JP3541064B2 - 2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物 - Google Patents
2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3541064B2 JP3541064B2 JP25481894A JP25481894A JP3541064B2 JP 3541064 B2 JP3541064 B2 JP 3541064B2 JP 25481894 A JP25481894 A JP 25481894A JP 25481894 A JP25481894 A JP 25481894A JP 3541064 B2 JP3541064 B2 JP 3541064B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polymer
- laminate film
- resin
- maleic anhydride
- adhesive composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Landscapes
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本願発明は、各種プラスチックフィルム、金属箔、金属蒸着フィルムなどをラミネートしてつくる複合ラミネートフィルムの製造時に使用される、耐熱接着性、耐熱水接着性、耐酸接着性、耐油接着性、耐油接着性などに優れ、且つレトルトパウチから食品の風味に悪影響を及ぼすような溶出分の少ない複合ラミネートフィルム用接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品包装、医薬包装、化粧品包装及び工業用包装材料として、各種プラスチック類、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニリデンなどのフィルムとアルミ箔などの金属箔をラミネートした複合ラミネートフィルム及び上記プラスチックフィルム同士をラミネートした複合ラミネートフィルムが既に広く使用されている。
【0003】
これらプラスチックフィルムあるいは、金属箔を接着する方法として、例えばポリエステルポリオール又はポリエステルポリウレタンポリオール、有機ポリイソシアネート及びエポキシ樹脂の組合せを基幹とした様々の技術が開発されて来ている。一方、特に食品包装用の分野では、食生活の向上、簡便化と言う時代の流れに沿って、パックされる食品も多様且つ高級化するに従い、内容物組成も複雑化して、各種ソース類、醤油、食酢、動植物油脂、各種香辛料、アルコール含有物等々、その組み合わせの多様化は止まるところを知らない。また同時に食品の殺菌温度も100°C(ボイル)、120°C(レトルト)更に135°C(ハイレトルト)へと上昇し、高温時に於ける耐水、耐油、耐酸接着性などの厳しい性能がラミネートフィルムに要求されているが、この傾向は今後も内容物の複雑化と共に益々強まって行くものと思われる。
【0004】
近年になって、食酢、遊離脂肪酸などを含む食品の包装用として従来の接着性能を改善したウレタン系接着剤組成物が使用されるようになった。例えば、ポリマーポリオールとポリイソシアネート系よりなるウレタン接着剤にトリメリット酸無水物などを加えたもの、またポリオール成分にオルトリン酸及びその誘導体などを加えたものが提案されている。これらは、酸性食品を内容物とする場合の、接着力の改善がみとめられるが、未だ不充分な点が多い。例えば食酢成分の強いものや、これに動物油脂が含有された混合物をパックして長期保存後のアルミ箔とCPP(未延伸ポリプロピレン)間の剥離発生状況を観察すると、なおも弱点のあることがわかる。
【0005】
また、従来レトルト食品は、カレー等の比較的若い人を対象とした味の濃いものが一般的であったが、最近国民の高齢化が急速に進むという社会的変化に伴なって、病院、老人ホーム等向けの業務用レトルト食品の需要が急増しつつあると言う。病人や高齢者向けの食品は概してうす味であるため、レトルトパウチから食品中に溶出する微量成分によって、食味に悪影響の出ないよう要望が出されている。この食品包装用ラミネートフィルムからの溶出物については、従来から、食品衛生法によって厳しく規制されている(厚生省告示370号、84号、20号)。また外国でも例えばアメリカのFDAによる厳しい規制がある。(CFRセクション177、1390)。これらの規制は、微量溶出物の量による規制であるが、これに加えて食品の味を損なう恐れのある更に微量の溶出物をチェックする官能検査も必要となって来ている。これは食品包装用途の製品としては当然のことであろう。
