JP3202986B2 - コレステロール・オキシダーゼの製造法 - Google Patents

コレステロール・オキシダーゼの製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ストレプトマイセス属に属し、ブレビバク
テリウム属に属する微生物由来のコレステロール・オキ
シダーゼをコードする遺伝子を含むDNA断片をベクターD
NAに組み込んだ組換え体DNAを保有する微生物を用いる
コレステロール・オキシダーゼの製造法に関する。
コレステロール・オキシダーゼは、コレステロール
(5−cholesten−3−β−ol)を酸化して、4−コレ
ステン−3−オン(4−cholesten−3−one)と過酸化
水素とを生ずる反応を触媒する酵素であり、臨床検査薬
として、血中コレステロールの定量などに用いられる。
従来の技術 コレステロール・オキシダーゼは、シゾフィラム(Sc
hizophyllum)属、ストレプトベルティシリウム(Strep
toverticillium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacte
rium)属及びストレプトマイセス(Streptomyces)属な
どに属する微生物によって生産されることが知られてい
る。
また、組換えDNA技術を用いて、ストレプトマイセス
属微生物由来のコレステロール・オキシダーゼをコード
する遺伝子を組み込んだ組換え体DNAを作製し、該組換
え体DNA保有株によるコレステロール・オキシダーゼの
生産についての報告もなされている〔アプライド・アン
ド・エンビロメンタル、マイクロバイオロジイ,52 N
o.6,1382〜1385(1986)〕。
発明が解決しようとする課題 従来のコレステロール・オキシダーゼ生産菌として知
られている微生物は、その生産量がきわめて低く、しか
も生産されるコレステロール・オキシダーゼの大部分の
菌体内に蓄積されるため、夾雑タンパク質が多く、多段
階にわたる精製操作が必要とされる。従って、コレステ
ロール・オキシダーゼ生産量が高く、しかも菌体外にコ
レステロール・オキシダーゼを分泌生産する微生物の開
発が求められている。
課題を解決するための手段 本発明は、ストレプトマイセス属に属し、ブレビバク
テリウム属に属する微生物由来のコレステロール・オキ
シダーゼをコードする遺伝子を含むDNA断片をベクターD
NAに組み込んだ組換え体DNAを保有する微生物を培地に
培養し、培養物中コレステロール・オキシダーゼを生成
蓄積させ、該培養物からコレステロール・オキシダーゼ
を採取することを特徴とするコレステロール・オキシダ
ーゼの製造法を提供する。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるコレステロール・オキシダーゼ生産菌
は、ブレビバクテリウム属に属する微生物の染色体DNA
より、コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含むDNA
断片をクローニングし、ストレプトマイセス属微生物の
宿主・ベクター系を用いて、ストレプトマイセス属微生
物に導入することにより得ることができる。具体的に
は、以下のようにして行うことができる。
(1) コレステロール・オキシダーゼ遺伝子の単離 ブレビバクテリウム属に属する菌株からのコレステロ
ール・オキシダーゼ遺伝子のショットガン・クローニン
グは、大腸菌を宿主としたコロニー・ハイブリダイゼー
ション法により行うことができる。コロニー・ハイブリ
ダイゼーションに用いる遺伝子プローブとしては、コレ
ステロール・オキシダーゼ、例えばブレビバクテリウム
・ステロリカム(Brevibacterium sterolicum)ATCC213
87株の生産するコレステロール・オキシダーゼの精製標
品で決定されたアミノ酸の部分配列から推定される、DN
A塩基配列の合成一本鎖DNAを用いることができる。
ブレビバクテリウム属に属する菌株からのコレステロ
ール・オキシダーゼ遺伝子を含む染色体DNAの単離は、
常法に従って、例えば分子生物学実験マニュアル(R.F.
シュライフ、P.C.ウエンシンク著、川上正也、山崎達美
訳、講談社サイエンティフィック、1983年発光)に記載
された方法によって行うことができる。DNA供与菌とし
ては、ブレビバクテリウム属に属し、コレステロール・
オキシダーゼ生産能を有する微生物であれば、すべて使
用可能である。具体的には、ブレビバクテリウム・ステ
ロリカムATCC21387株があげられる。
上記で得た染色体DNAをベクターDNAに組み込んで、組
換え体DNAを調製する。染色体DNAの組み込みは、常法に
従って、例えば染色体DNA及びベクターDNAを適当な制限
酵素で切断して、染色体DNA断片及びベクターDNA断片を
調製した後、両者の混合物をDNAリガーゼで処理するこ
とによって行うことができる。ここで用いられるベクタ
ーDNAとしては、大腸菌を宿主とすることが可能なプラ
スミドであればすべて可能であり、pUC19やpBR322等が
好適に用いられる。また、制限酵素としては、例えば、
BamH I、Sau3A I等が挙げられる。Sau3A Iの切断部位
は、BamH Iの切断部位と同じ構造の突出末端を生じるた
め、組換えのためのDNA断片の連結が可能であり、染色
体DNAをSau3A Iで限定分解して得られるDNA断片を、Bam
H Iで切断したベクターDNA断片と連結することができ
る。DNAリガーゼとしては、T4ファージ感染大腸菌由来
のT4DNAリガーゼが好適に用いられる。
上記方法で得られた組換え体DNAは、常法に従って、
例えば、モレキュラー・クローニング(T.マニアチス、
E.F.フリッチ、J.サムブルック著、コールドスプリング
ハーバー出版社、1982年)に記載の方法によって、大腸
菌に導入することができる。コレステロール・オキシダ
ーゼ遺伝子を含むDNA断片を組み込んだベクターDNAを保
有する菌株の選択は、次のようにして行うことができ
る。すなわち、組換え体DNAを導入した菌株をアンピシ
リンを含むLB固体培地〔バクトトリプトン 10g/,バ
クト イースト エキストラクト 8g/,NaCl 5g/
,バクトアガー 15g/(pH7.2)〕で培養し、生じ
たコロニーをナイロンもしくはニトロセルロース膜上で
アルカリ等により溶菌させ、DNAのみを一本鎖に変性さ
