JP3201881B2 - ガスセンサ - Google Patents

ガスセンサ

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JP3201881B2
JP3201881B2 JP16040193A JP16040193A JP3201881B2 JP 3201881 B2 JP3201881 B2 JP 3201881B2 JP 16040193 A JP16040193 A JP 16040193A JP 16040193 A JP16040193 A JP 16040193A JP 3201881 B2 JP3201881 B2 JP 3201881B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の利用分野】この発明はガスセンサの薄膜ヒータ
に関し、特にPtヒータに比べ高抵抗で使いやすく、経
時的にも安定なヒータに関する。
【0002】
【従来技術】ガスセンサのヒータ材料として、薄膜Pt
ヒータ(特公平4−1301号公報参照)や、RuO2
厚膜ヒータが知られている。しかしながら薄膜Ptヒー
タは低抵抗で、駆動回路が複雑化する。厚膜のRuO2
ヒータは安定であるが、薄膜のRuO2ヒータは不安定
で、経時的に抵抗値が変化する。ガスセンサの小形化の
ためには厚膜ヒータよりも薄膜ヒータが好ましく、この
ためにはRuO2ヒータの安定化が必要となる。
【0003】
【発明の課題】この発明の課題は、経時的に安定で信頼
性の高い薄膜RuO2ヒータを提供することにある(請
求項1,2)。請求項3での課題は、上記に加えて、基
板への熱損失を抑え、ガスセンサの消費電力を軽減する
ことにある。請求項4での課題は、上記に加えて、電極
膜と基板や絶縁膜との密着性を高め、かつワイヤボンデ
ィングが容易で、電極の下地膜からの金属拡散による金
属酸化物半導体膜の汚染の無いガスセンサを提供するこ
とにある。
【0004】
【発明の構成】この発明のガスセンサは、絶縁基板上
に、ヒータ膜と金属酸化物半導体膜と電極膜を設けたガ
スセンサにおいて、前記ヒータ膜を厚さ0.1〜0.5μ
mのRuO2膜とし、ヒータ膜と金属酸化物半導体膜及
び電極膜の間に、珪素酸化物,MgO,ZrO2,Al
N,Si3N4,BNからなる群の少なくとも一員の物質
からなり、膜厚が0.2〜0.5μmの絶縁膜を設けたこ
とを特徴とする。好ましくは前記絶縁膜を、SiO2ま
たはSiOとする。また金属酸化物半導体膜には、Sn
O2やIn2O3,WO3等を用いる。
【0005】センサの構造や基板材料は任意であるが、
好ましくは基板を結晶質シリカ,石英ガラス,ZrO
2,2MgO・SiO2,MgO・SiO2からなる群の
少なくとも一員の物質とし、その厚さを50〜300μ
m,基板の幅と長さをそれぞれ200〜800μmとし
たことを特徴とする。これは基板への熱損失を減少さ
せ、ガスセンサの消費電力を減少させるための構成であ
る。
【0006】また好ましくは、電極膜を、Ti,Zr,
Cr,Mo,Niからなる群の少なくとも一員の物質か
らなる下地膜と、下地膜上に積層したPtを主成分とす
る中間膜と、中間膜上に積層したAuを主成分とする上
地膜とで構成する。ここで示した電極膜は金属酸化物半
導体膜に接続した電極であるが、ヒータ膜にも電極を接
続する場合、同様にTi,Zr,Cr,Mo,Niから
なる群の少なくとも一員の物質からなる下地膜に、Pt
を主成分とする中間膜を積層し、中間膜上にAuを主成
分とする上地膜を積層することが好ましい。ヒータ膜に
積層した電極膜と金属酸化物半導体膜に接続した電極膜
は原則として別の工程で成膜するので、例えば一方の下
地膜をTi他方の下地膜をZrとし、膜の組成が異なっ
ても良い。
【0007】
【発明の作用】この発明では、薄膜RuO2ヒータ上に
絶縁膜を積層し、RuO2膜を雰囲気から遮断して安定