尚、レトルト滅菌時において、食品の風味が損なわれることを避ける目的で、無菌包装システムも開発されている。無菌室に於いて加熱せずに充填包装するこの方式は合理的な優れた手段であるが、多額の資金を要する点に問題があり、今後もレトルト滅菌方式は継続されるものと思われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、従来の接着剤の持つ技術上の課題を解決すべく種々検討した結果、耐熱接着性、耐熱水接着性、耐酸接着性、耐油接着性、耐油接着性などの諸性能を改善するだけでなく、食品の風味を損なう溶出物を出来る限り少なくしたドライラミネート用接着剤組成物を提供せんとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の第1の発明は、数平均分子量1,000〜150,000のポリエステルポリウレタンポリイソシアネートを、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー及びテルペン系炭化水素の無水マレイン酸付加物で変性した化合物を主剤とし、有機ポリイソシアネートを硬化剤として配合する2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物を提供することにより、上記の課題を解決するものである。
【0008】
また、本願の第2の発明は、上記の第1の発明に係る接着剤組成物において、分子末端にイソシアネート基を含有するポリエステルポリウレタンポリマーのイソシアネート基含有量が、0,5重量%以下であることを特徴とするものを提供する。
【0009】
従来ラミネートフィルム用ポリウレタン接着剤、特に高温滅菌工程を必要とするレトルトパウチに使用するラミネートフィルム用接着剤は、ポリマーポリオール成分とポリイソシアネート成分の2成分系に添加剤を加えた系が使われて来た。すなわちポリマーポリオール成分は必須のものとされて来たのである。また中には、分子末端にイソシアネート基を有するポリウレタンポリイソシアネート樹脂成分のみを用いる1液型のものも提案されているが、これらは、最近の複雑化した内容物に対応した厳しい接着性能の要求には応じることが出来なくなっている。
【0010】
本願発明者らは、鋭意検討の結果、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマーと高分子錯体付加物を形成させることによって変性した、末端に少量のイソシアネート基を含有するポリエステルポリウレタンポリマーと、これに硬化剤として有機ポリイソシアネートオリゴマーを配合した2液型の系が、従来から用いられて来たポリマーポリオールとポリイソシアネートの2成分系から成るものよりも色々の点で一層優れた接着性能を示すことを発見した。すなわち、本願発明による接着剤組成物においてはポリマーポリオール成分の必要はない。
言い換えれば、各種フィルム同志、或いはフィルムとアルミ箔との接着に於いて強力な接着力を示すための要素となるのは、この2成分系における硬化剤のイソシアネートオリゴマー及び主剤のポリウレタンポリマーと高分子コンプレックスを形成しているスチレン/無水マレイン酸共重合ポリマーであることが明らかになったのである。
【0011】
この知見に基いた本願発明による接着剤では、実際使用するに際して、2液を混合した後の溶液系内には水酸基を含むポリマーが存在しないため、イソシアネート基と水酸基による架橋反応は起こらず、従ってポットライフ(可使時間)が長くなる特徴も有している。これは使用者に作業上の便宜を提供することにもなるであろう。
【0012】
しかし、このポットライフは無限ではない。2液混合後、大気中の湿気の入らないように密閉した容器内においても、やがてゲル化が起こる。既知文献(Journal of Polymer Science,PartA−1,Vol7,2757(1969)によると、下記の化学式(化1)に示すように、ピロメリット酸無水物はジフェニルメタンジイソシアネートと反応してポリジフェニルメタンピロメリットイミド〔II〕を高温時生成するが、そこに至る前の中間体であるアダクトポリマー〔I〕は溶媒中比較的低温で生成し、安定に分離され、固有粘度0.10を有する7員環リングを持ったポリマーであることが明らかにされている。
【0013】
【化1】
【0014】
本願発明による接着剤でも、主剤の中核をなすポリエステルポリウレタンポリマーと高分子錯体を形成しているスチレン/無水マレイン酸の共重合ポリマーと、硬化剤として加えた有機ポリイソシアネートとは、上記文献中のイミド基を含むアダクトポリマー〔I〕の生成に相応する重合反応を起こして架橋が行なわれるものと推定される。そして、このイミド基を含む架橋反応はウレタン化よりも反応速度は遅いが、レトルト加熱処理時には加速されて本願発明による接着剤の強い接着力を構成する一因となっていると考えられる。