せた後、膜上に固定する。固定したDNAをコレステロー
ル・オキシダーゼのアミノ酸配列をもとに合成したDNA
プローブと会合させ、予めDNAプローブに標識しておい
た放射性化合物、蛍光性化合物、標識化酵素などの活性
を検出することにより、強く会合するDNA、すなわち目
的とする遺伝子を保有するクローンを選択することがで
きる。
(2) コレステロール・オキシダーゼ遺伝子のストレ
プトマイセス属放線菌への導入 上記のようにして得られたブレビバクテリウム属微生
物由来のコレステロール・オキシダーゼ遺伝子は、放線
菌を宿主とするベクターDNAに組み換えて、放線菌で発
現可能な組換え体DNAを調製した後、ストレプトマイセ
ス属放線菌に導入することができる。
コレステロール・オキシダーゼ遺伝子の組み込みは、
常法に従って、例えばコレステロール・オキシダーゼ遺
伝子を含む組換え体DNA及びベクターDNAを適当な制限酵
素で切断して、コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を
含むDNA断片及びベクターDNA断片を調製した後、両者の
混合物をDNAリガーゼで処理することによって行うこと
ができる。ここで用いられるベクターDNAとしては、放
線菌を宿主とすることが可能なプラスミドであればすべ
て使用可能であり、pIJ702〔ジャーナル・オブ・ジェネ
ラル・マイクロバイオロジイ(J.Gen.Microbiol.)129,
2703〜2714(1983)〕、pEN101,pEN201,pEN301(いずれ
も特開平1−304885)等が好適に用いられる。制限酵素
としては、例えば、Mlu I、Sac I等が挙げられる。さら
にDNAリガーゼとしては、T4ファージ感染大腸菌由来のT
4DNAリガーゼが好適に用いられる。
上記方法で得られた組換え体DNAは、常法に従って、
例えば、カレント・トピックス・イン・マイクロバイオ
ロジー・アンド・イムノロジー第96巻(1982)記載の方
法によって、ストレプトマイセス属放線菌、例えばスト
レプトマイセス・リビダンスTK23株等に導入することが
できる。コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を組み込
んだ組換え体DNAを保有する菌株の選択は、次のように
して行うことができる。
再生培地上に再生してきたストレプトマイセス・リビ
ダンスの形質転換株を、チオペプチン10μg/mlを含有す
る適当な栄養寒天培地に植菌し、30℃で2日間培養を行
う。次にコロニーが生育してきたところで、本菌株を適
当な栄養培地で液体培養した後、常法に従って、例え
ば、カレント・トピックス・イン・マイクロバイオロジ
ー・アンド・イムノロジー第96巻(1982)記載の方法に
よってプラスミドを調製し、アガロースゲル電気泳動法
によりプラスミドを確認することによって、組換え体DN
Aが導入された形質転換株を選択することができる。こ
こで得られた形質転換株が、コレステロール・オキシダ
ーゼ遺伝子を含む組換え体プラスミドを保有している菌
株であるかどうかは、該菌株を適当な栄養培地で液体培
養して得られる培養上清のコレステロール・オキシダー
ゼ活性を検出することによって確認することができる。
このようにして得られたコレステロール・オキシダー
ゼ遺伝子を含む組換え体DNAを含有する微生物の一例と
して、例えばストレプトマイセス・リビダンスCHS31株
が挙げられる。該菌株は、平成2年6月15日付で、工業
技術院微生物工業技術研究所に、ブダペスト条約に基づ
いて、FERM BP−2969として寄託されている。
上記のようにして得られるコレステロール・オキシダ
ーゼ生産能を有する微生物は、栄養培地で培養すること
により、著量のコレステロール・オキシダーゼを蓄積す
る。
培養に用いる培地としては、炭素源、窒素源、無機物
などを含有する合成培地、または天然培地のいずれも使
用できる。炭素源としては、例えばグルコース、澱粉、
澱粉加水分解物、グリセロール、糖蜜など種々の炭水化
物が用いられ、その使用量は5〜70g/程度が好まし
い。窒素源としては、例えば硫酸アンモニウム、リン酸
アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、
あるいは、ペプトン、酵母エキス、コーン・スティープ
・リカー、カゼイン加水分解物、肉エキスなどの窒素含
有有機物等が用いられ、その使用量は、5〜20g/程度
が好ましい。無機物としては、例えば、リン酸第一水素
カリウム、リン酸第二カリウム、硫酸マグネシウム、塩
化マグネシウム等が用いられ、その使用量は0.05〜5g/
程度が好ましい。
培養は、振とう培養、または、通気攪拌培養等の好気
的条件下に行われる。培養温度は25〜37℃が好適であ
り、培養期間は、通常16〜100時間程度である。
培養終了後、培養液からのコレステロール・オキシダ
ーゼの精製は、培養液から遠心分離等の方法で菌体を除
き、得られた培養上清を、硫安塩析法、有機溶媒沈澱
法、イオン交換樹脂を用いるクロマトグラフィー、ゲル
過等の常法により処理することにより行うことができ
る。
以下に、コレステロール・オキシダーゼ活性の測定に
ついて説明する。
細型試験管に3mM コレステロール溶液(50mMのコレ
ステロールのエタノール溶液6mlを、94mlの1.05%トリ
トンX−100溶液中に攪拌しながら加え、湯煎中で10分
間加熱した後、水中で冷却し、蒸留水を用いて100mlと
する。調製後30分以内に使用する)1.0ml、50mM胆汁酸
ナトリウム溶液 0.3ml、0.5M リン酸カリウム−ナト
リウム緩衝液(pH7.5)0.3ml、42mM フェノール 0.5m
l、2.4mM 4−アミノアンチピリン 0.5ml、115単位/m
l西洋ワサビ由来パーオキシダーゼ0.2mlを入れ、混合す
る。これを37℃で3分間保温した後、酵素溶液0.2mlを
添加する。振盪しながら37℃で5〜10分間反応を行った
後、500nmの吸光度(以下OD500nm)を測定した。下記の
計算式により、酵素溶液の活性を求めた。
力価計算式 コレステロール・オキシダーゼの1単位(U、unit)
は、37℃で1分間にコレステロール1μmoleを酸化する
反応を触媒する酵素量である。一方、1mMのキノンイミ
ンの吸光係数は、5.33と報告されている(クリニカル・
ケミストリー,第20巻,470頁(1974)〕から、求める酵
