JP3192302B2 - 光磁気記録媒体及びその記録方法 - Google Patents

光磁気記録媒体及びその記録方法

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JP3192302B2 JP30568793A JP30568793A JP3192302B2 JP 3192302 B2 JP3192302 B2 JP 3192302B2 JP 30568793 A JP30568793 A JP 30568793A JP 30568793 A JP30568793 A JP 30568793A JP 3192302 B2 JP3192302 B2 JP 3192302B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光学的に情報の記録、再
生、消去の少なくとも一つを行う光ディスク、光カード
等に用いられる光磁気記録媒体の記録方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】光磁気記録方式とは、基板上に磁性体か
らなる垂直磁化膜を形成させたものを記録媒体とし、以
下の方法で記録、再生するものである。
【0003】記録する際には、記録媒体をまず、強力な
外部磁場等によって初期化し、磁化の方向を1方向(上
向き、または下向き)に揃えておく。その後、記録した
いエリアにレーザビームを照射して、媒体部分の温度を
キュリー点近傍以上、もしくは補償点近傍以上に加熱
し、その部分の保磁力(Hc)をゼロ、又はほとんどゼ
ロとした上で、初期化の磁化の方向と逆向きの外部磁場
(バイアス磁場)を印加して磁化の向きを反転させる。
レーザビームの照射を止めると、記録媒体は常温に戻る
ので反転した磁化は固定される。つまり、熱磁気的に情
報が記録される。
【0004】再生の際には、直線偏光したレーザビーム
を記録媒体に照射し、その反射光や透過光の偏光面の回
転が磁化の向きに応じて回転する現象(磁気カー効果、
磁気ファラデー効果)を利用して光学的に情報の読み出
しを行う。光磁気記録方式は、書き換え可能な大容量記
憶素子として注目されているが、その記録媒体を再使用
(書き換え)をするためには、次のいずれかの方法を採
る必要がある。 (a)何らかの方法で初期化する。 (b)外部磁場発生装置を工夫してオーバーライト(消
去が不要な書き換え)を可能にする。 (c)記録媒体を工夫してオーバーライトを可能にす
る。
【0005】しかし(a)の方法では、初期化装置、あ
るいは、ヘッドが2個必要になるので、コスト高を招
く。また、1個のヘッドで書き換えを行おうとすると、
消去してから記録するので時間がかかる。このため、
(c)の方法が最も有力である。例えば、Jap.Jo
ur.Appl.Phys.,Vol.28(198
9)Suppl.28−3,pp.367−370に
は、記録層を交換結合2層膜にすれば、オーバーライト
可能な記録媒体を実現できる、と記載されている。
【0006】ここで、オーバーライトの手順について簡
単に説明する。初期化においては、図6に示すように、
初期化磁場(Hinit)を印加することにより、第2磁性
層10の磁化のみを一方向(図では、下向き)に揃え
る。なお、初期化は常時、あるいは、記録時のみ行われ
る。第1磁性層9の保磁力H1は、図7のごとく、
init より大きいので、第1磁性層9の磁化の反転は生じ
ない。記録は、記録磁場(Hw)を印加しながら、高レ
ベルIと低レベルIIに強度変調されたレーザ光を照射
することにより行う。高レベルIのレーザ光が照射され
ると、第1磁性層9・第2磁性層10がともにキュリー
点T1、T2付近またはそれ以上となる温度THまで昇温
し、低レベルIIのレーザ光が照射されると、第1磁性
層9だけがキュリー点T1付近またはそれ以上となる温
度TLまで昇温するように、高レベルIおよび低レベル
IIは設定されている。従って、高レベルIのレーザ光
が照射されると、第2磁性層10の磁化は、Hwによ
り、図6に示すように、上向きに反転し、第1磁性層9
の磁化は冷却の過程で界面に作用する交換力により第2
磁性層10の向きと一致する。従って、第1磁性層9の
向きは上向きとなる。
【0007】一方、低レベルIIのレーザ光が照射され
ると、第2磁性層10の磁化は、Hwにより反転するこ
とはない。第1磁性層9の磁化は、上記と同様に、冷却
の過程で界面に作用する交換力により第2磁性層10の
磁化の向きと一致する。従って、第1磁性層9の磁化の
向きは、図6に示すように、下向きとなる。なお、上記
wはHinitよりかなり小さく設定されている。また、
再生時のレーザ光の強度は、記録時の低レベルIIより
もかなり小さいレベルに設定されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
構成では、第1・第2磁性層9・10間の界面結合力が
大きいので、非常に大きなHinitが必要となるという問
題点を有している。これはHinitを小さくするような第
1磁性層9と第2磁性層10の組み合わせでは、オーバ
ーライトが不可能になるためである。そこでHinitを小
さくするために、第1磁性層9と第2磁性層10の間に
中間層を設けて、3層構造とする改良がなされている。
特開昭63−239637号公報の場合、中間層に室温
で面内磁気異方性を示す材料を用いているが、特に高温
での第2磁性層10から第1磁性層9への磁気転写がう
まく行われないという問題点を有している。特開平2−
24801号公報の場合も、中間層に室温で面内磁気異
方性を示す材料を設けているが、第1磁性層9が室温で
希土類金属リッチであるため、HinitとHwの方向が異
なるという問題点および、初期化がうまく行われない等