尚、本願発明における主剤中にはポリエステルポリウレタンポリマーの分子末端に含有される少量のイソシアネート基と、スチレン/無水マレイン酸の共重合ポリマーとが共存する。しかし、このイソシアネート基の含有濃度が0.5重量%以下の場合には、6ケ月以上保存後、若干の粘度上昇は認められるが、ゲル化等の現象は起こらなかった。
本願発明による接着剤組成物は、優れた接着性能を示すだけでなく、従来市販されて来た類似の接着剤と較べると、レトルトパウチ内への食味を損なう溶出物が非常に少なく、官能検査で優れた評価を得たのは驚くべき発見であった。
【0015】
本願発明に用いられる有機ポリイソシアネートとしては、たとえばヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、2,4あるいは2,6−トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3ジメチルベンゼン(キシリレンジイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ω,ω′−ジイソシアネート−1,3−ジメチルシクロヘキサン、ω,ω′−ジイソシアネート1,4−ジメチルシクロヘキサン、及びこれらの混合物などのポリイソシアネート単量体、上記ポリイソシアネート単量体から誘導されたダイマー、トリマー、ビューレット化合物、アロファネート化合物及びたとえばトリメチロールプロパン、グリセリンなどの分子量200未満の低分子量ポリオールとの付加体、あるいは、たとえば分子量が約200〜30,000のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオールなどの付加体などが挙げられる。
【0016】
本願発明に用いられる少量のイソシアネート基をその分子末端に含有するポリエステルポリウレタンポリマーの原料として用いられるポリエステルポリオールとしては、官能基数が約2〜6、好ましくは約2〜4で分子量が約500〜100,000、好ましくは3,000〜20,000の化合物が挙げられる。
【0017】
かかるポリエステルポリオールの例としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸などの二塩基酸もしくはそれらのジアルキルエステルまたはそれらの混合物と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのグリコール類もしくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0018】
また本願発明に用いられるその末端に少量のイソシアネート基を含有するポリウレタンポリイソシアネートポリマーは、その分子中にウレタン結合を有しているポリマーで、例えば分子量約500〜20,000のポリエステルポリオールと前述の有機ポリイソシアネートとを反応させて得られる。その数平均分子量は、1,000〜150,000好ましくは2,000〜100,000のものである。また,このポリウレタンポリマー中に含有されるイソシアネート基の量は、0.5重量%以下、望ましくは0.1〜0.3重量%である。
【0019】
本願発明に用いられる、スチレンと無水マレイン酸の共重合ポリマーは、たとえばアトケム社のSMAレジン(商標)やモンサント社のスクリプセット(商標)等の商品名で知られているもので、分子量は約1,000〜350,000、好ましくは約1,000〜120,000である。スチレンと無水マレイン酸との共重合比は、1:1〜5:1、好ましくは約1:1〜2:1のものが使用される。スチレンと無水マレイン酸との共重合ポリマーの量は全接着剤組成物に対して1〜30重量%、好ましくは2〜15重量%である。
【0020】
このスチレン/無水マレイン酸の共重合ポリマーは、後述のように、本願発明に於ける主剤ポリマーと加熱することによって一種の高分子錯体付加物を形成するが、その結果接着力の大幅な増強効果が認められた。
【0021】
本願発明に用いられるテルペン系炭化水素類の無水マレイン酸付加物は、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマーの補足的役割を果たすもので、これを適宜加えることによってフィルムの表面特性に適応して接着性能を一層向上させることができる。この化合物は、テルペン炭化水素類に無水マレイン酸を付加反応させた誘導体で、例えば油化シエルエポキシ株式会社のエピキュアYH−306H、YH−307及びYH−308Hなどを用いることが出来る。添加量は、全接着剤組成物に対して0.1〜5重量%好ましくは0.3〜3重量%である。これらの添加は本願発明に用いるポリウレタンポリマーの合成後加熱下に行う。