素溶液1mlあたりの力価(A)は、上記操作で求められ
た反応液3mlのOD500nmをa)項によって規定し、b)項
を用いて算出する。また、酵素溶液に含まれる酵素の比
活性(B)はc)項によって求められる。
a)〔(酵素・基質を共に含む反応液のOD500nm)より
(基質を除いた反応液のOD500nm)を差し引いたもの〕
から〔(試薬ブランクのOD500nm)より(試薬ブランク
から基質を除いた溶液のOD500nm)〕を差し引いたもの
を△Eと規定する。
b)△E÷5.33÷時間(min)×3×希釈率=A酵素溶
液の力価(unit/ml) c)A÷10=B(unit/mg蛋白) 注1:試薬ブランクとは、反応液中から酵素溶液を除いた
溶液をいう。
注2:蛋白濃度は、280nmにおける蛋白溶液の吸光度が1
であるときの蛋白濃度を1mg/mlとして算定した。
以下、実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
実施例1. コレステロール・オキシダーゼ遺伝子のクロ
ーニング 1)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含む染色体
DNAの調製 ブレビバクテリウム・ステロリカムATCC21387株をLB
培地〔バクトトリプトン 10g/(Difco社製)、バク
ト イースト エキストラクト 8g/(Difco社製)、
NaCl 5g/(pH7.2)〕30mlに植菌し、30℃で3日間振
盪培養した。得られた培養液を、日立製冷却遠心機(RP
R20−2ローター)を用いて、4℃で10000rpm、10分間
遠心して菌体を集菌した。10.3%ショ糖溶液で洗浄後、
再び遠心して菌体を集め、カレント・トピックス・イン
・マイクロバイオロジー・アンド・イムノロジー第96巻
(1982)に記載されている方法で全染色体DNAを抽出
し、約1mgの染色体DNAを得た。
2)染色体DNA断片のベクターDNAへの導入 上記1)で得られた全染色体DNA72μgを、M緩衝液
〔10mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、10mM MgCl2
50mM NaCl、1mM ジチオスレイトール〕100μに溶解
して、制限エンドヌクレアーゼSau3A I(宝酒造社製)
3.6単位を添加し、37℃で30分間限定分解を行った。つ
いで、これをモレキュラー・クローニングに記載されて
いる方法に従って、10−40%ショ糖密度勾配遠心法によ
り分画を行った。遠心は、日立製超遠心機(SRP28ロー
ター)を用い、20℃で26000rpm、16時間行った。各分画
の一部をモレキュラー・クローニングに記載されている
方法に従ってアガロースゲル電気泳動を行い、DNA断片
の大きさを測定した。さらに、3〜6kbのDNA断片を含む
分画のみを集めて、エタノール沈澱を行った後、ライゲ
ーション緩衝液〔66mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.
6)、5mM MgCl2、5mMジチオスレイトール、1mM ATP〕
60μに溶解して、約5μgのDNA断片を含む染色体DNA
溶液を得た。ベクターとして使用するpUC19(ファルマ
シア社製)は、5μgをM緩衝液150μに溶解して、
制限エンドヌクレアーゼBamH I(宝酒造社製)20単位を
添加し、37℃で3時間反応を行って完全分解した。1Mト
リス−塩酸緩衝液(pH8.6)20μと、仔牛小腸由来ア
ルカリ性ホスファターゼ2単位を添加し、37℃で1時間
反応を行い、脱リン酸化を行った後、さらに65℃で10分
間加熱して酵素を失活させ、エタノール沈澱を行った
後、40μのライゲーション緩衝液に溶解した。Sau3A
Iで部分分解した染色体DNA溶液16μとBamH Iで分解し
たpUC19溶液5μを混合し、ライゲーション緩衝液で
全量75μにした後、T4DNAリガーゼ2単位を添加し、1
6℃で16時間、連結反応を行い、種々の組換え体DNAを含
む組換え体DNA混成物を得た。
3)大腸菌の形質転換 2)で得られた組換え体DNA混成物を用いて、大腸菌
を形質転換した。形質転換に用いるDNA感受性菌の調製
は、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー第
166巻、577頁(1983)に記載されているハナハンらの方
法に準じた。大腸菌MM294株をLB培地で一晩培養して得
られた培養液0.2mlを、20mlのSOB培地〔バクトトリプト
ン 20g/、バクトイースト エクストラクト 5.0g/
、10mM NaCl、2.5mM KCl、10mM MgCl2、10mM MgS
O4(pH7.0)〕に植菌し、37℃で3時間培養した。ファ
ルコン2070試験管に移し、氷中に15分間おき、4℃で遠
心し菌体を集めた。7mlのTFB〔10mM グッドMESバッフ
ァー(pH6.20)、100mM RbCl、45mM MnCl2、10mM Ca
Cl2、3mM ヘキサミン三塩化コバルト〕に懸濁し、氷中
で15分間静置した。その後菌体を遠心分離によって集
め、1.6mlのTFBに再び懸濁した。得られた懸濁液に56μ
のジメチルスルホキシドを加え、氷中で5分間緩やか
に攪拌した後、56μのβ−メルカプトエタノールを加
え、氷中で10分間緩やかに攪拌した。その後、56μの
ジメチルスルホキシドを加え、氷中で5分間緩やかに攪
拌して得られた菌体を、DNA感受性菌として形質転換に
使用した。DNA感受性菌を含有する溶液210μをファル
コン2059試験管に入れ、2)で作成した組換え体DNA混
成物10μを加え、緩やかに撹拌した後、氷中で30分間
静置した。42℃の恒温槽中で90秒間加熱し、氷中に移し
て2分間保った。これに800μのSOC培地(SOB培地に2
0mMグルコースを加えた培地)を加え、37℃で1時間振
盪培養した。得られた培養液を50μg/mlアンピシリンを
含むLB固体培地に摂取し、37℃で一晩培養することによ
り生じたコロニーを、形質転換体として取得した。
4)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含む組換え
体DNAを保有する形質転換株の選択 3)で得られた形質転換株がコレステロール・オキシ
ダーゼ遺伝子を含む組換え体DNAを保有するかどうか
を、モレキュラー・クローニング(T.マニアチス、E.F.
