JP3206946B2 - ポリウレタン接着剤組成物 - Google Patents

ポリウレタン接着剤組成物

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acid
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裕 松井
茂樹 渡辺
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ロックペイント株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種プラスチックフィ
ルム、金属箔、金属蒸着フィルムなどをラミネートして
つくる複合ラミネートフィルムの製造時に使用される、
耐熱接着性、耐熱水接着性、耐酸接着性、耐油接着性に
優れた複合ラミネートフィルム用接着剤組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】食品包装、医薬包装、化粧品包装用材料
として、各種プラスチック類、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリ塩化ビリニデンなどのフィルムとアルミ箔など
の金属箔をラミネートした複合ラミネートフィルム及び
上記プラスチックフィルム同士をラミネートした複合ラ
ミネートフィルムが既に広く使用されている。
【0003】これらプラスチックフィルムあるいは、金
属箔を接着する方法として、例えばポリエステルポリウ
レタンポリオール、有機ポリイソシアネート及びエポキ
シ樹脂の組合せを基幹とした様々の技術が開発されて来
ている。一方、特に食品包装用の分野では、食生活の向
上、簡便化と言う時代の流れに沿って、パックされる食
品も多様且つ高級化するに従い、内容物組成も複雑化し
て、各種ソース類、醤油、食酢、動植物油脂、各種香辛
料、アルコール含有物等々、その組み合わせの多様化は
止まるところを知らない。また同時に食品の殺菌温度も
100℃(ボイル)、120℃(レトルト)更に135
℃(ハイレトルト)へと上昇し、高温時に於ける耐水、
耐油、耐酸接着性などの厳しい性能がラミネートフィル
ムに要求されているが、この傾向は今後も内容物の複雑
化と共に益々強まって行くものと思われる。
【0004】近年になって、食酢、遊離脂肪酸などを含
む食品の包装用として従来の接着性能を改善したウレタ
ン系接着剤組成物が使用されるようになった。例えば、
ポリマーポリオールとポリイソシアネート系よりなるウ
レタン接着剤にピロメリット酸無水物などを加えたも
の、またポリオール成分にマレイン酸及びその無水物な
どをグラフトしたものが提案されている。これらは、酸
性食品を内容物とする場合の、接着力の改善がみとめら
れるが、未だ不充分な点が多い。例えば食酢成分の強い
ものや、これに動物油脂が含有された混合物をパックし
て長期保存後のアルミ箔とCPP(未延伸ポリプロピレ
ン)間のデラミ発生状況を観察すると、なおも弱点のあ
ることがわかる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の接着
剤の持つ技術上の課題を解決すべく種々検討した結果、
耐熱接着性、耐熱水接着性、耐酸接着性、耐油接着性な
どの諸性能を改善して、すべての食品を始めとする各種
内容物に対して実用可能なドライラミネート用接着剤組
成物を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、有機ポリイソ
シアネート、ポリマーポリオール、及びスチレンと無水
マレイン酸の共重合ポリマーを配合したポリウレタン接
着剤組成物を提供するものである。
【0007】本発明に用いられる有機ポリイソシアネー
トとしては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネー
ト、フェニレンジイソシアネート、2,4あるいは2,
6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−
4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン
−4,4′−ジイソシアネート、イソフォロンジイソシ
アネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3ジメチ
ルベンゼン、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジ
メチルベンゼン、テトラメチルキシリレンジイソシアネ
ート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチル
シクロヘキサン、ω,ω′−ジイソシアネート1,4−
ジメチルシクロヘキサン、及びこれらの混合物などのポ
リイソシアネート単量体、上記ポリイソシアネート単量
体から誘導されたダイマー、トリマー、ビューレット化
合物、アロファネート化合物及びたとえばトリメチロー
ルプロパン、グリセリンなどの分子量200未満の低分
子量ポリオールとの付加体、あるいは、たとえば分子量
が約200〜30,000のポリエステルポリオール、
ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリエーテルポ
リオールなどの付加体などが挙げられる。
【0008】本発明に用いられるポリマーポリオールと
しては官能基数が約2〜6、好ましくは約2〜4で、分