【0022】
本願発明による接着剤では、従来から接着力改善のため効果があるとされている高価なシランカップリング剤の添加を行わずとも、充分な接着性能を示す。そして、耐熱水接着性、耐熱接着性、耐油接着性、耐酸接着性、耐内容物接着性などで優れた性能を示すばかりでなく、レトルトパウチからの食味阻害物質の溶出量を既存製品よりも遙かに少なくすることが出来る特性もあわせ持っている。
【0023】
スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマーは、それ単独では、普通硬化剤として用いられている、例えば、3モルのイソフォロンジイソシアネートと1モルのトリメチロールプロパンとの反応生成物、3モルのキシリレンジイソシアネートと1モルのトリメチロールプロパンとの反応生成物及びイソフォロンジイソシアネートのトリマー体などのポリイソシアネートオリゴマーとは、酢酸エチル溶媒中で相溶せず、また本願発明における主剤の中核となるポリエステルポリウレタンポリマーの共存下にも相溶しない。
【0024】
しかし、このポリマーと予め攪拌下に加熱処理(加熱温度は60〜200℃程度が好ましい)をした後には、室温で前記ポリイソシアネート硬化剤と相溶するようになる。スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー中の酸無水基は、ポリウレタンポリマー中の少量のイソシアネート基と反応することも考えられるが、しかしそれだけでは上記の現象は説明できない。これはスチレン/無水マレイン酸共重合ポリマーの分子が、その多くの極性基を介してポリウレタンポリマーの分子連鎖とからみ合い、別の特性をもった一種の高分子錯体付加物を形成することによるものと思われる。尚、ポリイソシアネート硬化剤の添加量は、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマーを付加した主剤に対して3〜25重量%、好ましくは5〜15重量%である。
【0025】
本願発明の特許請求の範囲で述べられているポリエステルポリウレタンポリイソシアネートポリマーは、ポリエステルポリマーポリオールと有機ポリイソシアネートの付加重合反応によって水酸基価0、イソシアネート基含量0.5重量%以下のものを合成する。尚、これの分析は、通常の化学分析と赤外吸収スペクトル分析によって確認され得る。次に、このポリウレタンポリマーに、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマーと、テルペン類炭化水素のマレイン化物を加え、加熱して高分子付加錯体を形成させ、変成ポリエステルポリウレタンポリマーとする。
【0026】
以下、本願発明による実施例と、従来の接着剤による比較例を示すが、本願発明はこの実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施し得る。例えば、必要に応じて、シランカップリング剤、リン酸及びリン酸誘導体、抗酸化剤、界面活性剤等の添加剤を適宜加えて実施することも可能である。尚、実施例の部或いは%は、何れも重量部或いは重量%である。
【0027】
(1)樹脂▲1▼(ポリエステルポリオール)
イソフタル酸166部、エチレングリコール109部、セバシン酸202部、ネオペンチルグリコール156部、アジピン酸146部にテトラブチルチタネート0.2部の混合物を、N2 ガス気流下220〜230°Cでエステル化反応を行ない、次に徐々に減圧にして230〜260°Cで1mmHg下6時間エステル化反応を行なった。
数平均分子量8,000、水酸基価30のポリエステルポリオールを得た。
これを樹脂▲1▼とする。
【0028】
(2)樹脂▲2▼(ポリエステルポリオール)
ジメチルテレフタレート291部、セバシン酸303部、1,3−ブチレングリコール135部、ネオペンチルグリコール94部、ジエチレングリコール95部、テトラブチルチタネート0.3部を用いて、エステル交換反応とエステル化反応を上記樹脂▲1▼の例に準じて行なった。
数平均分子量7,000、水酸基価20のポリエステルポリオールを得た。
これを樹脂▲2▼とする。
【0029】
(3)樹脂▲3▼(ポリエステルポリウレタンポリイソシアネートポリマー)
上記樹脂▲1▼100部を酢酸エチル100部に溶解した後、ジブチル錫ジラウレート0,03部、イソフォロンジイソシアネート8部、酢酸エチル8部を加え、80〜90°CでN2 ガス気流下6時間反応させて、数平均分子量11,000、水酸基価0、イソシアネート基含量0.3%のポリエステルポリウレタンポリマー酢酸エチル溶液を得た。