の問題点を有している。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る光磁気記
録媒体の記録方法は、希土類金属−遷移金属合金からな
る第1磁性層、第2磁性層、第3磁性層が順次形成され
ており、第1磁性層は、室温からキュリー点まで垂直磁
化を示し、第2磁性層は、第1磁性層よりも高いキュリ
ー温度を有し、室温で第1磁性層と第3磁性層の磁気的
結合を遮断し、所定温度以上で垂直磁化を示し第1磁性
層と第3磁性層を磁気的に結合させるよう設定されてお
り、第3磁性層は、室温からキュリー点まで垂直磁化を
示し、補償温度が第1磁性層のキュリー温度よりも高
く、室温での保磁力が第1磁性層よりも低い、光磁気記
録媒体に対して情報を記録する記録方法であって、初期
化磁界を印加して、第3磁性層の磁化の向きを一方向に
向けた後、記録磁界を印加しながら、高レベルのレーザ
光を照射して第3磁性層をキュリー温度付近またはそれ
以上の温度まで昇温して、第3磁性層の磁化方向を前記
記録磁界に応じた磁化方向とし、そこからの冷却過程に
おいて第2磁性層を介した交換力により第1磁性層に磁
化方向を転写し、低レベルのレーザ光を照射して第1磁
性層をキュリー温度付近に昇温して、そこからの冷却過
程で第3磁性層の磁化の向きを第2磁性 層を介した交換
力により第1磁性層に転写することを特徴とする
【0010】請求項2に係る光磁気記録媒体の記録方法
は、希土類金属−遷移金属合金からなる第1磁性層、第
2磁性層、第3磁性層が順次形成されており、第1磁性
層は、室温からキュリー点まで垂直磁化を示し、第2磁
性層は、第1磁性層よりも高いキュリー温度を有し、室
温で第1磁性層と第3磁性層の磁気的結合を遮断し、所
定温度以上で垂直磁化を示し第1磁性層と第3磁性層を
磁気的に結合させるよう設定されており、第3磁性層
は、室温からキュリー点まで垂直磁化を示し、キュリー
温度が第1磁性層よりも高く、室温での保磁力が第1磁
性層よりも低い、光磁気記録媒体に対して情報を記録す
る記録方法であって、初期化磁界を印加して、第3磁性
層の磁化の向きを一方向に向けた後、記録磁界を印加し
ながら、高レベルのレーザ光を照射して第3磁性層をキ
ュリー温度付近またはそれ以上の温度まで昇温して、第
3磁性層の磁化方向を前記記録磁界に応じた磁化方向と
し、そこからの冷却過程において第2磁性層を介した交
換力により第1磁性層に磁化方向を転写し、低レベルの
レーザ光を照射して第1磁性層をキュリー温度付近に昇
温して、そこからの冷却過程で第3磁性層の磁化の向き
を第2磁性層を介した交換力及び第2磁性層の漏洩磁界
により第1磁性層に転写することを特徴とする
【0011】請求項3に係る光磁気記録媒体の記録方法
は、希土類金属−遷移金属合金からなる第1磁性層、第
2磁性層、第3磁性層が順次形成されており、第1磁性
層は、室温からキュリー点まで垂直磁化を示し、第2磁
性層は、第1磁性層よりも高いキュリー温度を有し、室
温で第1磁性層と第3磁性層の磁気的結合を遮断し、所
定温度以上で垂直磁化を示し第1磁性層と第3磁性層を
磁気的に結合させるよう設定されており、第3磁性層
は、室温からキュリー点まで垂直磁化を示し、補償温度
が第1磁性層のキュリー温度よりも高く、室温での保磁
力が第1磁性層よりも低い、光磁気記録媒体に対して情
報を記録する記録方法であって、初期化磁界を印加し
て、第3磁性層の磁化の向きを一方向に向けた後、記録
磁界を印加しながら、高レベルのレーザ光を照射して第
3磁性層をキュリー温度付近またはそ れ以上の温度まで
昇温して、第3磁性層の磁化方向を前記記録磁界に応じ
た磁化方向とし、そこからの冷却過程において第2磁性
層を介した交換力により第1磁性層に磁化方向を転写
し、低レベルのレーザ光を照射して第1磁性層をキュリ
ー温度付近に昇温して、そこからの冷却過程で第3磁性
層の磁化の向きを第2磁性層を介した交換力及び第2磁
性層の漏洩磁界により第1磁性層に転写することを特徴
とする
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【作用】請求項1の構成によれば、第2磁性層は、室温
では第1磁性層と第3磁性層の磁気的結合が起こらず、
記録時には第1磁性層と第3磁性層の磁気的結合が起こ
るため、光変調オーバライトが可能となる。また、第3
磁性層は補償点をもつので、室温から補償点までは希土
類金属支配の磁化の向きを示し、補償点からキュリー点
までは遷移金属支配の磁化の向きを示す。即ち、記録時
の高温で記録された磁化の向きは室温で反転するので、
初期化磁場の向きと記録磁場の向きを同じにすることが
可能となりなる。さらに、第3磁性層の補償温度が、第
1磁性層のキュリー温度よりも高いので、光変調オーバ
ーライトが行い易くなる
【0018】請求項2の構成によれば、第2磁性層・第
3磁性層から第1磁性層に情報を転写、記録する時に第
1磁性層・第2磁性層界面に作用する交換力と第2磁性
層の漏洩磁界を利用するので、光変調オーバーライトが
行い易くなる
【0019】請求項3の構成によれば、請求項1及び請
求項2の作用と同様の作用により、光変調オーバライト
記録が行い易くなる
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【実施例】本発明の1実施例について、図1乃至図4に
基づいて説明すれば、以下の通りである。本実施例で用
いる光磁気記録媒体は、図1に示すように、透光性基板
1上に、透光性を有する誘電体層2と、磁性層3(第1
磁性層)と、磁性層4(第2磁性層)と、磁性層5(第
3磁性層)と、保護層6と、オーバーコート層7とを順
次形成した構成になっている。磁性層3〜5は、希土類
金属−遷移金属合金からなっている。磁性層3は、図2
に示すように、磁性層4・5と比較して、低いキュリー