化する。薄膜RuO2ヒータの場合、厚膜RuO2と異な
り、ガラスフリットが含有されていない。このため薄膜
RuO2は雰囲気から遮断されず、酸素含有量等の経時
的変化により、抵抗値がドリフトする。そこで絶縁膜に
より雰囲気と遮断することが必要となる。絶縁膜の材質
はSiOやSiO2等の珪素酸化物,MgO,ZrO2,
AlN,BNまたはSi3N4とし、緻密で安定かつ金属
酸化物半導体膜を汚染する恐れの少ないものを用いる。
例えばAl2O3ではRuO2ヒータの安定化の効果は得
られず、ヒータの抵抗値がドリフトする。用いる絶縁膜
の材質は上記のものに限られ、中でも、緻密な膜の成膜
が容易で金属酸化物半導体膜を汚染しないSiOやSi
O2が好ましい。
【0008】RuO2膜の膜厚は0.1〜0.5μmと
し、これ未満では高抵抗化のために感ガス体を充分に加
熱することが困難になり、この範囲を越えると低抵抗化
のために消費電力が大きくなる。同様に絶縁膜の膜厚は
0.2〜0.5μmとし、これ未満では充分な絶縁特性を
得ることができなくなり、この範囲を越えると感ガス体
への熱伝導が低下する。
【0009】基板への熱損失を減少させ消費電力を低減
するため、基板は結晶質シリカ,石英ガラス,ZrO
2,2MgO・SiO2,MgO・SiO2からなる群の
少なくとも一員の物質とすることが好ましい。またその
厚さを50〜300μm,基板の幅と長さをそれぞれ2
00〜800μmとすることが好ましい。例えば500
μm×500μmで厚さが100μmのZrO2やSi
O2基板を用いると、8msec/sec程度のパルス
加熱により1mW程度の消費電力のガスセンサが得られ
る。
【0010】電極膜は基板や絶縁膜との密着性を高め、
かつワイヤボンディングが容易で、しかも下地膜材料に
よる金属酸化物半導体膜の汚染を防止するために、T
i,Zr,Cr,MoまたはNiからなる下地膜に、P
tを主成分とする中間膜を積層し、中間膜上にAuを主
成分とする上地膜を積層することが好ましい。
【0011】
【実施例】
【0012】
【ガスセンサの構造】図1〜図4に、実施例を示す。図
1において,2はシリカ(SiO2),ジルコニア(Z
rO2),チタニア(TiO2),ステアタイト(MgO
・SiO2),フォルステライト(2MgO・SiO2)
のいずれかからなる基板で、その厚さDは50μm以上
300μm以下とし、好ましくは50μm以上200μ
m以下とする。基板2の幅や長さLは好ましくは200
〜800μmとし、より好ましくは300〜600μm
とする。基板2をリード線により保持すると、ワイヤボ
ンディングパッドに50μm程度が必要になる。そこで
一対のボンディングパッドの幅が100μm程度とな
る。そして100μm幅の部分にヒータ膜を形成する
と、基板2の幅や長さLが200μmとなる。一方消費
電力は基板2の面積に比例して増加するので、幅や長さ
Lの上限は800μmとし、より好ましくは600μm
とする。100μm角の領域にヒータ膜等を設けると、
くしの歯状電極を用いた場合の最小線幅や最小ギャップ
幅が10μm程度となるので、これを避けるためにヒー
タ膜の幅や長さを200μm以上とすると、幅や長さL
は300μm以上となる。実施例では、基板2の厚さD
を100μmとし、幅や長さLをそれぞれ500μmと
した。
【0013】4はRuO2からなるヒータ膜で、薄膜プ
ロセスで成膜するためガラスフリットを含まない単味の
RuO2とした。6は絶縁膜で、SiO2膜やSiO膜,
ZrO2膜,MgO膜,AlN膜,Si3N4膜,BN膜
を用い、RuO2ヒータ膜4を雰囲気から遮断して安定
性を高め、ヒータ膜4上の金属酸化物半導体膜をヒータ
膜4から分離するために用いる。ヒータ膜4,絶縁膜6
の配置を図4に示す。RuO2ヒータ膜4の膜厚は0.1
〜0.5μmとし、これ未満では高抵抗化のために感ガ
ス体を充分に加熱することが困難になり、この範囲を越