子量が約500〜100,000好ましくは3,000
〜20,000の化合物が挙げられる。
【0009】更に詳しくは、ポリエステルポリオール、
ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオ
ール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオールま
たはそれらの混合物があげられる。
【0010】かかるポリエステルポリオールの例として
は、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン
酸、アゼライン酸、セバチン酸などの二塩基酸もしくは
それらのジアルキルエステルまたはそれらの混合物と、
たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、
ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペン
チルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのグリ
コール類もしくはそれらの混合物とを反応させて得られ
るポリエステルポリオールが挙げられる。
【0011】ポリエーテルポリオールの例としては、た
とえばエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレ
ンオキシド、テトラヒドロフランなどのオキシラン化合
物を、たとえば水、エチレングリコール、プロピレング
リコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの
低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポ
リエーテルポリオールが挙げられる。
【0012】ポリエーテルエステルポリオールとして
は、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバチン酸などの二塩基酸もしくは、それらの
ジアルキルエステルまたはそれらの混合物と上記ポリエ
ーテルポリオールを反応させて得られるポリエーテルエ
ステルポリオールが挙げられる。
【0013】アクリルポリオールとしては1分子中に1
ケ以上のヒドロキシル基を有する重合性モノマー、たと
えばアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキ
シプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチルなど、あるい
はこれらの対応するメタクリル酸またはそのエステルと
を共重合することによって得られる。
【0014】ポリウレタンポリオールとしては、1分子
中にウレタン結合を有するポリオールであり、たとえば
分子量約500〜20,000のポリエステルポリオー
ル、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポ
リオール、アクリルポリオールなどと、前述の有機ポリ
イソシアネートとを反応させて得られる。
【0015】本発明に用いられる、スチレンと無水マレ
イン酸の共重合ポリマーは、たとえばアーコケミカル社
のSMAレジン(商標)やモンサント社のスクリプセッ
ト(商標)等の商品名で知られているもので、分子量は
約1,000〜350,000、好ましくは約1,00
0〜120,000である。スチレンと無水マレイン酸
との共重合比は、1:1〜5:1、好ましくは約1:1
〜2:1のものが使用される。スチレンと無水マレイン
酸との共重合ポリマーの量は全接着剤組成物に対して1
〜30重量%、好ましくは2〜15重量%である。
【0016】スチレンと無水マレイン酸の共重合ポリマ
ーは、たとえばイソフォロンジイソシアネート3モルと
トリメチロールプロパン1モルとの付加化合物などの有
機ポリイソシアネートとは相溶せず、醋酸エチル溶媒中
に於いて両者を混合すると、直ちに沈澱が生じてしまい
使用不可能であると思われた。ところが、スチレンと無
水マレイン酸の共重合ポリマーを予め、たとえばポリエ
ステルポリウレタンポリオールと部分的に反応させてお
くことによって、一変してポリイソシアネート化合物と
自由な比率で相溶するようになることを発見した。また
このスチレンと無水マレイン酸の共重合ポリマーで変性
したポリウレタン樹脂は50°Cで5ケ月以上保存後
も、粘度上昇などの変化を起こさない。このスチレンと
無水マレイン酸の共重合ポリマーによって変性されたポ
リウレタン樹脂が、耐熱水接着性、耐熱接着性、耐油接
着性、耐酸接着性に於いて、優れた性能を示す理由は定
かでないが、スチレンと無水マレイン酸の共重合ポリマ
ーが特異的に有効であって、例えばイソブチレンと無水
マレイン酸の共重合ポリマーなどは、その効果を示さな
かった。また無水マレイン酸モノマーを用いた場合に
も、その効果は認められなかった。
【0017】また本発明においては、この種のドライラ
ミネート用ポリウレタン接着剤組成物において広く用い
られている他の成分を加えて、実施することもできる。
但し、添加する成分や条件如何によっては、粘度上昇等
の現象が生ずることもあるので、注意を要する。
【0018】
【実施例】次に、本発明の理解を高めるために実施例を
挙げるが、本発明はこの実施例に限定して解釈されるべ
きではない。
【0019】実施例1 ジメチルフタレート194g、エチレングリコール12
