JPH0863808A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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JPH0863808A
JPH0863808A JP20403494A JP20403494A JPH0863808A JP H0863808 A JPH0863808 A JP H0863808A JP 20403494 A JP20403494 A JP 20403494A JP 20403494 A JP20403494 A JP 20403494A JP H0863808 A JPH0863808 A JP H0863808A
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magnetic
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JP20403494A
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Hiroyuki Katayama
博之 片山
Junichiro Nakayama
純一郎 中山
Akira Takahashi
明 高橋
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 希土類金属−遷移金属合金からなる第1〜第
3磁性層を設け、初期化磁界印加後、記録磁界HW を印
加しながら光ビーム10を照射し、記録磁界よりも第3
磁性層5の保磁力が低下した高温記録温度領域で第3磁
性層5の磁化方向を反転させ、その後、室温状態への冷
却の過程で第3磁性層5の磁化方向を第2磁性層4を介
して第1磁性層に転写させ情報の記録を行う光磁気記録
媒体において、第2磁性層4と第3磁性層5とを、高温
記録温度領域における各優勢副格子磁化の極性が互いに
逆極性となるように設定する。 【効果】 高温記録温度領域で第2磁性層4の磁化方向
は記録磁界HW の方向に沿う状態で保持される。この結
果、第3磁性層5の磁化反転が第2磁性層4に格別影響
されずに安定して行われ、良好な再生信号特性を得るこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば光磁気ディス
ク、光磁気テープ、光磁気カード等の光磁気記録媒体に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】磁性体からなる垂直磁化膜が情報の記録
層として基板上に設けられた光磁気ディスクでは、以下
の方法で情報の記録・再生が行われる。記録の際には、
まず、強力な外部磁場によって記録層の磁化の方向を一
方向(上向き、または下向き)に揃えて初期化した後、
記録したいエリアにレーザ光を照射し、照射部分の温度
を記録層のキュリー点近傍以上、もしくは補償点近傍以
上の温度まで昇温させる。これにより、その部分の保磁
力をゼロ、または、ほとんどゼロとした上で、初期化時
とは逆向きの外部磁場(バイアス磁場)を印加して磁化
の向きを反転させる。レーザ光の照射を止めると記録層
の温度は常温に戻るので、反転した磁化の向きが固定さ
れる。このようにして、情報が熱磁気的に記録される。
【0003】再生の際には、直線偏光したレーザ光をデ
ィスクに照射し、その反射光や透過光の偏光面が記録層
の磁化の向きに応じて回転する現象(磁気カー効果、磁
気ファラデー効果)を利用して、光学的な情報の読み出
しが行われる。
【0004】一方、上記のような光磁気記録方式で情報
の記録が行われる光磁気ディスクは、書き換え可能な大
容量記憶素子としても注目されている。この場合に、比
較的強度の小さな初期化磁界により初期化を行った後、
記録磁界を印加しながら光強度を変調して情報の書き換
えを行い得る光磁気ディスク、いわゆる光変調オーバー
ライト可能な光磁気ディスクとして、記録層と記録補助
層とから成る交換結合二層膜で構成したものが、例え
ば、Jap.Jour.Appl.Phys.,Vol.28(1989)Suppl.28-3,pp.
367-370 等で提案されている。
【0005】しかしながら、上記の構成では、記録層と
記録補助層との界面結合力が大きいために、初期化磁界
の強度をそれほど小さくすることができないという問題
点を有している。これは、初期化磁界を小さくするよう
な交換結合二層膜の組合せでは、オーバーライトが不可
能になるためである。
【0006】そこで、初期化磁界をより小さくするため
に、特開昭63−239637号公報には、記録層と記
録補助層との間に、室温で面内磁化を示す材料から成る
中間層をさらに設けた構成が開示されている。しかしな
がら、この場合、オーバーライト時における記録補助層
から記録層への磁気転写が、面内磁化を示す中間層のた
めに円滑に行われず、この結果、記録ビットが安定せず
に良好なオーバーライト動作を得ることができないとい
う問題点を有している。
【0007】一方、特公平5−22303号公報には、
初期化磁界をより小さくし、かつ、記録ビットの安定性
を向上するために、図9(a)に示すように、記録層と
しての第1磁性層11と、記録補助層としての第3磁性
層13との間に、中間層として、室温で面内磁化を示す
と共に温度の上昇に伴って垂直磁化を示す第2磁性層1
2を設けた構成の光磁気ディスクが開示されている。
【0008】第1・第3磁性層11・13は、それぞ
れ、希土類金属−遷移金属合金から成り、室温から各キ
ュリー点まで垂直磁化を示すと共に、同図(b)に示す
ように、第3磁性層13は、その室温での保磁力HL
第1磁性層11の保磁力HH よりも小さく、キュリー点
H は、第1磁性層11のキュリー点TL よりも高いも
のが選定されている。また、第2磁性層12も希土類金
属−遷移金属合金から成る構成が例示され、そのキュリ
ー点TM は、図示してはいないが、第1・第3磁性層1
1・13の各キュリー点TL ・TH の間に設定されてい
る。
【0009】ここで、上記の光磁気ディスクにおけるオ
ーバーライトの手順につき簡単に説明する。同図(a)
に示すように、まず、室温状態で、第1・第3磁性層1
1・13の各室温での保磁力HH ・HL の間の大きさの
初期化磁界Hinitが印加される。これにより、第3磁性
層13の磁化のみが初期化磁界Hinitに沿って一方向に
揃えられる。
【0010】このとき、第2磁性層12は室温で面内磁
化を示すため、第1磁性層11と第3磁性層13との磁
気的結合力(交換力)による結合を妨げ、これにより、
初期化磁界Hinitの大きさをより小さくして、上記のよ
うに第3磁性層13の磁化方向のみを一方向に揃えるこ
とが可能となっている。
【0011】次いで、初期化磁界Hinitよりも小さく、
かつ、方向が反対の記録磁界Hw を印加しながら、記録
しようとする情報に応じて高レベルIと低レベルIIに強
度変調されたレーザ光が照射される。
【0012】高レベルIのレーザ光が照射されると、照
射部分は、第1・第2磁性層11・12のキュリー点T
L ・TM を超え、第3磁性層13のキュリー点TH 付近
の高温記録温度領域まで上昇する。これにより、第3磁
性層13の磁化は、記録磁界Hw に沿って反転し、そし
