JP3206962B2 - 真空容器 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えばシンクロトロ
ン加速器等の粒子加速装置用のビームダクトなどに好適
な真空容器に関する。
ン加速器等の粒子加速装置用のビームダクトなどに好適
な真空容器に関する。
【0002】
【従来の技術】荷電粒子を加速・蓄積する装置であるシ
ンクロトロンあるいはストレージリングの構成要素とし
て、加速高エネルギー化したビームが通過するビームダ
クト等の真空容器が使われている。シンクロトロンのビ
ームダクトは内部がほぼ真空に保たれるため、外圧に耐
える肉厚と気密性が要求される。従ってこの種の真空容
器の通常の肉厚は、例えば3.0mm 前後とかなり厚いもの
である。
ンクロトロンあるいはストレージリングの構成要素とし
て、加速高エネルギー化したビームが通過するビームダ
クト等の真空容器が使われている。シンクロトロンのビ
ームダクトは内部がほぼ真空に保たれるため、外圧に耐
える肉厚と気密性が要求される。従ってこの種の真空容
器の通常の肉厚は、例えば3.0mm 前後とかなり厚いもの
である。
【0003】上述のように肉厚の厚い真空容器は、電磁
石の磁場変化にさらされることによって渦電流が発生す
ることがある。この渦電流は更にビームダクト回りに磁
場を作るため、軌道を周回するビームの不安定性を引き
起こす原因となる。このような観点からすると、真空容
器の肉厚は薄い方が良いが、肉厚が薄くなるほど外圧に
対して変形しやすくなるため、薄肉金属管を用いた真空
容器は何らかの補強手段が必要となる。また真空容器
は、その材料が非磁性であることおよびガス放出が少な
いことも重要である。
石の磁場変化にさらされることによって渦電流が発生す
ることがある。この渦電流は更にビームダクト回りに磁
場を作るため、軌道を周回するビームの不安定性を引き
起こす原因となる。このような観点からすると、真空容
器の肉厚は薄い方が良いが、肉厚が薄くなるほど外圧に
対して変形しやすくなるため、薄肉金属管を用いた真空
容器は何らかの補強手段が必要となる。また真空容器
は、その材料が非磁性であることおよびガス放出が少な
いことも重要である。
【0004】例えば図6に示したベローズタイプの真空
容器100 (従来例1)は、薄肉金属管からなる容器本体
101 に、軸線方向に所定ピッチでひだ壁102 を形成する
ことによって、容器本体101 の強度を高めている。この
種の真空容器100 は電気抵抗が大きく、渦電流の発生を
回避する上で有効であり、しかもビームの軌道半径に応
じた曲率で湾曲させることも比較的容易である。
容器100 (従来例1)は、薄肉金属管からなる容器本体
101 に、軸線方向に所定ピッチでひだ壁102 を形成する
ことによって、容器本体101 の強度を高めている。この
種の真空容器100 は電気抵抗が大きく、渦電流の発生を
回避する上で有効であり、しかもビームの軌道半径に応
じた曲率で湾曲させることも比較的容易である。
【0005】図7に示される真空容器110 (従来例2)
は、特開平1−160000号公報に記載されているも
のと同様に、容器本体111 に複数の補強リブ112 が容器
本体111 の軸線方向に所定ピッチで取付けられている。
この真空容器110 の軸線と直交する方向の横断面は、図
8に示されるような楕円形ないし長円形である。この真
空容器110 の容器本体111 には、ベローズタイプのよう
な全周にわたるひだ壁が設けられていないため、容器本
体111 を湾曲させる必要がある場合には、容器本体111
の湾曲内側に変形部113 を設けることにより、容器本体
111 を湾曲させることができるようにしている。
は、特開平1−160000号公報に記載されているも
のと同様に、容器本体111 に複数の補強リブ112 が容器
本体111 の軸線方向に所定ピッチで取付けられている。
この真空容器110 の軸線と直交する方向の横断面は、図
8に示されるような楕円形ないし長円形である。この真
空容器110 の容器本体111 には、ベローズタイプのよう
な全周にわたるひだ壁が設けられていないため、容器本
体111 を湾曲させる必要がある場合には、容器本体111
の湾曲内側に変形部113 を設けることにより、容器本体
