JP2505602C - - Google Patents

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JP2505602C
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magnetic
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は旧情報の上に新情報をダイレクトに書き込める光変調オーバーライ
ト機能を有する光磁気記録担体および、この光磁気記録担体を生産する生産方法
に関するものである。
光磁気記録担体は、特殊な場合を除いてフェリ磁性の遷移金属(TM)−希土
類金属(RE)合金磁性薄膜で構成されている。まず、このフェリ磁性のTM−
RE合金磁性薄膜の性質について簡単に述べておく。TM−RE合金磁性薄膜に
おいては、TMスピン由来の磁化(TM副格子磁化)とREスピン由来の磁化(
RE副格子磁化)がある。そしてTM副格子磁化同士は平行になるように結合し
、RE副格子磁化同士もやはり平行になるように結合する。一方、TM副格子磁
化とRE副格子磁化は反平行になるように結合する。したがって1つのTM−R
E合金磁性薄膜の中では、ある方向を向いたTM副格子磁化とそれと反平行のR
E副格子磁化が共存する。層全体の磁化の大きさは、TM副格子磁化とRE副格
子磁化の差で与えられ、その方向はTM副格子磁化がRE副格子磁化よりも大き
いときにはTM副格子磁化と同じ方向になり、その層は“TMリッチ”であると
呼ばれる。一方、RE副格子磁化の方が大きいときには、層全体の磁化の方向は
RE副格子磁化と同じ方向になり、その層は“REリッチ”であると呼ばれる。
特にTM副格子磁化とRE副格子磁化が同じ大きさを持つとき、すなわち層全体
の磁化の大きさがゼロになるとき、その層の組成を“補償組成”と呼ぶ。一般に
TM副格子磁化もRE副格子磁化も温度とともに減少するが、減少の度合いはR
E副格子磁化の方が大きいので層全体としては、温度とともにREリッチからT
Mリッチへと移行する。REリッチからTMリッチへと移り変わる温度、すなわ
ち補償組成になる温度を補償温度と呼ぶ。また層から多層に積み重なっている時
には、層間に交換結合力と呼ぶ力が作用する。この力は、隣り合うTM副格子磁
化を平行にするように働く。さらに再生時には、磁気光学的カー効果により反射 光の偏光角度の回転を利用するが、この回転方向は、層全体の磁化の方向ではな
く、TM副格子磁化の方向により決定される。したがって2値的情報は読みだし
層のTM副格子磁化が上方向か下方向かにより決まる。ただし、以下においては、
説明の都合上、強いパワーで生じる記録を2値的情報の“1”、弱いパワーで生
じる記録を2値的情報の“0”とする。
[従来の技術] 次に具体的な従来技術について説明する。
第90図(a)、(b)および(c)は、各々例えば刊行物(第34回応用物理学関係連
合講演会予稿集、1987年春季、28P−ZL−3)に示された従来の光記録
再生装置の要部構成斜視図、記録担体の光記録再生状態を示す要部断面図および、
記録担体の領域における記録用のレーザパワー変化を示す特性図である。図にお
いて、(1)は光磁気記録担体、(2)はガラス又はプラスチックからなる基板、(3)
は第1磁性層、(4)は第2磁性層であり、記録担体(1)は、基板(2)、第1磁性層(3)
および第2磁性層(4)で構成されており、さらに第1磁性層(3)と第2磁性層(4)
の間には交換結合力が働らいており、この交換結合力は両磁性層(5)、(4)のそれ
ぞれのTM副格子磁化方向を等しくするように働らく。(5)はレーザービームを情
報坦体(1)へ照射する対物レンズ、(6)は対物レンズ(5)により収束せられた集光ス
ポット、(7)は第1磁性層(3)に記録された情報のうち、第1磁性層(3)のTM副格
子磁化方向が第90図(b)中、上向きの部分をこの場合二値化データの“0”とし
てその領域を示している。各磁性層の矢印はTM副格子磁化の方向を示す。(9) 発生する初期化磁石、(8)は情報坦体(1)をはさんで、対物レンズ(5)と対向する位 第90図(c)におけるR1は、情報1を記録するためのレーザパワー、R0は、情報
0を記録するためのレーザパワー、縦軸はレーザパワーを横軸は領域を示し、第
90図(a)において、一点鎖線に対して左は新データ(DN)を右データは(DO)
を示す。
次に動作について説明する。記録媒体(1)は図示していない保持駆動機構により
、第90図(a)および(b)中の矢印a方向に回転駆動されている。第1磁性層(3)は
例 えばTb21Fe79から成る一般的な光磁気デスクに用いられる情報坦体の記録層
と同様な性質のもので、ここでも記録層および読み出し層として作用する。第2
磁性層(4)は例えばGd24Tb3Fe73から成る補助層と呼ばれるもので、オーバ
ーライト性能、すなわち旧データ上に新データをリアルタイムで重ね書きする性
能を発揮すべく設けられている。ここで、第1磁性層(3)と第2磁性層(4)の特性
は、そのキュリー温度をそれぞれTc1、Tc2、室温付近における保磁力をそれ
ぞれHc1、Hc2、室温における交換結合力をそれぞれHw1、Hw2とすると、次
