JP2004009087A - 偏平チューブとそのロール成形方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】中央に折り返した突部を有する補強部を備えた偏平チューブにおいて、耐圧強度を確保して漏れが発生しにくい偏平チューブと、そのロール成形方法および装置を提供する。
【解決手段】垂直方向折り曲げ部63から連続して略直角に形成され、第2平板部67と略平行に設けられた長方形状の垂平方向折り曲げ部64を形成した。これにより、充分なフィレットFが形成されていなくとも折り返し突部62と水直方向折り曲げ部63との間、および垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67との間の二ヶ所で接合するようになることより、熱変形が生じても耐圧強度を確保することができ、漏れが発生しにくい偏平チューブ60とすることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】垂直方向折り曲げ部63から連続して略直角に形成され、第2平板部67と略平行に設けられた長方形状の垂平方向折り曲げ部64を形成した。これにより、充分なフィレットFが形成されていなくとも折り返し突部62と水直方向折り曲げ部63との間、および垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67との間の二ヶ所で接合するようになることより、熱変形が生じても耐圧強度を確保することができ、漏れが発生しにくい偏平チューブ60とすることができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器等に用いる中央に補強部を備えた偏平チューブと、その偏平チューブをロール成形する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用のラジエータや温水式暖房装置等の熱交換器には、熱交換用の流体を流通させる偏平チューブが用いられている。図6は従来の偏平チューブの断面図であり、(a)はロール成形後を示す。図に示すように、偏平チューブを幅の広い熱交換器に適用できるように、中央に補強部61を設けた断面横θ形状の偏平チューブ60としている(特開平6−123571号公報参照)。
【0003】
この補強部61は、板材の両端を垂直に折り曲げた水直方向折り曲げ部63と、板材の中央部を山形に折り返してなる折り返し突部62とからなり、両部62、63はロウ付けにより接合されている。そして、この偏平チューブは、熱交換器の容器(タンク等)にロウ付けして用いられる。また、偏平チューブ等の長尺の部材を冷間で連続的に成形し量産する方法としてロール成形法が知られている。
【0004】
例えば、特開平10−85877号公報では、ロール成形により帯板の幅方向中央部に台形形状の突部を形成する第1ロール成形工程(手段)と、その台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部を形成する第2ロール成形工程(手段)と、帯板の横幅方向両端に折り返し突部の高さ以下の垂直方向折り曲げ部を形成する第3ロール成形工程(手段)と、垂直方向折り曲げ部と折り返し突部との中間を半円状に折り曲げ平板部を互いに平行にすると共に垂直方向折り曲げ部を折り返し突部の両側面に密着せる第4ロール成形工程(手段)とからなる成形方法および装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の折り曲げ形状は、材料板厚が約0.25〜0.3mmの範囲では問題ないが、材料板厚がそれよりも薄くなると、例えば約0.15〜0.2mmの範囲ではロウ付け時に前期水直方向折り曲げ部63が熱応力により変形して前記折り返し突部62との隙間が大きくなり充分なフィレットが形成されにくくなる。
【0006】
図6の(b)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されている補強部61周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されていない補強部61周りの部分断面図である。(c)のように、充分なフィレットFが形成されないと耐圧強度が低下し、漏れが発生し易くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、中央に折り返した突部を有する補強部を備えた偏平チューブにおいて、耐圧強度を確保して漏れが発生しにくい偏平チューブと、そのロール成形方法および装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項7に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブであって、
一方の長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)と、この垂平方向折り曲げ部(64)の長辺から連続して略直角に形成された一方の水直方向折り曲げ部(63)と、この水直方向折り曲げ部(63)から連続にして略直角に形成された一方の平板状の第1平板部(65)と、この第1平板部(65)から連続に形成された一方の断面半円状の周曲部(66)と、この周曲部(66)から連続に形成され、第1平板部(65)と略平行に設けられた一方の平板状の第2平板部(67)と、この第2平板部(67)から連続にして略直角に折り返し形成され、水直方向折り曲げ部(63)と略平行に隣接して設けられた長方形状の折り返し突部(62)と、この折り返し突部(62)から連続にして第2平板部(67)と対向する方向へ略直角に延びる他方の平板状の第2平板部(67)と、この第2平板部(67)から連続に形成された他方の断面半円状の周曲部(66)と、この周曲部(66)から連続して形成され、第2平板部(67)と略平行に設けられた他方の平板状の第1平板部(65)と、この第1平板部(65)から連続して略直角に形成され、折り返し突部(62)と略平行に隣接して設けられた他方の垂直方向折り曲げ部(63)と、この垂直方向折り曲げ部(63)から連続して略直角に形成され、第2平板部(67)と略平行に設けられた他方の長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)とを備え、
折り返し突部(62)の折り返した間、隣接して設けられた折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および隣接して設けられた垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間を接合し、水直方向折り曲げ部(63)、垂平方向折り曲げ部(64)、第1平板部(65)、周曲部(66)、および第2平板部(67)とで囲まれた空間が熱交換流体の流通する流路を形成している。
【0009】