111 を湾曲させることができるようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来例1のベ
ローズタイプの真空容器100 は、多数のひだ壁102 が設
けられているため表面積が大であり、単なるストレート
管に比べると、内面の表面積が数倍以上もある。このた
め真空中で熱せられた時のガス放出量が大きい。また、
容器本体101 の内面の凹凸変化が大きいため、容器本体
101 の内部を通過するビームの寿命や安定性に影響が出
ることも考えられる。
ローズタイプの真空容器100 は、多数のひだ壁102 が設
けられているため表面積が大であり、単なるストレート
管に比べると、内面の表面積が数倍以上もある。このた
め真空中で熱せられた時のガス放出量が大きい。また、
容器本体101 の内面の凹凸変化が大きいため、容器本体
101 の内部を通過するビームの寿命や安定性に影響が出
ることも考えられる。
【0007】一方、従来例2の補強リブタイプの真空容
器110 すなわち特開平1−160000号公報に記載さ
れている真空容器は、ビーム軌道に応じて湾曲させる必
要がある場合に、ベローズタイプに比べると、歪みなく
正確に成形することに困難を伴う。また、図8に示され
る容器本体111 のような楕円形ないし長円形(レースト
ラックタイプ)の断面をもつものでは、断面の長軸に沿
う比較的平坦な部分(図8の例では長軸に沿う部分115
)を補強リブ112 の内周部に密着させにくい。特に、
硬ろう付けを行う際に高温に加熱されると、レーストラ
ックタイプのものでは、長軸に沿う平坦な部分が歪むこ
とによって、ますます両者を密着させることが困難とな
る。このため、ろう付け箇所に隙間が生じたり、ろう付
け箇所の位置決めが不安定になるなど、高品質・高精度
のろう付け管理を行いにくいといった問題がある。
器110 すなわち特開平1−160000号公報に記載さ
れている真空容器は、ビーム軌道に応じて湾曲させる必
要がある場合に、ベローズタイプに比べると、歪みなく
正確に成形することに困難を伴う。また、図8に示され
る容器本体111 のような楕円形ないし長円形(レースト
ラックタイプ)の断面をもつものでは、断面の長軸に沿
う比較的平坦な部分(図8の例では長軸に沿う部分115
)を補強リブ112 の内周部に密着させにくい。特に、
硬ろう付けを行う際に高温に加熱されると、レーストラ
ックタイプのものでは、長軸に沿う平坦な部分が歪むこ
とによって、ますます両者を密着させることが困難とな
る。このため、ろう付け箇所に隙間が生じたり、ろう付
け箇所の位置決めが不安定になるなど、高品質・高精度
のろう付け管理を行いにくいといった問題がある。
【0008】また、上述の長円形断面を有する真空容器
の場合、長軸に沿う平坦な部分の剛性を基準として補強
リブの数や配置間隔を設定しなければならず、このため
補強リブの数がかなり多くなり、ろう付け箇所も増える
といった問題が生じる。
の場合、長軸に沿う平坦な部分の剛性を基準として補強
リブの数や配置間隔を設定しなければならず、このため
補強リブの数がかなり多くなり、ろう付け箇所も増える
といった問題が生じる。
【0009】従ってこの発明の目的は、容器本体に薄肉
金属管を用いていながらも剛性が高くかつ内面の凹凸が
少なく、必要に応じて湾曲させることができ、しかも高
品質なろう付け等の接合部が得られる真空容器を提供す
ることにある。
金属管を用いていながらも剛性が高くかつ内面の凹凸が
少なく、必要に応じて湾曲させることができ、しかも高
品質なろう付け等の接合部が得られる真空容器を提供す
ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を果たすために
開発された本発明は、薄肉金属管からなりその軸線と直
交する方向の横断面が長円あるいは楕円形の筒状の容器
本体と、上記容器本体の軸線方向に所定の間隔で配置さ
れかつ上記容器本体が挿通される容器挿入孔を有する補
強フィンと、上記補強フィンが固定される部位において
上記容器本体の一部を内面側から加圧することによって
上記補強フィンの内周縁部を囲むような形状に膨出しか
つ上記補強フィンの内周部に押圧された状態で容器本体
