JP3320930B2 - 樹脂製成形用型 - Google Patents

樹脂製成形用型

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JP3320930B2 JP30182994A JP30182994A JP3320930B2 JP 3320930 B2 JP3320930 B2 JP 3320930B2 JP 30182994 A JP30182994 A JP 30182994A JP 30182994 A JP30182994 A JP 30182994A JP 3320930 B2 JP3320930 B2 JP 3320930B2
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    • B60CVEHICLE TYRES; TYRE INFLATION; TYRE CHANGING; CONNECTING VALVES TO INFLATABLE ELASTIC BODIES IN GENERAL; DEVICES OR ARRANGEMENTS RELATED TO TYRES
    • B60C11/00Tyre tread bands; Tread patterns; Anti-skid inserts
    • B60C11/03Tread patterns
    • B60C11/12Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes
    • B60C11/1204Tread patterns characterised by the use of narrow slits or incisions, e.g. sipes with special shape of the sipe
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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、樹脂よりなる成形面層
を金属製バッキング部で裏打ち支持してなる樹脂製成形
用型に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックなどの成形用金型の中で、
試作用の簡易型や小ロット生産用の型として、金型に比
べて低コスト、短納期で製作できる樹脂型が従来から使
用されてきた。
【0003】これらの樹脂型は、型としての強度、耐久
性が低いこと、樹脂材料自体の熱伝導率が低いことによ
る成形効率の低下などの問題点を有しており、これらの
対策として、樹脂自体を多官能のエポキシ樹脂とし、更
に金属粉などのフィラーを多量に含有させることによ
り、強度、熱伝導性を高めたものが開発されている(特
開平5−25253号、特開平5−112629号、特
開平5−214214号各公報参照)。
【0004】また、樹脂を金属製バックアップ材で裏打
ちして支持する構造とすることで、型自体の強度を高め
つつ、樹脂部分の厚さを薄くして熱伝導性を向上させた
ものも提案されている(特開平4−129707号公報
参照)。この場合、樹脂部とバックアップ材との剥離
(硬化後の収縮時に樹脂部が割れることによる)を防止
するために、バックアップ材にボルトや溝を多数設けた
構造とすることで、機械的に接合強度を高めたものであ
る。一方、冷却パイプをバックアップ材中に設けること
により、成形時の冷却効率を向上させたものも一般に用
いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の樹脂型においても、型製作時の硬化、冷却の段階で成
形面層にクラックが入ったり、成形時の繰り返し応力に
より、特に型の分割面(パーティングラインともいう)
近くにおいて、樹脂部とバックアップ材との剥離が生じ
る、樹脂部が摩耗などにより変形する(ダレる)、とい
った強度上の問題、また樹脂自体の熱伝導性の低さに加
え、樹脂部とバックアップ材との接合界面において熱伝
導性が劣ること(これは、樹脂部とバックアップ材とが