4g、ネオペンチルグリコール104g及びテトラブチ
ルチタネート0.1gをN2 ガス気流下160〜220
°Cでエステル交換反応を行った。
【0020】所定量のメタノール溜出後、セバチン酸2
02gとアジピン酸73gを加え、220〜230°C
でエステル化反応を行い、徐々に減圧して230〜26
0°Cで1mmHg下、3時間重縮合反応を行った。数平均
分子量約6,000のポリエステルポリオールを得た。
これを醋酸エチルに溶解希釈してNV50%溶液とし
た。
【0021】これにジブチル錫ジラウレート0.15
g、イソフォロンジイソシアネート100g、醋酸エチ
ル100gを加えて、70°CでN2 ガス気流下7時間
反応させた。数平均分子量約10,000でOH価10
のポリウレタンポリオールを得た。
【0022】これにSMAレジン(商標)1,000A
(スチレン/マレイン酸無水物=1/1共重合ポリマ
ー、分子量1,600、アーコケミカル社製品)を10
2g、醋酸エチル102gを加えて、70°Cで60分
間反応させ、粘度U(気泡粘度計,25°C、NV50
%)の変性ポリエステルポリウレタン樹脂を得た。
【0023】上記樹脂溶液(主剤)100gに、硬化剤
としてポリイソシアネート化合物であるタケネート(商
標)D−140N(イソフォロンジイソシアネート3モ
ル/トリメチロールプロパン1モル付加体の75%醋酸
エチル溶液、武田薬品株式会社製)10gを配合した
後、醋酸エチルで25%に希釈し、ラミネーターを使用
して固形分塗布量3.5g/m2 となるように、PET
(12μ厚)/Al(40μ厚)/CPP(50μ厚)
を3層に貼り合わせて、後述の接着性試験を行った。
【0024】比較例A 実施例1で示した製法に従って同じ原料で同様のポリエ
ステルポリウレタン樹脂を合成し、これの醋酸エチル溶
液(NV50%)100gに対して、硬化剤として前記
のタケネート(商標)D−140N10gを配合した
後、醋酸エチルでNV25%に希釈し、実施例1と同条
件で貼り合わせ、接着力試験を行った。
【0025】比較例B 実施例1で示した製法に従って、同じ原料で同様のポリ
エステルポリオールを合成し、これの醋酸エチル溶液
(NV50%)100gに対してピロメリット酸二無水
物3gを加えたものに、硬化剤として前記のタケネート
(商標)D−140N10gを配合した後、醋酸エチル
でNV25%に希釈し、実施例1と同条件で貼り合わ
せ、接着力試験を行った。
【0026】比較例C 実施例1で示した製法に従って同じ原料で同様のポリエ
ステルポリオールを合成し、これの醋酸エチル溶液(N
V50%)100gに無水マレイン酸3gを加え、80
°Cに加温、攪拌下に過酸化ベンゾイルの10%醋酸エ
チル溶液10gを滴下。終了後80°Cで60分間保っ
て反応させた。冷却後、これに硬化剤として前記のタケ
ネート(商標)D−140N10gを配合し、醋酸エチ
ルで25%に希釈し、実施例1と同条件で貼り合わせ、
接着力試験を行った。
【0027】接着性試験 上述の実施例1及び比較例A、B、Cについて、夫々の
ラミネートフィルムから200mm×15mmの大きさの試
験片を切りとりインストロン型引張試験機を用い、T型
剥離により、クロスヘッドスピード50mm/分で接着強
度を測定した。測定値はAl箔と未延伸ポリプロピレン
フィルム(CPP)との間の接着強度(g/15mm幅)
を、5個の試験片の平均値で示した。表1に、テレピン
油テスト(テレピン油中に試験片を24時間浸漬し、A
l/CPP間のデラミ状況を観察)の結果を示す。
【0028】
【表1】
【0029】表2に、耐熱クリープテスト(Al/CP
P間のCPP側に100gの荷重をかけ、100°Cオ
ーブン中に40秒間放置し、剥離した距離を測定)の結
果を示す。
【0030】
【表2】
【0031】表3に、耐内容物テスト(ラミネートフィ
ルムを40°C、72時間エージング後、15cm×20
cmの平袋をつくり、これに食酢/水/サラダ油=1/1
/1の混合液を注入する。135°C、20分間、3.
8kg/cm2 の加圧下で熱水加熱減菌後、50°Cで30
日間保存し、Al/CPP間の接着強度測定、デラミ状
況観察及びAl箔表面の腐食状況観察)の結果を示す。
【0032】
【表3】
【0033】
【発明の効果】以上、本発明は、耐熱接着性、耐熱水接
着性、耐酸接着性、耐油接着性などの諸性能を改善し
て、すべての食品を始めとする各種内容物に対して実用
可能なドライラミネート用接着剤組成物を提供し得たも
のである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭49−22439(JP,A) 特開 昭50−16866(JP,A) 特開 昭61−47775(JP,A) 特開 平3−131648(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09J 175/04 - 175/16 C09J 135/06 B32B 27/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)有機ポリイソシアネート、(b)
    ポリマーポリオール、及び(c)スチレンと無水マレイ
    ン酸とを共重合させた酸無水基を有するポリマーが配合
    された、エポキシ樹脂を含有しない複合ラミネートフィ
    ルム用ポリウレタン接着剤組成物。
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