図1は本発明の一実施形態における偏平チューブ60の断面図であり、(a)はロール成形後、(b)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されている補強部61周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されていない補強部61周りの部分断面図である。
【0010】
(c)のように充分なフィレットFが形成されていなくとも折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間の二ヶ所で接合するようになることより、熱変形が生じても耐圧強度を確保することができ、漏れが発生しにくい偏平チューブとすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブを成形する偏平チューブのロール成形方法であって、
帯板(W)の幅方向中央部に台形形状の突部(62a)を形成する第1ロール成形工程(11)と、台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部(62c)としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部(62)を形成する第2ロール成形工程(21〜27)と、帯板(W)の横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部(63)を形成する第3ロール成形工程(31、32)と、垂直方向折り曲げ部(63)の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部(64)を形成する第4ロール成形工程(41〜45)と、垂直方向折り曲げ部(63)と折り返し突部(62)との中間に断面半円状の周曲部(66)を形成して第1平板部(65)と第2平板部(67)とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部(63)を折り返し突部(62)の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)とを密着させる第5ロール成形工程(51〜57)とからなることを特徴とする。
【0012】
このようなロール成形方法により、垂平方向折り曲げ部(64)を持った偏平チューブを成形することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、第4ロール成形工程(41〜45)は、帯板(W)を折り返し突部(62)が突出する方向に湾曲させて垂平方向折り曲げ部(64)を形成することを特徴とする。このようなロール成形方法により、垂直方向折り曲げ部(63)から連続して更に略直角に形成した長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)を、アンダーカットとすることなく成形することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、第4ロール成形工程(41〜45)は、垂平方向折り曲げ部(64)を形成した後、折り返し突部(62)が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形工程(45)を含んでいることを特徴とする。このようなロール成形方法により、第1平板部(65)と第2平板部(67)とを略平行に設けることができると共に、接合部である折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間を密着させて成形することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブを成形する偏平チューブのロール成形装置であって、
帯板(W)の幅方向中央部に台形形状の突部(62a)を形成する第1ロール成形手段(11)と、台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部(62c)としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部(62)を形成する第2ロール成形手段(21〜27)と、帯板(W)の横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部(63)を形成する第3ロール成形手段(31、32)と、垂直方向折り曲げ部(63)の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部(64)を形成する第4ロール成形手段(41〜45)と、垂直方向折り曲げ部(63)と折り返し突部(62)との中間に断面半円状の周曲部(66)を形成して第1平板部(65)と第2平板部(67)とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部(63)を折り返し突部(62)の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)とを密着させる第5ロール成形手段(51〜57)とからなることを特徴とする。
【0016】
このようなロール成形装置により、垂平方向折り曲げ部(64)を持った偏平チューブを成形することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、第4ロール成形手段(41〜45)は、帯板(W)を折り返し突部(62)が突出する方向に湾曲させて垂平方向折り曲げ部(64)を形成することを特徴とする。このようなロール成形装置により、垂直方向折り曲げ部(63)から連続して更に略直角に形成した長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)を、アンダーカットとすることなく成形することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、第4ロール成形手段(41〜45)は、垂平方向折り曲げ部(64)を形成した後、折り返し突部(62)が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形手段(45)を含んでいることを特徴とする。
【0019】
このようなロール成形装置により、第1平板部(65)と第2平板部(67)とを略平行に設けることができると共に、接合部である折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間を密着させて成形することができる。ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態における偏平チューブ60の断面図であり、(a)はロール成形後の形状を示す。この偏平チューブ60は、車両用のラジエータや温水式暖房装置等の熱交換器で、熱交換用の流体を流通させるのに用いられ、熱伝導の良好な黄銅やアルミニウムなどの板材を折り曲げて形成される。
