JP3209266B2 - 半導体レ−ザ素子 - Google Patents
半導体レ−ザ素子Info
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Description
子、特に光通信用の半導体レ−ザ素子に関する。
どの大容量の情報を高速伝送し、記録媒体に記録する技
術は必須のものである。近年の光通信ネットワ−クや光
ディスク等の光情報処理技術の発展は目覚ましく、21
世紀のマルチメディア社会に向けてさらなる発展が期待
されている。半導体発光ダイオ−ド(LED)や半導体
レ−ザダイオ−ド(LD)などの半導体発光素子は、こ
れらの光技術における光源として優れた特性を有するた
め、これまでに様々のタイプのものが研究開発されてき
た。
かつ高い環境温度でも使用できることが望ましい。しか
し、高い環境温度では活性層に注入された電子キャリア
が活性層からクラッド層に溢れ出やすくなり、発光効率
が著しく低下する。このようなキャリアのオ−バ−フロ
−を抑制するためには、クラッド層としてバンドギャッ
プ(禁制帯幅)の大きい半導体混晶を用いるのが効果的
である。しかしながら、クラッド層に用いられる半導体
混晶の種類と組成は、クラッド層と基板の格子整合条件
を満たす範囲に制限され、高い環境温度でも使用できる
LDを得ることは容易ではない。
Pクラッド層を用いて形成される。GaAs基板上に
は、AlGaAsやAlGaInPといったInPより
禁制帯幅の大きい材料を格子整合させることができるの
で、この様な材料をLDのクラッド層に用いれば温度特
性の優れた光通信用LDが得られる可能性がある。しか
し禁制帯幅の小さいInGaAsを活性層に用いて、光
通信に必要な1.3μm帯で発光するLDをGaAs基
板上に形成する場合は、InGaAs活性層に強い歪が
かかり、結晶品質が劣化して、高性能のLDを形成でき
ないという問題がある。あるいは活性層の多重量子井戸
化による発光効率の増大を図れないという問題がある。
料が研究されている。例えば、1997年のIEEEジ
ャ−ナル オブ セレクティッド トピックス イン
クアンタム エレクトロニクスの3巻の3番の719ペ
−ジに「長波長半導体レ−ザの新しい材料:GaInN
As」(従来例1)と題した報告がある。図8にこの従
来例のGaInNAs半導体レ−ザの断面層構造を示
す。この従来例は、GaAs基板上の半導体レ−ザで、
その活性層にGaInNAs(4元半導体混晶。Gaは
ガリウム、Inはインジウム、Asは砒素、Nは窒素を
表す)をウエル層とする量子井戸を1つ設けたものであ
る。GaInNAsの層厚は10nm、In組成は約3
0%、N組成は0.4%程度であり、1.18μmの発
光が得られている。しかしながら、光通信に必要な1.
3μmの発振は得られていない。
体レ−ザで、優れた温度特性を有する1.3μm帯LD
を実現するための新しい材料とLD構造を提供すること
が課題である。
レタ−誌の70巻の1608ペ−ジに、室温におけるG
aAs1-YNYのバンドギャップのN組成Yに対する依存
性の実験結果が記されている。図9にGaAs1-YNYの
バンドギャップのN組成Yに対する依存性を示す。図9
から、N組成が0.5%以内ではバンドギャップはN組
成に比例して大きく減少するが、N組成が0.5%を超
えると飽和傾向を示しはじめ、N組成が1%を超えると
飽和することが分かる。これらの結果から、GaInN
Asをウエル層とする従来の半導体レ−ザでは、1.3
μmの発振を得るのは困難であることが分かってきた。