て、室温へと降温する過程で、垂直磁化を示す第2磁性
層12に、第3磁性層13の磁化方向が界面に作用する
交換力により転写され、さらに第1磁性層11に転写さ
れる。
【0013】一方、低レベルIIのレーザ光が照射される
と、照射部分は第1磁性層11のキュリー点TL 付近の
低温記録温度領域までしか昇温せず、このとき、第3磁
性層13は、その保磁力が記録磁界Hw より大きいため
に、その磁化方向の反転は生じず、初期化時の磁化方向
で保持される。そして、室温へと降温する過程で、上記
と同様に、界面に作用する交換力により、第3磁性層1
3の磁化の方向が、第2磁性層12を介して第1磁性層
11に転写される。
【0014】このような手順にて、強度変調されたレー
ザ光に応じた新たな記録情報が、第1磁性層11に書き
込まれる。なお、記録情報の再生は、上記した低レベル
IIよりもさらに小さいレベルに強度設定されたレーザ光
を照射することによって行われる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
公平5−22303号公報記載の光磁気記録媒体では、
特に高温記録温度領域での記録ビット形成が安定して行
われず、良好な信号品質のものを得難いという問題点を
有している。
【0016】つまり、上記の光磁気記録媒体では、室温
で面内磁化、温度の上昇に伴って垂直磁化を示す特性の
第2磁性層(中間層)12を形成するために、この中間
層12は、そのキュリー点が第3磁性層13のキュリー
点付近、すなわち、高温記録温度領域付近に設定されて
いる。この場合、キュリー点付近でともに減少を来す磁
壁エネルギーσw と静磁エネルギーを支配する磁化Ms
との競合でもって決定される中間層12と第3磁性層1
3との間で働く交換力(=σw /2Ms h、h:膜厚)
の制御は極めて微妙なものとなる。
【0017】このため、上記の交換力が、高温記録温度
領域での第3磁性層13の磁化方向の反転に大きく影響
する状態となり易い。例えば、高温記録温度領域近くま
で昇温したときの中間層12の磁化方向が記録磁界の方
向と逆であるときには、レーザ光照射部における周辺領
域等で、この中間層12に記録磁界によって磁化が反転
する部分や反転しない部分を生じる。このように磁化方
向が一定しない中間層12からの交換力の作用状態で
は、第3磁性層における磁化反転領域が不安定なものと
なり、形成されるビット形状が乱れ易くなって、信号品
質が低下する。
【0018】本発明は、円滑な光変調オーバーライトが
可能であるとともに、良好なビット形成によって高いS
/Nが得られ、さらに信頼性を向上し得る光磁気記録媒
体を提供することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の請求項1記載の光磁気記録媒体は、それ
ぞれ希土類金属−遷移金属合金からなる第1〜第3磁性
層が順次積層され、室温で初期化磁界を印加して第3磁
性層の磁化方向を一方向に揃えた後、記録磁界を印加し
ながら強度変調された光ビームを照射し、記録磁界より
も第3磁性層の保磁力が小さくなる高温記録温度領域に
昇温させたとき第3磁性層に磁化反転を生じさせ、その
後、室温への冷却の過程で第2磁性層を介して第3磁性
層の磁化方向を第1磁性層に転写させて情報の記録が行
われる光磁気記録媒体において、上記第1磁性層は室温
での保磁力が第3磁性層よりも大きくかつ第3磁性層よ
りも低いキュリー点を有すると共に、これら第1・第3
磁性層はそれぞれ室温からキュリー点まで垂直磁化を示
す一方、第2磁性層は室温で面内磁化を示すと共に第1
磁性層の保磁力が第3磁性層の保磁力よりも小さくなる
温度領域で垂直磁化を示す特性を備え、上記第2磁性層
と第3磁性層とは、上記高温記録温度領域における各優
勢副格子磁化の極性が互いに逆極性となるように設定さ
れていることを特徴としている。
【0020】請求項2記載の光磁気記録媒体は、請求項
1記載の光磁気記録媒体において、上記第2磁性層が室
温より高い温度領域に補償点を有すると共に、第1磁性
層はDyFeCoからなり、第2磁性層はGdFeCoからなり、第
3磁性層はGdFeCoもしくはDyFeCoからなることを特徴と
している。
【0021】請求項3記載の光磁気記録媒体は、請求項
2記載の光磁気記録媒体において、第1磁性層の組成を
Dya ( Feb Co1-b )1-a、第2磁性層の組成をGdc ( Fed
Co1- d )1-c、第3磁性層の組成を( Gde Dy1-e ) g ( Fe
f Co1-f )1-g、もしくは、Dyh ( Fei Co1-i )1-hとする
とき、a、b、c、d、e、f、g、h、iは、それぞ
れ、 0.18≦a≦0.25、0.70≦b≦0.90、0.20≦c
≦0.35、0.60≦d≦0.90、0.40≦e≦0.95、
0.30≦f≦0.90、0.28≦g≦0.35、0.15≦h
≦0.33、0.50≦i≦0.95 に設定されていることを特徴としている。
【0022】
【作用】請求項1記載の光磁気記録媒体においては、室
温で初期化磁界を印加して第3磁性層の磁化方向を一方
向に揃えた後に、高温記録温度領域に昇温させるため、
高強度の光ビームが照射されると、その昇温の過程で、
まず、第2磁性層が面内磁化から垂直磁化に移行する。
このときの磁化方向は、第3磁性層からの交換結合力に
従う向き、すなわち、第2磁性層と第3磁性層とにおけ
る同一極性の副格子磁化が互いに同じ方向に揃う向きと
なる。
【0023】その後さらに昇温し、高温記録温度領域付
近に達すると、この温度領域では、第2磁性層と第3磁
性層との優勢副格子磁化が互いに逆の構成であるため、
第2磁性層のトータル磁化の方向は、第3磁性層とは逆
になる。すなわち、第2磁性層の磁化方向は、初期化磁
界で一方向に揃えられた第3磁性層の磁化の反転を生じ
させる記録磁界の向きと同一方向となる。このため、第
2磁性層の磁化方向の反転は生じずに記録磁界に沿う方
向で保持され、この状態で、第3磁性層の磁化の反転の
みが生じることになる。
【0024】その後、室温へと降温する過程で第3磁性
層の磁化方向が第2磁性層を介して第1磁性層に転写さ
れ、高強度光ビームに応じた情報の記録が行われる。
【0025】このように、上記では、高温記録温度領域
での第2磁性層の磁化の向きは記録磁界の向きと同一方
向で維持され、この状態で、第3磁性層の磁化の反転の
みが生じ、したがって、記録ビット形成過程は第3磁性
層によって支配される。
【0026】この第3磁性層は、予め記録特性に優れ
た、言い換えると奇麗なビットが形成し易いように設計
可能であり、この第3磁性層での磁化反転が第2磁性層
の磁化方向の変化に影響されずに生じることにより、記
録ノイズが抑えられた良好な再生信号特性を有するもの
を得ることができる。
【0027】請求項2記載の光磁気記録媒体において
は、第2磁性層が室温より高い温度領域に補償点を有し
ている。これにより、室温で面内磁化を呈し、所定温度
以上で垂直磁化を呈する第2磁性層の特性をより確実に
得ることができる。
【0028】すなわち、第2磁性層における磁化の向き
は、磁性層自身が有する磁化を垂直に向けようとする垂
直磁気異方性エネルギーKuと、反対に磁化を面内に向
けようとする薄膜形状異方性エネルギーMs2 /2μ0