の関係が成り立つ。
Tc1<Tc2 Hc1−Hw1>Hc2+Hw2 ここで、まず記録層すなわち第1磁性層(3)に記録された情報を再生する場合に
ついて説明する。第90図(b)に示すように第1磁性層(3)は、その膜厚方向に2
値コードすなわち“0”、“1”に対応した方向に図において上向きまたは下向
きに磁化されている。再生時には、この第1磁性層(3)に集光スポット(6)を照射
し、集光スポット(6)の照射部の第1磁性層(3)の磁化方向を、従来より良く知ら
れた光力一効果により光学的情報に変換することによって情報坦体(1)から情報
を検知している。この時、記録坦体(1)に照射するレーザー強度は、第91図のレ
ーザビームパワーによるスボット内での磁性膜温度変化を示す特性図に示す強度
Aに相当する強度であり、この強度では集光スポット(6)照射部の第1磁性層(3)
および第2磁性層(4)の最高上昇温度は、第1磁性層(3)および第2磁性層(4)のキ
ュリー温度Tc1、Tc2には到達しない。したがって、集光スポット照射により
磁化方向すなわち記録情報が消されることはない。
次にオーバーライトの動作について説明する。第90図における初期化磁石(9)
は、図中に示す矢印bの方向(上向き)に第2層のTM副格子磁化を向ける向き
で、大きさHiniなる磁場を発生する。この磁場Hiniは第1磁性層(3)およ
び第2磁性層(4)の保磁力、および交換結合力に対して、 Hc1−Hw1>Hini>Hc2+Hw2 なる関係を有している。その結果、第90図(b)に示すように情報媒体(1)が矢印
a方向に回転した時、初期化磁石(9)部を通過した第2磁性層(4)のTM副格子磁 化方向は、第1磁性層(3)のTM副格子磁化方向にかかわらず、全て上向きに磁
化される。この時、第1磁性層(3)のTM副格子磁化方向は、初期化磁石の磁場
もしくは、第2磁性層(4)から働らく交換結合力によっては、室温近くでは影響を
受けず、そのままの状態を保持する。
情報“0”を記録する時、すなわち第1磁性層(3)のTM副格子磁化方向を上
向きとする時のレーザビーム強度は、第91図における強度Bに相当する。この
時、集光スポット(6)内の部分は温度上昇して、第1磁性層(3)のキュリー温度T
1を越えるが、第2磁性層(4)のキュリー温度Tc2には達しない。その結果、
第1磁性層(3)の磁化は消失するが、第2磁性層(4)のTM副格子磁化方向は初期
化磁石(8)により磁化された上向きのままである。そしてディスクが回転して集
光スポット(6)に照射されなくなり、第1磁性層(3)の温度がそのキュリー温度T
1より下降する段階で、第2磁性層(4)のTM副格子磁化方向が交換結合力によ
り第1磁性層(3)に転写され、第1磁性層(3)のTM副格子磁化方向は上向き、す
なわち 情報“0”に相当する向きとなる。
情報“1”を記録する時、すなわち第1磁性層(3)のTM副格子磁化方向を下
向きとする時のレーザビーム強度は、第91図における強度Cに相当する。この
時、集光スポット(6)内の部分は温度上昇して、第1磁性層(3)のキュリー温度T
1だけでなく、第2磁性層(4)のキュリー温度Tc2も越える。その結果、第1
磁性層(3)、第2磁性層(4)共に集光スポット(6)内の磁化は消失する。そして、デ
ィスクが回転して集光スポット(6)に照射されなくなり、第2磁性層(4)の温度が
そのキュリー温度Tc2よりも下降する段階で、バイアス磁石(8)による第90図
中矢印Cの方向(下向き)に第2磁性層のTM格子磁化を向けるように印加され
た弱い磁場により、第2磁性層(4)のTM格子磁化方向は下向きになる。さらに
、第1磁性層(3)の温度がそのキュリー温度Tc1より下降する段階で、第2磁性
層(4)のTM副格子磁化方向が交換結合力により第1磁性層(3)に転写され第1磁
性層(3)の磁化方向は下向き、すなわち情報“1”に相当する向きとなる。
以上の様な動作により、オーバーライト時には、レーザビーム強度を情報の2
値コード“0”、“1”に応じて、第91図における強度Bと強度Cとに強度変
調することにより、旧データ上にリアルタイムで重ね書きが可能である。従来の 光磁気記録担体は以上のように構成されているので、大きな磁場を有する初期化
磁石を用いなければならず、光ディスク記録再生装置全体の構成が複雑になり、
同装置が大型化するなどの課題があった。
さらに第92図、第93図は特開昭63−268103号公報の実施例として
記載されているレーザー強度の強弱のみでオーバライトを行う方法に関する光磁
気記録担体の断面図及び磁化過程の説明図である。図において、(100)は第1磁
性層、(200)は第2磁性層、(300)は第3磁性層、(400)は第4磁性層、(500)は光
透過性基板、(600)は誘電体膜、(700)は保護膜、(900)は界面磁壁、(101)は光磁
気記録担体、Hexはバイアス磁界印加方向を表わす矢印である。
この従来の記録媒体は、前に示した2層の磁性層によるオーバーライト方式の
間題点(大きな初期化磁界が必要)を改善することを目的とし、磁性層が4層化
されている。第1磁性層(100)、第2磁性層(200)は、前に示した2層の磁性層に
よるオーバライト方式の第1磁性層(3)、第2磁性層(4)とほぼ同様の構成と機能