フリッチ、J.サムブルック著、コールドスプリングハー
バー出版社、1982年)に記載された方法に従って確認し
た。上記平板培地上に生育した形質転換株のコロニー
を、ハイボンド−Nフィルター(アマシャム社製)上に
プリカ法によって転写し、転写面を上向きにして別の平
板培地上に置き、37℃で一晩培養を行った。コロニーを
十分生育させた後、平板培地上よりフィルターをはが
し、1.5M NaCl、0.5M NaOHを含む溶液中に7分間放置
した。その後、1M NaCl、0.5M トリス−塩酸緩衝液
(pH7.2)、0.001M EDTA・Na2を含む溶液に浸した紙
上で、3分間放置することを2回繰り返した後、2倍濃
度のSSC(NaCl17.53g/、コハク酸ナトリウム 8.82g/
、pH7.0)中で洗浄し風乾した。このようにして調製
したフィルターを用いて、いわゆるコロニーハイブリダ
イゼーションの手法によりコレステロール・オキシダー
ゼ遺伝子を含む組換え体DNAを保有する形質転換体を得
た。すなわち、ブレビバクテリウム・ステロリカムATCC
21387株の生産するコレステロール・オキシダーゼの精
製標品で決定されたアミノ酸の部分配列から推定される
DNA塩基配列の合成一本鎖DNA、 (6番目の塩基はT,Cのいずれか、9番目の塩基はT,Cの
いずれか、12番目の塩基はA,G,Tのいずれか,15番目の塩
基はA,Gのいずれかであり、組み合わせて24通りの合成D
NAの混合物となる。)を、γ−32P−ATPを用いT4ポリヌ
クレオチドキナーゼ(宝酒造社製)で末端標識してDNA
プローブを作製し、該DNAプローブを含むハイブリダイ
ゼーションバッファー{6倍濃度SSC、10mM EDTA、5
倍濃度デンハート溶液〔20倍濃度SSC 6ml、蒸留水0.2m
l、10%牛血清アルブミン水溶液0.2ml、10%フィコール
水溶液、10%ポリビニルピリルドン(平均分子量約1
万)水溶液を混合した溶液〕、0.5% SDS、0.1mg/ml
熱変性仔牛胸腺DNA〔10mg/mlの濃度になるように仔牛胸
腺DNA(シグマ社製)を蒸留水に懸濁し、2分間超音波
処理を行った後、沸とう水中で5分間熱した後氷冷して
調製したもの〕}と得られたフィルターとを50℃で16時
間反応させた後、プローブを含む溶液を捨て、3倍濃度
のSSC中で65℃で十分洗浄した後、フィルターとX線撮
影用フィルムを密着させ、−70℃において1昼夜感光さ
せ、オートラジオグラフィー法によって標識DNAプロー
ブとハイブリダイズするDNAを検出した。標識DNAプロー
ブとハイブリダイズするDNAを含む形質転換株MM294/p4
−22−15を、コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含
む組換え体DNA保有株として取得した。
5)クローン化したコレステロール・オキシダーゼ遺伝
子の解析 4)で得られた形質転換株MM294/p4−22−15よりプラ
スミドを単離し、プラスミドp4−22−15を取得した。解
析の結果、該プラスミドは、ブレビバクテリウム・ステ
ロリカムATCC21387の染色体DNAに由来する6.3kbのDNA断
片を有していた。p4−22−15の制限酵素切断地図を、第
1図に示した。コレステロール・オキシダーゼのC末ア
ミノ酸配列に対応するDNAプローブ及び中央ペプチドア
ミノ酸配列に対応するDNAプローブを用い、モレキュラ
ー・クローニングに記載されたサザン・ハイブリダイゼ
ーション法により解析したところ、C末アミノ酸配列に
対応するDNAプローブ、すなわち、 (3番目の塩基はA,Gのいずれか、9番目の塩基はA,Gの
いずれか、12番目の塩基はC,Tのいずれか、15番目の塩
基はT,A,Gのいずれかであり、組み合わせて24通りの合
成DNAの混合物となる。)はプラスミドp4−22−15中の
4.6kbに位置するSca Iサイトと5.6kbに位置するMlu Iサ
イトによってはさまれる1kbのDNA断片にハイブリダイズ
し、中央ペプチドアミノ酸配列に対応するDNAプロー
ブ、すなわち、 (3番目の塩基はA,Gのいずれか、6番目の塩基はT,Cの
いずれか、12番目の塩基はA,Gのいずれか、15番目の塩
基はA,Gのいずかであり、組み合わせて16通りの合成DNA
の混合物となる。)は4.2kbに位置するBgl IIサイトと
4.6kbに位置するSca Iサイトによってはさまれる0.4kb
のDNA断片にハイブリダイズした。さらに、該DNA断片
は、3.1kbに位置するBamH Iサイトと4.2kbに位置するBg
I IIサイトの間に染色体DNAを切断する際生じたSau3A I
サイトを有し、DNA連結反応中の遺伝子組換えがおきて
いた。従って、コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を
含み、遺伝子組換えがおきていないDNA断片を得るため
に、2回目のコロニーハイブリダイゼーションを前記
4)と同様に行った。DNAプローブとしては、前述のコ
レステロール・オキシダーゼに対応するDNAプローブと
ハイブリダイズするp4−22−15中の4.2kbに位置するBal
IIサイトと5.1kbに位置するBamH Iサイトにはさまれた
約0.9kb断片を、α−32P−dCTPを用いてニックトランス
レーション法により標識したものを用いた。その結果、