との競合によって決まるため、上記のような磁化の向き
の温度特性を実現しようとすると、室温域でKu<Ms
2 /2μ0 、高温域でKu>Ms2 /2μ0 となること
が必要である。この場合、Kuが温度に対して単調減少
することを考えると、高温域でMsが急速に小さくなる
ような、言い換えるとMsがゼロとなる補償点が室温以
上となるように第2磁性層を設計するほうが容易であ
る。この結果、特性のばらつき等が抑えられるので信頼
性が向上する。
【0029】そして、上記のように室温で面内磁化、温
度上昇に伴って垂直磁化を示す第2磁性層には、垂直磁
気異方性エネルギーKuと、薄膜形状異方性エネルギー
Ms2 /2μ0 との温度バランス設計の容易なGdFeCo
を、記録特性を重視した第3磁性層にはDyFeCoもしくは
GdDyFeCoを、一方、室温での保磁力が大きくかつ読み出
し性能にも優れた第1磁性層にはDyFeCoを適用するとよ
い。特に、請求項3記載の光磁気記録媒体のように各磁
性層の組成を定めることによって、上記の特性をより確
実に実現することができる。
【0030】
【実施例】
〔実施例1〕本発明の具体的な実施例について図1ない
し図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。本実
施例に係る光磁気記録媒体としての光磁気ディスクは、
図2に示すように、透光性の基板1上に、誘電体層2
と、記録層としての第1磁性層3と、中間層としての第
2磁性層4と、記録補助層としての第3磁性層5と、保
護層6と、オーバーコート層7とを順次積層して構成さ
れている。
【0031】基板1は、例えば外径86mm、内径15
mm、厚さ1.2mmの円盤状のガラス板からなってお
り、この基板1の片側の面(図において下側の面)に
は、図示してはいないが、光ビーム案内用の凹凸状のガ
イドトラックが反応性イオンエッチング法により形成さ
れている。トラックピッチは1.6μm、グルーブ(凹
部)の幅は0.8μm、ランド(凸部)の幅は0.8μmで
ある。この基板1のガイドトラック形成面上に、膜厚8
0nmのAlNからなる透光性を有する誘電体層2が、反
応性スパッタリングにより形成されている。
【0032】誘電体層2上の第1磁性層3は、希土類金
属−遷移金属合金であるDyFeCoからなっており、Dy、F
e、Coターゲットの同時スパッタリングによって膜厚5
0nmで形成されている。その組成はDy0.21(Fe0.81Co
0.19)0.79で、希土類金属リッチである。また、図3に
示すように、後述する第2・第3磁性層4・5と比較し
て、室温で高い保磁力HC1(=1200kA/m)と、
低いキュリー点TC1(=170℃)とを有しており、室
温からTC1まで垂直磁化を示す特性を備えている。
【0033】上記の第1磁性層3上に設けられている前
記第2磁性層4は、希土類金属−遷移金属合金であるGd
FeCoからなっており、Gd、Fe、Coターゲットの同時スパ
ッタリングにより膜厚50nmで形成されている。その
組成はGd0.28(Fe0.61Co0.39)0.72で、希土類金属リッチ
であり、キュリー点TC2は第1磁性層3のキュリー点T
C1よりも高く、300℃以上である。また、補償点T
comp2 は150℃であり、室温での保磁力HC2はほぼゼ
ロである。室温では面内磁化となる特性を示し、温度の
上昇に伴って、約80℃で垂直磁化となる特性を備えて
いる。なお、図3では、この面内磁化となる範囲を破線
で示している。
【0034】第2磁性層4上の前記第3磁性層5は、希
土類金属−遷移金属合金であるGdDyFeCoからなり、Gd、
Dy、Fe、Coターゲットの同時スパッタリングにより膜厚
50nmで形成されている。その組成は(Gd0.50Dy0.50)
0.33(Fe0.72Co0.28)0.67で、希土類金属リッチである。
キュリー点TC3は、第1磁性層3のキュリー点TC1より
も高く、220℃である。また、室温での保磁力H
C3は、第1磁性層3の保磁力HC1よりも小さく、80k
A/mである。この第3磁性層5は、室温からTC3まで
垂直磁化を示す特性を備えている。
【0035】なお、後述するハイプロセスでの高温記録
温度領域となる上記第3磁性層5のキュリー点TC3近辺
においては、この第3磁性層5では希土類金属副格子磁
化が優勢副格子磁化であるのに対し、第2磁性層4では
遷移金属副格子磁化が優勢副格子磁化となって、これら
優勢副格子磁化は互いに極性が異なるようになってい
る。
【0036】上記第3磁性層5上に、AlNからなる前記
保護層6が膜厚80nmで形成されている。さらにこの
保護層6上に、アクリレート系紫外線硬化樹脂をコーテ
ィングし、紫外線照射により硬化させることによって前
記オーバーコート層7が形成されて、図2に示す断面構
造の光磁気ディスクが構成されている。
【0037】なお、第1〜第3磁性層3〜5の各成膜時
のスパッタリング条件は、到達真空度2.0×10-4Pa
以下、Arガス圧6.5×10-1Pa、放電電力300Wで
ある。また、誘電体層2および保護層6の各成膜時のス
パッタリング条件は、到達真空度2.0×10-4Pa以
下、N2ガス圧3.0×10-1Pa、放電電力800Wであ
る。
【0038】上記構成の光磁気ディスクを用いて情報の
記録を行う場合、図4に示すように、まず、例えば図の
ように初期化磁界Hinitが印加され、初期化が行われ
る。その後、Hinitより充分に小さな記録磁界Hw を印
加しながら、レーザ光10が、図5に示すように、高レ
ベルIと低レベルIIとに強度変調されて照射され、これ
によって、後述するように新たな情報の記録が行われ
る。
【0039】初期化磁界Hinitは、第1磁性層3と第3
磁性層5との各室温での保磁力HC1(=1200kA/
m)とHC3(=80kA/m)の間の値、例えば160
kA/mに設定されている。この初期化磁界Hinitが室
温状態で印加されることにより、第3磁性層5の磁化だ
けが、図4に示すように、初期化磁界Hinitに沿って一
方向に揃えられる。なお、同図における各磁性層3・4
・5中の矢印は、希土類金属の副格子磁化の向きを示し
ている。
【0040】このとき、第1磁性層3の保磁力HC1はH
initよりも充分に大きく、また、第2磁性層4は室温で
面内磁化を示すため、第3磁性層5の磁化の向きが第2
磁性層4を通して第1磁性層3に転写されることはな
く、第1磁性層3の磁化の反転は生じない。したがっ
て、この第1磁性層3の磁化方向は、それまでの記録状
態に応じた向きで維持されている。
【0041】なお、このような初期化は、記録再生装置
に永久磁石を組み込んでこの磁石により初期化磁界H
initを印加する構成では、光磁気ディスクの回転駆動中
に常時行われることになる。また、例えば電磁石で初期
化磁界Hinitを印加するようにした装置では、記録時に
のみ行われるように構成される。
【0042】上記のように初期化を行った後、前記した
ように、記録磁界Hw (例えば24kA/m)を印加し
ながら、新たに記録しようとする情報に応じて、高レベ
ルIと低レベルIIに強度変調されたレーザ光が照射され
る。
【0043】高レベルIのレーザ光は、これが照射され
た領域を、第1磁性層3のキュリー点Tc1を超え、さら
に、第3磁性層5のキュリー点Tc3(=220℃)付