【0021】
具体的には、長尺の1枚の帯板を順次折り曲げ、断面が横θ形状を有する中央に補強部61を備えた偏平チューブである。一方の長方形状の垂平方向折り曲げ部64と、この垂平方向折り曲げ部64の長辺から連続して略直角に形成された一方の水直方向折り曲げ部63とを持つ。また、この水直方向折り曲げ部63から連続にして略直角に形成された一方の平板状の第1平板部65と、この第1平板部65から連続に形成された一方の断面半円状の周曲部66とを持つ。
【0022】
また、この周曲部66から連続に形成され、先の第1平板部65と略平行に設けられた一方の平板状の第2平板部67と、この第2平板部67から連続にして略直角に折り返し形成され、先の水直方向折り曲げ部63と略平行に隣接して設けられた長方形状の折り返し突部62とを持つ。また、この折り返し突部62から連続にして先の第2平板部67と対向する方向へ略直角に延びる他方の平板状の第2平板部67と、この第2平板部67から連続に形成された他方の断面半円状の周曲部66とを持つ。
【0023】
また、この周曲部66から連続して形成され、先の第2平板部67と略平行に設けられた他方の平板状の第1平板部65と、この第1平板部65から連続して略直角に形成され、先の折り返し突部62と略平行に隣接して設けられた他方の垂直方向折り曲げ部63とを持つ。また、この垂直方向折り曲げ部63から連続して略直角に形成され、先の第2平板部67と略平行に設けられた他方の長方形状の垂平方向折り曲げ部64とを持っている。
【0024】
そして、先の折り返し突部62の折り返した間、隣接して設けられた先の折り返し突部62と先の水直方向折り曲げ部63との間、および隣接して設けられた先の垂平方向折り曲げ部64と先の第2平板部67との間を接合している。これにより、水直方向折り曲げ部63、垂平方向折り曲げ部64、第1平板部65、周曲部66、および第2平板部67とで囲まれた空間が熱交換流体の流通する流路となる。
【0025】
これにより、接合部に充分なフィレットFが形成されていなくとも、折り返し突部62と水直方向折り曲げ部63との間、および垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67との間の二ヶ所で接合するようになることより、熱変形が生じても耐圧強度を確保することができ、漏れが発生しにくい偏平チューブ60とすることができる。
【0026】
次に、このような偏平チューブ60をロール成形するための方法および装置について説明する。図2は、本発明の一実施形態におけるロール成形装置1の各ロール11〜57の配置図である。また、図3の(a)〜(p)は、本発明の一実施形態における各ロール成形工程での材料の成形態様を示す図であり、図4は図3中本発明で新規となる第4ロール成形工程での材料の成形態様(h)〜(l)に対応する第4ロール成形手段での各ロール41〜45の型形状を示す図である。
【0027】
図2の1は、長尺の1枚の帯板W(図3)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部61を備えた偏平チューブ60を成形する偏平チューブのロール成形装置である。このロール成形装置1は、図2に示すように、ロールの回転軸心が水平であるロール成形手段11〜24・27・41〜45・51〜57と、ロールの回転軸心が垂直であるロール成形手段25・26とからなる。
【0028】
始めに、ロール成形手段11により、図3(a)に示すように、上辺の幅の大きい台形の突部62aを成形する。そして、ロール成形手段21〜23により、図3(b)に示すようにその台形の上辺の幅を順次縮小する。そして、ロール成形手段24により、図3(c)に示すように、形状が三角形の突部62cを形成する。
【0029】
次に、ロールの回転軸が垂直であるロール成形手段25・26により、図3(d)に示すように、突部62cの突出した2辺の内側を密着させ、折り返し突部62dを形成する。続いて、ロールの回転軸が水平であるロール成形手段27により、折り返し突部62dを上部から据え込み押圧し曲部の曲率半径を低減して角形形状化し、図3(e)に示す折り返し突部62を形成する。
【0030】
次に、図3(f)に示すように、ロール成形手段31により折り返し突部62を形成した中間成形体の両端部を45°の角度に折り曲げ、折り曲げ部63aを形成する。続いて、図3(g)に示すように、ロール成形手段32により、上記折り曲げ部63aを垂直方向に折り曲げ垂直方向折り曲げ部63を形成する。
【0031】
次に、本実施形態での新規構成として、図3(h)〜(l)に示すように、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部64を形成する第4ロール成形手段41〜45がある。まず、図3(h)に示すように、ロール成形手段41により、中間成形体を折り返し突部62が突出する方向に湾曲させながら、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に45°の角度に折り曲げた折り曲げ部64aを形成する。
【0032】
次に、図3(i)に示すように、ロール成形手段42により、中間成形体を折り返し突部62が突出する方向に更に湾曲させながら、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部64を形成する。次に、図3(j)・(k)に示すように、ロール成形手段43・44により、中間成形体の湾曲を平板に戻し、図3(l)に示すように、ロール成形手段45により、中間成形体を折り返し突部62が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形工程となっている。
【0033】
次に、図3(m)に示すように、ロール成形手段51により、垂直方向折り曲げ部63と折り返し突部62との中間を30°に折り曲げる。続いて、図3(n)・(o)に示すように、ロール成形手段52〜55により、垂直方向折り曲げ部63と折り返し突部62との中間を60°(図示略)・90°・120°・150°(図示略)に順次折り曲げる。
【0034】
そして、図3(p)に示すように、最後に成形ロール56により第1平板部65と第2平板部67とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部63を折り返し突部62の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67とを密着させる。そして、図2に示す搬送用のロール57により成形品を次工程に送り込む。
【0035】
次に、本実施形態のロール成形の方法および装置による特徴を述べる。帯板Wの幅方向中央部に台形形状の突部62aを形成する第1ロール成形手段11と、台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部62cとしたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部62を形成する第2ロール成形手段21〜27と、帯板Wの横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部63を形成する第3ロール成形手段31、32とを備える。