これを樹脂▲3▼とする。
【0030】
(4)樹脂▲4▼(ポリエステルポリウレタンポリイソシアネートポリマー)
上記樹脂▲2▼100部とキシリレンジイソシアネート6部を上記のように反応させて、数平均分子量12,000、水酸基価0、イソシアネート基0.3%のポリエステルポリウレタンポリマー酢酸エチル溶液を得た。
これを樹脂▲4▼とする。
【0031】
(5)樹脂▲5▼(スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー変性ポリエステルポリウレタンポリマー)
上記樹脂▲3▼の酢酸エチル溶液(NV50%)200部にスチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー(アトケム社製品1,000A、分子量1,600)15部、エピキュアYH−308H(油化シエル社製品)2部及び酢酸エチル17部を加え80〜90°Cで攪拌下にN2 ガス気流中2時間加熱した。
これを樹脂▲5▼とする。
【0032】
(6)樹脂▲6▼(スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー変性ポリエステルポリウレタンポリマー)
上記樹脂▲4▼の酢酸エチル溶液(NV50%)200部、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー15部、エピキュアYH−306(油化シエル社製品)2部を用いて上記樹脂▲5▼の場合と同条件にて加熱し、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー変性ポリエステルポリウレタンポリマーを得た。
これを樹脂▲6▼とする。
【0033】
(7)樹脂▲7▼
アジピン酸、イソフタル酸、エチレングリコールよりなるポリエステル(アジピン酸/イソフタル酸/エチレングリコール=2/2/5(モル比))900gと、MDI 500gとを90°Cで6時間反応させて、イソシアネート含有量5.8%のポリウレタンポリイソシアネートポリマーを得た。固形分50%の酢酸エチル溶液100gにγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン1.0gを加えた。
これを樹脂▲7▼とする。
【0034】
(8)樹脂▲8▼
イソフタル酸/アジピン酸=1/1(モル比)、ジエチレングリコールよりなるポリエステルグリコール(分子量1,600)160g、TDI 17.4g酢酸エチル177.4g、ジブチル錫ジラウレート0.03gの混合液を、60°Cで5時間反応させた。この反応液にイソフタル酸/アゼライン酸=2/1(モル比)、エチレングリコール/ジエチレングリコール/ネオペンチルグリコール2/1/1(モル比)から成るポリエステルグリコール(分子量10,000)200g、エチレングリコール5g、酢酸エチル279g、エポキシ樹脂(分子量900、エピコート1001)70g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.8g、ポリリン酸0.2gを加え、1時間反応させて、水酸基価22、固形分50%のエポキシ変性ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。
これを樹脂▲8▼とする。
【0035】
(9)樹脂▲9▼
イソフタル酸/セバチン酸=1/1(モル比)、エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=2/1(モル比)よりなるポリエステルグリコール(数平均分子量2,000)100g、イソフォロンジイソシアネート11.1g、酢酸エチル111.1g、ジブチル錫ジラウレート0.03gの混合液を65°Cで7時間反応後トリメチロールプロパン4.0gを加え、更に1時間反応させて固形分50%のポリウレタンポリオールの溶液を得た。この樹脂溶液100gに対してピロメリット酸1gを加えた。
これを樹脂▲9▼とする。
【0036】
〔実施例及び比較例の接着剤配合〕
表1に示すように、上述の樹脂▲5▼の酢酸エチル溶液(NV50%)に、ポリイソシアネート硬化剤としてタケネートD−110N及びD−140N(武田薬品製)の等量混合物を配合して実施例1の接着剤を得た。同様に、上述の樹脂▲6▼、樹脂▲7▼、樹脂▲8▼及び樹脂▲9▼により、実施例2、比較例1、比較例2及び比較例3の接着剤を得た。実施例2、比較例2及び比較例3では、実施例1と同様、各樹脂の酢酸エチル溶液(NV50%)に、ポリイソシアネート硬化剤としてタケネートD−110N及びD−140N(武田薬品製)の等量混合物を配合したが、比較例1では硬化剤を配合せず、酢酸エチルで希釈(NV50%)とするに止めた。