形質転換株MM294/pNo.2を取得した。該菌株が保有する
プラスミドpNo.2の制限酵素地図を第2図に示した。該
プラスミドは、p4−22−15中のBamH IサイトとBgl IIサ
イトの間でSau3A Iによる遺伝子組換えがおきていな
い、コレステロール・オキシダーゼ遺伝子の上流部分に
当たる3.2kbのBamH I制限酵素断片を有していた。
6)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子の再構築 4)および5)で得られたプラスミドp4−22−15およ
びpNo.2を用いてコレステロール・オキシダーゼ遺伝子
を含む組換え体DNAの再構築を行った。すなわち、プラ
スミドp4−22−15中の4.6kbおよび8.6kb(ベクターDNA
由来)に位置するSca Iサイトによって切り出される4.0
kbDNA断片を、コレステロール・オキシダーゼ遺伝子の
下流部分として単離し、プラスミドpNo.2中の3.9kb及び
9.7kb(ベクターDNA由来)に位置するSca Iサイトによ
って切り出される4.4kbDNA断片を、コレステロール・オ
キシダーゼ遺伝子の上流部分として単離し、両者をSca
Iサイトによって2)に記載した方法と同様にして、T4D
NAリガーゼを用いて連結した。連結したDNAを用いて、
モレキュラー・クローニングに記載されている方法に従
って、大腸菌HB101株を形質転換し、得られた形質転換
体をアンピシリン50μg/mlを含むLB固体培地で培養し、
生育してくるアンピシリン耐性株を選択した。該形質転
換株は、ベクターDNA由来のSca Iサイトが正常に連結さ
れていれば、β−ラクタマーゼ遺伝子が正常に再構築さ
れ、アンピシリン耐性が発現することにより培地で生育
することができる。得られた形質転換体のうちの1株
を、MM294/pScaNo.8と命名した。該菌株の保有するプラ
スミドpScaNo.8の制限酵素地図を第3図に示した。
7)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子の塩基配列の
決定 pScaNo.8由来のMlu I断片(2.4kb)の末端を、DNAブ
ランティングキット(宝酒造社製)を用いて平滑化した
DNA断片を、pUC119およびpUC118のSma I部位にクローン
化し、pCHS42とpCHS43を作成した。これらのプラスミド
から各種制限酵素を用いてサブクローン化を行い、挿入
断片を縮小したプラスミドを作成し、塩基配列の決定を
行った。さらに、キロシークエンスデリーションキット
(宝酒造社製)を用い、pCHS43のPst I部位からコレス
テロール・オキシダーゼ遺伝子の5′側領域の欠失プラ
スミドを作成し、塩基配列の決定を行った。塩基配列の
決定は、プラスミド(二本鎖DNA)を基質とし、シーケ
ネース(Ver2)キット(ユナイテッド・バイオケミカル
社製)を用い、キット添付のマニュアル記載の反応条件
に従って行った。
以下に、pScaNo.8由来のMlu I断片の2385bpの全塩基
配列および該塩基配列から予想されるコレステロール・
オキシダーゼ遺伝子のアミノ酸配列を示す。
塩基配列番号はコレステロール・オキシダーゼ遺伝子
の5′側のMlu I部位を1とした。アミノ酸配列番号
は、ブレビバクテリウム・ステロリカムATCC21387株の
生産する菌体外コレステロール・オキシダーゼのN末端
を1とした。リボソーム結合配列は で、翻訳開始コドンは で示した。終始コドンは で示した。コレステロール・オキシダーゼ遺伝子の3′
側に見いだされた転写終結因子の配列は で示した。
Mlu I断片の塩基配列中に、コレステロール・オキシ
ダーゼをコードすると考えられる全長1659bpのオープン
リーディングフレーム(ORF)が見いだされた。このORF
の下流2282〜2326のところには、転写ターミネーターと
考えられる構造が見いだされたが、上流には、大腸菌の
プロモーターと高い相同性を持つ配列は見いだされなか
った。
実施例2. コレステロール・オキシダーゼ遺伝子のスト
レプトマイセス・リビダンス(Streptomyces lividan
s)TK23株への導入 1)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含む大腸菌
−放線菌シャトルプラスミドの構築とストレプトマイセ
ス・リビダンスTK23株への導入 実施例1. 6)で得られたコレステロール・オキシダー
ゼ遺伝子を含む組換え体プラスミドpScaNo.8のDNA4μg
を、L緩衝液〔10mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、1
0mM MgCl2、1mM ジチオスレイトール〕50μに溶解
して、制限エンドヌクレアーゼSac I(宝酒造社製)10
単位を添加し、37℃で1時間保温し完全分解を行った。
アガロースゲル電気泳動を行い、5.5kbのDNA断片を含む
部分を剃刀を用いて切り出し、ジーンクリーン(バイオ
101社製、USA)を用いてDNA断片を回収し、ライゲーシ
ョン緩衝液20μに溶解して、約1μgのDNA断片を含
む溶液を得た。ベクターとして使用するpSE1(参考例1
参照)2μgをL緩衝液30μに溶解して、制限エンド
ヌクレアーゼSac I10単位を添加し、37℃で3時間反応
を行って完全分解した。1M トリス−塩酸緩衝液(pH8.
