JPH0881275A - SiC基繊維複合材料の製造方法 - Google Patents

SiC基繊維複合材料の製造方法

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JPH0881275A
JPH0881275A JP6218895A JP21889594A JPH0881275A JP H0881275 A JPH0881275 A JP H0881275A JP 6218895 A JP6218895 A JP 6218895A JP 21889594 A JP21889594 A JP 21889594A JP H0881275 A JPH0881275 A JP H0881275A
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sic
composite material
silicon
fiber
matrix
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JP6218895A
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Inventor
Akiko Suyama
章子 須山
Tsuneji Kameda
常治 亀田
Masahiro Asayama
雅弘 浅山
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】製造時における繊維の熱劣化が少なく、破壊抵
抗を高く保持することができ、かつ緻密に形成すること
が可能なSiC基繊維複合材料の製造方法を提供するに
ある。 【構成】セラミックス繊維で所定形状を有する三次元構
造体(プリフォーム)を形成する一方、けい素および炭
素源を含有する出発原料を上記プリフォームに含浸せし
めて所定形状の成形体を形成し、得られた成形体を真空
中または不活性ガス雰囲気中で、実質的にけい素の融点
未満の温度に加熱すると同時に成形体を加圧することに
よりけい素と炭素との反応焼結を行ってSiCマトリッ
クスを形成し、緻密化することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はSiCマトリックス中に
セラミックス繊維を複合したSiC基繊維複合材料の製
造方法に係り、特に製造時におけるセラミックス繊維の
熱劣化が少なく、高い破壊エネルギーを保持することが
でき、かつ緻密に形成することが可能なSiC基繊維複
合材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にセラミックス焼結体は、高温まで
強度低下が少なく、硬度,電気絶縁性,耐摩耗性,耐熱
性,耐腐食性,軽量性等の諸特性が従来の金属材と比較
して優れているため、重電設備部品,航空機部品,自動
車部品,電子機器,精密機械部品,半導体装置材料など
の電子用材料や構造用材料として広い分野において使用
されている。
【0003】しかし、セラミックス焼結体は、圧縮に較
べて引張の応力に弱く、特にこの引張り応力下では破壊
が一気に進行する、いわゆる脆性という欠点を有してい
る。このようなことから、高信頼性が要求される部位へ
のセラミックス部品の適用を可能にするために、セラミ
ックス焼結体の高靭性化や破壊エネルギーの増大を図る
ことが強く求められている。
【0004】すなわちガスタービン部品,航空機部品,
自動車部品等に使用されるセラミックス構造部品には耐
熱性および高温強度に加えて高い信頼性が要求される。
そのため無機物質や金属から成る補強繊維,ウィスカ
ー,プレート,粒子等の強化素材をマトリックス焼結体
に分散複合化させて靭性値や破壊エネルギー値等を高め
たセラミックス基複合材料(CMC:Ceramic Matrix C
omposites )の実用化研究が内外の研究機関等において
進められている。
【0005】上記のようなセラミックス基複合材料(C
MC)において、特に繊維を強化素材として用いたもの
は、破壊靭性や破壊エネルギーの増大効果に優れ、信頼
性の向上に対しては大きな効果を示す。上記CMC用の
強化素材としては、ガラス繊維,炭素繊維,セラミック
ス繊維等の連続繊維や短繊維が主として使用されてい
る。
【0006】しかしながら、現在市販されているセラミ
ックス繊維は、温度1200℃前後において劣化が始ま
り、耐熱性や耐酸化性が低い欠点がある。また現在開発
中の耐熱繊維でも、温度1600℃から強度の低下が始