近、またはそれ以上の温度領域(以下、高温記録温度領
域という)まで昇温させるようなレーザパワーに設定さ
れている。一方、低レベルIIのレーザ光は、その照射領
域を、第1磁性層3のキュリー点Tc1(=170℃)近
辺の温度領域(以下、低温記録温度領域という)まで昇
温させるようなレーザパワーに設定されている。
【0044】まず、高レベルIのレーザ光が照射される
ときの動作状態について説明する。このとき、レーザ光
の照射領域が上記の高温記録温度領域へと昇温する過程
で、まず、第2磁性層4が面内磁化から垂直磁化に移行
する。次いで、温度の上昇と共に大きく低下する第1磁
性層3の保磁力が第3磁性層5の保磁力よりも小さくな
る。これにより、垂直磁化に移行した第2磁性層4の磁
化方向は、第3磁性層5からの磁気的結合力(交換力)
により、第3磁性層5と同じ方向、すなわち、前記初期
化により強制的に揃えられた磁化方向を向くことにな
る。
【0045】その後、第1磁性層3は、温度がキュリー
点Tc1を超えることによって磁性を消失し、その後の記
録過程には関与しなくなる。一方、第2磁性層4は、図
1(a)にも示すように、その補償点Tcomp2 (=15
0℃)を超えることによって、希土類金属と遷移金属と
の各副格子磁化の大小関係が逆転し、第2磁性層4のト
ータル磁化は反転する。
【0046】このときの状態を、図1(b)における左
側に示している。同図において、白抜きの矢印はトータ
ル磁化の向きを、その中に記した実線の矢印は、希土類
金属の副格子磁化の向きを表わしている。このときに磁
性をほぼ消失している第1磁性層3については、ここで
は省略してある。
【0047】図のように、レーザ光10が照射されてい
る箇所の第2磁性層4のトータル磁化の方向は、記録磁
界Hw の方向と一致するものとなっている。すなわち、
本実施例においては、第2磁性層4と第3磁性層5と
は、室温状態ではそれぞれ優勢副格子磁化の極性が各々
希土類金属の副格子磁化であって、互いに同一であり、
この状態からの昇温時に、第2磁性層4は、第3磁性層
5からの交換力によってこの第3磁性層5と同じ方向の
磁化状態となるが、その後、第2磁性層4はその補償点
を超えることで、第2磁性層4と第3磁性層5とにおけ
る各優勢副格子磁化の極性は互いに逆となる。これによ
り、第2磁性層4の磁化方向は記録磁界HW の方向と一
致するようになる。
【0048】そして、さらに温度上昇が生じて、前記の
高温記録温度領域に達すると、第3磁性層5の保磁力は
記録磁界Hw よりも小さくなり、この結果、同図(b)
における右側に示すように、レーザ光10照射領域にお
ける第3磁性層5の磁化方向は、記録磁界HW の方向に
沿う向きに反転する一方、第2磁性層4の磁化方向は、
すでに記録磁界HW の方向に沿うものであることから、
その磁化方向に変化は生じない。
【0049】このように、上記では、高温記録温度領域
において、第2磁性層4の磁化方向は記録磁界HW の方
向で保持される。したがって、第3磁性層5には、記録
磁界HW と、第2磁性層4からの変動のない一定の静磁
界とが作用する。これによって、第3磁性層5の磁化方
向は記録磁界HW に沿う方向に確実に反転し、安定した
ビット形成が行われる。
【0050】こうして、高温記録温度領域において第3
磁性層5の磁化反転が生じた後、光磁気ディスクの回転
によってレーザ光の照射部が移行すると、上記のレーザ
光照射部の温度は室温へと降温する。この冷却の過程
で、第2磁性層4の磁化方向は、再度、補償点Tcomp2
を超えることによって、トータル磁化の方向が反転し、
その後、第3磁性層5からの交換力よりも第2磁性層4
の保磁力が低下した段階で、図4に示すように、この第
2磁性層4に、第3磁性層5との界面に作用する交換力
により、第3磁性層5の向きが転写され、第3磁性層5
の磁化の向きに揃う。
【0051】さらに、第1磁性層3と第2磁性層4との
界面に作用する交換力によって、第1磁性層3の磁化方
向も、第2磁性層4の磁化方向に沿うものとなって、こ
の第1磁性層3の向きは第3磁性層5の向きと最終的に
一致する。これにより、第1磁性層3の向きは上向きに
なる。
【0052】その後、室温まで冷却されると、第2磁性
層4は再び面内磁化に移行し、第1磁性層3と第3磁性
層5の間には交換力は作用しなくなる。この状態では、
光磁気ディスクが回転して室温で初期化磁界Hinitが印
加されても、保磁力が大きい第1磁性層3の磁化方向は
変化せず、保磁力が小さい第3磁性層5の磁化方向のみ
が、前記同様に反転する。これによって、第1磁性層3
には、高レベルIに変調されたレーザ光に応じて新たに
書き込まれた情報が保持されることになる。
【0053】次に、前記した初期化後、記録磁界Hw
印加しながら低レベルIIのレーザ光が照射され、各磁性
層3〜5が、前記低温記録温度領域に上昇するときの動
作状態について説明する。
【0054】このとき、上記のレーザ光照射部は、第1
磁性層3のキュリー点Tc1付近までしか温度の上昇を生
じない。この温度状態での第3磁性層5の保磁力は記録
磁界HW よりも大きいため、第3磁性層5の磁化の向き
は記録磁界HW によって反転することはない。その後、
光磁気ディスクの回転によってレーザ光の照射部が移行
し、室温まで降温する過程での第2磁性層4が垂直磁化
を示すときに、前記同様に、界面に作用する交換力によ
り、第3磁性層5の磁化の向きが第2磁性層に転写さ
れ、さらに、第2磁性層4の磁化の向きが第1磁性層に
転写されて、この第1磁性層3は、第3磁性層5の磁化
の向きと最終的に一致する。これにより、第1磁性層3
の磁化の向きは下向きになり、低レベルIIに変調された
レーザ光に応じた新たな記録情報が保持される。
【0055】こうして、高レベルIと低レベルIIとに強
度変調されるレーザ光でオーバーライトが可能になると
ともに、高温記録温度領域でのビット形成が第3磁性層
5の磁化反転でもって支配され、良好なビット形成が可
能となる。
【0056】なお、上記のように第1磁性層3に記録さ
れた情報は、図5に示すように、記録時よりもさらに低
いレベルIII のレーザ光を照射し、その反射光における
偏光面の回転を検出することにより再生される。
【0057】このような再生動作特性についての測定結
果について、さらに、具体的な数値例を挙げて説明す
る。まず、初期化磁界Hinit=160kA/m、記録磁
界Hw=24kA/m、高レベルIのレーザパワー(P
H )=8mW、低レベルIIのレーザパワー(PL )=4
mW、記録ビット長=0.78μmに設定して記録を行っ
た。その結果、消し残りのない光変調オーバーライトを
行うことができた。そして、レベルIII の再生レーザパ
ワー(PR )=1mWで再生を行ったところ、信号対雑
音比(C/N)=48dBが得られた。
【0058】これに対し、比較例として、第1磁性層3
及び第2磁性層4は上記媒体と同じで、第3磁性層を、
(Gd0.5Dy0.50)0.25(Fe0.72Co0.28)0.75 、遷移金属リッ
チ、Tc3=280℃で形成したサンプルを試作した。
【0059】この比較例では、高温記録温度領域におい
て第2磁性層4と第3磁性層とは、ともに遷移金属リッ
チとなる。この比較例で上記同様のオーバーライト記録
を行った結果、記録時のノイズが、上記実施例の媒体と