点(Tc1)と、室温で高い保磁力(Hc1)を有してお
り、室温からTc1まで垂直磁化を示す。磁性層4は、磁
性層3のTc1よりも高いキュリー点(Tc2)と、室温で
ほぼゼロの保磁力(Hc2)を有しており、所定温度以上
で垂直磁化を示す。磁性層5は、磁性層3のTc1よりも
高いキュリー点(Tc3)と、室温で磁性層3のHc1より
も低い保磁力(Hc3)を有しており、室温からTc3まで
垂直磁化を示す。
【0028】上記の構成において、記録を行う場合、ま
ず、初期化が行われる。すなわち、図3に示すように、
下向きの初期化磁界(Hinit)を印加することにより、
磁性層5の磁化だけを一方向に揃える。なお、図3で
、遷移金属の副格子磁化が矢印で示されている。上記
初期化は常時、あるいは、記録時にのみに行われる。磁
性層3のHc1はHinitより大きく、磁性層4が磁性層5
と磁性層3の磁気的結合を遮断するため、磁性層5の磁
化の向きが磁性層4を通して磁性層3に転写されること
はなく、磁性層3の磁化の反転は生じない。記録は、H
initよりかなり小さくHinitと同一方向の記録磁界(H
w)を印加しながら、図4に示すように、高レベルIと
低レベルIIに強度変調されたレーザ光を照射すること
により行う。高レベルIのレーザ光が照射されると、磁
性層3・5がともにTc1、Tc3付近またはそれ以上とな
る温度(TH)まで昇温し、低レベルIIのレーザ光が
照射されると、磁性層3だけがTc1付近またはそれ以上
となる温度(TL)まで昇温するように、高レベルIと
低レベルIIとが設定されている。従って、高レベルI
のレーザ光が照射されると、磁性層5の磁化は、Hw
より下向きに反転し、冷却の過程では、磁性層4も垂直
磁化を示すので、界面に作用する交換力により磁性層5
の向きが磁性層4に転写され、さらに磁性層4の磁化の
向きが、界面に作用する交換力と磁性層4の漏洩磁界に
より、磁性層3に転写されることにより、磁性層3の磁
化の向きと磁性層5の向きが一致する。従って、磁性層
3の向きは下向きになる。
【0029】一方、低レベルIIのレーザ光が照射され
ると、磁性層5の磁化は、Hwにより反転することはな
い。冷却の過程では、磁性層4は垂直磁化を示すので、
上記と同様に、界面に作用する交換力により磁性層5の
向きが磁性層4に転写され、さらに磁性層4の磁化の向
きが、界面に作用する交換力と磁性層4の漏洩磁界によ
り、磁性層3に転写されることにより、磁性層3の磁化
の向きと磁性層5の向きが一致する。従って、磁性層3
の磁化の向きは上向きになる。つまり、高レベルIと低
レベルIIのレーザ光でオーバーライトが可能になる。
情報を再生する場合、記録時よりもかなり低いレベルI
Iのレーザ光を照射し、その反射光における偏光面の回
転を検出している。
【0030】以下、光磁気記録媒体の一例として、光磁
気ディスクのサンプルを示す。
【0031】サンプル#1では、透光性の基板1は、外
径86mm、内径15mm、厚さ1.2mmの円盤状の
ガラスからなっている。基板1の片側の表面には、光ビ
ーム案内用の凹凸状のガイドトラックが反応性イオンエ
ッチング法により直接形成されている。トラックピッチ
は、1.6μm、グルーブ(凹部)の幅は0.8μm、
ランド(凸部)の幅は0.8μmであり、反応性イオン
エッチング法により、ガラスに直接形成された。基板1
のガイドトラック側の面上に、反応性スパッタリングに
より、膜厚80nmのAlNからなる誘電体層2と、D
y、Fe、Coターゲットの同時スパッタリングにより
膜厚50nmのDyFeCoからなる磁性層3と、G
d、Fe、Coターゲットの同時スパッタリングにより
膜厚50nmのGdFeCoからなる磁性層4と、G
d、Dy、Fe、Coターゲットの同時スパッタリング
により膜厚50nmのGdDyFeCoからなる磁性層
5と、膜厚80nmのAlNからなる保護層6とを積層
した。
【0032】磁性層3〜5の成膜時のスパッタリング条
件は、到達真空度2.0×10-4Pa以下、Arガス圧
6.5×10-1Pa、放電電力300Wであり、誘電体
層2及び保護層6の成膜時のスパッタリング条件は、到
達真空度2.0×10-4Pa以下、N2ガス圧3.0×
10-1Pa、放電電力800Wである。更に、保護層6
の上にアクリレート系紫外線硬化樹脂をコーティング
し、紫外線照射により硬化させてオーバーコート層7を
形成した。磁性層3は、Dy0.19(Fe0.86Co0.14
0.81、遷移金属リッチ、TC1=170℃、室温でのHC1
=12kOe、磁性層4は、Gd0.28(Fe0.61Co
0.390.72、希土類金属リッチ、TC2≧300℃、T
COPM2=150℃、室温でのHC2<〜0kOe、約80
℃で垂直磁化を示し、磁性層5は、(Gd0.50
0.500.30(Fe0.72Co0.280.70、希土類金属リ
ッチ、TC3=250℃、TCOMP3=210℃、室温での
C3=1.5kOeである。
【0033】サンプル#1の光磁気ディスクに対して、
表1に示すように、Hinit=2.0kOe、記録磁界H
w=500Oe、高レベルIのレーザパワー(PH)=1
0mW、低レベルIIのレーザパワー(PL)=6m
W、レベルIIIの再生レーザパワー(PR)=1m
W、記録ビット長=0.78μmにて記録を行ったとこ
ろ、消し残りのない光変調オーバーライトができ、信号
対雑音比(C/N)=47dBが得られた。これに対
し、従来の2層の磁性層を有する光磁気記録媒体では、
init=3.0kOeにする必要があった。
【0034】次の光磁気ディスクのサンプル#2〜#8
は、磁性層4を除いて、サンプル#1と同一である。サ
ンプル#2の磁性層4は、Gd0.26(Fe0.80
0.200.74、希土類金属リッチ、TC2≧300℃、T
COMP2=130℃、室温でのHC2〜0kOe、約60℃