【0037】
【表1】
【0038】
〔ラミネートフィルムの製作〕
各実施例及び比較例について、表1に示すように配合した後、酢酸エチルでNV25%に希釈し、ラミネーターを使用して固形分塗布量3,5g/m2 となるようにPET(12μ厚)/Al箔(9μ厚)/CPP(70μ厚)を3層に貼り合わせて、次に述べる各種の接着性試験を行った。
【0039】
〔接着性試験〕
各実施例及び比較例の接着剤を用いて製作したラミネートフィルムに関して、テレピン油テスト(テレピン油中に試験片を25°Cで24時間浸漬し、Al箔/CPP間の剥離状況を観察)を行い、その結果を表2示す。
【0040】
【表2】
【0041】
表3に耐熱クリープテスト(Al箔/CPP間のCPP側に100gの荷重をかけ、100°Cオーブン中に40秒間放置し、剥離した距離を測定)の結果を示す。
【0042】
【表3】
【0043】
表4に接着強度テスト及び耐内容物テストの結果を示す。
耐内容物テストは、夫々のラミネートフィルムを40°Cで72時間エージング後、15cm×20cmの平袋をつくり、これに食酢/ケチャップ/サラダ油=1/1/1の混合液を注入し、135°C、20分間、3,8kgの加圧下で熱水加熱滅菌後、60°Cで2週間及び4週間保存した後のAl箔/CPP間の剥離発生状況観察及びAl箔表面の腐食状況観察を行ったものである。
【0044】
接着強度テストは、耐内容物テストと同条件のレトルト前、直後及び2週間及び4週間保存後の接着強度を測定したもので、上述の表1に示した各実施例及び比較例について、夫々のラミネートフィルムから200mm×15mmの大きさの試験片を切り取り、インストロン型引張試験機を用い、T型剥離により、クロスヘッドスピード50mm/分で接着強度を測定した。測定値はAl箔と末延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)との間の接着強度(g/15mm幅)を5個の試験片の平均値で示した(表4参照)。
【0045】
【表4】
【0046】
〔食味阻害物質の溶出量の比較〕
本願発明の実施例1に係る接着剤組成物並びにレトルトパウチ用ドライラミネート接着剤として市販されている市販品A,B,Cを夫々使用してPET(12μ厚)/Al箔(9μ厚)/CPP(70μ厚)のラミネートフィルムを作成した。各ラミネートフィルムを40°C及び60°Cで7日間エージング後、130mm×100mmの平袋を作った。これに活性炭処理をした蒸留水10mlを注入、溶融して封じた後、135°Cで30分間加熱後、この水をとり出し、活性炭処理をした蒸留水で10倍希釈したものについて、紫外線吸収スペクトル分析を行ない、その結果を図1乃至図4に示した。図1は実施例1に関し、図2は市販品Aに関し、図3は市販品Bに関し、図4は市販品Cに関して夫々行った紫外線吸収スペクトル分析のグラフであり、各図において、(L)はラミネートフィルムを40°Cで、(H)はラミネートフィルムを60°Cで、夫々7日間エージングしたものに関するものである。
【0047】
この紫外線吸収スペクトル分析は、UV波長185.0〜400.0nm間の吸収を測定した(日本分光製、UV IDEC−610Cを使用)。各図のグラフの縦軸は透過度T%、横軸は波長(185〜400nm)を示す。尚、溶出物の比較に用いた本願発明による接着剤組成物の処方は実施例に示した通りであるが、市販品A,B,Cは、レトルトパウチ用ドライラミネート接着剤として市販されているものを用いたもので、その処方は不明。
【0048】
〔官能検査(フレーバーチェック)〕
上記の加熱滅菌後の水について、官能検査を行なった。評点は5点評価で、テストパネラーは5名。各人各製品毎に3検体をチェックし、その結果を表5に示した。
評点は次の通りとした。
1:無味
2:わずかに味がする
3:味がする
4:可成り味がする
5:評価外(味、臭いが明らかに強い)
【0049】
【表5】
【0050】
図1乃至図4、表5に示されるように、本願発明による接着剤組成物は既存市販品と較べた場合、明らかに食味阻害物質の溶出量の少ないことがUV吸収スペクトル分析及び、官能検査において確認された。
【0051】
以上のテストによって、本願発明による実施例は、比較例に比して、優れた耐熱接着性、耐熱水接着性、耐酸接着性、耐油接着性などの諸性能を改善するだけでなく、食味を阻害する溶出物を最小限に止めることが可能となる等の諸性能を示すことが確認された。
【0052】
【発明の効果】
