼結部分のポア
を含めた表面粗さを測定すると、36Sであった。
【0047】また、この領域を中央に含むように2×1
0×40mmの曲げ試験片を切り出し加工した。曲げ試
験の引張り面側に、対象の20×20mm領域がセット
されるようにし、この面は無加工とした。得られた3点
曲げ強度特性は、初期マトリックス破壊強度=96MP
a、最大強度=322MPa、破壊エネルギー=3.4
kJ/m2 で、切削加工面において同一条件で評価した
特性(初期マトリックス破壊強度=200MPa、最大
強度=450MPa、破壊エネルギー=6.8kJ/m
2 )に比較し、いずれも低特性であった。また、破面に
おいて、繊維層から対象表面までの表面層厚さを測定し
たところ、0μmの部分も存在するが、平均約5μmで
あった。以上説明した比較例3の評価値を表1に纏めて
いる。
【0048】前記比較例1乃至比較例3に示すように、
成形体表面を覆う溶融Siの付着を阻害するコート層の
材質には好適なものがあるが、機械特性の劣化を低減す
るために表面層厚さの制御が必要なことが確認された。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わるセ
ラミックス基繊維複合材料部品(請求項1及び請求項2
対応)およびその製造方法(請求項3乃至請求項5対
応)によれば、反応焼結法によりSiCマトリックスを
形成するセラミックス基繊維複合材料部品の製造方法に
おいて、成形体で過剰Siの付着を防止するコート層を
形成しているので、機械加工によることなく、25S以
下の表面粗さを持つ箇所を含むセラミックス基繊維複合
材料部品が得られる。従って、仕上げ加工の必要がない
箇所ができるため、製造コストの大幅の削減が可能であ
る。また、機械加工の困難な箇所を同様の方法で製造す
ることも可能で、セラミックス基繊維複合材料部品の製
造のみならず設計も容易となる。
【0051】さらに、上記機械加工によらない箇所の表
面層は、マトリックスと同一成分またはSi層の少なく
とも一方から形成され、その厚みを20μm以上かつ対
象部品箇所厚さの30%以下にすることにより、機械特
性を大幅に損なうことなく耐環境性に優れた表面層とで
き、高信頼性の部品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るSiの付着防止コートを形成した
成形体の模式図。
【図2】図1の成形体の3点曲げ試験における荷重−変
位を示す曲線図。
【符号の説明】
1…Siの付着防止コート、2…成形体、3…初期マト
リックス破壊強度、4…最大強度、5…破壊エネルギー
(曲線下の面積)。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックスからなるマトリックス中に
    繊維構造体を複合化したセラミックス基繊維複合材料部
    品において、前記マトリックスの主成分が炭化ケイ素と
    ケイ素からなり、前記部品表面が機械加工によることな
    く、25S以下の表面粗さを持つ箇所を含むことを特徴
    とするセラミックス基繊維複合材料部品。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のセラミックス基繊維複合
    材料部品において、前記部品表面の機械加工によらない
    箇所は、繊維構造体の上にマトリックスと同一成分によ
    る表面層またはSi層の少なくとも一方が形成され、そ
    の厚さが20μm以上でかつ対象箇所の部品厚さの30
    %以下であることを特徴とするセラミックス基繊維複合
    材料部品。
  3. 【請求項3】 セラミックスからなるマトリックス中に
    繊維構造体を複合化したセラミックス基繊維複合材料部
    品の製造方法において、セラミックスからなるマトリッ
    クスはSiの溶融含浸による反応焼結法で行い、機械加
    工によらない箇所は対応する箇所の成形体表面に溶融S
    iの付着を阻害するコート層で覆った後、溶融Siの含
    浸焼結を行うことを特徴とするセラミックス基繊維複合
    材料部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載のセラミックス基繊維複合
    材料部品の製造方法において、前記溶融Siの付着を阻
    害するコート層は、窒化ホウ素を主成分とすることを特
    徴とするセラミックス基繊維複合材料部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3記載のセラミックス基繊維複合
    材料部品の製造方法において、前記溶融Siの付着を阻
    害するコート層は、非晶質カーボンを主成分とすること
    を特徴とするセラミックス基繊維複合材料部品の製造方
    法。
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