JP3193680B2 - 分割型中子 - Google Patents

分割型中子

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JP3193680B2 JP34291597A JP34291597A JP3193680B2 JP 3193680 B2 JP3193680 B2 JP 3193680B2 JP 34291597 A JP34291597 A JP 34291597A JP 34291597 A JP34291597 A JP 34291597A JP 3193680 B2 JP3193680 B2 JP 3193680B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、エルボーやソケ
ット等の樹脂継手を製造する場合に、該継手の中空部成
形用として好適な分割型中子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、一般家庭にガスを供給する末端の
低圧ガス管としては、鋼管や鋳鉄管が使用されてきた
が、最近では、曲げ・伸び等の外圧に強く、耐震性に優
れることから、ポリエチレン製の管材が使用され始めて
いる。この他にも、種々の用途でポリエチレンや塩化ビ
ニル等の合成樹脂製の管材が利用されている。
【0003】このような合成樹脂製の管材、特にエルボ
ーやソケット等の継手部の製造において注意すべきこと
は、全体をできるだけ均一に、しかも迅速に冷却するこ
とである。というのは、冷却時に温度差があると、反り
や歪みさらにはひけ(凹み)等を生じて寸法精度が低下
するおそれが大きく、また冷却に時間がかかり過ぎると
生産性の低下を招くからである。そこで、エルボーやソ
ケット等の継手を製造する際の中子としては、比較的抜
熱能に優れる鉄製のものが用いられている。
【0004】ところで、エルボーやソケットを製造する
場合、中空部を成形するために用いる中子は、一体物で
は成形後の除去が不可能なので、2分割あるいは3分割
の分割型として引き抜き除去を容易にしている。実際、
エルボーの製造には2分割型の中子が、またソケットの
製造には3分割型の中子がそれぞれ用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】例えば、エルボーを製
造する場合、中子としては、図1に示すように、エルボ
ーの曲がり部で2分割した左右対象の分割中子1a,1
bが一般的に使用される。ここに、分割中子1a,1b
はそれぞれ、図2(a) に示すように、所定角度θにて押
圧力Pにより作動するが、この時摺動部の加工精度の僅
かな狂いで先端部が点接触となる場合があり、このよう
な場合には押圧力が先端部に集中して「へたり」が発生
する。また、図2(b) に示すように、成形時、射出圧力
によって先端部を支点とするモーメントが発生するた
め、同様に先端部に該圧力が集中して「へたり」が発生
する場合がある。かような「へたり」が発生すると、そ
れに起因して成形品の寸法精度が低下するだけでなく、
「バリ」の発生も懸念される。
【0006】この問題の対策としては、中子の素材を、
より強度(硬度)の高いものに変えることが考えられる
けれども、この場合には、抜熱能の面で問題が生じる。
すなわち、上述したとおり、寸法精度および生産能率の
面から、成形後は極力均一かつ迅速に抜熱する必要があ
るけれども、強度的に優れている材料はいずれも、熱電
導率が低く、従って高抜熱能という中子に要求される基
本特性の面で適合しない。また、従来の鉄製の中子で
は、抜熱能を向上させるために内部に冷却流路を設けて
いるが、かような処置を施してもなお、最近のハイサイ
クル化には十分対応できていないのが現状である。
【0007】この発明は、上記の問題を有利に解決する
もので、抜熱能の低下ひいては生産性の低下を招くこと
なしに、中子接触部のエッジ部におけるへたり等の発生
を効果的に防止して優れた成形品質の継手を得ることが
できる、分割型の鋳型中子を提案することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】さて、発明者らは、上記
の目的を達成すべく、分割中子の相互接触面に高硬度材
のクラッドを試みたところ、所期した目的の達成に関
し、望外の成果が得られたのである。この発明は、上記
の知見に立脚するものである。
【0009】すなわち、この発明は、銅合金製の分割型
中子であって、各分割中子の相互接触面にそれぞれ高硬