を有している。第4磁性層(400)は第2磁性層(200)の上に作製され、さらにその
上に第90図の初期化磁石(9)に相当する第3磁性層(300)がある。第93図から
わかるように、第3磁性層は記録過程においてそのTM副格子磁化が反転するこ
とはない。また各層のキュリー温度は次のように選定してある。
Tc1<Tc2 Tc4<Tc2、Tc3 Tc4<Tc1 この実施例においては、次表のようにキュリー温度、材料等が選択されている
次に動作について説明する。再生動作は、前に示した2層の磁性層によるオー バライト方式の再生動作と全く同様であるので省略し、第93図を用いてオーバ
ライト記録動作について説明する。
第93図において各層内に示された矢印は、各層のTM副格子磁化の方向を表
わしている。室温(TR)においては、各磁性層の磁化状態は、状態Aあるいは状
態Cにある。第91図に示したパワーBのレーザパワーを記録担体(101)に照射す
ると、記録担体(101)の平均的な温度はT1まで上昇する。この時、第1磁性層(1
00)の磁化が消失する(状態E)。次に温度が下降する過程で第1磁性層(100)の
TM副格子磁化は、交換結合力により第2磁性層(200)のTM副格子磁化方向に揃
い、上向きとなる。室温まで温度が下がると状態Aになり、“0”の記録が行な
われる。
第91図に示したパワーCのレーザパワーを記録媒体(101)に照射すると、記担
体(101)の平均的な温度はT2まで上昇する。この時、第1磁性層(100)の磁化が
消失し、第2磁性層(200)のTM副格子磁化方向はバイアス磁界Hexにより下向
きに反転させられる(状態F)。この時第3磁性層(300)からの交換力は第2磁性
層のTM副格子磁化を上向きにするように働くが、(記録担体温度がキュリー温
度Tc3を越えているので)磁性体として機能しない第4磁性層(400)が介在して
いるためにこの交換力は極めて弱められ、その結果小さなバイアス磁界Hexで
も第2磁性層(200)のTM副格子磁化を下向きに出来る。温度がT1近傍以下にな
ると、第1磁性層(100)のTM副格子磁化は、交換結合力により第2磁性層(200)
のTM副格子磁化方向に揃い、下向きとなる(状態G)。さらに温度が下降する
と、第4磁性層(400)が磁性体としての機能を取り戻すため、第3磁性層からの交
換結合力が第2磁性層(200)に働き、第2磁性層(200)のTM副格子磁化方向は上
向きになり、状態Cになる。このように、“1”の記録が行なわれる。
本発明の発明者は、初期化磁化のいらないオーバライト可能な3層の磁性層を
備えた光磁気記録担体オーバライトを先ず開発し、これをベースとして本発明の
4層の磁性層を備えた光磁気記録担体の発明に至ったのである。そこで、本発明
の理解を容易にするため、発明の前段階として3層の光磁気記録担体を説明する
この3層の光磁気記録担体は、第90図の初期化磁石(9)に相当するものとして
第3磁性層を備えたこと、この第3磁性層のキュリー温度は第1磁性層や第2磁 性層のキュリー温度よりも高く設定されているので記録動作中に第3磁性層の磁
化方向が反転せず、従って、多数回の繰り返し記録に対する信頼性が高いこと、
等をその特徴としている。
第94図は、初期化磁石のいらないオーバーライト可能な光磁気記録媒体とし
て3層の膜構成およびオーバライト記録を説明するものである。
第94図において第90図と同じ符号を付したものは第90図と同様である。
(24)は第1磁性層、(25)は第2磁性層、(26)は第3磁性層である。第1磁性層(2
4)、第2磁性層(25)、第3磁性層(26)はいずれもここでは遷移金属−希土類合金
であり、さらにいずれの層もTMリッチである。第1磁性層(24)および第2磁性
層(25)は交換結合力で結びついており、この交換結合力は両層のTM副格子磁化
方向を等しくするように働らく。第2磁性層(25)および第3磁性第層(26)も同様
に交換結合力で結びついている。
また、第3磁性第層(26)の磁化はあらかじめ電磁石等により、図において上向
きに初期化されている。
第1磁性層(24)は情報“0”および“1”を表わす副格子磁化(ここではTM
副格子磁化)を保持するための記録層である。第2磁性層(25)と第3磁性層(26)
はオーバーライト性能を発揮すべく設けられている。特に第2磁性層(25)は補助
層と呼ばれ、この第2磁性層(25)の副格子磁化方向が第1磁性層(24)に転写され
る(すなわち、第1磁性層(24)の副格子磁化方向が、第2磁性層の副格子磁化方
向に揃う)ことを利用して、第1磁性層(24)が所望の磁化方向を向くことを可能
にしている。また第3磁性層(26)は初期化層である。この第3磁性層(26)の副格
子磁化方向が第2磁性層(25)に転写されることを利用して、室温における第2磁
性層(25)の副格子磁化方向を一定方向にそろえることを可能にしている。
次に第1磁性層(24)、第2磁性層(25)、第3磁性層(26)の具体的な特性につい
て説明する。
各層のキュリー温度をそれぞれTc1、Tc2,Tc3とすると Tc1<Tc2<Tc3 である。第3磁性層のキュリー温度Tc3は他の磁性層のキュリー温度よりも高い