に接合されるフィン固定部と、上記容器本体の軸線方向
に所定間隔で設けられていて容器本体の外面側に容器本
体の全周にわたって連続してひだ状に膨出する第1の成
形凸部と、上記容器本体の断面における長軸に沿う部位
に設けられ上記容器本体の外面側にひだ状に膨出する第
2の成形凸部とを具備している。
開発された本発明は、薄肉金属管からなりその軸線と直
交する方向の横断面が長円あるいは楕円形の筒状の容器
本体と、上記容器本体の軸線方向に所定の間隔で配置さ
れかつ上記容器本体が挿通される容器挿入孔を有する補
強フィンと、上記補強フィンが固定される部位において
上記容器本体の一部を内面側から加圧することによって
上記補強フィンの内周縁部を囲むような形状に膨出しか
つ上記補強フィンの内周部に押圧された状態で容器本体
に接合されるフィン固定部と、上記容器本体の軸線方向
に所定間隔で設けられていて容器本体の外面側に容器本
体の全周にわたって連続してひだ状に膨出する第1の成
形凸部と、上記容器本体の断面における長軸に沿う部位
に設けられ上記容器本体の外面側にひだ状に膨出する第
2の成形凸部とを具備している。
【0011】
【作用】容器本体の外周部に固定された補強フィンは、
外圧に対して容器本体が変形することを阻止する働きを
もつ。またこの補強フィンによって容器本体の形状が正
確に保持されるため、容器本体を偏向磁石等の設備間に
セットする際に容器本体の形状精度を高めておく上でも
役立つ。
外圧に対して容器本体が変形することを阻止する働きを
もつ。またこの補強フィンによって容器本体の形状が正
確に保持されるため、容器本体を偏向磁石等の設備間に
セットする際に容器本体の形状精度を高めておく上でも
役立つ。
【0012】上記フィン固定部は、液圧バルジ加工等に
よって容器本体の一部を内面側から加圧することによ
り、補強フィンの内周縁部を全周にわたって囲むような
形状に作られる。フィン固定部に補強フィンが圧着固定
された状態で、硬ろう付け等による接合が行われるた
め、長円形断面(レーストラックタイプ)のような平坦
な部分をもつ容器本体でも、フィン固定部と補強フィン
を所定位置に確実に保持した好ましい状態で、ろう付け
が実施される。このため、ろう材がはみ出したり,ろう
付け不均一などの不具合を生じることなく、必要最少限
のろう量で品質の高い補強フィン接合部が得られる。補
強フィンは容器本体の外面側に設けられるため、補強フ
ィンを設けても容器本体の内面に凹凸は生じない。
よって容器本体の一部を内面側から加圧することによ
り、補強フィンの内周縁部を全周にわたって囲むような
形状に作られる。フィン固定部に補強フィンが圧着固定
された状態で、硬ろう付け等による接合が行われるた
め、長円形断面(レーストラックタイプ)のような平坦
な部分をもつ容器本体でも、フィン固定部と補強フィン
を所定位置に確実に保持した好ましい状態で、ろう付け
が実施される。このため、ろう材がはみ出したり,ろう
付け不均一などの不具合を生じることなく、必要最少限
のろう量で品質の高い補強フィン接合部が得られる。補
強フィンは容器本体の外面側に設けられるため、補強フ
ィンを設けても容器本体の内面に凹凸は生じない。
【0013】また、補強フィンとは別の位置に設けられ
る成形凸部も容器本体の耐真空強度を高めるのに役立
つ。従って、補強フィンの配置間隔を大きくとることが
でき、ろう付け箇所の数が従来の補強リブタイプ(図
7)に比べて大幅に減少する。容器本体の全周にわたる
第1の成形凸部は、容器本体をビームの軌道半径等に合
わせた曲率で曲げることを可能にする。また、周方向の
一部(容器本体の断面の長軸に沿う部位)にのみ設ける
第2の成形凸部によって、長軸に沿う部位の剛性が高ま
る。
る成形凸部も容器本体の耐真空強度を高めるのに役立
つ。従って、補強フィンの配置間隔を大きくとることが
でき、ろう付け箇所の数が従来の補強リブタイプ(図
7)に比べて大幅に減少する。容器本体の全周にわたる
第1の成形凸部は、容器本体をビームの軌道半径等に合
わせた曲率で曲げることを可能にする。また、周方向の
一部(容器本体の断面の長軸に沿う部位)にのみ設ける
第2の成形凸部によって、長軸に沿う部位の剛性が高ま
る。
【0014】容器本体の全周にわたる上記第1の成形凸
部によって、容器本体が軸線方向にある程度の伸縮性を