【0036】
また、本実施形態での新規構成として、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部64を形成する第4ロール成形手段41〜45と、垂直方向折り曲げ部63と折り返し突部62との中間に断面半円状の周曲部66を形成して第1平板部65と第2平板部67とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部63を折り返し突部62の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67とを密着させる第5ロール成形手段51〜57とを備える。
【0037】
このようなロール成形の方法および装置により、垂平方向折り曲げ部64を持った偏平チューブ60を成形することができる。また、第4ロール成形手段41〜45は、帯板Wを折り返し突部62が突出する方向に湾曲させて垂平方向折り曲げ部64を形成している。このようなロール成形の方法および装置により、垂直方向折り曲げ部63から連続して更に略直角に形成した長方形状の垂平方向折り曲げ部64を、アンダーカットとすることなく成形することができる。
また、第4ロール成形手段41〜45は、垂平方向折り曲げ部64を形成した後、折り返し突部62が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形手段45を含んでいる。このようなロール成形の方法および装置により、第1平板部65と第2平板部67とを略平行に設けることができると共に、接合部である折り返し突部62と水直方向折り曲げ部63との間、および垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67との間を密着させて成形することができる。
【0038】
(その他の実施形態)
図5は、本発明の他の実施形態における偏平チューブ60の断面図である。図に示すように、補強部61を折り返し突部ではなく1枚の短板部68で形成した偏平チューブ60においても、水平方向折り曲げ部64を形成しても良く、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における偏平チューブの断面図であり、(a)はロール成形後、(b)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されている補強部周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されていない補強部周りの部分断面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるロール成形装置の各ロールの配置図である。
【図3】(a)〜(p)は、本発明の一実施形態における各ロール成形工程での材料の成形態様を示す図である。
【図4】図3中本発明で新規となる第4ロール成形工程での材料の成形態様(h)〜(l)に対応する第4ロール成形手段での各ロールの型形状を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態における偏平チューブの断面図である。
【図6】従来の偏平チューブの断面図であり、(a)はロール成形後、(b)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されている補強部周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されていない補強部周りの部分断面図である。
【符号の説明】
11 第1ロール成形工程、第1ロール成形手段
21〜27 第2ロール成形工程、第2ロール成形手段
31、32 第3ロール成形工程、第3ロール成形手段
41〜45 第4ロール成形工程、第4ロール成形手段
45 矯正成形工程、矯正成形手段
51〜57 第5ロール成形工程、第5ロール成形手段
61 補強部
62 折り返し突部
62a 台形形状の突部
62c 略三角形の突部
63 水直方向折り曲げ部
64 垂平方向折り曲げ部
65 第1平板部
66 周曲部
67 第2平板部
W 帯板
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱交換器等に用いる中央に補強部を備えた偏平チューブと、その偏平チューブをロール成形する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用のラジエータや温水式暖房装置等の熱交換器には、熱交換用の流体を流通させる偏平チューブが用いられている。図6は従来の偏平チューブの断面図であり、(a)はロール成形後を示す。図に示すように、偏平チューブを幅の広い熱交換器に適用できるように、中央に補強部61を設けた断面横θ形状の偏平チューブ60としている(特開平6−123571号公報参照)。
【0003】
この補強部61は、板材の両端を垂直に折り曲げた水直方向折り曲げ部63と、板材の中央部を山形に折り返してなる折り返し突部62とからなり、両部62、63はロウ付けにより接合されている。そして、この偏平チューブは、熱交換器の容器(タンク等)にロウ付けして用いられる。また、偏平チューブ等の長尺の部材を冷間で連続的に成形し量産する方法としてロール成形法が知られている。
【0004】
例えば、特開平10−85877号公報では、ロール成形により帯板の幅方向中央部に台形形状の突部を形成する第1ロール成形工程(手段)と、その台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部を形成する第2ロール成形工程(手段)と、帯板の横幅方向両端に折り返し突部の高さ以下の垂直方向折り曲げ部を形成する第3ロール成形工程(手段)と、垂直方向折り曲げ部と折り返し突部との中間を半円状に折り曲げ平板部を互いに平行にすると共に垂直方向折り曲げ部を折り返し突部の両側面に密着せる第4ロール成形工程(手段)とからなる成形方法および装置が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の折り曲げ形状は、材料板厚が約0.25〜0.3mmの範囲では問題ないが、材料板厚がそれよりも薄くなると、例えば約0.15〜0.2mmの範囲ではロウ付け時に前期水直方向折り曲げ部63が熱応力により変形して前記折り返し突部62との隙間が大きくなり充分なフィレットが形成されにくくなる。
【0006】
