JP3135250B2 - 半導体レーザ装置 - Google Patents

半導体レーザ装置

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JP3135250B2 JP02221281A JP22128190A JP3135250B2 JP 3135250 B2 JP3135250 B2 JP 3135250B2 JP 02221281 A JP02221281 A JP 02221281A JP 22128190 A JP22128190 A JP 22128190A JP 3135250 B2 JP3135250 B2 JP 3135250B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、化合物半導体材料を用いた半導体レーザに
係わり、特に活性領域にInGaAlPやInGaAsP等を量子井戸
層とする量子井戸構造を用いた半導体レーザ装置に関す
る。
(従来の技術) InGaAlP系材料は、窒化物を除くIII−V族化合物半導
体混晶中で最大のバンドギャップを有し、0.5〜0.6μm
帯の発光素子材料として注目されている。特に、GaAsを
基板とし、これに格子整合するInGaAlPを活性層及びク
ラッド層とするダブルヘテロ構造半導体レーザは、室温
で発振可能な、0.6μm帯可視光レーザとなり、赤外域
の半導体レーザにない様々な応用可能性を持っている。
また、発振波長が短いため小さなビームスポットが得ら
れ、光ディスクの高密度記録化を可能とする光源となり
得る。このために、30mW以上の光出力で安定に動作でき
るInGaAlP系半導体レーザの実現が望まれている。
半導体レーザの光出力を制限する要因として、電流−
光出力特性におけるキンク(電流−光出力特性の直線性
が損われ、折れ曲がりが生じること)の発生があげられ
る。キングが発生すると、横モードが変形しビーム特性
の悪化が生じるため、光ディスク等の光源として用いる
ことが困難になる。従って、良好なビーム特性を保持し
つつ、高い光出力を得るには、キングレベルの高い半導
体レーザが必要とされる。
キンク発生のメカニズムとして、ホールバーニング効
果がその一つとして考えられる。これは、活性層中の横
モード、即ち光密度分布における光密度の高い部分にお
いて、電子と正孔の再結合による誘導放出が強く行わ
れ、電子と正孔の濃度が低下し、活性層の電子,正孔の
濃度分布が変形するため、利得分布の変形を来たし、横
モードが変形するものである。このとき、電子・正孔の
濃度分布は、キャリアの拡散長が大きいほど変形を来た
し難いと考えられるが、InGaAlP系材料の場合、特に正
孔の拡散長が小さく、これがキンクレベルの低い主要な
要因であると考えられる。
また、光出力を制限する要因として、いわゆる破壊的
光学損傷(COD:Catastrophic Optical Damage)があ
る。これは、活性層自身が発振したレーザ光を吸収し、
これによって発生した電子−正孔対が非発光再結合する
際に発熱,温度上昇を来たし、エネルギーギャップの低
下により光吸収がさらに強くなるといった正帰還が起き
ることにより、光密度の高いレーザ端面近傍で結晶の融
解が起こってレーザが破壊するというものである。COD
の発生は光密度に依存し、活性層への光閉じ込め量の高
い場合や横モード幅の狭い場合ほど、低光出力でCOD光
密度に達して破壊が起こる。
この他に、高出力で長期的に安定な動作を可能とする
には、室温或いはそれ以上の温度における動作電流を低
くすることが必須であり、しきい値電流が低く、微分量
子効率(若しくはスロープ効率)の高いレーザが実現さ
れなければならない。
これらの問題を解決する手段として、活性層に量子井
戸(QW:Quantum Well)構造を採用する方法が有効と考
えられている。QW構造は、電子の波動関数の波長程度以
下の厚さの量子井戸層を、これよりエネルギーギャップ
が大きく、量子井戸中の電子に対し障壁となる障壁層で
挟んだもので、1つ(SQW:Single Quantum Well)、又
は2つ以上(MQW:Multiple Quantum Well)の量子井戸
層からなり、光閉じ込めのための光ガイド層を伴う。積
層方向の電子状態が量子化され、状態密度がステップ状
に増加するため、注入電流に対する利得が大きくなり、
低しきい値化が可能である。これにより、量子井戸層に
対する光閉じ込め量を低減しても、しきい値,温度特性
の優れた発振の可能性がある。光閉じ込め量の低減は、
ホールバーニングによるキンクの発生や光吸収によるCO
Dの発生に対し、そのレベル向上に有効と考えられる。
しかしながら、量子井戸構造を活性層とする半導体レ
ーザでは、電子状態の量子化によりエネルギーギャップ
は等価的に増大し、発振波長の短波長化が起こる。短波
長化の度合いは、量子井戸層の厚さ,量子井戸層と障壁
層のヘテロバリアの大きさ等により変わる。具体的に
は、量子井戸層を厚さ80Å程度でGaAs基板に格子整合す
るIn0.5Ga0.5P、障壁層をIn0.5(Ga0.5Al0.50.5Pと
したときの発振波長は、同じくInGaPのバルク結晶を活
性層としたダブルヘテロ構造レーザに対し約15nm程度短
波長化していた。
このような短波長化は量子井戸構造に本質的な現象で