えると低抵抗化のために消費電力が大きくなる。同様に
絶縁膜6の膜厚は0.2〜0.5μmとし、これ未満では
充分な絶縁特性を得ることができなくなり、この範囲を
越えると感ガス体への熱伝導が低下する。
【0014】8,8は一対のくしの歯状電極で、単なる
平行電極でも良いが、低抵抗のガスセンサを得るためく
しの歯状電極とした。10はSnO2膜等の金属酸化物
半導体で、厚さ1μm以下の薄膜、あるいは厚さ1〜3
0μm程度の厚膜として用いる。12はワイヤボンディ
ングパッド,14はリード線で、ここでは線径10〜3
0μmのAu線を用い、好ましくは線径15〜20μm
のAu線とする。リード線14の線径が小さいほど熱損
失が少なく、同時にボンディングが難しくなる。そこで
線引き加工の限界から線径の下限を10μmとし、ボン
ディング性能から下限を15μmとした。ボンディング
パッド12は実際には電極8の一部で、電極8,8の一
部をそのままパッド12とした。パッド12にはバンプ
材料を積層していない。リード線12は図示しないステ
ム等に溶接し、基板2を中空に保持する。なお基板2と
ヒータ膜4との間に、断熱ガラス膜(膜厚例えば10〜
20μm)を設けても良い。
【0015】図2に、金属酸化物半導体膜10や絶縁膜
6を除いた、基板2の配置を示す。ヒータ膜4上に絶縁
膜6を配置し、この上部に一対のくしの歯状電極8,8
を設けて、金属酸化物半導体膜10の抵抗値を検出す
る。ヒータ膜4にも電極8と同じ材質のヒータ電極16
を接続し、図の左側のパッド12を共通パッドとする。
【0016】図3に、くしの歯状電極8の構成を示す。
この構成は、ヒータ電極16でも全く同じである。20
は下地膜で、絶縁膜6や基板2との密着性が高く、かつ
金属酸化物半導体膜10に拡散した場合の影響が少ない
金属膜や半金属膜を用いる。下地膜20の材質はTi,
Zr,Mo,Cr,Niのいずれかとし、膜厚は0.0
3〜0.30μmとする。これ未満では絶縁膜に対する
付着力が低くなり、この範囲を越えると電極からの熱損
失が大きくなる。22はPt主成分の中間膜で、Pt含
有量は60wt%以上とし、単味のPtの他にPt−R
h,Pt−Ir等も用いることができる。膜厚は0.0
5〜0.30μmとする。これ未満では上地膜への下地
膜成分の拡散を防止することが困難となり、この範囲を
越えると電極からの熱損失が大きくなる。24はAu主
成分の中間膜で、Au含有量は60wt%以上とし、単
味のAuの他にAu−Pd等の合金も用いることができ
る。膜厚は0.05〜0.30μmとする。これ未満では
リード線の付着力が低くなり、この範囲を越えると電極
からの熱損失が大きくなる。
【0017】
【センサの調整】基板2として、幅と長さLが各500
μmで厚さが100μmの、結晶質SiO2,SiO2ガ
ラス,ZrO2,2MgO・SiO2,MgO・SiO
2,TiO2,またはAl2O3を用いた。基板2上に、下
地膜20,中間膜22,上地膜24の順で電極材料をス
パッタリングし、ヒータ電極16を形成した。ついで単
味のRuO2からなるヒータ膜4をスパッタリングによ
り形成し、この上部にSiO2当の絶縁膜6をスパッタ
リングで形成した。ヒータ膜4の面積は300μm×3
00μmである。絶縁膜6上にくしの歯状電極8,8を
スパッタリングで形成し、最小線幅と最小線間隔とをそ
れぞれ20μmとした。くしの歯状電極8,8の下地膜
20,中間膜22,上地膜24は、スパッタリングで形
成した。次に厚さ0.3μmのSnO2膜10をスパッタ
リングにより形成した。電極8,8,16の引出し部
(50×50μm)をワイヤボンディングパッド12と
し、線径18μmのAu線をワイヤボンディングした。
【0018】電極膜16,ヒータ膜4,絶縁膜6,電極
膜8,金属酸化物半導体膜10のパターニング手法は任
意であるが、ここでは全てリフトオフを用いた。例えば
RuO2ヒータ膜4の成膜では、ヒータ電極16を形成