ではウエル層の歪量は1.8%以内のものが用いられて
いるが、GaInNAsをウエル層とする従来の半導体
レ−ザでは、GaInNAsが強歪(歪量2%程度)で
あり、その歪量では、N組成が0.5%を超えると、結
晶品質の低下が著しいという問題点があった。
2)には、GaAs基板上に光を発生する活性層と光を
閉じ込めるクラッド層と発生した光からレーザ光を得る
ための共振器構造を有する半導体レーザにおいて、活性
層の少なくとも一部にNを含むIII−V族半導体を用い
た1.3μm帯又は1.55μm帯発振可能な半導体レ
ーザが開示されている。該公報には、 Nを含むIII−V
族半導体の例としてGaNAsSbの例示があり、ま
た、実施例7には具体的にGaN(0.03)As(0.82)Sb
(0.15)無歪活性層(層厚50nm)を有する1.3μm
帯分布帰還型半導体レーザが示されている。
族半導体では、N組成が0.5%を越えると結晶品質の
低下が著しいという問題が明らかとなってきたことか
ら、この従来例2の実施例7に記載された活性層でもN
組成は1.5%もあり、また、層厚も50nmと臨界膜
厚を大きく越えているために結晶性は極めて低下してい
ると予想される。つまり、この従来例2に示された半導
体レーザでは1.3μm帯発振は不可能である。
1-X-YSbXNY材料をLDの活性層に用いた優れた温度
特性を有する1.3μm帯LDを提供するものである。
具体的に、本発明は、 活性層を構成する少なくとも1つの半導体層がGaA
s1-X-YSbXNY(0<X≦0.3かつ0<Y≦0.0
15)であることを特徴とするGaAs基板上に形成さ
れた半導体レ−ザ素子であり、 キャリアを注入するクラッド層がAlGaAs、Ga
InP、AlInPもしくはAlGaInPなどのGa
Asに格子整合する半導体、 もしくは、その活性層を構成する半導体層の内でバン
ドギャップが最小の半導体層がGaAs1-X-YSbXNY
(0.16≦X≦0.23かつ0.003≦Y≦0.0
12)である、 もしくは、その活性層がGaAs1-X-YSbXN
Y(0.16≦X≦0.23かつ0.003≦Y≦0.
012)ウエル層とGaAsバリア層を交互に隣接させ
て形成した量子井戸構造である、 もしくは、その活性層がGaAs1-X-YSbXN
Y(0.16≦X≦0.23かつ0.003≦Y≦0.
012)ウエル層とGaAs1-pPp(0<p≦0.2)
バリア層を交互に隣接させて形成した量子井戸構造であ
る、 もしくは、その活性層がGaAs1-X-YSbXN
Y(0.16≦X≦0.23かつ0.003≦Y≦0.
012)ウエル層とGaqIn1-qP(0.50<q≦
0.7)バリア層を交互に隣接させて形成した量子井戸
構造である、 もしくは、前記又はの半導体レ−ザ素子におい
て、その量子井戸活性層のウエル層とバリア層の間に1
〜5分子層厚のGaAsもしくはGaAsに格子整合す
る半導体層が設けられている、ことを特徴とする半導体
レ−ザ素子である。
戸活性層のウエル層にGaAs1-X-YSbXN Y(0.1
6≦X≦0.23かつ0.003≦Y≦0.012)、
バリア層にGaAsを用いることを特徴とする。GaA
s1-X-YSbXNYウエル層のSb組成とN組成を所定の
値の領域に制限し、ウエル層厚を適切に設定すること
で、優れた結晶品質と高い温度特性を有する1.3μm
帯LDを実現する作用があることを以下に説明する。
0.5)のGaAsに対する格子不整合度のSb組成X
による依存性を示す。図10から、格子不整合度が1.