もつようになるから、加熱時などにおける熱膨張等に起
因する軸線方向の変位を吸収させたり、この真空容器を
所定の設備・機器に組込む際に軸線方向等の寸法調整機
能も果たすことができる。
部によって、容器本体が軸線方向にある程度の伸縮性を
もつようになるから、加熱時などにおける熱膨張等に起
因する軸線方向の変位を吸収させたり、この真空容器を
所定の設備・機器に組込む際に軸線方向等の寸法調整機
能も果たすことができる。
【0015】
【実施例】以下に本発明の一実施例について、図1ない
し図5に示された真空容器10を参照して説明する。こ
の実施例の真空容器10はシンクロトロン用ビームダク
トとして使われ、筒状の容器本体11と、容器本体11
の軸線方向(長手方向)に所定間隔で配置された複数枚
の補強フィン12とを備えている。容器本体11の軸線
方向の接合端部13はフランジ状に成形されている。
し図5に示された真空容器10を参照して説明する。こ
の実施例の真空容器10はシンクロトロン用ビームダク
トとして使われ、筒状の容器本体11と、容器本体11
の軸線方向(長手方向)に所定間隔で配置された複数枚
の補強フィン12とを備えている。容器本体11の軸線
方向の接合端部13はフランジ状に成形されている。
【0016】容器本体11は、例えばオーステナイト系
ステンレス鋼のような非磁性金属からなり、その肉厚の
一例は0.3mm である。補強フィン12も非磁性金属から
なるが、その板厚は容器本体11の肉厚よりも大であ
る。補強フィン12には容器本体11が挿入される長円
形の容器挿入孔14が設けられている。
ステンレス鋼のような非磁性金属からなり、その肉厚の
一例は0.3mm である。補強フィン12も非磁性金属から
なるが、その板厚は容器本体11の肉厚よりも大であ
る。補強フィン12には容器本体11が挿入される長円
形の容器挿入孔14が設けられている。
【0017】容器本体11の横断面すなわち容器本体1
1の軸線と直交する方向の断面は、図3等に示されるよ
うに長円形のいわゆるレーストラックタイプであり、上
記断面における長軸方向両端側に位置する円弧状部分2
0,21と、これら円弧状部分20,21をつなぐ直線
状の平坦な部分22,23とからなっている。
1の軸線と直交する方向の断面は、図3等に示されるよ
うに長円形のいわゆるレーストラックタイプであり、上
記断面における長軸方向両端側に位置する円弧状部分2
0,21と、これら円弧状部分20,21をつなぐ直線
状の平坦な部分22,23とからなっている。
【0018】補強フィン12は、容器本体11の横断面
形状に応じて、おおむね長方形をなしており、4箇所の
コーナー部25がそれぞれ例えば45°の角度で切取られ
た形状に作られている。この補強フィン12は、容器本
体11に設けられたフィン固定部30において、容器本
体11に固定される。
形状に応じて、おおむね長方形をなしており、4箇所の
コーナー部25がそれぞれ例えば45°の角度で切取られ
た形状に作られている。この補強フィン12は、容器本
体11に設けられたフィン固定部30において、容器本
体11に固定される。
【0019】フィン固定部30は、液圧バルジ加工等に
よって容器本体11の内面側から加圧されており、補強
フィン12の内周部31の前後の縁部を全周にわたって
囲むように外面側に僅かに膨出する部分32,33(図
2参照)をもつ形状に成形されている。図3に示される
ように、フィン固定部30は容器本体11の全周にわた
って連続している。
よって容器本体11の内面側から加圧されており、補強
フィン12の内周部31の前後の縁部を全周にわたって
囲むように外面側に僅かに膨出する部分32,33(図
2参照)をもつ形状に成形されている。図3に示される
ように、フィン固定部30は容器本体11の全周にわた
って連続している。
【0020】上記液圧バルジ加工は、容器本体11の外
側の所定位置に補強フィン12と金型(図示せず)をセ
ットした状態で、容器本体11の内側から液圧を作用さ
せることによって、上記部分32,33を膨出させるよ
うにしている。なお、液圧の代りに容器本体11の内部
に充填されたエラストマ等の変形自在な圧力媒体を用い
て同様の加工を行うこともできる。
側の所定位置に補強フィン12と金型(図示せず)をセ