度材のクラッド層を有し、かつ銅合金と高硬度材クラッ
ド層との接合部に鳩尾嵌合部を設けたことを特徴とする
分割型中子である。ここに、鳩尾嵌合部のアンダーカッ
ト角αは0°<α≦60°の範囲とすることが好ましく、
また鳩尾嵌合部のクラッド面積に対する投影面積は10〜
50%程度とすることが望ましい。
【0010】この発明において、高硬度材としては HRC
が35以上(好ましくは40以上)のものが望ましく、かよ
うな材料としては、SCM系,SKD系, 析出硬化型ス
テンレス(PSL:日立金属(株)のステンレスの商品
名)およびNAK(大同特殊鋼(株)のプラスチック金
型用鋼の商品名)等が有利に適合する。また、銅合金と
しては、Be−Cu系合金、Cu−Ni−Si系合金およびCu−Al
−Mn系合金等が適しており、特に好適なものは BeA-275
C (Be:2.5 〜2.75wt%、Co:0.6 〜0.95wt%)であ
る。
【0011】さらに、この発明において、良熱伝導体で
ある銅合金と高硬度材とを接合する方法としては、鋳ぐ
るみ法が有利に適合する。というのは、鋳ぐるみ法であ
れば、銅合金と高硬度材とを密接に一体化できるので、
境界面における熱伝達の低下がなく、また金属間腐食等
も生じないからである。
【0012】
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体的に説明す
る。図3および図4にそれぞれ、この発明に従うエルボ
ー用およびソケット用の分割型中子を模式(断面)で示
す。エルボー用中子は2分割、またソケット用中子は3
分割したものである。以下、図3に示す、エルボー用中
子を例にとって説明する。
【0014】さて、図3において、2分割中子1a,1
bは内部冷却(図示省略)により、所定の温度(通常10
〜40℃)に設定されている。中子温度を、所定の範囲に
設定している理由は、中子温度があまりに高すぎると取
り出し後に変形するおそれが大きく、また低すぎると生
産性の低下を招くだけでなく、注湯の再接合部にウェル
ドと呼ばれる成形欠陥が生じるからである。
【0015】上記の状態で、ポリエチレンや塩化ビニル
等の合成樹脂溶湯を、 160〜230 ℃の温度で供給する
と、従来は、前掲図2に示したように、加工精度不良や
射出圧力の起因して中子先端部に「へたり」が生じるお
それが大きかったのであるが、この発明では接触部が高
硬度材3a,3bでクラッドされているので、かような
おそれはほとんどない。ここに、高硬度材のクラッド層
厚みが、あまりに薄いと上記の効果に乏しく、一方厚す
ぎると抜熱能が低下して冷却の不均一が生じるので、ク
ラッド層厚みは0.5 〜10mm程度好ましくは1〜8mm程度
とするのが望ましい。より望ましい厚みは3〜5mmであ
る。
【0016】なお、表1に、良熱伝導材として高ベリリ
ウム銅および低ベリリウム銅、また高硬化材として析出
硬化型ステンレス鋼の熱伝導率、熱膨張係数および硬度
を示したが、良熱伝導材と高硬度材との熱伝導率および
熱膨張係数の差が表1程度であれば、成形時における両
者の接合性の面でも抜熱能の面でも特に問題はない。
【0017】
【表1】
【0018】ところで、図3および図4には、接合部の
中央部にのみ鳩尾嵌合部4を設けた場合について示した
が、接合部の固着強度を一層高めるためには、図5(a)
に示すように、接合部の外周に沿って複数個の鳩尾嵌合
部4を設けることが好ましい。より好ましくは、図5
(b), (c)に示すように、接合部の中央部と外周部の双方
に鳩尾嵌合部4を設けることである。ここに、鳩尾嵌合
とは、図6(a), (b)および(c) に示すように、接合する
材料のいずれか(この例では高硬度材側)に、外拡がり
状の孔、凹みまたは突起を設けて両者を接合するもの
で、かような鳩尾嵌合部4を設けることにより、密着度
を格段に高めることができる。さらに、図7には、鳩尾
嵌合部4の変形例をまとめて示す。
【0019】なお、鳩尾嵌合部4の平面形状は、例えば
図6(a) に示した孔の場合を例にして説明すると、図8
(a) に示すような円形とするのが最適であるが、同図
(b) および(c) に示すような三角形および四角形、さら
には五角形以上の多角形としても何ら差し支えない。
【0020】さらに、図6に示したように、鳩尾嵌合部
のアンダーカット角αは0°<α≦60°の範囲とするこ
とが好ましい。というのは、アンダーカット角αが0°
またはマイナスでは、鳩尾嵌合部を設けたことによる密
着度の向上効果が得られず、一方60°を超えると湯回り