8%以内というLDに適用可能な条件を満たすSb組成
の領域は0<X≦0.23であることがわかる。
1-YNY、InZGa1-ZAs(0≦X,Y,Z≦0.5)
のバンド端エネルギーのSb組成X、N組成Y、In組
成Zに対する依存性を示す。但しGaAsの価電子帯の
エネルギー準位(Ev)を0とした。図11において、
GaAs1-YNYはN組成の増大とともに急激に伝導帯エ
ネルギーが低下する。しかし伝導帯エネルギーの低下は
N組成1%で飽和してしまう。
5)は、Sb組成Xの増大とともに価電子帯エネルギー
が大きく増大する。しかし、伝導帯エネルギーの変化は
小さいため、GaAs1-XSbX/GaAs量子井戸はウ
エル層とバリア層界面での伝導帯のヘテロ障壁が小さ
く、電子を有効にウエル内に閉じこめることができな
い。図11で、Sb組成X=0.23のときGaAs
1-XSbXのバンドギャップは1eV以上あり、1.3μ
mの発振に必要なバンドギャップ(0.95eV以下)
が得られない。1.3μm発光を実現するSb組成は、
図11からわかるようにX=0.3の時であるが、この
時の格子不整合度は2.4%と大きくなってしまい、高
い結晶品質が得られない。
発明のGaAs1-X-YSbXNY(0<X≦0.3かつ0
<Y≦0.12)は両者の特性を併せ持つことができ
る。すなわち、GaAs1-X-YSbXNY/GaAsの量
子井戸では、ウエル層とバリア層界面での価電子帯と伝
導帯のヘテロ障壁が同程度に大きくなる。従って電子と
ホ−ルを深いエネルギーポテンシャルに閉じこめること
ができるので、高いLDの温度特性が実現できる。
NY(10nm)/GaAs量子井戸のバンド端エネル
ギーのN組成Yに対する依存性を示す。GaAs1-YNY
ウエルの場合のバンド端エネルギーのN組成依存性も同
時に示した。GaAs1-YNYウエル層にSbを加えるこ
とによって、価電子帯のエネルギ準位が増大する。Ga
As0.8-YSb0.2NY(10nm)はN組成の増大とと
もに急激に伝導帯エネルギーが低下する。その結果、N
組成0.5%で1.3μmの発光が実現する。この時の
ウエル層とバリア層界面での価電子帯のヘテロ障壁は2
50meV、伝導帯のヘテロ障壁は360meVという
大きな値が得られる。従って電子とホ−ルを効率よく閉
じこめることができるので、高い温度特性が実現でき
る。
る。本発明のGaAs1-X-YSbXN Yウエル層のSb組
成XとN組成Yは、例えば、0.16≦X≦0.23か
つ0.003≦Y≦0.012の領域に制限されたもの
である。以下に、その組成領域が効果を有する根拠を、
ウエル層厚10nmの場合を用いて説明する。
Y(層厚10nm)/GaAs(X=0.145、0.
16、0.20、0.23)の量子井戸構造の遷移波長
のN組成Y依存性を示す。ウエル層厚10nmは量子井
戸の典型的な厚さである。このとき、図13から遷移波
長1.3μmを実現するためには、少なくともN組成Y
が0<Y≦0.15の範囲では、Sb組成XについてX
≧0.16が必要である事が分かる。しかも図10から
格子不整合度が1.8%以内のSb組成Xの領域は0<
X≦0.23が必要であった。従って、本発明のSb組
成Xの領域は0.16≦X≦0.23と定めた。
層のGaAs1-X-YSbXNY(0.16≦X≦0.23
かつ0.003≦Y≦0.012)の(X、Y)組成領
域を示す。領域内の曲線は、ウエル幅が10nmの時の
発振波長が1.3μmとなるXとYの関係を示す。例え
ば、曲線上の点である、X=0.2、Y=0.005
(0.5%)のGaAs1-X-YSbXNYをウエル層に用
いたLDの場合、1.3μmの発光が得られる。この時
の格子不整合度は1.5%以内であり、多重量子井戸を
形成するのが可能な歪量である。またN組成は0.5%
であり、高品質の結晶が得られる値である。従って、本
発明のGaAs1-X-YSbXNY結晶はLDに適用可能で
かつ優れた品質である。
b0.2NY(10nm)/GaAs量子井戸の遷移波長の
N組成Yに対する依存性を示す。本発明のLDの量子井
戸のN組成が0.5%のとき、1.3μmの発光が実現
する。一方、同程度の格子不整合を有する従来のLDの
In0.2Ga0.8As1-YNY量子井戸では、1.3μmの
発光が実現しない。