あり、GaAlAs系など他の材料系でも見られている。とこ
ろが、InGaAlP系を用いた半導体レーザに適用する場
合、以下のような重大な問題を有している。即ち、InGa
AlP系材料では、活性層の両側に位置し注入キャリアを
閉じ込める役割を持つクラッド層として、十分大きなエ
ネルギーギャップを有するものを使うことが困難であ
る。量子井戸構造の採用により短波長化、即ちエネルギ
ーギャップの等価的な増大が起こると、これに対するク
ラッド層とのエネルギーギャップ差が小さくなり、注入
キャリアを有効に閉じ込めることができなくなる。これ
によるしきい値の上昇は、量子井戸構造採用による低し
きい値の効果よりも大きく、InGaAlP系では量子井戸構
造が必ずしもその効果を発揮できていないのが現状であ
る。
一方、従来その混晶組成によって格子定数が変化する
InGaAlP系材料を半導体レーザに用いる場合、使用温度
である室温から結晶を成長する温度の間で、基板結晶と
の格子定数の違いを小さく抑えることが必要と考えられ
てきた。これは、格子定数の違いが大きくなると、ミス
フィット転位を生じたり、ストレスの発生による欠陥の
伸長が促進されるため、注入電流密度や光密度の高い半
導体レーザでは、その特性の劣化を生じやすいという懸
念があったためである。通常の半導体レーザでは、その
格子定数の違い(格子不整合度)Δa/aを Δa/a=(a−a0)/a0 としたとき、格子不整合度を約0.2%程度以下にするこ
とが前提とされていた。但し、aはInGaAlP層の格子定
数、a0は基板の格子定数である。
第5図(a)は従来の横モード制御構造InGaAlP半導
体レーザの概略構造を示す断面図である。図中1はn−
GaAs基板、2はn−GaAsバッファ層、3はn−InGaAlP
クラッド層、4は量子井戸構造活性層、5はp−InGaAl
Pクラッド層、6はp−InGaPキャップ層、7はp−GaAs
コンタクト層である。リッジ形状をしたp−InGaAlPク
ラッド層5、リッジ上にのみ形成されたp−InGaPキャ
ップ層6、及びこれらを埋め込み、発光波長に対し光吸
収層として機能するp−GaAsコンタクト層7により、電
流狭窄及び横モードを制御する機構をなしている(例え
ば、JAPANESEJOURNALOFAPPLIEDPHYSICS,Vol.27,No.12,1
988,pp.L2414−L2416)。
この装置における量子井戸構造活性層付近における具
体的構造、及び伝導帯端のエネルギーレベルの様子を第
5図(b)に示す。4aはInGaP量子井戸層(4層)、4b
はInGaAlP障壁層である。なお、伝導帯のエネルギーレ
ベルは、In0.5(Ga1-XAlX0.5Pの表記におけるAl組成
x、特に直接遷移型エネルギーギャップとなるx<0.7
の範囲では、エネルギーギャップそのものと対応してい
る。
第5図の構造において、各層の混晶組成を上記の格子
不整合度(±0.2%)の範囲に設定したときの、量子井
戸層4aの厚さに対する発振波長,しきい値電流及びキン
クレベルの関係を第6図に示す。薄膜化によりキンクレ
ベルの増加は認められたが、発振波長の短波長化によ
り、しきい値はDH構造に比べ必ずしも低下していない。
従って、発振可能な最高温度が低下し、動作温度範囲を
考慮した実用的なしきい値電流でのキンクレベルは60mW
程度であり、これが使用可能な最大光出力を制限してい
た。
(発明が解決しようとする課題) このように従来、InGaAlPからなる量子井戸構造活性
層を持つ半導体レーザにおいては、キンクレベルの発生
及び短波長化によるしきい値電流の増加が使用可能な最
大光出力を制限しているという問題があった。
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その
目的とするところは、発振波長の短波長化によるしきい
値電流増加の問題なく、さらなるキンクレベルの向上を
実現することができ、使用可能な最大光出力の向上をは
かり得る半導体レーザ装置を提供することにある。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明の骨子は、量子井戸層の格子定数と基板の格子
定数との違いを大きく取ることにより、キンクレベルの
向上をはかることにある。
即ち本発明は、組成によって格子定数が異なる直接遷
移型のIn1-Y(Ga1-XAlXYP(0≦x<1,0≦y<1)か
らなる量子井戸層と、この量子井戸層を挟むIn1-T(Ga
1-SAlSTP(x<s≦1,0<t≦1)からなる障壁層と
で量子井戸構造を構成した活性領域とし、この活性領域
をn及びp型のInGaAlP系のクラッド層で挟んだダブル
ヘテロ構造部を化合物半導体基板上に形成した半導体レ
ーザ装置において、前記量子井戸層の格子定数を前記基
板の格子定数に比べ0.5%以上大きくすると共に、p型
のクラッド層上にInGaP系からなるキャップ層を設け、
このキャップ層上にコンタクト層を設けたことを特徴と
する。
また、本発明の望ましい実施態様としては、基板とし
てGaAs、クラッド層としてGaAsに格子整合するIn0.5(G
a1-UAlU0.5P(0≦u<1)障壁層としてGaAsに格子
整合するIn0.5(Ga1-SAlS0.5P(s≦u)、量子井戸
層としてGaAsより格子定数の大きいIn1-YGaYP(y<0.