ので記録動作中もその磁化方向は安定しており反転しない。また3層ともここで はTMリッチであることから室温において以下の条件を満たすことが必要である
室温においては第1磁性層および第3磁性第層の保持力は、隣接する層から受
ける交換力よりも大きいので、磁化は反転しない。これを式で表現すると次のと
おりである。
Hc1−Hw1(2)>0 …(1) Hc3−Hb−Hw3(2)>0 …(3) 室温からTc1までの間に以下の条件を満たす温度が存在し、この温度において
第2磁性層の保持力よりも第3磁性層が第2磁性層に及ぼす交換結合力の方が大
きくなり、第2磁性層の磁化方向は第3磁性層の磁化方向に揃えられて初期化さ
れる。
Hc2+Hw2(1)−Hw2(3)<0 …(2) ここでHci :第i磁性層の保磁持力 Hwi(j):第j層と第i層間に働く交換結合力による第i層の反転磁 界のシフト量 Hb :バイアス磁石(18)により記録時に印加された磁界 この3層膜の光磁気記録媒体では、第3磁性層が第2磁性層に及ぼす交換結合
力Hw2(3)は非常に大きいので、オーバーライト記録中に第2磁性層をキュリー
温度以上に昇温させて磁化を消失させてバイアス磁石の磁界Hbによって新たに
記録する情報の方向に磁化を与えるとき、Hw2(3)に打ち勝つよう大きな磁界H
bが必要になるという問題点があった。
この問題点を解決するためには、第3磁性層から第2磁性層への交換結合力が
室温から或る温度までは及ぶようにするが或る温度以上に昇温すると交換結合力
を弱める交換結合力制御層を第2磁性層と第3磁性層との間に設ければ良い。本
発明の4層磁性膜の光磁気記録媒体はこのような考えに立脚するものである。
[発明が解決しようとする問題点] 以上のように、3層の磁性層を備えた光磁気記録担体では、大きな磁場を有す
る初期化磁石は不要となったが、第2磁性層に情報を記録するために大きなバイ
アス磁石が必要であった。
特開昭63−268103号の方式によれば、大きな磁場を有する初期化磁石 が不要となり装置の小型化が可能となる。しかし、この従来の光磁気記録担体を
用いた場合、繰り返し記録に対する充分な信頼性を持ったオーバーライト方式の
実現は不可能である。この方式では、最初の数回はうまくオーバーライト記録で
きることがあるが、繰り返して担体に記録するうちに部分的にオーバーライトが
不可能になる。これは第3磁性層(300)のキュリー温度Tc3が低いため、第3磁
性層(300)のTM副格子磁化が記録時の温度上昇により、部分的に反転してしまう
からである。さらに繰り返し記録を続けるとオーバーライトが不可能な部分は次
第に増加し、最終的には担体全体におよぶ。一般に計算機の外部記億装置として
用いる場合には、100万回以上の繰り返し記録が要求されているが、この従来
のオーバーライト方式ではこの要求を満足することは全く不可能である。
本発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、初期化磁石を必
要とせずに容易にオーバーライト可能で且つ繰り返し記録に対する充分な信頼性
を持った光磁気記録担体を得ることを目的とするものである。
[課題を解決するための手段] 請求項1の発明は、垂直磁気異方性を有する第1磁性層、この第1磁性層に設
けられ上記第1磁性層と交換力で結合された第2磁性層、この第2磁性層に設け
られ上記第2磁性層と交換力で結合された第3磁性層、この第3磁性層に設けら
れ上記第3磁性層と交換力で結合された第4磁性層を備え、 Tc4>Tc2>Tc1、Tc4>Tc2>Tc3、Tc4>300℃ ただし、Tc1:第1磁性層のキュリー温度 Tc2:第2磁性層のキュリー温度 Tc3:第3磁性層のキュリー温度 Tc4:第4磁性層のキュリー温度 を満たし、かつ室温にて Hc1>Hw1(2)、Hc4>Hw4(3) を満たし、かつ室温からTc1とTc3のうちの低い温度までの間で、 Hc2<Hw2(3)−Hw2(1) Hc3>Hw3(4)−Hw3(2) ただし、Hc1:第1磁性層の保磁力 Hc2:第2磁性層の保磁力 Hc3:第3磁性層の保磁力 Hc4:第4磁性層の保磁力 Hwi(j):第j磁性層と第i磁性層間に働く交換結合力による第i 磁性層の反転磁界のシフト量 を満足する温度が存在することを特徴とする光磁気記録担体である。
請求項2の発明は、請求項1において、Hc2<Hw2(3)−Hw2(1)を満足す
る温度からTc1とTc3のうちの低い方までの間で、 Hc3>Hw3(4)−Hw3(2) を満足する温度が存在する光磁気記録担体である。
請求項3の発明は、請求項1において、磁性層間の界面に交換力を制御するた
めの界面制御層を備えた光磁気記録担体である。
[作用] この発明の光磁気記録担体の第4磁性層は、第90図の初期化磁石に相当する
ものであり、オーバーライト後の第2磁性層の磁化方向を交換力によって第4磁
性層の磁化方向と同一方向に揃えることによって、第2磁性層の磁化方向を初期
化し、次のオーバーライト記録に備えるよう機能する。
また、第4磁性層のキュリー温度Tc4は、他の磁性層のキュリー温度よりも高
く、300℃より高いので、オーバーライト記録の昇温過程で磁化方向が反転す
ることは無い。従って第92、93図の従来技術に比し、多数回繰り返してオー