で垂直磁化を示す。サンプル#3の磁性層4は、Gd
0.27(Fe0.80Co0.200.73、希土類金属リッチ、T
C2=290℃、TCOMP2=140℃、室温でのHC2〜0
kOe、約75℃で垂直磁化を示す。サンプル#4の磁
性層4は、Gd0.27(Fe0.60Co0.400.73、希土類
金属リッチ、TC2≧300℃、TCOMP2=140℃、室
温でのHC2〜0kOe、約80℃で垂直磁化を示す。サ
ンプル#5の磁性層4は、Gd0.28(Fe0.80
0.200.72、希土類金属リッチ、TC2=280℃、T
COMP2=150℃、室温でのHC2〜0kOe、約80℃
で垂直磁化を示す。
【0035】サンプル#6の磁性層4は、Gd0.28(F
0.90Co0.100.72、希土類金属リッチ、TC2=26
0℃、TCOMP2=150℃、室温でのHC2〜0kOe、
約80℃で垂直磁化を示す。サンプル#7の磁性層4
は、Gd0.28(Fe0.65Co0.350.72、希土類金属リ
ッチ、TC2≧300℃、TCOMP2=150℃、室温での
C2〜0kOe、約80℃で垂直磁化を示す。サンプル
#8の磁性層4は、Gd0.29(Fe0.80
0.200.71、希土類金属リッチ、TC2=280℃、T
COMP2=170℃、室温でのHC2〜0kOe、約120
℃で垂直磁化を示す。上記サンプル#2〜#8のいずれ
に対しても、表1に示す記録条件の下で、消し残りのな
い光変調オーバーライトができた。
【0036】次の光磁気ディスクのサンプル#9〜#1
2は、磁性層3を除いて、サンプル#1と同一である。
サンプル#9の磁性層3は、Dy0.21(Fe0.84Co
0.160.79、遷移金属リッチ、TC1=170℃、室温で
のHC1=15kOeである。サンプル#10の磁性層3
は、Dy0.23(Fe0.84Co0.160.77、補償組成、T
C1=150℃、室温でのHC1≧20kOeである。サン
プル#11の磁性層3は、Dy0.23(Fe0.80
0.200.77、補償組成、TC1=165℃、室温でのH
C1≧20kOeである。サンプル#12の磁性層3は、
Dy0.19(Fe0.84Co0.160.81、遷移金属リッチ、
C1=200℃、室温でのHC1=8kOeである。上記
サンプル#9〜#12のいずれに対しても、表1に示す
記録条件の下で、消し残りのない光変調オーバーライト
ができた。
【0037】次の光磁気ディスクのサンプル#13〜#
26は、磁性層5を除いて、サンプル#1と同一であ
る。サンプル#13の磁性層5は、(Gd0.50
0.500.32(Fe0.70Co0.300.69、希土類金属リ
ッチ、TC3=230℃、TCOMP3=220℃、室温での
C3=1.2kOeである。サンプル#14の磁性層5
は、(Gd0.50Dy0.500.30(Fe0.70Co0.30
0.70、希土類金属リッチ、TC3=260℃、TCOMP3
210℃、室温でのHC3=1.4kOeである。サンプ
ル#15の磁性層5は、(Gd0.50Dy0.500.30(F
0.80Co0.200.70、希土類金属リッチ、TC3=25
0℃、TCOMP3=210℃、室温でのHC3=1.2kO
eである。サンプル#16の磁性層5は、(Gd0.50
0.500.30(Fe0.60Co0.400.70、希土類金属リ
ッチ、TC3=290℃、TCOMP3=210℃、室温での
C3=1.2kOeである。
【0038】サンプル#17の磁性層5は、(Gd0.50
Dy0.500.30(Fe0.55Co0.450.70、希土類金属
リッチ、TC3=310℃、TCOMP3=210℃、室温で
のHC3=1.0kOeである。サンプル#18の磁性層
5は、(Gd0.60Dy0.400.30(Fe0.80Co0.20
0.70、希土類金属リッチ、TC3=260℃、TCOMP3
210℃、室温でのHC3=1.2kOeである。サンプ
ル#19の磁性層5は、(Gd0.70Dy0.300.30(F
0.80Co0.200.70、希土類金属リッチ、TC3=28
0℃、TCOMP3=210℃、室温でのHC3=1.0kO
eとなる。サンプル#20の磁性層5は、(Gd0.80
0.200.30(Fe0.80Co0.200.70、希土類金属リ
ッチ、TC3=300℃、TCOMP3=210℃、室温での
C3=0.8kOeとなる。サンプル#21の磁性層5
は、(Gd0.85Dy0.150.30(Fe0.80Co0.20
0.70、希土類金属リッチ、TC3=310℃、TCOMP3
220℃、室温でのHC3=0.5kOeとなる。サンプ
ル#22の磁性層5は、(Gd0.60Dy0.400.31(F
0.70Co0.300.69、希土類金属リッチ、TC3=29
0℃、TCOMP3=230℃、室温でのHC3=1.2kO
eとなる。
【0039】サンプル#23の磁性層5は、Dy
0.28(Fe0.70Co0.300.72、希土類金属リッチ、T
C3=200℃、TCOMP3=180℃、室温でのHC3
2.2kOeとなる。サンプル#24の磁性層5は、D
0.28(Fe0.60Co0.400.72<、希土類金属リッ
チ、TC3=230℃、TCOMP3=185℃、室温でのH
C3=2.3kOeとなる。サンプル#25の磁性層5
は、Dy0.29(Fe0.50Co0.500.69、希土類金属リ
ッチ、TC3=250℃、TCOMP3=190℃、室温での
C3=2.0kOeとなる。サンプル#26の磁性層5
は、Dy0.30(Fe0.50Co0.500.70、希土類金属リ
ッチ、TC3=250℃、TCOMP3=190℃、室温での
C3=1.8kOeとなる。上記サンプル#13〜#2
6のいずれに対しても、表1に示す記録条件の下で、消
し残りのない光変調オーバーライトができた。
【0040】次の光磁気ディスクのサンプル#27は、