図6の(b)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されている補強部61周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されていない補強部61周りの部分断面図である。(c)のように、充分なフィレットFが形成されないと耐圧強度が低下し、漏れが発生し易くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて成されたものであり、その目的は、中央に折り返した突部を有する補強部を備えた偏平チューブにおいて、耐圧強度を確保して漏れが発生しにくい偏平チューブと、そのロール成形方法および装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1ないし請求項7に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブであって、
一方の長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)と、この垂平方向折り曲げ部(64)の長辺から連続して略直角に形成された一方の水直方向折り曲げ部(63)と、この水直方向折り曲げ部(63)から連続にして略直角に形成された一方の平板状の第1平板部(65)と、この第1平板部(65)から連続に形成された一方の断面半円状の周曲部(66)と、この周曲部(66)から連続に形成され、第1平板部(65)と略平行に設けられた一方の平板状の第2平板部(67)と、この第2平板部(67)から連続にして略直角に折り返し形成され、水直方向折り曲げ部(63)と略平行に隣接して設けられた長方形状の折り返し突部(62)と、この折り返し突部(62)から連続にして第2平板部(67)と対向する方向へ略直角に延びる他方の平板状の第2平板部(67)と、この第2平板部(67)から連続に形成された他方の断面半円状の周曲部(66)と、この周曲部(66)から連続して形成され、第2平板部(67)と略平行に設けられた他方の平板状の第1平板部(65)と、この第1平板部(65)から連続して略直角に形成され、折り返し突部(62)と略平行に隣接して設けられた他方の垂直方向折り曲げ部(63)と、この垂直方向折り曲げ部(63)から連続して略直角に形成され、第2平板部(67)と略平行に設けられた他方の長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)とを備え、
折り返し突部(62)の折り返した間、隣接して設けられた折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および隣接して設けられた垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間を接合し、水直方向折り曲げ部(63)、垂平方向折り曲げ部(64)、第1平板部(65)、周曲部(66)、および第2平板部(67)とで囲まれた空間が熱交換流体の流通する流路を形成している。
【0009】
図1は本発明の一実施形態における偏平チューブ60の断面図であり、(a)はロール成形後、(b)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されている補強部61周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットFが形成されていない補強部61周りの部分断面図である。
【0010】
(c)のように充分なフィレットFが形成されていなくとも折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間の二ヶ所で接合するようになることより、熱変形が生じても耐圧強度を確保することができ、漏れが発生しにくい偏平チューブとすることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明では、長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブを成形する偏平チューブのロール成形方法であって、
帯板(W)の幅方向中央部に台形形状の突部(62a)を形成する第1ロール成形工程(11)と、台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部(62c)としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部(62)を形成する第2ロール成形工程(21〜27)と、帯板(W)の横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部(63)を形成する第3ロール成形工程(31、32)と、垂直方向折り曲げ部(63)の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部(64)を形成する第4ロール成形工程(41〜45)と、垂直方向折り曲げ部(63)と折り返し突部(62)との中間に断面半円状の周曲部(66)を形成して第1平板部(65)と第2平板部(67)とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部(63)を折り返し突部(62)の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)とを密着させる第5ロール成形工程(51〜57)とからなることを特徴とする。
【0012】
このようなロール成形方法により、垂平方向折り曲げ部(64)を持った偏平チューブを成形することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、第4ロール成形工程(41〜45)は、帯板(W)を折り返し突部(62)が突出する方向に湾曲させて垂平方向折り曲げ部(64)を形成することを特徴とする。このようなロール成形方法により、垂直方向折り曲げ部(63)から連続して更に略直角に形成した長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)を、アンダーカットとすることなく成形することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明では、第4ロール成形工程(41〜45)は、垂平方向折り曲げ部(64)を形成した後、折り返し突部(62)が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形工程(45)を含んでいることを特徴とする。このようなロール成形方法により、第1平板部(65)と第2平板部(67)とを略平行に設けることができると共に、接合部である折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間を密着させて成形することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブを成形する偏平チューブのロール成形装置であって、