済みの基板2にフォトレジストを用いてマスクを形成
し、RuO2膜4をスパッタリングし、不要部をリフト
オフした。リフトオフには、例えば溶媒によるマスクの
膨潤を用いた。リフトオフによる成膜が重要なのは、特
にRuO2ヒータ膜4と絶縁膜6,金属酸化物半導体膜
10で、ヒータ電極膜16や電極膜8,8はエッチング
でもパターニングできる。リフトオフを用いるのは、下
地のパターニング済みの膜を侵さないためである。例え
ばイオンミリングでRuO2膜4をパターニングする
と、電極膜16はミリング速度がRuO2膜よりも大き
いため、RuO2膜と同時に下地の電極膜16もミリン
グされてしまう。同様にSiOやSiO2のミリング速
度よりもRuO2のミリング速度の方が大きいため、S
iOやSiO2絶縁膜6の下地のRuO2もミリングされ
てしまう。さらにRuO2のエッチングは困難である。
【0019】
【消費電力】300μm角のヒータ膜4では放射温度計
による温度測定ができないので、基板2を1mm角,厚
さを100μmとして、面積のみを4倍に相似変形した
センサを調製した。このセンサに、電力が4mJでパル
ス幅が8msecの加熱パルスを毎秒1回加え、放射温
度計で金属酸化物半導体膜10の最高温度を測定した。
最高加熱温度を表1に示す。
【0020】
【表1】 最高加熱温度 基板2 最高加熱温度(℃) 熱伝導率(25℃) (J/sec・cm・deg) 結晶質SiO2 471 0.017 SiO2ガラス 522 0.012 ZrO2 452 0.05 2MgO・SiO2 463 0.03 MgO・SiO2 458 0.025 TiO2 418 0.07 Al2O3 277 0.3 * 基板2は1mm×1mm角,厚さDは100μm,
ヒータ膜4は600μm×600μm。
【0021】表1から明らかなように、Al2O3基板で
は最高温度が280℃程度に過ぎず、これに対してTi
O2基板で420℃程度の最高温度が得られ、ZrO2や
SiO2,2MgO・SiO2,MgO・SiO2基板で
は450℃以上の加熱温度が得られる。次に基板の加工
性について検討すると、ZrO2は加工性が高く、基板
2を1辺200μm角にスクライブしても問題が生じな
かった。また結晶質SiO2やSiO2ガラスでは、基板
2を1辺300μm角にスクライブしても問題が生じな
かった。これに対して2MgO・SiO2やMgO・S
iO2は加工性が劣り、基板2を1辺300μm角にス
クライブすると、数%程度の頻度で割れや欠けが発生し
た。TiO2基板は最高加熱温度が420℃と他のもの
よりも30℃以上低く、これらのことを総合すると、最
も好ましい基板2の材質は結晶質SiO2あるいはSi
O2ガラスで、次にZrO2である。
【0022】基板2の厚さを150μm,100μm,
60μmの3種類とした他は、先の試験例と全く同様に
して最高加熱温度を測定した。結果を表2に示す。
【0023】
【表2】 基板の厚さ 基板 150μm 100μm 60μm 結晶質SiO2 396 471 531 ZrO2 412 452 503 Al2O3 203 277 …* * 60μm厚のAl2O3基板はカット不能であった。
【0024】表2から明らかなように、最高温度は基板
2の厚さを小さくするほど高くなる。熱伝導に関する数
値計算からは、基板2内での温度分布が直線状の場合基
板2の熱吸収は基板の厚さに比例し、基板2内での温度
分布がガウス型の場合熱吸収は厚さのルートに比例し
た。表2の結果がこれに一致しないのは、リード線14
からの熱伝導や基板2の表裏からの放射があるためと考
えられる。加工可能な基板2の厚さは、50μm程度
で、このことから基板2の厚さDの下限を50μmとし
た。また基板2の厚さDと共に消費電力が増加するの
で、厚さDの上限を300μmとし、好ましくは200
μmとした。
【0025】
【ガス感度】基板2の厚さDを100μmとし、幅や長
さLを各500μmとしたガスセンサを製造し、パルス
