JP3191611B2 - 洗髪水栓 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吐水ヘッドの高さを調
節できる洗髪水栓に係り、特に吐水ヘッドの吐水時の自
転（横方向への吐出水圧による後退回動）を防止するよ
う構成された洗髪水栓に関する。

【０００２】

【従来の技術】吐水ヘッドを低位置に位置させて洗顔や
手洗いを行ない、洗髪の際には支持管と共に吐水ヘッド
を所要の高さに引上げて使用するようにした洗髪水栓が
広く用いられている。この洗髪水栓の従来例（実公平３
−４０９４０号公報）について第７〜９図を参照して説
明する。

【０００３】取付筒１の内部に支持管２が上下方向に挿
通されている。この取付筒１の下部内周面に雌ねじが刻
設され、外周面の全体に雄ねじが刻設されている。この
取付筒１は外周面の該雄ねじに螺合されたナット３，４
によって洗面台の天板５の水栓取付孔６に固定されてい
る。

【０００４】緊締筒体７の上端が該取付筒１の下端内周
の雌ねじに螺着されている。この緊締筒体７の下部に複
数の切欠８及び環状の突条部９が設けられている。該緊
締筒体７の下端部外周に設けた環状溝１１に引張スプリ
ング１２が巻装されている。このスプリング１２の締付
力により、緊締筒体７の下部が縮径方向へ弾力的に付勢
されている。

【０００５】前記支持管２の内部にホース１３が挿通さ
れ、吐水ヘッド１５に接続されている。支持管２の上端
に、吐水ヘッド１５の基端部を収容するヘッドホルダ１
６が継手１７を介して取り付けられている。支持管２の
下端には、抜け止め用のナット１８が取り付けられてい
る。支持管２の下端近傍には周回溝１９が周設されてい
る。

【０００６】第７図の２点鎖線で示す低位置にある吐水
ヘッド１５を実線で示す高位置に変位させるには、ヘッ
ドホルダ１６を手で握って上方へ引く。そうすると、該
ヘッドホルダ１６と共に支持管２が上昇する。

【０００７】吐水ヘッド１５を所望高さまで上昇させた
後、ヘッドホルダ１６から手を離す。この状態にあって
は、引張スプリング１２によって縮径方向に付勢された
緊締筒体７の下端の突条部９が支持管２を締め付け、こ
れにより、ヘッドホルダ１６から手を離しても支持管２
がそのままの高さに停止するようになる。

【０００８】なお、支持管２を上昇限まで上昇させる
と、突条部９が周回溝１９に入り込む。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の洗髪水栓に
あっては、吐水ヘッドが横方向（真横又は斜め下向き方
向）を向いた状態で吐水が行なわれると、支持管２の軸
心回りに該吐水ヘッド１５、ヘッドホルダ１６及び支持
管２を回転させようとするトルクが発生する。

【００１０】突条部９が周回溝１９に入っていないとき
には、スプリング１２の締付力が強いため、このトルク
によって吐水ヘッド１５等が回転することはない。とこ
ろが、突条部９が周回溝１９に入り込んだ場合には、ス
プリング１２の締付力が小さくなる。（緊締筒体７の下
端が周回溝１９に入り込んで縮径するため、その分だけ
スプリング１２の伸びも小さくなり、スプリング１２の
締付力が小さくなる。）このため、上記トルクが突条部
９の摩擦に打ち克って吐水ヘッド１５、ヘッドホルダ１
６等が支持管２回りに回転してしまう。このように吐水
ヘッド１５が回転すると、吐水ヘッド１５からの吐水が
洗面鉢周囲に飛び散ったり、吐水ヘッド１５やヘッドホ
ルダ１６が周囲物体（例えば鏡）に当ったりするおそれ
がある。

【００１１】この回転を防止するためには、スプリング
１２としてバネ定数の大きなものを用いれば良いのであ
るが、このようにすると支持管２を昇降させるのに要す
る力が大きくなり、吐水ヘッド１５をスムーズに昇降さ
せることができなくなる。