5)を用いる。さらに、量子井戸層の厚さを50〜100Åに
設定し、且つ量子井戸層の格子定数を基板の格子定数に
比べて0.6〜3%大きくしたことを特徴とするものであ
る。
(作用) 本発明によれば、量子井戸層の格子定数を基板の格子
定数に対して大きく異ならせることによって、量子井戸
層に加わる歪みにより、量子井戸層に用いたInGaAlPの
バンド構造、特に価電子帯の有効質量を量子井戸層面内
方向について小さくすることことができる。これによっ
て、量子井戸層面内方向での正孔の拡散長を大きくする
ことができ、キンク発生の一因であるホールバーニング
効果を回避できる。また、量子井戸層の格子定数を基板
の格子定数に対して大きくすることによって、量子井戸
層のエネルギーギャップを小さくし、クラッド層とのエ
ネルギーギャップ差を大きく保つことができる。これに
より、量子井戸構造による短波長化が引き起こす、注入
キャリア閉じ込め効果の低下、ひいてはしきい値電流,
動作可能温度の低下を防ぐことができ、高い光出力まで
キンクのない安定な横モードでの発振が可能となる。
(実施例) 以下、本発明の詳細を図示の実施例によって説明す
る。
第1図は本発明の一実施例に係わる半導体レーザ装置
の概略構成を示す断面図である。図中11はn−GaAs基板
であり、この基板11の上にn−GaAsバッファ層12,n−In
GaAlPクラッド層13,量子井戸構造活性層14及びp−InGa
AlPクラッド層15が成長形成されている。クラッド層15
には、該クラッド層15の一部を途中までエッチングして
リッジが形成され、このリッジの上にp−InGaPキャッ
プ層16が形成されている。そして、キャップ層16及びク
ラッド層15の上にはp−GaAsコンタクト層17が形成され
ている。
なお、量子井戸構造活性層14は、第2図に示すように
量子井戸層14aと障壁層14bを積層したものである。ま
た、量子井戸層14aの材料はIn1-Y(Ga1-XAlXYP(0≦
x<1,0≦y<1)で、障壁層14bの材料はIn1-T(Ga1-S
AlSTP(x<s≦1,0<t≦1)である。
上記の構造は従来装置と基本的に同様であるが、本実
施例では量子井戸層14aの組成を変えて、基板11に対す
る格子不整合度を大きくしたことを特徴としている。本
実施例レーザにおける活性層付近の各層の格子不整合度
及び伝導帯端エネルギーレベルを第2図に示す。量子井
戸層14aのエネルギーギャップは障壁層14bの、また障壁
層14bのエネルギーギャップはクラッド層13,15のそれよ
り小さくなるようにそれぞれ混晶組成が設定されてお
り、量子井戸構造が形成されている。また、2つのクラ
ッド層13,15の導電型は互いに異なり、活性層14へ電子
及び正孔をそれぞれ注入する。各層のGaAs基板11に対す
る格子不整合度は2つのクラッド層13,15及び障壁層14b
が基板10に対して略等しく、また量子井戸層14aは約1
%大きく設定されている。
このように設定された量子井戸構造活性層部を、第1
図に示した横モード制御構造InGaAlP半導体レーザに適
用した例について以下に示す。量子井戸層14aを厚さ80
ÅのIn0.62Ga0.38P(4層)、障壁層14bをIn0.5(Ga
0.6Al0.40.5P(厚さ:量子井戸層の間のものは60