以上本願発明は、耐熱接着性、耐熱水接着性、耐酸接着性、耐油接着性などの諸性能を改善して、すべての食品を始めとする各種内容物に対して実用可能な2液型ドライラミネート用接着剤組成物を提供し得たものである。
【0053】
さらに、本願の第2の発明にあっては、上記の諸性能を示すと共に、6ケ月以上保存してもゲル化等の現象が発生せず、長期の保存に耐え得る2液型ドライラミネート用接着剤組成物を提供し得たものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に関して行った紫外線吸収スペクトル分析のグラフであり、(L)はラミネートフィルムを40°Cで、(H)はラミネートフィルムを60°Cで、夫々7日間エージングしたものに関するものである。
【図2】市販品Aに関して行った紫外線吸収スペクトル分析のグラフであり、(L)はラミネートフィルムを40°Cで、(H)はラミネートフィルムを60°Cで、夫々7日間エージングしたものに関するものである。
【図3】市販品Bに関して行った紫外線吸収スペクトル分析のグラフであり、(L)はラミネートフィルムを40°Cで、(H)はラミネートフィルムを60°Cで、夫々7日間エージングしたものに関するものである。
【図4】市販品Cに関して行った紫外線吸収スペクトル分析のグラフであり、(L)はラミネートフィルムを40°Cで、(H)はラミネートフィルムを60°Cで、夫々7日間エージングしたものに関するものである。
Claims (2)
- 数平均分子量1,000〜150,000のポリエステルポリウレタンポリイソシアネートを、スチレン/無水マレイン酸共重合ポリマー及びテルペン系炭化水素の無水マレイン酸付加物で変性した化合物と、
有機ポリイソシアネートと、
を配合して成る2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物。 - 分子末端にイソシアネート基を含有するポリエステルポリウレタンポリマーのイソシアネート基含有量が0,5重量%以下である請求項1記載の2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25481894A JP3541064B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | 2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25481894A JP3541064B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | 2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0892541A JPH0892541A (ja) | 1996-04-09 |
JP3541064B2 true JP3541064B2 (ja) | 2004-07-07 |
Family
ID=17270307
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25481894A Expired - Lifetime JP3541064B2 (ja) | 1994-09-22 | 1994-09-22 | 2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3541064B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3315290A1 (de) * | 2016-10-28 | 2018-05-02 | Henkel AG & Co. KGaA | Verfahren zum schweissen eines polyolefin-kunststoffes mit einem weiteren kunststoff |
US10894366B2 (en) | 2015-10-16 | 2021-01-19 | Henkel Ag & Co. Kgaa | Method for welding polyamide and poly(meth)acrylate plastics |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6613836B2 (en) | 2001-06-15 | 2003-09-02 | National Starch And Chemical Investment Holding Corporation | Reactive hot melt adhesive |
-
1994