幅8msecで電力が1mJの加熱パルスを毎秒1回加
え、ガス感度を測定した。測定ガスは高温での検出が必
要なガスとしてイソブタン1000ppmを用い、低温
での検出が可能なガスとしてH2S3ppmを用いた。
イソブタン1000ppmの場合、パルス加熱の開始か
ら8msecの時点での抵抗値を検出し、H2Sの場合
6msecの時点での抵抗値を測定した。空気中の抵抗
値とガス中の抵抗値との比を感度として、結果を表3に
示す。
【0026】
【表3】 ガス感度 基板 イソブタン1000ppm H2S3ppm 結晶質SiO2 3.2 8.4 SiO2ガラス 3.5 9.0 ZrO2 3.1 7.6 Al2O3 感度無し 3.0
【0027】表3から明らかなように、結晶質SiO2
やSiO2ガラスあるいはZrO2を基板2の材料とすれ
ば、1mWの消費電力でもガスを検出することができ
る。SiO2やZrO2等の基板を用いた場合、空洞部上
に設けた厚さ1μm程度のSiO2フィルムを用いた場
合とほぼ同じ消費電力で、センサを駆動できる。これは
SiO2フィルムを基板とした場合、SiO2自体の熱伝
導率や熱容量が小さいにせよ、フィルムの根元側から基
板へと熱が流れるためであると考えられる。そして実施
例のガスセンサは、ヒータ膜4をさらに微細化すること
が可能で、消費電力をさらに小さくすることもできる。
なお実施例では、パルス加熱を行うことを示したが、セ
ンサの使用方法は任意で連続加熱でも良い。
【0028】
【電極8,16の付着力】基板2や絶縁膜6への電極
8,16の付着力を調べるため、0.5mm×0.5mm
のZrO2基板2の全面に電極8を形成し(パターン無
しの全面電極)、600℃で1時間エージングし、ステ
ンレス板を半田付けで固定した。引張試験機を用いて毎
分10mmの速度でステンレス板を引っ張り、ステンレ
ス板の分離時の荷重を電極の付着力とした。
【0029】一片0.5mmのZrO2基板2を用い、セ
ンサの調整の項で示した条件でセンサを製造し、線径1
8μmのAuリード線14を超音波圧着でワイヤボンデ
ィングした。ボンディング条件は、超音波エネルギーレ
ベル:2.0W,荷重10g,基板加熱温度150℃で
ある。またボンディングパッド12は50μm×50μ
mである。リード線14の1本当たりのボンディング強
度を測定した。引張試験機やリード線14のボンディン
グ強度を表4に示す。
【0030】
【表4】 電 極 付 着 力 電極構成(μm) 引張試験機で リード線14試料番号 下地膜 中間膜 上地膜 の付着力(Kg) の付着力(g) 1 Ti 0.05 0.05 0.05 14.3 10.1 2 Ti 0.1 0.1 0.1 15.1 11.0 3 Ti 0.05 0.1 0.3 14.9 10.8 4 Ti 0.1 0.1 0.2 15.0 11.0 5 Ti 0.2 0.2 0.1 14.0 10.4 6 Ti 0.3 0.1 0.1 14.4 10.5 7 Ti 0.1 0.3 0.1 14.6 10.7 8 Zr 0.1 0.1 0.1 14.8 10.9 9 Mo 0.1 0.1 0.1 15.3 10.3 10 Cr 0.1 0.1 0.1 13.2 10.2 11 Ni 0.1 0.1 0.1 13.6 10.3 21 Ti 0 0 0.2 0.8 1.6 22 Ti 0 0.1 0.3 5.4 2.7 23 Ti 0 0.2 0.1 7.8 4.1 24 Ti 0 .05 0 0.05 6.3 3.5 25 Ti 0 .1 0 0.1 4.7 2.3 26 Ti 0 .2 0 0.3 3.0 2.0 27 Ti 0 .1 0.1 0 10.8 5.9 * 中間膜22は単味のPt,上地膜24は単味のA
u, * 試料27のセンサでは5時間600℃に加熱する
と,Pt表面までTiが拡散,試料2のセンサでは10
時間600℃に加熱しても,Au表面にTiは検出され
ず.