比較して1.5dB程度上昇し、C/Nも1dB程悪くな
った。この記録ノイズ上昇の主因は、ビット形状の不揃
いによるジッタの悪化によるものである。
【0060】なお、上記実施例での光磁気ディスク(以
下、サンプル#1と称する)における第1〜第3磁性層
3〜5の組成や膜厚はこれらに限定されるものではな
く、種々異ならせて構成することが可能である。以下に
は、このように組成等を異ならせて作製した15種の光
磁気ディスク(以下、サンプル#2〜#17と称する)
について、表1〜表4にサンプル#1とは相違する磁性
層の組成と磁気特性を、また、表5に、サンプル#2〜
#17における再生動作特性の測定結果をそれぞれ示
す。なお、表1〜3・5には、サンプル#1についての
前述の説明の中から、それぞれ該当事項を選んで再掲し
ている。
【0061】サンプル#2〜#6は、サンプル#1に対
し、第2磁性層4の組成が異なるのみで、他の構成はサ
ンプル#1と同一である。それらの第2磁性層4の組成
および磁気特性は表1に示す通りである。これらサンプ
ル#2〜#6における第2磁性層4は、サンプル#1と
同様に、いずれも希土類金属リッチであり、また、室温
での保磁力HC2はほぼゼロである。
【0062】
【表1】
【0063】サンプル#7〜#10は、サンプル#1に
対し、第1磁性層3の組成が異なるのみであり、それら
の第1磁性層3の組成および磁気特性は表2に示す通り
である。これらサンプル#7〜#10の第1磁性層3
は、サンプル#1と同様に、いずれも室温からキュリー
点TC1まで垂直磁気異方性を示し、また、サンプル#7
および#10は遷移金属リッチ、サンプル#8および#
9は補償組成である。
【0064】
【表2】
【0065】サンプル#11〜#13は、サンプル#1
に対し、第3磁性層5の組成が異なるのみであり、それ
らの第3磁性層5の組成および磁気特性は表3に示す通
りである。これらサンプル#11〜#13の第3磁性層
5は、サンプル#1と同様に、いずれも希土類金属リッ
チである。
【0066】
【表3】
【0067】次のサンプル#14〜#16は、第1磁性
層3として、Dy0.21(Fe0.84Co0.16)0.79、希土類金属リ
ッチ、TC1=140℃、室温でのHC1=960kA/m
の膜を、また、第2磁性層として、Gd0.23(Fe0.72Co
0.18)0.77、希土類金属リッチ、TC2=290℃、補償
点Tcomp2 =200℃、室温での保磁力HC2がほぼゼ
ロ、約80℃で垂直磁化を示す特性を有する膜を成膜し
たうえに、表4に示すような第3磁性層5をそれぞれ積
層したものである。なお、サンプル#14および#15
の第3磁性層5は希土類金属リッチ、サンプル#16の
第3磁性層5は遷移金属リッチである。
【0068】
【表4】
【0069】
【表5】
【0070】表5に示すように、サンプル#2〜#16
のいずれに対しても、同表中に示す記録条件の下で、消
し残りのない光変調オーバーライトができ、記録ノイズ
も低減され、信号対雑音比(C/N)≧47dBが得ら
れた。
【0071】なお、同表中、サンプル#17は、サンプ
ル#1での第2磁性層4の膜厚が50nmであるのに対
し、これが30nmである点のみが異なっている。この
ように、第2磁性層4の膜厚を薄くしたサンプル#17
では、同表中に示す記録条件の下で消し残りのない光変
調オーバーライトを行えると共に、さらに、記録パルス
のデューティーを40%にしても充分に記録を行うこと
が可能であった。サンプル#1の記録パルスのデューテ
ィーが60%であったことを考慮すると、サンプル#1
よりも記録感度の向上した光磁気ディスクを得ることが
できた。
【0072】以上の説明のように、上記実施例の光磁気
ディスクにおいては、記録層としての第1磁性層3と記
録補助層としての第3磁性層5との間に、室温でほぼ面
内磁化を示し、室温以上の温度で面内磁化から垂直磁化
に移行する第2磁性層4が設けられており、初期化後に
記録磁界HW を印加しながら、高レベルIと低レベルII
とに強度変調されたレーザ光を照射することによって、
重ね書きによる情報の書き換え、すなわち、光変調オー
バーライトが行われる。
【0073】そして上記では、第2磁性層4と第3磁性
層5との高温記録温度領域における各優勢副格子磁化が
互いに逆極性となるように設定されているので、高温記
録温度領域では、第2磁性層4の磁化方向が記録磁界H
W と一致する方向で保持される。このため、この状態で
の第3磁性層5の磁化反転は、第2磁性層4の磁化方向
の変化による影響を受けず、より安定した記録ビットの
形成が可能になる。
【0074】また、上記実施例においては、第2磁性層
4が、室温より高い補償点と第1磁性層3よりも高いキ
ュリー点とを有している。これにより、室温で面内磁化
を呈し、所定温度以上で垂直磁化を呈する第2磁性層4
の性質を実現するうえで有利であると共に、第3磁性層
5に記録された情報を第2磁性層4を介して転写する機
構が円滑に行われる。
【0075】すなわち、上記のような磁化の向きの温度
特性を有する第2磁性層4を設計する場合、その磁化の
向きは、磁性層自身が有する磁化を垂直に向けようとす
る垂直磁気異方性エネルギーKuと、反対に磁化を面内
に向けようとする薄膜形状異方性エネルギーMs2 /2
μ0 との競合によって決まり、室温域でKu<Ms2
2μ0 、高温域でKu>Ms2 /2μ0 となることが必
要である。この場合、Kuが温度に対して単調減少する
ことを考えると、高温域でMsが急速に小さくなるよう
な、言い換えるとMsがゼロとなる補償点が室温以上と
なるように第2磁性層4を設計するほうが容易である。
【0076】また第3磁性層5の記録情報が第1磁性層
3に転写される温度が第1磁性層3のキュリー点以下で
あることを考えると、その温度領域では第2磁性層4の
磁性が保たれている、言い換えると第2磁性層4のキュ
リー点が第1磁性層のそれよりも高くなっているほうが
磁気転写も円滑に行われる。
【0077】〔実施例2〕本発明の他の実施例について
図6に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、
説明の便宜上、前記の実施例の図面に示したものと同一
の機能を有する部分には同一の符号を付記し、その説明
を省略する。
【0078】本実施例に係る光磁気記録媒体としての光
磁気ディスクは、図6に示すように、誘電体層2と第1
磁性層3との間に、さらに第4磁性層8を設けた点で前
記実施例と異なっている。
【0079】上記の第4磁性層8は、希土類金属−遷移
金属合金であるGdFeCoからなっており、Gd、Fe、Coター
ゲットの同時スパッタリングにより膜厚30nmで形成
されている。その組成はGd0.25(Fe0.80Co0.20)0.75で、
希土類金属リッチであり、補償点なしで、キュリー点
(TC4)は第1磁性層3のキュリー点TC1よりも高く、
300℃である。また、室温での保磁力(HC4)はほぼ
ゼロであり、室温で面内磁化を示し、約100℃で垂直
磁化を示す特性を有している。
【0080】上記の第4磁性層8を備えた光磁気ディス
ク(以下、サンプル#18と称する)に対し、表6に示
す記録条件の下で、消し残りのない光変調オーバーライ
トができた。なお、同表には、比較のため、前記サンプ