磁性層4の膜厚が30nmである点を除いて、サンプル
#1と同一である。上記サンプル#27に対しても、表
1に示す記録条件の下で、消し残りのない光変調オーバ
ーライトができた。また、磁性層4の膜厚をサンプル#
1の磁性層4の膜厚50nmより薄くしたので、記録パ
ルスのデューティーを40%にしても充分記録できた。
サンプル#1の記録パルスのデューティーが60%であ
ったことを考慮すると、サンプル#1よりも記録感度が
向上した。
【0041】本発明の第2実施例について、図5に基づ
いて説明すれば、以下の通りである。なお、説明の便宜
上、前記の実施例の図面に示した部材と同一の機能を有
する部材には、同一の符号を付記し、その説明を省略す
る。本実施例の光磁気記録媒体は、図5に示すように、
誘電体層2と磁性層3との間に磁性層8(第0磁性層)
を設けた点で前記実施例と異なっている。上記の磁性層
8は、磁性層3よりも高いキュリー点(TC0)を有し、
室温での保磁力(HC0)がほぼゼロであり、室温で面内
磁化を示し、所定温度以上で垂直磁化を示す。この構成
では、温度上昇に伴って、温度上昇部位の第0磁性層の
磁化は、面内磁化から垂直磁化に移行する。このとき、
第0磁性層及び第1磁性層の2層間の交換結合力によ
り、第1磁性層の磁化の向きに第0磁性層の磁化の向き
が従う。温度上昇部位が、面内磁化から垂直磁化に移行
すると、温度上昇部位のみが極カー効果を示すようにな
り、該部位からの反射光に基づいて情報が再生される
【0042】以下、光磁気記録媒体の一例として、光磁
気ディスクのサンプルを示す。光磁気ディスクのサンプ
ル#28、#29は、前記サンプル#1の誘電体層2と
磁性層3との間に磁性層830nmを有しており、前記
実施例のサンプル#1の製法と同じ製法で作製された。
サンプル#28の磁性層8は、Gd0.25(Fe0.80Co
0.200.75、希土類金属リッチ、TC0=300℃、補償
点無し、室温でのHC0〜0kOe、約100℃で垂直磁
化を示す。
【0043】サンプル#29の磁性層8は、Gd
0.25(Fe0.80Co0.200.75、希土類金属リッチ、T
C0=300℃、補償点無し、室温でのHC0〜0kOe、
約100℃で垂直磁化を示す。上記サンプル#28、#
29に対しても、表1に示す記録条件の下で、消し残り
のない光変調オーバーライトができた。サンプル#2
8、#29のC/N(信号対雑音比)は49dBであっ
た。サンプル#1のC/Nが47dBであることを考慮
すると、サンプル#1よりも信号品質が向上した。これ
は、TC0>TC1に設定したので、カー回転角が大きくな
ったためと考えられる。
【0044】また、記録ビット長が短くなると、サンプ
ル#1ではC/Nが急激に低下したが、サンプル#2
8、#29ではC/Nがあまり低下しなかった。これ
は、磁性層8が室温で面内磁化を示し、レベルIIIの
再生レーザパワーのレーザ光を照射すると垂直磁化を示
すようになるので、短い記録ビットであっても、隣接記
録ビットからの影響を受けずに再生できるためと考えら
れる。
【0045】以上の第1及び第2実施例において、サン
プル#1〜#29の基板1として、ガラスを用いたが、
これ以外にも、化学強化されたガラス、これらのガラス
基板上に紫外線硬化型樹脂層を形成した、いわゆる2P
層付きガラス基板、ポリカーボネート(PC)、ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)、アモルファスポリオ
レフィン(APO)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化
ビフェニール(PVC)、エポキシ等の基板1を使用す
ることが可能である。
【0046】上記透明誘電体層2のAlNの膜厚は、8
0nmに限定されるものではない。透明誘電体層2の膜
厚は、光磁気ディスクを再生する際、磁性層3あるいは
磁性層8からの極カー回転角を光の干渉効果を利用して
増大させる、いわゆるカー効果エンハンスメントを考慮
して決定される。再生時のC/Nをできるだけ大きくさ
せるには、極カー回転角を大きくさせることが必要であ
り、このため透明誘電体層2の膜厚は、極カー回転角が
最も大きくなるように設定される。
【0047】この膜厚は、再生光の波長、透明誘電体層
2の屈折率により変化する>。<本実施例の場合は、A
lNの屈折率は2.0であるので、再生光の波長が78
0nmの場合、透明誘電体層2のAlNの膜厚を30〜
120nm程度にすると、カー効果エンハンスメントの
効果が大きくなる。尚、好ましくは透明誘電体層2のA
lNの膜厚は、70〜100nmであり、この範囲であ
れば極カー回転角がほぼ最大になる。
【0048】また、再生光の波長が400nmの場合、
上記透明誘電体層2の膜厚を半分(=400/780)
にすれば良い。更に、材料の違い、あるいは、製法によ
り透明誘電体層2の屈折率が上記とは異なる場合、屈折
率と膜厚を乗じた値(光路長)が同じになるように、透
明誘電体層2の膜厚を設定すれば良い。
【0049】上記の説明からわかるように、透明誘電体
層2の屈折率は大きいほど、その膜厚は少なくて済む。
また屈折率が大きいほど、極カー回転角のエンハンス効
果も大きくなる。
【0050】AlNは、スパッタ時のスパッタガスであ
るArとN2の比率、ガス圧力等を変えることにより、
その屈折率が変わるが、おおむね1.8〜2.1程度と
屈折率が比較的大きな材料であり、透明誘電体層2の材
料として好適である。また、透明誘電体層2は上記のカ
ー効果エンハンスメントだけでなく、保護層6ととも
に、磁性層3〜5、あるいは、磁性層8、3〜5の希土
類金属−遷移金属合金磁性層の酸化を防止する役割があ
る。
【0051】希土類金属−遷移金属合金からなる磁性膜