【0031】
【ヒータ抵抗の挙動】図5〜図8に、RuO2ヒータ膜
4の挙動を示す。図5は絶縁膜6とそれ以降の膜を設け
ず、RuO2ヒータ膜4を雰囲気中にむき出しにした際
の挙動で、600℃の電気炉中(空気雰囲気,以下同
じ)で、膜厚0.1μm,0.2μm,0.5μmのヒー
タ膜4をエージングした場合の抵抗値の変化を示す。図
6〜図8は、膜厚0.2μmのRuO2ヒータ膜4を用
い、 1) 絶縁膜無しで配置、 2) 膜厚0.3μmのSiO2絶縁膜6を積層、 3) 膜厚0.3μmのAl2O3膜を積層、した際の挙動
である。これらの膜は全てスパッタリングで成膜し、エ
ージング条件は電気炉加熱による空気中エージングで、
加熱温度は図6で600℃,図7で700℃,図8で8
00℃である。図5〜図8の抵抗値は、4端子法で測定
した室温での空気中の抵抗値である。
【0032】図5から明らかなように単味のRuO2薄
膜4の抵抗値は不安定で、ドリフトのパターンは膜厚毎
に異なる。図6〜図8から明らかなように、Al2O3膜
の積層では抵抗値の安定化効果が小さく、600℃加熱
では初期的なドリフトが大きく、700℃や800℃加
熱ではRuO2膜を裸で配置したのと類似の結果とな
る。RuO2膜4の抵抗値のドリフトは、空気との接触
による酸素含量の変動等によるものと考えられる。
【0033】SiO2絶縁膜6を設けると、600℃で
は25時間以上に渡って抵抗値は安定し、700℃や8
00℃でも数時間程度の間、抵抗値は安定である。これ
らのことからヒータ膜4の最高使用温度は600℃程度
と考えられ、これは金属酸化物半導体膜10の最高温度
としては500℃強となる。消費電力の項で示したよう
に、毎秒8msecのパルス加熱で金属酸化物半導体膜
10の最高温度を450℃程度とすると、25時間の連
続加熱は約3000時間(130日間)に相当する。4
50℃の最高使用温度(金属酸化物半導体膜10の温
度)は、ヒータ4と金属酸化物半導体膜10との温度差
を見込んでも、RuO2ヒータ膜4の温度としては60
0℃よりも低い。この結果パルス駆動では、ヒータ膜4
は少なくとも1年間以上安定に動作するはずである。
【0034】絶縁膜6として用い得るのは、SiO2に
は限らない。ヒータ膜4や絶縁膜6の厚さと、絶縁膜6
の材質を変えた際の結果を表5に示す。データは、電気
炉で600℃に加熱した際の、加熱時間と抵抗値(室温
で測定)の関係を示し、膜厚はμm単位である。これら
の中で特に好ましいのはSiOとSiO2で、緻密なた
めヒータ膜4の抵抗値の安定化効果が高く、化学的に安
定で金属酸化物半導体膜10を汚染する恐れが無い。
【0035】
【表5】 ヒータ膜の抵抗値と安定性 試料 ヒータ膜4 絶縁膜 抵抗値(Ω単位)番号 の膜厚 材質 膜厚 1Hr 5Hr 15Hr 25Hr 1 0.1 SiO2 0.3 32.7 32.6 32.6 32.6 2 0.2 SiO2 0.2 10.2 10.2 10.3 10.3 3 0.5 SiO2 0.5 8.4 8.4 8.4 8.4 4 0.2 SiO 0.3 10.1 10.2 10.3 10.3 5 0.5 SiO 0.5 8.4 8.5 8.4 8.4 6 0.2 MgO 0.3 9.8 10.1 10.1 10.1 7 0.2 ZrO2 0.3 10.0 10.0 10.2 10.1 8 0.2 AlN 0.3 10.2 10.1 10.3 10.3 9 0.2 Si3N4 0.3 9.7 10.0 10.0 10.2 10 0.2 BN 0.3 10.0 9.9 10.1 10.2