ル#1での記録条件も再掲している。
【0081】
【表6】
【0082】サンプル#1でのC/N(信号対雑音比)
が48dBであるのに対し、本実施例でのC/Nは50
dBであり、信号品質が向上した。これは、TC4>TC1
に設定したので、カー回転角が大きくなったためと考え
られる。
【0083】また、記録ビット長が短くなると、サンプ
ル#1ではC/Nが急激に低下したが、サンプル#18
ではC/Nがあまり低下しなかった。これは、第4磁性
層8が室温で面内磁化を示し、レベルIII の再生レーザ
パワーのレーザ光を照射すると垂直磁化を示すようにな
るので、短い記録ビットであっても、隣接記録ビットか
らの影響を受けずに再生できたためである。
【0084】すなわち、第4磁性層8に再生用のレーザ
光が照射されると、照射された部位の温度分布はほぼガ
ウス分布になる。このとき、スポット径よりも小さい中
心近傍領域の昇温温度が、第4磁性層8における垂直磁
化を示す温度を超えるようにレーザ光の強度が設定され
ている。このとき、第4磁性層8における上記中心近傍
領域のみの磁化が、面内磁化から垂直磁化に移行する。
この垂直磁化に移行した部分の第4磁性層8および第1
磁性層3の二層間の交換結合力により、第4磁性層8の
磁化の向きが第1磁性層3の磁化の向きに従う。
【0085】これにより、レーザ光照射部位の中心近傍
のみが極カー効果を示すようになり、該部位からの反射
光に基づいて情報が再生される。
【0086】そして、レーザ光照射部が移動して次の記
録ビットを再生するときは、先の再生部位の温度は低下
し、垂直磁化から面内磁化に移行するため、極カー効果
を示さなくなる。このことは、第1磁性層3に記録され
た磁化が第4磁性層8の面内磁化によりマスクされて読
み出されないということを意味している。これにより、
雑音の原因となり、再生の分解能を低下させる隣接ビッ
トからの信号混入がなくなる。こうして、レーザ光のス
ポット径よりも小さな領域のみを再生に関与させる読み
出しを行えるので、従来より小さな記録ビットの再生が
行え、記録密度を向上し得るようになっている。
【0087】このように、本実施例においては、第1磁
性層3における第2磁性層4とは反対側の面に、第1磁
性層3よりも高いキュリー点を有し、室温での保磁力が
ほぼゼロであり、室温で面内磁化を示し、所定温度以上
で垂直磁化を示すような第4磁性層8が形成されている
ことで、記録密度を著しく向上し得るものとなってい
る。
【0088】なお、上記各実施例は本発明を限定するも
のではなく、本発明の範囲内で種々の変更が可能であ
る。例えば上記各実施例では、高温記録温度領域におい
て優勢副格子磁化が互いに逆極性になる第2磁性層4と
第3磁性層5との組合わせとして、図1(a)に示した
ように、室温からキュリー点まで希土類金属副格子磁化
優勢のまま推移する第3磁性層5と、高温記録温度領
域、すなわち、第3磁性層5のキュリー点付近の温度域
で、遷移金属副格子磁化が優勢となる第2磁性層4との
組合わせを挙げたが、その他、図7(a)に示すよう
に、室温からキュリー点まで遷移金属副格子磁化優勢の
まま推移する第3磁性層5と、この第3磁性層5のキュ
リー点の温度域ではまだ希土類金属副格子磁化優勢のま
まの第2磁性層4とを組合せて構成することも可能であ
る。この場合も、同図(b)に示すように、高温記録温
度領域での第2磁性層4における磁化方向は、記録磁界
W に沿う方向で維持される。
【0089】また、図8(a)に示すように、室温から
温度上昇するにつれて希土類金属副格子磁化優勢から遷
移金属副格子磁化優勢に推移する第3磁性層5と、第3
磁性層5のキュリー点の温度域ではまだ希土類金属副格
子磁化優勢のままの第2磁性層4とを設けて構成するこ
とも可能である。この場合も、同図(b)に示すよう
に、高温記録温度領域での第2磁性層4における磁化方
向は、記録磁界HW に沿う方向で維持される。
【0090】一方、第1〜第4磁性層3〜5・8の材料
や組成は、上記の各実施例に挙げたもの以外のものとす
ることが可能である。例えば、上記各磁性層3〜5・8
の材料として、Gd、Tb、Dy、Ho、Ndから選ばれた少なく
とも1種の希土類金属と、Fe、Coから選ばれた少なくと
も1種の遷移金属からなる合金を使用しても、同様の効
果が得られる。
【0091】さらに、上記材料に、Cr、V、Nb、Mn、B
e、Ni、Ti、Pt、Rh、Cuのうち、少なくとも1種類の元
素を添加すると、第1〜第3磁性層3〜5自体の耐環境
性を向上させることができる。すなわち、酸素侵入によ
って酸化することによる特性の劣化が少なくなり、長期
信頼性に優れた光磁気ディスクとして提供することがで
きる。
【0092】なお、第1磁性層3のキュリー点TC1が1
00℃未満の場合、C/Nがディジタル記録再生で最低
限必要とされている45dBを下まわる。また、キュリ
ー点TC1が250℃を超える場合、それに応じて第3磁
性層5のキュリー点TC3を高く設定しなければならず、
結果的に記録感度が悪くなる。このため、第1磁性層3
のキュリー点TC1は100〜250℃が適当である。さ
らに、第1磁性層3の室温での保磁力HC1が400kA
/m未満の場合、初期化磁界Hinitにより一部が初期化
される恐れがある。このため、第1磁性層3の室温での
保磁力HC1は400kA/m以上が適当である。
【0093】一方、第2磁性層4の垂直磁化を示す温度
が80℃未満の場合、室温と、レベルIII の再生レーザ
パワーPR のレーザ光が照射されたときの温度との間の
温度で、第3磁性層5から第2磁性層4への磁化の転
写、第2磁性層4から第1磁性層3への磁化の転写を生
じるおそれがある。この場合、初期化磁界Hinitにより
第3磁性層5だけでなく第1磁性層3も初期化される結
果となるので、第1磁性層3に記録された情報が保持さ
れなくなる。このため、第2磁性層4の垂直磁気異方性
を示す温度は80℃以上が適当である。
【0094】また、第3磁性層5のキュリー点TC3が1
50℃未満の場合、低レベルIIのレーザパワーPL と再
生レーザパワーPR との差が小さくなるので、うまく光
変調オーバーライトが行われない。一方、キュリー点T
C3が400℃を超える場合には記録感度が悪くなる。こ
のため、第3磁性層5のキュリー点TC3は150〜40
0℃が適当である。さらに、第3磁性層5の室温での保
磁力HC3が240kA/mを超える場合、初期化磁界H
initの発生装置が大型になり、好ましくない。このた
め、第3磁性層5の室温での保磁力HC3は240kA/
m以下が適当である。
【0095】このように、第1磁性層3のキュリー点1
00〜250℃、室温での保磁力400kA/m以上、
第2磁性層は垂直磁化を示す温度が80℃以上、第3磁
性層はキュリー点150〜400℃で、室温での保磁力
250kA/m以下となるようにすることで、高感度の
オーバーライト動作が可能となり、オーバーライトに必
要な初期化磁界も小さくすることができる。
【0096】一方、第1〜第3磁性層3〜5の膜厚は、
第1〜第3磁性層3〜5の材料や組成との兼ね合いで決
まるものである。第1磁性層3の膜厚は、20nm以
上、より好ましくは30nm以上であり、あまり厚すぎ
ると第3磁性層5の情報が転写されなくなるので、10