剥離することでより劣ることになる。)により、成形効
率がそれほど良くならないといった問題があった。
【0006】さらに、バックアップ材中にボルトや溝を
多数設けた構造のものも、充分な接合強度を得るには多
くの部位での加工が必要となり、工数、手間がかかるば
かりでなく、成形面層の熱伝導性の点でも問題があっ
た。このような問題点のため、上記した従来の樹脂型
は、いまだ数万ショットレベルの成形や、成形面層とバ
ックアップ材との熱膨張差の絶対量が大きくなり、更に
より大きな型締め力が必要となる大物品の型には適用で
きないといった欠点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、従来の
樹脂型に比べ、型としての耐久性を向上させ、かつ熱伝
導性の悪さを改善させた樹脂製成形用型を提供するもの
であり、数千ショット〜数万ショットレベルに及ぶ成
形、および大物品の型への適用を可能にしたものであ
る。すなわち、本発明によれば、成形面層が金属粉を主
体とするフィラーを含有する樹脂から成り、該成形面層
が金属製バッキング部により接合にて裏打ち支持されて
なる樹脂製成形用型において、成形面層と金属製バッキ
ング部のそれぞれを構成する部材の熱膨張係数の差が5
×10-6/℃以下であるとともに、成形面層と金属製バ
ッキング部との接合面において、金属製バッキング部側
に溝部を設け、該溝部内に冷却パイプがはめ込まれ、か
つ該成形面層を構成する樹脂により冷却パイプが接合、
埋設されていることを特徴とする樹脂製成形用型(第一
発明)が提供される。また、本発明によれば、成形面
層、中間層及び金属製バッキング部とから構成される樹
脂製成形用型であって、該成形面層と該中間層がそれぞ
れ金属粉を主体とするフィラーを含有する樹脂から形成
され、該中間層が金属製バッキング部により接合にて裏
打ち支持されてなり、該中間層と該金属製バッキング部
のそれぞれを構成する部材の熱膨張係数の差を5×10
-6/℃以下とするとともに、成形面層のフィラーの含有
率を中間層のフィラーの含有率より低くしたことを特徴
とする樹脂製成形用型(第二発明)が提供される。
【0008】
【作用】本発明の第一発明に係る樹脂製成形用型では、
成形面層が金属製バッキング部により接合にて裏打ち支
持されて構成されており、かつ成形面層と金属製バッキ
ング部のそれぞれを構成する部材の熱膨張係数の差を所
定以下とした。すなわち、成形面層と金属製バッキング
部を構成する各部材の常温〜200℃における熱膨張係
数の差を5×10-6/℃以下、好ましくは4×10-6
℃以下、さらに好ましくは2×10-6/℃以下とした。
【0009】ここで熱膨張係数の差が5×10-6/℃を
超えると、型の製作時の硬化、冷却の段階で成形面層に
クラックが入ったり、成形中の熱サイクルと繰り返し応
力により成形面層とバッキング部の接合面で剥離が生じ
ることに起因して、成形面層にクラックが入る可能性が
大きい。また、剥離が生じると成形面層の熱伝導性(成
形面層の抜熱能)も低下するという問題が生じる。
【0010】第一発明において、成形面層と金属製バッ
キング部との接合は化学的な接着を主とするものと推定
される。そして、この化学的な接着を効果的に達成維持
するために、上記のような成形面層と金属製バッキング
部を構成する各部材の熱膨張係数が深く関係しており、
各部材の熱膨張係数の差が特定値以下のときに、はじめ
て成形面層と金属製バッキング部との接合が良好に達
成、維持できることを見出したものである。
【0011】なお、第一発明において、成形面層とバッ
キング部の接合面における剥離をさらに確実に防止する
ために、化学的な接着強度を高めておく手段として、例
えばバッキング部の成形面層との接合面に、通常のエポ
キシ樹脂と金属の接着と同様に、カップリング処理を施
すことも有効であり、好ましい。
【0012】成形面層と金属製バッキング部のそれぞれ
を構成する材質としては、次のとおりである。成形面層
は金属粉を主体とするフィラーを含有する樹脂からなる
もので、具体的な材質としては、特開平5−25253
号、特開平5−112629号、特開平5−21421
4号各公報などに示されるような、熱硬化性のエポキシ
樹脂(強度面から多官能樹脂を用いることが好まし
い。)に、金属粉やセラミック粉を50重量%以上含有
させて、熱伝導性、耐摩耗性を高めつつ熱膨張量を下げ
たもの(熱膨張係数が30×10-6/℃のレベル以下)
が好ましい。
【0013】上記金属粉としては、アルミニウム粉、ニ
ッケル粉、鉄粉、銅粉またはこれらの合金等がある。但
し、熱伝導性及び比重がエポキシ樹脂に近いことを考慮
すると、アルミニウム粉或いはアルミニウム合金粉が好
ましい。ここで比重を考慮するのは、樹脂と金属粉の比
重に大きな違いがあると樹脂と金属粉の混合物を注型す
る際に、金属粉が先に沈殿してしまうからである。(先
に金属粉のみを注型し、その後樹脂を含浸する方法もあ
る。) またセラミック粉としては、酸化物系(アルミナ、シリ
カ、ジルコニア、マグネシア等、またはこれらの混合
物)、及び炭化物系、窒化物系が挙げられる。
【0014】耐摩耗性を向上させるためには、セラミッ
ク粉を多量に含有させるとよい。また機械加工性を向上
させるためには、適宜金属粉とセラミック粉を混合して
含有させることが好ましい。但し、この場合、セラミッ
ク粉の粒径は金属粉の粒径よりも細かいものを用いると
よい。上記金属粉、セラミック粉、或いは両者の混合物
を樹脂に含有させるには、最密充填ができるようその個
々の粒度分布を調整するとよい。また含有量は、注型方
法によっても上限が制御でき、注型の圧力を上げるか、
振動を用いてもよい。
【0015】また、金属製バッキング部としては、亜鉛
合金(熱膨張係数が26〜28×10-6/℃)が好まし
い。この亜鉛合金としては、一般に鋳造用の合金として
用いられるAl:3.9〜4.3重量%、Cu:2.9
〜3.4重量%、Mg:0.03〜0.06重量%、残
Znを基本組成とするもの(商品名:ZAS、三井金属
鉱業(株)製)でよいが、同様のZn−Al−Cu系合
金でCu、Alの含有量を増加させたり、Ni、Ti等
を含有させることで、強度を増加させた亜鉛合金を用い
てもよい。このような樹脂からなる成形面層と亜鉛合金
からなるバッキング部の組み合わせが、それぞれの熱膨
張係数の差が小さくなることから好ましい。なお、バッ
キング部の成形面層側表面に凹凸を設けておくことは、
より接合強度を高めるために好ましい。
【0016】成形面に凸状部が存在する場合、凸状部の
内部に金属製の棒や板状体をバッキング部に接合させた
状態で埋設させることが好ましい。この際、棒や板状体
にも凹凸や貫通孔を付けておくと更に接合強度が安定す
る。また、成形面の凸状部がより細く高い場合には、金
属製の同一形状品を挿入して成形面を構成することが好
ましい。
【0017】成形面層の厚さは、抜熱能の向上と、硬化
時の反応熱を小さく抑え、モデル(原型)への熱影響を
少なくすること、更に成形面層を注型、硬化させて製作
する際の歪の発生を防止する等の観点から、薄い方が好
ましく、具体的には30mm以下、より好ましくは10
mm以下、特に好ましくは5mm以下である。但し、バ
ッキング部の精度上および注型時の充填性に鑑みると、
1mm以上は必要である。
【0018】第一発明の樹脂製成形用型においては、成
形面層中に冷却用パイプが埋設されていることが好まし
い。従来、成形するに当たっては、型の冷却を行なうた
めに、バッキング部の中に冷却パイプを設けた構造が知
られているが、本発明では、より一層成形面の冷却効果
を高めるために、成形面層中に冷却パイプを埋設した構
造としている。なお、大物品等や冷却効果が一層要求さ
れる場合においては、バッキング部にも冷却パイプを設
けることが型冷却の面から好ましいが、特に必須のもの
ではない。
【0019】冷却パイプは予めバッキング部に接合させ
た状態で、モデルとバッキング部との間に成形面層を注
型することにより、成形面層中への埋設がなされる。こ
の際、成形面層は熱をかけることで硬化するとともにバ
ッキング部および冷却パイプと接合(接着)するが、こ
の場合、バッキング部と冷却パイプの固定が不充分であ
ると、冷却パイプ自体の熱膨張により、冷却パイプの位
置がずれて不正確になるばかりでなく、成形面層中で冷
却パイプとの熱膨張差による応力がかかる状態となり、
成形時の剥離の原因となる。冷却パイプの材質として
は、加工のし易さおよび熱伝導性から銅が好ましく、バ
ッキング部とは溶接により接合することができる。
【0020】また、冷却パイプの埋設は、図6のよう
に、成形面層1と金属製バッキング部2との接合面にお
いて、金属製バッキング部2側に溝部11を設け、この
溝部11内に冷却パイプ12をはめ込み、かつ成形面層
1を構成する樹脂により冷却パイプ12が接合、埋設さ
れていることがさらに好ましい。このような構造とする
ことにより、冷却パイプと成形面層との熱膨張差により
生じる応力はほとんどバッキング部が吸収するため、剥
離の問題が解消される。また、冷却パイプの径に関係な
く、成形面層の厚さを薄く均一にすることができる。さ
らに、パイプの位置も正確になるため、型として必要な
離型用ピン等の後加工も容易に行なうことが可能とな
る。なお、本発明で用いる冷却パイプとしては、更に冷
却効率を高めるために、蛇腹状の金属製パイプを用いる
ことが好ましい。
【0021】成形用型を用いて成形を行なう場合におい
て、成形時の型締め圧力は、型の分割面の周辺部にかか
る状態となる。ちなみに、型締め圧力は大物品で約10
00ton、中物品で300〜500ton、小物品で
約100tonであり、また型の分割面の周辺部におけ
る面圧は約400〜500kg/cm2 となる。このよ
うな場合、成形面層の樹脂自体の強度ではこの圧力の繰
り返しに耐えられず、繰り返し成形により成形面層の分
割面が変形あるいは摩耗し、遂には破損に至るという問
題も起こり得る。
【0022】そこで、本発明の樹脂製成形用型では、樹
脂製成形用型の分割面の周辺部において、金属製バッキ
ング部を露呈させ、成形時の型締めの際の圧力が、実質
的に露呈させた金属製バッキング部にかかる構造に形成
することにより、型の耐久性を著しく向上させることが
可能となる。これを図面により説明すると、図3に示す
ように、樹脂からなる成形面層1とそれを裏打ち支持し
た金属製バッキング部2とから構成される成形用型は、
通常上型3と下型4とから成り、上型3と下型4の各々
の成形面層1の間に成形空間5が形成される。本発明の
好適例では、型の分割面の周辺部6において金属製バッ
キング部2を露呈させ、この分割面の周辺部6に型締め
圧力がかかるようになっている。
【0023】また、図4のように、型の分割面の周辺部
6に、バッキング部材質より耐久性(硬度)の優れた材
質の金属製ブロック7を挿入して金属製バッキング部2
と接合させることが、より型の耐久性を高めることがで
き、好ましい。例えば、バッキング部材質が亜鉛合金の
場合には、金属製ブロックとしては炭素綱などのスチー
ル等が用いられる。
【0024】図3、図4に示すような構造を有する樹脂
製成形用型において、型当たり面(当接面)における、
金属面と成形面層の高さ方向の調整が重要となる。すな
わち、図5に示すように、型の分割面の周辺部6に露呈
された金属製バッキング部2に、十分に型締め圧力がか
かり、かつ成形面層部のパーティングライン8から成形
品のバリが生じないようにするためには、型を合わせた
状態で金属当たり面9の隙間Aが実質的に0となり、成
形面層部のパーティングライン8の隙間Bが0.05m
m以下とすることが好ましい。
【0025】この場合、金属当たり面9の隙間Aとパー
ティングライン8の隙間Bも0とすることがより好まし
いが、金属製バッキング部(金属製ブロックを挿入した
場合も含む。)と成形面層部との弾性率の差(金属は成
形面層を構成する樹脂の約10倍以上)を考慮して、先
に隙間Bが0となった後、成形面層部の弾性変形範囲で
の締付け力で隙間Aが0となる状態が更に好ましい。具
体的には、成形面層部の弾性率によって異なるが、隙間
Bが0のとき、隙間Aが0.05mm程度となるような
状態が好ましい。
【0026】なお、図5に示すように、本発明の樹脂製
成形用型において、成形面層1としてつば部10を設け
ることが、繰り返し成形による成形面層1の変形、摩耗
が抑制でき、好ましい。この場合、つば部10の厚みC
を20mm以上とすることが、弾性許容範囲が増加し好
ましい。また、つば部10の幅Dは、型締め時に成形面
層1と金属製バッキング部2により剪断方向の応力がか
からないように、10mm以上とすることが好ましい
が、金属部分で効果的に圧力を受けるためには30mm
以下とすることが更に好ましい。
【0027】次に、本発明の第二発明に係る樹脂製成形
用型について説明する。第二発明の成形用型は、成形面
層、中間層及び金属製バッキング部の3層構造からなる
ものであって、成形面層と中間層がそれぞれ金属粉を主
体とするフィラーを含有する樹脂から形成され、中間層
が金属製バッキング部により接合にて裏打ち支持されて
いる。そして、中間層と金属製バッキング部のそれぞれ
を構成する部材の常温〜200℃における熱膨張係数の
差を5×10-6/℃以下、好ましくは4×10-6/℃以
下、さらに好ましくは2×10-6/℃以下とするととも
に、成形面層のフィラーの含有率を中間層のフィラーの
含有率より低くしている。
【0028】樹脂層と金属製バッキング部の熱膨張係数
の差を5×10-6/℃以下にして両者の良好な接合状態
を得るとともに、熱伝導性を高めるためには、金属粉を
主体とするフィラーを樹脂中に多量に含有させる必要が
ある。具体的には、このフィラーの含有量は、面積率で
好ましくは45%以上、より好ましくは55%以上、更
に好ましくは65%以上であり、仮にフィラーにアルミ
ニウム合金粉を用いた場合は、重量比で各々約55%以
上、65%以上、75%以上を含有させたものとなる。
上記第一発明のように、このフィラーを多量に含有させ
た樹脂を直接成形面層として用いると、仕上げ時のみが
き特性が劣って光沢のある成形面が得にくかったり、成
形ショット数の増加に伴って成形面が粗面化しやすいな
ど、製品の成形性に問題を生じる場合がある。
【0029】そこで、第二発明においては、上記のよう
な多量のフィラーを含有させた樹脂を中間層として用い
ることによって、金属製バッキング部と樹脂層との良好
な接合状態を確保し、かつ、熱伝導性を高めるととも
に、中間層よりもフィラーの含有率を低くした樹脂を用
いて中間層上に成形面層を設けることによって、成形性
の向上を図っている。このように、フィラーの含有率が
低い樹脂を成形面層に用いると、型仕上げ時のみがき特
性が向上して光沢面が得やすくなり、成形ショット数の
増加による成形面の粗面化も抑制される。
【0030】成形面層に用いる樹脂のフィラー含有率と
しては、面積率で好ましくは40%以下、より好ましく
は30%以下となるように含有させたものが望ましく、
より具体的には、みがき対象面(成形面層の表面)にお
けるフィラーの露出面積が、みがき対象面の全面積の3
0%以下となるような樹脂であることが望ましい。ま
た、成形面層に用いる樹脂は、常温で一次硬化可能なも
のが好ましい。成形面層の形成は、通常、これに使用す
る樹脂を、離型剤を塗布したモデルに刷毛塗りによりゲ
ルコートし、硬化させることによって行うが、常温にて
速やかに硬化処理がなされれば、硬化処理時にモデルに
含有された空気の膨張、噴出による転写面の不具合が発
生しない。
【0031】成形面層の厚みは、熱伝導性を低下させ
ず、また、成形面層形成の際の作業性や厚みの均一性確
保などの観点から、好ましくは0.1〜2.0mm、よ
り好ましくは0.1〜1.0mmとする。ここで、成形
面層の厚みを2.0mm以下としたのは、成形面層での
熱伝導性の低下を防止するためであり、1.0mm以下
だと更に効果的である。また、製作面では、成形面用の
樹脂を刷毛塗りによってモデルにゲルコートする際に、
刷毛塗り作業を何度も繰り返し行うと、予めモデルに塗
布していた離型剤が剥げ落ちやすい。これを避けるため
に、刷毛塗りを極力少ない回数、例えば1回で済ませた
場合、成形面層の厚みは0.5mm程度になる。また、
刷毛塗りによりモデルに塗布された樹脂は、塗布後のタ
レによって、モデルの立壁部で薄く、凹底部で厚くなる
傾向にある。この傾向はモデルに塗布した樹脂の厚みが
大きいほど顕著となり、また、このような厚みの違い
は、硬化時の反応による発熱の差となって、形状の歪み
や表面の荒れを誘発する原因となる。厚みをできるだけ
均一にして、このような不具合の発生を防ぐためには成
形面層の厚みを2.0mm程度に抑えるのが好ましい。
また、熱伝導性を低下させないためには、成形面層と中
間層の合計の厚みを5mm以下に抑えるのが好ましい。
これらの樹脂層は、厚すぎると型としての熱伝導が低下
し、成形品の品質を劣化させたり、成形サイクルを長く
するなどの不具合を招く。
【0032】第二発明の成形用型においても、前述の第
一発明における成形面層中への冷却用パイプの埋設と同
様の手段により、中間層中へ冷却用パイプを埋設するこ
とが型冷却の点で好ましい。また、第一発明と同様に、
成形用型の分割面の周辺部において、金属製バッキング
部を露呈させ、成形時の型締めの際の圧力が、実質的に
露呈させた金属製バッキング部にかかる構造に形成した
り、成形用型の分割面の周辺部に、金属製ブロックを挿
入して金属製バッキング部と接合させ、成形時の型締め
の際の圧力が、実質的に金属製ブロックにかかる構造に
形成するなどして、型の耐久性向上を図ることができ
る。第二発明において、中間層と金属製バッキング部の
それぞれを構成する材質や、接合強度を高める手段など
については、前述の第一発明における成形面層と金属製
バッキングに関する説明を適用することができる。
【0033】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき更に詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものでは
ない。
【0034】(実施例1)箱型形状(寸法:750×4
50×250(高さ)mm)の成形品を製作するための
成形用型を、図7に示す方法により製作し、評価を行な
った。まず、成形品の形状を反映した面を有するモデル
(木型)14に、成形面層1の肉厚20mm及び分割面
の周辺部6に30mmの幅に相当する空間を有する亜鉛
合金製バッキング2(熱膨張係数 26×10-6/℃、
商品名:ZAS、三井金属鉱業(株)製)をかぶせた。
このバッキング2の成形面層側には、幅及び深さ10m
mの溝11が設けられており、この溝11内に銅製パイ
プ12をはめ込んだ。
【0035】次いで、モデル14とバッキング2で形成
される空間内に、金属粉を主体とするフィラー及び樹脂
から成る複合樹脂材15(熱膨張係数 28×10-6
℃、商品名:MYX−06、三菱油化(株)製)を注入
容器16から約1気圧の圧力をかけつつ注型した。な
お、バッキング2には溝11に連通するエアー抜き17
を設けた。注型後、一旦50℃に全体を加熱して表層部
を一次硬化させ、モデル(原型)を離型した後、170
℃で3時間の二次硬化処理を行なって成形面層1を形成
し、図1に示す成形用型(上型)3を得た。この際、成
形面層1の剥離、割れといった問題は全く生じなかっ
た。
【0036】(実施例2)複合樹脂材として、熱膨張係
数が30×10-6/℃の商品名MYX−05(三菱油化
(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に、図1に
示す成形用型(上型)3を得た。この際、成形面層1の
剥離、割れといった問題は全く生じなかった。
【0037】(比較例1)実施例1と同一の方法でバッ
キング部をアルミニウム合金(熱膨張係数 21×10
-6/℃、JIS AC4C)で形成したものを製作した
ところ、二次硬化処理後に成形面層の中央部においてク
ラックが生じた。また、型の分割面の周辺部における成
形面層部とバッキング部との境界でも、一部に剥離が確
認された。
【0038】(比較例2) 実施例1と同一の方法により、バッキング部2の成形面
層側には冷却パイプ用の溝を設けず、また型分割面の周
辺部6も複合樹脂材がバッキング部2の端面部まで覆う
構造となるように形成した以外は、合金材質及び複合樹
脂材の材質も含めて実施例1と同一の条件で、成形用型
3を得た。その後、バッキング部2内に冷却用孔13を
設け、図2に示すごとき構成の成形用型3とした。
【0039】(実施例) 自動車用内装部品(寸法:600×400×200(高
さ)mm)の成形品を製作するための成形用型を、図9
に示す方法により製作し、評価を行なった。まず、成形
品の形状を反映した面を有するモデル(木型)14に、
金属粉を主体とするフィラー及び樹脂から成る成形面層
用の複合樹脂材(熱膨張係数 36×10-6/℃、商品
名:MEZ500G、ゼオンライズ(株)製)を、刷毛
塗りにより厚さ0.5mmとなるようにゲルコートし、
フィラー含有率が約30面積%となる成形面層を形成さ
せた。ゲル化後、中間層の肉厚4.5mm及び分割面の
周辺部に20mmの幅に相当する空間を有する亜鉛合金
製バッキング2(熱膨張係数 26×10-6/℃、商品
名:ZAS、三井金属鉱業(株)製)をかぶせた。この
バッキング2の中間層側には、幅及び深さ10mmの溝
11が設けられており、この溝11内に銅製パイプ12
をはめ込んだ。
【0040】次いで、モデル14上のゲルコート19と
バッキング2とで形成される空間内に、金属粉を主体と
するフィラー及び樹脂から成る中間層用の複合樹脂材1
5(三菱油化(株)製、商品名:MYX−06(熱膨張
係数 28×10-6/℃)に、更に平均粒径20μmの
アルミニウム合金粉を10重量%増量させ、面積率で6
5%のフィラー含有率としたもの)を注入容器16から
約2気圧の圧力をかけつつ注型した。なお、バッキング
2には溝11に連通するエアー抜き17を設けた。注型
後、一旦50℃に全体を加熱して表層部を一次硬化さ
せ、モデル(原型)を離型した後、120℃で3時間の
二次硬化処理を行なって中間層を形成し、図8に示す成
形用型(上型)3を得た。この際、中間層20の剥離、
割れといった問題は全く生じなかった。
【0041】(評価) 実施例1〜3、比較例2について、それぞれ同一の方法
にて所望の成形品の裏側形状を反映したモデル(原型)
を用いて、コア用の成形用型(下型)4を製作し、実施
例1〜2、比較例2で作成した成形用型(上型)3との
組み込み加工を行ない、ABS樹脂による成形品18の
成形を行なった。なお、実施例1〜2の型については、
型を合わせた状態で金属当たり面9の隙間と成形面層部
のパーティングライン8の隙間が0となるように加工し
た。
【0042】(成形結果)比較例2 の成形用型では、5000ショットの段階まで
繰り返し成形を行なうことができた。その後は型の分割
面で損耗が生じ、成形品にバリが生じてきたので成形を
中止した。実施例1〜2の成形用型では、10000シ
ョットの繰り返し成形においても成形品にバリは発生せ
ず、更に成形サイクルも比較例2の成形用型に比し約2
0%向上することが判明した。また実施例1と実施例2
の成形用型を比較すると、10000ショットの繰り返
し成形後では、実施例2において、型分割面の周辺部に
おける成形面層部とバッキング部との境界で僅かに剥離
が確認されたが、実施例1では問題がなかった。実施例
の成形用型では、実施例1〜2と同様10000ショ
ットの繰り返し成形を行っても成形品にバリは発生せ
ず、成形サイクルは実施例1に比較し更に20%短縮し
て、一般の金属製金型と略同等レベルとすることができ
た。
【0043】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明の樹脂製成
形用型によれば、耐久性が向上し、かつ熱伝導性の悪さ
を改善させることができる。したがって、この樹脂製成
形用型を用いると、数千ショット〜数万ショットレベル
に及ぶ成形、および大物品の型への適用を可能にするこ
とができるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明(第一発明)の樹脂製成形用型の構造の
一例を示す断面構成図である。
【図2】比較例2の樹脂製成形用型の構造の例を示す断
面構成図である。
【図3】本発明(第一発明)に係る成形用型の分割面の
周辺部において金属製バッキング部を露呈させた例を示
す部分断面図である。
【図4】本発明(第一発明)に係る成形用型の分割面の
周辺部に金属製ブロックを挿入して金属製バッキング部
と接合させた例を示す部分断面図である。
【図5】型合わせ状態での金属当たり面と成形面層部の
パーティングラインの隙間状況を示す説明図である。
【図6】金属製バッキング部側に設けた溝部内に冷却パ
イプをはめ込んだ例を示す部分説明図である。
【図7】本発明(第一発明)の樹脂製成形用型を製作す
る方法の例を示す概略説明図である。
【図8】本発明(第二発明)の樹脂製成形用型の構造の
一例を示す断面構成図である。
【図9】本発明(第二発明)の樹脂製成形用型を製作す
る方法の例を示す概略説明図である。
【符合の説明】
1 成形面層、2 金属製バッキング部、3 上型(成
形用型)、4 下型(成形用型)、5 成形空間、6
型の分割面の周辺部、7 金属製ブロック、8パーティ
ングライン、9 金属当たり面、10 つば部、11
溝部、12 冷却パイプ、13 冷却用孔、14 モデ
ル、15 複合樹脂材、16 注入容器、17 エアー
抜き、18 成形品、19 ゲルコート、20 中間
層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−129707(JP,A) 特開 昭57−146613(JP,A) 特開 平4−128015(JP,A) 特開 平4−128016(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 33/00 - 33/76

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 成形面層が金属粉を主体とするフィラー
    を含有する樹脂から成り、該成形面層が金属製バッキン
    グ部により接合にて裏打ち支持されてなる樹脂製成形用
    型において、成形面層と金属製バッキング部のそれぞれ
    を構成する部材の熱膨張係数の差が5×10-6/℃以下
    であるとともに、成形面層と金属製バッキング部との接
    合面において、金属製バッキング部側に溝部を設け、該
    溝部内に冷却パイプがはめ込まれ、かつ該成形面層を構
    成する樹脂により冷却パイプが接合、埋設されている
    とを特徴とする樹脂製成形用型。
  2. 【請求項2】 成形面層が金属粉を主体とするフィラー
    を含有する樹脂から成り、該成形面層が金属製バッキン
    グ部により接合にて裏打ち支持されてなる樹脂製成形用
    型において、成形面層と金属製バッキング部のそれぞれ
    を構成する部材の熱膨張係数の差が5×10 -6 /℃以下
    であるとともに、樹脂製成形用型の分割面の周辺部にお
    いて、金属製バッキング部を露呈させ、成形時の型締め
    の際の圧力が、実質的に露呈させた金属製バッキング部
    にかかる構造に形成したことを特徴とする樹脂製成形用
    型。
  3. 【請求項3】 成形面層が金属粉を主体とするフィラー
    を含有する樹脂から成り、該成形面層が金属製バッキン
    グ部により接合にて裏打ち支持されてなる樹脂製成形用
    型において、成形面層と金属製バッキング部のそれぞれ
    を構成する部材の熱膨張係数の差が5×10 -6 /℃以下
    であるとともに、樹脂製成形用型の分割面の周辺部に、
    金属製ブロックを挿入して金属製バッキング部と接合さ
    せ、成形時の型締めの際の圧力が、実質的に該金属製ブ
    ロックにかかる構造に形成したことを特徴とする樹脂製
    成形用型。
  4. 【請求項4】 成形面層、中間層及び金属製バッキング
    部とから構成される樹脂製成形用型であって、該成形面
    層と該中間層がそれぞれ金属粉を主体とするフィラーを
    含有する樹脂から形成され、該中間層が金属製バッキン
    グ部により接合にて裏打ち支持されてなり、該中間層と
    該金属製バッキング部のそれぞれを構成する部材の熱膨
    張係数の差を5×10-6/℃以下とするとともに、成形
    面層のフィラーの含有率を中間層のフィラーの含有率よ
    り低くしたことを特徴とする樹脂製成形用型。
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