6)6μと仔牛小腸由来アルカリ性ホスファターゼ2
単位を添加し、37℃で1時間反応を行い、脱リン酸化を
行った。さらに65℃で10分間加熱して酵素を失活させ、
エタノール沈澱を行った後、20μのライゲーション緩
衝液に溶解した。このようにして得られたSac Iで切断
した5.5kbのコレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含
むDNA断片を含む溶液20μと、Sac Iで分解した後、脱
リン酸化を行ったpSE1 DNA含有溶液10μを混合し、T
4DNAリガーゼ2単位を添加し、16℃で16時間、連結反応
を行った。
得られた組換え体DNA混成物を用いて、モレキュラー
・クローニングに記載されている方法に従って作製した
大腸菌JM105株のコンピテントセルを形質転換し、アン
ピシリン25μg/mlを含有するLB液体培地に植菌して、30
℃で一晩振盪培養を行った。モレキュラー・クローニン
グに記載されている方法に従ってプラスミドを抽出し
て、Sac Iで切断した後、アガロースゲル電気泳動法に
よりプラスミドの大きさを測定し、pSE1にコレステロー
ル・オキシダーゼ遺伝子を含むDNA断片が挿入された組
換え体DNAであることを確認した。
上記のようにして得られた組換え体DNA標品を、スト
レプトマイセス・リビダンスTK23株の形質転換に供し
た。ストレプトマイセス・リビダンスTK23株〔カレント
・トピックス・イン・マイクロバイオロジー・アンド・
イムノロジー(Current Topics in Microbiology and I
mmuology)96,69〜95(1982)〕のプロトプラストは、
同文献に記載の方法に従って調製した。組換え体DNA溶
液20μ(DNAとして約1μg)とP緩衝液〔10.3%
ショ糖、25mM TES(pH7.2)(別蒸)、10mM MgCl2、2
5mM CaCl2(別蒸)、0.005% KH2PO4(別蒸)、80μg
/ ZnCl2、200μg/ FeCl3・6H2O、10μg/ CuCl
2・2H2O、10μg/ MnCl2・4H2O、10μg/ Na2B4O7
・10H2O、10μg/(NH46Mo24・4H2O〕に懸濁したス
トレプトマイセス・リビダンスTK23株のプロトプラスト
菌液100μ(約1010/ml)を混合し、室温で1分間放置
後、480μのT緩衝液(ポリエチレングリコール1000
を25%となるようにP緩衝液に溶解した溶液)を添加混
合し、P緩衝液で適当に希釈した後、R5再生寒天培地
〔103g/ ショ糖、10g/ グルコース、5g/ バク
トイースト エキストラクト、0.1g/ カザミノ酸(D
ifco社製)、0.25g/ K2SO4、10.1g/ MgCl2・6H
2O、2.94g/ CaCl2・2H2O(別蒸)、0.05g/ KH2PO
4(別蒸)、0.3g/ NaNO3(別蒸)、0.03g/ グル
タミン酸ナトリウム(別蒸)、3g/ NaOH、5.73g/
TES、80μg/ ZnCl2、200μg/ FeCl3・6H2O、10
μg/ CuCl2・2H2O、10μg/ MNCl2・4H2O、10μg/
Na2B4O7・10H2O、10μg/ (NH46Mo24・4H2O、
22g/ バクト アガー(Difco社製)(pH7.2)〕に各
プレート100μずつ塗布した。これを30℃で約16時間
培養した後、42℃に保温した軟寒天重層培地〔8g/
ディフコ ニュートリエント ブロス(Difco Nutrient
Broth)、5g/ バクト アガー、200mg/ チオペ
プチン〕を、1プレートあたり2.5ml重層し、さらに30
℃で4日間培養を行い、チオペプチンに対して耐性を示
すようになった形質転換株を得た。
得られた形質転換株を、SK#2培地〔5g/ 酵母エ
キス(日本製薬社製)、5g/ ペプトン(日本製薬社
製)、3g/ 肉エキス(極東製薬社製)、0.2g/ KH
2PO4、0.6g/ MgSO4・7H2O、20g/ スタビロースK
(松谷化学社製)、5g/ グルコース(pH7.6)〕60ml
に植菌し、30℃で3日間振盪培養を行った。培養液より
菌体を分離し、該菌体より組換え体プラスミドを、カレ
ント・トピックス・イン・マイクロバイオロジー・アン
ド・イムノロジー 第96巻(1982)に記載の方法に従っ
て分離した。
2)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子発現プラスミ
ドpCHS31の造成 実施例2. 1)で得られたコレステロール・オキシダ
ーゼ遺伝子を含む組換え体DNA5μgをとり、H緩衝液
〔10mM トリス−塩酸緩衝液(pH7.5)、10mM MgCl2
100mM NaCl、1mM ジチオスレイトール〕50μに溶解
して、制限エンドヌクレアーゼMlu I 10単位を添加
し、37℃で30分間完全分解を行った。ついで、このDNA
標品のアガロースゲル電気泳動を行い、2.3kbのDNA断片
を含む部分を剃刀を用いて切り出し、ジーンクリーンを
用いてDNA断片を回収し、ライゲーション緩衝液20μ
に溶解して約1μgのDNA断片を得た。また、ベクター
として使用するpIJ702〔ジャーナル・オブ・ジェネラル
・マイクロバイオロジー(J.Gen.Microbiol.)129,2703
〜2714(1983)〕5μgをH緩衝液50μに溶解して、
制限エンドヌクレアーゼMlu I20単位を添加し、37℃で
3時間反応を行って完全分解した。1Mトリス−塩酸緩衝
液(pH8.6)10μと仔牛小腸由来アルカリ性ホスファ
ターゼ2単位を添加し、37℃1時間反応を行い、脱リン
酸化を行った後、さらに65℃で10分間加熱して酵素を失
活させ、エタノール沈澱を行った後、50μのライゲー
ション緩衝液に溶解した。ついで、Mlu Iで切断した2.3
kbのコレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含むDNA断
片の溶液20μとMlu Iで分解した後、脱リン酸化を行
ったpIJ702DNA溶液1μを混合し、T4DNAリガーゼ2単
位を添加し、16℃で16時間、連結反応を行い、コレステ
ロール・オキシダーゼ遺伝子を含む組換え体DNAを取得
した。
3)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含む組換え
体DNAによるストレプトマイセス・リビダンスTK23株の
形質転換 上記のようにして得られた組換え体DNA標品をストレ
プトマイセス・リビダンスTK23株の形質転換に供した。
組換え体DNA標品20μと、P緩衝液に懸濁したストレ
プトマイセス・リビダンスTK23株のプロトプラスト菌液