ットした状態で、容器本体11の内側から液圧を作用さ
せることによって、上記部分32,33を膨出させるよ
うにしている。なお、液圧の代りに容器本体11の内部
に充填されたエラストマ等の変形自在な圧力媒体を用い
て同様の加工を行うこともできる。
【0021】補強フィン12は、上記バルジ加工によっ
て、フィン固定部30において容器本体11に圧着させ
られた状態で、全周にわたって硬ろう付けによって隙間
なく接合される。図2中の符号38はろう付け部を示し
ている。オーステナイト系ステンレス鋼の硬ろう付け
は、例えば1000℃前後に加熱された真空炉中で実施され
るため、ろう付けの過程で容器本体11のガス放出処理
が同時になされるとともに、完全非磁性化が図れる。な
お、接合部の材質や形状によっては、ろう付けの代りに
溶接を適用できる場合もある。
て、フィン固定部30において容器本体11に圧着させ
られた状態で、全周にわたって硬ろう付けによって隙間
なく接合される。図2中の符号38はろう付け部を示し
ている。オーステナイト系ステンレス鋼の硬ろう付け
は、例えば1000℃前後に加熱された真空炉中で実施され
るため、ろう付けの過程で容器本体11のガス放出処理
が同時になされるとともに、完全非磁性化が図れる。な
お、接合部の材質や形状によっては、ろう付けの代りに
溶接を適用できる場合もある。
【0022】容器本体11の軸線方向に所定間隔で、第
1の成形凸部41と第2の成形凸部42が設けられてい
る。図4に示されるように、第1の成形凸部41は、容
器本体11の全周にわたって連続している。図2に示さ
れるように、第1の成形凸部41は、容器本体11の軸
線方向に沿う断面がU状(逆U状)をなしており、フィ
ン固定部30と同様にバルジ加工によって成形される。
1の成形凸部41と第2の成形凸部42が設けられてい
る。図4に示されるように、第1の成形凸部41は、容
器本体11の全周にわたって連続している。図2に示さ
れるように、第1の成形凸部41は、容器本体11の軸
線方向に沿う断面がU状(逆U状)をなしており、フィ
ン固定部30と同様にバルジ加工によって成形される。
【0023】第2の成形凸部42は、図5に示されるよ
うに、容器本体11の直線状の部分22,23に設けら
れている。図2に示されるように第2の成形凸部42
は、容器本体11の軸線方向に沿う断面がV状(逆V
状)をなしているが、第1の成形凸部41と同様のU字
形断面であってもよい。第2の成形凸部42はバルジ加
工によって成形することができるが、場合によっては、
容器本体11の内面側に挿入した加圧治具によって容器
本体11の一部を内面側から押圧することにより、上記
形状に塑性加工するようにしてもよい。
うに、容器本体11の直線状の部分22,23に設けら
れている。図2に示されるように第2の成形凸部42
は、容器本体11の軸線方向に沿う断面がV状(逆V
状)をなしているが、第1の成形凸部41と同様のU字
形断面であってもよい。第2の成形凸部42はバルジ加
工によって成形することができるが、場合によっては、
容器本体11の内面側に挿入した加圧治具によって容器
本体11の一部を内面側から押圧することにより、上記
形状に塑性加工するようにしてもよい。
【0024】上記構成の真空容器10を製造する場合、
まず、容器本体11に用いる直管状の薄肉金属素管と、
補強フィン12を作成する。そして上記金属素管を金型
に組込んだ状態で、液圧バルジ加工によって内面側から
圧力を加えることにより、第1の成形凸部41を成形す
る。また、補強フィン12を上記金属素管の所定位置に
セットし、液圧バルジ加工によって、フィン固定部30
の成形と同時に容器本体11に対する補強フィン12の
圧着固定を行う。そののち第2の成形凸部42を成形す
る。また、容器本体11の端部13を所定形状に成形す
る。
まず、容器本体11に用いる直管状の薄肉金属素管と、
補強フィン12を作成する。そして上記金属素管を金型
に組込んだ状態で、液圧バルジ加工によって内面側から
圧力を加えることにより、第1の成形凸部41を成形す
る。また、補強フィン12を上記金属素管の所定位置に
セットし、液圧バルジ加工によって、フィン固定部30
の成形と同時に容器本体11に対する補強フィン12の
圧着固定を行う。そののち第2の成形凸部42を成形す