【0036】
【発明の効果】この発明のガスセンサでは、経時的に安
定で,信頼性の高い薄膜RuO2ヒータが得られる(請求
項1,2)。請求項3の発明では、上記に加えて、基板
への熱損失を抑え、ガスセンサの消費電力を軽減するこ
とができる。請求項4の発明では、上記に加えて、電極
膜と基板や絶縁膜との密着性を高め、かつワイヤボンデ
ィングが容易で、電極の下地膜からの金属拡散による金
属酸化物半導体膜の汚染の無いガスセンサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のガスセンサの基板を示す断面図
【図2】 実施例のガスセンサの電極配置を示す平面
【図3】 実施例の電極構成を示す断面図
【図4】 実施例のヒータ膜と絶縁膜の構成を示す断
面図
【図5】 RuO2ヒータにコーティングを施さない
従来例での、ヒータ抵抗の挙動を示す特性図
【図6】 RuO2ヒータにシリカコートを施した実
施例での、600℃でのヒータ抵抗の挙動を示す特性図
【図7】 RuO2ヒータにシリカコートを施した実
施例での、700℃でのヒータ抵抗の挙動を示す特性図
【図8】 RuO2ヒータにシリカコートを施した実
施例での、800℃でのヒータ抵抗の挙動を示す特性図
【符号の説明】
2 基板 4 RuO2ヒータ膜 6 SiO2絶縁膜 8 Au電極 10 金属酸化物半導体膜 12 パッド 14 リード線 16 ヒータ電極 20 下地膜 22 中間膜 24 上地膜
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−347431(JP,A) 特開 平5−149907(JP,A) 特開 平1−206252(JP,A) 特開 平1−206249(JP,A) 特開 昭54−80799(JP,A) 特開 平4−110761(JP,A) 実開 平2−16052(JP,U) 実公 昭55−920(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に、ヒータ膜と金属酸化物半
    導体膜と金属酸化物半導体膜に接続した電極膜とを設け
    たガスセンサにおいて、 前記ヒータ膜を厚さ0.1〜0.5μmのRuO2膜と
    し、 ヒータ膜と金属酸化物半導体膜及び電極膜の間に、珪素
    酸化物,MgO,ZrO2,AlN,Si3N4,BNか
    らなる群の少なくとも一員の物質からなり、膜厚が0.
    2〜0.5μmの絶縁膜を設けたことを特徴とする、ガ
    スセンサ。
  2. 【請求項2】 前記絶縁膜を、SiO2またはSiOか
    らなる群の少なくとも一員の物質としたことを特徴とす
    る、請求項1のガスセンサ。
  3. 【請求項3】 前記基板を結晶質シリカ,石英ガラス,
    ZrO2,2MgO・SiO2,MgO・SiO2からな
    る群の少なくとも一員の物質とし、その厚さを50〜3
    00μm,基板の幅と長さをそれぞれ200〜800μ
    mとしたことを特徴とする、請求項1のガスセンサ。
  4. 【請求項4】 前記電極膜を、Ti,Zr,Cr,M
    o,Niからなる群の少なくとも一員の物質からなる下
    地膜と、下地膜上に積層したPtを主成分とする中間膜
    と、中間膜上に積層したAuを主成分とする上地膜とで
    構成したことを特徴とする、請求項3のガスセンサ。
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