帯板(W)の幅方向中央部に台形形状の突部(62a)を形成する第1ロール成形手段(11)と、台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部(62c)としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部(62)を形成する第2ロール成形手段(21〜27)と、帯板(W)の横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部(63)を形成する第3ロール成形手段(31、32)と、垂直方向折り曲げ部(63)の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部(64)を形成する第4ロール成形手段(41〜45)と、垂直方向折り曲げ部(63)と折り返し突部(62)との中間に断面半円状の周曲部(66)を形成して第1平板部(65)と第2平板部(67)とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部(63)を折り返し突部(62)の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)とを密着させる第5ロール成形手段(51〜57)とからなることを特徴とする。
【0016】
このようなロール成形装置により、垂平方向折り曲げ部(64)を持った偏平チューブを成形することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明では、第4ロール成形手段(41〜45)は、帯板(W)を折り返し突部(62)が突出する方向に湾曲させて垂平方向折り曲げ部(64)を形成することを特徴とする。このようなロール成形装置により、垂直方向折り曲げ部(63)から連続して更に略直角に形成した長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)を、アンダーカットとすることなく成形することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明では、第4ロール成形手段(41〜45)は、垂平方向折り曲げ部(64)を形成した後、折り返し突部(62)が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形手段(45)を含んでいることを特徴とする。
【0019】
このようなロール成形装置により、第1平板部(65)と第2平板部(67)とを略平行に設けることができると共に、接合部である折り返し突部(62)と水直方向折り曲げ部(63)との間、および垂平方向折り曲げ部(64)と第2平板部(67)との間を密着させて成形することができる。ちなみに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態における偏平チューブ60の断面図であり、(a)はロール成形後の形状を示す。この偏平チューブ60は、車両用のラジエータや温水式暖房装置等の熱交換器で、熱交換用の流体を流通させるのに用いられ、熱伝導の良好な黄銅やアルミニウムなどの板材を折り曲げて形成される。
【0021】
具体的には、長尺の1枚の帯板を順次折り曲げ、断面が横θ形状を有する中央に補強部61を備えた偏平チューブである。一方の長方形状の垂平方向折り曲げ部64と、この垂平方向折り曲げ部64の長辺から連続して略直角に形成された一方の水直方向折り曲げ部63とを持つ。また、この水直方向折り曲げ部63から連続にして略直角に形成された一方の平板状の第1平板部65と、この第1平板部65から連続に形成された一方の断面半円状の周曲部66とを持つ。
【0022】
また、この周曲部66から連続に形成され、先の第1平板部65と略平行に設けられた一方の平板状の第2平板部67と、この第2平板部67から連続にして略直角に折り返し形成され、先の水直方向折り曲げ部63と略平行に隣接して設けられた長方形状の折り返し突部62とを持つ。また、この折り返し突部62から連続にして先の第2平板部67と対向する方向へ略直角に延びる他方の平板状の第2平板部67と、この第2平板部67から連続に形成された他方の断面半円状の周曲部66とを持つ。
【0023】
また、この周曲部66から連続して形成され、先の第2平板部67と略平行に設けられた他方の平板状の第1平板部65と、この第1平板部65から連続して略直角に形成され、先の折り返し突部62と略平行に隣接して設けられた他方の垂直方向折り曲げ部63とを持つ。また、この垂直方向折り曲げ部63から連続して略直角に形成され、先の第2平板部67と略平行に設けられた他方の長方形状の垂平方向折り曲げ部64とを持っている。
【0024】
そして、先の折り返し突部62の折り返した間、隣接して設けられた先の折り返し突部62と先の水直方向折り曲げ部63との間、および隣接して設けられた先の垂平方向折り曲げ部64と先の第2平板部67との間を接合している。これにより、水直方向折り曲げ部63、垂平方向折り曲げ部64、第1平板部65、周曲部66、および第2平板部67とで囲まれた空間が熱交換流体の流通する流路となる。
【0025】
これにより、接合部に充分なフィレットFが形成されていなくとも、折り返し突部62と水直方向折り曲げ部63との間、および垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67との間の二ヶ所で接合するようになることより、熱変形が生じても耐圧強度を確保することができ、漏れが発生しにくい偏平チューブ60とすることができる。
【0026】
次に、このような偏平チューブ60をロール成形するための方法および装置について説明する。図2は、本発明の一実施形態におけるロール成形装置1の各ロール11〜57の配置図である。また、図3の(a)〜(p)は、本発明の一実施形態における各ロール成形工程での材料の成形態様を示す図であり、図4は図3中本発明で新規となる第4ロール成形工程での材料の成形態様(h)〜(l)に対応する第4ロール成形手段での各ロール41〜45の型形状を示す図である。
【0027】
図2の1は、長尺の1枚の帯板W(図3)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部61を備えた偏平チューブ60を成形する偏平チューブのロール成形装置である。このロール成形装置1は、図2に示すように、ロールの回転軸心が水平であるロール成形手段11〜24・27・41〜45・51〜57と、ロールの回転軸心が垂直であるロール成形手段25・26とからなる。
【0028】
始めに、ロール成形手段11により、図3(a)に示すように、上辺の幅の大きい台形の突部62aを成形する。そして、ロール成形手段21〜23により、図3(b)に示すようにその台形の上辺の幅を順次縮小する。そして、ロール成形手段24により、図3(c)に示すように、形状が三角形の突部62cを形成する。
【0029】