Å、クラッド層13,15に隣接したものは500Å)、クラッ
ド層13をn−In0.5(Ga0.3Al0.70.5P、クラッド層15
をp−In0.5(Ga0.3Al0.70.5Pとした。クラッド層1
3,15の不純物ドーピングはp型はZnを不純物とし1×10
18cm-3程度、n型はSiを不純物とし5×1017cm-3程度の
濃度とした。これは基本的には、従来の量子井戸活性層
を有する構造と同等であるが、量子井戸層14aの組成を
変えることによって格子不整合度を大きくしている点が
異なっている。
このレーザ素子の電流光出力特性を第3図に示す。図
中Aは本実施例の量子井戸構造活性層を有する場合の電
流光出力特性を、Bは従来の量子井戸構造活性層の場合
のものを示している。従来構造では、量子井戸層の基板
に対する格子不整合度を0.2%以内としている。活性層
の格子不整合度は、フォトルミネッセンス波長,X線回
折,透過電子顕微鏡像などによって確認した。従来構造
にくらべ、格子不整合度を大きくしたことで発振波長は
20nm程度長波長化し、675nm程度であり、GaAsに格子整
合したInGaPバルクを活性層としたダブルヘテロ構造レ
ーザ(670nm)とほぼ同等の発振波長であった。従来構
造が60mW程度でキンクを生じたのに対し、本実施例の構
造ではキンクレベルは120mW以上にまで向上した。ま
た、本実施例の構造では、従来構造に比べ発振しきい値
電流が20mA程度と約半分に低下し、微分量子効率の向上
も認められた。
第4図は、量子井戸構造活性層14の格子不整合度Δa/
aに対するキンクレベルPK,閾値電流ITH及び発振波長λ
の依存性を示したものである。キンクレベル向上の効果
は、格子不整合度が0.5%程度から現れはじめ、格子不
整合度の増加と共に増加し、0.6%程度で格子不整合度
が0の場合の約2倍となった。しかし、格子不整合度が
2.2%を越えると、キンクレベルは急激に低下した。こ
れは、ミスフィット転位が発生することで素子特性が劣
化し、発振が困難になるためであった。
また、格子不整合度の増加と共に発振波長は長波長化
し、これに伴いオーバーフロー電流が減少し、発振しき
い値電流は低下した。そして、格子不整合度が0.5%を
越える点から、しきい値電流は急激な低下を示した。こ
れは、歪の効果による価電子帯構造の変化の影響が顕著
に現れたためと考えられる。また、しきい値電流もキン
クレベルと同じ理由により、格子不整合度が2.2%を越
えると急激に増加した。これらの効果による低しきい値
での発振は、動作可能な最高温度を高くすることに大き
な効果を示し、室温以上の温度において、安定な高出力
発振を得ることができた。
なお、第4図の特性は量子井戸層14aの厚さを80Åと
したときのものであるが、量子井戸層14aの厚さを変え
るとこの特性も変わる。量子井戸層は製造上の問題もあ
り、あまり薄くすることはできない。また、本実施例で
は量子井戸層の格子定数を基板とずらしているので、量
子井戸層を厚く形成することは難しい。本発明者らの実
験によれば、量子井戸層の厚さを50Åとした場合、第4
図と同様にキンクレベルの向上は格子不整合度の0.5%
付近から現れ、キンクレベルの急激な低下は3%付近で
あった。また、量子井戸層の厚さを100Åとした場合、
第4図と同様にキンクレベルの向上は格子不整合度の0.