まることが報告されている。
【0007】一方、炭化けい素(SiC),窒化けい素
(Si3 4 ),サイアロン(Si−Al−O−N)等
のセラミックスをマトリックスとする場合、通常の粉末
焼成法では焼結温度が1600〜2200℃とかなり高
い。したがって、上記焼結温度で焼結を実施した場合に
は、強化素材(繊維)が焼成中に劣化・分解してしま
い、複合繊維としての機能を喪失してしまう。
【0008】そこで従来の繊維複合材料の製造方法にお
いては、焼成温度を下げ、繊維の劣化を防止することを
主目的として以下のような製造方法が採用されていた。
【0009】(1) 気体の化学反応による方法(CVI
法:Chemical Vapor Infiltration):マトリックス原料
となる気体を強化素材から成る予備成形体内部に温度や
圧力の勾配をつけて導入し、そこで化学反応させて反応
生成物を析出させてマトリックスを合成する方法であ
る。
【0010】(2) 有機ポリマーからの合成:マトリック
ス原料としてのポリシラザン,ポリカルボシラシ,ポリ
シラスチレンなどの有機ポリマーを使用してSiCやS
3 4 などのマトリックスを合成する方法である。す
なわち、セラミックス粉末を溶媒に溶かし、さらに有機
ポリマーを混合したものを強化素材から成る予備成形体
に含浸せしめて成形し、得られた成形体を焼成する方法
である。
【0011】(3) 溶融金属との反応焼結による方法:出
発原料および強化素材を含有する成形体中にSiなどの
溶融金属を含浸し、出発原料と溶融金属との反応焼結に
よりマトリックスを形成する方法である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記
(1)項のCVI法によれば、反応温度が低く、強化素
材へのダメージが少なく、また焼結助剤を含まず高純度
のマトリックスが得られるという利点がある反面、製造
に長時間を要する難点がある。また、製造した複合材料
中のマトリックス密度を90%以上の高密度にすること
も困難である。
【0013】また(2)項の有機ポリマーからの合成法
を使用してSiCやSi3 4 などのマトリックスを合
成する場合、酸素を含んだ非晶質のマトリックスが形成
され易いため、高温での機械的特性が劣り、かつ高密度
化が困難な問題点がある。
【0014】さらに(3)項の溶融金属と出発原料との
反応による方法によれば、例えばSiCの場合、Siを
溶融するために少なくともその融点(1414℃)以上
の高温度に加熱することが必須となるほか、未反応のS
iがマトリックス中に残留する問題がある。上記遊離S
iを含むマトリックスは、Siの融点付近の温度におい
て軟化し始めるため、複合材料全体としての高温強度が
急激に低下し破壊が進行し易いという問題点があった。
【0015】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、特に製造時における繊維の熱劣化が少
なく、かつ緻密で破壊に対する抵抗が大きなSiC基繊
維複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明者らは焼結時の温度や圧力条件を種々変えて
複合材料を調製し、それらの条件が複合材料の密度や機
械的特性に及ぼす影響を比較研究した。その結果、Si
およびCからSiCが合成される反応は、Siの融点未
満の温度でも進行することが判明した。しかしながら、
Siの融点未満の温度では長時間焼結しても、反応して
SiCとなった部分が充分に緻密化しないことも判明し
た。そこで上記Siの融点未満の温度での反応焼結と並
行して成形体を20MPa以上に加圧することによって
緻密化したSiC基繊維複合材料が得られるという知見
を得た。本発明は上記知見に基づいて完成されたもので
ある。
【0017】すなわち本発明に係るSiC基繊維複合材
料の製造方法は、セラミックス繊維で所定形状を有する
三次元構造体(プリフォーム)を形成する一方、けい素
および炭素源を含有する出発原料を上記プリフォームに
含浸せしめて所定形状の成形体を形成し、得られた成形
体を真空中または不活性ガス雰囲気中でけい素の融点未
満の温度に加熱することによりけい素と炭素との反応焼
結を行ってSiCマトリックスを形成すると同時に成形
体を加圧することにより緻密化することを特徴とする。
【0018】また成形体中におけるけい素と炭素とが等
しいモル数となるように配合するとよい。さらに出発原