伝導帯のヘテロ障壁が非常に小さいので電子を閉じこめ
られず、注入した電子がオ−バ−フロ−してしまうた
め、LDの温度特性が低い。本発明のGaAs1-X-YS
bXNY/GaAs量子井戸はウエル層とバリア層界面で
の価電子帯と伝導帯のヘテロ障壁が同程度に大きくなる
特徴を有する。従って電子とホ−ルを効率よく閉じこめ
ることができるので、高いLDの温度特性が実現でき
る。
E(分子線エピタキシ)法、ガスソ−スMBE法、MO
MBE(有機金属分子線エピタキシ)法、MOVPE
(有機金属気相エピタキシ)法等の気相成長法を用いて
作製できる。
を成長する方法を説明する。本発明はAs、P、Sbの
3種類のV族元素が必要である。As、PはAsH3、
PH3を熱分解(クラッキング温度は1000℃)し
て、GaAs基板に供給する。Sbは固体原料を用い、
ルツボに入れて加熱して蒸発させて供給する。N源は、
窒素ガスを高周波で分解し、Nラジカルで供給する。N
源の詳細は従来例1の文献等に記載されている。III族
原料は、Ga、Al、In等の金属原料を用い、同様に
ルツボに入れて加熱して蒸発させて供給する。ガスソ−
スMBE法は、比較的高いV族原料の供給量制御が可能
であり、本発明のLDを作製するのに適している。
はSi、p型ド−パントにはBeを用いる。n型、p
型、共に、LDのクラッド層のド−ピング濃度は4×1
017〜1×1018cm-3、光閉じこめ層は2×1017〜
8×1017cm-3程度とする。p型コンタクト層のド−
ピング濃度は5×1018〜1×1019cm-3とする。但
し量子井戸活性層はアンド−プとする。GaAs基板の
導電型や面方位特に限定しないが、通常はn型(00
1)面を用いる。nのド−ピング濃度は8×1017〜3
×1018cm-3とする。
成長装置にも依るが、ガスソ−スMBE法では、成長速
度は約1μm/hで、n−GaAs層、n−Al0.3G
a0.7As層、n−Al0.7Ga0.3As層は成長温度を
600〜680℃で成長する。GaInPの成長温度は
500〜560℃、GaAsSbNは460〜520℃
で成長する。AsH3、PH3の流量は3〜8sccmで
ある。基板表面の酸化膜を蒸発させてから成長を行う。
に供給されると、成長室のV族圧を著しく高め、供給を
停止した後も、成長室内に残留し背景圧を形成する。背
景圧が高いと背景から基板表面に供給されるV族原子が
無視できなくなる。従って、V族組成を制御し、急峻な
ヘテロ界面を有する半導体層を成長させるためには、残
留V族圧を十分低下させてから、V族原料を切り替える
ことが必要である。
のであるが、さらに、LDの電極のストライプ幅を小さ
くしたり、埋め込み構造やリッジ構造にしたり、回折格
子を形成したり、光出射端面を誘電体膜でコ−トして反
射率を制御したりして、レ−ザ光を単一波長化して安定
に得ることができる。
3μm帯で発光する特徴と、優れた温度特性を有し高温
でも安定動作する特徴を有する。本発明のLDの活性層
にはGaAs1-X-YSbXNYをウエル層とする量子井戸
構造を用いるが、そのウエル層厚とSb組成XとN組成
Yは、請求項に定められた領域の範囲で、バリア層バン
ドギャップに応じて、LDの発振波長が1.3μmにな
るように、調節されたものとする。
層構造図である。第1の実施例は、n型電極101、n
−GaAs(001)基板102、層厚0.3μmのn
−GaAs層103、層厚0.2μmのn−Al0.3G
a0.7As層104、層厚1.5μmのn−Al0.7Ga
0.3As層クラッド層105、層厚0.15μmのn−
GaAs光閉じ込め層106、多重量子井戸活性層10
7、層厚0.15μmのp−GaAs光閉じ込め層10
8、層厚1.5μmのp−Al0.7Ga0.3As層クラッ
ド層109、層厚0.2μmのp−Al0.3Ga0.7As
層110、層厚0.2μmのp−GaAsコンタクト層
111、p型電極112からなる光通信用の半導体レ−
ザ素子である。
構造図である。多重量子井戸活性層107は、層厚15
nmのGaAsバリア層201、層厚10nmのGaA
s0. 795Sb0.20N0.005Asウエル層202、層厚15
nmのGaAsバリア層203、層厚10nmのGaA
s0.795Sb0.20N0.005Asウエル層204、層厚15
nmのGaAsバリア層205からなる。