5%付近から現れ、キンクレベルの急激な低下は2%付
近であった。このことから、量子井戸層の厚さを50〜10
0Åとした場合、格子不整合度は0.6〜2%が最も望まし
い範囲であり、この範囲になるように量子井戸層の組成
比を定めればよい。
上述のように、量子井戸層の格子不整合度を変えると
それに伴ってエネルギーギャップが変化し、ひいては発
振波長が変化する。しかし、InGaAlP系材料では、格子
不整合度の他に、Al組成やxや結晶成長条件により変化
する原子の秩序配列性によっても制御することができ、
結果的に同じ波長であればその素子特性はキンクレベル
と同様格子不整合度の大きなもので若干改善される傾向
が現れた。これは、発振しきい値の低減、微分量子効率
の向上などに顕著に現れた。これらの効果は、キンクレ
ベルの向上と同様、格子不整合による歪により、バンド
構造が変化し、量子井戸層面内方向の正孔の有効質量が
小さくなることに依存していると考えられる。このよう
な効果が0.5%程度の格子不整合度から現れる原因につ
いては、量子井戸層面内方向の正孔の有効質量の小さな
バンドのバンド端と大きなバンドのバンド端のエネルギ
ー差が、注入キャリア密度や動作温度に対して顕著な違
いを生じるのに、この程度の格子不整合度による歪が必
要になることによると考えられる。
このように本実施例によれば、GaAs基板11上に量子井
戸構造を有するダブルヘテロ構造部を形成した半導体レ
ーザにおいて、In1-YGaYP量子井戸層14aのGa組成yを基
板11に格子整合する0.5よりも小さい0.38にして、量子
井戸層14aの格子定数を基板11の格子定数よりも1%大
きくしている。このため、量子井戸層14aのエネルギー
ギャップをy=0.5のときよりも小さくし、クラッド層1
3,15とのエネルギーギャップ差を大きく保つことができ
る。これにより、量子井戸構造による短波長化が引き起
こす注入キャリア閉じ込め効果の低下、ひいてはしきい
値電流,動作可能温度の低下を防ぐことができ、高い光
出力までキンクのない安定な横モードでの発振が可能と
なる。そして、第4図からも判るように、しきい値電流
が20mAと十分に低く、でキンクレベルが120mWと十分に
高いレーザを実現することができた。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものでは
ない。実施例では、横モード制御構造として第1図に示
すような構造について述べたが、量子井戸層の格子不整
合によるキンクレベルの向上効果は量子井戸構造によっ
て決まるため、キンクレベルが上記のメカニズムに制限
されている場合は、他の横モード制御構造であっても同
様な効果が得られることはいうまでもない。また、量子
井戸構造部の材料としてはInGaAlPに限らずInGaAsPに適
用することができ、さらに組成によって格子定数が変化
する直接遷移型の化合物半導体であれば適用することが
可能である。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で
種々変形して実施することができる。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明によれば、化合物半導体基
板上に形成され、InGaAlP等からなる量子井戸構造活性
層を有する半導体レーザ装置において、量子井戸層の格
子定数と基板の格子定数の違いを大きくとることによ
り、しきい値電流を増加させることなくキンクレベルを
高めることができ、高い光出力までキンクのない安定な
横モードでの発振が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例に係わる半導体レーザの概略構
成を示す断面図、第2図は量子井戸構造活性層部の格子
不整合度を示す模式図、第3図は実施例レーザと従来レ
ーザの電流−光出力の関係を示す特性図、第4図は格子
不整合度とキンクレベル及び発振しきい値電流の関係を
示す特性図、第5図は従来の半導体レーザを説明するた
めの模式図、第6図は従来半導体レーザのQW厚さに対す
るキンクレベル,しきい値電流,発振波長の関係を示す
特性図である。 11……n−GaAs基板、 12……n−GaAaバッファ層、 13……InGaAlPクラッド層、 14……量子井戸活性層、 14a……InGaAlP量子井戸層、 14b……InGaAlP障壁層、 15……p−InGaAlPクラッド層、 16……p−InGaPキャップ層、 17……p−GaAsコンタクト層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡邊 実 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (72)発明者 岡島 正季 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝総合研究所内 (56)参考文献 1990年(平成2年)春季応物学会予稿 集 31p−S−12 P.309 Appl.Phys.Lett.56 [18](1990)P.1718−1719 Jpn.J.Appl.Phys.27 [12](1988)P.L2414−L2416

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】組成によって格子定数が異なる直接遷移型
    のIn1-Y(Ga1-XAlXYP(0≦x<1,0≦y<1)からな
    る量子井戸層と、この量子井戸層を挟むIn1-t(Ga1-SAl
    StP(x<s≦1,0<t≦1)からなる障壁層とで量子
    井戸構造を構成した活性領域とし、この活性領域をn及
    びp型のInGaAlP系のクラッド層で挟んだダブルヘテロ
    構造部を化合物半導体基板上に形成した半導体レーザ装
    置において、 前記ダブルヘテロ構造部のp型クラッド層にストライプ
    状のリッジを形成し、該リッジ上にInGaP系からなるキ
    ャップ層を設け、前記p型クラッド層及びキャップ層上
    にコンタクト層を設け、 前記量子井戸層の厚さを5〜10nmに設定し、且つ該量子
    井戸層の格子定数を前記基板の格子定数に比べて0.6〜
    2%大きくしたことを特徴とする半導体レーザ装置。
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1990年(平成2年)春季応物学会予稿集 31p−S−12 P.309
Appl.Phys.Lett.56[18](1990)P.1718−1719
Jpn.J.Appl.Phys.27[12](1988)P.L2414−L2416

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