る。また、容器本体11の端部13を所定形状に成形す
る。
【0025】そして真空炉中で加熱し、硬ろう付けを行
うことにより、フィン固定部30において補強フィン1
2の内周部31のろう付けを行う。補強フィン12は、
前述のバルジ加工によって容器本体11のフィン固定部
30に全周にわたって均等に密着させられているため、
ろう付け作業中の補強フィン12の位置決め精度が高
く、真空炉中で1000℃付近まで加熱されても平坦な部分
22,23の歪みの発生が回避されるとともに、正確な
位置に保持でき、上記部分22,23を円弧状部分2
0,21と同様に補強フィン12に確実に密接させてお
くことができる。このため、フィン固定部30の全周に
わたり、ろう材を毛細管現象によって十分に回り込ませ
ることができ、必要最少限のろう量で高精度のろう付け
を実施できる。
うことにより、フィン固定部30において補強フィン1
2の内周部31のろう付けを行う。補強フィン12は、
前述のバルジ加工によって容器本体11のフィン固定部
30に全周にわたって均等に密着させられているため、
ろう付け作業中の補強フィン12の位置決め精度が高
く、真空炉中で1000℃付近まで加熱されても平坦な部分
22,23の歪みの発生が回避されるとともに、正確な
位置に保持でき、上記部分22,23を円弧状部分2
0,21と同様に補強フィン12に確実に密接させてお
くことができる。このため、フィン固定部30の全周に
わたり、ろう材を毛細管現象によって十分に回り込ませ
ることができ、必要最少限のろう量で高精度のろう付け
を実施できる。
【0026】上記実施例は、補強フィン12によって容
器本体11の平坦な部分22,23の形状精度を高く維
持することができるため、この真空容器10を上下偏向
磁石の間に挿入・組込む際に上記部分22,23の上下
方向の寸法精度と平坦度を正確に保つことができる。
器本体11の平坦な部分22,23の形状精度を高く維
持することができるため、この真空容器10を上下偏向
磁石の間に挿入・組込む際に上記部分22,23の上下
方向の寸法精度と平坦度を正確に保つことができる。
【0027】そして容器本体11に設けられた補強フィ
ン12やフィン固定部30あるいは第1および第2の成
形凸部41,42によって容器本体11の剛性を高める
ことができるため、容器本体11の肉厚が0.3mm 程度と
薄くても、容器本体11の耐真空強度が大である。
ン12やフィン固定部30あるいは第1および第2の成
形凸部41,42によって容器本体11の剛性を高める
ことができるため、容器本体11の肉厚が0.3mm 程度と
薄くても、容器本体11の耐真空強度が大である。
【0028】また、容器本体11の全周にわたるひだ状
の第1の成形凸部41を設けているため、ビームの軌道
半径等に応じた曲率で容器本体11を湾曲させたい場合
に、容器本体11を比較的容易にかつ異常変形を伴うこ
となく曲げることができ、曲げの寸法精度も高い。
の第1の成形凸部41を設けているため、ビームの軌道
半径等に応じた曲率で容器本体11を湾曲させたい場合
に、容器本体11を比較的容易にかつ異常変形を伴うこ
となく曲げることができ、曲げの寸法精度も高い。
【0029】本実施例の真空容器10は、上述の補強フ
ィン12によって強度が高められているため、成形凸部
41,42の数は従来のベローズタイプのひだ数に比べ
て少なくてすみ、従って容器本体11の内面の凹凸がベ
ローズタイプのものに比べて少ない。このため、容器本
体11の内面の表面積が少なく、ガス放出量もきわめて
少ないとともに、ビーム軌道に影響を与えるような凹凸
を極力減らすことができる。そして容器本体11の肉厚
が薄いため、磁場変化による渦電流の発生を実質的に生
じることがなく、ビーム軌道の安定化に役立つ。
ィン12によって強度が高められているため、成形凸部
41,42の数は従来のベローズタイプのひだ数に比べ
て少なくてすみ、従って容器本体11の内面の凹凸がベ
ローズタイプのものに比べて少ない。このため、容器本
体11の内面の表面積が少なく、ガス放出量もきわめて
少ないとともに、ビーム軌道に影響を与えるような凹凸
を極力減らすことができる。そして容器本体11の肉厚
が薄いため、磁場変化による渦電流の発生を実質的に生
じることがなく、ビーム軌道の安定化に役立つ。