が悪くなって、強度低下や熱伝導不良を招くからであ
る。より好適なアンダーカット角αは10°<α≦25°で
ある。また、鳩尾嵌合部のクラッド面積に対する投影面
積比率は10〜50%(好ましくは20〜30%)程度とするこ
とが望ましい。というのは、投影面積比率があまりに大
きいと熱伝導率の低下を来し、一方投影面積比率があま
りに小さいと鳩尾嵌合部が熱収縮によって破壊する危険
性が生じるからである。
【0021】
【実施例】図3に示したような2分割中子を用いて、下
記に示す条件でエルボー樹脂継手を製造した。 (1) 中子 ・本体素材--- Be−Cu合金(Be:2.6 wt%, Co:0.8 wt
%) ・高硬度材--- SCM調質材(HRC:45) (2) エルボー成形体 ・寸法--- 内径:100 mm, 外径:106 mm ・樹脂素材--- 硬質塩化ビニル (3) 成形条件 ・射出温度:170 ℃ ・中子設定温度:30℃ その結果、湯差し等の欠陥発生のない成形品質の優れた
エルボーを、1個当たり、30秒の生産サイクルで製造す
ることができる。これに対し、従来のような内部冷却型
の鉄製中子を用いて、この発明と同じ30秒の生産サイク
ルでエルボーを製造した場合には、溶融樹脂の固化が不
十分で離型後の変形が大きく、5個当たり1個の割合で
不良品の発生が見られた。
【0022】以上、主に、エルボー樹脂継手を2分割中
子を用いて製造する場合について説明したが、ソケット
を3分割中子を用いて製造する場合にも同等の効果が得
られることはいうまでもない。
【0023】
【発明の効果】かくして、この発明に従い、分割型中子
の相互接触面に高硬度材のクラッド層を設けることによ
り、抜熱能の低下を招くことなしに、接触部におけるへ
たりの発生を効果的に防止することができ、従って生産
サイクルのアップと同時に成形品質の向上を図ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のエルボー用2分割中子の配置状態を示し
た図である。
【図2】従来の中子を用いた場合の「へたり」の発生状
況を示した図である。
【図3】この発明に従うエルボー用の2分割中子の模式
図である。
【図4】この発明に従うソケット用の3分割中子の模式
図である。
【図5】接合部の外周に沿って複数個の鳩尾嵌合部を設
けた状態の説明図である。
【図6】鳩尾嵌合の説明図である。
【図7】 鳩尾嵌合の変形例を示した図である。
【図8】 鳩尾嵌合部の好適平面形状を示した図であ
る。
【符号の説明】
1 分割中子、2 射出口、3 高硬度材クラッド層、
4 鳩尾嵌合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−101813(JP,A) 特開 平8−49029(JP,A) 特開 平4−218630(JP,A) 特開 平2−197542(JP,A) 実公 平7−27142(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/00 - 33/76

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅合金製の分割型中子であって、各分割
    中子の相互接触面にそれぞれ高硬度材のクラッド層を有
    し、かつ銅合金と高硬度材クラッド層との接合部に鳩尾
    嵌合部を設けたことを特徴とする分割型中子。
  2. 【請求項2】 請求項において、鳩尾嵌合部のアンダ
    ーカット角αが次式 0°<α≦60° の範囲を満足するものである分割型中子。
  3. 【請求項3】 請求項またはにおいて、鳩尾嵌合部
    の投影面積がクラッド面積の10〜50%である分割型中
    子。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、高硬度
    材が HRC:35以上のものである分割型中子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、銅合金
    が、Be−Cu系合金、Cu−Ni−Si系合金およびCu−Al−Mn
    系合金のうちから選んだいずれかである分割型中子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかにおいて、銅合金
    と高硬度材とを鋳ぐるみ法により接合したことを特徴と
    する分割型中子。
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