0nm以下が好適である。第2磁性層4の膜厚は、5n
m以上、より好ましくは10〜50nmであり、あまり
厚すぎると第3磁性層5の情報が転写されなくなるの
で、100nm以下が好適である。第3磁性層5の膜厚
は、20nm以上、より好ましくは30〜100nmで
あり、あまり厚すぎると記録感度が悪くなるので、20
0nm以下が好適である。このように各膜厚が設定され
ていることによって、実用レベルのレーザパワーで円滑
なオーバーライト動作が保証される。
【0097】また、上記の各実施例においては、基板1
として通常の板ガラスを用いたが、これ以外にも、化学
強化されたガラス、これらのガラス基板上に紫外線硬化
型樹脂層を形成した、いわゆる2P層付きガラス基板、
ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート
(PMMA)、アモルファスポリオレフィン(AP
O)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビフェニール
(PVC)、エポキシ等の基板を使用することが可能で
ある。
【0098】一方、透明な誘電体層2としてのAlNの膜
厚は、上記各実施例における80nmに限定されるもの
ではない。この誘電体層2の膜厚は、光磁気ディスクを
再生する際、第1磁性層3あるいは第4磁性層8からの
極カー回転角を光の干渉効果を利用して増大させる、い
わゆるカー効果エンハンスメントを考慮して決定され
る。再生時のC/Nをできるだけ大きくさせるには、極
カー回転角を大きくさせることが必要であり、このた
め、誘電体層2の膜厚は、極カー回転角が最も大きくな
るように設定される。
【0099】この極カー回転角は、再生光の波長、誘電
体層2の屈折率により変化する。上記各実施例の場合の
AlNの屈折率は2.0であるので、再生光の波長が780
nmの場合、誘電体層2のAlNの膜厚を30〜120n
m程度にすると、カー効果エンハンスメントの効果が大
きくなる。なお、好ましくは、誘電体層2のAlNの膜厚
は、70〜100nmであり、この範囲であれば極カー
回転角がほぼ最大になる。
【0100】また、再生光の波長が400nmの場合、
上記誘電体層2の膜厚をほぼ半分(=400/780)
にすれば良い。さらに、材料の違い、あるいは、製法に
より誘電体層2の屈折率が上記とは異なる場合、屈折率
と膜厚を乗じた値(光路長)が同じになるように、誘電
体層2の膜厚を設定すれば良い。
【0101】なお、誘電体層2の屈折率は大きいほど、
その膜厚は少なくて済む。また、屈折率が大きいほど、
極カー回転角のエンハンス効果も大きくなる。AlNは、
スパッタ時のスパッタガスであるArとN2の比率、ガス圧
力等を変えることにより、その屈折率が変わるが、おお
むね、1.8〜2.1程度と屈折率が比較的大きな材料であ
り、誘電体層2の材料として好適である。
【0102】また、誘電体層2は、上記のカー効果エン
ハンスメントだけでなく、保護層6と共に、第1〜第3
磁性層3〜5、あるいは、第1〜第4磁性層3〜5・8
の希土類金属−遷移金属合金磁性層の酸化を防止する役
割がある。
【0103】希土類金属−遷移金属合金からなる磁性膜
は非常に酸化されやすく、特に、希土類金属が酸化され
やすい。このため外部からの酸素、水分侵入を極力防止
しなければ、酸化によりその特性が著しく劣化してしま
う。
【0104】そのため、前記各実施例では、第1〜第3
磁性層3〜5、あるいは、第1〜第4磁性層3〜5・8
の両側をAlNで挟み込む形の構成を採っている。AlN
は、その成分に酸素を含まない窒化膜であり、非常に耐
湿性に優れた材料である。さらに、AlNは、Alターゲッ
トを用いて、N2ガス、もしくはArとN2との混合ガスを導
入して反応性DC(直流電流)スパッタリングを行うこ
とが可能であり、RF(高周波)スパッタに比べて成膜
速度が大きい点でも有利である。
【0105】AlN以外の誘電体層2の材料として、Si
N、AlSiN、AlTaN、SiAlON、TiN、TiON、BN、
ZnS、TiO2、BaTiO3、SrTiO3、SiC等が好適である。こ
のうち、特に、SiN、AlSiN、AlTaN、TiN、BN、Zn
S、SiCは、その成分に酸素を含まず、成膜時の磁性層
への酸素の混入を最小限に抑えることができるため、耐
食性に優れた光磁気ディスクを提供することができる。
【0106】一方、保護層6のAlNの膜厚は、上記各実
施例では80nmとしたが、これに限定されるものでは
ない。保護層6の膜厚の範囲としては、1〜200nm
が好適である。
【0107】上記各実施例においては、第1〜第3磁性
層3〜5、あるいは、第1〜第4磁性層3〜5・8を合
わせた膜厚は100nm以上であり、この膜厚になると
光ピックアップから入射した光はほとんど磁性層を透過
しない。したがって、保護層6の膜厚に特に制限はな
く、磁性層の酸化を長期にわたって防止するのに必要な
膜厚であれば良い。酸化防止能力が低い材料であれば膜
厚を厚く、高ければ薄くすれば良い。
【0108】保護層6は、透明誘電体層2とともに、そ
の熱伝導率が光磁気ディスクの記録感度特性に影響を及
ぼす。記録感度特性とは、記録、あるいは消去に必要な
レーザパワーがどの程度必要かを意味する。光磁気ディ
スクに入射された光は、そのほとんどが、誘電体層2を
通過し、吸収膜である第1〜第3磁性層3〜5、あるい
は、第1〜第4磁性層3〜5・8に吸収されて熱に変わ
る。このとき、第1〜第3磁性層3〜5、あるいは、第
1〜第4磁性層3〜5・8の熱が誘電体層2、保護層6
に熱伝導により移動する。したがって、誘電体層2、保
護層6の熱伝導率および熱容量(比熱) が記録感度に影
響を及ぼす。
【0109】このことは、光磁気ディスクの記録感度を
保護層6の膜厚で、ある程度制御できるということを意
味し、例えば、記録感度を上げる( 低いレーザパワーで
記録消去を行える) 目的であれば保護層6の膜厚を薄く
すれば良い。通常は、レーザ寿命を延ばすため、記録感
度はある程度高い方が有利であり、保護層6の膜厚は薄
い方が良い。
【0110】AlNはこの意味でも好適で、耐食性に優れ
るので、保護層6として用いた場合、膜厚を薄くするこ
とができ、記録感度の高い光磁気ディスクを提供するこ
とができる。
【0111】上記各実施例では、保護層6を誘電体層2
と同じAlNとすることで、耐食性に優れた光磁気ディス
クを提供でき、かつ保護層6と誘電体層2とを同じ材料
で形成することで、生産性も向上する。
【0112】また、保護層6の材料としては、AlN以外
に、前述の目的、効果を考慮すれば、上述の誘電体層2
の材料として用いられるSiN、AlSiN、AlTaN、SiAlO
N、TiN、TiON、BN、ZnS、TiO2、BaTiO3、SrTi
O3、SiCが好適である。このうち特に、SiN、AlSiN、
AlTaN、TiN、BN、ZnS、SiCは、その成分に酸素を
含まず、耐湿性に優れた光磁気ディスクを提供すること
ができる。
【0113】なお、前記各実施例で例示した光磁気ディ
スクは、一般には片面タイプと呼ばれる。誘電体層2、
第1〜第3磁性層3〜5(あるいは、第1〜第4磁性層
3〜5・8)、保護層6の薄膜部分を総じて記録媒体層
と称することにすると、片面タイプの光磁気ディスク
は、基板1、記録媒体層、オーバーコート層7の構造と