バーライト記録する場合の信頼性が格段に向上する。
第1磁性層は、情報“0”および“1”を表わす副格子磁化(実施例ではTM
副格子磁化)を保持するための記録層である。第2磁性層と第4磁性層はオーバ
ーライト記録を行うために設けられている。第2磁性層は補助層と呼ばれ、この
第2磁性層の副格子磁化方向が第1磁性層に転写されることを利用して、第1磁
性層の磁化方向を所望の方向に向けて情報“0”または“1”を記録する。情報
“1”または“0”は、第2磁性層をキュリー温度以上に昇温させて磁化を消失
させた後に外部磁界により所望の方向に第2磁性層を磁化することにより第2磁
性層に与えられる。このとき、第4磁性層(3層の光磁気記録担体の第3磁性層 に相当)からの強い交換結合力は第3磁性層によって弱められているので、第2
磁性層を記録すべき情報の向きに磁化する外部磁界は小さなもので済む。その後
第2磁性層に与えられた情報は、上述のように第1磁性層に転写される。次のオ
ーバーライト記録に備えるため、第2磁性層に一時的に記録された情報は消され
る。これは第2磁性層の初期化と呼ばれ、ある温度以下となると第3磁性層は第
4磁性層の交換結合力を弱める能力を失うので、交換結合力によって第2磁性体
層の磁化方向が第4磁性層の磁化方向と同一方向に揃えられることにより実現さ
れる。第4磁性層は初期化磁石のように働く初期化層であり、そのキュリー温度
は他の磁性層のキュリー温度よりも高く、300℃まで保持力を有するので、多
数回繰り返し記録を続けてもその副格子磁化方向が反転することはない。
この発明の4層の光磁気記録担体は、3層の光磁気記録担体をベースにしてい
るので、3層の光磁気記録担体の基本的関係式(1)〜(3)と類似の関係はこの発明
の光磁気記録担体でも成立している。
[実施例] 実施例1. 初期化磁石が不要で高い信頼性を有するオーバーライト可能な光磁気記録担体
を以下に詳細に説明する。第1図(a)、(b)及び(c)は、各々本発明の光磁気記録担
体を備えた光磁気記録装置の要部構成斜視図、本発明の光記録再生状態を示す部
分断面図、及び本発明の一実施例の光磁気記録担体における記録用の例えばレー
ザービームパワー変化を示す特性図である。図において、(30)は本発明の−実施
例の光磁気記録担体、(20)は光磁気記録担体(30)に照射され、情報を記録再生す
るレーザービーム、(18)は上記レーザービーム(20)が対物レンズ(5)により集光さ
れることにより光磁気記録担体(30)上にできる光スポット(16)付近に印加される
磁界が一定方向である磁界発生装置である。第2図はこの発明の一実施例の光磁
気記録担体の要部断面図である。
(27)、(28)、(29)は各々第2磁性層、第3磁性層、第4磁性層である。記録担
体(30)はガラス基板上にスパッター法等で例えば、 第1磁性層:Dy23Fe68Co9 500Å[補償組成(室温)] 第2磁性層:Tb25Fe60Co15 700Å[REリッチ] 第3磁性層:Tb16Fe84 200Å[TMリッチ] 第4磁性層:Tb30Co70 700Å[REリッチ] のフェリ磁性体で形成され、隣接する磁性層は交換力で結合している。第4磁性 磁力を有し、第4磁性層(29)はレーザービーム(20)の照射による温度上昇に対し
動作範囲で磁化反転を起こさない。また第2磁性層は室温以上で補償温度を有す 第4磁性層(29)の磁化反転磁界以上の磁界に曝らすなどで第4磁性層(29)のTM
副格子化磁化を最初に一度だけ例えば下向きに一様に磁化させておく。この時外
部磁石(18)による磁界は上向きに発生させる。各磁性層中の矢印はTM副格子磁
化の方向を示す。第1磁性層(24)のTM副格子磁化方向(7)が上向きは情報“1”
を、下向きは情報“0”を示す。
各層の温度特性及び各層間の磁気特性は以下の通りである。
Tc4>Tc2>Tc1>Tc3(室温) ・・・・(4) ただし、Tc1:第1磁性層のキュリー温度 Tc2:第2磁性層のキュリー温度 Tc3:第3磁性層のキュリー温度 Tc4:第4磁性層のキュリー温度 である。
第4磁性層のキュリー温度Tc4は他の磁性層のキュリー温度より高く、30
0℃まで保磁力を有しているのでオーバーライト記録中の昇温によって磁化が反
転することは無い。
Hc1>Hw1(2)+Hb(室温) ・・・・(5) ただし、Hc1:第1磁性層の保磁力 Hw1(2):第2磁性層が第1磁性層に及ぼす交換力 Hb:外部磁石の磁力 である。
この式は、室温での第1磁性層の副格子磁化方向安定化条件で、3層膜の式(1)
と同様の式である。
第1磁性層の保磁力Hc1は、第2磁性層からの交換力Hw1(2)と外部磁界Hb
よりも強いので、第1磁性層の磁化方向は室温では安定していて反転しない。
Hw1(2)−Hb>Hc1(参照温度:室温からTc1までの或る温度) ・・・・(6) この式は参照温度における第2磁性層から第1磁性層への副格子磁化方向の転
写条件である。
光照射により、第1磁性層のキュリー温度Tc1以上に昇温した後に冷却する過
程で第1磁性層には再び磁化が現れるが、その方向は、第1磁性層の保磁力Hc1
よりも第2磁性層からの交換結合力Hw1(2)の方が大きいので第2磁性層の磁化
方向に揃えられる。これにより、オーバーライト記録動作中に外部から第2磁性