は、非常に酸化されやすく、特に希土類金属が酸化され
やすい。このため外部からの酸素、水分侵入を極力防止
しなければ、酸化によりその特性が著しく劣化してしま
う。そのため、サンプル#1〜#29においては、磁性
層3〜5、あるいは、磁性層8、3〜5の両側をAlN
で挟み込む形の構成を取っている。AlNは、その成分
に酸素を含まない窒化膜であり、非常に耐湿性に優れた
材料である。更に、AlNは、Alターゲットを用い
て、N2ガスもしくはArとN2の混合ガスを導入して反
応性DC(直流電源)スパッタリングを行うことが可能
であり、RF(高周波)スパッタに比べて成膜速度が大
きい点でも有利である。
【0052】AlN以外の透明誘電体層2の材料として
は、SiN、AlSiN、AlTaN、SiAlON、
TiN、TiON、BN、ZnS、TiO2、BaTi
3、SrTiO3等が好適である。このうち、特に、S
iN、AlSiN、AlTaN、TiN、BN、ZnS
は、その成分に酸素を含まず、耐湿性に優れた光磁気デ
ィスクを提供することができる。
【0053】磁性層3のDyFeCoの組成、磁性層4
のGdFeCoの組成、磁性層5のGdDyFeCoの
組成は、上記の組成に限定されるものではない。磁性層
3〜5の材料として、Gd、Tb、Dy、Ho、Ndか
ら選ばれた少なくとも1種の希土類金属とFe、Coか
ら選ばれた少なくとも1種の遷移金属からなる合金を使
用しても、同様の効果が得られる。
【0054】上記材料に、Cr、V、Nb、Mn、B
e、Ni、Ti、Pt、Rh、Cuのうち少なくとも1
種類の元素を添加すると、磁性層3〜5自体の耐環境性
が向上する。すなわち、水分、酸素侵入による磁性層3
〜5の酸化による特性の劣化を少なくし、長期信頼性に
優れた光磁気ディスクを提供することができる。磁性層
3〜5の膜厚は、磁性層3〜5の材料、組成、膜厚との
兼ね合いで決まるものである。磁性層3の膜厚は、20
nm以上、より好ましくは30nm以上であり、あまり
厚すぎると磁性層5の情報が転写されなくなるので、1
00nm以下が好適である。磁性層4の膜厚は、5nm
以上、より好ましくは10〜50nmであり、あまり厚
すぎると磁性層5の情報が転写されなくなるので、10
0nm以下が好適である。磁性層5の膜厚は、20nm
以上、より好ましくは30〜100nmであり、あまり
厚すぎると磁性層5の情報が転写されなくなるので、2
00nm以下が好適である。
【0055】なお、磁性層3のTC1が100℃未満の場
合、C/Nがデジタル記録再生で最低限必要とされてい
る45dBを下まわる。また、TC1が250℃を越える
場合、記録感度が悪くなる。このため、磁性層3のTC1
は100℃〜250℃が適当である。さらに、磁性層3
の室温でのHC1が5kOe未満の場合、Hinitにより一
部が初期化される恐れがある。このため、磁性層3の室
温でのHC1は5kOe以上が適当である。
【0056】磁性層4の垂直磁化を示す温度が80℃未
満の場合、室温と、PRのレーザ光が照射されたときの
温度との間の温度で、磁性層5から磁性層4への磁化の
転写、、磁性層4から磁性層3への磁化の転写が起こ
る。したがって、Hinitにより磁性層5だけでなく磁性
層3も初期化され、記録を行うことができない。このた
め、磁性層4の垂直磁化を示す温度は80℃以上が適当
である。
【0057】さらに、磁性層4のTC2が磁性層3のTC1
未満の場合、光変調オーバーライト時に磁化の転写がう
まく行われない。このため、磁性層4のTC2はTC1以上
が適当である。
【0058】磁性層5のTC3が150℃未満の場合、P
LとP>R<との差が小さくなるので、うまく光変調オ
ーバーライトが行われない。また、TC3が400℃を越
える場合、記録感度が悪くなる。このため、磁性層5の
C3は150℃〜400℃が適当である。さらに、磁性
層5の室温でのHC3が3kOeを越える場合、Hinit
発生装置が大型になり、好ましくない。このため、磁性
層5の室温でのHC3は3kOe以下が適当である。
【0059】さらに、磁性層4のTCOMP2が磁性層5の
COMP3より低い場合、高レベルIのレーザ光の強度の
マージン、低レベルIIのレーザ光の強度のマージンが
大きくなり、好ましい
【0060】保護層6のAlNの膜厚は、本実施例では
80nmとしたが、これに限定するものではない。保護
層6の膜厚の範囲としては、1〜200nmが好適であ
る。本実施例においては、磁性層3〜5あるいは、磁性
層3〜5・8を合わせた膜厚は100nm以上であり、
この膜厚になると光ピックアップから入射した光はほと
んど磁性層を透過しない。したがって、保護層6の膜厚
に特に制限はなく、磁性層の酸化を長期に渡って防止す
るに必要な膜厚であれば良い。酸化防止能力が低い材料
であれば膜厚を厚く、高ければ薄くすれば良い。
【0061】保護層6は、透明誘電体層2とともにその
熱伝導率が、光磁気ディスクの記録感度特性に影響を及
ぼす。記録感度特性とは、記録、あるいは消去に必要な
レーザパワーがどの程度必要かを意味する。光磁気ディ
スクに入射された光はそのほとんどが、透明誘電体層2
を通過し、吸収膜である磁性層3〜5あるいは、磁性層
3〜5・8に吸収されて、熱に変わる。このとき、磁性
層3〜5あるいは、磁性層3〜5・8の熱が透明誘電体
層2、保護層6に熱伝導により移動する。従って、透明
誘電体層2、保護層6の熱伝導率および熱容量(比熱)
が記録感度に影響を及ぼす。
【0062】このことは、光磁気ディスクの記録感度を
保護層6の膜厚である程度制御できるということを意味
し、例えば、記録感度を上げる(低いレーザパワーで記
録消去が行える)目的であれば保護層6の膜厚を薄くす
れば良い。通常は、レーザ寿命を延ばすため、記録感度
はある程度高い方が有利であり、保護層6の膜厚は薄い
方が良い。
【0063】AlNはこの意味でも好適で、耐湿性に優
れるので、保護層6として用いた場合、膜厚を薄くする
ことができ、記録感度の高い光磁気ディスクを提供する
ことができる。本実施例では、保護層6を透明誘電体層
2と同じAlNとすることで、耐湿性に優れた光磁気デ
ィスクを提供でき、かつ保護層6と透明誘電体層2を同
じ材料で形成することで、生産性も向上させることがで
きる。
【0064】また、保護層6の材料としては、AlN以
外に、前述の目的、効果を考慮すれば、上述の透明誘電
体層2の材料として用いられる、SiN、AlSiN、
AlTaN、SiAlON、TiN、TiON、BN、
ZnS、TiO2、BaTiO3、SrTiO3が好適で
ある。このうち特にSiN、AlSiN、AlTaN、
TiN、BN、ZnSは、その成分に酸素を含まず、耐
湿性に優れた光磁気ディスクを提供することができる。
【0065】サンプル#1〜#29の光磁気ディスク
は、一般に片面タイプと呼ばれる。透明誘電体層2、磁
性層3〜5(あるいは、磁性層3〜5・8)、保護層6
の薄膜部分を総じて記録媒体層と称することにすると、
片面タイプの光磁気ディスクは、基板1、記録媒体層、
オーバーコート層7の構造となる。これに対して、基板
1の上に記録媒体層を形成したものを2枚、記録媒体層
が対向するように接着層で接着した光磁気ディスクは、
両面タイプと呼ばれている。
【0066】接着層の材料はポリウレタンアクリレート
系接着剤が特に良い。この接着剤は紫外線、熱及び嫌気
性の3タイプの硬化機能が組み合わされたものであり、
紫外線が透過しない記録媒体の影になる部分の硬化が、
熱及び嫌気性硬化機能により硬化されるという利点を持
っており、極めて高い耐湿性を有し長期安定性に極めて
優れた光磁気ディスクを提供することができる。
【0067】片面タイプは、両面タイプと比べて素子の
厚みが半分で済むため、例えば小型化が要求される記録
再生装置に有利である。両面タイプは、両面再生が可能
なため、例えば大容量を要求される記録再生装置に有利
である。
【0068】以上の実施例では、光磁気記録媒体として
光磁気ディスクを例に説明したが、光磁気テープ、光磁
気カードにも本発明を応用できる。
【0069】
【0070】
【0071】第1磁性層が、キュリー点が100℃〜2
50℃、室温での保磁力が5kOe以上であり、第2磁
性層、垂直磁化を示す温度が80℃以上であり、第3
磁性層、キュリー点が150〜400℃であり、室温
での保磁力が3kOe以下である構成であれば、記録時
の温度が80℃以上であれば第1磁性層と第3磁性層の
磁気的結合が起こる。また、このとき、第2磁性層のキ
ュリー点が第1磁性層のキュリー点以上であるので、第
3磁性層に記録された情報は必ず第1磁性層に転写され
る。さらに、第3磁性層のキュリー点が150〜400
℃であり、室温での保磁力が3kOe以下であるので、
初期化磁場は3kOe以下になるという効果を奏する
【0072】第1磁性層の組成は、室温で遷移金属リッ
チもしくは補償組成となるように設定されており、第2
磁性層の組成は、室温で希土類金属リッチであり、補償
点が100℃〜250℃となるように設定されており、
第3磁性層の組成は、室温で希土類金属リッチであり、
補償点が100℃〜300℃となるように設定され、さ
らに、第2磁性層の補償点は、第3磁性層の補償点以下
である構成であれば、第3磁性層は、室温から補償点ま
では希土類金属支配の磁化の向きを示し、補償点からキ
ュリー点までは遷移金属支配の磁化の向きを示す。即
ち、記録された磁 化の向きは室温で反転するので、初期
化磁場の向きと記録磁場の向きを同じにすることが可能
となるという効果を奏する。さらに、光変調オーバーラ
イトを行い易いという効果を奏する
【0073】
【0074】第1磁性層はDyFeCoからなり、第2
磁性層はGdFeCoからなり、第3磁性層はGdDy
FeCoもしくはDyFeCoからなる構成であれば、
希土類金属の組成比で室温の保磁力、磁化の向きを決定
することが可能となり、Fe/Coの比でキュリー点、
補償点を決定することが可能となるという効果を奏す
【0075】
【0076】第1磁性層はDya(FebCo1-b1-a
らなり、第2磁性層はGdc(FedCo1-d1-cからな
り、第3磁性層は(GdeDy1-eg(FefCo1-f
1-gもしくは、DyH(FeiCo1-i1-hからなり、
a、b、c、d、e、f、g、h、iは、それぞれ、
0.18≦a≦0.25、0.70≦b≦0.90、
0.26≦c≦0.32、0.50≦d≦0.90、
0.10≦e≦0.95、0.30≦f≦0.90、
0.28≦g≦0.33、0.28≦h≦0.33、
0.30≦i≦0.80を満足するように設定されてい
構成であれば、適度なレーザパワー、初期化磁場、記
録磁場により記録することが可能となる上に、デジタル
記録に必要とされる再生信号品質を確保することが可能
となるという効果を奏する
【0077】
【0078】第1磁性層の膜厚が20nm〜100n
m、第2磁性層の膜厚が5nm〜50nm、第3磁性層
の膜厚が20nm〜200nmである構成であれば、適
度なレーザパワー、初期化磁場、記録磁場により記録す
ることが可能となる上に、デジタル記録に必要とされる
再生信号品質を確保することが可能となるという効果を
奏する
【0079】
【0080】第1磁性層の、第2磁性層が形成されてい
る面とは反対側の面に第0磁性層が形成されており、上
記の第0磁性層は、第1磁性層よりも高いキュリー点を
有し、室温での保磁力がほぼゼロであり、室温で面内
を示し、所定温度以上で垂直磁化を示す構成であれ
ば、上記の光変調オーバーライト記録が可能となる上
に、再生動作時に、雑音の原因となり、再生の分解能を
低下させる隣接ビットからの信号混入がなくなる。した
がって、従来より小さな記録ビットの再生が行え、記録
密度は著しく向上するという効果を奏する
【0081】
【0082】
【0083】
【表1】
【0084】
【発明の効果】請求項1の構成によれば、第2磁性層
は、室温では第1磁性層と第3磁性層の磁気的結合が起
こらず、記録時には第1磁性層と第3磁性層の磁気的結
合が起こ るため、光変調オーバライトが可能となる。ま
た、第3磁性層は補償点をもつので、室温から補償点ま
では希土類金属支配の磁化の向きを示し、補償点からキ
ュリー点までは遷移金属支配の磁化の向きを示す。即
ち、記録時の高温で記録された磁化の向きは室温で反転
するので、初期化磁場の向きと記録磁場の向きを同じに
することが可能となりなる。さらに、第2磁性層の補償
温度が、第1磁性層のキュリー温度よりも低いので、光
変調オーバーライトが行い易くなる
【0085】請求項2の構成によれば、第2磁性層・第
3磁性層から第1磁性層に情報を転写、記録する時に第
1磁性層・第2磁性層界面に作用する交換力と第2磁性
層の漏洩磁界を利用するので、光変調オーバーライトが
行い易くなる
【0086】請求項3の構成によれば、請求項1及び請
求項2の作用と同様の作用により、光変調オーバライト
記録が行い易くなる
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例で用いる光磁気ディスクの
概略の構成を示す断面図である。
【図2】図1の光磁気ディスクにおける各磁性層の保磁
力の温度依存性を示す説明図である。
【図3】図1の光磁気ディスクにおける記録プロセスを
示す説明図である。
【図4】図1の光磁気ディスクに照射されるレーザ光の
強度を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施例で用いる光磁気ディスクの
他の概略の構成を示す断面図である。
【図6】従来の光磁気ディスクにおける記録プロセスを
示す説明図である。
【図7】図6の光磁気ディスクにおける各磁性層の保磁
力の温度依存性を示す説明図である。
【符号の説明】
1 基板 2 誘電体層 3 磁性層(第1磁性層) 4 磁性層(第2磁性層) 5 磁性層(第3磁性層) 6 保護層 7 オーバーコート層 8 磁性層(第0磁性層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G11B 11/105 586 G11B 11/105 586D (72)発明者 片山 博之 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 高橋 明 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (72)発明者 太田 賢司 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−316343(JP,A) 特開 平6−251443(JP,A) 特開 平7−6420(JP,A) 特開 平7−130014(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遷移金属リッチな希土類金属―遷移金属
    合金からなり、室温からキュリー温度まで垂直磁化を示
    す第1磁性層と、 補償温度が第1磁性層のキュリー温度以下で、キュリー
    温度が第1磁性層及び第3磁性層のキュリー温度より高
    く設定された室温で希土類金属リッチな希土類金属―遷
    移金属合金からなり、室温で面内磁化を示し所定温度以
    上で垂直磁化を示す第2磁性層と、 補償温度が第1の磁性層のキュリー温度より高く設定さ
    れ室温での保磁力が第1磁性層よりも低い室温で希土類
    金属リッチな希土類金属―遷移金属合金からなり、室温
    からキュリー温度まで垂直磁化を示す第3磁性層と、を
    有してなることを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 遷移金属リッチな希土類金属―遷移金属
    合金からなり、室温からキュリー温度まで垂直磁化を示
    す第1磁性層と、 補償温度が第1磁性層のキュリー温度以下で、キュリー
    温度が第1磁性層及び第3磁性層のキュリー温度より高
    く設定された室温で希土類金属リッチな希土類金属―遷
    移金属合金からなり、室温で面内磁化を示し所定温度以
    上で垂直磁化を示す第2磁性層と、 補償温度が第1の磁性層のキュリー温度より高く設定さ
    れ室温での保磁力が第1磁性層よりも低い室温で希土類
    金属リッチな希土類金属―遷移金属合金からなり、室温
    からキュリー温度まで垂直磁化を示す第3磁性層と、を
    有してなる光磁気記録媒体に対して情報を記録する記録
    方法において、 初期化磁界を印加して、第3磁性層の磁化の向きを一方
    向に向けた後、前記初期化磁界と同一方向の記録磁界 を印加しながら、 高レベルのレーザ光を照射して第3磁性層をキュリー温
    度付近またはそれ以上の温度まで昇温して、第3磁性層
    の磁化方向を前記記録磁界に応じた磁化方向とし、そこ
    からの冷却過程において第2磁性層を介した交換力及び
    第2磁性層の漏洩磁界により第1磁性層に磁化方向を転
    写し、若しくは、 低レベルのレーザ光を照射して第1磁性層をキュリー温
    度付近またはそれ以上に昇温して、そこからの冷却過程
    で第3磁性層の磁化の向きを第2磁性層を介した交換力
    及び第2磁性層の漏洩磁界により第1磁性層に転写する
    ことを特徴とする光磁気記録媒体の記録方法。
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