料は骨材としてのSiC粉末を含有することを特徴とす
る。また反応焼結時の加熱温度は1300℃以上であ
り、かつ真空中または不活性ガス雰囲気中において実質
的にSiが溶融し炭素表面をぬらす温度未満の範囲に設
定するとよい。さらに反応焼結時において成形体を加圧
する圧力は20MPa以上に設定するとよい。
【0019】ここで上記セラミックス繊維は反応焼結S
iCマトリックスの靭性を高めるために所定量添加され
る。このセラミックス繊維の材質は、特に限定されるも
のではなく、マトリックスの構成材料と同様なセラミッ
クス材料を用いることもできる。このようなセラミック
ス繊維の具体例としては、炭化けい素系繊維(SiC,
Si−C−O,Si−Ti−C−O等),SiC被覆繊
維(芯線は例えばC),アルミナ繊維,ジルコニア繊
維,炭素繊維,ボロン繊維,窒化けい素系繊維,Si3
4 被覆繊維(芯線は例えばC)およびムライト繊維等
から選択された少なくとも一種を使用するとよい。
【0020】これらのセラミックス繊維は、複合材料全
体に対して繊維体積率(Vf)で10%以上の割合で添
加される。しかしながら添加量が50%を超える過量と
なると、各繊維周囲に均一にマトリックスを配置するこ
とが困難になり、欠陥の発生に伴い複合材料の強度特性
が急激に低下してしまう。したがって複合効果が現れる
好ましい添加量は10〜50体積%であり、より好まし
くは20〜40体積%の範囲である。
【0021】セラミックス繊維の径および長さは、成形
体中における繊維の配置,繊維とマトリックスとの界面
状態,複合材料の強度特性,破壊エネルギーに大きく影
響を及ぼす。特に繊維の径および長さについては、本発
明では直径が3〜150μm、長さが0.1mm以上の短
繊維または連続繊維を使用する。直径が3μm未満の場
合にはマトリックスの補強効果が少なく、また直径が1
50μmを超える太い繊維では、目的とする微視的なレ
ンジでのクラック進展に対する阻止効果が期待できず、
かつ繊維の剛性が大きいため形状付与が困難になる。ま
た繊維の長さが0.1mm未満の場合にも、クラック進展
に対する阻止効果が少なく靭性の改善効果も少なくな
る。
【0022】すなわち、直径が3〜150μmで、かつ
長さが0.1mm以上のセラミックス繊維を用いることに
よって、良好な形状付与性能を維持しつつ、繊維による
複合効果を大幅に改善することが可能となる。但し、こ
のようなセラミックス繊維の含有量が10%未満である
と、繊維による複合効果が低下するため、セラミックス
繊維の含有量は10%以上とすることが好ましい。
【0023】また上記繊維とマトリックスとの界面に、
初期破壊強度を低下させない剪断強度を付与するため、
および初期破壊後の繊維の引き抜け時のすべり抵抗を大
きくし破壊エネルギーを増大化させるために、セラミッ
クス繊維表面に厚さ5μm以下のすべり層を形成すると
よい。このすべり層は繊維表面にカーボン(C)や窒化
ほう素(BN)をコーティングして形成される。
【0024】上記すべり層によりセラミックス繊維と、
マトリックスとの間の反応を防止することができ、また
応力負荷時に界面での剥離が生じて靭性向上に不可欠の
繊維の引抜けが生じるような複合材料が得られる。
【0025】上記のようなセラミックス繊維をマトリッ
クス中に分散したセラミックス基繊維複合材料は、例え
ば下記の工程で製造される。すなわちカーボンおよび窒
化ほう素(BN)の少なくとも一方を含むすべり層を必
要に応じて形成したセラミックス繊維で二次元織物や三
次元織物を形成し、樹脂を保形剤として使用して織物を
固定することにより、所定形状の繊維三次元構造体すな
わち予備成形体(プリフォーム)を調製する。特に予備
成形体としては、一方向シートや織物(クロス)等を積
層した複合形態を有し、一軸加圧した場合にも各繊維が
軸方向に圧縮されにくい三次元積層構造体が望ましい。
【0026】一方、マトリックスの出発原料を主成分と
する原料を調製する。例えば、マトリックスが反応焼結
SiCの場合には骨材としてのSiC粉末および炭素源
を水または有機溶剤等の溶媒に分散して原料スラリーを
調製する。上記炭素源としては、後述する熱処理によっ
て炭化する樹脂や炭素粉末等が使用される。特にSi成
分とC成分とのモル比が1:1となるようにSi粉末と
樹脂またはC粉末との配合量を調整した原料スラリーを
使用することにより、焼成操作においてSiとCとが完
全に反応してSiCマトリックスが形成され、遊離Si
が残留することがない。したがって、遊離Siの残留に