層に一時的に記録された情報は第1磁性層に転写される。
Hc2>Hw2(1)−Hw2(3)−Hb(室温) ・・・・(7) ただし、Hc2:第2磁性層の保磁力 Hw2(1):第1磁性層が第2磁性層に及ぼす交換結合力 Hw2(3):第3磁性層および第4磁性層が第2磁性層に及ぼす交換結 合力の総和 この式は、室温における第2磁性層の副格子磁化方向安定化条件である。
第2磁性層の保磁力は、隣接する層からの交換結合力よりも大であるので、室
温では第2磁性層の磁化方向は安定しており反転しない。
Hw2(3)−Hw2(1)−Hb>Hc2(室温からTc1とTc3の低い方までのある
温度) ・・・・(8) この式は、初期化温度における第2磁性層の副格子方向の初期化条件であり、
3層膜の式(2)と類似した式である。
外部からオーバーライト記録すべき情報として第2磁性層に与えられた情報は
、第1磁性層に転写された後は次のオーバーライト記録に備えるため消されて初
期化される。第2磁性層の保磁力Hc2よりも隣接する層からの交換結合力Hw2(
3)−Hw2(1)の方が大きくなるので、第2磁性層の磁化方向は、初期化層である
第4磁性層の磁化方向に揃えられる。
Hw3(4)−Hw3(2)−Hb>Hc3(室温からTc1とTc3のうち低い方まで
の ある温度) ・・・・(9) ただし、Hw3(4):第4磁性層が第3磁性層に及ぼす交換結合力 Hw3(2):第1磁性層および第2磁性層が第3磁性層に及ぼす交換結 合力の総和 Hc3:第3磁性層の保磁力 この式は、初期化温度における第3層の副格子磁化方向の初期化条件である。
初期化温度において、第3磁性層の保磁力Hc3よりも隣接する層からの交換結
合力Hw3(4)−Hw3(2)の方が大となるので、第3磁性層の磁化方向は、第4磁
性層の磁化方向に揃えられる。
Hc4>Hw4(3)(すべての動作温度領域) ・・・・(10) ただし、Hc4:第4磁性層の保磁力 Hw4(3):第1磁性層、第2磁性層および第3磁性層が第4磁性層に 及ぼす交換結合力 この式は、全動作温度領域における第4磁性層の副格子磁化方向の安定化条件
で、3層膜の式(3)と同様の式である。第4磁性層の保持力Hc4は、隣接する第
3磁性層から受ける第1〜第3磁性層による交換結合力の総和Hw4(3)よりも大
であるので第4磁性層の磁化方向は安定しており反転しない。
これらの条件式において、外部磁界Hbに関する項は他の項に比べて小さく無
視してもよいが正確を期するために記した。さらに、この外部磁界Hbに関する
項は各温度において各層がTMリッチであるかREリッチであるかにより符号が
変わる。したがって以下に記す別の実施例においては、上記の場合と符号は異な
るが、この点は発明の本質ではない。
第2図(a)は情報“0”を記録した初期状態を示す。第2図(b)は情報“1”を
記録した初期状態を示す。
オーバーライト記録は、上記に述べたレーザー強度を2値的に変調することに
より可能になる。強い方のレーザー強度R1によりなされる記録を「HIGH記
録」と呼び、一方、弱い方のレーザー強度R0による記録を「LOW記録」と呼ぶ
子磁化のそれを実線のベクトル↑で表わし、合金全体の磁化の向き及び大きさを の和として表わされる。
次に動作について説明するが、情報の記録に関係するのはTM副格子の磁化方
向であるので、各磁性層の磁化方向はTM副格子にのみ注目すれば良い。
[LOW記録]再生時よりレーザ出力を上げ集光スポット(6)内の部分が参照温度
を越え第2磁性層(27)のTM副格子磁化反転温度(温度の上昇により保持力が外
部磁界より小さくなり外部磁界方向に磁化が反転する温度)に達しないときは、
第2磁性層(27)のTM及びREの副格子磁化方向は変化せず参照温度で式(6)の
関係が成立し、第2磁性層(27)のTM副格子磁化方向が第1磁性層(24)に転写さ
れ、第1磁性層(24)のTM副格子の磁化方向は第3図に示すように下向きにな
る。参照温度では第1磁性層はTMリッチである。このとき第3磁性層(28)、第
4磁性層(29)は動作に対する寄与は特になく、第3磁性層(28)のTM副格子磁化
が消失しても式(9)の関係により第4磁性層のTM副格子磁化(29)との交換力で
一定方向に再び同方向に磁化される。この後集光スポットをはずれるので室温付
近まで冷却し、第1磁性層(24)は補償組成にもどる。
[HIGH記録]第2磁性層(27)の磁化反転温度を越え第4磁性層(29)の磁化反
転温度に達しないとき、第1、第3磁性層の磁化は消失するが式(10)の関係によ
り第4磁性層(29)のTM副格子磁化方向は変化しない。また第2磁性層の補償温
度を超えているので第2磁化層はTMリッチとなっている(第3図)。第2磁
性層(27)の磁化反転温度で、第1、第3磁性層の交換力を受けず外部磁石(18)に
よる磁界により第2磁性層(27)の磁化方向は上向きになり(第3図)、さらに
式(6)の関係により第2磁性層(27)の磁化方向が第1磁性層(24)に転写され第1
磁性層の磁化方向は上向きになる(第3図)。第1磁性層(24)と第2磁性層(2
7)、第2磁性層(27)と第3磁性層(28)、第3磁性層(28)と第4磁性層(29)の交換
力の順に大きくしておくことにより、この際に第3磁性層(28)は、そのキュリー