- 1994-09-22 JP JP25481894A patent/JP3541064B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10894366B2 (en) | 2015-10-16 | 2021-01-19 | Henkel Ag & Co. Kgaa | Method for welding polyamide and poly(meth)acrylate plastics |
EP3315290A1 (de) * | 2016-10-28 | 2018-05-02 | Henkel AG & Co. KGaA | Verfahren zum schweissen eines polyolefin-kunststoffes mit einem weiteren kunststoff |
WO2018077948A1 (de) * | 2016-10-28 | 2018-05-03 | Henkel Ag & Co. Kgaa | VERFAHREN ZUM SCHWEIßEN EINES POLYOLEFIN-KUNSTSTOFFES MIT EINEM WEITEREN KUNSTSTOFF |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0892541A (ja) | 1996-04-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPS6147775A (ja) | 複合ラミネ−トフイルム用接着剤組成物 | |
CN107828048B (zh) | 一种滚齿药品软包装用复合粘合剂及其制备方法 | |
JP5920591B2 (ja) | 2液硬化型酸素吸収性樹脂組成物及び酸素吸収性接着剤 | |
CN103097484B (zh) | 适于有机金属催化剂的使用非迁移性阻滞剂的可控固化脂肪族层压粘合剂 | |
CN1257950C (zh) | 一种耐蒸煮聚氨酯胶粘剂及其制备方法 | |
JPS5811912B2 (ja) | プラスチツク金属箔複合包装材用接着剤組成物 | |
JP2020513444A (ja) | 低粘度速硬化性積層用接着剤組成物 | |
WO2006026670A1 (en) | Adhesive for high-temperature laminate | |
JP2848047B2 (ja) | 接着剤組成物 | |
KR100881521B1 (ko) | 접착제 및 이것을 이용한 포장용 적층체 | |
JP2950057B2 (ja) | 接着剤組成物 | |
JP6337679B2 (ja) | 2液硬化型ドライラミネート用接着剤組成物及びそれを用いた積層フィルム並びにレトルトパウチ用包装袋 | |
CN101945908A (zh) | 粘合剂 | |
JP3206946B2 (ja) | ポリウレタン接着剤組成物 | |
JP3900441B2 (ja) | 改良型イソシアネート系積層接着剤 | |
JP3541064B2 (ja) | 2液型複合ラミネートフィルム用接着剤組成物 | |
JPS60243182A (ja) | ドライラミネ−ト用接着剤 | |
JPS5915157B2 (ja) | 複合ラミネ−ト用接着剤組成物 | |
JP7333349B2 (ja) | 再生可能な原材料に基づく包装用接着剤 | |
JP2001152127A (ja) | ポリウレタン接着剤組成物およびその製造方法 | |
JP6892020B1 (ja) | 反応性接着剤、積層フィルム、及び包装体 | |
JP6763499B1 (ja) | 反応性接着剤、積層体、及び包装体 | |
JPS63196678A (ja) | ラミネ−トフイルム用接着剤組成物 | |
JP2020079353A (ja) | 接着剤組成物、および積層体 | |
WO2021256269A1 (ja) | 接着剤、積層体、包装材 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040316 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040329 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120402 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120402 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150402 Year of fee payment: 11 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |