JP3193499B2 - 信号処理装置 - Google Patents

信号処理装置

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JP3193499B2
JP3193499B2 JP01012293A JP1012293A JP3193499B2 JP 3193499 B2 JP3193499 B2 JP 3193499B2 JP 01012293 A JP01012293 A JP 01012293A JP 1012293 A JP1012293 A JP 1012293A JP 3193499 B2 JP3193499 B2 JP 3193499B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディジタル信号の量子
化雑音成分の振幅周波数特性を人間の聴覚感度特性に近
い特性に補正するための信号処理装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、アナログ信号をディジタル信
号に、逆にディジタル信号をアナログ信号に変換する際
の雑音成分の低減の目的において、あるいはディジタル
信号の処理過程における量子化ビット数の変換時に聴感
補正を目的として図3に示すようなΔΣ変調器が利用さ
れている。
【0003】以下、図面を参照しながら、上述したよう
な従来のΔΣ変調器について説明する。図3は従来のΔ
Σ変調器の概要ブロック図を示すものである。図3にお
いて、6および9は加算器、7は量子化器、8は予測フ
ィルターである。このようなΔΣ変調器について、以下
その動作について説明する。
【0004】まず、ΔΣ変調器の基となるΔ変調器につ
いて述べる。Δ変調器は、図4に示すように、入力信号
を予測する予測フィルター13、その予測信号と入力信
号との差分をとる加算器10、その結果の差分信号と予
め決められた信号レベルとを比較する比較器11、比較
器11の出力を1サンプル分遅延させる1サンプル遅延
回路14によって構成される。
【0005】いま、サンプリング周期T(T=1/Fs
:Fs はサンプリング周波数)で取り込まれた入力信
号、及び予測フィルター13で予測された予測信号が加
算器10に入力され、それら信号の差分がとられる。そ
の差分信号は、比較器11により、予め決められた信号
レベルとの大小が比較され、比較の結果、差分信号の方
が大きいときに“1”を出力する。この出力信号は1サ
ンプル遅延回路14により1サンプル分遅延された後、
予測フィルター13にフィードバックされて予測信号の
更新に使用される。逆に、差分信号の方が小さいときに
は、比較器11は、“0”を出力して予測信号を低下さ
せる。この操作を繰り返すことにより、予測信号と入力
信号との差が最小となるようなディジタルコード列が出
力される。元の入力信号を再生するには、図4に示すよ
うに、以上のΔ変調器に使用した予測フィルター13と
同じ予測フィルター12を接続して、比較器11からの
出力信号を通せば良い。しかし、上記のΔ変調器では、
予測フィルター13が追従できないような急峻な入力信
号には対応できないという欠点がある。
【0006】次に、この欠点を改善するためにΔΣ変調
器があり、図5にそのブロック図を示す。ΔΣ変調器
は、上述のΔ変調器の前段に積分器が付加され、この積
分器と逆の働きをする微分器がΔ変調器の出力側に付加
された構成である。図5において、ΔΣ変調器は1次Δ
Σ変調器であり、15、17、19、22、24は加算
器、16、20、21、23、25は1サンプル遅延
器、18は比較器である。ここで、加算器15及び1サ
ンプル遅延器16が積分器を構成し、加算器17、比較
器18、1サンプル遅延器23,25、及び加算器24
がΔ変調器を構成し、加算器19及び1サンプル遅延器
20がΔ変調器の再生用予測フィルターを構成し、又、
1サンプル遅延器21及び加算器22がΔΣ変調器の再
生用予測フィルター、すなわち微分器を構成している。
【0007】上述のΔΣ変調器の回路は、回路の線形性
により簡略化できる。その簡略化した場合の例として、
図5の1次ΔΣ変調器の場合について図6に示す。図6
において、26、29は加算器、27は比較器としての
量子化器、28は1サンプル遅延器である。
【0008】この1次ΔΣ変調器の信号伝達特性を求め
ると、 Y(z-1)=X(z-1)+(1−z-1)Q(z-1) であらわされ、その量子化雑音Nqの分布は、 Nq=(1−z-1)Q(z-1) となり、(1−z-1)なる周波数特性に変更される。z
ー1=exp(−jωT)とおいて、H(z-1)=(1−
ー1)の周波数特性を求めると、 H(ωT)=1−exp(−jωT) よって |H(ωT)|2 =4×sin 2 (ωT/2) であるので、量子化雑音Nq は、関数H(z-1)により
周波数特性を変更されたことになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような構成では、量子化雑音Nq の周波数特性が、人間
の聴覚周波数特性(図2参照)に対して十分に近似され
ていないという課題がある。
【0010】本発明は、従来のΔΣ変調器のこのような
課題を考慮し、量子化雑音の周波数特性を人間の聴覚周
波数特性に十分近似させることができる信号処理装置を
提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、所定の周波数
でサンプリングされた信号を入力するための入力端子
と、その入力された信号とその入力信号よりも以前に入
力された信号に基づき生成されたフィードバック信号を
加算する第1加算器と、その第1加算器により加算され
た信号を量子化するための量子化手段と、その量子化さ
れた信号と第1加算器により加算された信号との差分を
とるための第2加算器と、その差分信号に基づき、入力
信号の所定の周波数とは異なる周波数でサンプリングさ
れた信号を生成し、入力信号のサンプリング間隔に同期
させながら、フィードバック信号として第1加算器に出
力する周波数変換手段とを備えた信号処理装置である。
【0012】
【作用】本発明は、第1加算器が、所定の周波数でサン
プリングされた入力信号とフィードバック信号を加算
し、量子化手段が、その加算された信号を量子化し、第
2加算器が、その量子化された信号と第1加算器により
加算された信号との差分をとり、周波数変換手段が、そ
の差分信号に基づき、入力信号の所定の周波数とは異な
る周波数でサンプリングされた信号を生成し、入力信号
のサンプリング間隔に同期させながら、フィードバック
信号として第1加算器に出力する。
【0013】
【実施例】以下に、本発明をその実施例を示す図面に基
づいて説明する。
【0014】図1は、本発明にかかる一実施例の信号処
理装置のブロック図である。すなわち、信号処理装置に
は、所定の周期でサンプリングされた信号を入力するた
めの入力端子30が設けられ、その入力端子30には、
2つの信号を加算する加算器1が接続されている。その
加算器1の出力は2つに分岐され、一方は、信号を量子
化するための量子化器2に接続され、もう一方は、2つ
の信号の差分をとる加算器5に接続されている。
【0015】前述の量子化器2の出力は2つに分岐さ
れ、一方は、出力端子31に接続され、もう一方は、加
算器5に接続されている。又、加算器5は、差分信号を
周波数シフトさせて出力する周波数変換回路4に接続さ
れ、その周波数変換回路4は、信号を1サンプル分遅延
させる1サンプル遅延器3に接続され、更に、その1サ
ンプル遅延器3は、加算器1に接続されている。以上の
周波数変換回路4及び1サンプル遅延器3が周波数変換
手段(1点鎖線で囲んだ部分で示す)を構成している。
【0016】次に、上記実施例の信号処理装置の動作に
ついて説明する。
【0017】まず、加算器1は、サンプリング周期T
(T=1/Fs :Fs はサンプリング周波数)で入力端
子30から取り込まれる入力信号と、1サンプル前に加
算器5、周波数変換回路4、及び1サンプル遅延器3で
処理されたフィードバック信号との和信号を出力する。
次に、その出力された和信号と、量子化器2により再量
子化された信号(出力信号)は、加算器5によって差が
とられ、その差信号が周波数変換回路4に入力される。
そうすると、周波数変換回路4では、差信号が角周波数
ωなる入力に対してωc(ωc =2πFc)だけ周波数シ
フトされ、角周波数(ω−ωc )に変換された信号が1
サンプル遅延器3に入力される。1サンプル遅延器3
は、変換された信号を1サンプル遅延の後、加算器1に
出力する。
【0018】ここで、上述の周波数変換回路4の動作を
詳しく説明すると、入力された差信号に基づいて、周波
数シフトされるωc に対して補間された差信号を生成す
ることにより、見かけ上、入力信号のサンプリング周波
数(Fs )とは異なるサンプリング周波数で標本化され
た差信号に変換し、その差信号を入力信号のサンプリン
グ周期Tに対して同期させて出力する。その結果上述の
ように、差信号を周波数シフトさせることができる。
【0019】図1において、周波数変換回路4を除いた
部分の回路は、従来の1次ΔΣ変調器と同じであるの
で、シフトできる周波数特性はΔΣ変調器の特性、すな
わち関数H(ωT)に等しいことは明かである。ここ
で、図1のように元のΔΣ変調器を1次とし、周波数軸
上でシフトさせる周波数をFc とすると、そのときの周
波数変換手段(図1中の1点鎖線内)の伝達関数H'
(ωT) は、次式のようになる。
【0020】 H'(ωT)=1−exp{−j(ω−ωc)T} =1−exp(jωcT)×exp(−jωT) 従って、振幅特性も当然周波数Fc分だけシフトされた
ものとなり、 |H'(ωT)|2 =4×sin 2 {T/2×(ω−ωc)} ただし、 ωc =2πFc と表すことができる。
【0021】ここで、zー1=exp(−jωT)とおい
て、H'(z-1)を求めれば H'(z-1)=1−exp(jωcT)×z-1 となり、図1に示される周波数変換手段そのものとな
る。このように図1に示す構成、すなわち周波数変換回
路4によって1次ΔΣ変調器の予測フィルターの伝達関
数H(ωT)の周波数特性を周波数軸上でシフトさせる
ことができることになる。
【0022】従って、入力信号における量子化雑音Nq
は入力信号のサンプリング周波数と周波数変換回路4に
より変換された周波数によって決まる周波数分だけ周波
数軸上でシフトさせることができる。
【0023】このようにして、入力信号における量子化
雑音Nq の周波数特性を人間の聴感特性に対して合わせ
ることが可能となる。
【0024】この様子を示したのが図2である。図2に
おいて、2本の点線は、それぞれ16ビット及び20ビ
ットで量子化した場合のノイズレベルである。また、1
点鎖線は、人間の聴覚周波数特性、たとえばラウドネス
曲線などを示す。ここで従来の1次ΔΣ変調器における
量子化雑音Nqの周波数特性と、本実施例における周波
数変換回路4を用いた場合の周波数特性とを比べると、
従来の1次ΔΣ変調器における量子化雑音Nqの周波数
特性(図2中では2点鎖線)よりも本実施例における周
波数変換回路4を用いた場合(図2中では実線)の方
が、より人間の聴感特性に近似できており、特に高域に
おいてその違いが明確に現れている(図2中のハッチン
グ部)。以上のように、人間の聴感特性、即ち低周波成
分と高周波成分とに対して音圧感度が鈍く、中域で感度
が高いという特性に雑音成分の振幅周波数特性を合わせ
ることができ、更に、同一次数のΔΣ変調器における同
一帯域内のS/Nを向上させることができる。
【0025】なお、上記実施例では、周波数変換手段の
伝達関数の次数は1次であったが、これに限らず、2次
以上の次数であってもよい。
【0026】また、上記実施例では、周波数変換手段に
よる変換し得る周波数(シフトさせる周波数)をωc に
固定した構成としたが、これに代えて、可変できる構成
としてもよい。
【0027】また、上記実施例では、信号処理装置を1
段により構成したが、本実施例の信号処理装置を2段以
上縦続して多段の信号処理装置として用いても勿論よ
い。
【0028】また、上記実施例では、信号処理装置を専
用のハードウェアにより構成したが、これに代えて、同
様の機能をコンピュータを用いてソフトウェア的に実現
してもよい。
【0029】
【発明の効果】以上述べたところから明らかなように本
発明は、入力された信号とその入力信号よりも以前に入
力された信号に基づき生成されたフィードバック信号を
加算する第1加算器と、差分信号に基づき、入力信号の
所定の周波数とは異なる周波数でサンプリングされた信
号を生成し、入力信号のサンプリング間隔に同期させな
がら、フィードバック信号として第1加算器に出力する
周波数変換手段とを備えているので、量子化雑音の周波
数特性を人間の聴覚周波数特性に十分近似させることが
できるという長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる一実施例の信号処理装置のブロ
ック図である。
【図2】入力信号における量子化雑音の周波数特性を示
す図である。
【図3】従来のΔΣ変調器の概要ブロック図である。
【図4】従来のΔ変調器の動作を説明するためのブロッ
ク図である。
【図5】従来のΔΣ変調器の動作を説明するためのブロ
ック図である。
【図6】従来の一次ΔΣ変調器のブロック図である。
【符号の説明】
1、6、26 加算器 2、7、27 量子化器 3 1サンプル遅延器 4 周波数変換回路 5、9、29 加算器 6 加算器 7 量子化器 8 予測フィルター 11、18 比較器 12 予測フィルター(再生用) 13 予測フィルター 30 入力端子 31 出力端子

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の周波数でサンプリングされた信号
    を入力するための入力端子と、その入力された信号とそ
    の入力信号よりも以前に入力された信号に基づき生成さ
    れたフィードバック信号を加算する第1加算器と、その
    第1加算器により加算された信号を量子化するための量
    子化手段と、その量子化された信号と前記第1加算器に
    より加算された信号との差分をとるための第2加算器
    と、その差分信号に基づき、前記入力信号の所定の周波
    数とは異なる周波数でサンプリングされた信号を生成
    し、前記入力信号のサンプリング間隔に同期させなが
    ら、前記フィードバック信号として前記第1加算器に出
    力する周波数変換手段とを備えたことを特徴とする信号
    処理装置。
  2. 【請求項2】 周波数変換手段は、その伝達関数の次数
    が2次以上であることを特徴とする請求項1記載の信号
    処理装置。
  3. 【請求項3】 周波数変換手段は、変換し得る周波数を
    可変できることを特徴とする請求項1記載の信号処理装
    置。
  4. 【請求項4】 周波数変換手段は、ωc を周波数シフト
    量、Tをサンプリング周期としたときにz-1 ×exp
    (jωcT)なる伝達関数を持つフィルタ回路を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の信号処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の信号処理装置が、多段縦
    続されてなることを特徴とする多段の信号処理装置。
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Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
「オーバーサンプリングA−D変換技術」、湯川著、1990.12、日経BP社発行、pp33−42

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