100μ(約1010/ml)を混合し、室温で1分間放置後、
480μのT緩衝液を添加混合し、P緩衝液で適当に希
釈した後、R5再生寒天培地に、各プレート100μずつ
塗布した。これを30℃で約16時間培養した。42℃に保温
した軟寒天重層培地を、1プレートあたり2.5ml重層
し、さらに30℃で4日間培養を行い、チオペプチンに対
して耐性を示すようになった形質転換株、約500株を得
た。
4)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含む組換え
体プラスミドを保有する形質転換体の選択 実施例2. 3)で得られたストレプトマイセス・リビ
ダンスTK23株の形質転換株130株を、滅菌した妻楊子を
用いてチオペプチン10μg/mlを含有するR5T培地に植菌
し、30℃で2日間培養を行った。コロニーが生育してき
たところで、42℃に保温したコレステロール・オキシダ
ーゼ活性検出培地〔50℃に保温した1.5% 寒天溶液 3
0mlに3mM コレステロール溶液 3ml、50mM トリトン
X−100溶液 3ml、0.5M リン酸カリウム−ナトリウム
溶液(pH7.5)3ml、42mM フェノール 5ml、2.4mM 4
−アミノアンチピリン 5ml、115単位/ml西洋ワサビ由
来パーオキシダーゼ 2mlを添加、混合したもの〕を、
1プレートあたり10ml重層し、37℃で約1時間保温し
た。周囲に赤色のゾーンを形成しているコロニー13株を
選出し、これらの形質転換株を、チオペプチン10μg/ml
を含有するSK#2培地10mlを入れた太型試験管に植菌
し、30℃で2日間振盪培養を行った。得られた培養液
を、日立製冷却遠心機(RPR20−2ローター)を用い
て、4℃で10000rpm、10分間遠心し、培養上清を得た。
培養上清中のコレステロール・オキシダーゼ活性を、コ
レステロール・オキシダーゼの活性測定法に従って測定
し、コレステロール・オキシダーゼ活性を発現する形質
転換株CHS31株を取得した。
ここで得られた形質転換株より、カレント・トピック
ス・イン・マイクロバイオロジー・アンド・イムノロジ
ー 第96巻(1982)に記載されている方法に従ってプラ
スミドを抽出し、Mlu Iで切断した後、アガロースゲル
電気泳動を行ってコレステロール・オキシダーゼ遺伝子
を含むDNA断片が挿入されている組換え体プラスミドで
あることを確認した。この組換え体プラスミドを用い
て、上述の形質転換法に従って再びストレプトマイセス
・リビダンスTK23株の形質転換を行い、出現した形質転
換株のコレステロール・オキシダーゼ生産性を測定した
ところ、アッセイしたすべての形質転換株は、コレステ
ロール・オキシダーゼの生産性を示した。
形質転換株の保有する組換え体プラスミドpCHS31の制
限酵素切断地図を、第4図に示した。
実施例3. 組換え体DNA保有株を用いたコレステロール
・オキシダーゼの発酵生産 1)コレステロール・オキシダーゼ遺伝子を含む組換え
体プラスミドを保有するストレプトマイセス・リビダン
ス形質転換株CHS31株の培養 実施例2.で得られたストレプトマイセス・リビダンス
の形質転換株を、チオペプチン10μg/mlを含有するSK#
2培地10mlを入れた太型試験管に植菌し、30℃で2日間
振盪培養を行った。得られた培養液を、チオペプチン10
μg/mlを含有するSK#2培地500mlを入れた21型バッフ
ル付き三角フラスコに植菌し、30℃で100時間振盪培養
を行った。得られた培養液を、日立製冷却遠心機(RPR1
0−2ローター)を用いて、4℃で8000rpm、20分間遠心
し、菌体を除いて培養上清約410mlを得た。
この培養液では、培養上清及び培養菌体内の両方にコ
レステロール・オキシダーゼの活性が検出され、特に培
養上清中のコレステロール・オキシダーゼの酵素活性
は、約150単位/mlであった。この形質転換株のコレステ
ロール・オキシダーゼ分泌生産量は、コレステロール・
オキシダーゼ遺伝子の供与菌株であるブレビバクテリウ
ム・ステロリカムATCC21387株の分泌生産量(1単位/m
l)の約100倍にあたる。
2)コレステロール・オキシダーゼの精製 実施例3. 1)で得た培養上清410mlに、硫酸アンモ
ニウム94gを添加攪拌し、1時間放置後、日立製冷却遠
心機(RPR10−2ローター)を用いて、4℃で8000rpm、
20分間遠心した後、上清を得た。さらに硫酸アンモニウ
ム66gを添加攪拌し、1時間放置後、再度同様に遠心
し、沈澱を得た。これを10mMリン酸カリウム−ナトリウ
ム緩衝液(pH7.5)20mlに溶解した後、2の10mMリン
酸カリウム−ナトリウム緩衝液(pH7.5)に対して一昼
夜透析を行った。この操作での収率は、約90%であっ
た。
この標品をDEAE−セファデックス(Sephadex)CL6B
(ファルマシア・ファイン・ケミカル社製)30mlを充填
したカラム(直径約2cm×長さ約10cm)に通塔し、非吸
着画分を得た。本標品中のコレステロール・オキシダー
ゼタンパク質としての純度は99%以上であった。
3)コレステロール・オキシダーゼの性質の解析 組換え体DNA保有株を用いて得られるコレステロール
・オキシダーゼの性質を以下のようにして調べた。
i)等電点 バイオラド社製の調製用等電点電気泳動装置ロトフォ
アを用いて、以下のようにして等電点(pI)を調べた。
ストレプトマイセス・リビダンスpCHS31保有株を、500m
lのSK#2培地を入れた2三角フラスコを用いて、30
℃で5日間培養を行った。培養液を日立製冷却遠心機を
用いて遠心して、培養上清を得た。この培養上清50mlに
pI=3〜9のバイオライト(バイオラド社製)を最終濃
度2%になるように添加し、バイオラド社製調製用等電
点電気泳動装置ロトフォアを用い、1回目、12W定電力
で4時間の泳動により分画後、SDS−PAGE〔レムリ(Lae
mmli)の方法:ネイチャー(Nature)227,680〜685(19
70)〕を行い、コレステロール・オキシダーゼの分画さ
れているフラクションを集め、3M尿素溶液を等量加えて
不溶化した沈澱を可溶化し、さらにH2Oで全量を55mlと
した後、2回目2000V定電圧で6時間分離を行った後に
サンプリングを行い、各フラクションの280nmの吸光
度、コレステロール・オキシダーゼ活性、pHを測定し
た。その結果、pI=8.9に相当するフラクションにコレ
ステロール・オキシダーゼ活性のピークが確認された。
ブレビバクテリウム・ステロリカムATCC21387株由来の
コレステロール・オキシダーゼの等電点もpI=8.9であ
る。
ii)熱安定性 実施例3. 2)で得られたコレステロール・オキシダ