素にPを用いていないため、通常のMBE装置で比較的
容易に作製できるという特徴を有する。GaAs0.795
Sb0 .20N0.005Asウエル層とGaAsバリア層の量
子井戸構造において、ウエル層とバリア層でIII族元素
(Ga)が1種類で共通しているため、比較的急峻な界
面が実現できる。ウエル層とバリア層にAlを含む材料
を用いていないため発光効率と動作寿命の大きいLDが
得られる。第1の実施例は、以下の実施例と同様に、
1.3μm帯で発光する特徴と、優れた温度特性を有し
高温でも安定動作する特徴を有する。
層構造図である。第2の実施例は、n型電極301、n
−GaAs(001)基板302、層厚0.3μmのn
−GaAs層303、層厚1.5μmのn−Ga0.5I
n0.5Pクラッド層304、層厚0.15μmのn−G
aAs光閉じ込め層305、多重量子井戸活性層30
6、層厚0.15μmのp−GaAs光閉じ込め層30
7、層厚1.5μmのp−Ga0.5In0.5Pクラッド層
308、層厚0.2μmのp−GaAsコンタクト層3
09、p型電極310からなる光通信用の半導体レ−ザ
素子である。
構造図である。多重量子井戸活性層306は、層厚15
nmのGaAsバリア層401、層厚10nmのGaA
s0. 9P0.1バリア層402、層厚10nmのGaAs
0.793Sb0.20N0.007Asウエル層403、層厚10n
mのGaAs0.9P0.1バリア層404、層厚10nmの
GaAs0.793Sb0.20N0.007Asウエル層405、層
厚10nmのGaAs0. 9P0.1バリア層406、層厚1
0nmのGaAs0.793Sb0.20N0.007Asウエル層4
07、層厚10nmのGaAs0.9P0.1バリア層40
8、層厚15nmのGaAsバリア層409からなる。
を含む材料を全く用いていないため、リッジ構造を形成
したあと再成長で埋め込み構造が容易にできる。従っ
て、高い発光効率と100W以上の高光出力動作でも寿
命の大きいLDが得られる。多重量子井戸活性層に引張
歪のGaAs0.9P0.1バリア層を用いることにより、多
重量子井戸活性層の全体の格子歪量を、無歪のバリア層
を用いた場合より小さくできる。ウエル層とバリア層で
III族元素(Ga)が1種類で共通しているため、比較
的急峻な界面が実現できる。従って本実施例のLDは、
高い結晶品質を保ったままで量子井戸数を増やすことが
できるため、発光効率が増大するという特徴を有する。
尚、バリア層としては、GaAs1-pPpとして、0<p
≦0.2の範囲にあることが好ましい。この時、GaA
sに対する格子不整合度が1.8%以内となるので、通
常用いられるバリア層の厚さでは、良質の結晶が得られ
るからである。
層構造図である。第3の実施例は、n型電極501、n
−GaAs(001)基板502、層厚0.3μmのn
−GaAs層503、層厚0.2μmのn−Ga0.5I
n0.5P層504、層厚1.5μmのn−Al0.5In
0.5P層クラッド層505、層厚0.15μmのn−G
a0.5In0.5P光閉じこめ層506、多重量子井戸活性
層507、層厚0.15μmのp−Ga0.5In0.5P光
閉じこめ層508、層厚1.5μmのp−Al0.5In
0.5P層クラッド層509、層厚0.2μmのp−Ga
0.5In0 .5P層510、層厚0.2μmのp−GaAs
コンタクト層511、p型電極512からなる光通信用
の半導体レ−ザ素子である。但しAl0.5In0.5P層、
Ga0.5In0.5P層はGaAs基板に格子整合してい
る。
構造図である。多重量子井戸活性層507は、層厚10
nmのGa0.5In0.5P層601、層厚10nmのGa
0.6In0.4Pバリア層602、層厚10nmのGaAs
0.793Sb0.20N0.007Asウエル層603、層厚10n
mのGa0.6In0.4Pバリア層604、層厚10nmの
GaAs0.793Sb0.20N0.007Asウエル層605、層
厚10nmのGa0. 6In0.4Pバリア層606、層厚1
0nmのGaAs0.793Sb0.20N0.007Asウエル層6
07、層厚10nmのGa0.6In0.4Pバリア層60
8、層厚10nmのGa0.5In0.5P層609からな
る。
n0.4Pバリア層を用いることにより、多重量子井戸活
性層の全体の格子歪量を、無歪のバリア層を用いた場合
より小さくできる。Ga0.6In0.4Pバリア層のIn組
成は、上記実施例2におけるGaAs0.9P0.1バリア層
のP組成より、精密な制御が容易であるため、歪量をよ
り正確に制御できる。従って本実施例のLDは、高い結
晶品質を保ったままで量子井戸数を増やすことができる
ため、発光効率が増大するという特徴を有する。尚、本
実施例におけるバリア層としては、GaqIn1-qPとし
て0.50<q≦0.7の範囲であることが望ましい。
この時、GaAsに対する格子不整合度が1.8%以内
となるので、通常用いられるバリア層の厚さでは、良質
の結晶が得られるからである。
量子井戸活性層にAlを含む材料を用いていないため発
光効率と動作寿命の大きいLDが得られる。Al0.5I
n0.5P層はGa0.5In0.5P層よりも伝導帯のヘテロ
障壁が180meV大きいため、Al0.5In0.5P層ク
ラッド層を用いた本実施例のLDは、この材料系では高
温で最も安定な動作が可能であるという特徴を有する。
導体レ−ザの多重量子井戸活性層507を以下に示す多
重量子井戸活性層710で置き換えた構造で、それ以外
は第3の実施例の半導体レ−ザと同様の構造を有する。
レ−ザの多重量子井戸活性層710の断面層構造図であ
る。多重量子井戸活性層710は、層厚10nmのGa
0.5In0.5P層701、量子井戸層706、量子井戸層
707、量子井戸層708、層厚10nmのGa0.5I
n0.5P層709からなる。量子井戸層706、量子井
戸層707、量子井戸層708は同じ順番でかつ同じ層
構造を有する。量子井戸層706は、層厚10nmのG
a0.6In0.4Pバリア層702、3分子層厚のGaAs
層703、層厚10nmのGaAs0.795Sb0.20N
0.005Asウエル層704、3分子層厚のGaAs層7
05からなる。多重量子井戸活性層710は、ウエル層
とバリア層の間に3分子層厚のGaAs層がある点で多
重量子井戸活性層507と異なる特徴を有する。3分子
層厚のGaAs層がウエル層とバリア層の間の歪量の差
を緩和する働きがある。これによって、結晶品質の優れ
た多重量子井戸が実現できる。尚、本実施例ではバリア
層とウエル層との間に3分子層厚のGaAs層を設けた
が、これに限定されず、ウエル層とバリア層との間の歪
量の差を緩和できれば良く、1〜5分子層厚のGaAs
層或いはGaAsに格子整合するAlGaAs,GaI
nP,AlInPもしくはAlGaInPなどの半導体
層を設けることができる。なおここでは、量子井戸ウエ
ル層厚の上限15nmの1割程度の厚さを層厚の上限と
した。また、前述の実施例2で示したGaAs0.9P0.1
バリア層とGaAs0.793Sb0.20N0.007Asウエル層
との間にも、1〜5分子層厚のGaAs層或いはGaA
sに格子整合する半導体層を設けることで、同様に歪量
緩和の効果が得られる。
品質のGaAs1-X-YSbXNY(0<X≦0.3かつ0
<Y≦0.015)を用いている。このため、GaAs
基板上にはじめて1.3μm帯のLDが実現できる。例
えば量子井戸のウエル層にGaAs0.795Sb0.2N
0.005を用いた場合、バリア層にGaAs、Ga0.52I
n0.4 8P、Al0.52In0.48Pを用いれば、ウエル層と
バリア層の伝導帯のヘテロ障壁はそれぞれ、360me
V、570meV、750meVという大きな値が得ら
れる。同様に、価電子帯のヘテロ障壁はそれぞれ、25
0meV、515meV、770meVとなり、伝導帯
のヘテロ障壁と同程度の値が得られる。
とバリア層の伝導帯のヘテロ障壁は200meV程度で
ある。従って本発明のLDでは、従来のInP基板上の
LDの2倍から4倍弱の伝導帯のヘテロ障壁が得られ
る。その結果、量子井戸層に電子とホ−ルを効率よく閉
じこめることができるので、LDの環境温度が変化して
も閾値が変わらず安定した光出力が得られる。
は、温度変化に対するLDの発振閾電流値の変化の小さ
い優れた温度特性を有する。また環境温度が100℃程
度に高くなっても安定して動作する。したがって、LD
の温度を一定に保つための装置や、光出力を一定に保つ
装置が不要となるため、レ−ザ装置のコストが大幅に削
減できる。