次に、ロールの回転軸が垂直であるロール成形手段25・26により、図3(d)に示すように、突部62cの突出した2辺の内側を密着させ、折り返し突部62dを形成する。続いて、ロールの回転軸が水平であるロール成形手段27により、折り返し突部62dを上部から据え込み押圧し曲部の曲率半径を低減して角形形状化し、図3(e)に示す折り返し突部62を形成する。
【0030】
次に、図3(f)に示すように、ロール成形手段31により折り返し突部62を形成した中間成形体の両端部を45°の角度に折り曲げ、折り曲げ部63aを形成する。続いて、図3(g)に示すように、ロール成形手段32により、上記折り曲げ部63aを垂直方向に折り曲げ垂直方向折り曲げ部63を形成する。
【0031】
次に、本実施形態での新規構成として、図3(h)〜(l)に示すように、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部64を形成する第4ロール成形手段41〜45がある。まず、図3(h)に示すように、ロール成形手段41により、中間成形体を折り返し突部62が突出する方向に湾曲させながら、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に45°の角度に折り曲げた折り曲げ部64aを形成する。
【0032】
次に、図3(i)に示すように、ロール成形手段42により、中間成形体を折り返し突部62が突出する方向に更に湾曲させながら、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部64を形成する。次に、図3(j)・(k)に示すように、ロール成形手段43・44により、中間成形体の湾曲を平板に戻し、図3(l)に示すように、ロール成形手段45により、中間成形体を折り返し突部62が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形工程となっている。
【0033】
次に、図3(m)に示すように、ロール成形手段51により、垂直方向折り曲げ部63と折り返し突部62との中間を30°に折り曲げる。続いて、図3(n)・(o)に示すように、ロール成形手段52〜55により、垂直方向折り曲げ部63と折り返し突部62との中間を60°(図示略)・90°・120°・150°(図示略)に順次折り曲げる。
【0034】
そして、図3(p)に示すように、最後に成形ロール56により第1平板部65と第2平板部67とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部63を折り返し突部62の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67とを密着させる。そして、図2に示す搬送用のロール57により成形品を次工程に送り込む。
【0035】
次に、本実施形態のロール成形の方法および装置による特徴を述べる。帯板Wの幅方向中央部に台形形状の突部62aを形成する第1ロール成形手段11と、台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部62cとしたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部62を形成する第2ロール成形手段21〜27と、帯板Wの横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部63を形成する第3ロール成形手段31、32とを備える。
【0036】
また、本実施形態での新規構成として、垂直方向折り曲げ部63の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部64を形成する第4ロール成形手段41〜45と、垂直方向折り曲げ部63と折り返し突部62との中間に断面半円状の周曲部66を形成して第1平板部65と第2平板部67とを互いに平行にすると共に、垂直方向折り曲げ部63を折り返し突部62の両側面に密着させ、垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67とを密着させる第5ロール成形手段51〜57とを備える。
【0037】
このようなロール成形の方法および装置により、垂平方向折り曲げ部64を持った偏平チューブ60を成形することができる。また、第4ロール成形手段41〜45は、帯板Wを折り返し突部62が突出する方向に湾曲させて垂平方向折り曲げ部64を形成している。このようなロール成形の方法および装置により、垂直方向折り曲げ部63から連続して更に略直角に形成した長方形状の垂平方向折り曲げ部64を、アンダーカットとすることなく成形することができる。
また、第4ロール成形手段41〜45は、垂平方向折り曲げ部64を形成した後、折り返し突部62が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形手段45を含んでいる。このようなロール成形の方法および装置により、第1平板部65と第2平板部67とを略平行に設けることができると共に、接合部である折り返し突部62と水直方向折り曲げ部63との間、および垂平方向折り曲げ部64と第2平板部67との間を密着させて成形することができる。
【0038】
(その他の実施形態)
図5は、本発明の他の実施形態における偏平チューブ60の断面図である。図に示すように、補強部61を折り返し突部ではなく1枚の短板部68で形成した偏平チューブ60においても、水平方向折り曲げ部64を形成しても良く、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における偏平チューブの断面図であり、(a)はロール成形後、(b)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されている補強部周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されていない補強部周りの部分断面図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるロール成形装置の各ロールの配置図である。
【図3】(a)〜(p)は、本発明の一実施形態における各ロール成形工程での材料の成形態様を示す図である。
【図4】図3中本発明で新規となる第4ロール成形工程での材料の成形態様(h)〜(l)に対応する第4ロール成形手段での各ロールの型形状を示す図である。
【図5】本発明の他の実施形態における偏平チューブの断面図である。
【図6】従来の偏平チューブの断面図であり、(a)はロール成形後、(b)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されている補強部周りの部分断面図、(c)はロウ付け後で充分なフィレットが形成されていない補強部周りの部分断面図である。
【符号の説明】
11 第1ロール成形工程、第1ロール成形手段
21〜27 第2ロール成形工程、第2ロール成形手段
31、32 第3ロール成形工程、第3ロール成形手段