なる。これに対して、基板1の上に記録媒体層を形成し
たものを二枚、記録媒体層が対向するように接着層で接
着した光磁気ディスクは、両面タイプと呼ばれている。
【0114】この場合の接着層の材料は、ポリウレタン
アクリレート系接着剤が特に良い。この接着剤は、紫外
線、熱及び嫌気性の3タイプの硬化機能が組み合わされ
たものであり、紫外線が透過しない記録媒体層の影にな
る部分の硬化が、熱および嫌気性硬化機能により硬化さ
れるという利点を持っており、極めて高い耐湿性を有
し、長期安定性に極めて優れた両面タイプの光磁気ディ
スクを提供することができる。
【0115】なお、片面タイプは、両面タイプと比べて
素子の厚みが半分で済むため、例えば小型化が要求され
る記録再生装置に有利である。両面タイプは、両面再生
が可能なため、例えば大容量を要求される記録再生装置
に有利である。
【0116】以上の実施例では、光磁気記録媒体として
光磁気ディスクを例に説明したが、光磁気テープ、光磁
気カードに本発明を適用して構成することも可能であ
る。
【0117】
【発明の効果】以上の説明のように、本発明の請求項1
記載の光磁気記録媒体は、それぞれ希土類金属−遷移金
属合金からなる第1〜第3磁性層が順次積層され、第1
磁性層は室温での保磁力が第3磁性層よりも大きくかつ
第3磁性層よりも低いキュリー点を有すると共に、これ
ら第1・第3磁性層はそれぞれ室温からキュリー点まで
垂直磁化を示す一方、第2磁性層は室温で面内磁化を示
すと共に第1磁性層の保磁力が第3磁性層の保磁力より
も小さくなる温度領域で垂直磁化を示す特性を備え、第
2磁性層と第3磁性層とは、上記高温記録温度領域にお
ける各優勢副格子磁化の極性が互いに逆極性となるよう
に設定されている構成である。
【0118】これにより、高温記録温度領域での第2磁
性層の磁化の向きは記録磁界の向きと同一方向で維持さ
れ、したがって、第2磁性層の磁化方向の変化に影響さ
れずに、第3磁性層の磁化反転が生じて記録が行われる
ので、記録ノイズが抑えられた良好な再生信号特性を得
ることができるいう効果を奏する。
【0119】請求項2記載の光磁気記録媒体は、上記第
2磁性層が室温より高い温度領域に補償点を有すると共
に、第1磁性層はDyFeCoからなり、第2磁性層はGdFeCo
からなり、第3磁性層はGdFeCoもしくはDyFeCoからなる
構成である。
【0120】これにより、室温で面内磁化、温度上昇に
伴って垂直磁化を示す第2磁性層の設計が容易になって
信頼性が向上する。そして、上記のような温度特性の第
2磁性層を温度バランス設計の容易なGdFeCoで、記録特
性を重視した第3磁性層にはDyFeCoもしくはGdDyFeCo
で、室温での保磁力が大きくかつ読み出し性能にも優れ
た第1磁性層にはDyFeCoで作製し、特に、請求項3記載
の光磁気記録媒体のように各磁性層の組成を定めること
によって、上記の特性をより確実に実現することができ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における光磁気記録媒体での
高温プロセス時の記録動作を説明するものであって、同
図(a)は上記光磁気記録媒体における第2・第3磁性
層の保磁力の温度依存性を示すグラフ、同図(b)は磁
化反転の説明図である。
【図2】上記光磁気記録媒体の概略の構成を示す断面模
式図である。
【図3】上記光磁気記録媒体における第1〜第3磁性層
の保磁力の温度依存性を示すグラフである。
【図4】上記光磁気記録媒体における記録プロセスを示
す説明図である。
【図5】上記光磁気記録媒体に照射されるレーザ光の強
度を示す説明図である。
【図6】本発明の他の実施例における光磁気記録媒体の
概略の構成を示す断面模式図である。
【図7】本発明のさらに他の実施例における光磁気記録
媒体での高温プロセス時の記録動作を説明するものであ
って、同図(a)は光磁気記録媒体における第2・第3
磁性層の保磁力の温度依存性を示すグラフ、同図(b)
は磁化反転の説明図である。
【図8】本発明のさらに他の実施例における光磁気記録
媒体での高温プロセス時の記録動作を説明するものであ
って、同図(a)は光磁気記録媒体における第2・第3
磁性層の保磁力の温度依存性を示すグラフ、同図(b)
は磁化反転の説明図である。
【図9】従来の光磁気記録媒体を示すものであって、同
図(a)はその構成および記録プロセスを示す説明図、
同図(b)は各磁性層の保磁力の温度依存性を示すグラ
フである。
【符号の説明】
1 基板 2 誘電体層 3 第1磁性層 4 第2磁性層 5 第3磁性層 6 保護層 7 オーバーコート層 8 第4磁性層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】それぞれ希土類金属−遷移金属合金からな
    る第1〜第3磁性層が順次積層され、室温で初期化磁界
    を印加して第3磁性層の磁化方向を一方向に揃えた後、
    記録磁界を印加しながら強度変調された光ビームを照射
    し、記録磁界よりも第3磁性層の保磁力が小さくなる高
    温記録温度領域に昇温させたとき第3磁性層に磁化反転
    を生じさせ、その後、室温への冷却の過程で第2磁性層
    を介して第3磁性層の磁化方向を第1磁性層に転写させ
    て情報の記録が行われる光磁気記録媒体において、 上記第1磁性層は室温での保磁力が第3磁性層よりも大
    きくかつ第3磁性層よりも低いキュリー点を有すると共
    に、これら第1・第3磁性層はそれぞれ室温からキュリ
    ー点まで垂直磁化を示す一方、第2磁性層は室温で面内
    磁化を示すと共に第1磁性層の保磁力が第3磁性層の保
    磁力よりも小さくなる温度領域で垂直磁化を示す特性を
    備え、上記第2磁性層と第3磁性層とは、上記高温記録
    温度領域における各優勢副格子磁化の極性が互いに逆極
    性となるように設定されていることを特徴とする光磁気
    記録媒体。
  2. 【請求項2】上記第2磁性層が室温より高い温度領域に
    補償点を有すると共に、第1磁性層はDyFeCoからなり、
    第2磁性層はGdFeCoからなり、第3磁性層はGdFeCoもし
    くはDyFeCoからなることを特徴とする請求項1記載の光
    磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】第1磁性層の組成をDya ( Feb C
    o1-b )1-a、第2磁性層の組成をGdc ( Fed C
    o1-d )1-c、第3磁性層の組成を( Gde Dy1-e ) g ( Fe
    f Co1-f )1-g、もしくは、Dyh ( Fei Co1-i )1-hとする
    とき、a、b、c、d、e、f、g、h、iは、それぞ
    れ、 0.18≦a≦0.25、0.70≦b≦0.90、 0.20≦c≦0.35、0.60≦d≦0.90、 0.40≦e≦0.95、0.30≦f≦0.90、0.28≦g
    ≦0.35、 0.15≦h≦0.33、0.50≦i≦0.95 に設定されていることを特徴とする請求項2記載の光磁
    気記録媒体。
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