【0030】なお容器本体11の横断面形状は、前記実
施例で述べたような長円形に限ることはなく、例えば楕
円形や角形(正方形,長方形等)あるいは真円形であっ
てもよい。容器本体11の肉厚や材質も必要に応じて適
宜に選定され、例えばアルミニウムまたはアルミニウム
合金などが使用されてもよい。また、補強フィン12や
成形凸部41,42の数、配置間隔等の具体的態様は、
必要に応じて適宜に選定されるため、前記実施例に制約
されるものではない。
施例で述べたような長円形に限ることはなく、例えば楕
円形や角形(正方形,長方形等)あるいは真円形であっ
てもよい。容器本体11の肉厚や材質も必要に応じて適
宜に選定され、例えばアルミニウムまたはアルミニウム
合金などが使用されてもよい。また、補強フィン12や
成形凸部41,42の数、配置間隔等の具体的態様は、
必要に応じて適宜に選定されるため、前記実施例に制約
されるものではない。
【0031】
【発明の効果】本発明において、容器本体の外周部に固
定された補強フィンは、外圧に対して容器本体が変形す
ることを阻止する働きをもつ。この補強フィンによって
容器本体の形状が正確に保持される。そして補強フィン
とは別の位置に設けた第1および第2の成形凸部によっ
て容器本体の耐真空強度が高まるため、補強フィンの配
置間隔を大きくとることができ、ろう付け箇所の数が従
来に比べて減少する。容器本体の全周にわたる第1の成
形凸部は、容器本体をビームの軌道半径等に合わせた曲
率で曲げることを可能にするとともに、熱膨張等に起因
する軸線方向の変位を吸収する機能も果たすことができ
る。また、第2の成形凸部によって容器本体の長軸に沿
う比較的平坦な部分の剛性を高めることができ、長軸に
沿う部分を補強フィンの内周部に密着させやすくなり、
高品質・高精度のろう付けが可能となる。この第2の成
形凸部は容器本体の周方向の一部のみに設けるため容器
本体内面の凹凸が少なくてすむ。 これら補強フィンとフ
ィン固定部と第1および第2の成形凸部を組合わせるこ
とにより、肉厚が薄くても外圧に対して剛性が高く、ベ
ローズタイプのものに比べて内面の凹凸が少なく、従っ
て内部を通過するビームの安定化を図る上で有利であ
り、真空中で加熱されてもガス放出が僅少でかつ補強フ
ィンの数とろう付け箇所が少なく、しかも高品質な補強
フィン接合部が得られるなど大きな効果がある。
定された補強フィンは、外圧に対して容器本体が変形す
ることを阻止する働きをもつ。この補強フィンによって
容器本体の形状が正確に保持される。そして補強フィン
とは別の位置に設けた第1および第2の成形凸部によっ
て容器本体の耐真空強度が高まるため、補強フィンの配
置間隔を大きくとることができ、ろう付け箇所の数が従
来に比べて減少する。容器本体の全周にわたる第1の成
形凸部は、容器本体をビームの軌道半径等に合わせた曲
率で曲げることを可能にするとともに、熱膨張等に起因
する軸線方向の変位を吸収する機能も果たすことができ
る。また、第2の成形凸部によって容器本体の長軸に沿
う比較的平坦な部分の剛性を高めることができ、長軸に
沿う部分を補強フィンの内周部に密着させやすくなり、
高品質・高精度のろう付けが可能となる。この第2の成
形凸部は容器本体の周方向の一部のみに設けるため容器
本体内面の凹凸が少なくてすむ。 これら補強フィンとフ
ィン固定部と第1および第2の成形凸部を組合わせるこ
とにより、肉厚が薄くても外圧に対して剛性が高く、ベ
ローズタイプのものに比べて内面の凹凸が少なく、従っ
て内部を通過するビームの安定化を図る上で有利であ
り、真空中で加熱されてもガス放出が僅少でかつ補強フ
ィンの数とろう付け箇所が少なく、しかも高品質な補強
フィン接合部が得られるなど大きな効果がある。
【図1】本発明の一実施例を示す真空容器を一部断面で
示す側面図。
示す側面図。
【図2】図1に示された真空容器の一部の拡大断面図。
【図3】図1中のIII-III 線に沿う断面図。
【図4】図1中のIV-IV 線に沿う断面図。
【図5】図1中の V−V 線に沿う断面図。
【図6】従来の真空容器の一例を一部断面で示す側面
図。
図。
【図7】他の従来例を示す真空容器を一部断面で示す側
面図。
面図。
【図8】図7中のa−a線に沿う断面図。
【図9】図8中のb−b線に沿う断面図。