起因する高温強度の低下が無く、破壊抵抗が大きい複合
材料を形成することが可能となる。
【0027】次に前記セラミックス繊維で形成した予備
成形体(プリフォーム)を成形型内に配置し、鋳込み成
形法(特に加圧鋳込み法または減圧鋳込み法または両者
を併用した方法)によって上記原料スラリーを含浸・充
填せしめることにより、所定形状の繊維含有セラミック
ス成形体を作製する。
【0028】上記成形方法のように、マトリックス用原
料スラリーの含浸・充填に特に加圧鋳込み法または減圧
鋳込み法を適用することによって、セラミックス繊維間
へのマトリックス材料の充填率を高めることができると
共に、セラミックス成形体の密度を向上させることがで
きるため、その後の焼成工程でマトリックスの緻密化を
図る上で有利になる。また、セラミックス繊維間への充
填率を高めるために、繊維表面と原料スラリーとの濡れ
性を改良する表面改質剤等を使用することも有効であ
る。
【0029】次に原料スラリーを含浸した繊維含有セラ
ミックス成形体を不活性ガス雰囲気中で温度400〜1
000℃に加熱して熱処理を行い、成形体中に含有され
ている樹脂を炭化せしめる。
【0030】しかる後に、得られた繊維含有セラミック
ス成形体をカーボンモールド中に配置し、真空または不
活性ガス雰囲気に調整したホットプレス炉において、S
iの融点未満の温度範囲、具体的には1300℃以上で
あり、かつ真空中または不活性ガス雰囲気中において実
質的にSiが溶融し炭素表面を濡らす温度未満の範囲で
2〜10時間加熱してSiとCとの反応焼結を進行せし
めてSiCマトリックスを形成すると同時に、20MP
a以上の加圧力で一軸加圧しながらマトリックスを緻密
化することにより、目的とするSiC基繊維複合材料が
得られる。
【0031】ここで上記反応焼結温度は、具体的には1
300℃以上であり、かつ真空中または不活性ガス雰囲
気中において実質的にSiが溶融し炭素表面を濡らす温
度未満の範囲に設定される。温度が1300℃未満の場
合には、反応焼結が十分に進行せず、未反応の部分が残
留してしまう。一方、温度が実質的にSiが溶融する温
度を超える場合は、セラミックス繊維の熱劣化による強
度低下やSiの溶融により焼結用モールドと反応して固
着してしまうため、反応焼結温度は上記範囲に設定され
る。
【0032】また反応焼結時における成形体への加圧力
は、複合材料の緻密化に大きな影響を及ぼす要因であ
り、本発明方法では、20MPa以上に設定される。加
圧力が20MPa未満の場合には緻密化が不充分となり
高強度の複合材料が得られにくい。
【0033】
【作用】上記構成に係るSiC基繊維複合材料の製造方
法によれば、セラミックス繊維で製品形状に近い三次元
構造体(予備成形体)を作成し、この予備成形体中にマ
トリックス成分を含浸し、反応焼結法によって焼成する
と同時に加圧して緻密化を促進しているため、製品形状
に対応し、かつ緻密なSiC基繊維複合材料が得られ
る。
【0034】特にマトリックスの原料となるけい素と炭
素との反応焼結を、けい素の融点未満の低温度で実施し
ているため、セラミックス繊維の熱劣化が少なく、破壊
エネルギーが大きいSiC基繊維複合材料が得られる。
【0035】また成形体中におけるけい素と炭素とが等
しいモル数となるように配合することによって、反応焼
成時にけい素(Si)と炭素(C)とが完全に反応して
SiCマトリックスが形成される結果、複合材料中に遊離
Siが残留しないため、比較的に高純度の複合材料が形
成される。したがって、高温強度,耐酸化性,耐食性が
低下することが少なく、破壊抵抗および耐食耐酸化性が
優れたSiC基繊維複合材料が得られる。
【0036】
【実施例】次に本発明を以下の実施例に基づいて具体的
に説明する。
【0037】実施例1〜5 表面にカーボン(C)を含む厚さ1μmのすべり層を形
成した直径15μmのSiC連続繊維(Si−C−O,
商品名:ニカロン)のクロスを積層し、ポリビニルアル
コール(PVA)を保形剤として使用し、種々の形状を
有し一軸加圧が可能な三次元積層構造体(予備成形体)
を調製した。
【0038】一方平均粒径5μmのSi粉末と、C源と
して熱処理によって炭化する樹脂とを、SiとCとのモ
ル比が1:1になるように配合してマトリックス原料と
し、このマトリックス原料に、骨材としてのSiC粉末
と溶媒とを添加して相互に分散せしめて低粘度原料スラ
リーを調製した。次にこの原料スラリーを上記各予備成
形体中に含浸させて、各セラミックス成形体とした。次
に各セラミックス成形体を不活性ガス雰囲気中で温度8
00℃で熱処理して成形体中の樹脂を炭化せしめた。な
お原料スラリーの含浸量は、表1に示すように緻密化し
た複合材料焼結体中の繊維体積率(Vf)が15〜45
%となるようにそれぞれ設定した。また各予備成形体は
原料スラリー中に埋設されるように形成した。
【0039】次に得られた各繊維含有セラミックス成形
体をカーボンモールド内に配置し、Arガス雰囲気に調
整したホットプレス炉内において、表1に示す反応焼結
条件も含めて、温度1300〜1400℃の範囲で2〜
10時間反応焼結せしめてSiCから成るマトリックス
を形成すると同時に成形体を20MPa以上の加圧力で
一軸加圧することにより緻密化を促進し、それぞれ実施
例1〜5に係るSiC基繊維強化複合材料を調製した。
【0040】比較例1 反応焼結時の温度を、1250℃に設定した以外は、実
施例3と同一条件で原料スラリー含浸操作および反応焼
結操作を実施して比較例1に係るSiC基繊維複合材料
を調製した。
【0041】比較例2 反応焼結時に成形体を一軸加圧しない点以外は、実施例
3と同一条件で原料スラリー含浸操作および反応焼結操
作を実施して比較例2に係るSiC基繊維強化複合材料
を調製した。
【0042】比較例3 従来の溶融Si含浸反応焼結法に従って比較例3に係る
SiC基繊維複合材料を調製した。すなわち表面にカー
ボン(C)を含む厚さ1μmのすべり層を形成した直径
15μmSiC連続繊維(Si−C−O,商品名:ニカ
ロン)のクロスを積層し、ポリビニルアルコール(PV
A)を保形剤として使用し、一軸加圧が可能な三次元積
層構造体(予備成形体)を調製した。
【0043】一方Si粉末を含有させず、骨材としての
SiC粉末と炭素源としての樹脂とを溶媒に分散せしめ
て低粘度原料スラリーを調製した。次にこの原料スラリ
ーを上記予備成形体中に含浸させて、セラミックス成形
体とした。なお原料スラリーの含浸量は、表1に示すよ
うに複合材料中の繊維体積率(Vf)が30%となるよ
うに設定した。また予備成形体は原料スラリー中に埋設
されるように形成された。
【0044】次に得られたセラミックス成形体を自然乾
燥後、N2 ガス雰囲気中で温度800℃で2時間脱脂し
た後に、真空中で温度1450℃に加熱し、成形体中に
溶融したSiを含浸させながら反応焼結を実施し、Si
Cから成る反応焼結マトリックスを形成することによ
り、比較例3に係るSiC基繊維複合材料を調製した。
【0045】上記のように調製した実施例1〜5および
比較例1〜3に係る各SiC基繊維複合材料について、
密度,密度比,室温(RT)および高温(1400℃)
における三点曲げ強度,破壊エネルギー値,耐酸化性お
よび耐食性を測定した。ここで各材料の破壊エネルギー
値は、比較例3の場合を基準値1とし、その基準値に対
する倍率を算出して相対値としてそれぞれ表示した。上
記耐酸化性は、各SiC基繊維複合材料を大気中で温度1
400℃で100時間加熱した後における複合材料の酸
化による重量増の有無で評価した。また耐食性は各複合
材料を濃度98%のH2 SO4 中に浸漬し30分間煮沸
した後に材料表面に侵食が認められないものをA、微量
の侵食が認められるものをB、中程度の侵食が認められ
るものをC、侵食が大であるものをDとして評価した。
測定評価結果を下記表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1に示す結果から明らかなように、セラ
ミックス繊維をマトリックス成形体に配置せしめ、マト
リックスを低温度反応焼結法によって形成すると同時に
成形体を加圧して緻密化を図った実施例1〜5に係る複
合材料は、いずれも緻密なマトリックスが得られ、マト
リックスの初期破壊強度および初期破壊後の強度保持率
が高く、優れた耐酸化性および耐食性を示すことが確認
された。
【0048】また実施例1〜5に係る各複合材料の構成
成分をX線分析装置によって同定したところ、いずれの
複合材料についてもSiCのピークのみが観察され、S
iのピークは検出されなかった。すなわちSiとCとが
全て反応焼結しており、高純度なSiC基繊維複合材料
が得られた。したがって上記Siの残留に起因する高温
強度の低下がない複合材料が得られた。
【0049】さらに反応焼結時の加熱温度を1300℃
以上であり、真空中または不活性ガス中において実質的
にSiが溶融し炭素表面を濡らす温度未満と低く設定し
ているため、繊維の熱劣化が少なく、破壊エネルギーが