41〜45 第4ロール成形工程、第4ロール成形手段
45 矯正成形工程、矯正成形手段
51〜57 第5ロール成形工程、第5ロール成形手段
61 補強部
62 折り返し突部
62a 台形形状の突部
62c 略三角形の突部
63 水直方向折り曲げ部
64 垂平方向折り曲げ部
65 第1平板部
66 周曲部
67 第2平板部
W 帯板
Claims (7)
- 長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブであって、
一方の長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)と、
この垂平方向折り曲げ部(64)の長辺から連続して略直角に形成された一方の水直方向折り曲げ部(63)と、
この水直方向折り曲げ部(63)から連続にして略直角に形成された一方の平板状の第1平板部(65)と、
この第1平板部(65)から連続に形成された一方の断面半円状の周曲部(66)と、
この周曲部(66)から連続に形成され、前記第1平板部(65)と略平行に設けられた一方の平板状の第2平板部(67)と、
この第2平板部(67)から連続にして略直角に折り返し形成され、前記水直方向折り曲げ部(63)と略平行に隣接して設けられた長方形状の折り返し突部(62)と、
この折り返し突部(62)から連続にして前記第2平板部(67)と対向する方向へ略直角に延びる他方の平板状の第2平板部(67)と、
この第2平板部(67)から連続に形成された他方の断面半円状の周曲部(66)と、
この周曲部(66)から連続して形成され、前記第2平板部(67)と略平行に設けられた他方の平板状の第1平板部(65)と、
この第1平板部(65)から連続して略直角に形成され、前記折り返し突部(62)と略平行に隣接して設けられた他方の垂直方向折り曲げ部(63)と、
この垂直方向折り曲げ部(63)から連続して略直角に形成され、前記第2平板部(67)と略平行に設けられた他方の長方形状の垂平方向折り曲げ部(64)とを備え、
前記折り返し突部(62)の折り返した間、隣接して設けられた前記折り返し突部(62)と前記水直方向折り曲げ部(63)との間、および隣接して設けられた前記垂平方向折り曲げ部(64)と前記第2平板部(67)との間を接合し、前記水直方向折り曲げ部(63)、前記垂平方向折り曲げ部(64)、前記第1平板部(65)、前記周曲部(66)、および前記第2平板部(67)とで囲まれた空間が前記熱交換流体の流通する流路を形成することを特徴とする偏平チューブ。 - 長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブを成形する偏平チューブのロール成形方法であって、
前記帯板(W)の幅方向中央部に台形形状の突部(62a)を形成する第1ロール成形工程(11)と、
前記台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部(62c)としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部(62)を形成する第2ロール成形工程(21〜27)と、
前記帯板(W)の横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部(63)を形成する第3ロール成形工程(31、32)と、
前記垂直方向折り曲げ部(63)の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部(64)を形成する第4ロール成形工程(41〜45)と、
前記垂直方向折り曲げ部(63)と前記折り返し突部(62)との中間に断面半円状の周曲部(66)を形成して第1平板部(65)と第2平板部(67)とを互いに平行にすると共に、前記垂直方向折り曲げ部(63)を前記折り返し突部(62)の両側面に密着させ、前記垂平方向折り曲げ部(64)と前記第2平板部(67)とを密着させる第5ロール成形工程(51〜57)とからなることを特徴とする偏平チューブのロール成形方法。 - 前記第4ロール成形工程(41〜45)は、前記帯板(W)を前記折り返し突部(62)が突出する方向に湾曲させて前記垂平方向折り曲げ部(64)を形成することを特徴とする請求項2に記載の偏平チューブのロール成形方法。
- 前記第4ロール成形工程(41〜45)は、前記垂平方向折り曲げ部(64)を形成した後、前記折り返し突部(62)が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形工程(45)を含んでいることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の偏平チューブのロール成形方法。
- 長尺の1枚の帯板(W)を順次折り曲げて断面が横θ形状を有し中央に補強部(61)を備えた偏平チューブを成形する偏平チューブのロール成形装置であって、
前記帯板(W)の幅方向中央部に台形形状の突部(62a)を形成する第1ロール成形手段(11)と、
前記台形の上辺の幅を順次狭めて略三角形の突部(62c)としたのち突出した2辺の内側を密着させた折り返し突部(62)を形成する第2ロール成形手段(21〜27)と、
前記帯板(W)の横幅方向両端に垂直方向折り曲げ部(63)を形成する第3ロール成形手段(31、32)と、
前記垂直方向折り曲げ部(63)の先端部に更に略直角に折り曲げた垂平方向折り曲げ部(64)を形成する第4ロール成形手段(41〜45)と、
前記垂直方向折り曲げ部(63)と前記折り返し突部(62)との中間に断面半円状の周曲部(66)を形成して第1平板部(65)と第2平板部(67)とを互いに平行にすると共に、前記垂直方向折り曲げ部(63)を前記折り返し突部(62)の両側面に密着させ、前記垂平方向折り曲げ部(64)と前記第2平板部(67)とを密着させる第5ロール成形手段(51〜57)とからなることを特徴とする偏平チューブのロール成形装置。 - 前記第4ロール成形手段(41〜45)は、前記帯板(W)を前記折り返し突部(62)が突出する方向に湾曲させて前記垂平方向折り曲げ部(64)を形成することを特徴とする請求項5に記載の偏平チューブのロール成形装置。
- 前記第4ロール成形手段(41〜45)は、前記垂平方向折り曲げ部(64)を形成した後、前記折り返し突部(62)が突出する方向とは逆方向に湾曲させる矯正成形手段(45)を含んでいることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の偏平チューブのロール成形装置。
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JP2002164356A JP3855853B2 (ja) | 2002-06-05 | 2002-06-05 | 偏平チューブとそのロール成形方法および装置 |
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