10…真空容器、11…容器本体、12…補強フィン、
14…容器挿入孔、30…フィン固定部、41…第1の
成形凸部、42…第2の成形凸部。
14…容器挿入孔、30…フィン固定部、41…第1の
成形凸部、42…第2の成形凸部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−289099(JP,A) 特開 平1−160000(JP,A) 特開 平4−118898(JP,A) 特開 平5−57380(JP,A) 実開 平4−46400(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H05H 7/14 H05H 13/04
Claims (1)
- 【請求項1】薄肉金属管からなりその軸線と直交する方
向の横断面が長円あるいは楕円形の筒状の容器本体と、
上記容器本体の軸線方向に所定の間隔で配置されかつ上
記容器本体が挿通される容器挿入孔を有する補強フィン
と、上記補強フィンが固定される部位において上記容器
本体の一部を内面側から加圧することによって上記補強
フィンの内周縁部を囲むような形状に膨出しかつ上記補
強フィンの内周部に押圧された状態で容器本体に接合さ
れるフィン固定部と、上記容器本体の軸線方向に所定間
隔で設けられていて容器本体の外面側に容器本体の全周
にわたって連続してひだ状に膨出する第1の成形凸部
と、上記容器本体の断面における長軸に沿う部位に設け
られ上記容器本体の外面側にひだ状に膨出する第2の成
形凸部とを具備したことを特徴とする真空容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13533792A JP3206962B2 (ja) | 1992-05-27 | 1992-05-27 | 真空容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13533792A JP3206962B2 (ja) | 1992-05-27 | 1992-05-27 | 真空容器 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05326191A JPH05326191A (ja) | 1993-12-10 |
JP3206962B2 true JP3206962B2 (ja) | 2001-09-10 |
Family
ID=15149413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13533792A Expired - Fee Related JP3206962B2 (ja) | 1992-05-27 | 1992-05-27 | 真空容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3206962B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008021487A (ja) * | 2006-07-12 | 2008-01-31 | Mitsubishi Electric Corp | 真空容器及びその製造方法 |
JP5580004B2 (ja) | 2008-07-14 | 2014-08-27 | キヤノンアネルバ株式会社 | 真空容器、および真空処理装置 |
JP5117969B2 (ja) * | 2008-09-24 | 2013-01-16 | 三菱電機株式会社 | 真空ダクト |
CN108831812B (zh) * | 2018-06-12 | 2020-11-13 | 中国科学院近代物理研究所 | 用于加速器的真空管 |
-
1992
- 1992-05-27 JP JP13533792A patent/JP3206962B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05326191A (ja) | 1993-12-10 |
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Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |