JPH08169761A - 炭化珪素基繊維複合材料の製造方法 - Google Patents

炭化珪素基繊維複合材料の製造方法

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JPH08169761A
JPH08169761A JP6313436A JP31343694A JPH08169761A JP H08169761 A JPH08169761 A JP H08169761A JP 6313436 A JP6313436 A JP 6313436A JP 31343694 A JP31343694 A JP 31343694A JP H08169761 A JPH08169761 A JP H08169761A
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JP
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carbon
sic
composite material
ceramic
matrix
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JP6313436A
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English (en)
Inventor
Akio Sayano
顕生 佐谷野
Chihiro Shudo
千尋 周藤
Noboru Amiji
登 網治
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】特に大型の複合材料または複雑形状を有する複
合材料の場合でも、高い寸法精度で容易に製造すること
が可能であり、かつ緻密で破壊に対する抵抗が大きな炭
化珪素基繊維複合材料の製造方法を提供する。 【構成】所定形状を有する多孔質炭素成形体1とセラミ
ックス繊維2とを配置して積層体3を形成し、得られた
積層体3を加熱して溶融珪素を含浸せしめ、珪素と炭素
成分とを反応焼結させて炭化珪素から成るマトリックス
を形成し、マトリックスとセラミック繊維2とを一体化
することを特徴とする。また多孔質炭素成形体1の嵩密
度を1.0g/cm3 以下,平均気孔径を0.5μm以上
に設定するとよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭化珪素マトリックス中
にセラミックス繊維を複合した炭化珪素基繊維複合材料
の製造方法に係り、特に大型の複合材料または複雑形状
を有する複合材料の場合でも、高い寸法精度で容易に製
造することが可能であり、また破壊に対する抵抗性を大
幅に改善することが可能な炭化珪素基繊維複合材料の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にセラミックス焼結体は、高温まで
強度低下が少なく、硬度,電気絶縁性,耐摩耗性,耐熱
性,耐腐食性,軽量性等の諸特性が従来の金属材と比較
して優れているため、重電設備部品,航空機部品,自動
車部品,電子機器,精密機械部品,半導体装置材料など
の電子用材料や構造用材料として広い分野において使用
されている。
【0003】しかし、セラミックス焼結体は、圧縮に較
べて引張の応力に弱く、特にこの引張り応力下では破壊
が一気に進行する、いわゆる脆性という欠点を有してい
る。このようなことから、高信頼性が要求される部位へ
のセラミックス部品の適用を可能にするために、セラミ
ックス焼結体の高靭性化や破壊エネルギーの増大を図る
ことが強く求められている。
【0004】すなわちガスタービン部品,航空機部品,
自動車部品等に使用されるセラミックス構造部品には耐
熱性および高温強度に加えて高い信頼性が要求される。
そのため無機物質や金属から成る補強繊維,ウィスカ
ー,プレート,粒子等の強化素材をマトリックス焼結体
に分散複合化させて靭性値や破壊エネルギー値等を高め
たセラミックス基複合材料(CMC:Ceramic Matrix C
omposites )の実用化研究が内外の研究機関等において
進められている。
【0005】上記のようなセラミックス基複合材料(C
MC)において、特に繊維を強化素材として用いたもの
は、破壊靭性や破壊エネルギーの増大効果に優れ、信頼
性の向上に対しては大きな効果を示す。上記CMC用の
強化素材としては、ガラス繊維,炭素繊維,セラミック
ス繊維等の連続繊維や短繊維が主として使用されてい
る。
【0006】上記繊維強化したセラミックス基繊維複合
材料の中でも、特に炭化珪素(SiC)をマトリックスとす
る複合材料は、高い耐熱特性を有することから高温用構
造部材を構成する材料として有望である。
【0007】従来、上記のようなセラミックス基繊維複
合材料における強化素材の複合方法として下記のような
方法が採用されている。すなわちセラミックス繊維で形
成した予備成形体内にスリップキャスト法などの湿式法
でセラミックス原料粉末を充填し、強化素材を含む成形
体を作製した後、通常の焼結体の作製と同様に、常圧焼
結,雰囲気加圧焼結,ホットプレス,HIP等で焼結す
る方法が挙げられる。
【0008】しかしながら、現在市販されているセラミ
ックス繊維は、耐熱温度が低く、1200℃前後におい
て劣化が始まり、耐熱性や耐酸化性が低い欠点がある。
また現在開発中の耐熱繊維でも、温度1600℃から強
度の低下が始まることが報告されている。
【0009】一方、炭化けい素(SiC),窒化けい素
(Si3 4 ),サイアロン(Si−Al−O−N)等
のセラミックスをマトリックスとする場合、通常の粉末
焼成法では焼結温度が1600〜2200℃とかなり高
い。したがって、上記焼結温度で焼結を実施した場合に
は、強化素材(繊維)が焼成中に劣化・分解してしま
い、複合繊維としての機能を喪失してしまう。また、収
縮を伴う焼結では、収縮が阻害されて緻密化できない。
さらに、収縮時に繊維が機械的にダメージを受けるとい
う問題がある。特にホットプレスやHIPでは、強化素
材が高温・高圧状態を経るため、強化素材が劣化し易い
という問題もある。
【0010】そこで従来の繊維複合材料の製造方法にお
いては、焼成温度を下げ、繊維の劣化を防止することを
主目的として以下のような製造方法が採用されていた。
【0011】(1) 気体の化学反応による方法(CVI
法:Chemical Vapor Infiltration ,化学蒸気含浸
法):マトリックス原料となる気体を強化素材から成る
予備成形体内部に温度や圧力の勾配をつけて導入し、そ
こで化学反応させて反応生成物を析出させてマトリック
スを合成する方法である。
【0012】(2) 有機ポリマーからの合成:マトリック
ス原料としてのポリシラザン,ポリカルボシラシ,ポリ
シラスチレンなどの有機ポリマーを使用してSiCやS
3 4 などのマトリックスを合成する方法である。す
なわち、セラミックス粉末を溶媒に溶かし、さらに有機
ポリマーを混合したものを強化素材から成る予備成形体
に含浸せしめて成形し、得られた成形体を焼成する方法
である。
【0013】(3) 溶融金属との反応焼結による方法:炭
素源,骨材成分などの出発原料および強化素材を含有す
る成形体中にSiなどの溶融金属を含浸し、出発原料と
溶融金属との反応焼結によりマトリックスを形成する方
法である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(1)項のCVI法によれば、反応温度が低く、強化素
材へのダメージが少なく、また焼結助剤を含まず高純度
のマトリックスが得られるという利点がある反面、製造
に長時間を要する難点がある。また、製造した複合材料
中のマトリックス密度を90%以上の高密度にすること
も困難である。特に設備費用を含めて複合材料の製造コ
ストが高くなるという問題点がある。
【0015】また(2)項の有機ポリマーからの合成法
を使用してSiCやSi3 4 などのマトリックスを合
成する場合、酸素を含んだ非晶質のマトリックスが形成
され易いため、1200℃以上の高温での強度特性が劣
り、かつ高密度化が困難な問題点がある。
【0016】さらに(3)項の溶融金属と出発原料との
反応による方法によれば、焼結温度が低く、かつ焼結時
における収縮が極めて少ないため、特に小型で単純形状
を有する複合材料の製造方法として優れている。しかし
ながら大型形状物や複雑形状物を、上記反応焼結法を使
用して製造することは極めて困難であった。すなわち、
大型で複雑形状を有する成形体を従来のスリップキャス
ト法などの湿式法によって形成する場合、カーボンブラ
ック粉末などの炭素源や骨材成分を成形体全体にわたっ
て均一に分散することが困難であったため、湿式成形後
あるいは反応焼結操作後においてクラックが発生し易
く、また変形を生じ易い問題点があった。そのため、寸
法精度が高く信頼性に優れた複合材料を高い歩留りで得
ることが困難であるという致命的な問題点があった。
【0017】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、特に大型の複合材料または複雑形状を
有する複合材料の場合でも、高い寸法精度で容易に製造
することが可能であり、かつ緻密で破壊に対する抵抗が
大きな炭化珪素基繊維複合材料の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らはマトリックスの焼結法として、焼結温
度が低く、かつ焼結時に収縮が極めて少なく寸法精度が
良い反応焼結法を採用するとともに、均一なマトリック
スを形成するための炭素源として多孔質炭素成形体を採
用した。この多孔質炭素成形体によれば、従来の粉状炭
素源を使用した場合と比較して、複雑形状製品に対応し
た所定形状とすることが容易であることが判明した。ま
た上記多孔質炭素成形体とセラミックス繊維とを交互に
配置した後に、多孔質炭素成形体と珪素とを反応させて
炭化珪素マトリックスに転化することによりセラミック
ス繊維とマトリックスとが一体化したSiC基繊維複合
材料が容易に得られるという知見を得た。また得られた
複合材料は、焼結によるセラミックス繊維の劣化が少な
いため、優れた耐熱性と靭性とを有するという知見を得
た。本発明は上記知見に基づいて完成されたものであ
る。
【0019】すなわち本発明に係る炭化珪素(SiC)
基繊維複合材料の製造方法は、所定形状を有する多孔質
炭素成形体とセラミックス繊維とを配置して積層体を形
成し、得られた積層体を加熱して溶融珪素を含浸せし
め、珪素と炭素成分とを反応焼結させて炭化珪素から成
るマトリックスを形成し、マトリックスとセラミック繊
維とを一体化することを特徴とする。
【0020】また多孔質炭素成形体の嵩密度が1.0g
/cm3 以下であることを特徴とする。さらに多孔質炭素
成形体の平均気孔径は、0.5μm以上に、さらに好ま
しくは2μm以上に設定するとよい。
【0021】ここで上記多孔質炭素成形体は溶融珪素と
反応してSiCマトリックスを形成するための炭素源で
ある。この多孔質炭素成形体を構成する材料としては、
嵩密度が1.0g/cm3 以下または平均気孔径が0.5
μm以上である比較的に多孔質の炭素質材料が好適であ
る。上記炭素質材料の嵩密度が1.0g/cm3 を超える
場合または平均気孔径が0.5μm未満と緻密な場合に
おいては、溶融珪素が炭素質材料の中心部まで充分に円
滑に含浸されない等の理由により、反応焼結によって炭
素源が完全にSiCマトリックスに転換されず、多くの
未反応カーボン部分がマトリックス中に残存してしま
う。その結果、高い耐熱性を有する複合材料が得られな
いことになる。
【0022】上記のような嵩密度または平均気孔径を有
する炭素質材料の具体例としては、黒鉛質の多孔質カー
ボン,炭素質の多孔質カーボン,ガラス質の多孔質カー
ボン,炭素質繊維から成るフェルト,ひも状体,カーボ
ン繊維織物等が好適である。
【0023】本願発明方法において、上記炭素質材料
は、最終製品形状に対応した形状に予め成形加工された
多孔質炭素成形体として使用されることにより、Si含
浸後の加工を容易に、かつ歩留り良く実施することが可
能となる。
【0024】また上記セラミックス繊維は反応焼結Si
Cマトリックスの靭性を高めるために所定量配合され
る。このセラミックス繊維としては、長繊維,短繊維,
ウィスカー等の種々の形状のものが使用され、またこの
セラミックス繊維の材質は、特に限定されるものではな
く、マトリックスの構成材料と同様なセラミックス材料
を用いることもできる。このようなセラミックス繊維の
具体例としては、炭化けい素系繊維(SiC,Si−C
−O,Si−Ti−C−O等),SiC被覆繊維(芯線
は例えばC),アルミナ(Al2 3 )繊維,ジルコニ
ア(ZrO2 )繊維,炭素(C)繊維,ボロン(B)繊
維,窒化けい素(Si3 4 )系繊維,Si3 4 被覆
繊維(芯線は例えばC),ムライト繊維,SiCウィス
カー,Si3 4 ウィスカー,Al2 3 ウィスカー,
ZrO2 ウィスカー等の繊維状物質から選択された少な
くとも一種を使用するとよい。
【0025】これらのセラミックス繊維は、複合材料全
体に対して繊維体積率(Vf)で10%以上の割合で添
加されることが好ましい。しかしながら添加量が50%
を超える過量となると、各繊維周囲に均一にマトリック
スを配置することが困難になり、欠陥の発生に伴い複合
材料の強度特性が急激に低下してしまうこともある。し
たがって複合効果が現れる好ましい添加量は1〜50体
積%であり、より好ましくは10〜40体積%の範囲で
ある。
【0026】セラミックス繊維の径および長さは、成形
体中における繊維の配置,繊維とマトリックスとの界面
状態,複合材料の強度特性,破壊エネルギーに大きく影
響を及ぼす。特に複合材料の靭性を向上させる観点から
繊維の径および長さについては、本発明では直径が1μ
m以上、好ましくは3〜150μm、長さが0.1mm以
上の短繊維または連続繊維を使用する。直径が1μm未
満の場合にはマトリックスの補強効果が少なく、また直
径が150μmを超える太い繊維では、熱膨張差等によ
り割れが発生し易くなるとともに、微視的なレンジでの
クラック進展に対する阻止効果が期待できず、かつ繊維
の剛性が大きいため製品形状付与が困難になる。また繊
維の長さが0.1mm未満の場合にも、クラック進展に対
する阻止効果が少なく靭性の改善効果も少なくなる。
【0027】すなわち、直径が1〜150μmで、かつ
長さが0.1mm以上のセラミックス繊維を用いることに
よって、良好な形状付与性能を維持しつつ、繊維による
複合効果を大幅に改善することが可能となる。すなわち
最終的に得られるSiC基繊維複合材料の破壊に対する
抵抗、すなわち破壊靭性値を充分に向上させることがで
きる。但し、このようなセラミックス繊維の含有量が1
%未満であると、上記した繊維による複合効果が充分に
発揮されないため、セラミックス繊維の含有量は1%以
上とすることが好ましい。
【0028】また上記セラミックス繊維を多孔質炭素成
形体と積層する前に、カーボンおよび炭化珪素の少なく
とも一方を含有するスラリー中に、上記セラミックス繊
維を予め浸漬し、セラミックス繊維間の間隙部を、上記
カーボンや炭化珪素成分によって部分的に埋めることに
より、より緻密で高強度のSiC基繊維複合材料とする
ことができる。すなわち間隙部を埋めた炭素成分は、焼
結時に珪素と反応し最終的にSiCに転換され、マトリ
ックス同士をより強固に結合させる作用を発揮する。な
お上記セラミックス繊維の間隙部を埋める方法として
は、上記のスラリー含浸法の他にCVD法(化学的蒸着
法)やPVD法(物理的蒸着法)などの気相法を採用す
ることもできる。
【0029】また上記セラミックス繊維とマトリックス
との界面に、初期破壊強度を低下させない剪断強度を付
与するため、および初期破壊後の繊維の引き抜け時のす
べり抵抗を大きくし破壊エネルギーを増大化させるため
に、セラミックス繊維表面に厚さ5μm以下程度のすべ
り層を形成するとよい。このすべり層は繊維表面に、例
えば窒化ほう素(BN)等をコーティングして形成する
とよい。
【0030】上記すべり層によりセラミックス繊維と、
マトリックスとの間の反応を防止することができ、また
応力負荷時に界面での剥離が生じて靭性向上に不可欠の
繊維の引抜けが生じるような複合材料が得られる。
【0031】上記のようなセラミックス繊維をマトリッ
クス中に分散したセラミックス基繊維複合材料は、例え
ば下記の工程で製造される。すなわち嵩密度が1.0g/
cm3以下または平均気孔径が0.5μm以上である前記
多孔質の炭素質材料に、最終製品形状に対応する所定形
状を付与して多孔質炭素成形体を調製する。一方、すべ
り層を必要に応じて形成したセラミックス繊維で所定形
状の二次元織物や三次元織物を形成する。さらに必要に
応じてセラミックス繊維から成る織物を、前記カーボン
や炭化珪素を含むスラリー中に浸漬して織物の間隙部を
カーボン等で埋めておく。次に上記のように調製した多
孔質炭素成形体とセラミックス繊維織物とを交互に配置
して積層体とする。
【0032】しかる後に、得られた積層体を上記多孔質
炭素成形体の珪化に必要なSi量を充填したカーボンモ
ールド中に配置し、真空または不活性ガス雰囲気に調整
した焼成炉において、Siの融点付近の温度範囲、具体
的には1400℃以上であり、かつ真空中または不活性
ガス雰囲気中において実質的にSiが溶融し、またSi
の蒸着が顕著となる温度未満の範囲で1〜10時間程度
加熱することにより、溶融Siの含浸を行いつつ、Si
とCとの反応焼結を進行せしめてSiCマトリックスを
形成することにより、目的とする緻密なSiC基繊維複
合材料が得られる。
【0033】なお溶融Siを含浸させる際に使用するカ
ーボンモールドを構成する材料としては、溶融Siとの
反応を回避するために、気孔率が5%以下の緻密なカー
ボン材を使用する。
【0034】ここで上記反応焼結温度は、具体的には1
400℃以上であり、かつ真空中または不活性ガス雰囲
気中において実質的にSiの蒸着が顕著となる温度未満
の範囲に設定される。反応焼結温度が1400℃未満の
場合には、反応焼結が十分に進行せず、未反応の部分が
残留してしまう。一方、温度が実質的にSiが溶融する
温度を大幅に超えSiの蒸発が顕著となる場合は、セラ
ミックス繊維の熱劣化による強度低下を起こしてしま
う。あるいはSiが蒸発してしまうため、反応焼結温度
は上記範囲に設定される。
【0035】なお、多孔質炭素成形体と珪素とを反応さ
せ、炭化珪素(SiC)へ転換させる方法としては、上
記のように、高温真空中または不活性ガス雰囲気中で多
孔質炭素成形体と溶融Siとを反応させる方法の他に、
CVD法(化学的蒸着法)等の気相反応を用いる方法が
ある。
【0036】
【作用】上記構成に係る炭化珪素基繊維複合材料の製造
方法によれば、マトリックスを形成するための炭素源と
して多孔質炭素成形体を採用しているため、従来の粉状
炭素源を使用する場合と比較して、複雑形状製品に対応
した所定形状を付与することが極めて容易であり、かつ
炭素源をその製品形状全体に均一に配置することが可能
である。したがって大型で複雑形状を有する複合材料の
場合でも、組成むらや変形を生じるおそれが少なく、緻
密で高い寸法精度を有する複合材料を容易に製造するこ
とができる。
【0037】また焼結温度が低く、かつ焼結時における
寸法収縮が少ない反応焼結法によってSiCマトリック
スを形成しているため、セラミックス繊維の劣化を効果
的に防止でき、よって高靭性化や破壊エネルギーの増大
を有効に実現することができる。さらに焼結時の収縮が
少ないため、目的とする複雑形状製品に近似した複合材
料を得ることができ、後加工に要するコストの削減を図
ることも可能となる。
【0038】
【実施例】次に本発明を以下の実施例に基づいて具体的
に説明する。
【0039】実施例1 反応焼結SiCマトリックスの出発原料となる炭素質材
料として、嵩密度が0.50g/cm3 であり、平均気孔
径が20μmであるガラス質カーボンを機械研削加工す
ることにより、図1に示すような外径100mm,内径5
0mmのリング状の多孔質炭素成形体1を多数調製した。
【0040】一方、直径10μmの炭化珪素(SiC)
連続繊維から成る2次元織物を切り出して、図1に示す
ように、外径100mm,内径50mmのリング状のセラミ
ックス織物を多数調製した。さらに上記各セラミックス
織物を、SiCおよびカーボンを含有するスラリー中に
浸漬することにより、セラミックス織物の空隙部をSi
C成分およびカーボンで部分的に埋めたセラミックス繊
維織物2を用意した。次に上記多孔質炭素成形体1とセ
ラミックス繊維織物2とを、厚さ方向に交互に配置し
て、図1に示すような積層体3を調製した。
【0041】次に上記多孔質炭素成形体1と、織物の空
隙部に埋められたカーボン成分との珪化に必要な粉末S
iを充填したカーボンモールド内に、上記積層体3を配
置し、治具により固定した。そして真空中にて1480
℃の温度で1時間保持することにより、溶融珪素の含浸
を行いつつ、上記多孔質炭素成形体1およびカーボン成
分を反応焼結させて炭化珪素(SiC)に転化し、全体
としてSiCマトリックス中にSiC連続繊維2次元シ
ートを一体に埋め込んだ構造を有する実施例1に係るS
iC基繊維複合材料を多数調製した。
【0042】比較例1 実施例1で調製したセラミックス繊維織物2を使用する
一方、多孔質炭素成形体の代りにカーボンブラック粉末
を炭素源として使用し、下記従来製法で比較例1に係る
SiC基繊維複合材料を調製した。すなわち骨材として
のSiC粉末と炭素源としてのカーボンブラックとを溶
媒に分散せしめて低粘度原料スラリーを調製した。次に
この原料スラリーを上記セラミックス繊維織物2中に含
浸させて、セラミックス成形体とした。またセラミック
ス繊維織物2は原料スラリー中に埋設されるように形成
された。
【0043】次に得られたセラミックス成形体を自然乾
燥後、N2 ガス雰囲気中で温度600℃で2時間脱脂し
た後に、真空中で温度1480℃に加熱保持し、成形体
中に溶融したSiを含浸させながら反応焼結を実施し、
SiCから成る反応焼結マトリックスを形成することに
より、比較例1に係るSiC基繊維複合材料を調製し
た。
【0044】上記のように調製した実施例1および比較
例1に係る各SiC基繊維複合材料について、密度,室
温(RT)および高温(1300℃)における三点曲げ
強度,破壊靭性値および割れや変形等の欠陥の発生割合
を測定した。測定評価結果を下記表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1に示す結果から明らかなように、炭素
源として多孔質炭素成形体を使用し、反応焼結法によっ
てSiCマトリックスを形成した実施例1に係るSiC
基繊維複合材料は、従来のカーボンブラック粉末を使用
して形成した比較例1に係る複合材料と比較して、炭素
源を材料全体に均一に配置することができるため、相対
的に強度および破壊靭性値が優れていることが判明し
た。また大型の複合材料であっても、割れや変形等の欠
陥が少なく高い寸法精度を有する複合材料が容易に得ら
れることが確認できた。
【0047】実施例2 反応焼結SiCマトリックスの出発原料となる炭素質材
料として、嵩密度が0.50g/cm3 であり、平均気孔
径が20μmであるガラス質カーボンを機械研削加工す
ることにより、図2に示すような円筒状の多孔質炭素成
形体1aを多数調製した。
【0048】一方、直径10μmの炭化珪素(SiC)
連続繊維から成る2次元織物を切り出して、図2に示す
ように、径が異なり高さが100mmの円筒状のセラミッ
クス織物を多数調製した。さらに上記各セラミックス織
物を、SiCおよびカーボンを含有するスラリー中に浸
漬することにより、セラミックス織物の空隙部をSiC
成分およびカーボンで部分的に埋めたセラミックス繊維
織物2aを用意した。次に上記多孔質炭素成形体1aと
セラミックス繊維織物2aとを、同心状に交互に配置し
て、図2に示すような積層体3aを調製した。
【0049】次に上記多孔質炭素成形体1aと、織物の
空隙部に埋められたカーボン成分との珪化に必要な粉末
Siを充填したカーボンモールド内に、上記積層体3a
を配置し、治具により固定した。そして真空中にて14
80℃の温度で1時間保持することにより、溶融珪素の
含浸を行ないつつ、上記多孔質炭素成形体1aおよびカ
ーボン成分を反応焼結させて炭化珪素(SiC)に転化
し、全体としてSiCマトリックス中にSiC連続繊維
2次元シートを一体に埋め込んだ構造を有する実施例2
に係るSiC基繊維複合材料を多数調製した。
【0050】比較例2 実施例2で調製したセラミックス繊維織物2aを使用す
る一方、多孔質炭素成形体の代りにカーボンブラック粉
末を炭素源として使用し、下記従来製法で比較例2に係
るSiC基繊維複合材料を調製した。すなわち骨材とし
てのSiC粉末と炭素源としてのカーボンブラックとを
溶媒に分散せしめて低粘度原料スラリーを調製した。次
にこの原料スラリーを上記セラミックス繊維織物2a中
に含浸させて、セラミックス成形体とした。またセラミ
ックス繊維織物2aは原料スラリー中に埋設されるよう
に形成された。
【0051】次に得られたセラミックス成形体を自然乾
燥後、N2 ガス雰囲気中で温度800℃で2時間脱脂し
た後に、真空中で温度1480℃に加熱保持し、成形体
中に溶融したSiを含浸させながら反応焼結を実施し、
SiCから成る反応焼結マトリックスを形成することに
より、比較例2に係るSiC基繊維複合材料を調製し
た。
【0052】上記のように調製した実施例2および比較
例2に係る各SiC基繊維複合材料について、密度,室
温(RT)および高温(1300℃)における三点曲げ
強度,破壊靭性値および割れや変形等の欠陥の発生割合
を測定した。測定評価結果を下記表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】表2に示す結果から明らかなように、炭素
源として多孔質炭素成形体を使用し、反応焼結法によっ
てSiCマトリックスを形成した実施例2に係るSiC
基繊維複合材料は、従来のカーボンブラック粉末を使用
して形成した比較例2に係る複合材料と比較して、炭素
源を材料全体に均一に配置することができるため、相対
的に強度および破壊靭性値が優れていることが判明し
た。また大型の複合材料であっても、割れや変形等の欠
陥が少なく高い寸法精度を有する複合材料が容易に得ら
れることが確認できた。
【0055】実施例3 反応焼結SiCマトリックスの出発原料となる炭素質材
料として、嵩密度が0.70g/cm3 であり、平均気孔
径が10μmであるグラファイト質カーボンを機械研削
加工することにより、図3に示すような円筒状の多孔質
炭素成形体1bを調製した。
【0056】一方、直径10μmの炭化珪素(SiC)
連続繊維から成る2次元織物を切り出して、図3に示す
ように、径が異なり高さが100mmの円筒状のセラミッ
クス織物を調製した。さらに上記各セラミックス織物
を、SiCおよびカーボンを含有するスラリー中に浸漬
することにより、セラミックス織物の空隙部をSiC成
分およびカーボンで部分的に埋めたセラミックス繊維織
物2bを用意した。次に上記多孔質炭素成形体1bとセ
ラミックス繊維織物2bとを、同心状に配置して、図3
に示すような積層体3bを調製した。この際、セラミッ
クス繊維織物は2bは2次元シートを多層に積層したも
のを使用した。
【0057】次に上記多孔質炭素成形体1bと、織物の
空隙部に埋められたカーボン成分との珪化に必要な粉末
Siを充填したカーボンモールド内に、上記積層体3b
を配置し、治具により固定した。そして真空中にて14
80℃の温度で1時間保持することにより、溶融珪素の
含浸を行ないつつ、上記多孔質炭素成形体1bおよびカ
ーボン成分を反応焼結させて炭化珪素(SiC)に転化
し、全体としてSiCマトリックス中にSiC連続繊維
2次元シートを一体に埋め込んだ構造を有する実施例3
に係るSiC基繊維複合材料を調製した。
【0058】比較例3 実施例3で調製したセラミックス繊維織物2bを使用す
る一方、グラファイト質カーボンの代りにカーボンブラ
ック粉末を炭素源として使用し、下記従来製法で比較例
3に係るSiC基繊維複合材料を調製した。すなわち骨
材としてのSiC粉末と炭素源としてのカーボンブラッ
クとを溶媒に分散せしめて低粘度原料スラリーを調製し
た。次にこの原料スラリーを上記セラミックス繊維織物
2b中に含浸させて、セラミックス成形体とした。また
セラミックス繊維織物2bは原料スラリー中に埋設され
るように形成された。
【0059】次に得られたセラミックス成形体を自然乾
燥後、N2 ガス雰囲気中で温度600℃で2時間脱脂し
た後に、真空中で温度1480℃に加熱保持し、成形体
中に溶融したSiを含浸させながら反応焼結を実施し、
SiCから成る反応焼結マトリックスを形成することに
より、比較例3に係るSiC基繊維複合材料を調製し
た。
【0060】上記のように調製した実施例3および比較
例3に係る各SiC基繊維複合材料について、密度,室
温(RT)および高温(1300℃)における三点曲げ
強度,破壊靭性値および割れや変形等の欠陥の発生割合
を測定した。測定評価結果を下記表3に示す。
【0061】
【表3】
【0062】表3に示す結果から明らかなように、炭素
源としてグラファイト質カーボンを使用し、反応焼結法
によってSiCマトリックスを形成した実施例3に係る
SiC基繊維複合材料は、従来のカーボンブラック粉末
を使用して形成した比較例3に係る複合材料と比較し
て、炭素源を材料全体に均一に配置することができるた
め、相対的に強度および破壊靭性値が優れていることが
判明した。また大型の複合材料であっても、割れや変形
等の欠陥が少なく高い寸法精度を有する複合材料が容易
に得られることが確認できた。
【0063】実施例4 反応焼結SiCマトリックスの出発原料となる炭素質材
料として、嵩密度が0.20g/cm3 であるフェルト質
カーボンを加工することにより、図4に示すような円筒
状の多孔質炭素成形体1cを調製した。
【0064】一方、直径10μmの炭化珪素(SiC)
連続繊維から成る2次元織物を切り出して、図4に示す
ように、高さが100mmの円筒状のセラミックス織物を
調製した。さらに上記各セラミックス織物およびフェル
ト質カーボンを、SiCおよびカーボンを含有するスラ
リー中に浸漬することにより、セラミックス織物および
フェルト質カーボンの空隙部をSiC成分およびカーボ
ンで部分的に埋めた多孔質炭素成形体1cとしてのフェ
ルト質カーボンおよびセラミックス繊維織物2cを用意
した。次に上記フェルト質カーボン製の多孔質炭素成形
体1cとセラミックス繊維織物2cとを、同心状に配置
して、図4に示すような積層体3cを調製した。この
際、セラミックス繊維織物2cは3次元織物を用いた。
【0065】次に上記フェルト質カーボン製多孔質炭素
成形体1cと、織物の空隙部に埋められたカーボン成分
との珪化に必要な粉末Siを充填したカーボンモールド
内に、上記積層体3cを配置し、治具により固定した。
そして真空中にて1480℃の温度で1時間保持するこ
とにより、溶融珪素の含浸を行ないつつ、上記多孔質炭
素成形体1cおよびカーボン成分を反応焼結させて炭化
珪素(SiC)に転化し、全体としてSiCマトリック
ス中にSiC連続繊維3次元シートを一体に埋め込んだ
構造を有する実施例4に係るSiC基繊維複合材料を多
数調製した。
【0066】比較例4 実施例4で調製したセラミックス繊維織物2cを使用す
る一方、多孔質炭素成形体の代りにカーボンブラック粉
末を炭素源として使用し、下記従来製法で比較例4に係
るSiC基繊維複合材料を調製した。すなわち骨材とし
てのSiC粉末と炭素源としてのカーボンブラックとを
溶媒に分散せしめて低粘度原料スラリーを調製した。次
にこの原料スラリーを上記セラミックス繊維織物2c中
に含浸させて、セラミックス成形体とした。またセラミ
ックス繊維織物2cは原料スラリー中に埋設されるよう
に形成された。
【0067】次に得られたセラミックス成形体を自然乾
燥後、N2 ガス雰囲気中で温度600℃で2時間脱脂し
た後に、真空中で温度1480℃に加熱保持し、成形体
中に溶融したSiを含浸させながら反応焼結を実施し、
SiCから成る反応焼結マトリックスを形成することに
より、比較例4に係るSiC基繊維複合材料を調製し
た。
【0068】上記のように調製した実施例4および比較
例4に係る各SiC基繊維複合材料について、密度,室
温(RT)および高温(1300℃)における三点曲げ
強度,破壊靭性値および割れや変形等の欠陥の発生割合
を測定した。測定評価結果を下記表4に示す。
【0069】
【表4】
【0070】表4に示す結果から明らかなように、炭素
源としてフェルト質カーボン製の多孔質炭素成形体を使
用し、反応焼結法によってSiCマトリックスを形成し
た実施例4に係るSiC基繊維複合材料は、従来のカー
ボンブラック粉末を使用して形成した比較例4に係る複
合材料と比較して、炭素源を材料全体に均一に配置する
ことができるため、相対的に強度および破壊靭性値が優
れていることが判明した。また大型の複合材料であって
も、割れや変形等の欠陥が少なく高い寸法精度を有する
複合材料が容易に得られることが確認できた。
【0071】実施例5 反応焼結SiCマトリックスの出発原料となる炭素質材
料として、繊維径が5μmであり、織密度が12×12
yarn/inchであるカーボン繊維2次元織物を使用して、
図5に示すような外径100mm,内径60mmのリング状
の多孔質炭素成形体1dを多数調製した。
【0072】一方、直径10μmの炭化珪素(SiC)
連続繊維から成る2次元織物を切り出して、図5に示す
ように、外径100mm,内径60mmのリング状のセラミ
ックス織物を多数調製した。さらに上記各セラミックス
織物およびカーボン繊維2次元織物を、SiCおよびカ
ーボンを含有するスラリー中に浸漬することにより、セ
ラミックス織物の空隙部およびカーボン繊維2次元織物
の空隙部をSiC成分およびカーボンで部分的に埋めた
セラミックス繊維織物2dおよび多孔質炭素形成体1d
を用意した。次に上記多孔質炭素成形体1dとしてのカ
ーボン繊維2次元織物とセラミックス繊維織物2dと
を、厚さ方向に交互に配置して、図5に示すような積層
体3dを調製した。
【0073】次に上記多孔質炭素成形体1dとしてのカ
ーボン繊維2次元織物と、織物の空隙部に埋められたカ
ーボン成分との珪化に必要な粉末Siを充填したカーボ
ンモールド内に、上記積層体3dを配置し、治具により
固定した。そして真空中にて1480℃の温度で1時間
保持することにより、溶融珪素の含浸を行いつつ、上記
多孔質炭素成形体1dおよびカーボン成分を反応焼結さ
せて炭化珪素(SiC)に転化し、全体としてSiCマ
トリックス中にSiC連続繊維2次元シートを一体に埋
め込んだ構造を有する実施例5に係るSiC基繊維複合
材料を多数調製した。
【0074】比較例5 実施例5で調製したセラミックス繊維織物2dを使用す
る一方、多孔質炭素成形体の代りにカーボンブラック粉
末を炭素源として使用し、下記従来製法で比較例5に係
るSiC基繊維複合材料を調製した。すなわち骨材とし
てのSiC粉末と炭素源としてのカーボンブラックとを
溶媒に分散せしめて低粘度原料スラリーを調製した。次
にこの原料スラリーを上記セラミックス繊維織物2d中
に含浸させて、セラミックス成形体とした。またセラミ