【００１２】本発明は、吐水ヘッドの回転を確実に防止
できると共に、吐水ヘッドをスムーズに昇降させること
ができる洗髪水栓を提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】請求項１の洗髪水栓は、
洗面台の取付孔に挿通されて固定される取付筒と、該取
付筒に昇降可能に挿通された支持管と、該支持管の上端
に設けられたヘッドホルダと、該ヘッドホルダの先端に
装着された吐水ヘッドと、該支持管を上昇させた位置に
て該取付筒に対し支持させる保持部材とを備えてなる洗
髪水栓において、該支持管の周方向の回転に対し摩擦抵
抗を与えるブレーキ部材を、該保持部材の上側に、該保
持部材とは別個に設けたことを特徴とするものである。

【００１４】請求項２の洗髪水栓は、請求項１におい
て、前記取付筒の上端にキャップが固着されており、前
記ブレーキ部材は、該支持管の外周面に摩擦接触するよ
うに外嵌されたブレーキリングと、該ブレーキリングに
対し支持管周方向に回転不能に係合したストッパリング
と、該ストッパリングと該キャップ内面との間に介在さ
れ且つ双方に密着し該ストッパリングの回転を阻止して
いるブレーキパッキンとからなることを特徴とするもの
である。

【００１５】

【作用】本発明の洗髪水栓にあっては、保持部材の上側
に、保持部材とは別個に設けたブレーキ部材によって支
持管に対し摩擦抵抗を与えるようにしており、保持部材
による支持管の保持力を適正にしつつ、ブレーキ部材に
よる摩擦力をこの保持力とは別個に適切なものに選定で
きる。これにより、吐水ヘッド等の回転を阻止しつつ吐
水ヘッドをスムーズに昇降させることが可能となる。

【００１６】請求項２の洗髪水栓にあっては、ブレーキ
リングが支持管に摩擦を与える。このブレーキリングは
ストッパリング及びブレーキパッキンを介してキャップ
に対し回転不能に係止される。

【００１７】

【実施例】以下、図面を参照して実施例について説明す
る。

【００１８】第１図（ａ）は実施例に係る洗髪水栓の縦
断面図、第１図（ｂ）は（ａ）図のＢ−Ｂ線に沿う拡大
断面図、第２図（ａ）は支持管の縦断面図、第２図
（ｂ）は支持管の拡大断面図である。第３〜６図は洗髪
水栓のブレーキ機構を示しており、第３図は拡大断面
図、第４〜６図は分解斜視図である。

【００１９】洗面・洗髪流し台の天板２５の水栓取付孔
２６に取付筒２７が上方から挿入され、三角パッキン２
８を介してナット２９をねじ込むことにより該取付筒２
７が天板２５に固定されている。この取付筒２７に支持
管２０が挿通されている。

【００２０】この支持管２０は、合成樹脂筒２１と金属
筒２２とからなる。合成樹脂筒２１は支持管２０の大部
分を構成するものであり、支持管２０の上端から下端ま
で延在している。合成樹脂筒２１の上端外周面に設けら
れた雄ねじに対しヘッドホルダ２３が螺着されている。
合成樹脂筒２１の下端外周面に設けられた雌ねじに対し
抜け止めストッパ（ナット）２４が螺着されている。

【００２１】取付筒２７の上端にはキャップ３０が螺着
されており、このキャップ３０内に保持部材３１、ブレ
ーキリング３２、ストッパリング３３及びブレーキパッ
キン３４が配置されている。

【００２２】本実施例では、第４図の通り、この保持部
材３１は合成樹脂製のＣ形リングよりなり、支持管２０
の外周面に弾性的に外嵌している。

【００２３】支持管２０の外周面には、この保持部材３
１が入り込む上側周回溝３５と下側周回溝３６とが設け
られている。上側周回溝３５は金属筒２２に研削又は絞
り加工などにより形成されている。下側周回溝３６は合
成樹脂筒２１の外周面に形成された凹部よりなる。

【００２４】保持部材３１の内径は、この周回溝３５，
３６よりもごくわずかに大きく、且つ金属筒２２の外径
（周回溝３５，３６の部分を除く。）よりもごくわずか
に小さなものとなっている。