大きな複合材料が得られた。
【0050】一方、反応焼結温度をさらに低く設定して
調製した比較例1に係る複合材料においては、十分に反
応が進行せず、未反応部分が残り、緻密化も十分に進行
しなかった。また初期破壊強度が低く、破壊エネルギー
も小さくなり、さらに耐酸化性および耐食性は大幅に低
下した。
【0051】また反応焼結時に成形体に加圧力を作用さ
せずに反応焼結のみによってマトリックスを形成した比
較例2に係る複合材料においては、密度が上昇せず、初
期破壊強度が大幅に低下し、耐酸化性および耐食性も低
下した。
【0052】さらに、従来の溶融Si含浸法を使用して
SiとCとの反応焼結によってマトリックスを形成した
比較例3に係る複合材料においては、マトリックス中に
遊離Siが部分的に残留していることがX線分析によっ
て確認された。そのため1300℃以上の高温度におい
て遊離Siが軟化し始め、高温強度が低下することも確
認できた。
【0053】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係るSiC基
繊維複合材料の製造方法によれば、セラミックス繊維で
製品形状に近い三次元構造体(予備成形体)を作成し、
この予備成形体中にマトリックス成分を含浸し、反応焼
結法によって焼成すると同時に加圧して緻密化を促進し
ているため、製品形状に対応した緻密なSiC基繊維複
合材料が得られる。
【0054】特にマトリックスの原料となるけい素と炭
素との反応焼結を、けい素の融点未満の低温度で実施し
ているため、セラミックス繊維の熱劣化が少なく、繊維
による複合効果が高いSiC基繊維複合材料が得られ
る。
【0055】また成形体中におけるけい素と炭素とが等
しいモル数となるように配合することによって、反応焼
成時にけい素(Si)と炭素(C)とが完全に反応して
SiCマトリックスが形成される結果、複合材料中に遊
離Siが残留することがなく高純度SiCマトリックス
を有する複合材料が形成される。したがって、不純物に
よって高温強度,耐酸化性,耐食性が低下することが少
なく、破壊抵抗および耐食耐酸化性が優れたSiC基繊
維複合材料が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C04B 35/56 101 U 35/80 K

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス繊維で所定形状を有する三
    次元構造体(プリフォーム)を形成する一方、けい素お
    よび炭素源を含有する出発原料を上記プリフォームに含
    浸せしめて所定形状の成形体を形成し、得られた成形体
    を、真空中または不活性ガス雰囲気中でけい素の融点未
    満の温度に加熱すると同時に成形体を加圧することによ
    りけい素と炭素との反応焼結を行ってSiCマトリック
    スを形成し、緻密化することを特徴とするSiC基繊維
    複合材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 成形体中におけるけい素と炭素とが等し
    いモル数となるように配合することを特徴とする請求項
    1記載のSiC基繊維複合材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 出発原料は骨材としてのSiC粉末を含
    有することを特徴する請求項1記載のSiC基繊維複合
    材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 反応焼結時の加熱温度を1300℃以上
    であり、かつ真空中または不活性ガス雰囲気中において
    実質的にけい素が溶融し炭素表面をぬらす温度未満の範
    囲に設定することを特徴とする請求項1記載のSiC基
    繊維複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応焼結時において成形体を加圧する圧
    力を20MPa以上に設定することを特徴とする請求項
    1記載のSiC基繊維複合材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 加圧は一軸加圧で行うことを特徴とする
    請求項1記載のSiC基繊維複合材料の製造方法。
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