ックス繊維織物2dは原料スラリー中に埋設されるよう
に形成された。
【0075】次に得られたセラミックス成形体を自然乾
燥後、N2 ガス雰囲気中で温度600℃で2時間脱脂し
た後に、真空中で温度1480℃に加熱保持し、成形体
中に溶融したSiを含浸させながら反応焼結を実施し、
SiCから成る反応焼結マトリックスを形成することに
より、比較例5に係るSiC基繊維複合材料を調製し
た。
【0076】上記のように調製した実施例5および比較
例5に係る各SiC基繊維複合材料について、密度,室
温(RT)および高温(1300℃)における三点曲げ
強度,破壊靭性値および割れや変形等の欠陥の発生割合
を測定した。測定評価結果を下記表5に示す。
【0077】
【表5】
【0078】表5に示す結果から明らかなように、炭素
源として多孔質炭素成形体を使用し、反応焼結法によっ
てSiCマトリックスを形成した実施例5に係るSiC
基繊維複合材料は、従来のカーボンブラック粉末を使用
して形成した比較例5に係る複合材料と比較して、炭素
源を材料全体に均一に配置することができるため、相対
的に強度および破壊靭性値が優れていることが判明し
た。また大型の複合材料であっても、割れや変形等の欠
陥が少なく高い寸法精度を有する複合材料が容易に得ら
れることが確認できた。
【0079】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る炭化珪素
基繊維複合材料の製造方法によれば、マトリックスを形
成するための炭素源として多孔質炭素成形体を採用して
いるため、従来の粉状炭素源を使用する場合と比較し
て、複雑形状製品に対応した所定形状に加工することが
極めて容易であり、かつ炭素源をその製品形状全体に均
一に配置することが可能である。したがって大型で複雑
形状を有する複合材料の場合でも、組成むらや変形を生
じるおそれが少なく、高い寸法精度を有する複合材料を
容易に製造することができる。
【0080】また焼結温度が低く、かつ焼結時における
寸法収縮が少ない反応焼結法によってSiCマトリック
スを形成しているため、セラミックス繊維の劣化を効果
的に防止でき、よって高靭性化や破壊エネルギーの増大
を有効に実現することができる。さらに焼結時の収縮が
少ないため、目的とする複雑形状製品に近似した複合材
料を得ることができ、後加工に要するコストの削減を図
ることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リング状の多孔質炭素成形体とセラミックス繊
維織物とを厚さ方向に交互に配置して形成した積層体の
断面図。
【図2】円筒状の多孔質炭素成形体とセラミックス繊維
織物とを同心状に交互に配置して形成した積層体の断面
図。
【図3】積層体の他の構成例を示す断面図。
【図4】積層体の他の構成例を示す断面図。
【図5】積層体の他の構成例を示す断面図。
【符号の説明】
1,1a 多孔質炭素成形体 2,2a セラミックス繊維(織物) 3,3a 積層体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/80 G

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定形状を有する多孔質炭素成形体とセ
    ラミックス繊維とを配置して積層体を形成し、得られた
    積層体を加熱して溶融珪素を含浸せしめ、珪素と炭素成
    分とを反応焼結させて炭化珪素から成るマトリックスを
    形成し、マトリックスとセラミックス繊維とを一体化す
    ることを特徴とする炭化珪素基繊維複合材料の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 多孔質炭素成形体の嵩密度が1.0g/
    cm3 以下であることを特徴とする請求項1記載の炭化珪
    素基繊維複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 多孔質炭素成形体の平均気孔径が0.5
    μm以上であることを特徴とする請求項1記載の炭化珪
    素基繊維複合材料の製造方法。
JP6313436A 1994-12-16 1994-12-16 炭化珪素基繊維複合材料の製造方法 Pending JPH08169761A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2012063923A1 (ja) * 2010-11-11 2014-05-12 国立大学法人京都大学 SiCセラミックス材料並びにSiCセラミックス構造体及びその製造方法
JP2016044118A (ja) * 2014-08-22 2016-04-04 三菱電機株式会社 炭素繊維強化炭化珪素成形体の製造方法
WO2023234264A1 (ja) * 2022-05-31 2023-12-07 株式会社Ihiエアロスペース セラミックス基複合材料とその製造方法

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