【００２５】第４〜６図の通り、ブレーキリング３２
は、円環を３分割した円弧形状の小ブレーキ片３７を３
個組み合わせて円環形としたものである。このブレーキ
リング３２の外周面には凹溝３８が周設され、リング状
のスプリング３９が、該凹溝３８内に配置されている。
該スプリング３９は各ブレーキ片３７をブレーキリング
３２の縮径方向に弾性的に締め付けている。

【００２６】ストッパリング３３は、短い筒状部３３ａ
の下端から外方に下フランジ３３ｂが突設されると共
に、上端から内方に上フランジ３３ｃが突設された略ハ
ット形断面形状のものである。この上フランジ３３ｃの
下面には、ブレーキ片３７，３７同士の当接面に入り込
む楔部３３ｄが突設されている。

【００２７】第３図の通り、キャップ３０内において、
保持部材３１の上側にブレーキリング３２が配置され、
該ブレーキリング３２に対しストッパリング３３が上方
から外嵌している。キャップ３０を取付筒２７に螺じ込
むことにより、このストッパリング３３の上フランジ３
３ｃがブレーキパッキン３４の下面に強く押し付けら
れ、該ブレーキパッキン３４がキャップ３０の内面に強
く押し付けられる。

【００２８】このように、ブレーキリング３２が楔部３
３ｄを介してストッパリング３３に係止され、ストッパ
リング３３がブレーキパッキン３４に押し付けられ、ブ
レーキパッキン３４がキャップ３０内面に押し付けられ
ることにより、ブレーキリング３２の回転が阻止され
る。なお、ブレーキパッキン３４は高摩擦特性を有する
ゴムよりなり、摩擦力により回転を阻止する。

【００２９】吐水ヘッド４０が高低いずれの位置にあっ
ても、ブレーキリング３２がスプリング３９によって支
持管２０の外周面に押し付けられている。

【００３０】従って、横方向を向いた吐水ヘッド４０の
吐水圧によって支持管２０の軸心回りのトルクが吐水ヘ
ッド４０及びヘッドホルダ２３に加えられたとしても、
支持管２０は回転しない。この結果、吐水ヘッド４０か
らの水が予期せぬ方向に飛び散ったり、吐水ヘッド４０
やヘッドホルダ２３が周囲物体に当ったりすることが確
実に防止される。

【００３１】また、このブレーキリング３２は、支持管
２０が上昇限及び下降限のいずれの位置にあっても周回
溝３５，３６には入り込まない。従って、ブレーキリン
グ３２は常にスプリング３９から与えられる一定の圧力
によって支持管２０の外周面に押し付けられるようにな
り、支持管２０に一定の摩擦力が与えられる。この摩擦
力を支持管２０の回転を阻止するのに必要最少限のもの
とすることにより、支持管２０を常に軽快に昇降させる
ことが可能となる。

【００３２】なお、前記ヘッドホルダ２３の先端に吐水
ヘッド４０が装着され、該吐水ヘッド４０に接続された
ホース４１が該ヘッドホルダ２３及び支持管２０に引き
通されている。

【００３３】ヘッドホルダ２３及び支持管２０は、第１
図（ａ）では下降限に位置しており、該ヘッドホルダ２
３の下端はワッシャを介してキャップ３０の上端に当接
している。この状態は、吐水ヘッド４０を手洗いや洗顔
に供するのに好適である。

【００３４】洗髪を行なうべく吐水ヘッド４０を高位置
へ移動させるには、ヘッドホルダ２３を把んで上方に引
き上げる。そうすると、支持管２０は保持部材３１及び
ブレーキリング３２と摺動し、上方に移動し、やがて保
持部材３１が下側周回溝３３に入り込み、軽いクリック
感が感取される。

【００３５】この状態において、吐水ヘッド４０は高位
置にあるため、吐水ヘッド４０の下側に頭を差し出して
洗髪を行なえる。もちろん、必要に応じ、吐水ヘッド４
０をヘッドホルダ２３から外して洗髪に使用することも
できる。