れば、従来の結晶成長装置を用いて作製できるので、新
たに大きな設備投資が不要である利点を有する。
面層構造図である。
る。
面層構造図である。
る。
面層構造図である。
る。
の断面層構造図である。
面層構造図である。
対する依存性を示すグラフである。
Asに対する格子不整合度のSb組成X依存性を示すグ
ラフである。
Ga1-ZAs(0≦X,Y,Z≦0.5)のバンド端エ
ネルギ−のSb組成X、N組成Y、In組成Zに対する
依存性を示すグラフである。
m)/GaAs量子井戸のバンド端エネルギのN組成Y
に対する依存性を示すグラフである。
nm)/GaAs(Sb組成X=0.145、0.1
6、0.20、0.23)の量子井戸構造の遷移波長の
N組成Yに対する依存性を示すグラフである。
1-X-YSbXNY(0.16≦X≦0.23かつ0.00
3≦Y≦0.012)の(X、Y)組成領域を規定する
グラフである。
Y(10nm)/GaAs量子井戸の遷移波長のN組成
Yに対する依存性を示すグラフである。
Claims (7)
- 【請求項1】 活性層を構成する少なくとも1つの半導
体層がGaAs1-X- YSbXNY(0<X≦0.3かつ0
<Y≦0.015)であることを特徴とするGaAs基
板上に形成された半導体レ−ザ素子。 - 【請求項2】 請求項1記載の半導体レ−ザ素子におい
て、キャリアを注入するクラッド層がAlGaAs、G
aInP、AlInPもしくはAlGaInPからなる
群から選ばれるGaAsに格子整合する半導体であるこ
とを特徴とする半導体レ−ザ素子。 - 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体レ−ザ素子
において、その活性層を構成する半導体層の内でバンド
ギャップが最小の半導体層がGaAs1-X-YSbXN
Y(0.16≦X≦0.23かつ0.003≦Y≦0.
012)であることを特徴とする半導体レ−ザ素子。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
半導体レ−ザ素子において、その活性層がGaAs
1-X-YSbXNY(0.16≦X≦0.23かつ0.00
3≦Y≦0.012)ウエル層とGaAsバリア層を交
互に隣接させて形成した量子井戸構造であることを特徴
とする半導体レ−ザ素子。 - 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
半導体レ−ザ素子において、その活性層がGaAs
1-X-YSbXNY(0.16≦X≦0.23かつ0.00
3≦Y≦0.012)ウエル層とGaAs1-pPp(0<
p≦0.2)バリア層を交互に隣接させて形成した量子
井戸構造であることを特徴とする半導体レ−ザ素子。 - 【請求項6】 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の
半導体レ−ザ素子において、その活性層がGaAs
1-X-YSbXNY(0.16≦X≦0.23かつ0.00
3≦Y≦0.012)ウエル層とGaqIn1-qP(0.
50<q≦0.7)バリア層を交互に隣接させて形成し
た量子井戸構造であることを特徴とする半導体レ−ザ素
子。 - 【請求項7】 請求項5又は6に記載の半導体レ−ザ素
子において、その量子井戸活性層のウエル層とバリア層
の間に1〜5分子層厚のGaAsもしくはGaAsに格
子整合する半導体層が設けられたことを特徴とする半導
体レ−ザ素子。
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-
1998
- 1998-03-12 JP JP06141898A patent/JP3209266B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US6365314B1 (en) | 1994-05-13 | 2002-04-02 | Canon Kabushiki Kaisha | Toner for developing electrostatic image, image forming method and process cartridge |
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