ーゼを、20mMリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、60℃で
0〜60分間熱処理を行い、熱安定性について調べたとこ
ろ、60℃処理でブレビバクテリウム・ステロリカムATCC
21387株由来のコレステロール・オキシダーゼとほぼ同
様の失活曲線を示した。
iii)反応至適pH 実施例3. 2)で得られたコレステロール・オキシダー
ゼおよびブレビバクテリウム・ステロリカムATCC21387
株由来のコレステロール・オキシダーゼを、それぞれ20
mMリン酸またはホウ酸バッファーに溶解して活性測定反
応を行い、反応至適pHの測定を行った。その結果、両者
とも反応至適pHは7.5付近であり、そのプロファイルも
ほぼ一致した。
iv)基質親和性 実施例3. 2)で得られたコレステロール・オキシダ
ーゼおよびブレビバクテリウム・ステロリカムATCC2138
7株由来のコレステロール・オキシダーゼを、それぞれ2
0mMリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、反応基質にコレス
テロールを用い、0mMから1mMまでの各濃度で反応を行
い、単位時間当りの吸光度の変化から基質親和性を調べ
た。両者ともコレステロール濃度が低い場合の反応性の
低下が観察され、基質濃度に対してほぼ同様なシグモイ
ダルな活性曲線を描いた。基質濃度が0.5mM以上のとき
の結果をもとに行ったLineweaver−Burkプロットから求
められるコレステロールに対するKm値は、ブレビバクテ
リウム・ステロリカムATCC21387株が生産するコレステ
ロール・オキシダーゼで1.3〜1.5mM、組換え体保有株が
生産するコレステロール・オキシダーゼで1.0〜1.1mMで
あり、ほぼ一致した。
参考例1 pSE1の構築 大腸菌のプラスミドpUC19の1μgを、30μのM緩
衝液〔50mM NaCl、10mM MgCl2、10mM トリス−塩酸
緩衝液(pH7.5)、1mM DTT〕に溶解した後、Pst I 10
単位を加えて37℃で2時間反応させた。さらに1M トリ
ス−塩酸緩衝液(pH8.6)6μと仔牛胸腺由来アルカ
リ性ホスファターゼ1単位を加えて、37℃で1時間反応
させ、末端の脱リン酸化処理を行った。反応液をフェノ
ール処理、エタノール沈澱処理後、20μのH2Oに溶解
した。一方、放線菌のプラスミドpIJ702の1μgを、30
μのM緩衝液に溶解した後、Pst I 10単位を加えて3
7℃で2時間反応させた。反応液をフェノール処理、エ
タノール沈澱処理後、20μのH2Oに溶解した。
得られたDNAを含む両溶液を混合し、ライゲーション
緩衝液30μに溶解後、T4DNAリガーゼの1単位を添加
し、16℃で16時間反応させて両DNAを連結した。連結し
たDNAをモレキュラー・クローニングに記載の方法によ
り大腸菌JM105に導入し、得られた形質転換体からプラ
スミドを調製し、両方のDNA断片が連結されたシャトル
ベクターpSE1を取得した。
発明の効果 本発明によれば、血清コレステロールを測定するため
に有用なコレステロール・オキシダーゼを、組換え体プ
ラスミドを保有する微生物を用いた発酵生産により、極
めて高純度かつ安価に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、組換え体プラスミドp4−22−15の制限酵素切
断地図を示す。 第2図は、組換え体プラスミドpNo.2の制限酵素切断地
図を示す。 第3図は、組換え体プラスミドpScaNo.8の制限酵素切断
地図を示す。 第4図は、組換え体プラスミドpCHS31の制限酵素切断地
図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 9/04 C12R 1:13) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:13) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/52 - 15/61 C12N 1/21 C12N 9/04 BIOSIS(DIALOG) GenBank/EMBL/DDBJ PIR/SwissProt/GeneS eq JICSTファイル(JOIS) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ストレプトマイセス・リビダンスCHS31株
    (FERM BP−2969)に含有され下記制限酵素地図を有す
    るプラスミドpCHS31のPst I−Mlu I断片上に存在するコ
    レステロール・オキシダーゼをコードする遺伝子を含む
    DNA断片をベクターDNAに組み込んだ組換え体DNAを保有
    する、ストレプトマイセス属に属する微生物を培地に培
    養し、培養物中にコレステロール・オキシダーゼを生成
    蓄積させ、該培養物からコレステロール・オキシダーゼ
    を採取することを特徴とするコレステロール・オキシダ
    ーゼの製造法。 【化1】
  2. 【請求項2】該DNA断片が、ブレビバクテリウム・ステ
    ロリカム由来である請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】ストレプトマイセス・リビダンスCHS31株
    (FERM BP−2969)に含有され下記制限酵素地図を有す
    るプラスミドpCHS31のPst I−Mlu I断片上に存在するコ
    レステロール・オキシダーゼをコードする遺伝子を含む
    DNA断片をベクターDNAに組み込んだ組換え体DNAを保有
    する、ストレプトマイセス属に属する微生物。 【化2】
  4. 【請求項4】該微生物が、ストレプトマイセス・リビダ
    ンスCHS31(FERM BP−2969)である請求項3記載の微生
    物。
  5. 【請求項5】ストレプトマイセス・リビダンスCHS31株
    (FERM BP−2969)に含有され下記制限酵素地図を有す
    るプラスミドpCHS31のPst I−Mlu I断片上に存在するコ
    レステロール・オキシダーゼをコードする遺伝子を含む
    DNA断片をベクターDNAに組み込んだ組換え体DNA。 【化3】
  6. 【請求項6】ストレプトマイセス・リビダンスCHS31株
    (FERM BP−2969)に含有され下記制限酵素地図を有す
    るプラスミドpCHS31のPst I−Mlu I断片に存在するコレ
    ステロール・オキシダーゼをコードする遺伝子。 【化4】
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