【００３６】洗髪終了後、吐水ヘッド４０を低位置に戻
すには、ヘッドホルダ２３を下方に押せば良い。

【００３７】この支持管２０は、外周面のうち保持部材
３１及びブレーキリング３２と摺動する部分が金属筒２
２よりなるため、バフ研磨等によりこの金属筒２２の外
周面の面精度を高くしておくことにより保持部材３１及
びブレーキリング３２と滑らかに摺動する。

【００３８】この金属筒２２はステンレス筒であること
が好ましい。ステンレス筒であれば、肉薄のパイプの外
周面をバフ研磨するだけでメッキをすることなく防錆性
を有した平滑な外面仕上りを得ることができる。ただ
し、真鍮などをバフ研磨しクロム等をメッキした金属筒
をも用い得る。

【００３９】本実施例で用いられている支持管２０は、
大部分が合成樹脂よりなるため軽量であり、ヘッドホル
ダ２３を上方に引き上げる時に要する力が小さくて済
む。この支持管２０は、金属筒２１をインサートするイ
ンサート成形により容易に製造できる。この合成樹脂筒
２１は成形が容易で製造コストも低い。

【００４０】

【発明の効果】以上の通り、本発明の洗髪水栓による
と、吐水ヘッドが横方向に吐水しても吐水ヘッドやヘッ
ドホルダが回転しない。この結果、吐水ヘッドからの水
が予期せぬ方向に飛び散ったり、吐水ヘッドやヘッドホ
ルダが周囲物体に当ったりすることが防止される。ま
た、吐水ヘッドを支える支持管を常に軽快に昇降させる
ことができる。

【００４１】なお、請求項２の洗髪水栓によると、ブレ
ーキリングの回転が確実に阻止され、吐水ヘッドやヘッ
ドホルダの回転を確実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（ａ）図は実施例に係る支持管を備えた洗髪水
栓の縦断面図、（ｂ）図は（ａ）図のＢ−Ｂ線に沿う拡
大断面図である。

【図２】（ａ）図は支持管の縦断面図、（ｂ）図は支持
管の拡大断面図である。

【図３】実施例に係る洗髪水栓の要部拡大断面図であ
る。

【図４】実施例に係る洗髪水栓の要部分解斜視図であ
る。

【図５】図４のＶ−Ｖ線に沿う箇所を断面とした実施例
に係る洗髪水栓の要部分解斜視図である。

【図６】図４のVI−VI線に沿う箇所を断面とした実施例
に係る洗髪水栓の要部分解斜視図である。

【図７】従来の洗髪水栓の側面図である。

【図８】従来の洗髪水栓の要部拡大断面図である。

【図９】従来の洗髪水栓の緊締筒体の断面図である。

【符号の説明】

２０ 支持管 ２１ 合成樹脂筒 ２２ 金属筒 ２３ ヘッドホルダ ２５ 天板 ２７ 取付筒 ３０ キャップ ３１ 保持部材 ３２ ブレーキリング ３３ ストッパリング ３４ ブレーキパッキン ３５ 上側周回溝 ３６ 下側周回溝 ３７ 小ブレーキ片 ３８ 凹溝 ３９ スプリング ４０ 吐水ヘッド ４１ ホース

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 洗面台の取付孔に挿通されて固定される
   取付筒と、 該取付筒に昇降可能に挿通された支持管と、 該支持管の上端に設けられたヘッドホルダと、 該ヘッドホルダの先端に装着された吐水ヘッドと、 該支持管を上昇させた位置にて該取付筒に対し支持させ
   る保持部材とを備えてなる洗髪水栓において、 該支持管の周方向の回転に対し摩擦抵抗を与えるブレー
   キ部材を、該保持部材の上側に、該保持部材とは別個に
   設けたことを特徴とする洗髪水栓。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記取付筒の上端に
   キャップが固着されており、 前記ブレーキ部材は、該支持管の外周面に摩擦接触する
   ように外嵌されたブレーキリングと、該ブレーキリング
   に対し支持管周方向に回転不能に係合したストッパリン
   グと、該ストッパリングと該キャップ内面との間に介在
   され且つ双方に密着し該ストッパリングの回転を阻止し
   ているブレーキパッキンとからなることを特徴とする洗
   髪水栓。