温度以下で、式(9)の関係により第3磁性層(28)のTM副格子磁化は第4磁性層(2
9)のTM副格子のものと揃い、(第3図)さらに温度が下がり交換力が大きく
なってきたときに式(8)により第2磁性層(27)のTM副格子磁化は交換力により
第3磁性層(28)のTM副格子磁化を介して第4磁化層(29)のTM副格子磁化と揃 い初期状態に戻る。(第3図) 以上のような動作によりレーザー光強度のみを変調することにより、光変調ダ
イレクトオーバーライトが可能である。1.6μm間隔の溝付基板にエンハンス
誘電層を設けさらに上記磁性層を設けた光磁気記録媒体において、線速11m/ ワー18mW、ボトムパワーを7mWに光変調してC/比45dB、消去比40
dB以上の特性が得られる。
実施例2. 磁性層をスパッター法でガラス基板に上記実施例と同様に表2の記録媒体を形
成した。いずれの記録媒体とも記録条件を最適化することによりほぼ完全な光変
調ダイレクトオーバーライトが可能である。
さらに、第4図〜第84図に遷移金属と希土類金属の合金の組成を各々の層で
異ならした全ての場合についてのパターンを記載している。これらの図において
各記号の定義は以下の通りである。
TM:遷移金属リッチで室温とキュリー温度との間に補償温度を有しない遷移 金属−希土類金属合金 RE:遷移金属リッチで室温とキュリー温度との間に補償温度を有する遷移 金属−希土類金属合金 re:遷移金属リッチで室温とキュリー温度との間に補償温度を有しない遷移 金属−希土類金属合金 t:膜厚[Å] Ms:飽和磁気モーメント[emu.cc-1 Tc:キュリー温度 Sw:(≡σw):界面磁壁エネルギー[erg.cm-2] Hwi:i層が受ける交換力の総和 Hwi(j):j層がi層に及ぼす交換力(=σwij/(2|Msi|ti)) ここでi及びjは基板側から ↑:TM副格子磁化方向 :TM副格子磁化とRE副格子磁化の総和の磁化 Tstor:保管温度領域内のすべての温度。(ex.−10℃〜60℃) Tread:最低使用温度から再生時に媒体が達する温度のすべての温度。
L:再生時温度より高くTc1以下で第1磁性層の磁化が幅2磁性層の磁化 方向により転写が起こるある温度。
Tini:室温より高くTc1、Tc3の低い方より低い温度領域であって、初 期化動作が生じ、第2磁性層または第3磁性層の磁化が反転する或 る温度。
Tall:動作温度内のすべての温度。(0℃〜 ) Tuse:駆動装置動作温度。(0℃〜50℃) 又、各図中、(a1)は情報“0”を記録した状態(a2)は情報“1”を記 いずれのパターンにおいても第4磁性層のキュリー温度Tc4は300℃より
も高い。
本発明において磁性層間の交換力を適切に制御することが肝要となる。このた
め各磁性層間に界面制御層を介在させてもよい。
4層磁性層媒体において、ガラス基板上にスパッター法で 第1磁性層 Dy23Fe68Co9 500Å 界面制御層 SiNx 10Å 第2磁性層 Gd13Dy12Fe60Co15 1200Å 第3磁性層 Tb16Fe84 200Å 第4磁性層 Tb30Co70 700Å のフェリー磁性体及び誘電体を形成した。このときも界面制御層を介したものを
含めて隣接する磁性層は交換力で互いに結合している。この媒体において線速1 トムパワーを7mWに光変調してC/N比45dBの良好なオーバーライト特性
を示した。
磁界制御層には上記のものを含め以下に示すものを用いてもよい。
1.通常磁性層の形成に用いるスパッタガス圧の5倍以上の圧力にて形成する。
2.窒化物(SiN、AIN等)や酸化物(SiOx等)の誘電体を用いる。
3.通常の磁性層の形成にはArのみの中性スパッタ法で行われるが、このとき
反応性ガス(酸素、窒素)を混入し反応スパッタ法で形成する。
4.希土類(RE)−遷移金属(TM)合金膜を用いる場合、RE組成を30a
t%以上にする。この場合、スパッタガス圧は通常の値でもよい。
5.非磁性金属(Al、Cu等)を用いる。
6.磁化容易軸が面内方向の磁性膜を用いる。
以上のような方法により界面制御層を形成することができるが、交換結合力を
制御することが可能であればここに示した方法でなくてもよい。
以上のように、本発明の4層媒体において、本質的動作に寄与しない界面制御
層を介在させてもよく、磁性層のいずれかの界面にあってもよい。
以上のように、初期化磁石がなくてもオーバライト可能な光磁気記録担体につ
いて述べてきたが、次にこのような記録担体の製造方法について4層膜を例に挙
げて説明する。第85図に示すように、直径130mmφのポリカーボネート基
板(2)に誘電体膜(34)としてSiNx膜をスパッタ装置で成膜した後順次同様に
スパッタリングで第1層(35)、第2層(36)、第3層(37)、第4層(38)を成膜し最
後に保護層(39)を成膜する。
この場合、スパッタ成膜した後のものは初期化層である第4層(38)の磁区はラ
ンダムになっている。
そこで第4層(38)の磁化方向を一方向に揃えることが必要である。まず第1の
方法として第86図(a)、(b)に示す方法が考えられる。図中(41)は初期磁界印加
手段、(42)は接着層である。
まず貼り合わせる前に第4層(38)の室温での保持力Hc4以上の磁界Heを印
加して第4層(38)の磁化方向をそろえる。そしてその後エポキシ系接着剤やホッ トメルト剤等で接着層を形成し貼り合わせる。
第2の方法としては、貼り合わせる各々の第4層の保持力Hc4(A)、Hc4(B)
(A、Bは貼り合わせる2枚の成膜基板)に|He(A)|>|Hc4(A)|>|H
e(B)|>|Hc4(B)|(He(A)、He(B)は初期磁界印加手段の印加磁界)の
特性を持たせる。
そしてそのような2枚の基板を貼り合わせた後に第87図(a)に示すようにま
ずA面としたディスクのHc4(A)をこえる磁界He(A)を磁界印加手段(43)で印
加しA面の初期化層の磁化をそろえる。次に第87図(b)に示すようにHc4(B)
をこえかつHc4(A)をこえないHe(A)とは逆方向の磁界He(B)を印加し、B面
の初期化層の磁化をそろえる。またこの方法は第88図(a)、(b)に示すようにデ
ィスクを途中でひっくり返しても同様に初期化できる。また第88図(a)で初期
化した貼合せディスクを第89図に示す。このように基板(40A)、(40B)の第4層
が一方向に初期化された貼り合わせディスクを、装置側でA面、B面を検知した
上でバイアス磁界の向きをかえると共に信号処理回路で記録ビットの向きが変わ
っていることを判断した上で最終的な再生信号処理を行ってもよい。
[発明の効果] この発明の光磁気記録担体は、磁性層を4層に積層して構成され、且つ、第4
磁性層が初期化磁石として働くので初期化磁石を必要とせずにオーバーライトが
可能になる効果を奏する。
第4磁性層のキュリー温度は第1磁性層ないし第3磁性層のキュリー温度より
も高く、第4磁性層は室温から300℃まで保磁力を有しているので、オーバー
ライト記録を多数回繰り返してもその磁化方向が反転せず、多数回記録の信頼性
が格段に向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明の光磁気記録担体を備えた光磁気記録装置の要部構成斜視
図、(b)は本発明の光磁気記録担体の光記録再生状態を示す部分断面図、(c)は光
磁気記録担体の領域における記録用のレーザビームパワー変化を示す特性図、第
2図は本発明の4層光磁気記録担体の具体的構成図、第3図は本発明の4層膜光
磁気記録担体の記録状態における各層の状態図、第4図から第84図は本発明の 4層膜光磁気記録担体の各層の組成を異ならした場合の条件を説明する説明図、
第85図はこの発明の4層膜光磁気記録担体の初期化する前の具体的構成図、第
86図(a)は初期化の為の方法を示す説明図、(b)は初期化したものを貼り合せた
場合の構成図、第87図は初期化の為の別の方法を示す説明図、第88図は初期
化の為のもう一つ別の方法を示す説明図、第89図は第88図で初期化した光磁
気ディスク担体の具体的構成図、第90図(a)は従来の光記録再生装置の要部構成
斜視図、(b)は光磁気記録担体の光記録再生状態を示す要部断面図、第90図(c)
、および第91図は記録用のレーザパワーの一部を示す特性図、第92図は従来
の光磁気記録担体の断面図、第93図は第92図の光磁気記録担体の記録状態に
おける各層の磁化状態を示す図、第94図はこの発明の前段階の3層の光磁気記
録担体を示す図である。 符号の説明 2 基板、 18 外部磁界、 24 第1磁性層、 27 第2磁性層、 28 第3磁性層、 29 第4磁性層、 30 記録媒体

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.垂直磁気異方性を有する第1磁性層、この第1磁性層に設けられ上記第1
    磁性層と交換力で結合された第2磁性層、この第2磁性層に設けられ上記第2磁
    性層と交換力で結合された第3磁性層、この第3磁性層に設けられ上記第3磁性
    層と交換力で結合された第4磁性層を備え、 Tc4>Tc2>Tc1、Tc4>Tc2>Tc3,Tc4>300℃ ただし、Tc1:第1磁性層のキュリー温度 Tc2:第2磁性層のキュリー温度 Tc3:第3磁性層のキュリー温度 Tc4:第4磁性層のキュリー温度 を満たし、かつ室温にて Hc1>Hw1(2)、Hc4>Hw4(3) を満たし、かつ室温からTc1とTc3のうちの低い温度までの間で、 Hc2<Hw2(3)−Hw2(1) Hc3<Hw3(4)−Hw3(2) ただし、Hc1:第1磁性層の保磁力 Hc2:第2磁性層の保磁力 Hc3:第3磁性層の保磁力 Hc4:第4磁性層の保磁力 Hwi(j):第j磁性層と第i磁性層間に働く交換結合力による第i磁性 層の反転磁界のシフト量 を満足する温度が存在することを特徴とする光磁気記録担体。 2.Hc2<Hw2(3)−Hw2(1)を満足する温度からTc1とTc3のうち低い
    温度までの間で Hc3<Hw3(4)−Hw3(2) を満足する温度が存在することを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の光磁気 記録担体。 3.磁性層間の界面に交換力を制御するための界面制御層を備えたことを特徴
    とする特許請求の範囲第1項記載の光磁気記録担体。

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